<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、メダルの投入により遊技が開始され、遊技の結果によりメダルが払い出されるものである。
<全体構成>
スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の絵柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施形態において、各絵柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の絵柄は、遊技者から見ると、絵柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの絵柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える絵柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
また、各々のリール110乃至112の背面には、絵柄表示窓113に表示される個々の絵柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の絵柄ごとに遮蔽されて個々の絵柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示せず)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部のあいだを、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の絵柄の回転方向の位置を判断し、目的とする絵柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、後述する内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、後述するメダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110乃至112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110乃至112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137乃至139を操作すると対応するいずれかのリール110乃至112が停止することになる。
精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155より受皿210に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿210は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿210は、本実施形態では発光可能な受皿を採用しており、以下受け皿ランプと呼ぶこともある。
音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ210は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。灰皿部200は、煙草の吸殻を入れるための容器であり、受け皿210の内側にネジ止めされている。リールパネル161は、絵柄表示窓113を有するパネルであり、タイトルパネル162は、そのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。演出装置600は、液晶表示装置を含み、各種の情報が表示される。
<メダルセレクタ>
スロットマシン100にはメダル投入口134から投入されるメダルが通過する通路を形成すると共に、正規のメダルを選別するメダルセレクタが設けられている。図18(a)はメダルセレクタ20の分解斜視図、図19はメダルセレクタ20におけるメダルの通過態様を示す図である。このメダルセレクタ20は公知のメダルセレクタと同様の構成のものであり、簡単に説明すると、メダルセレクタ20は、本体部21と、本体部21と着脱可能なガイド部材22と、本体部21の下部に着脱可能なカバー部材23と、を備え、固定部材24を介して前面扉102の裏面に取り付けられる。
本体部21はガイド板部21aを備えており、ガイド部材22を本体部21に取り付けた状態では、ガイド部材22のガイド板部22aとガイド板部21aとが隙間を置いて対向して配置されてメダルの通路の入口となる受け入れ部が形成される。図19に示すようにメダルはまず、この受け入れ部を通過する(同図のA参照)。本体部21には断面L字型の下側のガイドレール部21bと上側のガイドレール部21cとが設けられており、投入されたメダルは図19に示すようにこれらのガイドレール部21b及び21cに沿ってメダルセレクタ20内を転動して通過する。ガイド部材22には、メダルの通路に直交する方向に回動可能なガイド片22bが設けられ、通過するメダルの側面に当接してメダルがガイド部材22側へ傾倒しないようにメダルを案内する。
ガイドレール部21cは通過するメダルの上端の僅かな範囲を案内するように設定されており、正規のメダルよりも小さな偽のメダルが通過しようとすると、図19のBの位置でガイドレール部21cに案内されずに脱落することになる。なお、メダル投入口134の穴は正規のメダルと略ピッタリの大きさと成っているため、正規のメダルよりも大きな偽のメダルはメダル投入口134から投入することができない。一方、本体部21にはメダルの通路に直交する方向に回動可能な可動片21dが設けられている。そして、メダル詰まりが生じた場合にはメダル返却ボタン133を押圧することで、可動片21dがメダル通路側へ回動して詰まったメダルがメダルセレクタ20から脱落することになる。また、本体部21には、メダルの通路に直交する方向に回動可能なメダルブロッカ21eと、メダルブロッカ21eに回動力を付勢する電磁ソレノイド21fが設けられており、スタートレバー135の操作後等のメダルの投入が行われない状態では図19のCの位置をメダルが通過できないようにメダルブロッカ21eを返却状態(メダルブロッカ21eがメダルの通路に突出してメダル通路が閉じられた状態)とする。
一方、本体部21のメダルの通路の下流端にはセンサユニット21gが配置されている。図18(b)に示すようにセンサユニット21gは2つのメダル投入センサ320a及び320b(総称する時は単にメダル投入センサ320という。)が内蔵されている。メダル投入センサ320は光学式のセンサであり、図18(c)に示すように受光素子と発光素子とを備え、これらの間をメダルが通過し(図19のDの位置を参照)、発光素子からの光が遮断されることでメダルの通過を検出する。図18(b)及び図19に示すように、メダル投入センサ320a及び320bはメダルの通路に沿って配置されており、メダル投入センサ320aが通路の上流側に、メダル投入センサ320bが通路の下流側に配設されている。なお、本実施形態ではメダル投入センサ320を2組設けているが、これに限られず、一つでもよいし3以上設けてもよい。
さて、このような構成からなるメダルセレクタ20では、図19に示すようにメダル投入口134から投入されたメダルは受け入れ部をまず通過し(同図A)、ガイドレール部21b及び21cに案内されてメダルセレクタ20内を転動していく(同図B乃至D)。この際、正規のメダルよりも小さい偽のメダルは、上述した作用により選別されて脱落し、メダル払出口155へ至り、遊技者に返却されることになる。正規のメダルは同図のDの位置においてメダル投入センサ320により通過が検出され、その後、固定部材24のレール部24aに案内されてメダル払出装置へ落下することになる。
<制御部>
次に、図2及び図3を参照して、スロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、から構成されている。
<主制御部>
まず、図2を参照して、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック補正回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
また、CPU310には、後述するセンサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
また、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、メダル投入センサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、精算ボタンセンサ324、メダル払い出しセンサ326の状態を検出し、各センサを監視している。
スタートレバーセンサ321はスタートレバー132の操作を検知するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン133乃至135のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知するためのセンサである。精算ボタンセンサ324は、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダル及びベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサ326は、払い出されるメダルを検知するためのセンサである。
CPU310には、さらに、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールに設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにHレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを駆動させるためのモータを制御するリールモータ駆動部330と、ホッパー(バケットにたまっているメダルをメダル払出口155から払出すための装置。図示せず。)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器341(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)、電磁ソレノイド21fが接続されている。
また、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基いて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。本発実施形態における乱数発生回路317は、2つの乱数カウンタを備えている。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。主制御部300と副制御部400との情報通信は一方方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。
<副制御部>
次に、図3を参照して、スロットマシン100の副制御部400について説明する。副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。また、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、各リール110乃至112の絵柄を背面より照明するためのバックライト420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422が接続されている。
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、演出装置制御部500からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472等が接続されている。
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を店の係員等が確認できるようになっている。更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、受け皿ランプ210、払出口ストロボ171を制御する。タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、払い出し口の内側に設置されたストロボタイプのランプである。なお、CPU410は、演出装置制御部500への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。演出装置制御部500は、図1の演出装置600を制御する制御部である。
<遊技の基本的制御>
図4は、本実施形態のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。遊技の基本的制御は、MainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の遊技処理を実行する。以下、この遊技処理について説明する。電源投入が行われると、まず、S101で主制御部300を初期化する初期処理が実行される。S102では、遊技開始処理を行う。ここでは、メダル投入に関する処理と、スタートレバー135による遊技の開始に関する処理を行う。詳細は後述する。
S103では、乱数発生回路317で発生させた乱数を取得する。S104では、S103で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、RAM313に設定されたその入賞役のフラグがONになる。入賞役としては、例えば、リプレイ(再遊技)、小役、ボーナス(BB、RB)等を挙げることができる。
なお、各入賞役には、メダルのベット数及び設定値(1〜6)ごと、に内部抽選の当選確率が設定されており、入賞役抽選テーブルはこれに従って構成され、抽選時に取得される乱数値の範囲(例えば、0〜16384)は予めいくつかの領域(各当選確率の大きさに相当する領域)に分割されており、各領域に各入賞役の当選やはずれが対応付けられている。そして、入賞役の内部抽選では、取得した乱数値がどの範囲に属するかで入賞役の内部当選の当否が決定する。この方式は他の抽選処理でも採用される。
S104では、内部抽選の後、リール停止制御テーブルを選択する処理を行う。これは、各リールの停止操作に対する制御を選択する処理である。ここで、リール110乃至112の停止制御について簡単に説明する。リールの停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御テーブルの中から内部抽選結果に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御テーブルに基づき行う。リール停止制御テーブルは主制御部300のROM312に格納されている。リール停止制御テーブルは、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する絵柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する絵柄組合せが揃って表示されないように構成されている。例えば、小役の「ベル」に内部当選していない場合、「ベル」の絵柄組合せが表示されるタイミングでリール110乃至112の停止操作が行われたとしても、リール110乃至112は直ちに停止せずにベルの絵柄組合せが揃わないように制御される。逆に、「ベル」に内部当選している場合には、ベルの絵柄組合せが表示されるタイミングでリール110乃至112の停止操作が行われなかったとしても、一定の範囲でリール110乃至112は直ちに停止せずにベルの絵柄組合せが揃うように制御されることになる。
S105では、全リール110乃至112の回転を開始させる。その後、ストップボタン137乃至139の受け付けが可能となる。S106ではリールの停止制御を行う。ここでは、ストップボタン137乃至139に対する操作に応じて、リール110乃至112のうち、操作されたストップボタン137乃至139対応するいずれかのリールをS104で選択したリール停止制御テーブルに従って停止させる。全リール110乃至112が停止するとS107へ進む。
テーブルに従って停止させる。
S107では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役又はフラグ持越し中の入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、入賞した入賞役に対応するフラグがリセットされる。S108では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。S109では、遊技状態制御処理を実行する。この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナス入賞の場合に次回から対応するボーナスゲームを開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。以上により1ゲームの処理が終了し、その後S102へ戻って同様の処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<不正行為防止の概略>
図21に示した器具を用いた不正行為に対する本実施形態における防止技術について概説する。図21の器具を用いた不正行為はメダルセレクタ20のメダル投入センサ320の受光素子と発光素子との間に発光素子4を介在させ、発光素子4を点滅させることでメダル投入センサ320の受光素子がこれを検出することを利用したものである。ここで、不正行為を一瞬で終了すべく、発光素子4の点滅周期は極めて早く、メダル投入センサ320の検出周期は実際にメダルを検出する場合よりも著しく早い。そこで、本実施形態では、メダル投入センサ320の検出結果に基づき、メダルセレクタ20の通路を通過する各メダル間の通過間隔を計時し、これが予め設定された時間(基準時間という)よりも短い場合に不正行為が行われたと判断してエラー処理を行う。
メダルの通過間隔の計時は、主制御部300で実行される割り込み処理を利用しておこなう。上述した通り、本実施形態では割り込み処理が1.877msの周期で行われため、あるメダルの通過の検出から次のメダルの通過の検出までの割り込み処理の実行回数に1.877msを乗算した値がメダルの通過間隔となる。本実施形態では、RAM313の所定のエリア上に遊技開始処理中の割り込み処理の実行回数を記憶しておき、これをソフトウエアカウンタにより更新していくことで割り込み処理の実行回数をカウントし(以下、このソフトウエアカウンタをメダル通過計時カウンタという。)、当該実行回数をもって通過間隔を計時する。
基準時間は、実際にメダルを投入した場合のメダルの通過間隔を実測し、その実測値に基づいて定めることができる。本実施形態では、実際にメダルを投入した場合、メダルの通過間隔は少なくとも20msec程度はかかるとして、通過する各メダル間(つまり通過間隔)において、割り込み処理の実行回数が11回(11×1.877msec=20.647msec)に至らない場合は不正行為が行われたと判定してエラー処理を行う。なお、本実施形態ではメダル通過計時カウンタのカウント値の初期値として11回を最初に設定しておき、割り込み処理が実行される度に1つずつ減算していき、あるメダルの通過の検出から次のメダルの通過の検出までにメダル通過計時カウンタのカウント値が0に至らなかった場合にエラー処理を行うが、これとは逆に、割り込み処理が実行される度に1つずつ加算していき、あるメダルの通過の検出から次のメダルの通過の検出までにメダル通過計時カウンタのカウント値が11を超えなかった場合にエラー処理を行うようにしてもよい。以下、処理の詳細を述べる。
<遊技開始処理>
図5を参照してS102の遊技開始処理について説明する。図5はS102の遊技開始処理を示すフローチャートである。S111では規定枚数を設定する。規定枚数とは、その遊技においてベット可能な最大のメダル数を意味する。規定枚数は、スロットマシン100の遊技の仕様によるが、例えば、通常遊技の場合は3枚に設定され、RBゲーム等においては1枚に設定される。S112では割り込みステータスをメダル投入処理中へ設定する。割り込みステータスとは、割り込み処理で実行すべき処理の内容を示す情報である。割り込み処理で実行される内容は複数種類あり、S112の設定により、その後実行される割り込み処理ではメダル投入処理中の内容のものが選択されることになる。
S113ではメダル投入異常か否かが判定され、該当する場合はS118へ進み、そうでない場合はS114へ進む。メダル投入異常か否かは、後述する割り込み処理においてメダル投入異常が設定されたか否かに依存し、このメダル投入異常は上述した図21の器具を用いた不正行為が検出された場合も含まれる。S114では、投入されたメダルの枚数が1枚以上か否かを判定する。該当する場合はS115へ進み、そうでない場合はS113へ戻る。S115ではスタートレバー135が操作されたか否かを判定する。該当する場合はS116へ進み、そうでない場合はS113へ戻る。S116では5本の入賞ライン114のうち今回の遊技で有効な入賞ライン数を設定する。上述した通り、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、規定枚数が1枚の場合はメダル1枚の投入で、例えば中段の水平入賞ラインが有効となる。
S117では割り込みステータスをメダル投入処理中から、次のステータスへ設定する。これにより割り込み処理においてメダル投入処理中の内容の処理の実行が終了することになる。S118ではエラー処理を行う。エラー処理の内容は種々選択できるがここでは遊技回数表示器126に所定のエラーコードを表示させ、遊技を中断する。この状態はスロットマシン100に設けられたリセットスイッチが操作されると解除される。なお、エラー処理の内容はこれに限られず、例えば、警報を発したり、或いは、ホールコンピュータにエラーが生じたことを示す情報を送信する、といったことが挙げられる。
<割り込み処理>
次に、図6(a)を参照して上述した割り込み処理の詳細について説明する。S121ではCPU310の各レジスタの情報をRAM313に退避する等の処理(現在処理中のデータの一時保存)を行う。S122では、入力インターフェース360のポートの値を取得し、RAM313の所定のエリアに保存する。図6(b)は入力インターフェース360のポートの各ビット(8ビット)の割り当てを示す図である。図2を参照して説明した通り、入力インターフェース360にはメダル投入センサ320等が接続されており、メダル投入センサ320aの検出結果はビットD0に、メダル投入センサ320bの検出結果はビットD1に、それぞれ割り当てられている。以下、各ポートの値のうち、メダル投入センサ320の検出結果を示すビットD0及びD1の値をメダルセレクタ状態ともいう。なお、RAM313の上記所定のエリアには複数回分のポートの値が保存され、S122では今回取得したポートの値を最も古いポートの値に上書きされる。
S123では現在の割り込みステータスがメダル投入処理中か否かを判定する。メダル投入処理中の場合はS125へ進み、後述する遊技メダル投入受付処理を実行する。そうでない場合はS124へ進み、現在の割り込みステータスに応じた処理を実行する。S126ではタイマカウンタを更新する処理を行う。タイマカウンタは複数種類存在するが、上述したメダル通過計時カウンタもその一つに含まれる。メダル通過計時カウンタはこのS126の処理によりカウント値を一つ減算する(カウント値が0の場合は減算しない)。S127ではS121で退避した各レジスタの情報を復帰する等の処理を行い、1単位の割り込み処理が終了する。
<遊技メダル投入受付処理>
次に、図6(c)を参照してS125の遊技メダル投入受付処理について説明する。S131ではメダルセレクタ処理を行う。処理の詳細は後述する。S132ではその他の処理を行う。ここでは、例えば、精算ボタン132の受付処理やメダル投入ボタン130、131の受付処理等を行う。
<メダルセレクタ処理>
次に、図7を参照してS131のメダルセレクタ処理について説明する。S141ではRAM313に保存してある前回のメダルセレクタ状態を取得する。S142ではRAM313に保存してある今回のメダルセレクタ状態を取得する。S143ではメダルブロッカ21eが返却状態か否かを判定する。該当する場合は処理を終了し、そうでない場合はS144へ進む。S144ではS141で取得した前回のメダルセレクタ状態とS142で取得した今回のメダルセレクタ状態とを比較し、メダルセレクタ状態に変化があったか否かを判定する。変化があった場合はS145へ進み、そうでない場合は処理を終了する。
S145では正常通過判定データを取得する。正常通過判定データとは、投入されたメダルが正常にメダルセレクタ20を通過しているか否かを判定するためのデータでありROM312に格納される。これを図8を参照して説明する。図8はメダルが正常にメダルセレクタ20を通過した場合における、各メダル投入センサ320a、320bの検出結果の変化を示している。同図の状態ST1はメダル投入センサ320をメダルが通過していない状態を示しており、いずれのメダル投入センサ320a、320bも非検出状態となっている。同図の状態ST2ではメダル投入センサ320aが検出状態となっているがメダル投入センサ320bは非検出状態となっている。メダル投入センサ320aと320bは、相対的にメダル投入センサ320aが通路の上流側に配置されているため、同図の状態ST2に示すようにメダルの通過はまずメダル投入センサ320aで検出される。
同図の状態ST3ではいずれのメダル投入センサ320a、320bも検出状態となっている。これは、メダルがメダル投入センサ320a、320bの双方を通過中であることを示す。同図の状態ST4ではメダル投入センサ320aが非検出状態となり、メダル投入センサ320bは検出状態のままとなっている。これは、メダルがメダル投入センサ320aを通過したが、メダル投入センサ320bを通過中であることを示す。同図の状態ST4の後、再び、状態ST1に戻る。
このように本実施形態では、メダル投入センサ320aと320bは、相対的にメダル投入センサ320aが通路の上流側に配置されているため、メダルが正常に通過した場合、メダル投入センサ320の検出結果、つまり、メダルセレクタ状態は、ST1→ST2→ST3→ST4→ST1...と推移する。そして、正常通過判定データは各状態ST1〜ST4の場合のメダルセレクタ状態の値からなるデータであり、前回の処理において状態ST1であった場合には今回のS145の処理で状態ST2のデータが取得され、前回の処理において状態ST2であった場合には今回のS145の処理でST3のデータが取得される、といった具合に、各状態ST1〜ST4のデータを循環的に取得していく。
図7に戻り、S146ではS142で取得した今回のメダルセレクタ状態とS145で取得した正常通過判定データとを比較して、正常通過中であるか否かを判定する。正常通過中の場合はS148へ進み、そうでない場合はS147へ進む。ここでは、例えば、S142で取得した今回のメダルセレクタ状態が図8に示す状態ST2であり、S145で取得した正常通過判定データで取得した正常通過判定データが図8に示す状態ST2である場合には、正常通過と判定される。逆に、S142で取得した今回のメダルセレクタ状態が図8に示す状態ST3であり、S145で取得した正常通過判定データで取得した正常通過判定データが図8に示す状態ST2である場合には、メダルの通過が状態ST2の状態を経ずに行われたことになり、何らかの異常があったとして正常通過中でないと判定される。
S147ではメダル投入異常を設定する。この設定が行われると、図5のS113でメダル投入異常と判定されてS118のエラー処理が行われることになる。S148ではメダルが正常に通過を完了したか否かを判定する。正常に通過を完了した場合とは、図8の状態ST4から状態ST1へ移行した場合である。該当する場合はS151へ進み、そうでない場合は処理を終了する。S151ではメダル通過計時カウンタのカウント値が0か否かを判定する。0でない場合はS152へ進み、0の場合は図21に示す器具等を用いて不正行為が行われたとしてS147へ進む。S147へ進むことで、メダル投入異常が設定され、図5のS113でメダル投入異常と判定されてS118のエラー処理が行われることになる。なお、本実施形態では、S146によるメダルの正常通過の判定で正常通過でなかった場合と、S151による図21に示す器具等を用いた不正行為の検知と、の場合で、同様のメダル投入異常を設定しているが、これらのメダル投入異常を区別して取扱い、S118のエラー処理では異なるエラー処理を行っていずれのエラーかが明らかになるようにしてもよい。
S152ではメダル通過計時カウンタに初期値(11)をセットする。S153ではメダルの投入枚数が図5のS111で設定した規定枚数よりも少ないか否かを判定する。該当する場合はS155へ進み、ベット枚数として投入されたメダルを加算する。該当しない場合はS154へ進み、貯留枚数がその最大数である50よりも小さいか否かを判定する。該当する場合はS155へ進み、スロットマシン100に電子的に貯留されるクレジットのメダルとして投入されたメダルを加算する。該当しない場合は処理を終了する。以上によりメダルセレクタ処理が終了する。なお、S155のメダルの加算は、S153からの場合はベット枚数カウンタにより、また、S154からの場合は貯留枚数カウンタとにより行われる。ベット枚数カウンタ及び貯留枚数カウンタは、RAM313の所定のエリア上に各カウント値が記憶され、各カウント値を更新することでベット枚数、貯留枚数をカウントするソフトウエアカウンタである。ベット枚数カウンタは1回の遊技の終了時にクリアされる。
このように本実施形態ではメダルセレクタ20の通路を通過する各メダル間の通過間隔を計時し、これが基準時間よりも短い場合に不正行為が行われたと判断してエラー処理を行い、不正行為を防止することができる。ここで、本実施形態では、各メダル間の通過間隔の計時を、あるメダルがメダル投入センサ320を通過完了した時に開始し(S152)、次のメダルがメダル投入センサ320を通過完了した時に終了して基準時間に至っているかを判定している(S151)。同時に新たな計時を開始することになる(S152)。図9は計時される時間と各メダル投入センサ320a及び320bの検出状態の変化とを示す図である。同図に示すように、本実施形態では下流側のメダル投入センサ320bの立下りで計時を開始し、次の立下りで計時を終了すると共に次の計時を開始している。そして、通過間隔である、その間の時間Nが20.647msec以下であればエラーとなる。なお、通過間隔の計時の開始、終了の時期は、このようにメダルの通過完了を基準とすることで、メダルが正しく通路を通過したことを前提として計時できる点で望ましいが、これに限られず、例えば、図10のT1乃至T5のいずれでもよい。但し、T5のように、あるメダルの通過終了をメダル投入センサ320bで検出し、これを計時開始として次のメダルの通過開始をメダル投入センサ320aで検出し、これを計時終了とする場合のように、通過間隔の基準を変更する場合にはこれに合わせて基準時間も変更する必要があることはいうまでもない。
<第2実施形態>
上述した通り、図21に示した器具を用いた不正行為では、発光素子4の点滅周期が極めて早く、メダル投入センサ320の検出周期は実際にメダルを検出する場合よりも著しく早い。このことは、所定の時間内において、投入されたものとして検出されるメダルの数が、実際にメダルを投入する場合よりも著しく多いことを意味する。そこで、本実施形態では所定時間内における、メダルセレクタ20の通路を通過したメダルの数が、予め設定された数(基準数という)を超えたか否かを判定し、基準数を超えたと判定された場合に、エラー処理を行う。以下、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図11は第2実施形態におけるメダルセレクタ処理(図7に相当する)を示すフローチャートである。図11において図7と同じ処理を行うステップについては同じ符号を付しており、その説明を割愛する。
第2実施形態のメダルセレクタ処理について概説すると、第2実施形態では、上述したメダル通過計時カウンタに代えて、所定時間内における、メダルセレクタ20の通路を通過したメダルの数をカウントするソフトウエアカウンタとしてメダル数カウンタを、また、当該所定時間を計時するソフトウエアカウンタとしてメダル通過数計時カウンタを、用いる。これらのカウンタも上述したメダル通過計時カウンタと同様にRAM313の所定のエリア上にカウント値を記憶しておき、これを更新していく。メダル通過数計時カウンタによる計時する時間は任意に定められるが、ここでは399.804msecを想定している。メダル通過数計時カウンタは、上述したメダル通過計時カウンタと同様に割り込み処理の割り込み周期を利用して、割り込み処理の実行回数が213回(213×1.877msec=399.804msec)に至った場合を1単位としてメダルの通過数をカウントする時間を計時する。具体的にはメダル通過計時カウンタのカウント値の初期値として213を設定し、図6のS126の処理を経ることに1つずつ減算し、0になった時にタイムアップとする。
基準数はメダル通過数計時カウンタにより計時される1単位の時間に応じて設定される。本実施形態の場合、実際にメダルが投入される場合には、399.804msec内に少なくとも10枚以上投入されることはないことから基準数を9に設定する。そして、本実施形態ではメダル数カウンタのカウント値の初期値として9を設定し、メダルの通過毎に1つずつ減算し、メダル通過数計時カウンタのタイムアップ前にカウント値が0になった場合はエラー処理を行う。なお、本実施形態ではメダル数カウンタのカウント値の初期値として9回を最初に設定しておき、メダルの通過の度に1つずつ減算していくが、これとは逆に、メダルの通過の度に加算していき、基準数との対比を行うようにしてもよい。
ここで、上述した第1実施形態では、メダルセレクタ20の通路を通過する各メダル間の通過間隔を個別に計時し、これが基準時間よりも短い場合にエラー処理を行うため、不正行為の誤検知を防止すべく、基準時間は実際にメダルが投入された場合の最短の通過間隔よりも短くする必要があり、比較的シビアに設定される。しかし、複数枚のメダルが実際に連続して投入された場合、人間がメダルを投入する以上、各メダル間の通過間隔が全て最短の通過間隔となることは現実には有り得ない。つまり、この第2実施形態においてメダル通過数計時カウンタにより計時する1単位の時間は、必ずしも”最短の通過間隔×基準数”である必要がなく、より長い時間を設定しても不正行為の誤検知を防止できる。この結果、図21に示す器具を用いた不正行為の捕捉率を高めることができる。
図11において、S161ではメダル通過数計時カウンタのカウント値が0か否かを判定する。該当する場合はS162へ進み、該当しない場合はS164へ進む。S162ではメダル通過数計時カウンタのカウント値を初期値(213)にセットする。これはメダルの通過数をカウントする時間がタイムアップしたことを意味する。S163ではメダル数カウンタのカウント値を初期値(9)にセットする。S164ではメダル数カウンタのカウント値が0か否かを判定する。該当する場合はS162へ進み、該当しない場合はS165へ進む。S165ではメダル数カウンタを一つ減算する。S166ではメダル数カウンタのカウント値が0か否かを判定する。該当しない場合は処理を終了し、該当する場合はS147へ進む。この後、図5のS118にてエラー処理が行われることになる。
このように本実施形態では所定時間内にメダルセレクタ20の通路を通過するメダルの数をカウントし、所定時間内における、メダルセレクタ20の通路を通過したメダルの数が、予め設定された基準数を超えたか否かを判定し、基準数を超えたと判定された場合に、エラー処理を行うことで、不正行為を防止することができる。ここで、本実施形態では、メダルの通過数をカウントする時間の計時及びメダルの通過数のカウントを、あるメダルがメダル投入センサ320を通過完了した時に開始し(S162、S163)、所定時間T(399.804msec)の経過後に新たな計時及び通過数のカウントを開始することになる(S162、S163)。図12は計時される時間及びメダル数カウンタのカウント値と各メダル投入センサ320a及び320bの検出状態の変化とを示す図であり、(a)は実際にメダルが投入された場合、(b)は図21に示す器具による不正行為が行われた場合を示す。同図に示すように、本実施形態では下流側のメダル投入センサ320bの立下りで計時及びメダル通過数のカウントを開始しているが、開始のタイミングはいつでもよい。そして、図12(b)に示すように不正行為の場合には、所定時間Tの経過前にメダル通過数が基準数に達しており、エラー処理が行われることになる。図12(a)に示すように実際にメダルが投入された場合には所定時間Tの経過時でもメダル通過数が基準数に達していない。
<第3実施形態>
図21に示した器具を用いた不正行為では、発光素子4の点滅が制御回路3で制御されるため、周期的に行われる。つまり、実際にメダルが投入された場合は周期的に投入されるわけではなく、むしろランダムに投入されるため、メダル投入センサ320の検出波形も非周期的となるが、図21に示した器具を用いた不正行為が行われた場合、メダル投入センサ320の検出波形が極めて周期性が高い。従って、メダル投入センサ320の過去の検出波形と今回の検出波形とが略一致する場合には図21に示した器具を用いた不正行為が行われたと判断できる。
そこで、本実施形態ではメダル投入センサ320の検出結果に基づく検出状態情報を記憶しておき、記憶された過去の検出状態情報と今回の検出状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて、エラー処理を行うようにする。本実施形態ではこの検出状態情報として、メダルセレクタ20の通路を通過する各メダル間の通過間隔を計時し、その通過間隔とする。そして、過去の通過間隔と今回の通過間隔との差が予め設定された範囲内である場合にエラー処理を行う。尤も、この検出状態情報としては、例えば、メダル投入センサ320の検出状態の時間等、他の情報を用いてもよい。図21に示した器具を用いて不正行為が行われた場合、メダル投入センサ320の検出状態の時間が実際にメダルが投入された場合と異なり、毎回同じ略同じ時間となるからである。この点、上述した第1及び第2の実施形態では、図21に示した器具を用いた不正行為では、発光素子4の点滅周期が極めて早く、メダル投入センサ320の検出周期は実際にメダルを検出する場合よりも著しく早いことに着目したものであるが、この第3実施形態では発光素子4の点滅周期が遅い場合にも、その不正行為を検知できる。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図13は第3実施形態におけるメダルセレクタ処理(図7に相当する)を示すフローチャートである。図13において図7と同じ処理を行うステップについては同じ符号を付しており、その説明を割愛する。
第3実施形態のメダルセレクタ処理について概説すると、第3実施形態では、上述したメダル通過計時カウンタを用いてメダルセレクタ20の通路を通過する各メダル間の通過間隔を計時する。メダル通過計時カウンタの初期値は任意に定めることができるが本実施形態では1000にセットする。そして、メダル通過計時カウンタのカウント値と初期値との差(つまり通過間隔を示す値となる)をRAM313の所定のエリアに保存しておき、過去の通過間隔と現在の通過間隔とを比較する。比較の結果、通過間隔の差が所定の範囲(基準範囲という。ここでは5とする。約9.1msec。)内にない場合はエラー処理を行う。但し、計時誤差を考慮して、通過間隔の差が基準範囲内にない場合が複数回連続した場合(ここでは4回とする。)にエラー処理を行うようにする。この連続した回数はエラーカウンタによりカウントする。エラーカウンタは、メダル通過計時カウンタと同様にRAM313の所定のエリア上にカウント値を記憶しておき、これを更新していくソフトウエアカウンタである。なお、基準範囲は、実際にメダルを投入した場合の各通過間隔の差を実験等により求めておき、実際にメダルを投入した場合にエラー処理が実行されないように設定される。
図13において、S171ではメダル通過計時カウンタの初期値(1000)と今回のカウント値との差を求めて通過間隔を算出し、RAM313上の所定のエリアに保存する。S172ではRAM313上の所定のエリアに保存された過去の(ここでは前回の)通過間隔を取得し、今回の通過間隔と比較する。本実施形態ではここでは両者の差をとる。S173ではS172の比較の結果、今回の通過間隔と前回の通過間隔との差が基準範囲内か否かを判定する。該当する場合はS174へ進み、該当しない場合はS176へ進む。該当する場合とは、つまり、図21の器具で不正行為が行われた蓋然性が高いことを示す。S174ではメダル通過計時カウンタに初期値をセットする(本例では1000)。S175では、エラーカウンタのカウント値を一つ加算する。S176ではエラーカウンタのカウント値が所定値(ここでは4)以上か否かを判定する。つまり、図21の器具で不正行為が行われた蓋然性が高い場合が連続して4回続いたか否かが判定される。該当する場合はS147へ進む。この後、図5のS118にてエラー処理が行われることになる。該当しない場合はS153へ進む。S177ではエラーカウンタを0にクリアする。S178ではメダル通過計時カウンタに初期値をセットする(本例では1000)。以上により処理が終了する。
このように本実施形態ではメダル投入センサ320の検出結果に基づく検出状態情報を記憶しておき、記憶された過去の検出状態情報と今回の検出状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて、エラー処理を行うことで、不正行為を防止することができる。本実施形態では、各メダル間の通過間隔の計時を、あるメダルがメダル投入センサ320を通過完了した時に開始し(S177)、次のメダルがメダル投入センサ320を通過完了した時に終了して(S171)、今回と過去(前回)の通過間隔を比較している(S173)。つまり、図14に示すように、時間T1とT2とを比較していることになるが、通過間隔の計時の開始時期及び終了時期についてはこれに限られないことはいうまでもない。
<第4実施形態>
一般にスロットマシンでは、遊技者が投入し、かつ、電子的に貯留されたメダルの数を表示する表示器が設けられる。本実施形態においても貯留枚数表示器127が設けられており、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数が表示される。ここで、貯留枚数表示器127の表示の更新は、投入したメダルの枚数を遊技者が視認し易いように、所定のタイミングで更新される。より具体的には、遊技者がメダルを投入することで貯留枚数カウンタによりメダルの貯留枚数がカウントされるのであるが、このカウントと同期して貯留枚数表示器127の表示の更新を行うと、遊技者がメダルを連続して素早く投入した場合に表示の更新が早すぎて数値が飛んで表示されるように見えてしまう場合がある。つまり、実際には、例えば、1→2→3→4...と表示されるのであるが、遊技者に見える表示は、1→4となる場合がある。このため、一般に貯留枚数表示器127の表示の更新は、遊技者が視認し易いように、貯留枚数カウンタのカウントタイミングとは独立した、ある一定の周期で更新され、遊技者がメダルを連続して素早く投入した場合には貯留枚数表示器127の表示の更新は投入タイミングに若干遅れて実行されることになる。
一方、上述した通り、図21に示した器具を用いた不正行為では、不正行為を一瞬で終了すべく、発光素子4の点滅周期は極めて早く、メダル投入センサ320の検出周期は実際にメダルを検出する場合よりも著しく早い。従って、貯留枚数表示器127の表示の更新は、貯留枚数カウンタのカウント値の更新よりも極めて遅れて実行されることになる。そこで、本実施形態では、貯留枚数カウンタによりメダルセレクタ20の通路を通過したメダルの数をカウントし、貯留枚数カウンタのカウント値に至るまで、貯留枚数表示器127に表示する投入枚数(貯留数)の数値を貯留枚数カウンタとは独立したタイミングでカウントし、両者のカウント値の差が予め定めた値を超えた場合に、エラー処理を行う。貯留枚数表示器127に表示する投入枚数は、表示枚数カウンタによりカウントする。表示枚数カウンタは、RAM313上の所定のエリアにカウント値が記憶され、これを更新することで貯留枚数表示器127に表示する投入枚数をカウントするソフトウエアカウンタである。また、表示枚数カウンタのカウントタイミングは、表示更新計時カウンタにより定められる。表示更新計時カウンタもRAM313の所定のエリア上にカウント値を記憶しておき、これを更新していくソフトウエアカウンタである。本実施形態では、貯留枚数表示器127の表示の更新を遊技者が視認できるように、表示枚数カウンタを約85msecの周期で更新する。しかして、表示更新計時カウンタは、初期値として45を設定し、図6のS126の処理を経ることに1つずつ減算し、0になった時に表示枚数カウンタの更新タイミングとする。従って、表示枚数カウンタの更新タイミングは、84.465msec(=1.877msec×45)の周期となる。
以下、第4実施形態の詳細について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図15は第4実施形態におけるメダルセレクタ処理(図7に相当する)を示すフローチャートである。図15において図7と同じ処理を行うステップについては同じ符号を付しており、その説明を割愛する。図15において、S181では表示更新計時カウンタのカウント値が0か否かを判定する。0の場合は貯留枚数表示器127の表示更新のタイミングであるとしてS182へ進み、そうでない場合は処理を終了する。S182では目標枚数と表示枚数カウンタのカウント値が一致するか否かを判定する。目標枚数とは現在の貯留枚数カウンタのカウント値である。一致する場合は処理を終了し、一致しない場合はS183へ進む。S183では表示枚数カウンタのカウント値を1つ加算する。S182とS183との処理により表示枚数カウンタは目標枚数に至るまでカウントを行うことになる。
S184ではS183で加算した表示枚数カウンタのカウント値により貯留枚数表示器127の表示を更新する。S185では目標枚数と表示枚数カウンタのカウント値との差を算出する。S186ではS185の算出結果が所定値を超えるか否かを判定する。この所定値としては例えば10である。この場合、メダル10枚分の表示の遅延が生じているかを判定していることになる。超える場合はS147へ進む。この後、図5のS118にてエラー処理が行われることになる。超えていない場合はS187へ進み、表示更新計時カウンタのカウント値を初期値(45)にセットして処理を終了する。
このように本実施形態では不正行為を防止することができる。図16はメダル投入数カウンタ及び表示枚数カウンタのカウント値の変化を示す図であり、(a)は実際にメダルが投入された場合、(b)は図21に示す器具による不正行為が行われた場合を示す。同図のTは表示枚数カウンタの更新周期を示す(84.465msec)。図16(a)に示す実際にメダルが投入された場合では、表示枚数カウンタのカウント値が6の時に貯留枚数カウンタのカウント値が7であり、1枚分の遅れしかない。一方、図16(b)に示す不正行為が行われた場合は表示枚数カウンタのカウント値が6の時に貯留枚数カウンタのカウント値が10であり、4枚分の遅れが生じており、実際にメダルが投入された場合よりも著しく遅れていることがわかる。
<第5実施形態>
上記各実施形態ではソフトウエアにより、図21に示す器具を用いた不正行為の防止を行った。ソフトウエアによる対応により既存のスロットマシンのハードウエアについてはそのまま利用できる点で利便性が高いが、ハードウエアの工夫により図21に示す器具を用いた不正行為を防止することもできる。その例を以下に説明する。なお、本実施形態は上記各実施形態と組み合わせることも可能である。
第1に、メダルの通路に対する、メダル投入センサ320a及び320bの発光素子及び受光素子の配置が反転するように、センサユニット21gの取付けの向きを変更可能に構成することができる。例えば、図18(c)の例では受光素子が同図の右側に、発光素子が同図の左側にあるが、センサユニット21gを同図の左右にひっくり返して、受光素子が同図の左側に、発光素子が同図の右側に、それぞれ位置するようにする。図21に示す器具は、各メダル投入センサ320a及び320bの発光素子及び受光素子の配置に応じて発光素子4の配置が固定的に定められているため、メダル投入センサ320a及び320bの発光素子及び受光素子の配置を反転すれば、図21の器具における発光素子4が各メダル投入センサの受光素子と対応しないようにさせることができ、不正行為を防止できる。
第2に、各メダル投入センサが、それぞれ、メダルの通路に対するその発光素子及び受光素子の配置を、独立して設定できるように、メダルの通路に取り付けられる構成を採用することができる。上記各実施形態においては、2つのメダル投入センサ320a及び320bが一体に設けられたセンサユニット21gを用いているため、各メダル投入センサ320a及び320bの発光素子及び受光素子の配置は、上述した第1の例を採用しても2通りである。そこで、2つのメダル投入センサ320a及び320bを一体的にユニット化せず、それぞれ独立して取り付けるようにすることで、各メダル投入センサ320a及び320bの発光素子及び受光素子の配置の選択肢が増え、図21の器具における発光素子4が各メダル投入センサの受光素子と対応しないようにさせることをより一層可能とし、不正行為を防止できる。以下、この第2の例をより詳細に説明する。
図17(a)は、第5実施形態によるメダル投入センサ320a’及び320b’の外観斜視図、(b)乃至(e)はメダル投入センサ320a’及び320bの配置のバリエーションを示す図である。図17(a)に示すように本実施形態では2つのメダル投入センサをユニット化したものではなく、個別に取り付けられるメダル投入センサ320a’及び320b’を採用している。しかして、各メダル投入センサ320a’及び320b’は独立して取り付けられるので、図17(b)乃至(e)に示すように発光素子と受光素子とがそれぞれ逆となるように配置して取り付けることができる。この際、各メダル投入センサ320a’及び320b’の前後を入れ替えると、図6(b)に示したポートのビットD0、D1の割り当て、又は、図7のS145で説明した正常通過判定データのいずれかを修正する必要があるため、各メダル投入センサ320a’及び320b’の前後を入れ替えないことが望ましく、この場合、図17(b)乃至(e)に示すように、発光素子と受光素子との配置関係は2×2=4通りとなる。
そして、図17(b)乃至(e)のいずれかの配置を選択して、スロットマシン100毎にメダル投入センサ320a’及び320b’の配置を変えれば、図21に示す器具を用いて不正行為を行おうとしても1/4の確率でしか発光素子4の配置が合致せず、不正行為が防止される。なお、発光素子4の配置が合致しない場合、例えば、図7等のS146に示す正常通過中か否かの判定においてエラーとなる。更に、上述した各実施形態のソフトウエアによる不正行為の防止と併用すれば、一層効果的に図21の器具を用いた不正行為を防止できる。