JP3800763B2 - 強化繊維基材巻物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP)の強化繊維基材巻物に関し、さらに詳しくは、ハンドレイアップ成形によるコンクリート構造物の補修・補強に最適な強化繊維基材巻物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、コンクリートの中性化による補強筋の錆の発生、交通量の急激な増加に伴う鉄筋の疲労など、セメント系構造体の脆弱化や耐久性の低下が問題になっている。その対策として、たとえば道路橋の床版の場合には、床版の下面に強化繊維基材(たとえば炭素繊維基材)を含む繊維強化プラスチックを接着する補強方法が採られている。この方法は、補強効果が高く、耐久性にも優れており、また、補強作業が簡単なことから、広く採用されるようになってきている。
【0003】
このような補強方法としては、たとえば、まず床版の下面を平滑にした後、プライマーを塗り、その上から接着剤である樹脂を塗布して強化繊維織物を貼り付け、その強化繊維織物に樹脂をハンドレイアップ成形により含浸させながら接着させるものである。ここで強化繊維織物としては、多くの場合長さ方向に引張力が作用する箇所に対する補強であることから、強化繊維糸(例えば炭素繊維糸)を一方向に配列した一方向性の織物が多用され、また、樹脂の垂れ落ちを防ぐために高粘度樹脂が使用されている。
【0004】
この方法では、作業者が織物への樹脂塗布や、織物への樹脂含浸をローラやヘラによって行うので、樹脂含浸性などのできばえが作業者の技術に依存する。また、含浸作業が手作業であることと高粘度樹脂を用いているために、樹脂含浸不良となった部分の空気や貼り付け時に抱き込んだ空気が、ストランド断面の中央に集まってボイドとなり、ストランドを部分的に持ち上げてストランド単位の膨れを生じやすい。この膨れが発生すると樹脂硬化後に表面が凸凹し、見栄えが悪くなってしまう。さらに、FRPにボイドが多いと、ボイドにコンクリートのクラックから進入した雨水などが溜まり、冬季には凍結して水が体積膨張することにより、FRP内部にクラックが発生、成長することで、床版とFRPの剥離に繋がることもありうる。
【0005】
一方、特開平8−156152号公報には、織物が不織布からなる支持体と一体となった強化繊維シートが記載されている。この強化繊維シートは、織物と不織布が一体になって、不織布が織物の表面を覆っているので、樹脂含浸不良などによるボイドがストランド断面の中央部に集まっても、不織布が面として強化繊維ストランドを押さえているため、ストランド単位の膨れが発生しにくい。しかし、支持体が不織布であるので繊維間の空隙が小さいために、樹脂含浸後の空気を含んだ余剰樹脂の不織布への透過性が悪くなり、FRP内部にボイドが残りやすく、ボイドの多いFRPとなってしまう。さらに、この空気を含んだ余剰樹脂は、不織布の樹脂の透過性が悪いことと織物と不織布が一体になっているために、強化繊維シートとコンクリートの間や強化繊維シート同士の層間に残りやすくなる。そして、樹脂量が多い部分では部分的なシートが盛りあがりを生じ、FRP表面が凸凹し、見栄えが悪くなってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の上述した問題点を解決すること、すなわち、強化繊維織物への樹脂の含浸性を良好なものとしつつ、床版などのコンクリート構造物を補強するFRPの表面がボイドによって凸凹しにくいために表面平滑なFRPが得られる強化繊維基材巻物を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る強化繊維基材巻物は、たて糸およびよこ糸の少なくとも一方が強化繊維からなる織物の片面に、二方向以上に並行に繊維が配向し、かつ、繊維間にシートの厚み方向に貫通した空隙部を有するカバーファクターが5〜40%であるメッシュからなる押さえシートが接着剤により接着され、一体になっている強化繊維基材が巻かれた巻物において、前記押さえシートを構成する繊維の曲げ剛性指数(繊維の引張弾性率×(単繊維の直径)4×フィラメント数)が1×10-3kgf・mm2以上であるとともに、直径が30cm以上の管に巻かれていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記強化繊維織物は、たて糸とよこ糸の交点が目どめ剤によって接着されている目どめ織物であってもよい。
【0009】
また、前記押さえシートは、構成する繊維が二方向に並行に配向した二軸メッシュであってもよい。
【0010】
これら本発明に係る強化繊維基材巻物は、特に道路橋の床版や梁などのコンクリート構造体の補強において好適なものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施態様に係る強化繊維基材を示している。強化繊維基材1は、強化繊維織物2と押さえシート3が、押さえシートを構成する繊維の交差点の固定に用いた接着剤4と同じ接着剤により一体化されている。強化繊維織物2は、一方向に互いに並行に、かつ、シート状に配列された強化繊維糸からなるたて糸5と、該たて糸5と直交する補助糸からなるよこ糸6とが、互いに交錯して平組織をなした一方向性の強化繊維織物であり、たて糸5とよこ糸6の交錯点は目どめ剤7により接着されている。また、押さえシート3は、強化繊維織物のたて糸5と同一方向に繊維が延在するたて糸8と、また、同じ強化繊維織物のよこ糸6と、同一方向に繊維が延在するよこ糸9が互いに層構成をなして交差し、その交差点が接着剤4により固定された二軸メッシュである。
【0012】
上記において強化繊維織物は、強化繊維糸からなるたて糸と補助糸であるよこ糸とが、互いに交錯した一方向性の強化用織物であるが、本発明においては、強化繊維糸条が、実質的に屈曲せずに糸条群を構成し、該糸条群の両面側に、前記強化繊維糸条と交差するよこ方向補助糸群が位置し、それらよこ糸補助糸群と、前記強化繊維糸条群に並行するたて方向補助糸群とが織組織をなして前記強化繊維糸条群を一体に保持している、いわゆるノンクリンプ構造の織物であってもよい。
【0013】
さらに、強化繊維織物は、前記した一方向性の強化繊維織物やノンクリンプ構造の織物でなくても、強化繊維糸からなるたて糸とよこ糸が互いに交錯した平織組織、あるいは、綾織組織、繻子織組織などの二方向性織物であってもよい。
【0014】
本発明の強化繊維糸に用いる強化繊維としては、高強度・高弾性率繊維が好ましく、たとえば、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維などを使用できる。なかでも、フィラメントが多数本集束した炭素繊維マルチフィラメント糸は、高強度・高弾性率であり、かつ、アルカリに侵されることがないので好ましい。特に、炭素繊維においては、単糸径が5〜8μm程度のフィラメントが5,000〜50,000本集束したマルチフィラメント糸であり、引張強度が2,000〜7,000MPa、引張弾性率が200〜700GPaのものが好ましい。また、強化繊維の引張強度が大きく、引張弾性率が大きいほど、少量の強化繊維量で効率よく床版などの補強ができるので好ましい。
【0015】
上記の一方向性の強化用織物の補助糸は、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミド繊維、ナイロン繊維、ABS繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維などであるが、なかでもガラス繊維、ポリアラミド繊維やビニロン繊維は、熱収縮性が小さいので、強化繊維基材の寸法安定性がよく、好ましい。
【0016】
強化繊維織物の目付は、100〜500g/m2 の範囲内が好ましい。100g/m2 未満であれば一枚当たりの補強効果が小さいため、積層枚数を増やす必要があり、積層・樹脂含浸作業が煩雑となる。また、500g/m2 を超えると厚みが厚くなるため、樹脂含浸が不十分になりやすいことや重いために貼り付け作業時に織物が取り扱いにくくなる。
【0017】
また、本発明において強化繊維織物のたて糸とよこ糸の交点は、低融点ポリマーからなる目どめ剤によって目どめされていてもよい。そうすると、樹脂含浸時のローラがけ時に押さえシートとの接着がはずれても、強化繊維の蛇行が起こりにくいことや使用時に織物を裁断しても織糸がほつれにくくなる。
【0018】
上記の目どめ剤として用いられる低融点ポリマーとしては、ナイロン、共重合ナイロン、ポリエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ポリウレタンなどが使用できる。なかでも共重合ナイロン、たとえば、ナイロン6、66、および610の共重合ナイロン、ナイロン6、12、66および610の共重合ナイロンは熱硬化性の樹脂との接着が良好であるので好ましい。
【0019】
低融点ポリマーの最適量としては、織物構造により異なるが、2〜30g/m2 が好ましい。2g/m2 未満であると織物の目どめ効果が十分でなく、かつ、押さえシートと接着させる場合においても十分な接着力が得られない。逆に30g/m2 を越えると織物の目どめとしては十分であるが、樹脂含浸時に樹脂の含浸性を阻害しやすくなる。
【0020】
低融点ポリマーの配置は、常に強化繊維糸の上に線状の低融点ポリマーを配置するように引き揃えて供給してもよいし、補助糸と一緒に引き揃えて供給してもよい。特に、よこ方向の補助糸と引き揃えて製織することは、たて糸の本数分準備する必要がないので好ましい。
【0021】
以上の方法により、目どめ剤は強化繊維織物の表面に線状または点状に存在し、強化繊維織物のたて糸とよこ糸の交錯点で接着される。そして、その状態で押さえシートに接着することになる。このように目どめ剤は、線状または点状に織物の表面に配置されているので、強化繊維織物への樹脂含浸阻害しにくく、また、押さえシートを接着した状態で樹脂含浸させても、空気を含んだ樹脂が押さえシートを通して容易に透過し、除去できるため、ボイドや未含浸部が発生しにくい。
【0022】
本発明の強化繊維基材における織物と押さえシートの接着は、押さえシートの繊維の交差点を固定している接着剤を用いるか、あるいは、新たに押さえシートに接着剤を付与して行ってもよい。この場合に使用する接着剤は、新たに付与する場合においても、押さえシートの繊維の交差点の固定に使用している接着剤と同じ、ポリオレフィン系の樹脂や、エチレン酢酸ビニル共重合体などを用いればよい。また、新たに付与する接着剤量は、強化繊維への樹脂の含浸性を阻害しないよう、押さえシートの交差点の接着に必要な付着量と合わせて40g/m2 以下になるようにするとよい。
【0023】
また、強化繊維織物と押さえシートを重ね合わせる際において、強化繊維織物と押さえシートの繊維の配向方向については、強化繊維織物を構成する強化繊維のそれぞれの配向方向に対し、押さえシートを構成する繊維の少なくとも一つの配向方向が直交していればよい。そうすることによって、強化繊維のストランドを押さえシートの繊維が幅方向に拘束することができ、強化繊維ストランドの盛り上がりによる膨れが発生しにくくなる。
【0024】
接着方法としては、強化繊維織物の製織時において、織物の巻き取り前に押さえシートを重ね合わせて供給し、室温あるいは加熱状態で二本のローラ間を通過させる際にニップし、接着させることにより製造することができる。また、織物が目どめ織物の場合には、織物と押さえシートを合わせて供給した後、ヒータでポリマー糸を加熱することで、ポリマーの溶融と同時に押さえシートの接着剤の溶融で接着することもできる。このようにして、織物と押さえシートを貼り合わせることで、織物を単独で使用する場合に比べ、強化繊維基材の厚みが増すことで、強化繊維基材の曲げ剛性が向上し、貼り付け時において皺が発生しにくくなる。
【0025】
この場合において、強化繊維基材は、通常の織物製織時の巻き取りと同じように紙管に巻き取って保管することができる。そして、押さえシートの接着面は、強化繊維織物の内層面側あるいは外層面側のどちらであっても構わない。
【0026】
ここで、強化繊維基材を巻き取る紙管径は、直径30cm以上であるとよい。これは、強化繊維基材が、内層側に巻かれた面と外層に巻かれた面とで紙管中心からの距離が異なるために、内層側の面と外層側の面で周長差が生じた状態で、紙管に巻かれているために、織物を紙管から引き出した際に、内層面の繊維のつっぱりと外層面の繊維のゆるみが発生する。ここで、紙管径が30cmより小さいと紙管一周分の繊維長に対する内層面と外層面の周長差の影響が大きくなり、かつ、強化繊維が伸びにくいことから内層面の強化繊維のつっぱりと外層面の強化繊維のゆるみが顕在化しやすくなる。このため、強化繊維基材を巻き取る紙管径は、直径が30cm以上のものである
【0027】
押さえシートを構成する繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維などである。また、繊維の集束形態は、マルチフィラメントでもモノフィラメントであってもよい。
【0028】
また、これらの押さえシートを構成する繊維は、曲げ剛性指数(繊維の引張弾性率×(単繊維の直径)4×フィラメント数)が1×10-3kgf・mm2以上である。つまり、曲げ剛性指数が1×10-3kgf・mm2未満であれば曲げ剛性指数が小さいために、ストランドが強化繊維織物の厚み方向へ盛りあがろうとする力を抑えることができず、強化繊維ストランドの膨れが発生しやすくなる。好ましくは、曲げ剛性指数は5×10-3kgf・mm2以上である。尚、曲げ剛性指数の上限については、特に限定はないがあまり大きくなると糸そのものが太くなり樹脂を含浸させた際のFPR表面の凹凸が大きくなり、見栄えが悪くなるので、1000×10-3kgf・mm2以下が好ましく、100×10-3kgf・mm2以下がより好ましい。
【0029】
押さえシートの形態は、織物などの織構造を有する布帛あるいは各方向に延在する繊維が、互いに層構成をなして交差し、その交差点を接着剤で固定した、いわゆる織り構造を有しない布帛などである。
【0030】
そして、押さえシートは、繊維方向が二方向以上に並行に配列し、繊維間にシートの厚み方向に貫通した空隙部を有するメッシュである。なかでも、繊維が二方向に並行に配向し、シートの厚み方向に貫通した空隙部を有した二軸メッシュ押さえシートとして好ましい。
【0031】
これは、強化繊維織物のみを用いて補強を行う場合においては、含浸作業が手作業であることと高粘度樹脂を用いているために、強化繊維基材への樹脂含浸不良となる部分が生じやすい。このため、この樹脂含浸不良部における空気や強化繊維織物を貼り付け時に抱き込んだ空気が、時間の経過とともにストランド断面の中央に集まってボイドとなり、ストランドを部分的に持ち上げることでストランド単位の膨れが生じやすくなる。この膨れが発生すると樹脂硬化後にFRPの表面が凸凹し、見栄えが悪くなる。
【0032】
そこで、強化繊維織物とその強化繊維織物の片面に二方向以上に並行に繊維が配向し、かつ、繊維間にシートの厚み方向に貫通した空隙部を有するメッシュからなる押さえシートを接着し、一体化させると、ストランドが強化繊維織物の厚み方向へ盛りあがろうとする力は小さいので、押さえシートを構成する繊維が強化繊維のストランドを押さえているために膨れは発生しにくくなるからである。
【0033】
さらに、繊維間にシートの厚み方向に貫通した空隙部を有することで、樹脂含浸の際の押さえシートの樹脂の透過性が優れ、空気を含んだ余剰樹脂を除去しやすくなり、ストランド内のボイドも発生しにくくなる。
【0034】
押さえシートの繊維の配向方向数については、三方向、四方向と繊維配向方向が多くなると、強化繊維ストランドの厚み方向へ盛りあがりにくくするという点では同じ効果が得られるが、押さえシートの繊維間のシートの厚み方向に貫通した空隙部が小さくなるので樹脂の透過性が悪くなる。このため、両方の特性を兼ね備えるという観点から押さえシートの繊維の配向方向は二方向がよい。
【0035】
ここで、押さえシートを構成する繊維の交点の接着および織物との接着に使用する接着剤は、ポリオレフィン系の樹脂や、エチレン酢酸ビニル共重合体などであり、付着量は5〜40g/m2 である。これより小さい場合には、織物と押さえシートの接着が弱く、また、40g/m2 を越えると織物と押さえシートの接着はより強固となるが、反面、樹脂の含浸性が阻害されやすくなるためこの範囲が好ましい。
【0036】
また、押さえシートを構成する各方向に並行に配向する繊維の間隔は2〜10mmの範囲が好ましい。間隔が2mm以下であると、押さえシートを構成する繊維によるシート厚み方向に貫通した空隙部の面積、つまり、メッシュの目が小さすぎるため樹脂の透過性が悪くなる。一方、10mmより大きくなると、強化繊維のストランドを押さえる間隔が広くなるためストランド単位の膨れを生じやすくなる。これより、押さえシートを構成する各方向に並行に配向する繊維の間隔は2〜10mmであると、強化繊維基材へのローラがけによって空気を含んだ余分な樹脂を絞り出して、除去することができ、また、強化繊維のストランドが、押さえシートの繊維により適度な間隔で押さえられているために、ストランド単位の膨れが生じにくく、表面平滑なFRPとなる。
【0037】
また、押さえシートのカバーファクターは5〜40%であるものである。カバーファクターが40%を越えると、押さえシートが強化繊維織物を覆う面積の割合が大きくなり、樹脂がシートを透過しにくくなり、樹脂含浸時に空気を含んだ余剰樹脂が除去できにくくなる。このため、FRP内部に残りやすくなり、ボイドの多いFRPとなってしまう。一方、カバーファクターが5%未満であれば、押さえシートが強化繊維織物を覆う面積の割合が小さくなり、ストランド単位の膨れを生じやすくなる。このことから、シートのカバーファクターは5〜40%であると、強化繊維基材へのローラがけによって空気を含んだ余分な樹脂を絞り出して、除去することができ、また、強化繊維のストランドが、押さえシートの繊維により適度な面積で押さえられているために、ストランド単位の膨れが生じにくく、表面平滑なFRPとなる。尚、より好ましくは、押さえシートのカバーファクターは10〜30%である。
【0038】
本発明におけるカバーファクター(Cf)は、押さえシートの繊維糸間に形成される隙間の大きさに関係する要素で、押さえシートの上に面積S1の領域を設定したとき、面積S1内において繊維糸間に形成される隙間の面積をS2とすると、次式で定義される値をいう。
【0039】
Cf=[(S1−S2)/S1]×100
押さえシートの厚みは、通常は、0.1〜1mm程度である。厚みが0.1mm以下であると、布帛自体が柔らかいために、ボイドの発生により、シートの厚み方向へのストランド単位の膨れが発生しやすくなる。また、シート形態も不安定となり、樹脂含浸時の含浸ローラがけ時にシートの形態が崩れやすくなる。一方、1mmを超えると、基材の曲げ剛性がアップするため、前記のストランド単位の膨れは発生しにくくなるものの、押さえシート自身による表面の凸凹が大きくなることや押さえシートにおける樹脂の持込み量も多くなり、重量が大きくなってしまう。このため、押さえシートの厚みは0.1〜1mmの範囲が好ましい。
【0040】
なお、本発明の押さえシートは、強化繊維からなる織物に対して補強すべき構造物がある側の反対面に配される、即ち、
”補強すべき構造物/強化繊維からなる織物/押さえシート”
なる積層であることが好適である。しかし、必要に応じて補強すべき構造物と強化繊維からなる織物の間にも該押さえシートに類したシートを配してもよい、つまり本発明は強化繊維からなる織物の両面に押さえシートや押さえシートに類したシートを配することを排除するものではない。
【0041】
【実施例】
(実施例1、比較例1〜2)
本発明の効果を明確にするために表1に示した条件で、図1に示したような一方向に強化繊維が配向した一方向織物を製織した。ついで、織機のサーフェイスローラと巻き取りロールの間に設けたニップロールの間に、別の場所から供給した押さえシートと一緒に前記の織物を通過させ、接着剤により織物と押さえシートを一体化させ、本発明の強化繊維基材巻物を得た。
【0042】
そして、得られた強化繊維基材巻物、室温硬化型のエポキシ樹脂およびスレート板を使用して上向きの貼り付け実験を行い、貼り付け時の作業性および樹脂の含浸性の評価などを評価した。その結果を表1にまとめた。
【0043】
【表1】
Figure 0003800763
表1における本発明の実施例1は、織物が押さえシートと接着し、形態が安定していたので、貼り付け時に皺が発生することがなかった。また、押さえシートの上から含浸ローラを強く押しつけて樹脂含浸させたが、繊維の乱れはなく、真っ直ぐに配向させることができ、樹脂の垂れ落ちもなく、容易に貼り付け作業ができた。さらに、その断面を観察したところ、強化繊維基材全体に樹脂が含浸し、若干の小さなボイドが観察されたもののストランド単位の膨れもなく表面が平滑であった。
【0044】
一方、比較例1においては、強化繊維織物単独では、ボイドが強化繊維ストランドの断面の中央部に集まってストランドが厚み方向へ盛り上がろうとする力を抑えることができず、ストランド単位の膨れが多数発生し、その膨れが発生した部分の断面観察を行ったところボイドが多く発生していた。
【0045】
また、比較例2においては、織物と押さえシートを一体化させたものの押さえシートを構成する繊維の曲げ剛性が小さいために、比較例1と同じようにボイドによるストランドが厚み方向へ盛り上がろうとする力を抑えることができず、ストランド単位の膨れが生じた。また、このことから、表面も凸凹し、見映えも悪かった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の強化繊維基材巻物によれば、強化繊維糸からなる織物において、その表面に曲げ剛性指数が1×10-3kgf・mm2以上の繊維で構成されるメッシュからなる押さえシートが接着し、表面を覆っているので、樹脂含浸時に強化繊維の繊維配向が乱れることがなく、かつ、ボイドの強化繊維ストランド断面の中央部へ集まることによってストランドがシートの厚み方向への盛り上がる、ストランド単位の膨れが発生しにくくなるので、表面平滑で見栄えのよいFRPが得られる。また、シートのカバーファクターは5〜40%であるため、押さえシートも適度の樹脂の透過性を有するために、樹脂含浸の際、押さえシートの表面をローラ掛けすることによって、強化繊維への樹脂含浸を行うとともに空気を含んだ余分な樹脂を絞り出して、除去することができ、また、強化繊維のストランドが、押さえシートの繊維により適度な面積で押さえられているために、ストランド単位の膨れが生じにくく、FRP内部にボイドの少ない表面平滑なFRPを得ることができる。さらにまた、強化繊維基材を巻き取る紙管径は、直径30cm以上であるため、織物を紙管から引き出した際に、内層面の繊維のつっぱりと外層面の繊維のゆるみを抑制することができ、上述のストランド単位の膨れの発生をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様に係る強化繊維基材の斜視図である。
【符号の説明】
1:強化繊維基材
2:強化繊維織物
3:押さえシート
4:押さえシートの接着剤
5:強化繊維糸からなるたて糸
6:よこ糸補助糸
7:補強繊維織物の目どめ剤
8:押さえシートのたて糸
9:押さえシートのよこ糸

Claims (6)

  1. たて糸およびよこ糸の少なくとも一方が強化繊維からなる織物の片面に、二方向以上に並行に繊維が配向し、かつ、繊維間にシートの厚み方向に貫通した空隙部を有するカバーファクターが5〜40%であるメッシュからなる押さえシートが接着剤により接着され、一体になっている強化繊維基材が巻かれた巻物において、前記押さえシートを構成する繊維の曲げ剛性指数(繊維の引張弾性率×(単繊維の直径)4×フィラメント数)が1×10-3kgf・mm2以上であるとともに、直径が30cm以上の管に巻かれていることを特徴とする強化繊維基材巻物
  2. たて糸とよこ糸の交点が目どめ剤によって接着されている、目どめ織物であることを特徴とする請求項1記載の強化繊維基材巻物
  3. 前記強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の強化繊維基材巻物
  4. 前記押さえシートにおいて、押さえシートを構成する繊維が二方向に並行に配向した二軸メッシュであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維基材巻物
  5. 前記押さえシートにおいて、押さえシートを構成する繊維の間隔が2〜10mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維基材巻物
  6. 請求項1〜のいずれかの強化繊維基材巻物を用いてコンクリート構造体を補強することを特徴とするコンクリート構造体用強化繊維基材巻物
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