JP3788328B2 - ナビゲーションシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて自機の現在位置を測位するロケーション機能を有するナビゲーションシステムに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば車両に搭載されるカーナビゲーション装置は、一般に、GPS受信機により、GPS衛星からGPS信号を受信することに基づいて、自車の現在位置を測位し、その現在位置や走行経路を地図と共に表示装置に表示するロケーション機能を備えている。また、そのようなGPS信号を利用するいわゆる電波航法と、車両に搭載された方位センサや距離センサの検出に基づいて、自車の相対位置を求めるいわゆる自立航法とを併用することも行われている。
【0003】
しかしながら、車両が、例えば地下駐車場やトンネル等のGPS信号を受信できなかったり、高層ビル街等のGPS信号を正確に受信できないような、GPS信号遮断環境に入ると、自車位置の測位ができなくなり、その状態が長時間継続すると、表示画面上の自車の位置と実際の位置とがずれてしまう不具合を生ずる。この場合、GPS信号遮断環境では、自立航法を用いることになるが、これでは、累積誤差が大きく、十分に精度の高い位置測位を行うことができない。
【0004】
ところで、近年、携帯電話機(PHS端末機を含む)にあっては、通信事業者が設置した位置情報サービスセンタに電話をかけると、複数の基地局からの情報(位置登録情報など)を利用して特定の携帯電話機の現在位置を調べて、ユーザに知らせる位置情報サービスが提供されてきている。この位置情報サービスによれば、携帯電話機の受信エリア内では高い精度で安定した位置情報を得ることができる。
【0005】
そこで、カーナビゲーション装置に、上記した携帯電話機における位置情報サービスを組合せたシステムを構成すれば、GPS信号を用いることなくロケーション機能を実現することができるので、GPS受信機を備えたカーナビゲーション装置における不具合を解消できると考えられる。ところが、位置情報サービスを利用するには利用料金(通信費)が必要となるため、常時使用する場合にはユーザの負担する通信料金が大きくなる欠点が生ずる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、GPS信号遮断環境にあっても、自機の位置を高い精度で測位することができ、しかも安価に済ませることができるナビゲーションシステムを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、特許請求の範囲に記載された手段を採用する。
請求項1の発明によれば、通常時には、GPS受信機の受信したGPS信号に基づいて自機の現在位置を高い精度で測位することができるのであるが、判断手段により、自機がGPS信号を受信できないGPS信号遮断環境にあると判断されたときには、位置データ取得手段により、接続手段によって接続された携帯電話機に位置情報サービスセンタに対して自動発信させて位置データを取得させ、位置検出手段により、その取得した位置データに基づいて自機の位置を検出することができる。
【0008】
従って、自機がGPS信号遮断環境にあるときには、位置情報サービスを利用して高い精度で自機の位置検出を行うことができ、表示画面上の自機の位置と実際の位置とがずれてしまう等の不具合を解消することができる。そして、自機がGPS信号遮断環境にあるとき以外には、GPS信号を利用するものであるから、携帯電話機による位置情報サービスの利用は必要最低限で済み、ユーザが負担する通信料金も少なく抑えることができる。
【0009】
このとき、一旦電源がオフされたときと、次に電源がオンされたときとで、自機が大幅に移動していることはほとんどないと考えられるため、判断手段によって、GPS信号遮断環境にいる状態で電源がオフされた場合には、次に電源がオンされたときにも、自機がそのGPS信号遮断環境にあることを十分な確かさで判断することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、日射センサの検出により、自機が屋外(昼間)にあるときと、地下駐車場,トンネル等のGPS信号の届かない(あるいは届きにくい)建造物内にあるときとを区別することができるので、日射センサの検出信号に基づいて、判断手段によって、自機がGPS信号遮断環境にあることを十分な確かさで判断することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、上記日射センサを利用できない夜間等であっても、自機の現在位置及び地図データに基づいて、自機のいる位置(場所)を推定(認識)することができるので、それに基づき、自機が、ビル街,地下駐車場,トンネル等のGPS信号の届かないあるいは不安定となる場所に入ったと認識された場合には、判断手段によって、自機がGPS信号遮断環境にあることを十分な確かさで判断することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両(自動車)に搭載されるカーナビゲーション装置に適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施例に係るナビゲーションシステム(カーナビゲーションシステム)1の要部の電気的構成を概略的に示しており、このシステム1は、ナビゲーション装置の本体部を構成するナビECU2に、携帯電話機3(PHS端末機も含む)を接続して構成されている。このとき、図示はしないが、携帯電話機3は、ナビECU2に設けられた接続手段(シリアルインタフェース等)を介して着脱自在に接続されるようになっている。
【0013】
前記ナビECU2は、制御手段として機能する制御装置部4を中心として、これに接続されたGPS受信機5、電源検出部6、地図データ装置7、メモリ部8等を備えて構成されている。また、このナビECU2(制御装置部4)には、車両に設けられた日射センサ9及び時計10からの信号が入力されるようになっていると共に、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなる表示装置11の表示を制御するようになっている。尚、前記表示装置11は、車内のインパネ部分に配設され、図示しない操作スイッチ部を備えて構成されている。
【0014】
前記GPS受信機5は、GPSアンテナ12によりGPS衛星からのGPS信号を受信し、そのGPS信号を復調するようになっている。前記電源検出部6は、車両の電源(ACC)のオン,オフ状態を検出するようになっている。また、前記地図データ装置7は、地図データを記憶するDVD等の地図データソースとそのドライブ装置から構成されている。前記メモリ部8は、例えばEEPROM等からなり、前記GPS受信機5の受信状態等を記憶するもので、この場合、車両の電源(ACC)のオフ時に、その直前のGPS信号の受信状態を記憶しておくようになっている。
【0015】
そして、前記制御装置部4は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース及びそれらを接続するバスライン等から成るマイコンを主体として構成され、そのソフトウエア的構成(プログラムの実行)により、車両の現在位置を知るロケーション機能、ユーザの指定した目的地までの経路を探索し案内するルートガイダンス機能などのナビゲーション処理を実行するようになっている。
【0016】
前記ロケーション機能は、前記GPS受信機5により受信したGPS信号に基づいて車両の現在位置を測位し、現在位置周辺の地図データに基づいて、表示装置11に道路地図を表示させると共に、それに重ね合せて測位された自車の現在位置(及び進行方向)を表示させるものである。また、前記ルートガイダンス機能は、車両の出発点(現在位置)から、ユーザの操作により指定(検索)された目的地までの推奨する走行経路を自動的に計算(探索)し、求められた走行経路を、表示装置11の画面に表示して目的地まで案内するものである。
【0017】
さて、前記携帯電話機3においては、例えば通信事業者が設置した位置情報サービスセンタに電話をかけると、複数の基地局からの情報(位置登録情報など)を利用して特定の携帯電話機3の現在位置を調べて、ユーザに知らせる位置情報サービスを受けることができるようになっている。このとき、この携帯電話機3と前記ナビECU2との接続状態では、制御装置部4は、携帯電話機3に指示して位置サービスセンタに対して自動発信(自動ダイヤル)させることができるようになっていると共に、携帯電話機3が該位置情報サービスセンタから取得した位置データを取込むことができるようになっている。
【0018】
そして、後の作用説明でも述べるように、本実施例では、制御装置部4は、そのソフトウエア的構成により、自車(GPS受信機5)がGPS信号を正しく受信できないGPS信号遮断環境にあるかどうかを判断し、GPS信号遮断環境にあると判断されたときに、前記携帯電話機3に位置情報サービスセンタに対して自動発信させて位置データを取得させ、その位置データに基づいて自車の位置を検出するようになっている。従って、制御装置部4が、判断手段、位置データ取得手段、位置検出手段として機能するようになっている。
【0019】
このとき、より具体的には、制御装置部4は、以下の3つの場合に、GPS信号遮断環境にあると判断する。即ち、第1に、前記メモリ部8の記憶に基づき、GPS受信機5がGPS信号を受信できなかった状態で電源がオフされ、その後電源がオンされたとき、第2に、日射センサ9の検出信号に基づき、自車が地下駐車場,トンネル等の建造物内に入ったことを認識したとき、第3に、自車の現在位置及び地図データに基づき、自車が、ビル街,地下駐車場,トンネル等のGPS信号の届かないあるいは不安定となる場所に入ったことを認識したとき、の少なくともいずれか1つに該当した場合に、GPS信号遮断環境にあると判断するものである。
【0020】
次に、上記構成の作用について、図1も参照して述べる。図1のフローチャートは、車両の電源オン時に、制御装置部4(ナビECU2)が実行する、自車の現在位置の検出(測位)に関する処理手順を示している。尚、ここでは、ユーザは、乗車時には、自己の携帯電話機3を接続手段を介してナビECU2に接続しておくものとする。
【0021】
即ち、電源検出部6により車両の電源がオンされたことが検出されると(ステップS1)、次のステップS2にて、メモリ部8の記憶が読出されて前回の電源オフ時にGPS信号が受信できていたかどうかが判断される。ここで、前回の電源オフ時にGPS受信ができていなかった場合、つまりGPS受信機5がGPS信号を受信できなかった状態で電源がオフされていた場合には(ステップS2にてYes)、自車がGPS信号遮断環境にあると判断されて後述するステップS11に進む。
【0022】
一方、前回の電源オフ時にGPS受信ができていた場合には(ステップS2にてNo)、次のステップS3にて、GPS受信機5によるGPS信号の受信状況が確認され、受信できている場合には(ステップS4にてYes)、ステップS5にて、GPS信号に基づく自車の測位処理が行われ、その後ステップS3からの処理が繰返されるのである。これにて、通常時つまり車両がGPS信号遮断環境にないときには、GPS信号に基づいて自車の現在位置の正確な測位が行われる。
【0023】
これに対し、GPS信号が受信できなくなった場合には(ステップS4にてNo)、ステップS6にて、時計10の信号に基づいて夜間走行中かどうかが判定され、昼間である場合には(ステップS6にてNo)、次のステップS7にて、日射センサ9の検出信号が確認され、その信号に基づいて、自車が屋外にいるのか、屋内つまり地下駐車場やトンネル等に建造物内に入ったかどうかが判定される(ステップS8)。地下駐車場やトンネル等に建造物内に入ったと判定された場合にも(ステップS8にてYes)、自車がGPS信号遮断環境にあると判断されて後述するステップS11に進む。
【0024】
前記日射センサ9の検出信号に基づいて自車が地下駐車場やトンネル等に建造物内に入ったと判断されなかった場合には(ステップS8にてNo)、次のステップS9にて、地図データを参照して、車両の現在位置が、ビル街等のGPS信号の不安定となる場所、あるいは、地下駐車場,トンネル等のGPS信号の届かない場所かどうかが判定される。この場合、上記ステップS7では電灯等により日射センサ9による検出ができないケースもあることを考慮して、再度地下駐車場,トンネル等の判断を行うものである。自車が、ビル街,地下駐車場,トンネル等に位置していると判定された場合には(ステップS10にてYes)、自車がGPS信号遮断環境にあると判断されてステップS11に進む。
【0025】
以上のようにして、ステップS2,S8,S10のいずれかで、自車がGPS信号遮断環境にあると判断された場合には、ステップS11にて、前記携帯電話機3に位置情報サービスセンタに対して自動発信させて位置データを取得させるようになっている。そして、次のステップS12にて、その位置データに基づいて自車位置が検出される。このとき、GPS信号が受信できなくとも、携帯電話機3の受信エリア内では高い精度で安定した位置情報を得ることができ、GPS信号を用いることなくロケーション機能を実現することができる。
【0026】
そして、この携帯電話機3を用いた位置検出処理の実行中も、GPS信号の受信状態が復帰したかどうかが常に監視され(ステップS13)、GPS信号の受信が可能となった時点で(ステップS13にてYes)、携帯電話機3の位置情報サービスセンタとの接続が遮断され(ステップS14)、ステップS3からのGPS信号を用いた測位に戻される。また、上記のように、GPS信号が受信できないにもかかわらず、いずれのステップでも自車がGPS信号遮断環境にあるとは判断されなかった場合には(ステップS10にてNo)、環境以外の要因例えばGPS受信機5の異常(故障)等の可能性も考えられるので、ステップS15にて異常処理が行われるようになっている。
【0027】
このように本実施例によれば、通常時には、GPS受信機5の受信したGPS信号に基づいて自車の現在位置を高い精度で測位することができることは勿論、自車がGPS信号を受信できない(受信しづらい)GPS信号遮断環境にあることを自動で判断し、GPS信号遮断環境にある場合には、携帯電話機3の位置情報サービスを利用して高い精度で自車の位置検出を行うことができ、表示装置11の画面上の自車の位置と実際の位置とがずれてしまう等の従来の不具合を解消することができる。
【0028】
また、このとき、自車がGPS信号遮断環境にあるとき以外には、GPS信号を利用するものであるから、携帯電話機3による位置情報サービスの利用は必要最低限で済み、ユーザが負担する通信料金も少なく抑えることができる。この結果、本実施例によれば、GPS信号遮断環境にあっても、自車の位置を高い精度で測位することができ、しかも安価に済ませることができるという優れた効果を得ることができるものである。
【0029】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えばナビECU2と携帯電話機3との接続は、電波等を用いて行うようにしても良く、また、時計10に代えてGPS信号の時刻情報により昼か夜かの判定を行っても良く、さらには、本発明は車両用のナビゲーション装置に限らず携帯用ナビゲーション装置等にも適用することができるなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、自車の現在位置の測位に関する処理手順を示すフローチャート
【図2】ナビゲーションシステムの要部の電気的構成を示すブロック図
【符号の説明】
図面中、1はナビゲーションシステム、2はナビECU、3は携帯電話機、4は制御装置部(判断手段、位置データ取得手段、位置検出手段)、5はGPS受信機、6は電源検出部、7は地図データ装置、8はメモリ部、9は日射センサ、10は時計、11は表示装置を示す。
Claims (3)
- GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信機を備え、そのGPS信号に基づいて自機の現在位置を測位するロケーション機能を有するナビゲーションシステムであって、
携帯電話機が接続可能な接続手段と、
自機が前記GPS信号を受信できないGPS信号遮断環境にあるかどうかを判断する判断手段と、
この判断手段によりGPS信号遮断環境にあると判断されたときに、前記携帯電話機により、基地局を利用して該携帯電話機の現在位置を調べる位置情報サービスセンタに対して自動発信させ、該位置情報サービスセンタから位置データを取得させる位置データ取得手段と、
この位置データ取得手段により取得した位置データに基づいて自機の位置を検出する位置検出手段とを具備すると共に、
前記判断手段は、前記GPS受信機がGPS信号を受信できなかった状態で電源がオフされ、その後電源がオンされたときに、GPS信号遮断環境にあると判断することを特徴とするナビゲーションシステム。 - 前記判断手段は、日射センサの検出信号に基づいて、自機が、地下駐車場,トンネル等の建造物内に入ったことを認識した場合に、GPS信号遮断環境にあると判断することを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
- 前記判断手段は、自機の現在位置及び地図データに基づいて、自機が、ビル街,地下駐車場,トンネル等のGPS信号の届かないあるいは不安定となる場所に入ったことを認識した場合に、GPS信号遮断環境にあると判断することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーションシステム。
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