JP3801903B2 - 自己消弧型半導体素子の状態監視装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自己消弧型半導体素子（自己消弧型素子または単に素子とも言う）の端子電圧の有無を利用して故障判定を行なう状態監視装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図７は従来例を示すブロック図である。
直流を交流に変換する装置としては例えば図７に示すように、直流電源１に対し自己消弧型素子１’にダイオード２’を逆並列接続した電圧型インバータ２を用いる、自励式変換方式がある。この電圧型インバータ２は、リアクトル３を介して電力系統４に接続される。この電圧型インバータ２では、シーケンス信号発生回路１２から出力される運転信号に応じて、パルス発生回路６が素子のＯＮ／ＯＦＦパルスを出力し、それをゲート駆動回路５により実際に素子に与える信号に変換してスイッチング動作を行なうようにしている。
【０００３】
かかるインバータには、自己消弧型素子やダイオードの異常を検出するため、自己消弧型素子のコレクタ−エミッタ間電圧を素子電圧監視回路７で測定し、素子電圧があるレベル以上であれば「Ｈ」、以下であれば「Ｌ」とする返送信号とＯＮ／ＯＦＦ信号の関係から、素子状態を監視する機能を持たせるものがある。すなわち故障検出回路１０に、図８の如くＯＮ／ＯＦＦ信号と返送信号との論理が一致する場合はカウントし、不一致となる場合はクリアするカウンタを設け、このカウンタが一定値以上となった場合に故障と判断する。なお、故障検出回路１０で故障と判断した場合は、パルス発生回路６はＯＮ／ＯＦＦ信号を「Ｌ」にして、インバータのスイッチング動作を停止する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
インバータが電力系統に連系した状態では、各素子にかかる電圧は直流電源電圧と交流電源電圧の差となるため、返送信号は図9に示すように交流電圧が或るレベル以下のときは「Ｌ」となり、以上のときは「Ｈ」となる。上記素子状態監視回路においては、ＯＮ／ＯＦＦ信号が「Ｌ」となっているときに返送信号が「Ｌ」になると、素子故障と判断すると言う問題がある。つまり、素子が正常の場合でも、交流電圧が或るレベル以下のときは素子故障と判定（誤判定）されることになる。
このような事態を回避するため、インバータが停止する度に電力系統から解列するようにすると、遮断器（３’）の開放回数が増加して寿命が短くなると言う問題が生じる。
したがって、この発明の課題は、電力系統に連系した状態で停止した場合でもインバータを電力系統から解列することなく、インバータ素子の状態監視を正確に行ない得るようにすることにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、請求項１の発明では、電力系統に連系される自励式インバータの自己消弧型半導体素子の両端電圧レベルとオン，オフ指令信号とにもとづき故障監視を行なう監視手段を備えた自己消弧型半導体素子の状態監視装置において、
前記監視手段からの出力を検出する検出手段を設け、前記自励式インバータが電力系統に連系された状態で停止している場合は、前記検出手段からの出力が一定時間以上継続したときに故障と判定することを特徴とする。
【０００６】
また、上記請求項１の発明においては、前記電力系統の瞬時電圧レベルを検出するレベル検出手段を設け、前記電力系統の瞬時電圧レベルが所定値以上のときに前記監視手段と検出手段とによる故障判定を行なうことができ（請求項２の発明）、さらに、この請求項２の発明においては、前記電力系統の瞬時電圧レベルを検出する代わりに、瞬時電圧位相の検出で代用することができる（請求項３の発明）。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図１はこの発明の第１の実施の形態を示すブロック図、図２は図１の動作説明図である。
ここでは、故障検出回路１０が出力する故障信号は、図２に示すように素子が正常であるときは「Ｈ」と「Ｌ」を繰り返すが、故障のときは「Ｈ」の連続信号となる。そこで、この故障信号が「Ｈ」のときはカウントし、故障信号が「Ｌ」のときはクリアする故障確認カウンタ１６を設ける。こうすると、カウンタ１６は、そのカウント値が所定値（素子が正常の場合にカウントする値）以上になったときに素子破壊と判断することができる。その判断結果は、パルス生成装置６に通知される。
【０００８】
図３はこの発明の第２の実施の形態を示すブロック図、図４は図３の動作説明図である。
これは、図１に示すものに対し、信号反転回路８，信号選択回路９，選択信号発生回路１１および電圧レベル監視回路１４等を付加して構成される。なお、１５は故障監視開始レベルを示す。
【０００９】
電圧レベル監視回路１４は、電圧検出器４’にて検出した交流電圧を故障監視開始レベルと比較し、交流電圧が大きくなるときに「Ｈ」となる信号を選択信号発生回路１１に与える。選択信号発生回路１１では、シーケンス信号発生回路１２からインバータ運転信号を受けてインバータの停止，運転を認識し、停止のときは電圧レベル監視回路１４からの信号に応じて、図４に示すような選択信号を信号選択回路９に出力する。
【００１０】
信号選択回路９では、選択信号が「Ｈ」のときに素子電圧監視回路７からの返送信号を選択し、「Ｌ」のときにオン，オフ信号を信号反転回路８により反転させた信号を選択するので、故障検出回路１０が監視する信号は図４に示すように、素子が正常のときには「Ｈ」の連続信号となり、異常（故障）のときは「Ｌ」となる。従って、故障検出回路１０では素子が故障したときに限り、パルス生成装置６からの出力パルスと素子電圧監視回路７からの監視信号の論理が一致するので、素子故障を正確に検出することができる。
【００１１】
図５はこの発明の第３の実施の形態を示すブロック図、図６は図５の動作説明図である。
これは、図３に示す電圧検出器４’と電圧レベル監視回路１４の代わりに、ゼロクロスレベル検出回路１３と位相検出カウンタ１７を設けて構成される。この位相検出カウンタ１７は、交流電圧のゼロクロスレベルを検出するゼロクロスレベル検出回路１３の出力に応じて、図６に示すような０から一定値まで変化する値を出力する。選択信号発生回路１１では、シーケンス信号発生回路１２からインバータ運転信号を受けてインバータの停止，運転を認識し、停止のときは位相検出カウンタ１７からの信号に応じて、図６に示すような選択信号を信号選択回路９に出力する。その後は図３の場合と同様なので、説明は省略する。
【００１２】
【発明の効果】
この発明によれば、交流電源に接続される電圧型インバータの停止中においても、自己消弧型素子のコレクタ−エミッタ間の電圧監視による素子状態監視を正確に行なうことができる。また、停止の際にも電力系統から解列する必要がないので、遮断器の開放回数が減り、寿命が長くなると言う利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の第１の実施の形態を示すブロック図である。
【図２】図１の動作説明図である。
【図３】この発明の第２の実施の形態を示すブロック図である。
【図４】図３の動作説明図である。
【図５】この発明の第３の実施の形態を示すブロック図である。
【図６】図５の動作説明図である。
【図７】従来例を示すブロック図である。
【図８】図７の動作説明図である。
【図９】従来の問題点説明図である。
【符号の説明】
１…直流電源、１’…自己消弧型素子、２…電圧型インバータ、２’…ダイオード、３…リアウトル、３’…遮断器、４…交流電源、４’…電圧検出器、５…ゲート駆動回路、６…パルス生成装置、７…素子電圧監視回路、８…信号反転回路、９…信号選択回路、１０…故障検出回路、１１…選択信号発生回路、１２…シーケンス信号発生回路、１３…ゼロクロスレベル検出回路、１４…電圧レベル監視回路、１５…故障監視開始レベル、１６…故障確認カウンタ、１７…位相検出カウンタ。

Claims (3)

1. 電力系統に連系される自励式インバータの自己消弧型半導体素子の両端電圧レベルとオン，オフ指令信号とにもとづき故障監視を行なう監視手段を備えた自己消弧型半導体素子の状態監視装置において、
   前記監視手段からの出力を検出する検出手段を設け、前記自励式インバータが電力系統に連系された状態で停止している場合は、前記検出手段からの出力が一定時間以上継続したときに故障と判定することを特徴とする自己消弧型半導体素子の状態監視装置。
2. 前記電力系統の瞬時電圧レベルを検出するレベル検出手段を設け、前記電力系統の瞬時電圧レベルが所定値以上のときに前記監視手段と検出手段とによる故障判定を行なうことを特徴とする請求項１に記載の自己消弧型半導体素子の状態監視装置。
3. 前記電力系統の瞬時電圧レベルを検出する代わりに、瞬時電圧位相を検出することを特徴とする請求項２に記載の自己消弧型半導体素子の状態監視装置。

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