JP3801026B2 - ヒートポンプ式給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はヒートポンプ式給湯器の沸き上げ動作の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、CO2冷媒を使用するヒートポンプ式給湯器が公知である。この給湯器では、沸き上げ温度を90℃以上の高温に加熱することができ、加熱効率が高いという利点を有するが、ヒートポンプサイクルを用いて給湯用の液体を加熱するヒートポンプ本体に給水される液体の温度が高くなると、加熱効率が低下する。そこで、使用湯量が少ない場合には、沸き上げ湯量を貯湯タンク容量より少なくしてヒートポンプ本体に給水される液体の温度を上げない工夫が必要になる。
【0003】
一方、沸き上げ量を少なくすると、使用量が増加した場合に湯切れし易くなるため、貯湯タンク内の残湯量が所定量以下になると、沸き上げを開始する必要がある。
【0004】
図3は従来のヒートポンプ式給湯器の構成図であり、図4は従来のヒートポンプ本体の構成図であり、図5は従来の沸き上げ制御動作のフローチャートである。図3において、1は給湯器本体、2は前記本体1内に配設された貯湯タンク、3は前記貯湯タンク2の下部と接続された給水配管、3aはこの給水配管3に設けられた減圧弁、4は前記貯湯タンク2の上部と接続された給湯配管、4aは逃し弁、5は給湯配管に取りつけられ、1日あるいは1週間の最大値又は平均値の給湯使用量を検出する流量センサで、6は前記貯湯タンク2の外壁面に取り付けられ、貯湯タンク2内の水の温度を検出する温度センサAで、その温度センサA6を貯湯タンク2の外壁面のある所定容量の位置に取り付けることにより、使用湯量が少ない場合には、ヒートポンプ本体12の加熱動作を停止するための温度を検出し、一方、その取り付け位置の検出温度から前記貯湯タンク2内の残湯量も検出する。7aも温度センサA6と同様の温度センサBで、温度センサA6に比べて貯湯タンク2上部に取り付けられ、温度センサA6よりも少ない残湯量を検出できる。8は前記貯湯タンク2の下部配管に取り付けられ、貯湯タンク2を全量沸き上げた場合に、ヒートポンプ本体12の加熱動作を停止するための温度を検出する温度センサDである。
【0005】
9はヒートポンプ本体12のヒートサイクルで発生した熱を貯湯タンク2内の水に置換するため、冷水管12aと温水管12bとにより貯湯タンク2内の水をヒートポンプ本体12との間で循環させる循環ポンプである。貯湯タンク2下部に接続された冷水管12aより循環ポンプ9でヒートポンプ本体12に水が供給され、ヒートポンプ本体12で加熱された水を貯湯タンク2の上部に接続された温水管12bにより戻し貯湯タンク2内上部より貯湯する。
【0006】
10は前記貯湯タンク2内の水の沸き上げ、ヒートポンプ本体12の運転開始・停止制御、及び1日の使用湯量に基づいて沸き上げ湯量を算出する制御部であり、前記温度センサA6、温度センサB7a、及び温度センサD8の検出値と沸き上げ温度等を設定する操作部11からの入力値に基づいて、前記ヒートポンプ本体12の加熱動作開始・停止及び循環ポンプ9の運転を制御する。
【0007】
図4おいて、ヒートポンプ本体12のヒートポンプサイクルは圧縮機13、給湯用熱交換器14、膨張弁15、室外熱交換器16、アキュームレータ17を順次冷媒配管12cにより接続して構成されている。ここで、室外熱交換器16に吸熱するためにファン18が取り付けてあり、また、給湯用熱交換器14は圧縮器13より吐出された高圧のガス冷媒と給湯用の水とを熱交換するもので、冷媒が流れる冷媒通路14aと給湯用の水が流れる給湯用水通路14bを有する。
【0008】
次に、従来の沸き上げ制御動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、沸き上げ制御をスタートすると(S1)、制御部10で1日あるいは1週間の最大値又は平均値の使用湯量を流量センサ5で検出する(S2)。使用湯量が所定量(例えば250L)以上か否か判断され(S3)、所定量(250L)以上であれば、使用湯量が多いと判断して、貯湯タンク2内全量(例えば370L)を沸き上げる(S4)。所定量(250L)以下であれば、使用湯量が少ないと判断して、沸き上げ湯量を250Lとして沸き上げる(S5)。
【0009】
次に、沸き上げ開始の所定残湯量になったかどうか、温度センサB7aで貯湯タンク2壁面の温度を検出する(S6)。温度センサB7aが所定温度以下になると、所定残湯量(150L)以下になったと判断し(S7)、制御部10の指示で循環ポンプ9、及びヒートポンプサイクルを運転してヒートポンプ本体12は一定の加熱能力(例えば4.5KW)で加熱動作を開始し(S8)、貯湯タンク2上部より操作部11で設定された沸き上げ温度T℃(例えば90℃)で湯を沸き上げる。そして、貯湯タンク2内全量(例えば370L)を沸き上げの場合は(S4)、温度センサD8が所定温度T1(例えば60℃)を検出すると(S9)、制御部10の指示でヒートポンプ本体12の加熱動作を停止させて(S10)、沸き上げ制御を終了する(S11)。沸き上げ湯量250Lの場合は(S5)、温度センサA6が所定温度T1(例えば60℃)を検出すると(S9)、制御部10の指示でヒートポンプ本体12の加熱動作を停止させて(S10)、沸き上げ制御を終了する(S11)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のヒートポンプ式給湯器は、流量センサ5の検出値に基づく使用湯量により、沸き上げ量を可変とし、使用湯量が少ない場合、例えば、給水水温が高く貯湯タンク2内の湯の使用湯量が少なくなり、残湯量が多くなる場合は、ヒートポンプ本体12で次回の沸き上げを開始すると、貯湯タンク2全量を沸き上げる時は、残湯量が多いので、ヒートポンプ本体12に給水される液体の温度が沸き上げ途中から高温になる。給水が高温になると、沸き上げ途中から加熱効率が低下するので、高温給水される沸き上げ湯量を少なくするため、沸き上げ湯量を貯湯タンク2の容量より少なくして、高温給水される沸き上げ湯量を少なくしてヒートポンプ本体12の加熱効率の悪化を防止している。が、沸き上げ開始の残湯量はいつも一定であるため、沸き上げ湯量を少なくした場合に、沸き上げ完了後、少量給湯するだけで、昼間時間帯にヒートポンプ本体12の加熱動作を開始してしまい、電気代が高くなるという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、ヒートポンプ本体の加熱効率の悪化を防止するため、沸き上げ湯量が少ない場合でも、昼間時間帯の沸き上げが少なくなり、電気代を低減できるヒートポンプ式給湯器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1記載のヒートポンプ式給湯器は、ヒートポンプサイクルを用いて給湯用の液体を加熱し、その加熱された液体を給湯器本体の貯湯タンク上部より蓄え、貯湯タンク下部より加熱源であるヒートポンプ本体に戻し、貯湯タンク又はヒートポンプ本体に戻す液体の温度が貯湯温度より低い予め設定された所定温度になると、ヒートポンプ本体の加熱動作を停止し、使用湯量に基づいて貯湯タンクの沸き上げ湯量を変化させ、一方、貯湯タンクの残湯量が所定量以下になると、ヒートポンプ本体の加熱動作を開始するヒートポンプ式給湯器において、貯湯タンクの沸き上げ湯量に基づいて、沸き上げ開始の残湯量を変更する沸き上げ開始残湯量変更手段を備えたものである。
【0013】
また、請求項2記載のヒートポンプ式給湯器は、前記沸き上げ開始残湯量変更手段が貯湯タンクの沸き上げ湯量が少ない場合には、沸き上げ開始の残湯量を少なく変更するようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示すヒートポンプ式給湯器の構成図、図2は本発明の実施の形態1における沸き上げ制御動作を示すフローチャートである。
なお、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ本体12の構成図は図4示した従来の構成と同一であるため、説明を省略する。
【0015】
図1に示す本発明の実施の形態1における構成図と図3に示す従来のヒートポンプ式給湯器の構成図とで異なる点は、本発明の実施の形態1においては、制御部10の構成と温度センサC7bが取り付いていることである。
すなわち、本発明の実施の形態1においては、制御部10は、貯湯タンク2内の水の沸き上げ、及びヒートポンプ本体12の運転開始・停止を制御する他に、沸き上げ開始残湯量変更手段10aを備え、また、温度センサC7bは温度センサB7aに比べて貯湯タンク2上部に取り付けられ、温度センサB7aよりも少ない残湯量を検出できる。
【0016】
本実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯器の沸き上げ制御動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
なお、従来例と同一または相当部分については説明を省略する。
【0017】
まず、沸き上げ制御をスタートすると(S1)、制御部10で1日あるいは1週間の最大値又は平均値の使用湯量を流量センサ5で検出する(S2)。使用湯量が所定量(例えば250L)以上か否か判断され(S3)、所定量(250L)以上であれば、使用湯量が多いと判断して、貯湯タンク2内全量(例えば370L)を沸き上げる(S4)。沸き上げ開始の残湯量になったかどうか、温度センサB7aで貯湯タンク2壁面の温度を検出する(S6)。温度センサB7aが所定温度以下になると、所定残湯量(150L)以下になったと判断し(S7)、制御部10の指示で循環ポンプ9、及びヒートポンプ本体12は一定の加熱能力(例えば4.5KW)で加熱動作を開始し(S8)、貯湯タンク2上部より操作部11で設定された沸き上げ温度T℃(例えば90℃)で湯を沸き上げる。そして、温度センサD8が所定温度T1(例えば60℃)を検出すると(S9)、制御部10の指示でヒートポンプ本体12の加熱動作を停止させて(S10)、沸き上げ制御を終了する(S11)。
【0018】
一方、使用湯量が所定量(250L)以下であれば(S3)、使用湯量が少ないと判断して、沸き上げ湯量を250Lとして沸き上げる(S5)。沸き上げ開始の所定残湯量になったかどうか、温度センサC7bで貯湯タンク2壁面の温度を検出する(S12)。温度センサC7bが所定温度以下になると、所定残湯量(75L)以下になったと判断し(S13)、制御部10の指示で循環ポンプ9、及びヒートポンプ本体12は一定の加熱能力(例えば4.5KW)で加熱動作を開始し(S8)、貯湯タンク2上部より操作部11で設定された沸き上げ温度T℃(例えば90℃)で湯を沸き上げる(S14)。そして、沸き上げ湯量は250Lなので、貯湯タンク2の外壁面に取り付けられた温度センサA6が所定温度T1(例えば60℃)を検出すると(S15)、制御部10の指示でヒートポンプ本体12の加熱動作を停止させて(S10)、沸き上げ制御を終了する(S11)。
このように、使用湯量が250L以下の場合は(S3)、沸き上げ開始の残湯量を150L以下(S7)から75L以下(S13)に変更している。
【0019】
従って、本実施の形態1によれば、沸き上げ湯量を少なくして加熱効率の悪化を防止した場合でも、沸き上げ開始の残湯量を150L以下(S7)から75L以下(S13)に変更しているので、沸き上げ湯量を少なくした場合に、沸き上げ完了後、少量給湯するだけで、昼間時間帯にヒートポンプ本体12の加熱動作を開始してしまうことがなくなって、昼間時間帯の沸き上げが少なくなり、電気代を低減できる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る請求項1のヒートポンプ式給湯器によれば、給水水温が高く貯湯タンク内の湯の使用湯量が少なく残湯量多くなる夏季において、沸き上げ湯量を貯湯タンクの容量より少なくして、ヒートポンプ本体で高温水での沸き上げを少なくできるので、加熱効率の悪化を防止でき、沸き上げ湯量を少なくした場合にも、沸き上げ開始残湯量を変化させているので、沸き上げ完了後、少量給湯しても昼間時間帯にヒートポンプ本体の加熱動作を開始させず、電気代を低減できるという効果が得られる。
【0021】
また、請求項2の給湯器によれば、沸き上げ湯量を少なくした場合にも、沸き上げ開始残湯量を少なくしているので、沸き上げ完了後、少量給湯しても昼間時間帯に加熱装置の加熱動作を開始させず、確実に電気代を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1を示すヒートポンプ式給湯器の構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1を示す沸き上げ制御動作のフローチャートである。
【図3】 従来のヒートポンプ式給湯器の構成図である。
【図4】 従来のヒートポンプ本体の構成図である。
【図5】 従来の給湯器の沸き上げ制御動作のフローチャートである。
【符号の説明】
1 給湯器本体、2 貯湯タンク、5 流量センサ、6 温度センサA、7a温度センサB、7b 温度センサC、10 制御部、10a 沸き上げ開始残湯量変更手段、12 ヒートポンプ本体。
Claims (2)
- ヒートポンプサイクルを用いて給湯用の液体を加熱し、その加熱された液体を給湯器本体の貯湯タンク上部より蓄え、貯湯タンク下部より加熱源であるヒートポンプ本体に戻し、貯湯タンク又はヒートポンプ本体に戻す液体の温度が貯湯温度より低い予め設定された所定温度になると、ヒートポンプ本体の加熱動作を停止し、使用湯量に基づいて貯湯タンクの沸き上げ湯量を変化させ、一方、貯湯タンクの残湯量が所定量以下になると、ヒートポンプ本体の加熱動作を開始するヒートポンプ式給湯器において、貯湯タンクの沸き上げ湯量に基づいて、沸き上げ開始の残湯量を変更する沸き上げ開始残湯量変更手段を備えていることを特徴とするヒートポンプ式給湯器。
- 前記沸き上げ開始残湯量変更手段は、貯湯タンクの沸き上げ湯量が少ない場合には、沸き上げ開始の残湯量を少なく変更することを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯器。
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