JP3790777B2 - 固体酸触媒の製造方法、及び、ガス除去部材の製造方法 - Google Patents

固体酸触媒の製造方法、及び、ガス除去部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体酸触媒及びガス除去部材製造方法に係り、特に、臭気を低減させるために用いられる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、悪臭を除去するための種々の方法が模索されており、悪臭の原因となるアンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレンなどを除去する製品が市販されている。これらの悪臭の除去技術としては、吸着、吸収、燃焼、オゾン酸化、マスキングなどがある。吸着処理には活性炭が最も良く使用される。また、吸収法は処理対象物質の化学反応性を利用して行われ、例えば、塩基性化合物には酸洗浄が、酸性化合物にはアルカリ洗浄がそれぞれ効果的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の悪臭の各種除去方法においては、悪臭の吸着、吸収等を用いているために、除去に用いる薬剤等の量が限定されている場合には、悪臭の除去効果が必ずしも充分ではなく、吸着や吸収度合いに応じて除去効率も低下するという問題点がある。特に、近年良く利用される空気清浄機などにおいては設置空間が限定されるとともに設置方法も限られるため、悪臭の除去性能の経時変化が大きくなることから、悪臭の除去を実用的に実施することが困難であるという問題点がある。
また、臭気の除去性能の高い吸収法(化学反応)を用いる場合には、塩基性化合物と酸性化合物とで異なる吸収剤を用いる必要があるため、悪臭の種類に応じて吸収剤を使い分けたり、或いは、塩基性化合物に適合した吸収剤と酸性化合物に適合した吸収剤とを併用したりする必要があり、使いにくいという問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、悪臭を効率的に除去できるとともに、限定された量であっても長期間、悪臭の除去性能を維持することのできる新規な組成物を提供することにある。また、塩基性と酸性のいずれの悪臭に対しても効果の高い新規な組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明により製造される固体酸触媒は、珪酸マグネシウム(2MgO・6SiO・xHO)と珪酸アルミニウム(Al・9SiO・xHO)から選ばれた少なくとも1種の構造部分を含む化合物に対して遷移金属酸化物の微粒子を担持させてなる固体酸触媒である。
【0006】
この固体酸触媒によれば、珪酸マグネシウムと珪酸アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の構造部分を含む化合物に対して遷移金属酸化物の微粒子を担持させることによって、塩基性、酸性のいずれの悪臭に対しても効率良く除去することができるとともに、その除去効率を長期間維持することができる組成物を得ることができる。この組成物は、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムが本来吸着剤として備えている吸着性能によって悪臭の分子を捕捉し、吸着させるとともに、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造中に担持された遷移金属酸化物の微粒子が助触媒的に作用することによって触媒としての機能が活性化され、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造部分の表面に存在する酸点(固体酸)によって悪臭の分子が化学的に置換され、分解されているものと考えられる。したがって、単なる吸着や化学反応を伴う吸収とは異なり、触媒作用によって悪臭が分解除去されるので、限定された量であっても効率的に、且つ、長期的に作用を発揮することができる。また、上記構造によって充分な抗菌力をも発揮することができる。
この場合、上記遷移金属酸化物は酸化チタン(二酸化チタン)であることが好ましく、特に、化学合成法によって形成された微粒子であることが好ましい。また、遷移金属酸化物としては、遷移金属酸化物として通常の環境下にて安定な物質であることが好ましく、例えば酸化チタン(TiO、Ti、TiO)、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マンガン(MnO、Mn、MnO、Mn、Mn)、酸化鉄(FeO、Fe、Fe)などが代表的なものである。また、その他の安定な遷移金属酸化物として、Sc、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hgの酸化物が存在する。
また、化合物としては、上記珪酸マグネシウムと珪酸アルミニウムとがそれぞれ単体で存在するものであっても、或いは、珪酸マグネシウムの構造部分と珪酸アルミニウムの構造部分が結合した構造を有するものであっても構わない。もちろん、珪酸マグネシウムである化合物と、珪酸アルミニウムである化合物とが単に物理的に並存していてもよい。上記の種々の化合物はいずれも化学合成法によって形成されたものであることが好ましい。
【0007】
この場合に、前記微粒子は、主として0.001〜1μmの範囲内の粒径を備えていることが好ましい。この発明によれば、0.001〜1μmの範囲内の粒径の微粒子を用いることによって、特に効果的に悪臭を分解除去することができる。上記のような細かな粒径の微粒子を用いることによって、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造中に入り込み易くなり、同構造中に多くの遷移金属酸化物が担持されるので、悪臭に対する触媒作用をさらに活性化させることができるものと考えられる。
【0008】
また、バインダーとしてコロイダルシリカを含むことが好ましい。これによれば、コロイダルシリカをバインダーとして用いることによって上記の触媒作用を妨げることなく、種々の物体上に保持させやすくなり、例えば、不織布などの通気性基材に対しても容易に固着させることが可能になる。
【0009】
本発明により製造されるガス除去部材は、上記の各発明に記載された固体酸触媒を通気性基材に保持させてなるものである。上記の固体酸触媒は僅かな量であっても充分な悪臭分解作用を発揮するため、基材に保持させるだけで容易に強力なガス除去部材を構成することが可能になる。なお、基材としては、特に不織布、紙、布、網状体などの通気性基材であることが望ましい。
【0010】
次に、本発明の個体酸触媒の製造方法は、珪酸マグネシウムと珪酸アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の構造部分を含む化合物からなる粒子を酸性下にて溶媒中に分散させ、遷移金属酸化物の微粒子と混合して合成懸濁液とすることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムは本来、それ自体で吸着剤として用いられ得るものであって、その液性もpHで7〜10とアルカリ側にあるため、そのまま水等の溶媒に入れても凝集しやすく、沈殿してしまう場合もあることから、取り扱いが困難になってしまうのに対し、酸性下において珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子を溶媒中に入れることによって当該粒子が分散しやすくなり、安定性の優れた合成懸濁液を得ることができるため、取り扱いが容易になり、安定した品質の固体酸触媒を形成することができる。ここで、上記粒子の平均粒径は3〜500μmであることが好ましく、遷移金属酸化物の微粒子の平均粒径は0.001〜1μmであることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記合成懸濁液を乾燥させて固形化することが好ましい。この発明によれば、固形化することによって種々の設置場所に設置することが容易になるとともに、種々の基材に固着させることも可能になるため、広範囲の設置態様を実現することができる。
【0013】
本発明において、前記微粒子を含む酸性懸濁液中に前記化合物からなる粒子を混合することによって前記合成懸濁液を形成することが好ましい。この発明によれば、酸化チタン粒子を含む酸性懸濁液中に上記化合物からなる粒子を混合することによってきわめて容易且つ安定的に合成懸濁液を得ることができる。
【0014】
本発明において、前記合成懸濁液中にはバインダーとしてコロイダルシリカを含ませることが好ましい。この発明によれば、バインダーとしてコロイダルシリカを含有させることによって、上記固体酸触媒の触媒能を低下させることなく、上記合成懸濁液を塗布して乾燥させるだけで種々の物質に容易且つ強力に固着させることができる。
【0015】
本発明において、前記化合物からなる粒子を酸性下にて溶媒中に分散させた後に、主として水とアルコール類から選ばれた少なくとも1種からなる液体で希釈して前記合成懸濁液を形成することが好ましい。この発明によれば、前記化合物からなる粒子を酸性下にて溶媒中に分散させた後に、主として水とアルコール類から選ばれた少なくとも1種からなる液体で希釈することによって、固体酸触媒を構成する組成を変更したり、固体酸触媒の固着状態や表面状態を変えたりすることができるものと思われ、これによって触媒能の最適化を図ることができる。また、希釈割合によって固体酸触媒の透明度や硬度、合成懸濁液のpHや揮発性などを調整することができる。この場合、特に、前記化合物からなる粒子を酸性下にて溶媒中に分散させるとともに上記微粒子を混合した後に希釈を行うことが、懸濁液の安定性を確保する観点からより好ましい。
【0016】
さらに、ガス除去部材の製造方法は、上記の各製造方法を用いて前記合成懸濁液を構成し、前記合成懸濁液を基材に塗布して乾燥させるものである。なお、基材としては、特に不織布、紙、布、網状体などの通気性基材であることが望ましい。
【0017】
また、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムと上記の微粒子との重量比に関しては、比較的広い範囲で臭気ガスの除去性能を得ることができるが、当該重量比が、0.001:1〜10:1の範囲内であることが好ましく、特に、除去性能を高く、しかも持続的に得るためには、0.5:10〜5:1の範囲内であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
珪酸マグネシウム(2MgO・6SiO・xHO)と珪酸アルミニウム(Al・9SiO・xHO)は、比較的大きな比表面積を備えており、その表面に酸性点と塩基性点を共有しているため、化学吸着(反応性吸着)と物理吸着とが同時に発生する。これは、従来石油精製等において用いられているSiO−Al触媒とは異なり、結晶構造中の表面ではSiOに類似した構造を備えているが、表面以外の部分ではSiO(ゼオライト)に類似した構造(4面体の頂点同士が結合した網目構造)を備えているものと考えられ、その性質としてもゼオライトに類似した特性を示す。本来SiOは塩基性であるが、上記の珪酸マグネシウムや珪酸アルミニウムは結晶中に酸性を示す固体部分、すなわち固体酸を多く含有している。これは、メチレンブルーをこれらに滴下すると酸性色を示すことで確認できる。
【0019】
上記の珪酸マグネシウムや珪酸アルミニウムは、例えばキョーワード600(珪酸マグネシウム)、キョーワード700(珪酸アルミニウム)(いずれも協和化学工業製)として入手することができる。これらはいずれも化学合成法によって形成された粒子状のものであり、最小粒径が3〜5μm、最大粒径が40〜400μmとなる範囲の粒度分布を備えている。なお、珪酸マグネシウムと珪酸アルミニウムとが共晶化したもの(酸化マグネシウムの構造部と酸化アルミニウムの構造部とが部分的に置き換わったもの)であってもよく、また、珪酸マグネシウムの粒子と珪酸アルミニウムの粒子とが単に混合されているものであってもよい。これらは通常、不定形の結晶的構造(アモルファス構造)を有するものと考えられるが、詳細な構造は不明である。平均粒径としては懸濁液を構成する都合上、3〜500μm程度であることが好ましい。
【0020】
本実施形態では、上記の珪酸マグネシウム(2MgO・6SiO・xHO)、或いは、珪酸アルミニウム(Al・9SiO・xHO)の粒子を溶媒中に分散させ、この状態で遷移金属酸化物の微粒子を混合することによって、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子の結晶構造中に遷移金属酸化物の微粒子を担持させ、さらに、このようにして形成した合成懸濁液を乾燥させて固化させる。
【0021】
ここで、遷移金属酸化物として通常の環境下にて安定な物質であることが好ましく、例えば酸化チタン(TiO、Ti、TiO)、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マンガン(MnO、Mn、MnO、Mn、Mn)、酸化鉄(FeO、Fe、Fe)などが代表的なものである。また、その他の安定な遷移金属酸化物として、Sc、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hgの酸化物が存在する。これらの中で最も好ましいものは酸化チタン(2酸化チタン)であり、この具体例は以下の実施例に記述されている。
このような遷移金属酸化物の微粒子としては少なくとも珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造中に担持され得る程度に小さな粒径を備えていることが好ましく、通常は平均粒径として1μm以下であることが好ましく、さらに0.001〜1μmの範囲内の平均粒径を備えていることが望ましいが、主としてこの範囲内に広がる粒度分布を備えていればよい。0.001μm未満の粒径を主な粒度分布として得ることは困難であり、1μmを越える粒径では珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造との結合がしにくくなり、後述する助触媒としての作用を果たしにくくなるからである。もっとも、本発明としては0.001〜1μmの範囲外の粒径の微粒子が存在することを排除するものではない。
【0022】
酸化チタン粒子の供給源としては、後述する酸性下における珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子の分散を助けるために、スラリー(懸濁)液として調製されたものを用いることができる。このようなものとしては、例えばST−K01やST−K03(石原産業製、製品番号)がある。この場合、酸化チタン(二酸化チタンである。)の微粒子の粒度分布は主として0.001〜0.5μmであり、化学合成法によって形成されたものである。また、このST−K01やST−K03は無機バインダーとしてコロイダルシリカを含み、強酸性を呈する。具体的には、固形分濃度10%、酸化チタンと無機バインダー(コロイド状シリカ)の重量比が50:50、硝酸の含有によりpH=1.5、溶媒としてアルコールと水を含み、粘度は1〜3cpsのものである。なお、以下に示す無機バインダーとして、上記スラリー液中のコロイダルシリカを用いることができる。
【0023】
珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムと酸化チタンとの重量比に関しては、比較的広い範囲で臭気ガスの除去性能を得ることができるが、当該重量比が、0.001:1〜10:1の範囲内であることが好ましく、特に、除去性能を高く、しかも持続的に得るためには、0.5:10〜5:1の範囲内であることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、上記の合成懸濁液中にバインダー(結着剤)が含まれていることが好ましい。バインダーを含有させることによって、合成懸濁液を乾燥させて固化させる際に、種々の基材に対する充分な固着力を得ることができる。バインダーとしてはシリカ(珪酸)などの無機バインダー及びアクリル系樹脂などの有機バインダーを用いることができるが、特に、コロイダルシリカを用いることによって珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造と結合しやすく、長期に亘り安定した懸濁液を得ることができる。無機バインダーとして最も好ましいコロイダルシリカを含むものとしては、プライマーA(コルコート社製、商標)がある。プライマーAはコロイダルシリカを含有し、溶媒としてイソプロピルアルコールを主として含むシリカ分散液である。
【0025】
また、上記の珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子を溶媒中に分散させる場合には凝集若しくは沈殿する場合があり、凝集若しくは沈殿すると取り扱いが困難になるため、酸性下にて珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子を溶媒中に分散させることが好ましい。酸性下に制御するにはバインダーを含む酸性を呈する液体を用いることもでき、或いは、酸性を維持するために混合時に別途、酸を添加してもよい。酸性度はpHで3以下であることが特に望ましい。
【0026】
なお、溶媒としては、水、アルコール類、或いは水とアルコール類との混合液(アルコール含有水)を用いることができる。また、上記のように珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子を溶媒中に分散させた後に、さらに水、アルコール類、或いはこれらの混合液などで希釈することができる。珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子と酸化チタン微粒子とが混合した状態で溶媒中に分散された合成懸濁液をさらに水、アルコール類、或いはこれらの混合液などによって希釈しても構わない。なお、希釈溶媒として水のみを用いると乾燥に時間がかかることから、コーティング液の安定性及び乾燥性を高めるにはアルコール類、たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの各種アルコールの中から選ばれた1種または2種以上を多く用いることが好ましい。
【0027】
[実施例1] 次に、上記の実施形態の具体例について説明する。上記の酸化チタンスラリー液(ST−K03)の100重量部に対して、キョーワード600(具体的商品名としては、キョーワード600以外に、600S、600BUP−Sでもよい。)を0.5重量部入れて攪拌する。このとき、酸化チタンスラリー液は強酸性であるので、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子は凝集することなく、良好な分散状態の合成懸濁液Aが形成される。
【0028】
次に、上記の合成懸濁液Aを水で希釈して合成懸濁液Bを形成する。このとき、アルコール類で希釈しても構わない。希釈割合は以下の表1に示す6種類▲1▼〜▲6▼とした。
【0029】
【表1】
Figure 0003790777
【0030】
次に、上記の合成懸濁液B中に不織布(70mm×70mmで重量が約1g)を浸漬し、引き上げた後、常温で20時間乾燥させた。
【0031】
[実施例2] 上記の実施例1と同様に、上記の酸化チタンスラリー液(ST−K03)の100重量部に対して、キョーワード700(具体的商品名としては、キョーワード700以外に、700PL、700PH、700PEL、700SL、700SNでもよい。)を0.5重量部入れて攪拌する。このとき、酸化チタンスラリー液は強酸性であるので、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子は凝集することなく、良好な分散状態の合成懸濁液Aが形成される。また、この合成懸濁液Aを上記表1に示す6種類の希釈割合▲1▼〜▲6▼で希釈して合成懸濁液Bとした。また、この実施例においても、上記実施例1と同様に、上記の不織布を合成懸濁液B中に浸漬し、引き上げた後、常温で20時間乾燥させた。
【0032】
以上説明した実施例1と実施例2において調製した合成懸濁液Bに浸漬した不織布に固化した状態で付着した量(以下、担持量という。)は以下の表2に示すようになった。ここで、表2中の▲1▼〜▲6▼は、上記表1の▲1▼〜▲6▼に示す合成懸濁液Bに浸漬させ、乾燥させた不織布を用いた場合にそれぞれ対応している。
【0033】
【表2】
Figure 0003790777
【0034】
上記のようにして形成した不織布を177mm×203mmのコック付きスリーブの付いたフリーザーバックに入れ、完全に閉鎖し、上記スリーブから硫黄系又は窒素系の臭気ガス(硫化水素、トリメチルアミン)を初期濃度200ppmになるように導入し、各時間毎に臭気濃度の減衰状況をガス検知管により測定した。その結果を表3(実施例1)及び表4(実施例2)に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0003790777
【0036】
【表4】
Figure 0003790777
【0037】
ここで、表3及び表4に示した判定結果は、二重丸が硫化水素、トリメチルアミンのいずれもが1ppm以下であることを示し、丸が硫化水素、トリメチルアミンのいずれも人の鼻で感じることができないことを示し、三角が硫化水素、トリメチルアミンのいずれか一方が1ppm以下であることを示し、×は人の鼻で臭気がわかることを示す。
【0038】
上記のようにして形成したいずれの不織布においても、上記表3及び表4に示すように、臭気が単時間のうちに急減している。特に、実施例1では合成懸濁液Aを希釈していない場合よりも、50〜91wt%程度の希釈率である場合の方が臭気ガスの除去性能が高く、また、実施例2においては、希釈率が0〜95.5wt%の広い範囲に亘ってきわめて良好な臭気ガスの除去性能を示していることがわかる。
【0039】
[実施例3] 次に、上記キョーワード600の粒子(粉体、比較例)と、上記実施例1の合成懸濁液AのpHを高めて固形分を凝集させた後に、乾燥させて得た粉体(実施例3)とを同重量ずつ上記のフリーザーバックにそれぞれ入れ、同様に臭気ガス(臭気ガス)を導入してガスの除去効果をガス検知管により測定した。その結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
Figure 0003790777
【0041】
このように、キョーワード600(珪酸マグネシウム)のみでは臭気ガスの除去性能が低く、しかも、ある程度時間が経過すると臭気ガスの除去性能が低下してしまうのに対して、実施例3では時間の経過とともに急速に臭気ガスが除去され、しかも、除去性能は時間が経過してもほとんど低下しない。
【0042】
最後に、上記実施例1と実施例2において良好な臭気ガスの除去性能を有する(表3及び表4において二重丸が付された)不織布の性能の持続時間を確認するために、1時間ごとに新たな臭気ガスをフリーザーバック内に導入して臭気除去性能をガス検知管により繰り返し6時間目まで測定した。その結果を表6(トリメチルアミン)及び表7(硫化水素)に示す。
【0043】
【表6】
Figure 0003790777
【0044】
【表7】
Figure 0003790777
【0045】
上記の表6及び表7に示すように、繰り返し臭気ガスを除去させても除去性能は全く減退せず、当初の性能とほとんど変化のない除去性能が得られることが判る。また、上記のようにして6回繰り返し臭気ガスの除去を行ったものをさらに48時間経過後に再び測定したところ、この場合にも臭気ガスの除去性能はほとんど減退していないことが確認されている。
【0046】
さらに、実施例1の▲3▼に示した合成懸濁液Bをアルミニウム板の表面に塗布し、定温乾燥機で100℃、30分の乾燥を行い、5〜10μmの厚さの被膜を形成した。そして、フィルム密着法(銀等無機抗菌剤研究会による「銀等無機抗菌剤の自主企画及び抗菌試験法」)に従った抗菌力試験を行った。菌種としては黄色ブドウ球菌を使用し、恒温培養器で37℃、24時間の培養を行った後に減菌数を測定した。その結果、植種菌量が2.2×10個に対して、2.6×10個まで減少し、減菌率は99%と、充分な抗菌力を備えていることが実証された。
【0047】
以上のように、本実施形態では、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムに酸化チタン微粒子を担持させることによって、触媒作用が活性化されることによって、臭気ガスの除去性能が向上するとともに、その除去性能の持続性がきわめて顕著に高められる。また、上記のように充分な抗菌力をも備えているため、本実施形態を適用した固体酸触媒は、分煙装置、空気清浄器、エアコンディショナー等のフィルタとして、或いはフィルタとともに用いる浄化剤としてきわめて好適に使用することができる。また、上記実施形態では塩基性の臭気ガスとしてトリメチルアミン、酸性の臭気ガスとして硫化水素を用いて測定を行ったが、いずれもきわめて有効であることが確認された。このように、本実施形態の固体酸触媒は、臭気ガスの種類によらずに処理できるものと考えられ、臭気ガスの種類に応じて薬剤を変更したり、異なる種類の薬剤を併用する必要がなくなるので、種々の用途においてきわめて顕著な効果を奏する。
【0048】
なお、上記実施形態では、いずれも合成懸濁液を乾燥させ、固体の状態で用いているが、合成懸濁液中の固形分は固体酸触媒そのものであり、合成懸濁液の状態でそのまま使用することも可能である。例えば、ミスト状の噴霧液として用いることも可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、酸性下において珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの粒子を溶媒中に入れることによって当該粒子が分散しやすくなり、安定性の優れた合成懸濁液を得ることができるため、取り扱いが容易になり、安定した品質の固体酸触媒を形成することができる。また、このように製造された固体酸触媒においては、珪酸マグネシウムと珪酸アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の構造部分を含む化合物に対して遷移金属酸化物の微粒子を担持させることによって、塩基性、酸性のいずれの悪臭であっても効率良く除去することができるとともに、その除去効率を長期間維持することができる組成物を得ることができる。この組成物は、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムが本来吸着剤として備えている吸着性能によって悪臭の分子を捕捉し、吸着させるとともに、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの構造中に担持された遷移金属酸化物の微粒子が助触媒的に作用することによって触媒としての機能が活性化され、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの表面に存在する酸点(固体酸)によって悪臭の分子が化学的に置換され、分解されているものと考えられる。したがって、単なる吸着や化学反応を伴う吸収とは異なり、触媒作用によって悪臭が分解除去されるので、限定された量であっても効率的に、且つ、長期的に作用を発揮することができる。また、上記構造によって充分な抗菌力をも発揮することができる。

Claims (6)

  1. 珪酸マグネシウム(2MgO・6SiO ・xH O)と珪酸アルミニウム(Al ・9SiO ・xH O)から選ばれた少なくとも1種の構造部分を含む化合物からなる粒子を酸性下にて溶媒中に分散させ、遷移金属酸化物の微粒子と混合して合成懸濁液とすることを特徴とする固体酸触媒の製造方法。
  2. 請求項1において、前記微粒子を含む酸性懸濁液中に前記化合物からなる粒子を混合することによって前記合成懸濁液を形成することを特徴とする固体酸触媒の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記合成懸濁液中にはバインダーとしてコロイダルシリカを含ませることを特徴とする固体酸触媒の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記化合物からなる粒子を酸性下にて溶媒中に分散させた後に、主として水とアルコール類から選ばれた少なくとも1種からなる液体で希釈して前記合成懸濁液を形成することを特徴とする固体酸触媒の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、前記合成懸濁液を乾燥させて固形化することを特徴とする固体酸触媒の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載された固体酸触媒の製造方法を用いて前記合成懸濁液を構成し、前記合成懸濁液を基材に塗布して乾燥させることを特徴とするガス除去部材の製造方法。
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