JP3796456B2 - 測定孔付きカンチレバー及びこれを用いたビーム測定方法 - Google Patents

測定孔付きカンチレバー及びこれを用いたビーム測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡に用いられるカンチレバーに関し、更に詳細には、カンチレバーの突出部先端にある探針点を残しながら探針点近傍にその突出部方向に測定孔を貫通形成し、探針点で走査型プローブ顕微鏡機能を発揮できるとともに、微小な測定孔から1次ビームを入射させて試料表面の極微小領域から放出される2次ビームを測定したり、試料表面から放出される2次ビームを微小な測定孔を通して検出できる測定孔付きカンチレバー及びこれを用いたビーム測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料表面の原子レベルの起伏を観察したり物性を測定するために、原子間力顕微鏡(Atomic Force MicroscopeでAFMと略称する)に代表される走査型プローブ顕微鏡が表面の形状や表面の物性測定に使用されている。
【0003】
この走査型プローブ顕微鏡の多くは、カンチレバーと呼ばれる探針を試料表面に極微接近させたり接触させることによって、試料の表面情報を検出するものである。従って、探針となるカンチレバーの構造が観察精度や測定される物性量と強い相関性を有している。
【0004】
カンチレバーは、文字通りいわゆる片持ち梁を意味している。即ち、このカンチレバーは、片持ち支持されるカンチレバー部と、先端に突設された突出部とから構成され、突出部の先端を先鋭に形成して探針点とし、この探針点を試料表面に接近ないし接触させて試料の表面情報を検出するものである。
【0005】
AFMの操作では、カンチレバーの一端を片持ち支持して探針点を試料表面に極微接近させ、試料面と平行に走査ピエゾ等により走査させると、探針点と表面に働く原子間力により探針点が上下方向に力を受ける。この力は次のような方法で検出され、AFM測定が行なわれる。
【0006】
第1方法は、カンチレバーの背面にレーザービームを照射しておき、探針点に作用する力によりカンチレバーが撓むと、レーザービームの反射方向が変化し、この反射ビームをフォトダイオードなどで検出する方式である。
【0007】
第2方法は、カンチレバーの取付部に励振用のピエゾ素子を設けておき、この励振用ピエゾとカンチレバー先端の撓み検出用のピエゾを用いてカンチレバーを自励発振させ、探針点に働く力により発振周波数が変化し、この発振周波数の変化を検出する方式である。
【0008】
第3方法は、カンチレバーの取付部に励振用のピエゾ素子を設けておき、光ファイバーをカンチレバーの先端に近づけてその反射光をフォトダイオードで検出し、このフォトダイオードの出力を励振用ピエゾにフィードバックしてカンチレバーを自励発振させ、探針点に働く力により発振周波数が変化し、この発振周波数の変化を検出する方式である。
【0009】
AFMでは、これらの方法で測定されたカンチレバー作用力を電圧に変換し、この電圧をカンチレバーのZ方向制御ピエゾにフィードバックし、探針と試料表面の距離を一定に保持するサーボ動作を行わせ、探針点を試料表面に触れることなくXY方向に走査して、前記サーボ電圧を高さ信号としてディスプレイに試料表面の三次元形状を画像化する。
【0010】
このようなAFM分野において、カンチレバーに微小な孔を開け、この孔にレーザービームを通過させ、孔の先端からレーザービームを浸み出させ、浸み出したビームと試料表面との相互作用を検出しようとする研究が進展している。この種の顕微鏡はSNOM(走査型近接場光学顕微鏡、scanning nearfield optical
microscopy)と呼ばれている。
【0011】
図12は、従来のSNOMに用いられる測定孔付きカンチレバーの使用状態の斜視図である。測定孔付きカンチレバー2は、カンチレバー部4と、この先端に突設された突出部6とから構成されている。
【0012】
前記突出部6の内部には空洞部10が形成され、突出部6は薄い壁体から構成されている。突出部6の先端には測定孔12が貫通形成されている。従って、突出部6の先端は先鋭な探針点とはならず、測定孔12の断面からなる探針面7となっている。この探針面7の面積は最小でも測定孔12の断面積の大きさを有することになる。この探針面7が試料14の試料表面16に対向配置されている。
【0013】
通常、この測定孔12の開口径(断面直径)は100nm程度であるから、可視光の波長より十分に小さく、回折限界から可視光は測定孔を通過することができない。しかし、開口部からは光が波長程度だけ浸み出しており、波長より遠方では光強度は急激に減衰する。この浸み出し領域が光の近接場(エバネッセント場)と呼ばれている。
【0014】
この近接場光は試料表面と相互作用し、回折・透過・反射・蛍光を生起することが知られている。この透過光や反射光などの強度を測定することによって、試料の光学的性質を光の回折限界を超えた分解能で観察することができるようになった。
【0015】
この測定孔付きカンチレバー12により近接場測定を行うには、カンチレバー2の探針面7を試料表面14に接近させる。このとき接触させてはいけない。この状態で空洞部側10から可視光を矢印a方向に照射し、探針面7から下方に近接場Sを形成させる。
【0016】
この近接場Sが試料表面16と接触すると、相互作用が生起し、光が試料14を透過したり、試料14から蛍光が周囲に放出されたりする。この2次光を検出することにより試料14の光学物性を高い空間分解能で測定することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
この測定孔付きカンチレバー2を使用して試料表面のAFM測定をするときに問題が生じる。図13はAFM測定する場合の図12のC−C線断面図である。測定孔12は突出部6の先端に貫通開口されているため、AFM測定では探針面7が試料表面16と接触することになる。
【0018】
試料表面16にはナノメートルオーダーの凹凸があり、この凹凸を正確に再現するためには、探針面7は凹凸に確実に追従できるように極小に形成されることが要請される。しかし、探針面7の面積は測定孔12の断面積以上の大きさを有するから、その断面直径が前述したように100nmもあると、その分解能は100nmとかなり大きくなってしまう。
【0019】
このように大きな探針面7で試料表面16をAFM走査しても、分解能が悪いために像全体がクリアーにならない。通常のカンチレバー先端の探針点は10nm程度の曲率半径を有するから、10nm以下の分解能を有すると云ってもよい。従って、図13のような測定孔12がある場合には、分解能が1/10以下に低下する。
【0020】
従って、本発明の目的は、探針点を残して精度の高いAFM測定を可能にできる測定孔付きカンチレバーを提供することである。また、このカンチレバーの測定孔を使用して、多くの種類のビームと試料物質との相互作用を生起させ、試料表面の相互作用の位置を極小領域にまで絞り込んで測定できるようにすることである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の発明は、一端を支持されるカンチレバー部と、このカンチレバー部から突設された突出部と、この突出部の先端に先鋭に形成された探針点と、この探針点の近傍位置で探針点を残しながら突出部にその突出方向に貫通形成された測定孔とから構成されることを特徴とする測定孔付きカンチレバーである。
【0022】
第2の発明は、一端を支持されるカンチレバー部と、このカンチレバー部から突設された突出部と、この突出部の突出方向に貫通形成された測定孔と、前記突出部に基端部を固定して先端部を突出させたナノチューブとから構成され、このナノチューブの先端を試料に接触又は接近させて実効探針点とすることを特徴とする測定孔付きカンチレバーである。
【0023】
第3の発明は、一端を支持されるカンチレバー部と、このカンチレバー部に突設された突出部又はナノチューブと、この突出部又はナノチューブの近傍のカンチレバー部に貫通形成された測定孔とから構成され、突出部の先端又はナノチューブの先端を探針点とすることを特徴とする測定孔付きカンチレバーである。
【0024】
第4の発明は、カンチレバー部と先鋭に形成された探針点を有する突出部から少なくとも構成されたカンチレバーを集束イオンビーム室に配置し、前記探針点の近傍位置の突出部に集束イオンビームを照射し、探針点を残しながら突出方向に突出部を貫通する測定孔を形成することを特徴とする測定孔付きカンチレバーの製造方法である。
【0025】
第5の発明は、これらの測定孔付きカンチレバーを使用し、測定孔に1次ビームを通過させて試料表面をビーム照射し、この試料から放射される2次ビームを周辺で計測することを特徴とする測定孔付きカンチレバーを用いたビーム測定方法である。
【0026】
第6の発明は、これらの測定孔付きカンチレバーを使用し、周辺から前記試料表面に1次ビームを照射し、この試料から放射される2次ビームを前記測定孔を通過させて計測することを特徴とする測定孔付きカンチレバーを用いたビーム測定方法である。
【0027】
第7の発明は、前記1次ビームが光、X線、電子線又はイオンビームである測定孔付きカンチレバーを用いたビーム測定方法である。
【0028】
第8の発明は、前記2次ビームが光、X線、電子線又はイオンビームである測定孔付きカンチレバーを用いたビーム測定方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る測定孔付きカンチレバー及びこれを用いたビーム測定方法の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る測定孔付きカンチレバーのAFM測定状態の斜視図である。測定孔付きカンチレバー2は、カンチレバー部4と、先端に突設された突出部6から構成されている。突出部6の背面側には空洞部10が形成されるから、突出部10は薄い壁体から構成される。
【0031】
突出部6の先端は先鋭な探針点8に形成されており、この探針点8が試料14の表面16と1点で接触するから、試料の表面情報を局所的に高分解能に検出できる。探針点8の曲率半径は10nm程度まで小さく加工できるから、この探針点8による測定分解能は数nm以下に達する。
【0032】
一方、この発明では、探針点8を残存させながら、探針点8の近傍に測定孔12が突出部6の突出方向に貫通状に形成される。測定孔12の断面直径は加工方法に依存するが、現在では数100nmから数十nmの微小直径を有した測定孔12を開孔できるまでに達している。即ち、本発明のカンチレバー2は測定孔12と先鋭な探針点8の両者を共有する点に特徴を有する。
【0033】
図2は図1のA−A線断面図である。探針点8を用いて試料表面16をAFM走査することにより、試料14の物性測定すべき位置を見い出す。探針点8は先鋭な1点で構成されているから、試料表面16を高精度に走査でき、正確に測定位置を検出することができる。
【0034】
図3はカンチレバーに測定孔を穿孔する概要説明図である。孔無しカンチレバー1はシリコンやシリコンナイトライドなどの材料で形成されるのが通常である。この孔無しカンチレバー1に集束イオンビームIにより微小直径の測定孔12を穿孔形成することができる。
【0035】
このイオンビームIを微焦点で孔無しカンチレバー1に照射するには、イオンビームを自在に集束して対象物を加工できる集束イオンビーム装置(FIB装置とも略称する)を利用する。
【0036】
このFIB装置は、通常Ga原子をイオン化し、そのイオンに電界を印加して加速させ、このイオンビームを電界レンズで集束させながらイオンビーム断面を超微小化して高エネルギー密度にし、この集束イオンビームをターゲットに照射してターゲットを加工する装置である。これらの機能を発揮するために、このFIB装置は、イオン源、加速装置、ビーム集束装置、ビーム走査装置などの部分装置から構成される。
【0037】
このFIB装置では、加速電圧は自由に調整でき、イオンビームのエネルギーを任意に設定できる。カンチレバー1の突出部6の厚さに応じてビームエネルギーを可変し、種々のカンチレバー1を穿孔することが可能になる。
【0038】
図3では、空洞部10の側からイオンビームIを照射するが、逆方向から照射しても構わない。測定孔12の断面直径を小さくするには、イオンビームIのビーム直径を微細に絞ればよい。イオンビームIの断面直径を可変にする事によって測定孔12の断面直径を任意に大小変化させることができる。
【0039】
穿孔に際して重要なことは、探針点8を残存させながら、探針点8の近傍を穿孔することである。測定孔12の位置が探針点8の位置に近いほど、探針点8で指定した試料表面の位置に対して測定孔12から種々のビームを加え易い。
【0040】
図4は測定孔付きカンチレバーを用いた第1測定方法の説明図である。この第1測定方法は、種々の1次ビームが測定孔を通過するようにして微焦点で試料表面に照射し、試料と1次ビームとの相互作用により試料から放射される2次ビームを周囲で測定するものである。
【0041】
1次ビームには広範囲の粒子ビームや波動ビームが利用でき、例えば電子ビーム、イオンビーム、X線ビーム、光ビームなどがある。この1次ビームが試料と反応して放射される2次ビームには各種のものがある。例えば、光を照射して出てくる蛍光や電子、電子を照射して出てくる2次電子やX線、イオン照射して出てくる光・X線・電子などがある。勿論、1次ビームが反射・透過・屈折・散乱して周囲に放射されるものも2次ビームに含まれる。
【0042】
本発明では、2次ビームには直線状に放射されるビームだけでなく、周囲に分散状に放射される波動や粒子も含まれる。特に、1次ビームは直線状に絞れるが、2次ビームは試料表面から分散状に放射されることが多い。例えば、試料表面から放出される蛍光などは広範囲に分布して放射され、これらも本発明では2次ビームの概念で包括表現される。
【0043】
探針点8によりAFM走査して試料表面16の測定点18を探し出す。測定点18が確定すると探針点8を上方近傍に移動する。測定孔付きカンチレバー2の上方にはビーム発生器20が配置されており、このビーム発生器20から1次ビーム22を射出して測定孔12を通過させる。
【0044】
測定孔12を通過した1次ビーム22は試料表面16の前記測定点18又はその近傍に照射され、試料14と相互作用(反応)する。その結果、測定点18から2次ビーム24が周囲に放出される。周囲にはビーム計測器26が配置され、放射される2次ビーム24のエネルギーや強度などを測定する。
【0045】
2次ビーム24は広範囲に放射されるから、ビーム計測器26を移動することにより2次ビーム24の分布測定が行なわれる。試料14を透過して下方に放射される場合もある。点線で示されたビーム計測器26は透過した2次ビーム24を測定するものである。
【0046】
測定孔12の断面直径は極めて小さく形成できるから、1次ビーム22と相互作用する試料表面16の反応領域は極めて微小となる。従って、試料表面16の表面座標を正確に指定しながら試料表面の正確な反応マップを得ることができるようになる。
【0047】
測定孔12を探針点8に接近して形成するほど、探針点8で確認された測定点と1次ビーム22が照射された測定点18とは接近する。しかも、本発明では、測定孔12は探針点8の近傍に形成されるから、探針点8はあくまで有効に残存している。このことによって、探針点8によるAFM機能を発揮しながら、測定孔12によるビーム測定を長期に機能させることが可能となった。
【0048】
図5は測定孔付きカンチレバーを用いた第2測定方法の説明図である。この第2方法は、試料表面に1次ビームを照射し、試料から放射される2次ビームを測定孔12を介して測定するものである。
【0049】
測定孔付きカンチレバー2の周囲にビーム発生器20を配置し、このビーム発生器20から1次ビーム22を試料表面16の測定点18を狙って照射する。この1次ビーム22は試料表面16の物質と相互作用し、2次ビーム24が周囲に放射される。
【0050】
測定孔付きカンチレバー2を走査することによって、測定孔12を通過した2次ビーム24がビーム計測器26によって計測される。走査にしたがって、各測定点18に対応したビーム測定が行なえるので、2次ビーム24の強度分布が正確に測定される。また、点線で示す位置にビーム発生器20を配置して、2次ビーム24を測定する事もできる。
【0051】
図6は測定孔付きカンチレバーを用いた第3測定方法の説明図である。この第3方法は、測定孔を通過した1次ビームを試料表面に照射し、1次ビームを遮断した後、測定孔を通過してきた2次ビームを測定するものである。
【0052】
図6(A)では、ビーム発生器20から射出された1次ビーム22を測定孔12に通過させて試料表面16を照射する。測定点18に照射された1次ビーム22は試料14と反応して2次ビーム24を周囲に放射する。
【0053】
図6(B)に示すように、1次ビーム22を遮断した後、ビーム発生器20に代えてビーム計測器26を配置する。測定孔12を通過してきた時間遅れの2次ビーム24をこのビーム計測器26により測定する。このようにして、試料表面16の極めて微小領域に1次ビーム22を照射し、同時に極めて微小領域からの2次ビームを計測する事が可能になる。
【0054】
また、ビーム計測器26をビーム発生器20の横に配置しておき、2次ビーム24の経路にミラーを挿入して2次ビーム24を計測してもよいなど、種々の変形パターンで測定することもできる。
【0055】
図7は測定孔付きカンチレバーの第2実施例の断面図である。この第2実施例は、測定孔12を探針点8の後方位置に形成したもので、図2に示す測定孔付きカンチレバー2とは逆側に測定孔12を形成している。その作用効果は図2と同様であるから、その詳細は省略する。
【0056】
図8は測定孔付きカンチレバーの第3実施例の斜視図である。このカンチレバー2は、カンチレバー2の後面壁6aにナノチューブ34を取り付けて構成されている。ナノチューブ34の基端部34aを後面壁6aに公知の方法で固定する。
【0057】
ナノチューブ34の先端部34bは探針点8より下方に突出しており、その先端34cが実効探針点となって試料表面16に当接してAFM走査が行なわれる。つまり、ナノチューブ34は探針点8を通過して配置されるから、突出部6の探針点8は探針点として機能しない。ナノチューブ34の断面直径は1nmから選択でき、AFM測定を極めて精度高く行う事ができる。
【0058】
図9は図8のB−B線断面図である。ナノチューブ34の先端、つまり実効探針点34cが試料表面16に対して実際の探針点として作用する事が理解できる。また、測定孔12が突出部6に穿孔形成されており、この測定孔12を利用して前述した第1測定方法〜第3測定方法までを実行できる。
【0059】
図10は測定孔付きカンチレバーの第4実施例の説明図である。上図は測定孔付きカンチレバー2の平面図で、下図はその要部断面図である。このカンチレバー2は先端部を略三角状に形成したカンチレバー部4と、このカンチレバー部4の先端下面に突出された微小な突出部6と、この突出部6の先端が探針点8となっている。
【0060】
この第4実施例の特徴は、突出部6の近傍のカンチレバー部4に測定孔12を穿設している点にある。突出部6は極めて微小であるから、この突出部6に測定孔12を穿設するには高度の技術を必要とする。これに対し、サイズの大きなカンチレバー部4に測定孔12を穿設することは比較的容易である。
【0061】
このカンチレバー部6にある測定孔12を通して1次ビームを試料面16に照射したり、また試料面16から放出される2次ビームを測定孔12を通して検出することができる。
【0062】
図11は測定孔付きカンチレバーの第5実施例の説明図である。上図は測定孔付きカンチレバー2の平面図で、下図はその要部断面図である。この測定孔付きカンチレバーは先端部を略台形状に形成したカンチレバー部4と、このカンチレバー部4の先端面4aに垂下状に固定されたナノチューブ34から構成され、ナノチューブ34の先端34cが探針点として機能する。
【0063】
この第5実施例の特徴は、第4実施例と同様に、ナノチューブ34の近傍のカンチレバー部4に測定孔12を穿設している点にある。この実施例では突出部6が形成されていないから、ナノチューブ34はカンチレバー部6の特定箇所(例えば前記先端面4a)に固定される。従って、測定孔12もカンチレバー部6に形成され、できる限りナノチューブ34の近傍に穿設されることが望ましい。
【0064】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0065】
【発明の効果】
第1の発明によれば、探針点の近傍位置で探針点を残しながら突出部の突出方向に測定孔を貫通形成したから、その探針点によりAFM等の走査型プローブ顕微鏡の機能を発揮させる事ができ、同時に1次ビーム及び/又は2次ビームを測定孔に通過させてビーム測定するから、試料表面で生じる相互作用の座標精度を極めて高精度に検出する事ができる。
【0066】
第2の発明によれば、ナノチューブの先端を実際の探針点とするから、走査型プローブ顕微鏡の検出精度を飛躍的に高める事ができ、しかも1次ビーム及び/又は2次ビームを測定孔に通過させてビーム測定するから、試料表面で生じる相互作用の座標精度を極めて高精度に検出する事ができる。
【0067】
第3の発明によれば、測定孔を比較的にサイズの大きなカンチレバー部に形成するから、測定孔の穿設加工が容易であり、突出部やナノチューブの近傍に自在に配置することができる。
【0068】
第4の発明によれば、集束イオンビームを用いるから、探針点を残しながら突出方向に突出部を貫通する測定孔を形成することができ、本発明の測定孔付きカンチレバーを安価且つ容易に製造することができる。
【0069】
第5の発明によれば、前記測定孔に1次ビームを通過させて試料表面をビーム照射し、この試料から放射される2次ビームを周辺で計測することにより、位置精度を局所領域にまで高めながら種々のビームと試料との相互作用を測定する事ができる。
【0070】
第6の発明によれば、周辺から試料表面に1次ビームを照射し、この試料から放射される2次ビームを前記測定孔を通過させて計測することにより、位置精度を局所領域にまで高めながら種々のビームと試料との相互作用を測定する事ができる。
【0071】
第7の発明によれば、1次ビームとして光線、X線、電子線又はイオンビームを利用するから、これらの1次ビームが試料表面と相互作用して各種の2次ビームが放射され、これらの2次ビームを測定して物性情報を得ることができるだけでなく、新物質の創製などを促進できる。
【0072】
第8の発明によれば、2次ビームとして光線、X線、電子線又はイオンビームを利用でき、これらの2次ビームを測定して各種物質の物性情報を得て、新物質の創製や測定技術の飛躍的な進展を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る測定孔付きカンチレバー第1実施例のAFM測定状態の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】カンチレバーに測定孔を穿孔する概要説明図である。
【図4】測定孔付きカンチレバーを用いた第1測定方法の説明図である。
【図5】測定孔付きカンチレバーを用いた第2測定方法の説明図である。
【図6】測定孔付きカンチレバーを用いた第3測定方法の説明図である。
【図7】測定孔付きカンチレバーの第2実施例の断面図である。
【図8】測定孔付きカンチレバーの第3実施例の斜視図である。
【図9】図8のB−B線断面図である。
【図10】測定孔付きカンチレバーの第4実施例の説明図である。
【図11】測定孔付きカンチレバーの第5実施例の説明図である。
【図12】従来のSNOMに用いる測定孔付きカンチレバーの使用状態の斜視図である。
【図13】AFM測定する場合の図12のC−C線断面図である。
【符号の説明】
2は測定孔付きカンチレバー、4はカンチレバー部、4aはカンチレバー部の先端面、6は突出部、6aは前面壁、6bは突出部内側表面、6cは突出部外側表面、7は探針面、8は探針点、10は空洞部、12は測定孔、14は試料、16は試料表面、18は測定点、20はビーム発生器、22は1次ビーム、24は2次ビーム、26はビーム計測器、30は集束イオンビーム室、34はナノチューブ、34aは基端部、34bは先端部、34cは実効探針点、Iはイオンビーム、Sは近接場。

Claims (2)

  1. 原子間力顕微鏡に用いられるカンチレバーにおいて、一端を支持されるカンチレバー部と、このカンチレバー部に貫通形成されたビーム通過用の測定孔と、この測定孔の近傍のカンチレバー部に突出固定されたナノチューブとから構成され、前記ナノチューブの先端を探針点とすることを特徴とする測定孔付きカンチレバー。
  2. 請求項1に記載の測定孔付きカンチレバーを使用し、前記カンチレバーの周辺から試料表面に1次ビームを照射し、この試料から放射される2次ビームを前記測定孔に通過させて前記2次ビームを測定することを特徴とする測定孔付きカンチレバーを用いたビーム測定方法。
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