JP3791378B2 - 車両用ベントダクト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車室内の空気を車外へ流出させる車両用ベントダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等には、換気装置の一つとして車室内の空気を流出させるベントダクトが備えられている。ベントダクトは、車室内からの空気が通過する空気流出路と車外とを隔てて車体表面部分に設けられ、車外側にしか開口しないバタフライ弁に覆われた空気流出口を有する。
【0003】
車室内に空気が流入するとその分の空気が空気流出路に流入する。空気は空気流出路を通りベントダクトに到達し、バタフライ弁を車外側に開け空気流出口から車外に流出する。
【0004】
しかし、バタフライ弁が開くと、ロードノイズやパターンノイズ、ブレーキ鳴き等の車外からの透過音が、空気流出口を通じて車室内に入ってくるという問題がある。
【0005】
この透過音を低減するため、例えば、トラックに設置されるベントダクトについて実公平7−14021号公報には、空気流出路の一部に吸音材として発泡体を挿入し透過音を吸収するベントダクトが紹介されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記実公平7−14021号公報に紹介されているベントダクトは以下の問題点を有する。
【0007】
第一に、発泡体が空気流出路の一部を塞ぐ形で設置されているため、車室内からの空気を車外に流出させにくいという問題点がある。車外からの透過音の一部は空気流出路を介して車室内に伝達されるため、空気流出路に発泡体を設けることにより、ある程度透過音の伝達を抑制することはできる。しかし、空気流出路に発泡体という障害物があると車室内の空気の流出が困難となり、ベントダクトを設置した本来の目的が達成できなくなるおそれがある。
【0008】
第二に、車外からの透過音の音波が直接あたる部位に発泡体が設置されていないため、効率的に透過音を吸収できないという問題点がある。車外からの透過音は空気流出口から車内に侵入する。従って、透過音が直接あたるのはベントダクトの空気流出口と対向する背面側部分である。上記実公平7−14021号公報に紹介されているベントダクトでは、空気流出路には発泡体が設置されているが、この部分には設置されていない。したがって吸音の効率は必ずしも満足できるレベルのものではない。
【0009】
上記問題点に鑑み本発明者が鋭意研究を重ねた結果、透過音が直接あたる空気流出口と対向する車体表面の背面側部分に吸音材を設けることにより、車外から侵入する透過音を効率的に吸収し、かつ車室内からの空気の流出を阻害しない車両用ベントダクトを得ることができるとの知見を得た。
【0010】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、車室内からの空気を妨げることなく流出させ、また車外からの透過音を効率的に吸収するベントダクトを得ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の車両用ベントダクトは、車体に設置され、車室内空気を車外へ流出させる空気流出口を形成した枠体と該枠体に一端が固定され他端が車外側に開閉自在に配設されたバタフライ弁とを備えるダクト本体と、該ダクト本体の車内側に設置され、該ダクト本体に略平行な底面部と、該底面部と該ダクト本体とを接合する複数の側面部とを備える吸音室部と、を有する車両用ベントダクトであって、少なくとも該底面部の該空気流出口と対向する表面に吸音材を備え、複数の該側面部の少なくとも一面に空気を通すための空気通過口を形成するとともに、拡径された頭部をもつ釘状の取付ボスが少なくとも該底面部から突設され、該吸音材は該取付ボスにより保持されていることを特徴とする。
【0012】
つまり、本発明の車両用ベントダクトは、ダクト本体に、別途、底面部に吸音室部を備え側面部に空気通過口を備える吸音室部を配設したものである。車外で発生したロードノイズやパターンノイズ等の騒音は、空気流出口から車両用ベントダクトのダクト本体に侵入する。ダクト本体を通過した透過音は底面部に設けられた吸音材に直接衝突する。衝突により透過音のエネルギが吸音材との摩擦により熱エネルギ等に変換されることにより音が吸収される。透過音のエネルギが大きく一回の衝突で全てのエネルギが熱エネルギに変換されない場合もある。この場合でも、吸音材に反射された透過音がベントダクト内で再反射され、繰り返し吸音材に衝突することにより、徐々に透過音のエネルギは熱エネルギに変換されていく。
【0013】
また、車室内の空気は、空気流出路を介して吸音室部の側面部に設けられた空気通過口からベントダクト内に流入する。この空気の流れに干渉する位置に吸音材を設けると空気のベントダクト内への流入、すなわち車室内からの空気の流出を吸音材が妨げることになる。本発明の車両用ベントダクトにおいては、ベントダクト内に流入する空気の流れに対して吸音材は平行に設置されているため、言い換えると側面部に対して吸音材が設けられている底面部が垂直に形成されているため、空気の流れが妨げられることはない。このため、車外への空気の流出が底面部の吸音材により妨げられることはない。
【0014】
本発明の車両用ベントダクトは、少なくとも底面部に吸音材、側面部の少なくとも一面に空気通過口を配設することにより、車室内からの空気を妨げることなく流出させ、かつ車外からの透過音を効率的に吸収することができる。
【0015】
ここで、吸音材は、主繊維とこの主繊維よりも低い融点を持つバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブをプレス成形することにより形成され、主繊維とバインダー繊維とが交絡しながら融着された略網目状構造を有する不織布からなる構成とする方が好ましい。
【0016】
つまりこの構成は、吸音材を不織布により形成するものである。不織布は、主繊維とバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブを、プレス成形することにより作製される。また作製された不織布は、主繊維とバインダー繊維とが交絡しながら融着された略網目状構造を有する。
【0017】
バインダー繊維の融点は主繊維の融点よりも低い。このため、バインダー繊維の融点以上、主繊維の融点未満の温度条件でプレス成形すると、バインダー繊維の表面が主繊維および他のバインダー繊維の表面と融着硬化される。したがって、この不織布からなる本構成の吸音材は形状保持性が高く、製品仕様に応じた所望の形状に加工することが容易である。
【0018】
また、主繊維とバインダー繊維とは略網目状構造を構成している。このため、主繊維とバインダー繊維とにより区画形成される空間(以下、「セル」と称す。)を多数形成することができる。上述したように、音のエネルギは吸音材と摩擦することにより熱エネルギ等に変換される。したがって、セルが多数形成されていると、音が衝突する吸音材の表面積が広くなる。このため本構成によると、より吸音効果が高くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用ベントダクトの実施形態について説明する。
【0020】
(1)第一参考実施形態
図1に本参考実施形態の車両用ベントダクトの分解図を示す。車両用ベントダクト1は、PP(ポリプロピレン)製のダクト本体2と、同じくPP製の吸音室部3とからなる。ダクト本体2は、板状であって階段状の凹部が二段形成されこの二段の凹部底面にそれぞれ空気流出口20が形成された枠体21と、枠体21の凹部底面に一端が固定され他端が車外側に開閉自在となるようにそれぞれの空気流出口20を車外側から覆って配設されたゴム製のバタフライ弁22とからなる。吸音室部3は、ダクト本体2が設置される枠体21の表面に平行で、表面全体にフェルト製の吸音材30が貼布された板状の底面部31と、底面部31とダクト本体2とを接合し、空気を通すための空気通過口32が全面(四面)に形成された側面部33とからなる。なお、吸音室部3はダクト本体2に図中矢印で示す位置において爪嵌合されている。
【0021】
車室内の空気が流出する際は、側面部33の全面の外側に設けられた空気流出路から、空気通過口32を介して空気が吸音室部3に流入する。ここで、吸音材30が貼られた底面部31は側面部33に対して垂直に形成されており、空気も側面部33に対して垂直方向から流入する。すなわち空気の流れと吸音材30とは平行である。このため流入する空気の流れを吸音材30が妨げることはない。吸音室部3に流入した空気は、ダクト本体2に流入し、バタフライ弁22を車外方向に押し開けて空気流出口20から車外に流出する。
【0022】
バタフライ弁22が車外方向に押し開けられると、空気流出口20から透過音が車内に侵入する。透過音はダクト本体2を通過し、吸音室部3の底面部31に貼られた吸音材30に直接衝突する。透過音のエネルギは吸音材との摩擦により熱エネルギに変換され、これにより透過音が低減される。
【0023】
参考実施形態においては、吸音材30は底面部31の表面全体に貼られている。このため、底面部にあたる透過音を効率よく低減することができる。ただし、吸音材の面積およびその厚さは特に限定するものではない。例えば、底面部の一部のみに薄く吸音材を貼る形態で実施することもできる。また、吸音材を貼る部位についても、本参考実施形態のように底面部のみでなく、例えば底面部と側面部の一面とに吸音材を貼る形態で実施することもできる。側面部にも吸音材を貼ると、底面部等にあたって反射した透過音や車体表面に対して低角度で侵入した透過音も吸収することができるため、より吸音効率に優れた実施形態となる。また、ベントダクトを設ける車体の部位により、すなわち車種により、透過音の車体表面に対する侵入角度は異なる。このため、側面部に貼る吸音材の面積、厚さ、吸音材を貼る部位は実験やシミュレーション等により決定する。また、ベントダクト本体から底面部までの距離、すなわち側面部の高さについても、ベントダクトを設ける車体の部位、透過音の周波数特性等を考慮し適宜決定すればよい。
【0024】
また、本参考実施形態においては吸音材30としてフェルトを用いた。フェルトは細い繊維が複雑に絡み合った構造を有し、繊維と空気との接触面積が大きい。このため音エネルギを熱エネルギに変換させやすい。また、フェルトは比較的安価である。従って、吸音材としてフェルトを用いた本参考実施形態の車両用ベントダクトは、低コストで吸音効率の高い、すなわちコストパフォーマンスに優れたベントダクトである。ただし、吸音材を形成する材料は特に限定するものではない。例えば、前述した不織布やPVC(ポリ塩化ビニル)フォームやPUR(ポリウレタン)フォーム等も吸音材として用いることができる。また、フェルトやPVCフォーム等は高周波領域、PURフォーム等は低周波領域に対する吸音効果が高いため、これらの材料を組み合わせて用いる態様で実施することもできる。なお、底面部そのものを吸音材で形成する場合も、本発明にいう底面部の表面に吸音材を備える形態に該当する。
【0025】
また、本参考実施形態においては、側面部33全面の全体に空気通過口32が形成されている。このため、車室内の空気を効率よく車外に流出させることができる。ただし、空気通過口の面積、および空気通過口を設ける部位は特に限定するものではない。充分な流出空気量を確保できる場合は、側面部のうち一面にのみ空気通過口を設ける形態で実施することもできる。また、本参考実施形態においては、側面部33の四面のうち対向する一対の面の空気通過口は半円形であり、他の一対の面の空気通過口は長方形であるが、空気通過口の形状についても特に限定するものではなく、空気流出路との接合具合等を考慮して適宜決定すればよい。
【0026】
また、本参考実施形態においては、ダクト本体2と吸音室部3とを爪嵌合することにより接合したが、クリップ、ピン、溶着等の従来から用いられている接合方法により接合することもできる。
【0027】
(2)第二参考実施形態
参考実施形態と第一参考実施形態との相違点は、吸音室部の構成のみである。したがって本項では、吸音室部についてのみ説明する。図2に、本参考実施形態の車両用ベントダクトの吸音室部の分解図を示す。なお、図1と対応する部材については同じ記号で示す。
【0028】
吸音室部3は、ダクト本体(図略)と対向する長方形状の底面部31と、底面部31の周縁からダクト本体方向に立設された側面部33とからなる。この側面部33の一面には、空気透過口32が形成されている。側面部33の残りの三面のうち互いに対向する二面と底面部31とには、コ字状に延びる上側取付リブ34と下側取付リブ36とが、平行に配列されている。また、底面部31には、ダクト本体方向に延びる取付ボス35が、計四本突設されている。なお、全ての取付ボス35は、上側取付リブ34と下側取付リブ36との間に配置されている。
【0029】
吸音材30は、コ字状を呈しており、底面には四つの取付孔300が穿設されている。この吸音材30は、図3に模式的に示すように、主繊維301とバインダー繊維302とが交絡して形成された略網目状構造を有する不織布からなる。このうち、主繊維301は繊維径20μmのPA繊維からなる。またバインダー繊維302は繊維径30μmのPE繊維からなる。そして主繊維301とバインダー繊維302とにより、多数のセル303が区画形成されている。図4に吸音材30が固定された吸音室部3の断面図を示す。図に示すように、吸音材30は、上側取付リブ34と下側取付リブ36との間に挿入配置されている。また吸音材30の取付孔300には、底面部31に配置された取付ボス35が嵌挿されている。このようにして吸音材30は吸音室部3に固定されている。
【0030】
なお、第一参考実施形態との相違点は、空気透過口32が側面部33の一面にのみ開口している点、吸音材30が不織布で形成されており底面部31のみならず側面部33にも配置されている点である。
【0031】
車室内の空気が流出する際は、空気流出路から空気通過口32を介して空気が吸音室部3に流入する。そして吸音室部3に流入した空気は、ダクト本体に流入し、バタフライ弁(図略)を車外方向に押し開けて空気流出口(図略)から車外に流出する。
【0032】
バタフライ弁が車外方向に押し開けられると、空気流出口から透過音が車内に侵入する。透過音はダクト本体を通過し、吸音室部3の吸音材30に衝突する。透過音のエネルギは吸音材30との摩擦により熱エネルギに変換され、これにより透過音が低減される。本参考実施形態の吸音材30は、不織布により形成されており多数のセル303を有している。このため透過音の吸音効果がより高くなっている。
【0033】
参考実施形態においては、吸音材30の底面に四つの取付孔300を穿設した。しかしながら取付孔300を設けない形態で実施してもよい。この形態であっても、底面部31の取付ボス35を吸音材30の底面に突き刺すことにより、吸音材を固定することができる。また、取付ボス35を設けずに、上側取付リブ34と下側取付リブ36との間に吸音材30を押し込むことにより吸音材30を固定することもできる。また、上側取付リブ34と下側取付リブ36とを設けずに、第一参考実施形態のように、吸音材30を底面部31および側面部33に貼り付けて固定することもできる。
【0034】
また、本参考実施形態においては、入手容易かつ安価であるため、主繊維301としてPA繊維を用いた。しかしながら、他の合成繊維や、または天然繊維を使用してもよい。
【0035】
また、本参考実施形態においては、主繊維301の繊維径を20μmとしたが、維径は特に限定するものではない。好ましくは、プレス成形における加工安定性を高めるため、10〜30μmとする方がよい。繊維径が10μm未満の場合には、吸音材30の強度が低下するおそれがある。また30μmを越える場合には、吸音材30全体に占める主繊維301の体積割合が高くなるため、セル303を多数形成することが困難となる。
【0036】
なお主繊維301の繊維長も特に限定しないが、プレス成形における加工安定性を高めるため、10〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセル303をより多く形成できることから、繊維に捲縮を付与する方が好ましい。
【0037】
また、本参考実施形態においては、入手容易かつ安価であるため、バインダー繊維302としてPE繊維を用いた。しかしながら、主繊維301を形成する樹脂よりも融点の低いあらゆる合成繊維を使用することができる。また単一成分の樹脂からなる繊維に限らず、芯鞘型やサイドバイサイド型などの構造をした複数成分の樹脂からなる複合繊維を使用してもよい。また好ましくは、リサイクル性に優れ低融点のPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維がよい。
【0038】
また、本参考実施形態においては、バインダー繊維302の繊維径を30μmとしたが、繊維径は特に限定するものではない。好ましくは、プレス成形における加工安定性を高めるため、10〜50μmとする方が好ましい。バインダー繊維302の繊維径が10μm未満の場合には、吸音材30の強度が低下するおそれがある。また50μmを越える場合には、吸音材30全体に占めるバインダー繊維302の体積割合が高くなるため、セル303を多数形成することが困難となる。
【0039】
なおバインダー繊維302の繊維長も特に限定しないが、プレス成形における加工安定性を高めるため、10〜100μmの範囲の短繊維であることが好ましい。さらに、微小なセル303をより多く形成できることから、繊維に捲縮を付与する方が好ましい。
【0040】
また、バインダー繊維302を形成する樹脂の融点は、好ましくは80〜170℃とする方がよい。バインダー繊維302を形成する樹脂の融点が80℃未満の場合には、使用条件によっては変形するおそれがある。また170℃を越える場合には、プレス成形における加工容易性が低下する。なお、主繊維301を形成する樹脂の融点とバインダー繊維302を形成する樹脂の融点との温度差は、20℃以上とする方が好ましい。温度差が20℃未満の場合には、プレス成形時にバインダー繊維302のみを溶融させることが極めて困難となる。このため略網目状構造を形成しにくくなる。
【0041】
また、主繊維301とバインダー繊維302との組合せのうち、最も好適なものが本実施形態の組合せである。すなわち主繊維301をPAで、バインダー繊維302をPEで形成する組合せである。この組合せによると、略網目状構造を持つ不織布を容易に形成することができる。またこの組み合わせによると、両繊維ともに充分な強度を保持しつつ、繊維径を小さくすることができる。このため、不織布中により微細かつ多数のセル303を形成させることが容易である。したがって、高い吸音性能を得ることができる。
【0042】
また、吸音材30を形成する不織布の繊維密度は、10kg/m3〜100kg/m3であるのが好ましい。繊維密度が10kg/m3未満の場合は、吸音材30の形状保持性が低下するおそれがある。また100kg/m3を越える場合は、繊維密度が高すぎて繊維間に隙間が形成されず、セル303の数が少なくなるおそれがある。
【0043】
また、不織布中に含まれるバインダー繊維302の含有割合も特に限定しないが、好ましくは20〜60質量%である。バインダー繊維302の含有割合が20質量%未満の場合には、吸音材30の形状保持性が低下するおそれがある。また60質量%を越える場合には、プレス成形時にバインダー繊維302が充分に溶融しないおそれがあり、バインダー繊維302の融着硬化が促進されず吸音材30の強度が低下するおそれがある。
【0044】
また、吸音材30の肉厚も特に限定しないが、好ましくは2〜8mmである。肉厚が2mm未満の場合は、多数のセル303を形成することができないため、充分な吸音効果を発揮することが困難となる。また8mmを越える場合は、吸音材30の製造コストが高くなり経済的でない。なお、吸音材30の目付け量も特に限定しないが、耳障りな音の周波数である1000〜2000kHzのパターンノイズをより効果的に吸収させることができることから、好ましくは0.8kg/m2〜1.3kg/m2である。
【0045】
(3)第一実施形態
本実施形態と第二参考実施形態との相違点は、取付ボスの形状のみである。したがって本項では、取付ボスについてのみ説明する。図5に吸音材が固定された吸音室部の断面図を示す。なお図4と対応する部材については同じ記号で示す。図に示すように、取付ボス35は、釘状を呈しており頭部350が拡径している。また取付孔300の内径は、この頭部350の外径よりも小さく設定されている。さらに取付ボス35の全長は、吸音材30の肉厚よりも長く設定されている。取付ボス35の頭部350は、取付孔300に挿入する前は拡径していない。すなわち挿入前の取付ボス35は同径の円柱状を呈している。取付ボス35を取付孔300に挿入すると、頭部350が吸音材30の表面から突出する。この突出した頭部350を押しつぶすことにより拡径させる。このようにして取付ボス35を釘状とする。本実施形態によると、この拡径した頭部350が吸音材30の脱落止めとして機能する。このため、より吸音材30の固定性が向上する。
【0046】
【発明の効果】
本発明の車両用ベントダクトは、ベントダクト本体とは別に吸音室部を設け、この吸音室部に吸音材を設置したものである。これにより本発明の車両用ベントダクトは、車室内からの空気を妨げることなく流出させ、また車外からの透過音を効率的に吸収するベントダクトとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一参考実施形態の車両用ベントダクトの分解図である。
【図2】 第二参考実施形態の吸音室部の分解図である。
【図3】 第二参考実施形態の吸音材の模式図である。
【図4】 第二参考実施形態の吸音材が固定された吸音室部の断面図である。
【図5】 第一実施形態の吸音材が固定された吸音室部の断面図である。
【符号の説明】
1:車両用ベントダクト、2:ダクト本体、20:空気流出口、21:枠体、22:バタフライ弁、3:吸音室部、30:吸音材、300:取付孔、301:主繊維、302:バインダー繊維、303:セル、31:底面部、32:空気通過口、33:側面部、34:上側取付リブ、35:取付ボス、350:頭部、36:下側取付リブ。

Claims (5)

  1. 車体に設置され、車室内空気を車外へ流出させる空気流出口を形成した枠体と該枠体に一端が固定され他端が車外側に開閉自在に配設されたバタフライ弁とを備えるダクト本体と、
    該ダクト本体の車内側に設置され、該ダクト本体に略平行な底面部と、該底面部と該ダクト本体とを接合する複数の側面部とを備える吸音室部と、
    を有する車両用ベントダクトであって、
    少なくとも該底面部の該空気流出口と対向する表面に吸音材を備え、複数の該側面部の少なくとも一面に空気を通すための空気通過口を形成するとともに、
    拡径された頭部をもつ釘状の取付ボスが少なくとも該底面部から突設され、該吸音材は該取付ボスにより保持されている車両用ベントダクト。
  2. 前記底面部の表面全体に前記吸音材を備える請求項1に記載の車両用ベントダクト。
  3. 複数の前記側面部の全面に前記空気通過口を形成した請求項1に記載の車両用ベントダクト。
  4. 前記吸音材は、主繊維と該主繊維よりも低い融点を持つバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブをプレス成形することにより形成され、該主繊維と該バインダー繊維とが交絡しながら融着された略網目状構造を有する不織布からなる請求項1に記載の車両用ベントダクト。
  5. 前記主繊維は繊維径が10〜30μmのポリアミド繊維により形成され、前記バインダー繊維は繊維径が10〜50μmのポリエステル繊維により形成されている請求項4に記載の車両用ベントダクト。
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