JP3788174B2 - 光学測定装置の調整方法、及び装置 - Google Patents

光学測定装置の調整方法、及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学測定装置の調整方法、及び装置にかかり、特に、光を対象物に照射し、その反射光を集光レンズで集光した光に基づいて対象物に関する特性を測定する光学測定装置の調整方法、及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータを中心としたネットワーク技術の進展により、画像出力装置としてのネットワークプリンタが急速に普及している。特に、出力する画像のカラー化に伴い、近年、カラープリンタの開発が盛んになっており、カラー画質の維持安定性の向上、複数のカラープリンタ間におけるカラー画質の均一化などの要求が高まって来ている。最近では、色再現性に関して、設置環境、経時変化、機差によらず高い安定性が求められている。
【0003】
一般に、人間の色差に対する感度は極めて高く、L***表色系において色差△E=5程度で識別されることが知られており、画像形成装置には、色差△E=3(色差認識限界)以下の要求値が望まれる。ところが、周知のように電子写真方式では各プロセスが不安定であり、色差△E=3以下という要求値をみたすことは、温度や湿度等の環境条件、また感光体や現像剤等の経時的な劣化等の処理材料条件等により装置自体の画像出力状態が変動し画像再現性が変動するため、困難であった。
【0004】
このため、出力された画像の画質、特に、カラーの場合には、色差を測定して、その測定結果を画像出力装置の各工程に反映させるようにフィードバックする必要性が高まっており、特に、プリンタに測定装置を内蔵させ、出力された画像の画質をオンラインで測定し、その測定結果をフィードバックする技術が重要視されてきている。このため、プリンタに内蔵する測定装置として、小型でかつ高精度、低コストの測定装置が要求されている。
【0005】
画質の測定については、オフラインにより用紙などの画像形成媒体を固定した状態で高精度の画像測定が可能な、X―riteと呼ばれている測色装置が広く使用されているが、オンラインの測定装置で高精度のものは、未だ実用化されていない。これは、オンライン測定の場合、用紙(被測定面)の、搬送系による上下動、すなわち用紙の進行方向に垂直な方向の変動があり、正確な測定ができないためである。例えば、紙面が上下に1mm程度変動すると、受光による出力は、15%程度変化してしまう。このように、紙面の上下変動により、受光による出力に大きな誤差が生じてしまうために、被測定面の位置が固定であることを前提にしている光学系では、正確な色測定はできない。
【0006】
このため、本出願人等は、紙面での反射光をレンズの焦点位置に設置した光電変換素子で受光することにより、紙面の光軸方向への変動に依存しない出力を得ることを可能とする技術を提案している(特開平10−175330号)。これにより、高精度な非接触オンライン画像モニタの実現が可能となった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カラープリンタにおけるカラー画像の画質の高精度化が進んでおり、カラー画像の画質を測定するときの測定結果も高精度化してきている。すなわち、目標とする測定誤差が向上し、約0.1%以下が要求され、複数の光学測定装置において均一な特性が必要となる場合には、レンズの個体差やその他部品の個体差、及び組立精度などに依存した誤差が顕著に現れ、目標とする測定誤差によるカラー画像の測定が困難であった。このように、測定紙面の上下変動に伴う紙面からの反射光強度を正確に測定できないため、画像の反射率や濃度、色等を高精度で測定することが極めて困難であった。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、オンラインで画像制御に必要な、高精度の測定を可能とする光学測定装置の調整方法、及び装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、光源から対象物へ光を照射し、前記対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を検出して前記対象物に関する特性を測定する光学測定装置の調整方法であって、前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子を予め定めた所定の相対位置で設け、前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子と、前記対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させ、前記光軸方向の移動距離に依存する、前記受光素子の検出値の傾向を求め、求めた傾向に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を調整することを特徴とする。
【0010】
カラー画像等を高画質で出力(印画)することが要求される画像出力装置では、オンラインで測色等の画像測定が要求されるが、対象物(測定紙面)の上下変動に伴う紙面からの反射光強度を高精度で正確にモニタできず、画像の反射率や濃度、色等を高精度で測定することが極めて困難であり、小型の画像測定装置による高精度なオンラインでの画像制御ができなかった。
【0011】
そこで、本発明が適用可能な光学測定装置では、対象物の反射光のうち、特定領域の通過光のみを受光素子で受光する。この特定領域は、対象物の反射光が集光レンズを透過した透過光束により形成される空間内に、集光レンズの光軸と交差しかつ焦点位置を含む面近傍に定められる。従って、特定領域の通過光は、対象物の反射光のうち集光レンズを介する直接光のみを通過させことが可能な領域となる。すなわち、集光レンズの焦点位置を含む面に設置された特定領域には、対象物からの反射光及び散乱光の内の、集光レンズの光軸方向に対して、特定領域の面積により定まる特定の角度以内に入る光線のみが集まり、それが光電変換素子等の受光素子で受光される。対象物で反射及び散乱した光のうち、集光レンズ光軸方向に対して特定の角度以内に入る光線のみが、受光素子に入射することになり、受光素子の受光量は、対象物、例えば紙面がレンズの光軸方向に変動しても、その変動に影響されない。このように、光学測定装置では、光源から対象物へ光を照射し、対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を検出して対象物に関する特性を測定する。
【0012】
ところが、高精度の測定を行うという目的のためには、レンズやその他の部品の個体差、及び設置する際の位置ずれに依存して発生する誤差の対策を行わなくてはならない。
【0013】
そこで、本発明の光学測定装置の調整方法では、まず、光源、集光レンズ及び受光素子を予め定めた所定の相対位置で設ける。これによって、光源、集光レンズ及び受光素子を一定の位置関係を維持したまま、対象物との距離関係を相対的に移動させることができる。そこで、光源、集光レンズ及び受光素子と、対象物とを集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させる。これによって、受光素子からは、その相対移動に対応するすなわち光軸方向の移動距離に依存する検出値が得られ、移動による複数の検出値から傾向を求めることができる。その求めた傾向に基づいて、受光素子と集光レンズとの相対位置を調整する。これによって、集光レンズやその他の部品の個体差、及び設置する際の位置ずれ、に依存して発生する誤差が生じた場合であっても、これを調整でき、高精度に測定することができる光学測定装置を提供することができる。
【0014】
前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置の調整は、前記対象物の光軸方向の移動距離が大きくなるに従って前記検出値が大きくなる場合に、前記受光素子を、前記光軸方向に沿う前記集光レンズへの接近方向及び前記光軸方向に交差する方向に沿いかつ前記光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動させ、前記対象物の光軸方向の移動距離が大きくなるに従って前記検出値が小さくなる場合に、前記受光素子を、前記光軸方向に沿う前記集光レンズからの接近方向及び前記光軸方向に交差する方向に沿いかつ前記光源からの離間方向の少なくとも一つの方向に移動させることができる。
【0015】
対象物の光軸方向の移動距離の大きさと、受光素子の検出値とに、関係があることが多い。すなわち、移動距離が大きくなるに従って検出値が大きくなったり、小さくなったりする。検出値が大きくなるのは、徐々に受光量が増加することであり、これを解消するために、受光素子を、光軸方向に沿う前記集光レンズへの接近方向及び光軸方向に交差する方向に沿いかつ光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動させればよい。一方、検出値が小さくなるのは、徐々に受光量が減少することであり、これを解消するために、受光素子を、光軸方向に沿う集光レンズからの接近方向及び光軸方向に交差する方向に沿いかつ光源からの離間方向の少なくとも一つの方向に移動させればよい。
【0016】
前記受光素子は、前記集光レンズの焦点位置近傍の異なる複数の位置において各々光量を検出し、複数の検出値のうちの少なくとも1つの検出値を前記検出値に用いることができる。
【0017】
1つの受光素子では、検出値が小さい場合がある。そこで、複数の受光素子を選択的に用いれば、例えばその総量または検出値が大きい少なくとも1つの検出値を用いれば、最適な結果を得ることができる。複数の受光素子は、互いに異なる複数位置に設置したり、1つの受光素子を複数の位置に移動して検出したりすることができる。複数の受光素子を用いることは、発光色(波長)が異なる光源を用いるときに有効でもある。この場合には、個別に受光素子を選択することが好ましい。
【0018】
また、受光素子は、その大きさに制限があるときがあり、大きな面積を得ることができない場合がある。そこで、受光素子を互いに異なる複数位置に設けて該複数位置で受光して、複数位置毎に受光した光量の合計を面積が大きい仮想的な受光素子で受光したものとして、対象物の特性を求めることができる。また、受光素子を集光レンズの焦点位置を含む面内または近傍面内において互いに異なる複数位置に移動手段により移動させて複数位置で受光し、複数位置毎に受光した合計光量に基づいても対象物の特性を求めることができる。
【0019】
対象物を照射する光が単色であるとき、レンズ系による収差等の影響は大きい。そこで、予め定めた波長の光に対して波長が長い光が照射される場合には、前記受光素子を、前記光軸方向に沿う前記集光レンズへの接近方向及び前記光軸方向に交差する方向に沿いかつ前記光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動することができる。
【0020】
基準光源で定める場合、その基準光源の波長に対して異なる光源を用いると、得られる特性が異なる場合がある。このため、予め定めた波長の光に対して波長が長い光が照射される場合には、受光素子を、光軸方向に沿う集光レンズへの接近方向及び光軸方向に交差する方向に沿いかつ光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動すればよい。光の波長については、複数光源を用いる場合、相対的にも調整できる。すなわち、複数の光源について長波長側の受光素子を、光軸方向に沿う集光レンズへの接近方向及び光軸方向に交差する方向に沿いかつ光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動すればよい。これにより、波長が短い光が照射されたときの検出値に対して波長が長い光が照射されたときの検出値が仮想的に規格化され、最適な検出値を得ることができる。
【0021】
前記光学測定装置の調整方法は、次の調整装置で実現可能である。詳細には、光源から対象物へ光を照射し、前記対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を検出して前記対象物に関する特性を測定する光学測定装置の調整装置において、前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子と、前記対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させる移動手段と、前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子と、前記対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させたときの、前記光軸方向の移動距離に依存する、前記受光素子の検出値の傾向と、前記受光素子及び前記集光レンズの相対位置との対応関係を記憶する記憶手段と、前記移動手段による相対的な移動時における検出値に基づいて前記傾向を測定する測定手段と、測定した傾向及び前記対応関係に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の調整装置では、移動手段によって、光源、集光レンズ及び受光素子と、対象物とを集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させる。記憶手段は、これら光源、集光レンズ及び受光素子と、対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させたときの、前記光軸方向の移動距離に依存する、受光素子の検出値の傾向と、受光素子及び集光レンズの相対位置との対応関係を予め記憶している。測定手段は、移動手段による相対的な移動時における検出値に基づいて傾向を測定する。出力手段は、測定した傾向及び前記対応関係に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を出力する。これによって、出力手段からは、対象物の光軸方向に沿う相対移動に対応する特性に応じた受光素子と集光レンズの相対位置が出力されるので、この位置に調整すれば、高精度に測定することができる光学測定装置を提供することができる。
【0023】
前記光学測定装置の調整装置は、前記出力手段から出力された相対位置になるように、前記受光素子及び前記集光レンズの少なくとも一方の位置を調整する調整手段をさらに備えることができる。
【0024】
前記のように受光素子と集光レンズの最適な相対位置が出力されるので、調整手段によりこの位置に自動的に調整すれば、自動的に良好な特性を出力できる光学測定装置に調整でき、結果、高精度に測定することができる光学測定装置を提供することができる。
【0025】
なお、前記光学測定装置は、前記光源を、所定強度で点滅させる制御、または発光強度を制御する光源制御手段と、前記受光素子の出力を、前記点滅または制御された発光強度に同期しながら信号を得る信号制御手段とを更に備えることができる。このように、光源を、所定強度で点滅させたり発光強度を制御したりすることによって、受光素子の出力を、迷光を除去すべく同期しながら信号を得ることが容易になる。
【0026】
また、前記光学測定装置は、前記光源から前記受光素子までの光路中に、所定波長特性の光を透過する光学フィルタをさらに設け、前記受光素子の出力を用いて、前記対象物の色を測定することができる。
【0027】
対象物に照射する光は、連続的な光すなわち白色光を用いることができるが、対象物が色に関するものであるとき、所定波長域の光のみを用いることが好ましい。そこで、所定波長特性の光を透過する光学フィルタをさらに設けることにより、受光素子から所定波長特性の光による出力を得ることができ、対象物の色に関係する特性を測定することができる。
【0028】
前記光学測定装置は、発光波長が異なる複数個の光源を備え、複数の光源による前記対象物からの反射光の受光出力を、各光源毎に分離する分離手段をさらに設けることができる。このようにすれば、対象物を照射する光の波長域を特定することなく、後に分離することができ、対象物の色に関係する特性を測定することができる。この場合、前記光学測定装置の受光素子は、受光した光を分光する分光器で構成することができる。
【0029】
前記光学測定装置は、測色するためのシステムに用いて好適であり、次の光学測定システムにより実現することができる。本発明の光学測定システムは、前記光学測定装置を、1つの対象物に対して複数設け、かつ前記複数の光学測定装置の受光出力に基づいて、前記対象物の色を測定する。
【0030】
本発明の光学測定装置の調整方法及び装置は、画像形成装置に用いて好適であり、次の画像形成装置により実現が可能である。本発明の画像形成装置は、画像形成媒体を前記対象物として該画像形成媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記光学測定装置の調整装置を含む光学測定装置を備え、前記画像形成手段により画像が形成された画像形成媒体の搬送中に、形成された画像を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記画像形成媒体に形成される画像の品質を制御する制御手段と、を備えている。
【0031】
ところで、光学測定装置は、対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を測定するものもある。そこで、他の発明は、対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を測定する光学測定装置の調整方法であって、前記集光レンズの光軸方向の前記対象物の位置変動に対する前記受光素子の出力特性を測定し、前記出力特性の傾きに基づいて、前記集光レンズと前記受光素子との相対位置を調整することを特徴とする。
【0032】
この発明では、集光レンズの光軸方向の紙等の対象物の位置変動に対する受光素子の出力特性を測定する。この測定結果である出力特性の傾きに基づいて、集光レンズと受光素子との相対位置を調整する。これによって、集光レンズやその他の部品の個体差、及び設置する際の光軸方向の対象物の位置変動に依存する出力特性に傾きが生じた場合であっても、これを調整でき、高精度に測定することができる光学測定装置を提供することができる。
【0033】
また、他の発明は、対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を測定する光学測定装置の調整装置において、前記集光レンズの光軸方向の前記対象物の位置変動に対する前記受光素子の出力特性の傾きと、前記受光素子の設定位置との対応関係を示す情報を記憶する記憶手段と、前記出力特性を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果から出力特性の傾きを求め、前記記憶手段に記憶された情報から前記受光素子の設定位置情報を出力する制御手段と、前記制御手段から出力される前記受光素子の設定位置情報に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0034】
この他の発明の光学測定装置は、対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を測定する。この光学測定装置の調整装置は、集光レンズの光軸方向の対象物の位置変動に対する受光素子の出力特性の傾きと、受光素子の設定位置との対応関係を示す情報を記憶する記憶手段を備えている。測定手段によって、出力特性を測定し、制御手段において測定手段の測定結果から出力特性の傾きを求め、記憶手段に記憶された情報から前記受光素子の設定位置情報を出力する。調整手段では、制御手段から出力される受光素子の設定位置情報に基づいて、受光素子と前記集光レンズとの相対位置を調整する。これによって、制御手段では、光軸方向の対象物の位置変動に対応する出力特性の傾きを得て、傾きに対応する受光素子の設定位置情報得ることができる。この受光素子の設定位置情報から、受光素子と集光レンズの相対位置を調整できるので、高精度に測定することができる光学測定装置を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は画像形成装置に本発明を適用したものである。
【0036】
〔反射基本原理〕
まず、対象物の一例としての用紙の位置が変動した場合であっても安定した光量を検出できる、すなわち光電変換素子に入射する光が紙面の上下変動に依存しない原理を図面を参照して説明する。
【0037】
図2は、本原理を説明するための光学系における各部品の基本的な位置関係を示したものである。図2に示すように、本光学系は、紙面Pに対して垂直な光軸CLを有するレンズ14を備えている。レンズ14の光軸CL上でレンズ14の後側焦点面近傍に、フォトダイオード等の光電変換素子18が設けられている。また、本光学系は、レンズ14の光軸CLと異なる方向を照射光軸とするLEDらの光源12を備えており、光源12の照射角度はレンズ14の光軸CLに対して45度に設定されている。また、この光源12により紙面P上には照射領域Arに照射光が照射される。
【0038】
図3は、上記光学系のうち、紙面Pから反射光または散乱光が、レンズ14を通過し、レンズ14の後側焦点面に設置された光電変換素子18に入射する状態を示したものである。この図では便宜上、レンズは収差が無く、厚さはゼロ、レンズ幅は無限として説明する。
【0039】
図3において、PL4はレンズ位置、PL3は光電変換素子18の受光側が設置されている後側焦点面、PL5,PL6は変動(図2または図3において上下動)する紙面位置、PL1,PL2は変動する紙面位置PL5,PL6に対応する結像面位置、11はレンズ7の光軸を各々示している。また、レンズ14について、中心をO、前側焦点をFa、後側焦点をFb、前側焦点距離をfa、後側焦点距離をfbとし、光電変換素子18の有効受光領域の端点をC、Fb―C間距離をrとする。
【0040】
なお、上記の光電変換素子18の有効受光領域は、課題を解決するための手段の欄に記載の特定領域に対応する。また、レンズ14は本発明の集光レンズに対応し、光電変換素子18は本発明の受光素子に対応する。本実施の形態では、光電変換素子18の有効受光領域で反射光を直接受光する場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、光電変換素子18の入射側にスリットや穴等の開口を設けて有効受光領域を形成してもよい。また、開口に代えて受光レンズを設けて共役位置に光電変換素子18を設置してもよい。この場合には、受光レンズの有効口径や瞳によって有効受光領域が形成されることになる。
【0041】
また、光軸方向に異なる紙面位置PL5,PL6における反射点A1,A2で反射して、レンズを通して結像面位置PL1,PL2等で結像される結像点B1,B2迄の光線を考えるとき、この光線が光電変換素子18の有効受光領域の端点Cを通るときの、反射点A1,A2での反射角度(レンズの光軸CLの方向に対する角度)を、s1,s2とする。
【0042】
また、紙面P−レンズ14の間の距離をa1,a2、光電変換素子と結像面との間の距離をb1,b2、紙面における反射光のうちレンズ14の光軸CLに平行な光線がレンズ面PL4を通過する通過点をL1、L2、とする。また、反射点A1,A2で反射して、光電変換素子18の有効受光領域の端点Cを通過して結像点B1,B2に結像する光線においてレンズ面PL4を通過する通過点をM1,M2とする。さらに、L1―M1間距離をd1、L2−M2間距離をd2とする。
【0043】
この結像系では、ニュートンの式より、(1)式と(2)式が成立する。
(a1―fa)/fa=fb/b1 …(1)
(a2−fa)/fa=fb/b2 …(2)
また、3角形B1L1M1と3角形B1FbCの相似、及び3角形B2L2M2と3角形B2FbCの相似を利用すると、次の(3)式と(4)式が成立する。
r/b1=d1/(b1+fb) …(3)
r/b2=d2/(b2+fb) …(4)
さらに、3角形A1L1M1及び3角形A2L2M2において、角度s1及びs2を用いると、次の(5)式と(6)式が成立する。
d1=a1・tan(s1) …(5)
d2=a2・tan(s2) …(6)
ここで、(5)式と(6)式を、(3)式と(4)式に代入すると、次の(7)式と(8)式が得られる。
a1=((b1+fb)/r)/(b1・tan(s1)) …(7)
a2=((b2+fb)/r)/(b2・tan(s2)) …(8)
この(7)式と(8)式を、(1)式と(2)式に代入すると、次の(9)式と(19)式が得られる。
r/tan(s1)=fa …(9)
r/tan(s2)=fa …(10)
この(9)式と(10)式から、次の(11)式を導出することができる。
s1=s2 …(11)
以上のことを一般化すると、紙面位置PL5や紙面位置PL6等のように、光軸CLに沿う方向に変動する紙面位置PL5,PL6等での反射点Ai(i=1,2,3,…)から反射して、レンズ14を通過して結像面PL1,PL2等で結像される結像点Bi迄の光線を考えるとき、この光線が光電変換素子18の端点Cを通過するときの、反射点Aiでの反射角度siは、他のパラメータに関係なく、常に一定となる。
【0044】
すなわち、紙面Pの変動に伴い、反射領域(照射領域Ar)が紙面P上で移動し、反射点Aiが移動しても、反射角度siは常に一定である。従って、反射及び散乱が理想的に生じているとすれば、反射点Aiでの状態が同一のとき、反射角度si中に含まれる光線数は一定であると考えられるので、Fb―C間の光電変換素子18への入射光量は、紙面Pとレンズ14の間の距離、または紙面Pと光電変換素子18の間の距離に依存せず、各反射点Aiの状態に応じた正確な光量となる。
【0045】
従って、紙面の特定の領域から反射(散乱や拡散を含むものとする)して、光電変換素子に入射する光は、紙面口光電変換素子間距離に依存せず、その領域に応じたものとなる。
【0046】
なお、図3では、各線分を平面上で表現しているが、実際の光学系においては、レンズ14の光軸CLを中心とした回転体として考えることができる。すなわち、光電変換素子18の距離r(線分FbC)は、レンズ14の光軸CLを中心として一定となっているが、実際の光学系では、距離rは一定である必要はなく、光電変換素子18の形状は、円形や四角形等、任意の形状選択が可能である。また、光電変換素子18は、レンズ14の光軸CLの位置をその中心とするように設置する必要はなく、対象物(紙面P)からの反射光がレンズ14を通過して入射する後側焦点面PL3内であれば、レンズ14の光軸CLを含まない位置に設けてもよい。
【0047】
このように、対象物、例えば紙面Pの上下変動にかかわらず、紙面上の点からの特定角度範囲内で反射した光のみを、レンズ14の後側焦点位置PL3を含む面に設置した光電変換素子18で受光することによって、常に、反射領域の反射率や濃度、色等の特性を正確に測定することができる。
【0048】
〔距離依存性誤差解消原理〕
次に、画像形成装置における高精度の画質測定のため、レンズやその他の部品の個体差、及び設置する際の位置ずれ、に依存して生じる誤差を解消する原理について説明する。
【0049】
画像形成装置において画質の高精度化を進めるため、カラー画像の画質測定の目標とする測定誤差が向上し、例えば約0.1%以下の精度が要求されていることは既に述べた。そこで、まず、高精度測定を目的とする場合には、レンズの収差を改善するための一般的な対策として、単レンズを用いるのではなく、複数枚の貼り合せレンズまたは組み合わせレンズを用いることが考えられる。代表的例として、貼り合せレンズにはアクロマティックレンズなどが挙げられる。
【0050】
このようなレンズを用いて、紙面の変動量1mmに対する出力変化の目標値が0.1%以下という高精度の測定を行う場合には、レンズにおける焦点位置やレンズの曲率の個体差、光電変換素子の大きさの個体差、その他の部品も含めた、全体的な設置位置の誤差、及び筐体内壁からの反射光による迷光等によって、出力に傾きが生じて、目標未達となることが多くなる。
【0051】
こららの位置誤差や迷光等による出力変動すなわち特性の傾向を測定した結果(光電変換素子18の出力)を図4及び図5に示す。図から理解されるように、特性の傾向すなわち光電変換素子18の出力特性の傾き傾向としては、主に、単調増加(図5)または単調減少(図4)の傾向になる。
【0052】
光電変換素子18の出力特性に傾向が生じる原因としては、レンズ14の焦点位置のずれが考えられる。このレンズ14の焦点位置のずれについて説明する。レンズ14の焦点位置の光軸方向(図3の光軸CLに沿う方向)のバラツキは、市販レンズの場合には公差のレベルで±0.5mmほど存在するので、レンズ14の個体差によって、仕様上の焦点位置と真(製造上)の焦点位置が異なる。上記反射基本原理を考慮して、実際に測定装置を組み立てる場合には、光電変換素子18を、上記反射基本原理で説明した特定の位置(図3の後側焦点面PL3)に設定するため、複数の光学測定装置を作成した場合には、レンズ14の個体差のみからでも、光電変換素子18は真の焦点位置から最大で0.5mmほどずれた位置に設置される可能性がある。この位置ずれによって出力が傾くことになる。従って、対象物(紙面P)の変動量1mmに対する出力変化の目標値が0.1%以下という高精度の測定が要求される場合には、目標を達成することができない。
【0053】
ここで、レンズ14の焦点位置ずれの方向と光電変換素子18の出力傾きの傾向を図1を参照して説明する。まず、光電変換素子18の位置が真の焦点位置V0であると考え、仕様上の焦点位置が位置V1または位置V2であると仮定する。また、光電変換素子18の焦点位置から対象物(紙面P)の反射領域(照射領域Ar)までを距離zとする。
【0054】
焦点位置が位置V1の仕様の場合、仕様に従って光電変換素子18を設置すると、光電変換素子18の設置位置は、レンズ14の真の焦点位置V0よりも遠い位置V1に存在することになる。この場合、反射領域(照射領域Ar)までの距離zが大きくなるに従い(34Bの点線から34Aの実線に変化するに従い)、光電変換素子18の出力が大きくなる傾向にある。これは、光束の幅が狭くなるため、光の密度が増加し出力も増加すると考えられるからである。すなわち、対象物(紙面P)までの距離zが大きくなるに従って例えば反射領域(照射領域Ar)の位置が位置Ar1から位置Ar2へと徐々に移行する場合、レンズ14から射出される光束は、位置Ar1のときの発散方向の光束(図1の点線)24から位置Ar2のときの収束方向の光束(図1の実線)26に変化することになる。従って、光電変換素子18を含む光束の領域が狭くなり、光の密度が増加することで出力が増加する傾向になる。
【0055】
焦点位置が位置V2の仕様の場合、仕様に従って光電変換素子18を設置すると、光電変換素子18の設置位置は、レンズ14の真の焦点位置V0よりも近い位置V2に存在することになる。この場合、反射領域までの距離zが大きくなるに従って光束中の光電変換素子18が占める領域が徐々に広くなり(図1の点線線で示す光束24から図1の実線で示す光束26)、光の密度が減少することによって、出力が減少する傾向になる。
【0056】
このことにより、光電変換素子18の出力傾向が、増加傾向にある場合には、真の焦点位置よりも離れた位置に光電変換素子が設置、減少傾向にある場合には、真の焦点位置よりも接近した位置に光電変換素子が設置されていると予測できる。従って、得られた光電変換素子18の出力の傾きから判断して、光電変換素子は、出力が増加する傾向にある場合に、レンズ14の真の焦点位置よりも離れているので、光電変換素子18をレンズ14に接近した方向の位置に調整すればよい。一方、光電変換素子18の出力が減少する傾向にある場合には、光電変換素子は、レンズ14の真の焦点位置よりも接近した位置であるので、光電変換素子18をレンズ14から離れた方向の位置に調整すればよい。このように調整することで、部品の個体差や設置位置ずれ等に依存して生じる誤差を解消でき、高精度の測定が可能となる。
【0057】
〔画像形成装置〕
次に、上記説明した基本原理に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態は、電子写真方式により画像を形成する画像形成装置に適合させたものである。
【0058】
図6には、本発明の実施の形態にかかるゼログラフイ方式による画像出力装置の一例としての画像形成装置の要部を示し、特に、電子写真方式による画像出力部イメージアウトプットターミナル(以下、画像出力部IOTという。)の概略構成を示した。本実施の形態の画像形成装置は、画像出力部IOT及び光学測定装置10を備えており、画像出力部IOTは、レーザ出力部30、現像器32、転写装置34、クリーナ36、スコロトロン帯電器38、定着器40、及び感光体42を備えている。
【0059】
また、光学測定装置10は、用紙Pに形成された画像を測定するものであり、定着器40の後側(下流側)に設置されている。この光学測定装置10は、画像出力部IOTの各部を制御するための画像制御部62に接続されている。なお、図6では、画像読取部や画像処理部は省略する。
【0060】
次に、画像出力部IOTにおける画像形成手順を説明する。まず、スキャナ等の画像読取装置(図示せず)で原稿を読み取ったり、外部のコンピュータ等(図示せず)で作成されたりする入力部50から入力された原画像信号に、画像処理部(図示せず)で適切な処理を行う。これにより得られる入力画像信号は、レーザ出力部30に入力され、レーザ光を変調する。このようにして、入力画像信号によって変調されたレーザ光が、感光体42上にラスタ照射される。
【0061】
感光体42は、レーザ光が照射される以前にスコロトロン帯電器38で一様に帯電されており、一様に帯電された感光体42に、レーザ光が照射されると、その表面に入力画像信号に対応した静電潜像が形成される。そして、現像器32により静電潜像がトナー現像され、転写装置34によって現像されたトナー像が用紙P上に転写され、定着器40によって定着される。これにより、用紙Pには、トナーが定着された定着画像が形成される。その後、感光体42はクリーナ36によりクリーニングされ、一回の画像形成動作が終了する。光学測定装置10は、定着器40の下流側に設置されており、定着後の画像濃度を検出する。
【0062】
次に、光学測定装置10の検知結果をもとに、帯電量、露光量、現像バイアス、現像ロール回転数、トナー供給係数等の操作量を制御して所望の画像品質を得る過程を説明する。
【0063】
画像制御部62からの指示により基準画像信号が出力され、サンプル画像として用紙P上に各色のカラーパッチが形成される。次に、光学測定装置10によってカラーパッチの定着画像濃度が測定され、その検出値である、測定された定着画像濃度と、予めメモリ内にある基準画像の定着画像濃度目標値との差異に応じて、帯電量、露光量、現像バイアス、現像ロール回転数、トナー供給係数のうち少なくとも何れかの操作量を用いて画像出力部IOTをフィードバック制御することにより、所望の画像品質を得る。この場合、光学測定装置10では、用紙Pの上下変動に影響されずに、高精度に測定することにより、高精度のフィードバックが可能となる。
【0064】
なお、測定された定着画像濃度と、予めメモリにある基準画像(基準パターン)の定着画像濃度目標値との差異に応じて、各変換処理部にフィードバックして、色変換マトリクスの変換係数を補正することにより、所望の画像品質を得ることも可能である。
【0065】
〔光学測定装置〕
上記光学測定装置10の詳細を説明する。上述の原理にて、光学測定装置10の各部品の基本的な位置関係を示した(図2参照)。本実施の形態では、光電変換素子18の設置箇所を、レンズ14の焦点位置を含み、光軸CLに垂直な面としている。各部品は、光源12としてLEDを用い、レンズ14として口径12mmでかつ焦点距離30mmの2枚貼り合わせレンズ(アクロマティックレンズ)を用い、光電変換素子18として有効検出領域が1.2mmのPIN―Siフォトダイオードを用いている。レンズ14の光軸CLは紙面Pに対して垂直であり、光源12の照射角度はレンズ14の光軸に対して45度である。
【0066】
レンズ14に用いた2枚貼り合せレンズ(アクロマティックレンズ)の代表的なスペックは以下のとおりである。曲率は、光電変換素子18側から順に、Rl=128.44、R2=13.17、R3=20.72であり、曲率RlとR2は光電変換素手18側に凸であり、R3は逆側に凸となっている。屈折率は、光電変換素子18側から順に、n1=1.728、n2=1.67である。また、中心厚さは、光電変換素子18側から順に、15mm、6.0mmである。これらの数値は、代表的な値であるので、実際には、Rl=30〜140、R2=10〜15、R3=14〜22などの値の中から、光線追跡などのシミュレーションを行いながら決定することができる。
【0067】
[光学測定装置の誤差解消]
ここで、光学測定装置において、上述の原理に基づき、高精度の測定を可能とする、レンズやその他の部品の個体差、及び設置する際の位置ずれに依存して発生する誤差を修正する具体例について説明する。
【0068】
もし、光電変換素子18の位置が正しく焦点位置に設置されていれば、収差が改善されているアクロマティックレンズ等においては、出力の傾きは略0すなわち出力変動はないが、レンズ14の焦点位置の個体差などに依存して、光電変換素子18の位置ずれがlmm生じている時には、出力の傾きとして、反射領域(照射領域Ar)が光軸CL方向に1mm変化するごとに約0.1%の出力変化が生じる。
【0069】
例えば、図5に示すように、出力変動が増加傾向にあり、その大きさについては対象物(紙面P)の反射領域(照射領域Ar)が1mmだけレンズ14から遠ざかるときに0.1%増加するのであれば、図1に示すように、光電変換素子18は真の焦点位置よりもレンズ14から遠い位置V1方向に設置されているので、図7に示すように、光電変換素子18をレンズ14に近づける方向P1に1mm移動させればよい。逆の場合には、光電変換素子18は本来の焦点位置よりもレンズ14から近い位置V2方向に設置されているので、光電変換素子18をレンズ14に遠ざける方向P2に1mm移動させればよい。なお、傾きと移動量は略線形関係にあり、例えば傾きが上記の例の半分であれば、光電変換素子18の移動量は半分であり、0.5mmだけ移動させればよい。
【0070】
なお、光電変換素子18の位置ずれの原因として、まず、レンズ14の焦点位置の光軸方向のずれや光電変換素子18の設置位置の光軸方向のずれを説明した。すなわち、上記原理でレンズ14の仕様上の値としての焦点位置がV1やV2で、真の焦点位置がV0である場合に相当する。
【0071】
[光学測定装置の迷光解消]
次に、測定装置の筐体内部等における反射光、すなわち迷光の抑制に関して具体的に説明する。すなわち、レンズ14の抑え機構などの筐体内壁からの反射光が、紙面位置に依存して強く反射したり反射しなかったりする場合を説明する。
【0072】
図8に示すように、焦点位置が位置V1の仕様であるレンズ14を用い、仕様に従って光電変換素子18を設置したと仮定すると、対象物(紙面P)の位置がレンズ14に接近した場合の反射光の光束34は筐体内壁による反射の影響を受けずにそのまま光電変換素子18に入射する。一方、対象物(紙面P)の位置がレンズ14から離間した場合の反射光の光束26は、本来、光電変換素子18に入射すべき光以外の光を含むことになる。すなわち、筐体内壁の反射の影響を受け、より多くの光が迷光となって光電変換素子18に入射される。
【0073】
これによって、レンズ14から離間した場合の反射光の光束26に相当する光が強くなり、対象物(紙面P)の位置が離間するに従って光電変換素子18の出力が増加する傾向となる。このことは、上述の原理で説明した光電変換素子18の出力傾向が増加傾向にある場合に真の焦点位置よりも離れた位置に光電変換素子が設置されていることに相当するため、光電変換素子18の位置を、仕様の設置位置である位置V1から位置V0方向に調整する。このように調整することで、筐体内部等の反射による迷光に依存して生じる誤差を解消でき、高精度の測定が可能となる。
【0074】
[光学測定装置の誤差解消の方向性]
本実施の形態では、対象物(紙面P)へ、光源12から45度の角度で光を照射しているため、対象物(紙面P)が上下に変動することによって、照射領域Arが紙面上で照射方向(図2の例では左右)に移動することになる。従って、光電変換素子18を光軸方向に移動して調整するだけでなく、光電変換素子18を光軸に垂直方向に移動して調整することも可能である。
【0075】
この場合の具体的な調整は、出力の傾きが増加傾向にあり、その大きさについては反射領域2が1mmだけレンズ14から遠ざかる時に0.1%変化するのであれば、光電変換素子18を光源12が存在する位置に接近させる方向(図7の矢印H1方向)に0.2mm移動させればよい。この逆の場合には光電変換素子18を光源12が存在する位置から離間させる方向(図7の矢印H2方向)に0.2mm移動させればよい。
【0076】
なお、光電変換素子18の出力特性が傾向を有する原因は、各部品が正しい位置や設定範囲からずれた場合にも発生する。これらの場合にも、上記と同様に、一度測定して得られた光電変換素子18の出力特性の傾きから判断して、光電変換素子18の最適位置を調整する必要がある。出力特性の傾きに対する、光電変換素子18の調整方向の関係は、上記と同様である。
【0077】
また、上記では、光電変換素子18を光軸方向に移動して調整することと、光電変換素子18を光軸に垂直方向に移動して調整することを説明したが、これらを組み合わせてもよい。
【0078】
[光学測定装置の光源波長依存性の誤差解消]
上記では、レンズ14の真の焦点位置からのバラツキや部品の位置ずれにより生じた誤差を光電変換素子18を移動させることで解消した場合を説明した。ところが、光電変換素子18の出力特性は、対象物(紙面P)からの反射光の波長にも依存する。言いかえれば、光電変換素子18の出力特性の傾きは、光の波長依存性を有している。すなわち、貼り合せレンズは球面収差だけではなく、色収差を抑制する効果があるが、この効果は結像面で抑制するためであって、焦点位置における抑制のための設計は行われていない。
【0079】
そこで、上記の例と同様に、一度測定して得られた光電変換素子18の出力の傾きを基にして、光電変換素子18の最適位置を調整することができる。光電変換素子18の出力特性の傾きに対する、光電変換素子18の調整方向の関係は、基本的に上述の調整と同様であるが、光電変換素子18の位置の調整方向は、波長により異なる。すなわち、光源が短波長の場合は、対象物(紙面P)と光電変換素子18が接近する方向及び光源12と光電変換素子18が離間する方向の少なくとも1つの方向に移動させ、長波長の場合は、対象物(紙面P)と光電変換素子18が離間する方向及び光源12と光電変換素子18が接近する方向の少なくとも1つの方向に移動させる。図7の例では、光源12が短波長の場合、矢印P1方向及び矢印H1方向の少なくとも1つの方向へ、光源12が長波長の場合、矢印P2方向及び矢印H2方向の少なくとも1つの方向へ移動させればよい。
【0080】
カラー画像を測定するときには、複数の色について測定する必要がある。この場合、異なる波長の光源を複数用いて各々に光電変換素子を設けることが考えられる。そして、各波長の光に対して、最適となる光電変換素子の位置が異なってくるので、各波長の光について、図7の矢印P1,H1,P2,H2で示す少なくとも1つの方向へ各々移動させる調整を行う。
【0081】
ところが、光軸方向への移動に相当する垂直方向(図7の矢印P1方向または矢印P2方向)については、複数の光電変換素子18を同時に設置しても互いに影になるため測定は困難である。従って、水平方向(図7の矢印H1方向及び矢印H2方向)へ移動させればよい。これは、水平方向(図7の矢印H1方向及び矢印H2方向)に面積の小さい光電変換素子を多数個配設しておき、複数の出力から波長に対応する出力を選択して合計することによって、擬似的に矢印H1方向及び矢印H2方向へ光電変換素子が移動したことに相当させることにより、達成することができる。
【0082】
次に、複数光源により照射された異なる波長の反射光を1つの光電変換素子18で測定する場合を説明する。光源12が長波長の場合には光電変換素子18を図7の矢印H1方向に移動し、光源12が短波長の場合に図7の矢印H2方向に移動すればよいので、図9に示すように、上面から見て、長波長光源12Rと短波長光源12Bの設置位置をレンズ14の光軸CLに対して反対側に設置する。これによって、光源12Bが短波長の光の場合に矢印H1方向へ移動させる光電変換素子18の移動方向と、光源12Rによる長波長の光の場合に矢印H2方向へ移動させる光電変換素子18の移動方向とが一致するので、光電変換素子18を一方へ移動させることのみで、短波長及び長波長の各々の光源に対する調整を同時にできることになる。
【0083】
特に、光源12として赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を用いる場合には、まず、これらの光源の中で、中間的な波長である緑色(G)の光源について光電変換素子18の垂直方向(図7の矢印P1及びP2方向)の最適位置を求めて、次に、長波長である赤色(R)と短波長である青色(B)の光源を光軸CLに対して相互に反対側から照射し、光電変換素子18の位置を水平方向(図7の矢印H1及びH2方向)に移動して調整することによって、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、の波長が異なる各々の光源について共に最適な光電変換素子18の位置に光電変換素子18を設置することが可能となる。この場合、緑色(G)の波長の光源は、長波長光源12Rと短波長光源12Bとの照射光軸と直交する方向に設けることが好ましい。
【0084】
なお、この場合、緑色(G)の光源について光電変換素子18の垂直方向の最適な位置に定めてから、赤色(R)及び青色(B)の光源に対する調整として水平方向に移動させることになる。これは、緑色(G)の光源に対しては垂直方向の最適な位置に定めてから調整された水平方向の移動による出力特性の変動は微小であり、その影響が極小であるためである。
【0085】
次に、同色の光源を1方向からだけではなく、複数方向から照射する場合を説明する。図10には、同一光源を2方向から照射した場合の一例を示した。図10の例は、上面から見て、長波長光源12Rと短波長光源12Bの設置位置をレンズ14の光軸CLに対して反対側に設置したものを(図9参照)、長波長光源12R1と短波長光源12B1による光源セット12Sとし、長波長光源12R2と短波長光源12B2による光源セット12Tとした、の2組の各照射光軸が直交するように配置したものである。
【0086】
ここで、光源セット12Sについては矢印H11方向へ光電変換素子18を移動させ、光源セット12Tについては矢印H12方向へ光電変換素子18を移動させることを独立して行う。これにより、光源セット個別に、調整できる。この場合、ベクトル成分的にみて、矢印H11方向と矢印H12方向との合成を考え、矢印H3方向へ光電変換素子18を移動させることで、光源セット12Sの矢印H11方向と光源セット12Tの矢印H12方向の各々を調整したことになり、全ての光源に対する調整を同時にできることになる。これによって、長波長の光源から短波長の光源までの全ての光源について、同時に最適な光電変換素子18の位置に設置することができる。
【0087】
図10の例では、同色の光源を互いに90度に設置することで光源セットを直交させた場合であるが、角度は直交に限定しない。例えば、図11に示すように、光源セットの照射光軸の直線性を維持したまま、他の光源セットと互いに90〜180度の間に設置することができる。
【0088】
上記では、光源セットの照射光軸の直線性を維持したまま、すなわち長波長光源と短波長光源の設置位置をレンズ14の光軸CLに対して反対側に設置した場合を説明したが、長波長光源と短波長光源の設置位置は反対側への設置いn限定しない。すなわち、図12に示すように、何れか一方のみの回転角度を調整してもよい。図12の例では、光電変換素子18の矢印H1の移動によって、短波長光源12Bに対しての調整量と、長波長光源12Rに対しての調整量とが異なることになる。従って、回転角度の調整により、微調整が可能である。
【0089】
なお、ここまでの説明では、光電変換素子の位置の調整について述べたが、出力の傾きは本質的には光電変換素子とレンズの相対位置に依存する。このため、光電変換素子の位置調整に代えて、レンズの位置を調整することも可能であり、また、両方同時に調整することもできる。この場合の位置関係は、上述の調整と等価であるので、説明を省略する。
【0090】
[光学測定装置の調整手順]
次に、上記構成の光学測定装置10を上記原理に基づいて調整する手順を図13を参照して説明する。まず、工程1では、光学測定装置10を、各々のパーツの設計値すなわち仕様にしたがって、組み立てる。なお、組み立てでは、光学測定装置10を構成するレンズ14の仕様上の焦点位置V0に光電変換素子18を設置する。
【0091】
次の工程2では、組み立てた光学測定装置10の出力特性を評価する。この評価は、対象物として紙面Pを、光学測定装置10から徐々に、すなわちレンズ14から徐々に離間させ、このときの光電変換素子18の出力変動の特性を測定する。従って、光電変換素子18の出力特性は、紙面Pから光学測定装置10の距離、すなわち紙面Pの移動量と、光電変換素子18の出力値との関係である。これにより、評価結果として、光電変換素子18の出力特性、すなわち距離を離間させるに従った出力変動が増加傾向、減少傾向または適正の何れかが得られる。なお、出力変動の傾きについて、予め許容範囲を定めておき、許容範囲内のとき目標値であるものとする。この目標値であるか否かを評価結果とする。
【0092】
次の工程3では、工程2による評価結果が目標値であるか否かを判断し、評価結果が目標値であるときは、工程4へ移行し、組み立て調整が終了した光学測定装置10の完成品として各種処理を行い、終了する。
【0093】
一方、工程2による評価結果が目標値でないときは、工程5へ移行し、光電変換素子18の出力特性から、各々のパーツの位置調整量を設定する。具体的には、距離を離間させるに従って出力変動が増加傾向にあるとき、光電変換素子18をレンズ14に接近する方向の位置に移動させる量、光電変換素子18の出力変動が減少傾向にあるとき、光電変換素子18をレンズ14から離間する方向の位置に移動させるる量を設定する。次の工程6では、前記工程5で設定した位置調整量をに従って各々のパーツの位置調整を実施する。これを繰り返すことにより、評価結果が目標値である出力特性が良好な光学測定装置10を得ることができる。
【0094】
〔光学測定装置の追加装置〕
本実施の形態では、光源12を、レンズ14の外部から対象物に光を照射するの位置に設けた場合を説明したが、レンズ14を介して照射してもよい。すなわち、図14に示すように、照射光が一旦レンズ14を透過するように光源12を設ける。このようにすることで、レンズ14の外部から光を照射することに比べて光源12をレンズ14の受光素子側または光電変換素子側に設置側ことができ、装置をコンパクトにすることができる。なお、光源12をレンズ14の後側焦点面よりも離れた位置に設置すると、照射光の光束はレンズ14を透過後に収束することができるので、狭い範囲に照射する場合に有効になる。
【0095】
本実施の形態では、1つの有効受光領域を有する光電変換素子で測定した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の光電変換素子を並べて仮想的に有効受光領域を拡張してもよい。また、移動装置で光電変換素子を移動させて仮想的に有効受光領域を拡張してもよい。このようにすることで、小さな有効受光領域の光電変換素子であっても、仮想的に大きな有効受光領域を有する光電変換素子として用いることができる。
【0096】
すなわち、光電変換素子18では、上記原理で説明したように、対象物からの特定角度内の反射光を受光することになるので、これと同様の作用となるように、この光電変換素子18の領域に、開口またはレンズを設置してもよい。開口による実施の一例を図15に示し、レンズによる実施の一例を図16に示す。図15に示すように、光電変換素子18を設置すべき位置に、有効受光領域の大きさに相当する開口19Aを有する遮光板19を設けることによって、光電変換素子18には開口19Aを通過した光のみ受光することになる。また、図16に示すように、光電変換素子18を設置すべき位置に、有効受光領域の大きさに相当する瞳を有するレンズ19Bを設けた遮光板19を設けることによって、光電変換素子18にはレンズ19Bを通過した光のみ受光することになる。
【0097】
また、本実施の形態では、光学測定装置10において光源12からの照射光及び出力信号をそのまま用いる場合を説明したが、用紙Pの上下変動に影響されず、より高精度に測定して高精度のフィードバックを可能とするためには、照射光及び受光による出力信号を制御することが好ましい。
【0098】
すなわち、光電変換素子18に入射される外乱光には、光源12による照射光以外のものとして、室内照明等の外乱光が含まれる可能性がある。この外乱光を除去するためには、装置周辺を筐体で覆うことが考えられるが、完全に除去できない場合がある。そこで、より完全に除去するためには、光源12を、光パルスを発光する等のように所定の周期やデューティで点滅させて駆動する。これにより、外乱光は、光電変換素子18の出力のオフセットとして現れる。このため、上記の所定の周期やデューティに同期させて光電変換素子18の出力オフセットを除去することにより、更に正確な特性測定が可能となる。この技術に関しては、例えば、トランジスタ技術((1990−3)p473〜p476)の記載例のように、特定の光パルスによる光源の駆動と、サンプルホールド等によるオフセット除去回路を含んだフォトダイオード(PD)の演算回路を含むことで実現できる。
【0099】
〔光学測定装置の調整装置〕
次に、光学測定装置10の調整装置を図17を参照して説明する。図17に示すように、光学測定装置10の調整装置70は、光電変換素子18を移動させる移動装置72、光電変換素子18の出力を増幅する増幅装置74、紙面Pを変動させる搬送装置76、及びこれらを制御するマイクロコンピュータで構成された制御装置78から構成されている。この制御装置78は、テーブル78Aを備えている。このテーブル78Aは、光学測定装置10の各種パーツとして、光源12、レンズ14及び光電変換素子18からなる測定系と、対象物である紙面Pとをレンズの光軸方向に沿って相対的に移動させたときの、光電変換素子18の出力特性と、光電変換素子18及びレンズ14の相対位置との対応関係を予め記憶したものである。
【0100】
なお、上記調整装置70は、本発明の光学測定装置の調整装置に対応する。また、搬送装置76は本発明の移動手段に対応し、テーブル78Aは本発明の記憶手段に対応する。また、増幅装置74及び制御装置78の一部は、本発明の測定手段に対応し、制御装置78の一部は、本発明の出力手段に対応し、移動装置72は本発明の調整手段に対応する。
【0101】
制御装置78では、図18に示す処理ルーチンが実行される。まず、ステップ100において、初期設定がなされ、各種変数の初期化と、調整のための光学測定装置10の設置を促す処理が実行される。次のステップ102では、光学測定装置10の出力特性を評価する評価処理が実行される。この評価処理では、搬送装置76によって紙面Pを、光学測定装置10から徐々に、すなわちレンズ14から徐々に離間させながら、増幅装置74を介して光電変換素子18の出力値を測定する。これにより、出力変動の特性を得る。
【0102】
次のステップ104では、光電変換素子18の出力特性である、紙面Pから光学測定装置10の距離、すなわち紙面Pの移動量と、光電変換素子18の出力値との関係から、評価結果としてその傾きを求め、次のステップ106において、傾きが予め定めた許容範囲内の目標値か否かを判断する。許容範囲内の目標値であるときは、ステップ106で肯定され、次のステップ108で光学測定装置10の完成品として各種処理を行い、本ルーチンを終了する。
【0103】
一方、傾きが許容範囲内の目標値でないときは、ステップ106で否定され、ステップ110へ進む。ステップ110では、テーブル78Aを参照して傾きに対応する光電変換素子18及びレンズ14の相対位置を導出する。この相対位置が調整量である。次のステップ112では、ステップ110で導出した調整量に従って光電変換素子18を移動させるための制御値を求めて、移動装置72へ出力した後に、ステップ102に戻る。これによって、光電変換素子18が移動される。具体的には、光電変換素子18の出力特性が増加傾向にあるとき、光電変換素子18をレンズ14に接近する方向の位置に移動させる制御量、光電変換素子18の出力特性が減少傾向にあるとき、光電変換素子18をレンズ14から離間する方向の位置に移動させる制御量だけ移動される。これにより、傾きが目標値である出力特性が良好な光学測定装置10を得ることができる。
【0104】
〔画像色の測定例〕
なお、本実施の形態では、光学測定装置として、濃度を測定するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像の色を測定対象とする測色装置として機能させることもできる。以下に詳細を説明する。
【0105】
まず、測色を行う場合は、紙面垂直方向に対して45度の方向から光を照射し0度の方向で受光する、または、0度の方向から光を照射し45度の方向で受光する、という構成が一般的である。そこで、測色においては、照射角度を45度にすることが望ましい。ただし、紙面の拡散方向の偏りが大きくなければ、45度に限定されるものではない。
【0106】
図2に示した光学測定装置10において、光源12の色を赤色(R)または緑色(G)または青色(B)に設定した場合、紙面上に形成した、R,G,Bの各々の補色であるシアン(C)またはマゼンタ(M)またはイエロー(Y)の画像の照射領域Arの濃度を、光電変換素子18の出力を用いて測定することができる。なお、黒(K)の濃度の測定用の光源には、上記R,G,Bまたは白色等のいずれの光源を用いてもよい。
【0107】
本発明者等は、光源をR,G,B各色に設定して測定した結果、図19に示すように、紙面の上下変動が1mmであっても、求める出力変化は0.1%以下に抑制できており、色差に関しては濃度に応じて0.2以下から0.4程度の判別が可能なレベルに相当し、肉眼では判別不可能なレベルの色差まで容易に判別可能となる、という知見を得ている。
【0108】
また、R,G,Bの各光源単独で用いることに限定されるものではなく、R,G,B等の複数個の光源を設置して、順次点灯して光電変換素子の出力を得ることにより、フルカラーの画像評価をすることも可能である。
【0109】
例えば、図20に示すように、光源の色が、R,G,Bである本測定装置10B,10G,10R,10Kを、各1個以上設置する。この光学測定装置の一例を説明する。本光学測定装置10は各トナー単色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、黒)に対応して4組を備えている。これら各々の測定装置10B,10G,10R,10Kの出力を用いて、所定方向(図20の矢印Z方向)へ移動する紙面Pの上のC画像(パッチ),M画像,Y画像,K画像の各色の画像濃度を測定し、これらの測定結果から、フルカラーの画質測定を行うことができる。このように、光学測定装置を、フルカラーの画像評価を行うための高精度の測色装置として用いて、その結果を画像出力装置の各工程にフィードバックすることで、高画質の画像を得ることが可能となる。
【0110】
なお、R,G,Bの各色の光源を独立して用いることに限定されるものではなく、白色光源を照射して光電変換素子の入射側にR,G,B等の光学フィルタを設置すれば、各色の信号出力を独立して得ることがっできる。この場合には、光学フィルタを対応して備えた光電変換素子を用意してもよいし、光学フィルタを切り替えて用いてもよい。また、分光器により受光した光を分光して波長毎の出力を得るようにしてもよい。
【0111】
〔変形例〕
本実施の形態では、画像形成装置における画像出力装置中の光学測定装置の位置を、定着後の画像を測定する位置としているが、これは、転写後等の他の位置であってもよい。
【0112】
また、本実施の形態では、電子写真方式を用いた画像形成装置に、本発明を適用した場合について説明したが、画像を形成して出力する装置であれば、画像形成装置に限定されるものではなく、インクジェット方式、感熱フィルム方式、などの画像出力装置にも適用することができる。
【0113】
さらに、本実施の形態は、画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は画像を形成する装置に限定されるものではなく、画像を形成する工程を含まずに画像が形成された対象物を搬送する装置において、その搬送中に、対象物に形成された画像の特性の測定にも適用でき、高精度の画像測定ができる。
【0114】
また、本実施の形態では、対象物として平坦な用紙を用いた場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、対象物は、紙面のような平坦である必要はなく、凹凸を有する形状であっても、反射領域の特性を正確に測定することができる。従って、本発明は、画像の測定だけでなく、対象物の様々な特性の測定を行う場合にも適用可能である。
【0115】
〔実施の形態の効果〕
このように、本実施の形態によれば、対象物(紙面)の反射面が光軸方向に変動する場合であっても、その変動の影響を受けずに測定を行うことができる。また、一度、出力を測定した上で、その結果に基づいて光電変換素子などの位置の調整を行うことで、高精度の測定が可能となる。さらに、筐体等の内側の反射による影響も抑制でき、迷光に影響されない高精度の測定が可能となる。しかも、同時に同一箇所の画像の反射率や濃度、色などを高精度で測定し、その結果を画像制御系などにフィードバックすることが可能となる。
【0116】
また、本実施の形態によれば、小型でかつ低コストの光学測定装置を提供できるため、カラープリンタなどの画像形成装置において、大きさおよびコストを増加させずに、出力する画質を大幅に向上させることができる。すなわち、小型でかつ低コストの光学測定装置を提供できるため、カラープリンタなどの画像形成装置において、大きさおよびコストを増加させずに、出力する画質を大幅に向上させることができる。
【0117】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施形態には特許請求の範囲に記載した要件以外に、次のような各種の技術事項の実施態様を有するものである。
【0118】
前記光学測定装置において、前記光源からの光を前記レンズを介することなく前記対象物に照射することを特徴とする。
【0119】
前記光学測定装置において、前記光源からの光を前記レンズを介して前記対象物に照射することを特徴とする。この場合、前記光源を、前記レンズの前記光電変換素子側の焦点面より前記レンズから遠い位置に設置することを特徴とする。
【0120】
前記光学測定装置において、前記レンズは2枚の貼り合わせレンズとし、2枚のうちの前記対象物側のレンズを第lAレンズ、前記光電変換素子側のレンズを第lBレンズとし、前記第lAレンズの前記対象物側の曲率は、14から22の間であり、前記対象物側に凸となる形状として、前記第lAレンズの前記光電変換素子側と前記第lBレンズの前記対象物側の曲率は、10から15の間であり、前記光電変換素子側に凸となる形状として、前記第lBレンズの前記光電変換素子側の曲率は、30から140の間であり、前記光電変換素子側に凸となる形状として、前記第lAレンズの屈折率は、前記第1Bレンズの屈折率よりも小さいことを特徴とする。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光源、集光レンズ及び受光素子と、対象物とを集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させ、その傾向に基づいて、受光素子と集光レンズとの相対位置を調整するので、集光レンズやその他の部品の個体差、及び設置する際の位置ずれ、に依存して発生する誤差が生じた場合であっても、これを調整でき、高精度に測定することができる光学測定装置を提供することができる、という効果がある。
【0122】
また、安定した出力を得ることが可能な光学測定装置を小型かつ低コストで提供できるため、カラープリンタ等の画像形成装置において、大きさおよびコストを増加させずに、出力する画質を大幅に向上させることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる誤差解消原理を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる光学測定装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる光学測定装置の原理説明図である。
【図4】光学測定装置に含まれる光電変換素子の減少傾向にある出力特性を説明するための説明図である。
【図5】光学測定装置に含まれる光電変換素子の増加傾向にある出力特性を説明するための説明図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
【図7】光学測定装置において光電変換素子の移動方向を説明するための説明図である。
【図8】光学測定装置の迷光を説明するための説明図である。
【図9】異なる波長の光源を用いたときの光電変換素子の調整方向を説明するための説明図である。
【図10】複数組の異なる波長の光源を用いたときの光電変換素子の調整方向を説明するための説明図である。
【図11】図10の変形例である。
【図12】図9の変形例である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる光学測定装置を調整する手順を示すイメージ図である。
【図14】光学測定装置における光源の他の設置位置を示す線図である。
【図15】光電変換素子の入射側に開口を設けたことを示す線図である。
【図16】光電変換素子の入射側にレンズを設けたことを示す線図である。
【図17】本発明の実施の形態にかかる光学測定装置の調整装置の概略構成図である。
【図18】本発明の実施の形態にかかる光学測定装置の調整装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】本実施の形態にかかる光学測定装置の測定結果を示す特性図である。
【図20】本実施の形態にかかる光学測定装置の他例を示す概念図である。
【符号の説明】
10 光学測定装置
12 光源
14 レンズ
18 光電変換素子
70 調整装置
Ar 照射領域
Fa 前側焦点位置
H1,H2,H3 方向
P 紙面
si 角度
V0,V1,V2 位置

Claims (9)

  1. 光源から対象物へ光を照射し、前記対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を検出して前記対象物に関する特性を測定する光学測定装置の調整方法であって、
    前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子を予め定めた所定の相対位置で設け、前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子と、前記対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させ、
    前記光軸方向の移動距離に依存する、前記受光素子の検出値の傾向を求め、求めた傾向に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を調整する
    ことを特徴とする光学測定装置の調整方法。
  2. 前記対象物の光軸方向の移動距離が大きくなるに従って前記検出値が大きくなる場合に、前記受光素子を、前記光軸方向に沿う前記集光レンズへの接近方向及び前記光軸方向に交差する方向に沿いかつ前記光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動し、
    前記対象物の光軸方向の移動距離が大きくなるに従って前記検出値が小さくなる場合に、前記受光素子を、前記光軸方向に沿う前記集光レンズからの接近方向及び前記光軸方向に交差する方向に沿いかつ前記光源からの離間方向の少なくとも一つの方向に移動する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置の調整方法。
  3. 前記受光素子は、前記集光レンズの焦点位置近傍の異なる複数の位置において各々光量を検出し、複数の検出値のうちの少なくとも1つの検出値を前記検出値に用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学測定装置の調整方法。
  4. 予め定めた波長の光に対して波長が長い光が照射される場合には、前記受光素子を、前記光軸方向に沿う前記集光レンズへの接近方向及び前記光軸方向に交差する方向に沿いかつ前記光源への接近方向の少なくとも一つの方向に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光学測定装置の調整方法。
  5. 光源から対象物へ光を照射し、前記対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を検出して前記対象物に関する特性を測定する光学測定装置の調整装置において、
    前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子と、前記対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させる移動手段と、
    前記光源、前記集光レンズ及び前記受光素子と、前記対象物とを前記集光レンズの光軸方向に沿って相対的に移動させたときの、前記光軸方向の移動距離に依存する、前記受光素子の検出値の傾向と、前記受光素子及び前記集光レンズの相対位置との対応関係を記憶する記憶手段と、
    前記移動手段による相対的な移動時における検出値に基づいて前記傾向を測定する測定手段と、
    測定した傾向及び前記対応関係に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とする光学測定装置の調整装置。
  6. 前記出力手段から出力された相対位置になるように、前記受光素子及び前記集光レンズの少なくとも一方の位置を調整する調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の光学測定装置の調整装置。
  7. 画像形成媒体を前記対象物として該画像形成媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    請求項5または請求項6に記載の光学測定装置の調整装置を含む光学測定装置を備え、前記画像形成手段により画像が形成された画像形成媒体の搬送中に、形成された画像を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に基づいて、前記画像形成媒体に形成される画像の品質を制御する制御手段と、
    を備えた画像形成装置。
  8. 対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を測定する光学測定装置の調整方法であって、
    前記集光レンズの光軸方向の前記対象物の位置変動に対する前記受光素子の出力特性を測定し、
    前記出力特性の傾きに基づいて、前記集光レンズと前記受光素子との相対位置を調整する
    ことを特徴とする光学測定装置の調整方法。
  9. 対象物からの反射光を集光レンズにより集光し、前記集光レンズの焦点位置近傍に設けられた受光素子で光量を測定する光学測定装置の調整装置において、
    前記集光レンズの光軸方向の前記対象物の位置変動に対する前記受光素子の出力特性の傾きと、前記受光素子の設定位置との対応関係を示す情報を記憶する記憶手段と、
    前記出力特性を測定する測定手段と、
    前記測定手段の測定結果から出力特性の傾きを求め、前記記憶手段に記憶された情報から前記受光素子の設定位置情報を出力する制御手段と、
    前記制御手段から出力される前記受光素子の設定位置情報に基づいて、前記受光素子と前記集光レンズとの相対位置を調整する調整手段と、
    を備えたことを特徴とする光学測定装置の調整装置。
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