JP3801355B2 - 未知試料検索方法、未知試料検索装置及び未知試料検索用記録媒体 - Google Patents

未知試料検索方法、未知試料検索装置及び未知試料検索用記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック、樹脂等の未知の高分子試料を同定するために用いられる未知試料の検索方法、検索装置及び検索用記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチック、樹脂等の未知の高分子試料を同定する方法として、熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC法)と、質量分析法とを組み合わせた方法(Py−GC/MS法)により得られたデータをデータベースと比較し、該データベースに収納されている既知の高分子試料から該データに一致するものを検索する方法が知られている。
【0003】
前記Py−GC/MS法は、プラスチック、樹脂等の未知の高分子試料を熱分解炉に導入して瞬間的あるいは昇温加熱により熱分解することにより得られる熱分解生成物の混合物をキャピラリーカラムで各熱分解生成物に分離し、分離された熱分解生成物を質量分析計で検出するものである。
【0004】
前記熱分解生成物は前記熱分解の結果、ガス状の分子を構成しており、該熱分解生成物を質量分析計にかけると前記ガス状の分子に電子が照射され、分子そのもののイオン化が起き分子イオンが生じる。同時に、過剰のエネルギーのため、前記分子内の数カ所で分子内結合が破壊されて開裂し、破片となったイオン(フラグメントイオン)を生ずる。
【0005】
ここで、前記質量分析計が磁場型質量分析計である場合には、正に帯電したイオン(分子イオン及びフラグメントイオン)を電場で加速し、その運動方向と垂直に磁場を印加することにより、前記イオンがイオン質量数の平方根に比例した半径で曲線運動を行う。そこで、磁場の強さを連続的に変えることにより、所定範囲の質量/電荷(m/z)比に対応する各イオンが連続的に走査され検出器に集められる。
【0006】
また、四重極型質量分析計の場合には、4本の電極に高周波電圧を印加して電場を構成し、イオンが4本の電極に囲まれた電場に入るとイオンと電場との相互作用により、特定の質量/電荷比を持つイオンだけが検出器に到達する。四重極型質量分析計は、電場の強さを連続的に変えることにより、多くのイオンを走査することができ、所定範囲の質量/電荷(m/z)比に対応する各イオンが連続的に走査され検出器に集められる。
【0007】
そして、前記いずれの型の質量分析計の場合にも、前記検出器に到達したイオンは、該検出器で放電することによりそれぞれの質量のイオンの相対的な強度に比例した電流を発生する。
【0008】
前記質量分析計では、前記キャピラリーカラムで分離された熱分解生成物に対し、所定時間毎に、例えば0.008分毎に前記イオン化を行い、イオン化された分子イオン及びフラグメントイオンを前記のようにして走査することにより、前記所定範囲の質量/電荷(m/z)比に対応する各イオンの強度が1組の検出データとして得られる。そこで、次に、前記検出データを前記所定時間毎の走査で得られる1組の検出データ毎に加算してトータルイオン強度とし、前記トータルイオン強度を検出順に配列して各トータルイオン強度の頂点を結ぶと、保持時間に対応して検出されたイオンの強度を示す図5のような熱分解ガスクロマトグラム(パイログラム)が得られる。前記パイログラムは、それ自体を既知の高分子試料のパイログラムと比較することにより未知の高分子試料を同定することもできるが、Py−GC/MS法では通常、前記パイログラムの各ピークのマススペクトルを作成し、該マススペクトルに基づいて既知の高分子試料のマススペクトルに関するデータベースを検索する。
【0009】
すなわち、前記パイログラムの各ピークは、前記トータルイオン強度の集合体であり、各トータルイオン強度は前記のように質量分析計の所定時間毎の走査で得られた1組の検出データにより構成されており、個々の検出データは前記質量分析計における電子照射により生じた各化合物に特有の分子イオンまたは各化合物に特有の位置で開裂したフラグメントイオンの強度を示している。そこで、例えば、前記トータルイオン強度の代表値として、最も強度の大きいトータルイオン強度である各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度を選択し、該トータルイオン強度を構成する検出データを前記分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列すると、前記ピークに対応する化合物に特有のパターンを備えるマススペクトルが得られる。従って、前記マススペクトルを、標準高分子試料について同様にして作成されたマススペクトルを集めて構築されているデータベースと比較し、未知の高分子試料の前記マススペクトルと一致する既知の高分子試料のマススペクトルを検索することにより、該未知の高分子試料の同定を行うことができる。
【0010】
次に、前記従来の検索方法について、例えば未知の高分子試料のパイログラムとして図5示のパイログラムが得られた場合について説明する。尚、図5示のパイログラムは後述のように実際には既知の高分子試料のパイログラムであるが、ここでは説明のために未知の高分子試料のパイログラムとして扱う。
【0011】
前記従来の検索方法では、まず、図5示のパイログラムのピーク、例えばピークDの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度を個々の検出データに分解して該トータルイオン強度を構成する1組の検出データを出す。次に、該検出データを各分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列すると、図6(d)示のマススペクトルが得られる。そこで、該マススペクトルと、標準高分子試料について測定されたマススペクトルを集めて構築されているデータベースとを比較し、図6(d)示のマススペクトルと一致する割合の高い既知の高分子試料のスペクトルを検索する。
【0012】
図6(d)示のマススペクトルに対して市販のデータベース(WILEY)を検索すると、図11に示す検索結果が得られる。図11(a)及び(b)は4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノールであり、図11(c)はパラフェニルカルバルニック酸であり、図11(d)は1,1’−ビフェニール−3−イル−カルバミック酸であって、図6(d)示のマススペクトルに対応する熱分解生成物が図11のいずれかの化合物である確率はそれぞれ97%、83%、46%、43%である。従って、図5示のパイログラムのピークDに対応する熱分解生成物は、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノールである可能性が極めて高いことがわかる。
【0013】
前記従来の検索方法によれば、図5示のパイログラムの各ピークについて、前記ピークDと同一の処理を行うことにより、各ピークに対応する化合物の同定を行うことができる。
【0014】
しかしながら、前記従来の検索方法では、前記各ピークに対応する熱分解生成物の1つ1つについてデータベースから検索しなければならないので時間がかかり、しかも前記各ピークに対応する化合物の1つ1つが同定されたとしても、このようにして同定された化合物は多数に昇るので、これら多数の化合物から元の高分子試料が何であったかを判断するには、高度の専門的知識、経験と熟練とを要するとの不都合がある。
【0015】
また、未知の高分子試料を検索する方法として、Py−GC/MS法により得られる前記パイログラムの各ピークに対応するマススペクトルに代えて、該高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物を直ちに質量分析計にかけて検出された検出データを各分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列して得られるマススペクトルを用いる方法も考えられる。前記従来の検索方法が前記パイログラムの各ピークに対応する複数のマススペクトルについて前記データベースから検索するものであるのに対し、この方法によれば、1つだけのマススペクトルが前記熱分解生成物の混合物に対応するので、前記各ピークに対応する個々のマススペクトルを前記データベースから検索する手間が省ける上、検索結果から直ちに元の高分子試料が何であったかを判断することができる。
【0016】
しかしながら、質量分析計に導入される試料の量は数μg以下の極微量であることが要求されるのに対して、このような微量の試料を秤量することは現実には困難であり、また秤量可能な数mg程度の試料を熱分解すると、短時間の内に質量分析計のイオン化室が汚染され使用できなくなるという不都合がある。また、溶液中に溶質として含まれる試料については、溶液の濃度を調節することにより数μg程度の微量を秤量することが可能であるが、この方法は試料が溶媒に溶解することができる場合に限られる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、プラスチック、樹脂等の未知の高分子試料を容易に同定することができる未知試料の検索方法、検索装置及び検索用記録媒体を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の未知試料の検索方法は、未知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物を各熱分解生成物に分離し、分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた未知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことによりクロマトグラムを作成し、該クロマトグラムの各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、既知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた既知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことにより得られたクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルにより構成されたデータベースと、該未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索することを特徴とする。
【0019】
本発明の検索方法によれば、まず、未知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物を各熱分解生成物に分離する。次に、分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して、該熱分解生成物を構成する各化合物に特有の分子イオン及び該化合物に特有の位置で開裂したフラグメントイオンを生成せしめる。そして、該分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとする。
【0020】
次に、前記所定時間毎の検出で得られた検出データを1組として、該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことによりクロマトグラムを作成する。この結果、前記クロマトグラムでは、前記分離に要した時間(保持時間)に対して各熱分解生成物の強度が示され、各熱分解生成物に対応するピークが形成される。
【0021】
前記ピークは前記トータルイオン強度の集合体であり、各トータルイオン強度は前記所定時間毎の検出で得られた1組の検出データにより構成されている。ここで、個々の検出データは前記分子イオンまたはフラグメントイオンの質量毎の強度を示すものであり、各ピークには共通の質量の分子イオン及びフラグメントイオンが含まれている。
【0022】
そこで、次に前記各ピークに対応するトータルイオン強度に含まれる前記検出データを同一質量のイオン毎に合算して合算データとする。この合算データを前記分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列することにより、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルが得られる。該合算マススペクトルは、前記未知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物を分離すること無く直ちに質量分析計にかけて検出された検出データを各分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列して得られるマススペクトルに相当する。従って、前記合算マススペクトルは、1つのマススペクトルで該未知の高分子試料に対応するものである。
【0023】
本発明の検索方法に用いるデータベースは、前記未知の高分子試料と同一の方法で既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、該合算マススペクトルを複数の既知の高分子試料について集成することにより構成されるものである。前記データベースは、前記既知の高分子試料のクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対して作成された合算マススペクトルをデータライブラリとして含むことにより、検索の便を図ることができる。前記クロマトグラムの所定の範囲の各ピークとは、該クロマトグラム含まれる全ピークまたは一部のピークを意味する。
【0024】
次に、本発明の検索方法は、前記データベースと、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較する。この結果、本発明の検索方法によれば、該未知の高分子試料の合算マススペクトルと一致する割合の高い、既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索することができる。
【0025】
本発明の検索方法では、前記クロマトグラムの各ピークに対応するトータルイオン強度は、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを含む場合と、各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度である場合とがある。
【0026】
まず、前記未知の高分子試料の熱分解及び分離を、前記データベースを構成する既知の高分子試料と異なる条件で行うときには、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルと、前記既知の高分子試料の合算マススペクトルとの両方に前記各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを用いる。
【0027】
前記のように2つの高分子試料の熱分解及び分離を異なる条件で行うと、両者のクロマトグラムは一致せず、各ピークの最高点に相当する部分の強度も一致しない。しかし、この場合に、前記各クロマトグラムについて、各ピークを構成する前記トータルイオン強度の全てを用いて合算マススペクトルを作成すると、前記未知の高分子試料と前記既知の高分子試料とで良く一致したマススペクトルが得られる。
【0028】
これは、前記トータルイオン強度が前述のように前記検出データの集合体であることによる。即ち、前記両クロマトグラムを比較したときに各ピークの最高点に相当する部分の強度が異なるとしても、ピークの立ち上がりから終了部分までを含む各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを比較すれば、その中に含まれる前記検出データの合計は両者とも略同一であると考えられるからである。
【0029】
従って、前記データベースを構成する合算マススペクトルと、未知の高分子試料の合算マススペクトルとが、共に前記各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを用いて作成されていれば、実験条件が異なっていても両者が一致する割合を高くすることができる。
【0030】
次に、前記未知の高分子試料の熱分解及び分離を前記データベースを構成する既知の高分子試料と略同一の条件で行うときには、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルと、前記既知の高分子試料の合算マススペクトルとの両方に前記各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度を用いることができる。
【0031】
前記のように2つの高分子試料の熱分解及び分離を略同一の条件で行うときには、良く一致した未知の高分子試料のクロマトグラムが得られ、この場合には、各ピークの最高点に相当する部分の強度も良く一致している。従って、前記各ピークに対応するトータルイオン強度として、各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度だけを用いても、その中に含まれる前記検出データの合計は両者とも略同一になる。
【0032】
この結果、前記データベースを構成する合算マススペクトルと、未知の高分子試料の合算マススペクトルとが、共に前記各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度を用いて作成されていても、両者が一致する割合を高くすることができる。前記のようにするときには、前記各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度により、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを代表させることができ、前記合算マススペクトルの作成を簡便に行うことができる。
【0033】
このとき、前記データベースはさらに前記各ピークを構成するトータルイオン強度の全てから作成された合算マススペクトルを含むことにより、両者が一致する割合を高くすることができる。
【0034】
前記本発明の検索方法は、試料を熱分解して熱分解生成物の混合物を生成せしめる熱分解手段と、該混合物を各熱分解生成物に分離する分離カラムと、分離された各熱分解生成物の前記分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出する質量分析計と、前記分子イオン及びフラグメントイオンの強度から前記クロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する合算処理手段と、前記データベースを記憶するデータベース記憶手段と、該未知の高分子試料の合算マススペクトルの検索を行う検索手段と、前記検索手段による検索結果を出力する出力手段とからなることを特徴とする未知試料検索装置により有利に実施することができる。
【0035】
本発明の未知試料検索装置によれば、熱分解手段により生成された熱分解生成物の混合物を分離カラムにより分離することにより、検出に適した量の試料を質量分析計に導入することができる。そして、質量分析計の検出データを前記クロマトグラム作成手段及び合算処理手段で処理することにより、合算マススペクトルを得ることができる。前記合算マススペクトルは、高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物を直ちに質量分析計にかけて検出された検出データを各分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列して得られるマススペクトルに相当する。
【0036】
また、本発明の未知試料検索装置は、前記データベースを記憶するデータベース記憶手段と、前記未知の高分子試料の分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出データとして入力可能であって、入力された検出データを記憶する検出データ記憶手段と、該検出データから得られる前記トータルイオン強度に基づいて前記クロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する合算処理手段と、前記データベース記憶手段に記憶される前記データベースと、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルの検索を行う検索手段とを備えるものであってもよい。
【0037】
かかる装置によれば、前記未知の高分子試料に対する検出データが入力されたときに、該検出データを検出データ記憶手段に格納して記憶すると共に、該検出データ記憶手段に記憶された該検出データを前記クロマトグラム作成手段及び合算処理手段で演算処理することにより、前記トータルイオン強度から該未知の高分子試料に関する合算マススペクトルを作成する。そして、前記検索手段により、前記データベース記憶手段に記憶されている前記データベースと、該未知の高分子試料に関する合算マススペクトルとを比較することにより、該未知の高分子試料の合算マススペクトルと一致する割合の高い、既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索することができる。本発明では、かかる装置として、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0038】
また、本発明の未知試料検索装置に前記パーソナルコンピュータを用いるときには、前記未知の高分子試料の分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出データとして記憶する手順と、該検出データから得られる前記トータルイオン強度に基づいて前記クロマトグラムを作成する手順と、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する手順と、前記データベースと、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索する検索手順とを、前記パーソナルコンピュータが処理するアプリケーションプログラムとして予め記録した未知試料検索用記録媒体を用いることができる。また、前記データベースを予め記録した未知試料検索用記録媒体を用いることもできる。前記各記録媒体は、フロッピーディスク、CD−ROM等の磁気記録媒体であってもよく、光ディスクであってもよい。
【0039】
また、本発明の未知試料検索装置に前記パーソナルコンピュータを用いるときには、前記未知の高分子試料の分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出データとして記憶する手順と、該検出データから得られる前記トータルイオン強度に基づいて前記クロマトグラムを作成する手順と、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する手順と、前記データベースと、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索する検索手順とを、前記パーソナルコンピュータが処理するアプリケーションプログラムとして予め記録した未知試料検索用記録媒体を用いることができる。また、前記データベースを予め記録した未知試料検索用記録媒体を用いることもできる。前記各記録媒体は、フレキシブルディスク、CD−ROM等の磁気記録媒体であってもよく、光ディスクであってもよい。
【0040】
本実施形態の未知試料検索装置は、図1示のように、熱分解炉1を備える熱分解装置2と、注入口3を介して熱分解装置2に接続されたキャピラリーカラム4と、キャピラリーカラム4に接続された質量分析計5と、質量分析計5で得られた検出データが入力可能なパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略記する)6と、パソコン6に接続された出力手段としてのプリンタ7とからなる。
【0041】
熱分解装置2は、試料導入部8から試料カップ9により導入される試料を熱分解炉1内で瞬間的に熱分解して複数のガス状の有機化合物からなる熱分解生成物の混合物を生成させる。該熱分解生成物は、図示しない導入口から導入されるキャリヤガスにより、注入口3を介してキャピラリーカラム4に案内される。
【0042】
キャピラリーカラム4は、温度制御器10により制御される恒温槽11内に収容されており、恒温槽11内の温度を低温から高温まで昇温させることにより前記混合物を概ね低沸点の化合物から高沸点の化合物の順に、各熱分解生成物に分離して、質量分析計5に案内する。キャピラリーカラム4としては、溶融シリカからなる溶融シリカキャピラリーカラムまたはステンレス等の金属からなる金属キャピラリーカラムを用いることができる。
【0043】
質量分析計5は、キャピラリーカラム4から導入されたガス状の有機化合物である熱分解生成物に所定時間毎に電子を照射して分子イオンを生成させると共に、該有機化合物に特有の位置で分子内結合を開裂させてフラグメントイオンを生成させ、所定範囲の質量/電荷(m/z)比に対応する分子イオン及びフラグメントイオンを走査することにより、前記各イオンの強度が検出され、前記所定時間毎の走査につき1組の検出データが得られる。
【0044】
図1示の質量分析計5は四重極型質量分析計であり、4本の電極12に高周波電圧を印加することにより電場を形成し、イオンが4本の電極12に囲まれた電場に入るとイオンと電場との相互作用により、特定の質量/電荷比を持つイオンだけが図示しない検出器に到達する。前記イオンは、前記検出器に到達すると、放電して電流を生じるので、該電流を測定することにより、前記イオンの質量毎にその相対的強度を示す検出データが得られる。そして、前記検出データは、電気信号の形でパソコン6に入力される。尚、図1示の装置では質量分析計5として四重極型質量分析計を用いているが、磁場型質量分析計を用いることもできる。
【0045】
パソコン6は、図1及び図2示のように、パソコン本体13とディスプレイ14とからなる。パソコン本体13は、CPU,RAM,ROM等からなる主制御部15、パイログラム作成部16、合算処理部17、データ記憶部18、検索処理部19、出力処理部20を備える。
【0046】
パソコン6は、予め主制御部15に記憶保持されている処理手順に従って、前記パイログラム作成部16、合算処理部17、データ記憶部18、検索処理部19、出力処理部20を制御する。前記処理手順は、予め主制御部15に読み込まれて記憶保持されていてもよく、パソコン6が処理するアプリケーションソフトとして予めフレキシブルディスク、CD−ROM等の記録媒体に記録されているものを、前記記録媒体から主制御部15に読み込ませて記憶保持させるものであってもよい。
【0047】
パソコン6のデータ記憶部18は、複数の既知の高分子試料について集成された前記合算マススペクトルをデータベースとして記憶するものであって、前記データベースは、予めデータ記憶部18に読み込まれて記憶保持されていてもよく、予めフレキシブルディスク、CD−ROM等の記録媒体に記録されているものを、前記記録媒体からデータ記憶部18に読み込ませて記憶保持させるものであってもよい。
【0048】
次に、図1及び図2示の装置を用いる本実施形態の未知試料検索方法について説明する。
【0049】
まず、本実施形態において、データ記憶部18に記憶保持されるデータベースについて説明する。前記データベースは、複数の既知の高分子試料について、例えば図1及び図2示の装置を用いてサンプリングすることにより作成されたデータから構成することができる。
【0050】
そこで、次に、図1及び図2示の装置を用い、既知の高分子試料の例としてと下式(1)で示されるビスマレイミドトリアジン樹脂(以下BTレジンと略記する)に関するデータをサンプリングする方法を説明する。
【0051】
【化1】
Figure 0003801355
【0052】
まず、前記既知の高分子試料に関するデータをサンプリングするときには、該高分子試料(BTレジン)0.3mgを試料カップ9に入れ、図1に示す熱分解装置2(フロンティア・ラボ株式会社製、商品名:ダブルショット・パイロライザー、モデルPY2020D)の試料導入口8から熱分解炉1内に導入し、熱分解炉1内で550℃の熱分解温度に加熱して瞬間的に熱分解する。そして、生成したガス状の有機化合物からなる熱分解生成物の混合物の1/50を注入口3で分割して、キャリアガス(入口圧:0.8kg/cm2 )により注入口3を介してキャピラリーカラム4(フロンティア・ラボ株式会社製、金属キャピラリーカラム)に注入する。キャピラリーカラム4は、ステンレス製で内径0.25mm、長さ30mであり、管内壁には0.25μmの厚さの5%−フェニルメチルシリコン膜が形成されており、温度制御器10、恒温槽11、質量分析計5からなるガスクロマトグラフ装置(ヒューレット・パッカード社製、商品名:GC/MS、モデル5972)の恒温槽11内に収容されている。
次に、温度制御器10により、恒温槽11内の温度を40℃から10℃/分の昇温速度で320℃まで昇温し、前記熱分解生成物の混合物を分離する。この結果、前記混合物は概ね低沸点の化合物から高沸点の化合物の順に分離される。前記のように分離された化合物は、低沸点の化合物ほど保持時間が短いので、低沸点の化合物から順に質量分析計5に導入される。
【0053】
質量分析計5では、0.008分毎に導入されたガス状の化合物に電子を照射することにより該化合物に特有の分子イオンを生成させ、あるいは該化合物を特有の位置で開裂させてフラグメントイオンを生成させて、質量/電荷(m/z)比10〜450の範囲に対応する前記分子イオン及びフラグメントイオンを連続的に走査して各イオンの強度を検出する。この結果、前記0.008分毎の走査につき1組の検出データが得られる。前記検出データは、前記分子イオン及びフラグメントイオンの強度に比例する電気信号であるので、そのままパソコン6に入力することができる。
【0054】
前記BTレジンに関する前記1組の検出データの例を図3(a)〜(c)に示す。図3(a)〜(c)は、それぞれ保持時間11.562分、11.586分、11.611分に、質量/電荷(m/z)比10〜450の範囲で連続的に走査された各イオンの強度を示すもので、ヒストグラム状に示される1本1本の縦線が各イオンの強度を示す前記検出データである。尚、1本1本の縦線に付された数字は、各縦線に対応するm/z比を示す(以下、図6乃至図8、図10について同じ)。
【0055】
次に、パソコン6は、主制御部15に記憶保持されている処理手順に従って、前記キャピラリーカラム4における保持時間1〜30分の間に検出された前記検出データを一旦パイログラム作成部16に格納し、パイログラム作成部16でパイログラムを作成する。パイログラム作成部16は、前記各走査で得られた検出データを前記0.008分毎の走査に対応する1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を図4示のように検出順に配列する。
【0056】
例えば、前記図3(a)示の各検出データは、保持時間11.562分に検出されたもので、1307回目の走査に当たる。そこで、図3(a)に縦線で示される検出データを全て合計したものが、図4の保持時間11.562分の位置にトータルイオン強度d1307として示される。同様に、図3(b)示の各検出データは保持時間11.586分に検出された1310回目の走査、図3(c)示の各検出データは保持時間11.611分に検出された1313回目の走査に当り、それぞれに検出データを全て加算したものが、図4の該当する保持時間の位置に、トータルイオン強度d1310,d1313として示される。
【0057】
この結果、例えば保持時間11.538〜11.626分の範囲について図4に示すように、1305回〜1315回の各回の走査により検出された検出データを加算したトータルイオン強度d1305〜d1315が検出順に配列されたヒストグラムが得られる。そして、図4示の各トータルイオン強度の頂点を結ぶと破線で示すようなピークが形成される。
【0058】
パイログラム作成部16は、前記保持時間11.538〜11.626分の範囲について行う操作と同一の操作を保持時間1〜30分の範囲について行うことにより、図5示のパイログラムを作成する。尚、図4に破線で示した部分は図5のピークBを拡大したものである。
【0059】
次に、パソコン6は、主制御部15に記憶保持されている処理手順に従って、合算処理部17で図5示のパイログラムの各ピークに対応する前記トータルイオン強度に含まれている前記検出データを同一質量毎に合算し、前記分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データを算出する。次いで、合算処理部17は、前記合算データが前記分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列されたマススペクトルを作成する。本明細書では、前記合算データが前記分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列されたマススペクトルを「合算マススペクトル」と記載する。
【0060】
ここで、合算処理部17は、図5示のパイログラムの各ピークに対応する前記トータルイオン強度として、まず、各ピークの最高点に相当する部分のトータルイオン強度を採用して前記合算マススペクトルを作成する。本明細書では、この合算マススペクトルを「部分合算マススペクトル」と記載する。
【0061】
前記「ピークの最高点に相当する部分のトータルイオン強度」とは、図4のトータルイオン強度d1310に相当するトータルイオン強度である。図6(a)〜(d)に、図5示のパイログラムにおける主なピークA,B,C,Dの最高点に相当する部分のトータルイオン強度を構成する検出データを示す。図6(a)〜(d)は、図3(a)〜(c)と同様に、質量/電荷(m/z)比0〜150の範囲で連続的に走査された各イオンの強度を示すスペクトルであり、ヒストグラム状に示される1本1本の縦線が各イオンの強度を示す前記検出データである。
【0062】
演算処理部17は、図6(a)〜(d)に示すようなマススペクトルを図5示のパイログラムに示される全ピークについて作成し、各マススペクトルの検出データを同一質量の分子イオンまたはフラグメントイオン毎に合算する。尚、図6(a)〜(d)に示される各検出データについて、同一質量の分子イオンまたはフラグメントイオンとは、質量/電荷(m/z)比が同一である分子イオンまたはフラグメントイオンを意味する。
【0063】
そして、前記合算データを前記分子イオンまたはフラグメントイオンの質量順に配列することにより、図7(a)示のような部分合算マススペクトルが得られる。図7(a)示の部分合算マススペクトルは、前記BTレジンの熱分解生成物の混合物をキャピラリーカラム4にかけることなく直ちに質量分析計5にかけて検出された検出データを各分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列して得られるマススペクトルに相当する。そこで、合算処理部17は、図7(a)示の部分合算マススペクトルを前記BTレジンのデータとして、データ記憶部18に記憶されるデータベースに格納し、データライブラリ#1とする。図7(a)示の部分合算マススペクトルは、図5示のパイログラムの全ピークに関するものであり、保持時間(検出時間)について見ると、1〜30分に相当する。
【0064】
次に、合算処理部17は、さらに、図5示のパイログラムにおいて、保持時間1〜15分及び1〜10分の範囲に含まれる各ピークについても前記と同様の手順により部分合算マススペクトルを算出し、これをデータライブラリ#2、#3としてデータ記憶部18に記憶されるデータベースに格納する。データライブラリ#2の部分合算マススペクトルを図7(b)に、データライブラリ#3の部分合算マススペクトルを図7(c)に示す。
【0065】
次に、合算処理部17は、図5示のパイログラムの各ピークに対応する前記トータルイオン強度として、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを採用して前記合算マススペクトルを作成する。本明細書では、この合算マススペクトルを「全合算マススペクトル」と記載する。
【0066】
前記部分合算マススペクトルは、各ピークについて例えば図4示のトータルイオン強度d1310に相当するトータルイオン強度を用いるものであるが、前記各ピークは実際には図4に示すように複数のトータルイオン強度により構成されている。そこで、全合算マススペクトルは、図4の例で示せばピークを構成するトータルイオン強度d1305〜d1315の全てを用いるものである。
【0067】
演算処理部17は、図5示のパイログラムに示される全ピークについて、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てに含まれる検出データを同一質量の分子イオンまたはフラグメントイオン毎に合算して合算データを算出し、該合算データを前記分子イオンまたはフラグメントイオンの質量順に配列することにより、図8(a)示のような全合算マススペクトルを作成する。そして、合算処理部17は、図8(a)示の全合算マススペクトルを前記BTレジンのデータとして、データ記憶部18に記憶されるデータベースに格納し、データライブラリ#4とする。図8(a)示の全合算マススペクトルは、図5示のパイログラムの全ピークに関するものであり、保持時間(検出時間)について見ると、1〜30分に相当するので、合算処理部17は図7示の部分合算マススペクトルの場合と同様に、さらに、図5示のパイログラムにおいて、保持時間1〜15分及び1〜10分の範囲に含まれる各ピークについても前記全合算マススペクトルを算出し、これをデータライブラリ#5、#6としてデータ記憶部18に記憶されるデータベースに格納する。データライブラリ#5の全合算マススペクトルを図8(b)に、データライブラリ#6の全合算マススペクトルを図8(c)に示す。
【0068】
本実施形態でデータ記憶部18に記憶されているデータベースは、既知の高分子試料136種について、前記BTレジンと同一の手順に従ってサンプリングされたデータにより構成されている。
【0069】
次に、図1及び図2示の装置を用い、未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する方法について説明する。
【0070】
未知の高分子試料の合算マススペクトルの作成は、前記データをサンプリングする場合と同一の手順により、まず、該未知の高分子試料を図1に示す熱分解装置2の熱分解炉1内に導入、加熱して瞬間的に熱分解し、生成したガス状の熱分解生成物の混合物の1/50をキャピラリーカラム4に注入して分離する。
【0071】
本実施形態では、検索結果の正誤判断の便宜上、未知の高分子試料として前記既知の高分子試料に関するデータのサンプリングに使用したものと同一のBTレジンを用い、前記既知の高分子試料に関するデータのサンプリングに使用したものと同一の熱分解装置2及びキャピラリーカラム4により熱分解及び熱分解生成物の混合物を分離を行った。ただし、前記未知の高分子試料としてのBTレジンの熱分解生成物の混合物の分離は、温度制御器10により、恒温槽11内の温度を60℃から20℃/分の昇温速度で170℃まで昇温し、その後170℃に温度を保持することにより行うように温度制御器10による温度制御を変更して、得られるパイログラムのパターンが図5示の前記既知の高分子試料としてのBTレジンのパイログラムと異なるようにした。
【0072】
本実施形態では、次に、前記条件で分離されたBTレジンの熱分解生成物の混合物を質量分析計5に導入し、検出された検出データをパソコン6に導入する。そして、該検出データを前記既知の高分子試料に関するデータのサンプリングと同一の手順により、パイログラム作成部16で処理すると、図9示のパイログラムが得られる。
【0073】
図9示のパイログラムは、前記分離条件の相違により、図5示のパイログラムのピークA,B,Cに対応するピークA’,B’,C’が保持時間2〜6分の間に現れているのに対し、ピークDに対応するピークD’は保持時間36〜40分の間に現れ、しかもピークD’は幅が広がるとともに高さが低くなっている。このため、同一物質のパイログラムであるにも関わらず、図9示のパイログラムは図5示のパイログラムと全く相違するパターンを示し、図9示のパイログラムを図5示のパイログラムと比較しても、両者が同一物質であると判断することは極めて困難である。
【0074】
次に、図9示のパイログラムを合算処理部17で処理することにより、前記既知の高分子試料に関するデータのサンプリングと同一の手順に従って、合算マススペクトルを作成する。図9示のパイログラムから得られる合算マススペクトルを図10(a)〜(d)に示す。
【0075】
図10(a)は図9示のパイログラムの保持時間1〜40分の範囲の全ピークに対して、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを用いて作成した全合算マススペクトルであり、図10(b)は図9示のパイログラムの保持時間1〜10分の範囲のピークに対して、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを用いて作成した全合算マススペクトルである。また、図10(c)は図9示のパイログラムの保持時間1〜40分の範囲の全ピークに対して、各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度のみを用いて作成した部分合算マススペクトルであり、図10(d)は図9示のパイログラムの保持時間1〜10分の範囲のピークに対して、各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度のみを用いて作成した部分合算マススペクトルである。
【0076】
次に、パソコン6は、予め主制御部15に記憶保持されている処理手順に従って、検索処理部19で図10(a)〜(d)の合算マススペクトルを、データ記憶部18に予め記憶保持されているデータベースと比較し、一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索する。検索結果は、予め主制御部15に記憶保持されている処理手順に従って、出力処理部20で画像化処理されて、ディスプレイ14に表示される。また、前記出力処理部20で画像化処理された検索結果は、所望によりプリンタ7に出力することもできる。
【0077】
本実施形態では、検索処理部19で図10(a)の合算マススペクトルを、データ記憶部18に予め記憶保持されているデータベースと比較したところ、前記データライブラリ#4に対して82%の割合で一致、データライブラリ#5に対して64%の割合で一致、データライブラリ#6に対して20%の割合で一致するとの検索結果が得られた。また、検索処理部19で図10(b)の合算マススペクトルを前記データベースと比較したところ、前記データライブラリ#5に対して78%の割合で一致、データライブラリ#6に対して64%の割合で一致するとの検索結果が得られた。
【0078】
また、検索処理部19で図10(c)の合算マススペクトルを前記データベースと比較したところ、前記データライブラリ#6に対して70%の割合で一致、データライブラリ#5に対して57%の割合で一致するとの検索結果が得られた。また、検索処理部19で図10(d)の合算マススペクトルを前記データベースと比較したところ、前記データライブラリ#2に対して72%の割合で一致、データライブラリ#3に対して63%の割合で一致するとの検索結果が得られた。
【0079】
次に、検索処理部19による図10(a)〜(d)の合算マススペクトルの検索結果をまとめて表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 0003801355
【0081】
表1から明らかなように、図9示のパイログラムが図5示のパイログラムと、特にピークD,D’について全く相違するパターンを示すにも関わらず、図10(a)示の全合算マススペクトルは、図5示のパイログラムから得られた全合算マススペクトルであるデータライブラリ#4〜#6と高い割合で一致する。これは、前述のように、パイログラムのピークが前記トータルイオン強度の集合体であり、前記トータルイオン強度は前記検出データから構成されているために、ピークを構成するトータルイオン強度の全てを用いて前記合算マススペクトルを作成すると、各ピークの形状は異なっても基本となる構成単位である前記検出データを合計した強度では一致するためである。
【0082】
この点について、次にさらに詳しく説明する。図5示のパイログラムのピークDは、図6(d)示のように、質量/電荷(m/z)比213の検出データと、m/z比228の検出データとの強度が大きく、前記両検出データは図7(a)示の部分合算マススペクトル(データライブラリ#1)及び図8(a)示の全合算マススペクトル(データライブラリ#4)に反映されている。これに対して、図9示のパイログラムでは、ピークDに対応するピークの高さが低く、図10(c)示の部分合算マススペクトルではm/z比213の検出データがわずかに認められるに過ぎない。しかし、図10(a)示の全合算マススペクトルでは、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを用いて作成した結果、m/z比213及び228の検出データが、図8(a)示の全合算マススペクトルと同等の強度で認められる。従って、図10(a)示の全合算マススペクトルは、図8(a)〜(c)示の全合算マススペクトルと、特に図8(a)示の全合算マススペクトルと高い割合で一致するものである。
【0083】
次に、図10(b)示の全合算マススペクトルは、図9示のパイログラムの保持時間1〜10分の範囲のピークについて作成されたものであるので、前記m/z比213及び228の検出データは含まれておらず、図8(a)示の全合算マススペクトル(データライブラリ#4)とは一致しない。しかし、前記保持時間の範囲に図5示のパイログラムのピークA,B,Cに対応するピークを含んでいるので、図5示のパイログラムのピークA,B,Cを含む部分の各ピークに対して作成された図8(b)示の全合算マススペクトル(データライブラリ#5)及び図8(c)示の全合算マススペクトル(データライブラリ#6)とはかなり高い割合で一致する。
【0084】
また、図10(c)示の部分合算マススペクトルは、前記のようにm/z比213の検出データについてはわずかに認められるに過ぎないが、m/z比140以下の検出データにより、図8(b)示の全合算マススペクトル(データライブラリ#5)及び図8(c)示の全合算マススペクトル(データライブラリ#6)と高い割合で一致している。
【0085】
さらに、図10(d)示の部分合算マススペクトルは、図9示のパイログラムの保持時間1〜10分の範囲のピークについて作成されたものであり、図5示のパイログラムのピークA,B,Cに対応するピークを含んでいるので、図5示のパイログラムのピークA,B,Cを含む部分の各ピークに対して作成された図7(b)示の部分合算マススペクトル(データライブラリ#2)及び図7(c)示の部分合算マススペクトル(データライブラリ#3)と高い割合で一致する。
【0086】
従って、本実施形態のように、既知の高分子試料について前記全合算マススペクトル及び部分合算マススペクトルの両方を作成してデータベースとしておき、未知の高分子試料について前記全合算マススペクトルまたは部分合算マススペクトルのいずれかを作成して前記データベースと比較することにより、未知の高分子試料を高い確率で検索することができる。
【0087】
尚、本実施形態では、説明のために、未知の高分子試料の合算マススペクトルとして図10(a)乃至図10(d)の4種の合算マススペクトルを作成しているが、実際に未知の高分子試料の検索を行うときには、分離条件等に応じてパイログラムの全ピークに対する全合算マススペクトル(図10(a))または部分合算マススペクトル(図10(c))を選択すればよく、またパイログラムの一部のピークに対する全合算マススペクトル(図10(b))または部分合算マススペクトル(図10(d))を選択してもよい。また、本実施形態ではパイログラムの一部のピークに対する合算マススペクトルとして、保持時間1〜10分の範囲に含まれるピークに対する合算マススペクトルを作成しているが、さらにパイログラムの任意の範囲に含まれるピークに対する合算マススペクトルを作成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の未知試料検索装置のシステム構成図。
【図2】図1示のパーソナルコンピュータの構成を示すブロック図。
【図3】図1示の装置で高分子試料の分析を行ったときに得られるパイログラムの作成方法を示す説明図。
【図4】図1示の装置で高分子試料の分析を行ったときに得られるパイログラムの作成方法を示す説明図。
【図5】図1示の装置で既知の高分子試料を分析した結果を示すパイログラム。
【図6】図5示のパイログラムの主なピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度を構成する検出データを示すマススペクトル。
【図7】図5示のパイログラムから作成される合算マススペクトル。
【図8】図5示のパイログラムから作成される合算マススペクトル。
【図9】図1示の装置で未知の高分子試料を分析した結果を示すパイログラム。
【図10】図9示のパイログラムから作成される合算マススペクトル。
【図11】図5(d)示のマススペクトルに関する検索結果を示す図。
【符号の説明】
2…熱分解手段、 4…分離カラム、 5…質量分析計、 6…パーソナルコンピュータ、 7…出力手段。

Claims (7)

  1. 未知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物を各熱分解生成物に分離し、
    分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた未知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことによりクロマトグラムを作成し、
    該クロマトグラムの各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、
    既知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた既知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことにより得られたクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、
    複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルにより構成されたデータベースと、該未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索することを特徴とする未知試料検索方法。
  2. 前記未知及び既知の高分子試料の合算マススペクトルに用いる前記クロマトグラムの各ピークに対応するトータルイオン強度は、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを含んでなり、
    複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルにより構成されたデータベースと、該未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索することを特徴とする請求項1記載の未知試料検索方法。
  3. 前記未知の高分子試料の合算マススペクトルに用いる前記クロマトグラムの各ピークに対応するトータルイオン強度は、各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度であり、前記既知の高分子試料の合算マススペクトルに用いる前記クロマトグラムの各ピークに対応するトータルイオン強度は、各ピークの最高点に相当する部分を構成するトータルイオン強度である場合と、各ピークを構成するトータルイオン強度の全てを含んでなる場合との両方であって、複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルにより構成されたデータベースと、該未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索することを特徴とする請求項1記載の未知試料検索方法。
  4. 試料を熱分解して熱分解生成物の混合物を生成せしめる熱分解手段と、
    該混合物を各熱分解生成物に分離する分離カラムと、
    分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出する質量分析計と、
    検出された分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出データとし、該所定時間毎の検出で得られた検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことによりクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
    未知の高分子試料について、該クロマトグラムの各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する合算処理手段と、
    既知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた既知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことにより得られたクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルをデータベースとして記憶するデータベース記憶手段と、
    該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを該データベースから検索する検索手段と、
    前記検索手段による検索結果を出力する出力手段とからなることを特徴とする未知試料検索装置。
  5. 既知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた既知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことにより得られたクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルをデータベースとして記憶するデータベース記憶手段と、
    未知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出するときに検出された分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出データとして入力可能であって入力された検出データを記憶する検出データ記憶手段と、
    前記所定時間毎の検出で得られた未知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算して得られたトータルイオン強度を検出順に配列してヒストグラムを構成し、該ヒストグラムの各頂点を結ぶことによりクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
    前記クロマトグラムの各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する合算処理手段と、
    前記データベースと、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索する検索手段とを備えることを特徴とする未知試料検索装置。
  6. パーソナルコンピュータに適用する記録媒体であって、
    未知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンを検出するときに検出された分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出データとして記憶する手順と、
    該所定時間毎の検出で得られた未知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算して得られたトータルイオン強度を検出順に配列してヒストグラムを構成し、該ヒストグラムの各頂点を結ぶことによりクロマトグラムを作成する手順と、
    前記クロマトグラムの各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該未知の高分子試料の合算マススペクトルを作成する手順と、
    既知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた既知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことにより得られたクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルにより構成されたデータベースと、前記未知の高分子試料の合算マススペクトルとを比較し、該未知の高分子試料の合算マススペクトルに一致する割合の高い既知の高分子試料の合算マススペクトルを検索する検索手順とを、
    前記パーソナルコンピュータが処理するアプリケーションプログラムとして予め記録したことを特徴とする未知試料検索用記録媒体。
  7. パーソナルコンピュータに適用する記録媒体であって、
    既知の高分子試料を熱分解して得られる熱分解生成物の混合物から分離された各熱分解生成物を所定時間毎にイオン化して生成した分子イオン及びフラグメントイオンの強度を検出して検出データとすると共に、該所定時間毎の検出で得られた既知の高分子試料の検出データを1組として該検出データを1組毎に加算してトータルイオン強度とし、該トータルイオン強度を検出順に配列して構成されるヒストグラムの各頂点を結ぶことにより得られたクロマトグラムの所定の範囲の各ピークに対応する該トータルイオン強度に含まれる該検出データを同一質量のイオン毎に合算して該分子イオン及びフラグメントイオンの強度の合算データとし、該合算データが該分子イオン及びフラグメントイオンの質量順に配列された該既知の高分子試料の合算マススペクトルを作成し、複数の既知の高分子試料について集成された該合算マススペクトルをデータベースとして予め記録したことを特徴とする未知試料検索用記録媒体。
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