JP3800675B2 - ブレ補正装置およびカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズの一部又は全部を移動することにより、手振れなどによるブレを補正するブレ補正装置およびカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のブレ補正装置は、カメラのブレを検知し、そのブレに沿って、レンズの一部を移動することにより、フィルム面上のブレを補正していた。
【0003】
図5は、カメラブレを説明する概念図である。カメラ1は、6自由度を有しており、3自由度の回転運動であるピッチング,ヨーイング,ローリング運動と、3自由度の並進運動であるX,Y,Z方向の運動を行なう。通常、カメラのブレ補正装置は、ピッチングとヨーイングの2自由度の運動に対して、ブレ補正が行われている。
【0004】
次に、カメラがピッチングブレを起こしたときのブレ補正方法について説明する。図6(A)は、カメラがブレていないときを模式化した図である。被写体Aは、ブレ補正レンズ2を通して、フィルム面8のBの位置に像を形成する。図6(B)は、カメラがピッチングを起こしたときを模式化した図である。カメラ1がピッチングを起したときには、フィルム面8上のBの位置に結像していた像は、B' の位置に移動してしまう。これがフィルム面上でのブレである。このブレは、ブレ補正レンズ2を光軸と垂直な方向に駆動することにより、補正することが可能となる。
【0005】
カメラのブレ運動は、角速度センサによりモニタされる。角速度センサは、通常回転により生じるコリオリ力を検出する圧電振動式のセンサが用られている。この角速度センサは、ピッチングブレ検出用の角速度計と、ヨーイングブレ検出用の2個の角速度計が用いられている。これらの角速度センサの出力を用いて、カメラのブレを補正するように、ブレ補正レンズを駆動する。
【0006】
しかし、カメラが静止しているときに、ブレ補正制御を行った場合には、ブレ補正を行わない場合と比較して、像が悪化することがある。この理由は、角速度センサに加わったノイズやドリフト等によるものである。このような場合に、撮影者は、ブレ補正を行わないモードに設定して撮影を行う。
【0007】
このようにブレ補正を行わない場合に、ブレ補正レンズが動かないようにロックする必要があった。また、撮影終了後に、カメラを携行する場合も同様であり、外部から加わる振動又は衝撃などにより、ブレ補正レンズが動いてしまわないように、ロックする必要があった。
【0008】
特開平4−328532号は、係合穴を有し、光軸偏心手段に一体的に結合される第1のロック部材と、傾斜部及び平坦部を有し、装置の固定部或いは光軸偏心手段に移動可能に設けられ、第1のロック部材の係合穴と傾斜部を介して、該平坦部が係合することにより、光軸偏心手段を所定位置にロックする第2のロック部材とからなるロック手段が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平4−328532号は、係合穴と平坦部との係合によってロックしているので、係合穴と平坦部の隙間分は、ブレ補正レンズが動いてしまう、という問題があった。
【0010】
本発明は、ブレ補正光学系を確実にロックすることができるブレ補正装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、像ブレを補正するために光軸と略直交する平面内を移動するブレ補正光学系と、前記ブレ補正光学系を保持する光学系保持部と、前記光学系保持部を押圧して係止する係止部材と、前記係止部材側から前記光学系保持部を片持ち支持する弾性支持部材とを有し、該弾性支持部材は前記弾性支持部材が座屈する座屈方向が前記押圧の方向と略反対となるように配置されていることを特徴とするブレ補正装置である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のブレ補正装置において、前記弾性支持部材は、少なくとも3本の弾性線材であることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のブレ補正装置において、前記光学系保持部には前記係止部材が入る凹状部が設けられていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブレ補正装置において、前記弾性支持部材は前記像ブレ補正光学系の入射側から前記光学系保持部材を片持ち支持していることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のブレ補正装置において、前記ブレ補正光学系の駆動制御を行う制御部を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のブレ補正装置と、前記像ブレを補正された像の撮影制御を行う撮影制御部とを有することを特徴とするカメラである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面などを参照しながら、本発明の実施の形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本実施形態によるブレ補正装置のブレ補正ユニットを示す断面図である。
ブレ補正レンズ2は、撮影光学系の一部を構成し、光軸と略直交する方向に移動して、ブレを補正する光学系であって、レンズ室3に取り付けられている。
【0015】
ブレ補正駆動部10は、ブレ補正レンズ2を駆動するためのものであり、ここでは、コイル11、マグネット12、ヨーク13,14等からなるボイスコイルモータ(VCM)が用いられている。
コイル11は、光軸Iと平行する方向を中心に巻かれており、レンズ室3に取り付けられている。マグネット12は、2極に分極着磁されている。ヨーク13,14は、鉄等の透磁率の高い材料で作られている。ヨーク13は、マグネット12に対向して、コイル11を挟むように取り付けられている。ヨーク14は、マグネット12がその磁力によって取り付けられている。
【0016】
このブレ補正駆動部10は、マグネット12、ヨーク13及び14により、図中矢印Cに示されるような磁気回路が形成されており、この磁力線の中にあるコイル11に電流を加えると、フレミングの左手の法則に従って、電流の流れる方向と磁力線の方向のそれぞれに対して直角方向に電磁力を発生し、ブレ補正レンズ2を図中矢印D方向に駆動することが可能となる。
【0017】
レンズ位置検出部15は、ブレ補正レンズ2の動きをモニタするためのものであり、スリット16、発光素子(IRED)17、位置検出素子(PSD)18等から構成されている。
スリット16は、レンズ室3に取り付けられており、表面の赤外線反射率が低い材料で作られ、検出方向と直角方向に長孔があけられている。発光素子17は、位置検出用の光を発光する素子であり、例えば、赤外発光ダイオード(IRED)などが用いられる。位置検出素子18は、1次元型の位置検出用の素子であって、例えば、複合型フォトダイオードであるPSD(PositionSeneitive Device)などが用いられる。
【0018】
レンズ位置検出部15は、発光素子17から投光された光がスリット16を通って、位置検出素子18に入射するので、スリット16の動き、つまりブレ補正レンズ2の動きは、位置検出素子18に入射する光の動きとなり、その出力によって、ブレ補正レンズ2の動きを検出することが可能となる。
【0019】
ブレ補正駆動部10及びレンズ位置検出部15は、ブレ補正ユニットの内部に、X方向用,Y方向用のものが一つずつ設けられている。
【0020】
図2は、図1に対して、光軸を中心とし45度回転させた部分を示す断面図である。
弾性部材4は、ベリリウム銅などの導電率の高い4本のワイヤ状の部材であって、円環型の電気基板5に対して、レンズ室3を片持ち的に支持している。ブレ補正レンズ2は、このような構造で弾性支持されることにより、一種のリンク機構を構成して、光軸Iに対してほぼ直交平面内を動くことが可能となる。
【0021】
レンズロック部20は、ブレ補正レンズ2をロックするためのものである。ラッチソレノイド21は、電気基板5に取り付けられており、その先端には、レバー22を介して、ピン23が取り付けられている。
【0022】
ラッチソレノイド21を図中上方(矢印E)に駆動すると、ピン23が下方(矢印F)に動き、天板6の孔6aを通して、レンズ室3の凹部3aに入る構造となっている。また、ピン23は、ばね24により、レンズ室3を下方に押し圧するように付勢されている。
レンズ室3は、このピン23により固定されるので、ブレ補正レンズ2は、ロックされることになる。
【0023】
本実施形態では、図2(B)に示すように、レンズ室3の凹部3aの底に、ピン23の先端部23aを押しつけるようにしてロックを行う。これにより、レンズ室3は、確実にロックされることになる。
押しつける理由は、レンズ室3の凹部3aを孔として、ピン23との係合によって固定を行おうとすると、ピン23の外径と孔の内径との隙間分は、ブレ補正レンズ2は動いてしまうことになるからである。
【0024】
また、本実施形態では、ピン22の加圧方向は、弾性部材4の座屈方向とは反対方向、つまり引っ張り方向とするようにしてある。
この理由は、前述したように、弾性部材4により、レンズ室3を支えており、座屈に対して強い構造ではなく、弾性部材4の座屈方向と同方向に加圧し、レンズ室3をロックする構造にすると、ばね23の付勢力により、弾性部材4が座屈してしまう恐れがあるからである。
【0025】
図3は、本実施形態に係るブレ補正装置のヨーイング方向のシステムを示すブロック図である。
ヨーイング角速度センサ31は、カメラ1がヨーイングによるブレを起したときに、そのカメラ1のヨーイング角速度をモニタするためのものであり、この角速度センサ31の出力信号は、フィルタ回路32に接続されている。
フィルタ回路32は、高域のノイズ成分とDC成分をカットする回路であり、その出力信号は、A/Dコンバータ33を介してデジタル化され後に、ブレ補正CPU34に取り込まれる。
また、ブレ補正スイッチ7は、このブレ補正装置を起動するためのスイッチであり、その情報は、ブレ補正CPU34に入力される。
【0026】
ブレ補正CPU34は、取り込まれたデータ、レンズCPU35から送られているレンズの焦点距離情報36、EEPROM37に格納されたレンズデータ、及び、メインCPU41から送られてくる被写体距離情報などに基づいて、目標位置情報を生成する。
【0027】
ここで、メインCPU41は、ボディ側に設けられ、カメラの基本的な撮影制御を司る中央処理装置であり、測距及び測光の制御を行なうAF・AECPU42や、各種データを格納したEEPROM43と接続されている。このメインCPU41には、BC電圧44が供給され、レリーズスイッチ45からのレリーズ信号など各種情報が入力されている。また、撮影制御処理に基づいて、シャッタマグネット46,スプールモータ47,チャージモータ48などを駆動制御するとともに、レンズ接点49を介して、レンズ側のブレ補正CPU34と交信している。
【0028】
ブレ補正CPU34は、前述した目標位置情報に基づいて、ブレ補正レンズ2を駆動するための駆動信号を生成し、PWMドライバ38を介して、ブレ補正駆動部10のコイル11に通電することにより、ブレ補正レンズ2の駆動を行う。そして、駆動されたブレ補正レンズ2の位置情報は、レンズ位置検出部15のPSD18によりモニタされ、A/Dコンバータ39を介して、ブレ補正CPU34に取り込まれる。
【0029】
また、ブレ補正CPU34は、ブレ補正レンズ2のロックを行うために、図4のフローに従って、レンズロック部20へロック駆動信号を送る。
【0030】
図4は、本実施形態に係るブレ補正装置のロックフローを示すフローチャートである。
ブレ補正CPU34は、ブレ補正スイッチ7の状態を検知し(Step101)、ONであれば、ロックの解除を開始する(Step102)。ロック解除の後に、各種ブレ補正情報の取得を行う(Step103)。ここで、各種ブレ補正情報とは、焦点距離,被写体距離,レンズ固有の情報などをいう。ブレ補正情報を取得した後に、ブレ補正制御を行なうする(Step104)。
【0031】
ブレ制御中に、ブレ補正スイッチ7の状態は、随時検知している(Step105)。ブレ補正スイッチ7がONの場合には、ブレ補正情報の再取得を行い(Step103)、焦点距離,被写体距離が変わっていないかを調べる。焦点距離,被写体距離が変化している場合は、情報に見合った制御に切り替える(Step104)。
【0032】
ブレ補正スイッチ7がOFFになった場合には、光軸センタ(ロックを行う場所)へブレ補正レンズ2を移動(Step106)する。センタへ移動の後に、ブレ補正レンズ2のロックを行う(Step107)。ロックの状態を確認するために、VCM10に通電し(Step108)、PSD18の出力変動の確認を行う(Step109)。
PSD18の出力が規定値以上に変動している場合には、ロックが不十分であると判断して、再度ロック動作を行う(Step107)。PSD18の出力の変動が規定値以下の場合には、ロック動作が完了したと判断して、動作を終了する。
【0033】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。例えば、ロックを行うためにピンを用いて説明を行ったが、レンズ室3を光軸方向に加圧し、摩擦によって止めることのできるものであれば、ゴムなどの弾性体で押圧するようにしてもよい。
また、先端が平らなゴム等の弾性体をレンズ室の平坦部に押圧し、ブレ補正レンズのロックを行なう場合に、前述した実施形態で説明したピンを用いた場合と異なり、ロックを行なうときに、ブレ補正レンズが光軸センタへ移動する必要がなく、ブレ補正が終了した位置でロックを行なうことができる。さらに、ロックを行なうときに、センタリングによる像き移動をなくすことができるので、撮影者は、ロック動作を意識せずに、ロックを行なうことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、弾性支持部材の支持方向に動作して、光学系保持部を押圧してする係止ようにしたので、ブレ補正光学系をガタなく確実にロックすることが可能となった。
また、光学系保持部を押圧する方向が、弾性部材の引っ張り方向と略一致するようにしたので、弾性部材が座屈することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態によるブレ補正装置のブレ補正ユニットを示す断面図である。
【図2】図1に対して、光軸を中心とし45度回転させた部分を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係るブレ補正装置のヨーイング方向のシステムを示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るブレ補正装置のロックフローを示す流れ図である。
【図5】カメラブレを説明する概念図である。
【図6】カメラのブレを模式化して示した図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 ブレ補正レンズ
3 レンズ室
4 弾性部材
5 電気基板
6 天板
7 ブレ補正スイッチ
10 ブレ補正駆動部
15 レンズ位置検出部
20 レンズロック部
21 ラッチソレノイド
22 レバー
23 ピン
34 ブレ補正CPU
Claims (6)
- 像ブレを補正するために光軸と略直交する平面内を移動するブレ補正光学系と、
前記ブレ補正光学系を保持する光学系保持部と、
前記光学系保持部を押圧して係止する係止部材と、
前記係止部材側から前記光学系保持部を片持ち支持する弾性支持部材とを有し、該弾性支持部材は前記弾性支持部材が座屈する座屈方向が前記押圧の方向と略反対となるように配置されていること
を特徴とするブレ補正装置。 - 請求項1に記載のブレ補正装置において、
前記弾性支持部材は、少なくとも3本の弾性線材であること
を特徴とするブレ補正装置。 - 請求項1または請求項2に記載のブレ補正装置において、
前記光学系保持部には前記係止部材が入る凹状部が設けられていること
を特徴とするブレ補正装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブレ補正装置において、
前記弾性支持部材は前記像ブレ補正光学系の入射側から前記光学系保持部材を片持ち支持していること
を特徴とするブレ補正装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のブレ補正装置において、
前記ブレ補正光学系の駆動制御を行う制御部を有すること
を特徴とするブレ補正装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のブレ補正装置と、
前記像ブレを補正された像の撮影制御を行う撮影制御部とを有すること
を特徴とするカメラ。
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JP19916296A JP3800675B2 (ja) | 1996-07-29 | 1996-07-29 | ブレ補正装置およびカメラ |
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JP19916296A JP3800675B2 (ja) | 1996-07-29 | 1996-07-29 | ブレ補正装置およびカメラ |
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JP19916296A Expired - Lifetime JP3800675B2 (ja) | 1996-07-29 | 1996-07-29 | ブレ補正装置およびカメラ |
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1996
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