JP3796562B2 - 多層錠、多層錠の製造方法及び多層錠の剥離抑制方法 - Google Patents

多層錠、多層錠の製造方法及び多層錠の剥離抑制方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層錠、多層錠の製造方法及び多層錠の剥離抑制方法に関し、より詳しくは特に医薬品において打錠障害の1つである多層錠の層間剥離(lamination)を多層錠の層間結合力を向上させることによって、結合剤を必要以上に配合したり、崩壊時間を遅延させることなく防止することができる、多層錠、多層錠の製造方法及び多層錠の剥離抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
医薬品の服用性を向上させる手段として、生理活性成分を錠剤とする手段は古くから行なわれているところである。また、錠剤を製造する際に、複数の生理活性成分を配合したり、生理活性成分の効果を補助する別の生理活性成分や添加剤を配合することも少なくない。このような錠剤の製法として、通常行なわれている方法としては、生理活性成分を崩壊剤、結合剤、賦形剤、香料、色素等の各種添加剤と共に前処理、混合を行ない、圧縮・成型する方法が一般的に行われている。
【0003】
ところが、上述したように複数の生理活性成分を配合する場合には、生理活性成分どうしが反応性を持つ場合やある一つの生理活性成分に有効な添加剤が他の生理活性成分に対しては効果が期待できない場合があり、このような場合には、これら複数の生理活性成分による相互の影響を緩和して、製剤中での生理活性成分の安定化を図るために、各生理活性成分を錠剤の異なる層に配合して、いわゆる多層錠とすることが行なわれている。
【0004】
しかしながら、多層錠は、各層が異種の構成成分からなるために、層間の結合力が一般的に微弱であり、製造工程中の落下や衝撃などによって容易に剥離(lamination)することが多いという問題があった。特に多層錠に更にコーティングを行なう場合、多層錠に対する衝撃が反復・継続するためにこのような事態が生じ易い上、コーティング工程においてこのような剥離によって不良品ができると、系の中に多数の破壊された粉末が生じるために、剥離していない良品への影響も大きくなり、単に層間剥離した不良品が生じるというだけの問題ではなくなっていた。
【0005】
また、コーティングを行なわない場合であっても、このような剥離性の不良品が混在する可能性があると、製造後の錠剤検査を光反射を利用した検査方法によって行なう場合、上記のような不良品を検出するには錠剤の立体的な状態まで判断できるような高い検出精度が要求され、そのために検査能力が低下するという問題があるなど、種々の理由から多層錠の層間剥離を抑制する有力な手段が望まれていた。
【0006】
上記のような層間剥離を抑制する手段としては、例えば生理活性成分に対して賦形剤を大量に配合し、各層の性質をその賦形剤の性質に近づけることによって、層間の結合力を強めることが考えられるが、このような手段では大量の賦形剤を必要とするために、錠剤が大きくならざるを得ないという問題がある。また、各層に結合剤を増量して配合することによって、層間の結合力を向上させることも考えられるが、この場合は層の崩壊時間が著しく低下し、これによって、生理活性成分の溶出状況が遅延して、薬効が発揮される速度を損ねることが予想される。更に、機械的に各層の成型圧力を上げて、成型力を向上させることも考えられるが、各層の成型に必要な最大の圧縮力はそれぞれ異なるため、ある一つの層の成型が完了した後、必要以上の圧縮を行なうと、圧縮された顆粒の再構成が起こり、上記一の層の内部結合力が低下してしまう。即ち、多層錠の場合、圧縮圧力の伝達が各層において一定ではないため、機械的に各層の成型圧力を上げると、速く成型が完了した層が更に圧縮されてしまい、この層においてキャッピング等の打錠障害が起きるという別の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、賦形剤又は結合剤の量を多くしたり、煩雑な工程を踏むことなく、多層錠の層間剥離を有効に抑制することができる、多層錠、多層錠の製造方法及び多層錠の剥離抑制方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、2以上の層構成をとる錠剤において、互いに接する二つの層をそれぞれ構成する種々の粉末や顆粒等の粉粒体について各層ごとに層全体としての平均粒径を測定するとき、上記二つの層の平均粒径の比率が1:2〜1:50の範囲であると、上記二つの層における層間の剥離に対して良好な抑制効果があることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
[1].(a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるA層と、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるB層とを、互いに隣接して備える多層錠であって、上記(a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体の平均粒径D a が2〜400μm、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体の平均粒径D b が50〜2000μm、かつ(D a :D b )=1:2〜1:50であることを特徴とする多層錠、
[2].(a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体を第二層とし、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体を第一層とし、打錠して上記(a)制酸剤を含有する粉粒体から形成されるA層と、上記(b)成分を含有する粉粒体から形成されるB層とを、互いに隣接して備える多層錠の製造方法であって、(a)制酸剤を含有する粉粒体の平均粒径D a が2〜400μm、(b)成分を含有する粉粒体の平均粒径D b が50〜2000μm、かつ(D a :D b )=1:2〜1:50であることを特徴とする多層錠の製造方法、
[3].(a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるA層と、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるB層とを、互いに隣接して備える多層錠のA層とB層との層間剥離を抑制する方法であって、上記(a)制酸剤を含有する粉粒体の平均粒径D a が2〜400μm、上記(b)成分を含有する粉粒体の平均粒径D b が50〜2000μm、かつ(D a :D b )=1:2〜1:50とすることを特徴とする多層錠の剥離抑制方法を提供する。
【0010】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の多層錠は、その配合成分が特に制限されるものではないが、通常生理活性成分を含有するものである。
【0011】
ここで、上記生理活性成分としては、その種類が特に制限されるものではなく、例えば日本薬局方、日本薬局方外医薬品等に収載されている解熱鎮痛薬の有効成分、かぜ薬の有効成分、ビタミン類、制酸剤、抗炎症剤、その他の活性成分、生薬及び漢方薬、ミネラル類、アミノ酸類、ペプタイド及びタンパク質等を使用することができ、具体的には、解熱鎮痛薬やかぜ薬の有効成分として、例えばアスピリン,アスピリンアルミニウム,アセトアミノフェン,エテンザミド,サザピリン,サリチルアミド,ラクチルフェネチジン,塩酸イソチベンジル,塩酸ジフェニルピラリン,塩酸ジフェンヒドラミン,塩酸ジフェテロール,塩酸トリプロリジン,塩酸トリペレナミン,塩酸トンジルアミン,塩酸フェネタジン,塩酸メトジラジン,サリチル酸ジフェンヒドラミン,ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン,酒石酸アリメマジン,タンニン酸ジフェンヒドラミン,テオクル酸ジフェニルピラリン,ナパジシル酸メブヒドロリン,プロメタジンメチレン二サリチル酸塩,マレイン酸カルビノキサミン,dl−マレイン酸クロルフェニラミン,d−マレイン酸クロルフェニラミン,リン酸ジフェテロール,塩酸アロクラミド,塩酸クロペラスチン,クエン酸ペントキシベリン(クエン酸カルベタペンタン),クエン酸チペピジン,ジブナートナトリウム,臭化水素酸デキストロメトルファン,デキストロメトルファン・フェノールフタリン酸,ヒベンズ酸チペピジン,フェンジゾ酸クロペラスチン,リン酸コデイン,リン酸ジヒドロコデイン,塩酸ノスカピン,ノスカピン,dl−塩酸メチルエフェドリン,dl−メチルエフェドリンサッカリン塩,グアヤコールスルホン酸カリウム,グアイフェネシン,安息香酸ナトリウムカフェイン,カフェイン,無水カフェイン等、ビタミン類としては、例えばビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類,ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類,ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類,ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類,ビタミンB6及びその誘導体並びにそれらの塩類,ニコチン酸アミド,パントテン酸カルシウム等、制酸剤として、例えばアミノ酢酸,ケイ酸マグネシウム,合成ケイ酸アルミニウム,合成ヒドロタルサイト,酸化マグネシウム,ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート),水酸化アルミニウムゲル(乾燥水酸化アルミニウムゲルとして),乾燥水酸化アルミニウムゲル,水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル,水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物,水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物,水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物,炭酸マグネシウム,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,塩酸ラニチジン,シメチジン,ファモチジン等、抗炎症剤として、例えばナプロキセン,ジクロフェナックナトリウム,ピロキシカム,アズレン,インドメタシン,ケトプロフェン,イブプロフェン等、その他の活性成分として、例えば塩酸ジフェニドール,塩酸ジフェニルピラリン,塩酸ジフェンヒドラミン,塩酸プロメタジン,塩酸メクリジン,ジメンヒドリナート,タンニン酸ジフェンヒドラミン,タンニン酸フェネタジン,テオクル酸ジフェニルピラリン,フマル酸ジフェンヒドラミン,プロメタジンメチレンジサリチル酸塩,臭化水素酸スポコラミン,塩酸オキシフェンサイクリミン,塩酸ジサイクロミン,塩酸メチキセン,臭化メチルアトロピン,臭化メチルアニソトロピン,臭化メチルスポコラミン,臭化メチル−1−ヒヨスチアミン,臭化メチルベナクチジウム,ベラドンナエキス,ヨウ化イソプロパミド,ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン,塩酸パパベリン,アミノ安息香酸,シュウ酸セシウム,ピペリジルアセチルアミノ安息香酸エチル,アミノフィリン,ジプロフィリン,テオフィリン,炭酸水素ナトリウム,フルスルチアミン,硝酸イソソルバイド,エフェドリン,セファレキシン,アンピシリン,スルフィキサゾール,スクラルファート,アリルイソプロピルアセチル尿素,ブロムワレリル尿素等、生薬や漢方薬として、例えばマオウ,ナンテンジツ,オウヒ,オンジ,カンゾウ,キキョウ,シャゼンシ,シャゼンソウ,セネガ,バイモ,ウイキョウ,オウバク,オウレン,ガジュツ,カミツレ,ケイヒ,ゲンチアナ,ゴオウ,獣胆(ユウタンを含む),シャジン,ショウキョウ,ソウジュツ,チョウジ,チンピ,ビャクジュツ,地竜,チクセツニンジン,ニンジン,カノコソウ,ボタンピ,サンショウ及びこれらのエキス等、ペプタイド及びタンパク質として、例えばインスリン,バゾプレッシン,インターフェロン,ウロキナーゼ,セラチオペプチターゼ,ソマトスタチン等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なお、本発明の場合、多層錠の各層が異種の生理活性成分を含有するものであっても、同じ生理活性成分を含有するものであってもよく、また、一の層が2種以上の生理活性成分を含有するものであってもよい。更に、上記生理活性成分を含有しない層があってもよいのは勿論である。
【0012】
本発明の場合、上記生理活性成分の組み合わせとしては、反応性があり、二層錠とすることが好適と思われる組み合わせにする。このような組み合わせとして、具体的には、例えばアスピリンと上記制酸剤、アセトアミノフェンと上記制酸剤、イブプロフェンと上記制酸剤、塩酸メチルエフェドリン,マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインと上記制酸剤などの組み合わせを挙げることができる。
【0013】
本発明において、上記生理活性成分は、その形状、粒径等が特に制限されるものではないが、後述するように上記生理活性成分を造粒する場合、効率良く造粒するためには、上記生理活性成分の粒径は、通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは50〜100μmの範囲が好適である。粒径が1μm未満では飛散性が高く、また、造粒時の含量均一性、静電気による選択的な吸着、再凝縮などの問題が生じる場合がある。また、粒径が300μmを超えると、造粒物の中での均一性が保たれないため、多層錠とした場合の効果にばらつきが生じる場合がある。また、更に効率良く造粒するためには、使用する添加剤との平均粒径を整合させることが好ましい。
【0014】
特に、繊維性の生理活性成分や1000μmを超える結晶を含む場合においては、篩を用いて好適な粒径に整粒するか、あるいは事前に上記好適な粒径範囲にするために単独で粉砕し、所定の粒径とした後に造粒するなどの処理を行なうことが好ましい。
【0015】
本発明の多層錠における上記生理活性成分の配合量は、特に制限されるものではなく、上記生理活性成分の有効量などによって適宜選定することができ、また、上述したように多層錠を構成する各層の中には上記生理活性成分を含有しない層があってもよいが、上記生理活性成分を含有する層の場合、例えば大衆薬(OTC)の場合、通常一つの層全量に対して70〜90重量%程度とすると好適である。配合量が少なすぎるとその層の体積が大きくなりすぎる場合があり、多すぎると粒径の調整が行ない難くなり、層間剥離を充分に抑制することが困難となる場合がある。
【0016】
本発明の場合、上記生理活性成分を造粒してから使用したり、多層錠を調製する際、必要に応じて通常用いられる添加剤、例えば滑沢剤、結合剤、コーティング剤、賦形剤、崩壊剤、崩壊助剤、色素などを単独あるいは複数の種類を自由に配合することが可能であり、特に生理活性成分を造粒する際には、崩壊時間を調整することができる糖類、糖アルコール類、有機酸塩等の化合物を配合すると好適であり、このような化合物として、具体的には、例えば果糖、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、無水乳糖、還元乳糖、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。その他の任意の添加剤として具体的には、下記成分を挙げることができる。なお、これら添加剤は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜量添加することができるが、錠剤を調製する際に使用する滑沢剤は、各層の配合量に対して2%以上配合すると、本発明による層間の結合力の向上を阻害する場合があるため、打錠機の回転盤への付着を防止することができ、且つ製造適性に支障がない限り低減することが好ましい。
【0017】
滑沢剤:アラビアゴム、カカオ脂、カルナバロウ、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、流動パラフィン、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ゼラチン、乳糖、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フマル酸、ミツロウ等
結合剤:ヒドロキシプロピルセルロース(置換度53.4〜77.5%)、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、部分α化デンプン等
コーティング剤:グリセリン、流動パラフィン、シリコーン樹脂、ステアリン酸、ゼラチン、ソルビトール、トウモロコシ油、乳糖、ポリビニルアルコール、マクロゴール、メタクリル酸コポリマー、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム等
賦形剤:アラビアゴム、エチルセルロース、カオリン、カカオ脂、果糖、二酸化ケイ素、キシリトール、クエン酸又はその塩、結晶セルロース、ステアリン酸又はその塩、デキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム等
崩壊剤:セルロース又はその誘導体、デンプン又はその誘導体等
崩壊助剤:セルロース又はその誘導体、ステアリン酸、炭酸水素ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等
【0018】
次に、本発明の多層錠の剥離抑制方法を図1を用いて説明する。ここで、図1は、多層錠1の互いに接する二つの層2、3の部分を拡大して模式的に示したものである。本発明の多層錠、多層錠の製造方法及び剥離抑制方法は、上記生理活性成分に必要に応じて上記添加剤を適宜量添加、混合した粉末、顆粒等の粉粒体により多層錠を調製する際、一方の層2を構成する粉粒体4の平均粒径 a と、他方の層3を構成する粉粒体5の平均粒径 b との比率( a b )を1:2〜1:50、好ましくは1:3〜1:35、より好ましくは1:5〜1:20となるように調整することによって、一方の層2と他方の層3との臨界面6における剥離を抑制するものである。ここで、上記平均粒径 a 及び平均粒径 b 平均粒径 a が2〜400μmであり、特に10〜300μmが好ましく、平均粒径 b が50〜2000μmである。平均粒径が小さすぎると粉粒体の取り扱い性が悪くなる場合があり、大きすぎると層間剥離を抑制し難くなる場合がある。なお、本発明の場合、層数は二層以上であれば、特に制限はないが、通常二層又は三層程度が好適である。
【0019】
なお、本発明において、平均粒径は、日本薬局方に記載された粒度の試験に準じて篩分けを行って粒度分布曲線を作成し、その中央値から求めることができ、また、例えば粒子径1〜50μm程度の細かい粒子の割合が多い場合の平均粒径の測定は、レーザー光散乱方式の粒度分布を測定し、上記篩分けによる方法と同様にして求めると好適である。
【0020】
上記剥離抑制方法を更に詳述すると、上記生理活性成分は上述したようにそのまま使用することもできるが、上記好適な粒径範囲となるように造粒して使用してもよく、造粒する場合、その造粒方法は特に制限されるものではなく、公知の造粒方法を採用することができ、また、使用する装置も例えば通常の乾式造粒装置等を用いることができるが、例えば造粒する際に上記添加剤中の高分子成分と共に造粒する場合は、圧縮及びせん断によりこれらの粒子をすりつぶす仕組み、又はロールを用いた圧縮処理を行なうことができる装置を使用すると好適である。このような造粒装置として、例えばスパルタンリュウザー(フジパウダル製)、乾式ロール圧縮造粒機(ターボ工業製)などを挙げることができる。
【0021】
ここで、上記生理活性成分を造粒する場合、造粒物の平均粒径は、特に制限されるものではないが、打錠する時の適当な平均粒径は、通常10〜1000μm、好ましくは20〜800μm、より好ましくは50〜500μmの範囲となるように調整すると好適である。
【0022】
本発明において、多層錠を構成する各層の少なくとも一層は、粒子の硬さを調整する目的で有効成分等を再結晶して多孔性とし、これを粉砕した粉粒体によって形成することもできる。また、同様の目的で有効成分等を適当な溶媒で溶解した後、噴霧、乾燥し、これを適切な粒子に粉砕して用いることもできる。
【0023】
なお、上記添加剤を上記生理活性成分と混合する際、又は上記添加剤のみを各種混合して打錠する場合、上記添加剤を適宜粒径にするために造粒して使用してもよく、この場合、好適な粒径は上記生理活性成分を造粒する場合と同様である。
【0024】
本発明の剥離抑制方法の場合、対象となる多層錠は、その形状、大きさなどが特に制限されるものではなく、例えば円形多層錠のみならず、楕円形,フットボール形等の変形多層錠などであってよく、また、互いに接する層の配合割合は、これらの平均粒径の比率が上記範囲となる限り特に制限されるものではないが、見掛けの体積(見掛けの比容積)は通常1:1〜1:5程度が好ましく、更に好ましくは1:1〜1:3、特に好ましくは1:1〜1:2である。なお、比容積が大きい方の層は、平均粒径が小さい方の層であっても大きい方の層であってもよい。
【0025】
更に、円形多層錠の場合、隅角、平、碁石、二段Rなどのいずれの形状でも使用することができるが、多層錠の側面部の製錠時に臼内面に接する部分に各層の境界面(図1における臨界面6)が存在していることが必要である。上記部分から境界面がずれている場合、少ない占有容積の層の含量が保証できなくなる場合がある。
【0026】
本発明の剥離抑制方法の場合、互いに接する二つの層をそれぞれ構成する粉粒体の平均粒径の比率が上記範囲となっている限り、製錠方法が特に制限されるものではなく、公知の方法によって製錠することができ、製錠時の打錠圧も通常の打錠圧でよく、例えば打錠圧100〜3000kg/cm2、特に1000〜2000kg/cm2で打錠することによって、層間剥離が抑制された多層錠を得ることができる。
【0027】
本発明の剥離抑制方法によれば、互いに接する二つの層における層間剥離が抑制され、製品品質に優れた多層錠が得られ、更にこの多層錠表面を適宜被膜でコーティングしても、コーティング作業中に剥離によって生じる粉末が飛散したりすることがないので、より有用である。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば各層に反応性の異種の薬剤を配合すると、各薬剤の安定性が改善され、経時的変化の低減化が可能な多層錠において、その層間剥離を賦形剤又は結合剤等の配合量を多くするなどの組成変更を必要とすることなく、また、煩雑な工程を踏むこともなく、簡便に、且つ効果的に抑制することができる。従って、本発明の多層錠の剥離抑制方法は、内服錠、咀嚼錠、トローチ錠、バッカル錠等の固形製剤として使用される多層錠を調製する際に有用であり、特に打錠後に更にフィルムコーティングした被覆多層錠を調製する際に、効果的である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例で平均粒径は上述した方法によって求めた。
【0030】
〔実施例1及び比較例1〕
下記組成の実施例1及び比較例1の錠剤をそれぞれ以下の方法により調製した。
[組 成]
Figure 0003796562
【0031】
アスピリン2000gと部分α化デンプン200gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、10分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、多段式整粒機で整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒A1870gを得た。この顆粒Aの平均粒径は903μmであった。
【0032】
次に、炭酸マグネシウム1650g及び乳糖220gを流動層造粒機(SFC−5型;フロイント産業株式会社製)にとり、予めヒドロキシプロピルセルロース55gを水1100gに溶解させておいた溶液を70℃で噴霧し、乾燥したもの(含水率0%)をふるって、顆粒を得た。この顆粒1540gに結晶セルロース220gを加えて、V型混合機(V−5型;特寿製作所)を用いて20分間混合した後、更にステアリン酸マグネシウム30gを加えて5分間混合し、顆粒B1790gを得た。この顆粒の平均粒径は85μmであった。
【0033】
上記顆粒Aを第一層、上記顆粒Bを第二層として、ロータリー打錠機(L41型;畑鐵工所)を用いて打錠圧1000kg/cm2で打錠し、直径10mmの実施例1の二層錠を得た。
【0034】
一方、アスピリン2000g及び部分α化デンプン200gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、20分間混合した粉体(平均粒径68μm)を第一層とし、炭酸マグネシウム1500g、乳糖200g、ヒドロキシプロピルセルロース50g及び結晶セルロース220gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、20分間混合した後、更にステアリン酸マグネシウム30gを加えて5分間混合した粉体(平均粒径65μm)を第二層として、上記実施例1と同様に打錠し、直径10mmの比較例1の二層錠を得た。
【0035】
上記実施例1及び比較例1の二層錠を各々100錠とり、錠剤摩損度試験器に入れ、1分間おきに回転を中止し、各二層錠の剥離の起きた個数を調べた。結果を表1に示す。なお、実施例1の二層錠において第二層を構成する粉粒体の平均粒径と第一層を構成する粉粒体の平均粒径との比率は、1:10.6であり、比較例1では1:1である。
【0036】
【表1】
Figure 0003796562
表1の結果によれば、本発明の多層錠の剥離抑制方法によって、各層を構成する粉粒体の平均粒径の比率が1:1である二層錠(比較例1)に比べて剥離がなく、層間の結合力が強い二層錠が得られることが認められる。
【0037】
〔実施例2及び比較例2〕
下記組成の実施例2及び比較例2の錠剤をそれぞれ以下の方法により調製した。
[組 成]
Figure 0003796562
【0038】
アセトアミノフェン2700g及び無水乳糖700gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、10分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒C3000gを得た。この顆粒Cの平均粒径は1012μmであった。
【0039】
次に、合成ヒドロタルサイト1000g、乳糖200g及び結晶セルロース370gをV型混合機(V−10型;特寿製作所)に量りとって、15分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒1400gを得た。この顆粒に硬化ヒマシ油26.8gを加えて、V型混合機(V−5型;特寿製作所)で5分間混合し、顆粒D1426.8gを得た。この顆粒Dの平均粒径は79μmであった。
【0040】
上記顆粒Cを第一層、上記顆粒Dを第二層として、ロータリー打錠機(L41型;畑鐵工所)を用いて打錠圧1200kg/cm2で打錠し、直径10mmの実施例2の二層錠を得た。
【0041】
一方、アセトアミノフェン1350g及び無水乳糖350gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した粉体(平均粒径89μm)を第一層とし、合成ヒドロタルサイト1000g、乳糖200g及び結晶セルロース370gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した後、更に硬化ヒマシ油30gを加えて均一とした粉体(平均粒径80μm)を第二層として、上記実施例2と同様に打錠し、直径10mmの比較例2の二層錠を得た。
【0042】
上記実施例2及び比較例2の二層錠を各々100錠とり、錠剤摩損度試験器に入れ、1分間おきに回転を中止し、各二層錠の剥離の起きた個数を調べた。結果を表1に示す。なお、実施例2の二層錠において第二層を構成する粉粒体の平均粒径と第一層を構成する粉粒体の平均粒径との比率は、1:13であり、比較例2では1:1である。
【0043】
【表2】
Figure 0003796562
表2の結果によれば、本発明の剥離抑制方法によって、各層を構成する粉粒体の平均粒径の比率が1:1である二層錠(比較例2)に比べて剥離がなく、層間の結合力が強い二層錠が得られることが認められる。
【0044】
〔実施例3及び比較例3〕
下記組成の実施例3及び比較例3の錠剤をそれぞれ以下の方法により調製した。
[組 成]
Figure 0003796562
【0045】
予め粉砕処理し、目開き100μmの篩で篩ったイブプロフェン750g及びヒドロキシプロピルスターチ350gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとって、15分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒E1000gを得た。この顆粒Eの平均粒径は236μmであった。
【0046】
次に、アセトアミノフェン900gと部分α化デンプン300gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとって、15分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒F1100gを得た。これにステアリン酸30gを加えて5分間混合した。この顆粒Fの平均粒径は889μmであった。
【0047】
更に、クムライト300g、クロスカルメロース170g及び結晶セルロース200gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとって、15分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒G600gを得た。この顆粒Gの平均粒径は157μmであった。
【0048】
上記顆粒Eを第一層、上記顆粒Fを第二層、上記顆粒Gを第三層として、ロータリー3層打錠機(菊水製作所製)を用いて打錠圧1100kg/cm2で打錠し、直径10mmの実施例3の三層錠を得た。
【0049】
一方、イブプロフェン750g及びヒドロキシプロピルスターチ350gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した粉末(平均粒径69μm)を第一層とし、アセトアミノフェン900g及び部分α化デンプン300gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した粉末(平均粒径61μm)を第二層とし、クムライト300g、クロスカルメロース170g及び結晶セルロース200gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合し、更にステアリン酸30gを加えて5分間混合した粉末(平均粒径73μm)を第三層として、上記実施例3と同様に打錠し、直径10mmの比較例3の三層錠を得た。
【0050】
上記実施例3及び比較例3の三層錠を各々100錠とり、錠剤摩損度試験器に入れ、1分間おきに回転を中止し、各三層錠の剥離の起きた個数を調べた。結果を表3に示す。なお、実施例3の三層錠において第一層の粉粒体の平均粒径と第二層の粉粒体の平均粒径との比率、第二層の粉粒体の平均粒径と第三層の粉粒体の平均粒径との比率は、1:4、6:1であり、比較例3では1:1、1:1である。
【0051】
【表3】
Figure 0003796562
【0052】
表3の結果によれば、本発明の多層錠の剥離抑制方法によれば、三層錠の各層を構成する粉粒体の平均粒径の比率が1:1、1:1である比較例3に比べて第一層、第二層間及び第二層、第三層間に剥離がなく、各層間の結合力が強い三層錠が得られることが認められる。
【0053】
参考例1及び比較例4〕
下記組成の参考例1及び比較例4の錠剤をそれぞれ以下の方法により調製した。
[組 成]
mg/錠
アスピリン 250
無水カフェイン 60
アリルイソプロピルアセチル尿素 10
コーンスターチ 26
ヒドロキシプロピルセルロース 0.2
結晶セルロース 30
カルボキシメチルセルロース 20
ステアリン酸マグネシウム 3.8
合 計 400mg
【0054】
アスピリン2500g及びコーンスターチ260gをV型混合機(V−5型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した。この混合物を乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒H2400gを得た。この顆粒Hの平均粒径は955μmであった。
【0055】
次に、無水カフェイン3000g及びアリルイソプロピルアセチル尿素500gを流動層造粒機(SFC−5型;フロイント産業社製)に量りとって、予めヒドロキシプロピルセルロース70gを水1500gに溶解しておいた溶液を缶体の温度70℃で噴霧して造粒、乾燥した後、この造粒物を篩って顆粒を得た。この顆粒702gに結晶セルロース300gとカルボキシメチルセルロース200gを加えて、V型混合機(V−5型;特寿製作所)を用いて、15分間混合した後、更にステアリン酸マグネシウム38gを加えて5分間混合して顆粒I1240gを得た。この顆粒Iの平均粒径は150μmであった。
【0056】
上記顆粒Hを第一層、上記顆粒Iを第二層として、クリーンプレス(12HUK;菊水製作所製)を用いて打錠圧1025kg/cm2で打錠し、長径10mm、短径6mmの参考例1の楕円形二層錠を得た。
【0057】
一方、アスピリン2500g及びコーンスターチ260gをV型混合機(V−10型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した粉体(平均粒径84μm)を第一層とし、無水カフェイン600g、アリルイソプロピルアセチル尿素100g、ヒドロキシプロピルセルロース2g、結晶セルロース300g、カルボキシメチルセルロース200gをV型混合機(V−10型;特寿製作所)に量りとり、15分間混合した後、更にステアリン酸マグネシウム38gを加えて5分間混合した粉体(平均粒径77μm)を第二層として、上記参考例と同様に打錠し、長径10mm、短径6mmの比較例4の楕円形二層錠を得た。
【0058】
上記参考例1及び比較例4の楕円形二層錠を各々100錠とり、錠剤摩損度試験器に入れ、1分間おきに回転を中止し、各二層錠の剥離の起きた個数を調べた。結果を表4に示す。なお、参考例1の楕円形二層錠において第二層を構成する粉粒体の平均粒径と第一層を構成する粉粒体の平均粒径との比率は、1:6であり、比較例4では1:1である。
【0059】
【表4】
Figure 0003796562
【0060】
表4の結果によれば、本発明の剥離抑制方法によって、各層を構成する粉粒体の平均粒径の比率が1:1である楕円形二層錠(比較例4)に比べて剥離がなく、層間の結合力が強い二層錠が得られることが認められる。
【0061】
参考例2及び比較例5〕
下記組成の参考例2及び比較例5の錠剤をそれぞれ以下の方法により調製した。
[組 成]
mg/錠
アセトアミノフェン 100
マレイン酸クロルフェニラミン 0.8
リン酸ジヒドロコデイン 8
dl−塩酸メチルエフェドリン 20
グアヤコールスルホン酸カリウム 80
コーンスターチ 21.2
ソルビトール(噴霧乾燥品) 40
ヒドロキシプロピルセルロース 5
ショ糖脂肪酸エステル 10
ステアリン酸マグネシウム 3
合 計 290mg
【0062】
アセトアミノフェン100g、dl−塩酸メチルエフェドリン20g、グアヤコールスルホン酸カリウム80g及びコーンスターチ21.2gをメカノミル(岡田精工社製)に量りとり、300回転/分で5分間撹拌した後、乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒J221.2gを得た。この顆粒Jの平均粒径は135μmであった。
【0063】
次に、マレイン酸クロルフェニラミン0.8g、リン酸ジヒドロコデイン8g、ソルビトール(噴霧乾燥品)40g、ヒドロキシプロピルセルロース5g及びショ糖脂肪酸エステル(HLB15)10gをメカノミル(岡田精工社製)に量りとり、300回転/分で5分間撹拌した後、乾式ロール圧縮造粒機(WP−50N型;ALEXANDERWERK製)を用いてロール圧縮し、整粒して顆粒を得た。この顆粒にステアリン酸マグネシウム3gを加え、これらをビニール袋内で混合して、日本薬局方の顆粒剤の粒度の試験に適合する顆粒K66.8gを得た。この顆粒Kの平均粒径は657μmであった。
【0064】
上記顆粒Jを第一層、上記顆粒Kを第二層として、単発の打錠機(岡田精工社製)を用いて打錠圧980kg/cm2で打錠し、直径8mmの参考例2の二層錠を得た。
【0065】
一方、アセトアミノフェン100g、dl−塩酸メチルエフェドリン20g、グアヤコールスルホン酸カリウム80g及びコーンスターチ21.2gを混合した顆粒(平均粒径96μm)を第一層とし、マレイン酸クロルフェニラミン0.8g、リン酸ジヒドロコデイン8g、ソルビトール(噴霧乾燥品)40g、ヒドロキシプロピルセルロース5g及びショ糖脂肪酸エステル(HLB15)10gをポリエチレン製の袋に量りとり、これらが均一になるまで袋を振り混ぜた後、更にステアリン酸マグネシウム3gを加えて均一に混合した粉粒体(平均粒径102μm)を第二層として、上記参考例2と同様に打錠し、直径8mmの比較例5の二層錠を得た。
【0066】
上記参考例2及び比較例5の二層錠を各々100錠とり、錠剤摩損度試験器に入れ、1分間おきに回転を中止し、各二層錠の剥離の起きた個数を調べた。結果を表5に示す。なお、参考例2の二層錠において第一層を構成する粉粒体の平均粒径と第二層を構成する粉粒体の平均粒径との比率は、1:5であり、比較例5では1:1である。
【0067】
【表5】
Figure 0003796562
【0068】
表5の結果によれば、本発明の剥離抑制方法によって、各層を構成する粉粒体の平均粒径の比率が1:1である二層錠(比較例5)に比べて剥離がなく、層間の結合力が強い二層錠が得られることが認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層錠の剥離抑制方法を説明する多層錠の一部拡大模式図である。
【符号の説明】
1 多層錠
2 一方の層
3 他方の層
4、5 粉粒体

Claims (3)

  1. (a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるA層と、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるB層とを、互いに隣接して備える多層錠であって、上記(a)制酸剤を含有する粉粒体の平均粒径Daが2〜400μm、上記(b)成分を含有する粉粒体の平均粒径Dbが50〜2000μm、かつ(Da:Db)=1:2〜1:50であることを特徴とする多層錠。
  2. (a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体を第二層とし、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体を第一層とし、打錠して上記(a)制酸剤を含有する粉粒体から形成されるA層と、上記(b)成分を含有する粉粒体から形成されるB層とを、互いに隣接して備える多層錠の製造方法であって、(a)制酸剤を含有する粉粒体の平均粒径Daが2〜400μm、(b)成分を含有する粉粒体の平均粒径Dbが50〜2000μm、かつ(Da:Db)=1:2〜1:50であることを特徴とする多層錠の製造方法。
  3. (a)制酸剤を含有し、(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン及びリン酸ジヒドロコデインのいずれをも含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるA層と、上記(b)成分の1種又は2種以上を含有し、(a)制酸剤を含有しない粉粒体が打錠されることによって形成されるB層とを、互いに隣接して備える多層錠のA層とB層との層間剥離を抑制する方法であって、上記(a)制酸剤を含有する粉粒体の平均粒径D a が2〜400μm、上記(b)成分を含有する粉粒体の平均粒径D b が50〜2000μm、かつ(D a :D b )=1:2〜1:50とすることを特徴とする多層錠の剥離抑制方法。
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