JP3788058B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気通路内の或る位置よりも上流の排気通路内、燃焼室内、および吸気通路内に供給された全燃料量および全還元剤量に対する全空気量の比をその位置を流通する排気の空燃比と称すると、従来より、リーン混合気を燃焼せしめるようにした内燃機関において、流入する排気の空燃比がリーンのときにNOX を吸収し、流入する排気中の酸素濃度が低くなると吸収しているNOX を放出するNOX 吸収剤を機関排気通路内に配置し、NOX 吸収剤内に流入する排気の空燃比を一時的にリッチにしてNOX 吸収剤から吸収されているNOX を放出させると共に放出されたNOX を還元するようにした内燃機関が知られている。
【0003】
ところが燃料および機関の潤滑油内にはイオウ分が含まれているので排気中にはイオウ分例えばSOX が含まれており、このSOX も例えばSO4 2- の形でNOX と共にNOX 吸収剤に吸収される。しかしながらこのSOX はNOX 吸収剤への流入する排気の空燃比をただ単にリッチにしてもNOX 吸収剤から放出されず、したがってNOX 吸収剤内のSOX の量は次第に増大することになる。ところがNOX 吸収剤内のSOX の量が増大するとNOX 吸収剤が吸収しうるNOX の量が次第に低下し、ついにはNOX 吸収剤がNOX をほとんど吸収できなくなる。
【0004】
ところが、NOX 吸収剤の温度が高いときにNOX 吸収剤内に流入する排気中の酸素濃度を低くすると吸収されているSOX が例えばSO2 の形で放出される。そこで、従来より、NOX 吸収剤を加熱しつつNOX 吸収剤内に流入する排気の空燃比を一時的にリッチまたは理論空燃比にしてNOX 吸収剤からSOX を放出させるようにした排気浄化装置が知られている。
【0005】
NOX 吸収剤を加熱するためにNOX 吸収剤に電気ヒータを設けることもできるが、NOX 吸収剤に流入する排気中に多量の酸素と多量のHCとが同時に含まれていると、これら酸素およびHCがNOX 吸収剤において反応するためにこの反応熱でもってNOX 吸収剤を加熱することができる。そこで、複数の気筒を第1の気筒群と第2の気筒群とに分割し、第1の気筒群で燃焼せしめられる混合気の空燃比をリッチにして多量のHCが含まれる排気を形成し、第2の気筒群で燃焼せしめられる混合気の空燃比をリーンにして多量の酸素が含まれる排気を形成し、これら排気を同時にNOX 吸収剤に導入してNOX 吸収剤を加熱すると共に、NOX 吸収剤に流入する混合排気の空燃比をリッチまたは理論空燃比にしてNOX 吸収剤からSOX を放出させるようにした排気浄化装置が公知である(特開平8−61052号公報参照)。
【0006】
NOX 吸収剤に流入する酸素およびHCをNOX 吸収剤の加熱のために有効に利用するためにはNOX 吸収剤に流入する混合排気の空燃比を正確に理論空燃比またはわずかばかりリッチに維持する必要がある。そこでこの排気浄化装置では、NOX 吸収剤に流入する混合排気の空燃比を検出する空燃比センサを設け、この空燃比センサの出力信号に基づき第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比を制御するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、NOX 吸収剤に流入する混合排気の空燃比を例えばリーン側に補正すべきときに第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比を同様に補正するようにすると、第1の気筒群の排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンになる恐れがある。すなわち、第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比を同様に補正すると第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比が過補正されてNOX 吸収剤に十分なHCまたは酸素を供給できなくなるという問題点がある。上述の公報ではこの問題点を何ら示唆していない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために1番目の発明によれば、複数の気筒が第1の気筒群と第2の気筒群とに分割されてこれら第1の気筒群および第2の気筒群がそれぞれ対応する三元触媒を介し共通の合流排気通路に接続されている内燃機関において、合流排気通路内に配置された排気浄化触媒であって、流入する排気の空燃比がリーンのときにはNO を吸収し、流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNO を放出するNO 吸収剤から構成される排気浄化触媒と、排気浄化触媒からイオウを放出させるべきときに排気浄化触媒に流入する第1の気筒群の排気と第2の気筒群の排気との混合排気の目標空燃比を理論空燃比またはわずかばかりリッチに設定する混合排気目標空燃比手段と、第1の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリッチに設定しかつ第2の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリーンに設定すると共に、第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比がそれぞれ対応する目標空燃比のときに混合排気の空燃比がこの混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の排気の目標空燃比と第2の気筒群の排気の目標空燃比とを設定する気筒群空燃比設定手段と、第1の気筒群の燃料噴射量および第2の気筒群の燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、混合排気の空燃比を検出するために排気浄化触媒上流の合流排気通路内に配置された空燃比センサと、空燃比センサの出力信号に基づいて混合排気の空燃比がこの混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の燃料噴射量と第2の気筒群の燃料噴射量とを補正する補正手段とを具備し、補正手段は混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには第1の気筒群の燃料噴射量の補正割合を第2の気筒群の燃料噴射量の補正割合よりも大きくし、混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには第2の気筒群の燃料噴射量の補正割合を第1の気筒群の燃料噴射量の補正割合よりも大きくするようにしている。すなわち1番目の発明では、混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには主として第1の気筒群の燃料噴射量が増量補正され、混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには主として第2の気筒群の燃料噴射量が減量補正されるので、第1の気筒群の燃料噴射量および第2の気筒群の燃料噴射量が過補正されるのが阻止される。
【0009】
また、上記課題を解決するために2番目の発明によれば、複数の気筒が第1の気筒群と第2の気筒群とに分割されてこれら第1の気筒群および第2の気筒群がそれぞれ対応する分岐排気通路を介して共通の合流排気通路に接続されている内燃機関において、合流排気通路内に配置された排気浄化触媒と、排気浄化触媒に流入する第1の気筒群の排気と第2の気筒群の排気との混合排気の目標空燃比を設定する混合排気目標空燃比手段と、第1の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリッチに設定しかつ第2の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリーンに設定すると共に、第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比がそれぞれ対応する目標空燃比のときに混合排気の空燃比がこの混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の排気の目標空燃比と第2の気筒群の排気の目標空燃比とを設定する気筒群空燃比設定手段と、第1の気筒群の燃料噴射量および第2の気筒群の燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、混合排気の空燃比を検出するために排気浄化触媒上流の合流排気通路内に配置された主空燃比センサと、各気筒群の排気の空燃比を検出するために各分岐排気通路内に配置された副空燃比センサと、主空燃比センサの出力信号に基づいて混合排気の空燃比がこの混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の燃料噴射量と第2の気筒群の燃料噴射量とを補正する主補正手段と、副空燃比センサの出力信号に基づいて混合排気の空燃比がこの混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の燃料噴射量と第2の気筒群の燃料噴射量とを補正する副補正手段とを具備し、副補正手段は副空燃比センサにより検出される第1の気筒群の排気の空燃比が予め定められた第1設定空燃比よりもリーンのときには主補正手段による第1の気筒群の燃料噴射量の減量補正量を減少し、副空燃比センサにより検出される第2の気筒群の排気の空燃比が予め定められた第2設定空燃比よりもリッチのときには主補正手段による第2の気筒群の燃料噴射量の増量補正量を減少するようにしている。すなわち2番目の発明では、第1の気筒群の排気の空燃比が第1設定空燃比よりもリーンにならないように第1の気筒群の燃料噴射量が補正され、第2の気筒群の排気の空燃比が第2設定空燃比よりもリッチにならないように第2の気筒群の燃料噴射量が補正されるので、第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比が過補正されるのが阻止される。
【0010】
また、3番目の発明では1番目または2番目の発明において、第1の気筒群の燃料噴射量が予め定められた上限しきい値よりも多いときに混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには第1の気筒群の燃料噴射量が増量補正されるのを禁止すると共に第2の気筒群の燃料噴射量を増量補正するようにしている。すなわち3番目の発明では、第1の気筒群の燃料噴射量が上限しきい値よりも多くなるのが阻止されつつ混合排気の空燃比が目標空燃比に維持される。
【0011】
また、4番目の発明では1番目または2番目の発明において、第2の気筒群の燃料噴射量が予め定められた下限しきい値よりも少ないときに混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには第2の気筒群の燃料噴射量が減量補正されるのを禁止すると共に第1の気筒群の燃料噴射量を減量補正するようにしている。すなわち4番目の発明では、第2の気筒群の燃料噴射量が下限しきい値よりも少なくなるのが阻止されつつ混合排気の空燃比が目標空燃比に維持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、機関本体1は例えば四つの気筒を具備する。各気筒は対応する吸気枝管2を介してサージタンク3に接続され、サージタンク3は吸気ダクト4を介してエアクリーナ5に接続される。吸気ダクト4内にはスロットル弁6が配置される。また、各気筒には燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁7が取り付けられる。一方、機関本体1の気筒は1番気筒#1および4番気筒#4からなる第1の気筒群1aと、2番気筒#2および3番気筒#3からなる第2の気筒群1bとに分割されている。機関本体1の排気行程順序は#1−#3−#4−#2であるので機関の気筒が第1の気筒群と、第1の気筒群と排気行程が重ならない第2の気筒群とに分割されていることになる。第1の気筒群1aは排気マニホルド8aを介して始動時触媒9aを収容したケーシング10aに接続され、第2の気筒群1bは排気マニホルド8bを介して始動時触媒9bを収容したケーシング10bに接続される。これらケーシング10a,10bは共通の合流排気管11を介してNOX 吸収剤12を収容したケーシング13に接続され、ケーシング13は排気管14に接続される。
【0013】
電子制御ユニット20はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス21によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)22、RAM(ランダムアクセスメモリ)23、CPU(マイクロプロセッサ)24、常時電力が供給されているB−RAM(バックアップRAM)25、入力ポート26および出力ポート27を具備する。サージタンク3にはサージタンク3内の圧力に比例した出力電圧を発生する圧力センサ28が取り付けられ、合流排気管11の集合部にはNOX 吸収剤12に流入する排気の空燃比を表す出力電圧を発生する空燃比センサ29が取り付けられ、排気管14にはNOX 吸収剤12から排出された排気の温度TEXに比例した出力電圧を発生する温度センサ30が取り付けられる。この排気温度TEXはNOX 吸収剤12の温度を表している。これらセンサ28,29,30の出力電圧はそれぞれ対応するAD変換器31を介して入力ポート26に入力される。CPU24では圧力センサ28の出力電圧に基づいて吸入空気量Qが算出される。また、入力ポート26には機関回転数Nを表す出力パルスを発生する回転数センサ32が接続される。一方、出力ポート27は対応する駆動回路33を介して燃料噴射弁7に接続される。
【0014】
図2は気筒から排出される排気中の代表的な成分の濃度を概略的に示している。図2からわかるように、気筒から排出される排気中の未燃HC,COの量は気筒で燃料せしめられる混合気の空燃比がリッチになるほど増大し、気筒から排出される排気中の酸素O2の量は気筒で燃料せしめられる混合気の空燃比がリーンになるほど増大する。
【0015】
始動時触媒9a,9bはNOX 吸収剤12が活性化していない機関始動時に排気を浄化するためのものであり、例えばアルミナ担体上に白金Ptのような貴金属が担持された三元触媒から形成される。
一方、NOX 吸収剤12は例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK,ナトリウムNa,リチウムLi,セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa,カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa,イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh、イリジウムIrのような貴金属とが担持されている。このNOX 吸収剤12は流入する排気の空燃比がリーンのときにはNOX を吸収し、流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOX を放出するNOX の吸放出作用を行う。なお、NOX 吸収剤12上流の排気通路内に燃料或いは空気が供給されない場合には流入する排気の空燃比は各気筒に供給される全燃料量に対する全空気量の比に一致する。
【0016】
上述のNOX 吸収剤12を機関排気通路内に配置すればこのNOX 吸収剤12は実際にNOX の吸放出作用を行うがこの吸放出作用の詳細なメカニズムについては明らかでない部分もある。しかしながらこの吸放出作用は図3(A),3(B)に示すようなメカニズムで行われているものと考えられる。次にこのメカニズムについて担体上に白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0017】
すなわち、流入する排気がかなりリーンになると流入する排気中の酸素濃度が大巾に増大し、図3(A)に示されるようにこれら酸素O2 がO2 - またはO2-の形で白金Ptの表面に付着する。一方、流入する排気中のNOは白金Ptの表面上でO2 - またはO2-と反応し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 )。次いで生成されたNO2 の一部は白金Pt上でさらにに酸化されつつ吸収剤内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図3(A)に示されるように硝酸イオンNO3 - の形で吸収剤内に拡散する。このようにしてNOX がNOX 吸収剤12内に吸収される。
【0018】
流入する排気中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2 が生成され、吸収剤のNOX 吸収能力が飽和しない限りNO2 が吸収剤内に吸収されて硝酸イオンNO3 - が生成される。これに対して流入する排気中の酸素濃度が低下してNO2 の生成量が低下すると反応が逆方向(NO3 - →NO2 )に進み、斯くして吸収剤内の硝酸イオンNO3 - がNO2 の形で吸収剤から放出される。すなわち、流入する排気中の酸素濃度が低下するとNOX 吸収剤12からNOX が放出されることになる。流入する排気のリーンの度合が低くなれば流入する排気中の酸素濃度が低下し、したがって流入する排気のリーンの度合を低くすればNOX 吸収剤12からNOX が放出されることになる。
【0019】
一方、このときNOX 吸収剤12に流入する排気の空燃比をリッチにすると図2に示されるようにこの排気中には多量のHC,COが含まれ、これらHC,COは白金Pt上の酸素O2 - またはO2-と反応して酸化せしめられる。また、流入する排気の空燃比をリッチにすると流入する排気中の酸素濃度が極度に低下するために吸収剤からNO2 が放出され、このNO2 は図3(B)に示されるようにHC,COと反応して還元せしめられる。このようにして白金Ptの表面上にNO2 が存在しなくなると吸収剤から次から次へとNO2 が放出される。したがって流入する排気の空燃比をリッチにすると短時間のうちにNOX 吸収剤12からNOX が放出されることになる。
【0020】
本実施態様では通常運転時に各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比はリーンに維持されており、したがって通常運転時に各気筒から排出される排気中のNOX はNOX 吸収剤12に吸収される。ところが、NOX 吸収剤12のNOX 吸収能力には限界があるのでNOX 吸収剤12のNOX 吸収能力が飽和する前にNOX 吸収剤12からNOX を放出させる必要がある。そこで本実施態様では、NOX 吸収剤12のNOX 吸収量が予め定められた設定量よりも多くなったときには各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比を一時的にリッチにしてNOX 吸収剤12からNOX を放出させると共に還元するようにしている。
【0021】
ところが、燃料および機関の潤滑油内にはイオウ分が含まれているのでNOX 吸収剤12に流入する排気中にはイオウ分例えばSOX が含まれており、NOX 吸収剤12にはNOX ばかりでなくSOX も吸収される。このNOX 吸収剤12へのSOX の吸収メカニズムはNOX の吸収メカニズムと同じであると考えられる。
【0022】
すなわち、NOX の吸収メカニズムを説明したときと同様に担体上に白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明すると、前述したように流入する排気の空燃比がリーンのときには酸素O2 がO2 - またはO2-の形で白金Ptの表面に付着しており、流入する排気中のSOX 例えばSO2 は白金Ptの表面でO2 - またはO2-と反応してSO3 となる。次いで生成されたSO3 は白金Pt上で更に酸化されつつ吸収剤内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、硫酸イオンSO4 2- の形で吸収剤内に拡散する。次いでこの硫酸イオンSO4 2- はバリウムイオンBa2+と結合して硫酸塩BaSO4 を生成する。
【0023】
しかしながらこの硫酸塩BaSO4 は分解しずらく、流入する排気の空燃比を単にリッチにしても硫酸塩BaSO4 は分解されずにそのまま残る。したがってNOX 吸収剤12内には時間が経過するにつれて硫酸塩BaSO4 が増大することになり、斯くして時間が経過するにつれてNOX 吸収剤12が吸収しうるNOX 量が低下することになる。
【0024】
ところがNOX 吸収剤12内で生成された硫酸塩BaSO4 はNOX 吸収剤12の温度が高いときに流入する排気の空燃比をリッチまたは理論空燃比にすると分解して硫酸イオンSO4 2- がSO3 の形で吸収剤から放出される。そこで本実施態様では、NOX 吸収剤12のSOX 吸収量が予め定められた設定量よりも多くなったときにはNOX 吸収剤12を加熱しつつNOX 吸収剤12内に流入する排気の空燃比を一時的に理論空燃比またはリッチにし、それによってNOX 吸収剤12からSOX を放出させるようにしている。このとき放出されたSO3 は流入する排気中のHC,COによってただちにSO2 に還元せしめられる。
【0025】
冒頭で述べたように、NOX 吸収剤12に流入する排気中に多量の酸素と多量のHCとが同時に含まれていると、これら酸素およびHCがNOX 吸収剤12において反応するためにこの反応熱でもってNOX 吸収剤12を加熱することができる。この場合NOX 吸収剤12に流入する排気の空燃比が理論空燃比であるとNOX 吸収剤12においてHCをNOX 吸収剤12の加熱のために有効に利用することができる。一方、図2に示されるように気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比をリッチにすれば排気中に多量のHCが含まれ、リーンにすれば排気中に多量の酸素が含まれる。そこで本実施態様では、NOX 吸収剤12からSOX を放出すべきときには第1の気筒群1aで燃焼せしめられる混合気の空燃比をリッチにして多量のHCが含まれる排気を形成し、第2の気筒群1bで燃焼せしめられる混合気の空燃比をリーンにして多量の酸素が含まれる排気を形成し、これら排気を同時にNOX 吸収剤12に導入してNOX 吸収剤12を加熱すると共に、NOX 吸収剤12に流入する第1の気筒群1aの排気と第2の気筒群1bの排気との混合排気の空燃比を理論空燃比またはわずかばかりリッチにしてNOX 吸収剤12からSOX を放出させるようにしている。
【0026】
すなわち、一般的に云うと、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の目標空燃比を理論空燃比に設定し、第1の気筒群1aの排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリッチに設定しかつ第2の気筒群1bの排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリーンに設定すると共に、第1の気筒群1aの排気の空燃比および第2の気筒群1bの排気の空燃比がそれぞれ対応する目標空燃比のときに混合排気の空燃比がその目標空燃比となるように第1の気筒群1aの排気の目標空燃比と第2の気筒群1bの排気の目標空燃比とを設定しているということになる。
【0027】
本実施態様では、第1の気筒群1aの各気筒の燃料噴射量q1および第2の気筒群1bの各気筒の燃料噴射量q2は次式に基づいてそれぞれ算出される。
q1=(qB+qC)・(1+FAF1)
q2=(qB−qC)・(1+FAF2)
ここでqBは基本燃料噴射量、qCは基本燃料噴射量変更係数、FAF1は第1の気筒群1aのためのフィードバック補正係数、FAF2は第2の気筒群1bのためのフィードバック補正係数をそれぞれ表している。
【0028】
基本燃料噴射量qBは各気筒群で燃焼せしめられる混合気の空燃比を、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比の目標空燃比すなわち理論空燃比にするのに必要な燃料噴射量であって予め実験により求められている。この基本燃料噴射量qBは機関負荷Q/N(吸入空気量Q/機関回転数N)および機関回転数Nの関数として図4に示すマップの形で予めROM22内に記憶されている。
【0029】
基本燃料噴射量変更係数qC(>0)は第1の気筒群1aで燃焼せしめられる混合気の空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように基本燃料噴射量qBを変更すると共に、第2の気筒群1bで燃焼せしめられる混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように基本燃料噴射量qBを変更するためのものである。この基本燃料噴射量変更係数qCは例えば各気筒群で燃焼せしめられる混合気の空燃比が一定に維持されるように予め定められており、機関負荷Q/Nおよび機関回転数Nの関数として図5に示すマップの形で予めROM22内に記憶されている。なお、(qB+qC)は第1の気筒群1aで燃焼せしめられる混合気の空燃比の目標値を表しており、(qB−qC)は第2の気筒群1bで燃焼せしめられる混合気の空燃比の目標値を表している。この場合、機関1に供給される全燃料量は各気筒に基本燃料噴射量qBだけ供給した場合と等しくなっている。
【0030】
フィードバック補正係数FAF1,FAF2はNOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比を理論空燃比に維持するためのものであり、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには次式に基づいて算出される。
FAF1=FAF・KS
FAF2=FAF・(1−KS)
ここでFAFは基本フィードバック補正係数、KSは反映係数をそれぞれ表している。一方、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには次式に基づいて算出される。
【0031】
FAF1=FAF・(1−KS)
FAF2=FAF・KS
基本フィードバック補正係数FAFはNOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比を理論空燃比に維持するためのものであり、空燃比センサ29の出力信号に基づいて算出される。この基本フィードバック補正係数FAFは−1.0から1.0の間で変動する。
【0032】
反映係数KSは各気筒群の燃料噴射量補正作用に対する基本フィードバック補正係数FAFに基づく補正作用の反映度合いを表している。この反映係数KSは0.5から1.0の間で定められ、したがってNOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには基本フィードバック補正係数FAFに基づく補正作用が第1の気筒群1aの燃料噴射量補正作用に対し強く反映され、第2の気筒群1bの燃料噴射量補正作用に対し弱く反映され、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには第2の気筒群1bの燃料噴射量補正作用に対し強く反映され、第1の気筒群1aの燃料噴射量補正作用に対し弱く反映される。
【0033】
NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比の目標空燃比が上述したように理論空燃比の場合には空燃比センサ29として排気中の酸素濃度に応じ出力電圧が変化する酸素センサが用いられる。この空燃比センサ29は空燃比がリッチのときに約0.9ボルトの出力電圧を発生し、空燃比がリーンのときに約0.1ボルトの出力電圧を発生し、空燃比が理論空燃比周りのときには空燃比センサ29の出力電圧は急激に増減する。次に、図6および図7を参照して基本フィードバック補正係数FAFの算出方法について説明する。
【0034】
図6は基本フィードバック補正係数FAFの算出ルーチンを示しており、このルーチンは例えばメインルーチン内で実行される。図6を参照すると、まず初めにステップ40では空燃比センサ29の出力電圧Vが基準電圧VREF(例えば0.45ボルト)よりも高いか否か、すなわち混合排気の空燃比がリッチであるか否かが判別される。V≧VREFのとき、すなわち混合排気の空燃比がリッチのときにはステップ41に進み、前回の処理サイクル時にリーンであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にリーンのとき、すなわちリーンからリッチに変化したときにはステップ42に進んで基本フィードバック補正係数FAFからスキップ値SLが減算され、したがって図7に示されるように基本フィードバック補正係数FAFはスキップ値SLだけ急激に減少せしめられる。これに対し、ステップ41において前回の処理サイクル時にリッチのときにはステップ43に進み、基本フィードバック補正係数FAFから積分値KL(≪SL)が減算される。したがって図7に示されるように基本フィードバック補正係数FAFは徐々に減少せしめられる。
【0035】
一方、ステップ40においてV<VREFのときにはステップ44に進み、前回の処理サイクル時にリッチであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にリッチのとき、すなわちリッチからリーンに変化したときにはステップ45に進んで基本フィードバック補正係数FAFにスキップ値SRが加算され、したがって図7に示されるように基本フィードバック補正係数FAFはスキップ値SRだけ急激に増大せしめられる。これに対し、ステップ44において前回の処理サイクル時にリーンのときにはステップ46に進み、基本フィードバック補正係数FAFに積分値KR(≪SR)が加算される。したがって図7に示されるように基本フィードバック補正係数FAFは徐々に増大せしめられる。
【0036】
NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比がリッチになって基本フィードバック補正係数FAFが減少せしめられると第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2が減少せしめられ、混合排気の空燃比がリーンになって基本フィードバック補正係数FAFが増大せしめられると第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2が増大せしめられるので混合排気の空燃比を理論空燃比に維持することができる。
【0037】
ところが、第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2をこの基本フィードバック補正係数FAFでもって直接的に補正するようにすると、第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2が過補正されてNOX 吸収剤12に十分なHCまたは酸素を供給できなくなる恐れがある。すなわち、例えば第1の気筒群1aの排気の空燃比が(qB+qC)で表される目標空燃比に一致しているといっても実際にはこの目標空燃比を中心として変動しており、したがってこの目標空燃比よりもリーンになっているときがある。このとき基本フィードバック補正係数FAFが1.0よりも小さいということで第1の気筒群1aの燃料噴射量q1を減量補正すると第1の気筒群1aの排気の空燃比が理論空燃比或いはリーンになり、斯くしてNOX 吸収剤12に供給されるHC量が減少してしまう。
【0038】
特に、図1の内燃機関では各気筒群に三元触媒9a,9bが接続されており、各気筒群から排出される排気の空燃比が理論空燃比に近づくと排気中のHCおよび酸素が三元触媒9a,9bで反応するためにNOX 吸収剤12に供給されるHCおよび酸素の量がさらに減少する。その結果、NOX 吸収剤12を十分に加熱できないためにNOX 吸収剤12からSOX を十分に放出させることができない。
【0039】
そこで本実施態様では、基本フィードバック補正係数FAFが正値であってNOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには第1の気筒群1aの燃料噴射量q1の燃料増量割合を第2の気筒群1bの燃料噴射量q2の燃料増量割合よりも大きくし、基本フィードバック補正係数FAFが負値であってNOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには第2の気筒群1bの燃料噴射量q2の燃料減量割合を第1の気筒群1aの燃料噴射量q1の燃料減量割合よりも大きくするようにしている。
具体的には、0.5よりも大きな反映係数KS(≦1.0)を導入し、図8に示されるように基本フィードバック補正係数FAFが正値のときには第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1をFAF・KSにすると共に第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2をFAF・(1−KS)にし、基本フィードバック補正係数FAFが負値のときには第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1をFAF・(1−KS)にすると共に第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2をFAF・KSにしている。したがって、第1の気筒群1aの燃料噴射量q1の減量補正が抑制され、第2の気筒群1bの燃料噴射量q2の増量補正が抑制されるのでNOX 吸収剤12に供給されるHCおよび酸素の量が低減されるのが阻止される。なお、このように一方の気筒群の燃料噴射量をFAF・KSでもって補正し、他方の気筒群の燃料噴射量FAF・(1−KS)でもって補正すると、機関1に供給される全燃料量をFAFでもって補正するのと同じことになる。
【0040】
ところで、第1の気筒群1aで燃焼せしめられる混合気の空燃比がリッチにされ、第2の気筒群1bで燃焼せしめられる混合気の空燃比がリーンにされると機関1のトルク変動が大きくなり、特に機関低負荷運転時にはドライバビリティが悪化する。一方、反映係数KSが小さいときには大きいときに比べて第1の気筒群1aで燃焼せしめられる混合気の空燃比と第2の気筒群1bで燃焼せしめられる混合気の空燃比との差が小さくなるのでトルク変動が小さくなる。そこで本実施態様では、図9(A)に示すように機関負荷を表す機関回転数Nが低いとき程小さくなるように反映係数KSを定めている。
【0041】
一方、NOX 吸収剤12からSOX を放出させるべきときにはNOX 吸収剤12の温度をSOX が放出されうる温度まで速やかに高めるのが好ましい。一方、反映係数KSを大きくするとNOX 吸収剤12に供給されるHCまたは酸素の量が増大するためにNOX 吸収剤12で発生する反応熱が増大する。そこで本実施態様では、図9(B)に示すようにNOX 吸収剤12の温度を表す排気温度TEXが低いとき程大きくなるように反映係数KSを定めている。なお、反映係数KSは機関回転数Nおよび排気温度TEXの関数として図9(C)に示されるマップの形で予めROM22内に記憶されている。
【0042】
このように本実施態様によれば、第1の気筒群1aの排気の空燃比がその目標空燃比よりもリーンになるのが抑制され、第2の気筒群1bの排気の空燃比がその目標空燃比よりもリッチになるのが抑制される。したがって、機関から排出されるHCおよび酸素をNOX 吸収剤12の加熱のために有効に利用することができる。また、NOX 吸収剤12に十分な量のHCおよび酸素が供給される限り、第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの目標空燃比をそれぞれ理論空燃比に近づけることができる。その結果、第1の気筒群1aで燃焼せしめられる混合気の空燃比と第2の気筒群1bで燃焼せしめられる混合気の空燃比との差を小さくすることができ、したがって良好なドライバビリティを確保することができる。さらに、第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの目標空燃比をそれぞれ理論空燃比に近づけることができるのでNOX 吸収剤12に過剰のHCおよび酸素が供給されるのを阻止でき、したがってNOX 吸収剤12が過熱されるのを阻止することができる。
【0043】
図10は本実施態様におけるNOX 放出制御ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
図10を参照すると、まずステップ50ではNOX 吸収剤12からNOX を放出させるべきときにセットされ、それ以外はリセットされるNOX フラグがセットされているか否かが判別される。NOX フラグがリセットされているときにはステップ51に進み、NOX 吸収剤12に吸収されているNOX 量SNが例えば機関運転状態に基づいて算出される。例えば、NOX 吸収剤12に流入するNOX 量は機関負荷Q/Nが高くなるにつれて多くなり、機関回転数Nが高くなるにつれて多くなるので、機関負荷Q/Nと機関回転数Nの積Q/N・Nの積算値に基づき吸収NOX 量SNを推定することができる。続くステップ52では吸収NOX 量SNが一定値SN1よりも大きいか否かが判別される。この一定値SN1はNOX 吸収剤12が吸収しうる最大NOX 量の約30%である。SN≦SN1のときには処理サイクルを終了する。これに対し、SN>SN1のときにはステップ53に進み、NOX フラグがセットされる。
【0044】
NOX フラグがセットされたときにはステップ50からステップ54に進み、NOX フラグがセットされてから一定時間以上経過したか否か、すなわちNOX 吸収剤12のNOX 放出作用が一定時間以上行われたか否かが判別される。NOX フラグがセットされてから一定時間以上経過していないときには処理サイクルを終了する。これに対し、NOX フラグがセットされてから一定時間以上経過したときにはステップ55に進み、NOX フラグがリセットされる。
【0045】
図11は本実施態様におけるSOX 放出制御ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
図11を参照すると、まずステップ60ではNOX 吸収剤12からSOX を放出させるべきときにセットされ、それ以外はリセットされるSOX フラグがセットされているか否かが判別される。SOX フラグがリセットされているときにはステップ61に進み、NOX 吸収剤12に吸収されているSOX 量SSが例えば機関運転状態に基づいて算出される。例えば、NOX 吸収剤12に流入するSOX 量は積算燃料噴射量が多くなるにつれて多くなるので積算燃料噴射量に基づき吸収SOX 量SSを推定することができる。続くステップ62では吸収SOX 量SSが一定値SS1よりも大きいか否かが判別される。この一定値SS1はNOX 吸収剤12が吸収しうる最大SOX 量の約30%である。SS≦SS1のときには処理サイクルを終了する。これに対し、SS>SS1のときにはステップ63に進み、フィードバック制御するための条件が成立しているか否かが判別される。例えば、機関暖機運転が完了しており、かつNOX 吸収剤12および空燃比センサ29が活性化しているときに条件が成立していると判断され、それ以外は条件が成立していないと判断される。条件が成立していないときには処理サイクルを終了し、条件が成立しているときにはステップ64に進んでSOX フラグがセットされる。
【0046】
SOX フラグがセットされたときにはステップ60からステップ65に進み、SOX フラグがセットされてから一定時間以上経過したか否か、すなわちSOX 吸収剤10のSOX 放出作用が一定時間以上行われたか否かが判別される。SOX フラグがセットされてから一定時間以上経過していないときには処理サイクルを終了する。これに対し、SOX フラグがセットされてから一定時間以上経過したときにはステップ66に進み、SOX フラグがリセットされる。続くステップ67ではNOX フラグがリセットされ、あるいはリセット状態に維持される。
【0047】
すなわち、NOX 吸収剤12からSOX を放出させるべきときにはNOX 吸収剤12に流入する排気の空燃比がリッチにされるのでこのときNOX 吸収剤12から吸収されているNOX も放出される。NOX 吸収剤12のNOX 放出作用を完了させるために必要な時間はNOX 吸収剤12のSOX 放出作用を完了させるために必要な時間よりもかなり短く、したがってNOX 吸収剤12のSOX 放出作用が完了したときにはNOX 放出作用も完了している。そこで、SOX フラグがセットされてから一定時間以上経過したときにはSOX フラグをリセットするだけでなく、NOX フラグもリセットしあるいはリセット状態に維持するようにしている。
【0048】
図12は本実施態様における燃料噴射量算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定クランク角毎の割り込みによって実行される。
図12を参照すると、まずステップ70では基本燃料噴射量qBが図4のマップから算出される。続くステップ71ではSOX フラグがセットされているか否かが判別される。SOX フラグがセットされていないときにはステップ72に進み、NOX フラグがセットされているか否かが判別される。NOX フラグがセットされていないときにはステップ73に進み、第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2が基本燃料噴射量qBに1よりも小さな補正係数LL(例えば0.6)を掛け算することにより算出される。すなわち、各気筒群で燃焼せしめられる混合気の空燃比がリーンにされる。これに対し、NOX フラグがセットされているときにはステップ74に進み、第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2が基本燃料噴射量qBに1よりも大きな補正係数RR(例えば1.3)を掛け算することにより算出される。すなわち、各気筒群で燃焼せしめられる混合気の空燃比がリッチにされる。
【0049】
これに対し、SOX フラグがセットされているときにはステップ71からステップ75に進み、基本燃料噴射量変更係数qCが図5のマップから算出される。続くステップ76では図13に示すFAF1,FAF2の算出ルーチンが実行される。
図13を参照すると、まずステップ80では図6に示すルーチンから基本フィードバック補正係数FAFが算出される。続くステップ81では図9(C)のマップから反映係数KSが算出される。続くステップ82では基本フィードバック補正係数FAFが正値か否か、すなわち燃料噴射量を増量補正すべきか否かが判別される。FAF≧0のとき、すなわち燃料噴射量を増量補正すべきときにはステップ83に進み、第1の気筒群1aのためのフィードバック補正係数FAF1および第2の気筒群1bのためのフィードバック補正係数FAF2が算出される(FAF1=FAF・KS,FAF2=FAF・(1−KS))。これに対し、FAF<0のとき、すなわち燃料噴射量を減量補正すべきときにはステップ84に進んで第1の気筒群1aのためのフィードバック補正係数FAF1および第2の気筒群1bのためのフィードバック補正係数FAF2が算出される(FAF1=FAF・(1−KS),FAF2=FAF・KS)。
【0050】
再び図12を参照すると、続くステップ77では第1の気筒群1aの各気筒の燃料噴射量q1および第2の気筒群1bの各気筒の燃料噴射量q2がそれぞれ次式に基づいて算出される。
q1=(qB+qC)・(1+FAF1)
q2=(qB−qC)・(1+FAF2)
図14に別の実施態様を示す。
【0051】
図14の内燃機関は排気マニホルド8aに第1の気筒群1aの排気の空燃比を検出するための第1の副空燃比センサ34aが取り付けられ、排気マニホルド8bに第2の気筒群1bの排気の空燃比を検出するための第2の副空燃比センサ34bが取り付けられている点で図1の内燃機関と構成を異にしている。これら副空燃比センサ34a,34bはそれぞれ対応するAD変換器31を介して電子制御ユニット20の入力ポート26に接続される。各副空燃比センサ34a,34bは主空燃比センサ29と同様に、空燃比がリッチのときに約0.9ボルトの出力電圧を発生し、空燃比がリーンのときに約0.1ボルトの出力電圧を発生し、空燃比が理論空燃比周りのときにはその出力電圧は急激に増減する。なお、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比を検出するための空燃比センサ29を主空燃比センサと称することにする。
【0052】
本実施態様でも、主空燃比センサ29の出力電圧に基づき算出された基本フィードバック補正係数FAFと反映係数KSとからフィードバック補正係数FAF1,FAF2を算出し、これらフィードバック補正係数FAF1,FAF2に基づき第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量q1,q2を補正するようにしている。
【0053】
上述したように、例えば第1の気筒群1aの排気の空燃比がその目標値に対し大幅にリーンになるのは好ましくない。一方、第1の副空燃比センサ34aの出力電圧V1は第1の気筒群1aの排気の空燃比がその目標値T1周りであると図15に示されるようにほぼ一定であるが、第1の気筒群1aの排気の空燃比がその目標値に対し大幅にリーンになると第1の副空燃比センサ34aの出力電圧V1は大幅に低下する。そこで本実施態様では、第1の副空燃比センサ34aの出力電圧V1が0.9ボルトよりも小さい第1の設定電圧VRよりも小さくなったときにはフィードバック補正係数FAF1に基づく燃料噴射量q1の補正作用を補正するようにしている。
【0054】
すなわち、V1≧VRからV1<VRに変化したときには図16に示されるように、フィードバック補正係数FAF1にステップ値SRRが加算されることによりフィードバック補正係数FAF1が算出される。V1<VRである限り、フィードバック補正係数FAF1は積分値KRR(≪SRR)づつ徐々に増大せしめられる。このようにフィードバック補正係数FAF1が大きくされあるいは正値にされるので第1の気筒群1aの燃料噴射量q1が増大せしめられる。言い換えると、第1の副空燃比センサ34aの出力信号に基づいて燃料噴射量q1が増量補正される。その結果、第1の気筒群1aの排気の空燃比がその目標値に対し大幅にリーンになるのが阻止される。再び、V1≧VRになると基本フィードバック補正係数FAFおよび反映係数KSに基づき算出されたフィードバック補正係数FAF1が用いられる。
【0055】
なお、主空燃比センサ29の出力電圧Vが基準電圧VREFよりも小さい限り基本フィードバック補正係数FAFに基づき算出されるFAF1は減少するが、V1<VRとなったときには基本フィードバック補正係数FAFに基づき算出されるFAF1の減少割合を小さくしてもよく、あるいはフィードバック補正係数FAF1を零に維持して基本フィードバック補正係数FAFに基づく燃料噴射量q1の減量補正を停止するようにしてもよい。
【0056】
同様に、第2の副空燃比センサ34bの出力電圧V1が0.1ボルトよりも大きい第2の設定電圧VLよりも大きくなったときにはフィードバック補正係数FAF2に基づく燃料噴射量q2の補正作用が補正される。すなわち、V2≦VLからV2>VLに変化したときにはフィードバック補正係数FAF2にステップ値SLLが加算されることによりフィードバック補正係数FAF2が算出される。V2>VLである限り、フィードバック補正係数FAF2は積分値KLL(≪SLL)づつ徐々に減少せしめられる。このようにフィードバック補正係数FAF2が小さくされあるいは負値にされるので第2の気筒群1bの燃料噴射量q2が減少せしめられる。言い換えると、第2の副空燃比センサ34bの出力信号に基づいて燃料噴射量q2が減量補正される。その結果、第2の気筒群1bの排気の空燃比がその目標値に対し大幅にリッチになるのが阻止される。再び、V2≦VLになると基本フィードバック補正係数FAFおよび反映係数KSに基づき算出されたフィードバック補正係数FAF2が用いられる。
【0057】
なお、主空燃比センサ29の出力電圧Vが基準電圧VREFよりも大きい限り基本フィードバック補正係数FAFに基づき算出されるFAF2は増大するが、V2>VLとなったときには基本フィードバック補正係数FAFに基づき算出されるFAF2の増大割合を小さくしてもよく、あるいはフィードバック補正係数FAF2を零に維持して基本フィードバック補正係数FAFに基づく燃料噴射量q2の増量補正を停止するようにしてもよい。
【0058】
したがって一般的に云うと、第1の副空燃比センサ34aにより検出される第1の気筒群1aの排気の空燃比が第1の設定電圧VRに相当する第1設定空燃比よりもリーンのときには基本フィードバック補正係数FAFに基づく第1の気筒群1aの燃料噴射量q1の減量補正量を減少し、第2の副空燃比センサ34bにより検出される第2の気筒群1bの排気の空燃比が第2の設定電圧VLに相当する第2設定空燃比よりもリッチのときには基本フィードバック補正係数FAFに基づく第2の気筒群1bの燃料噴射量q2の増量補正量を減少しているということになる。
【0059】
ところで、本実施態様では第1の気筒群1aのためのフィードバック補正係数FAF1が大きく維持されると第1の気筒群1aの排気の空燃比がその目標値に対し大幅にリーンになるのが阻止され、第2の気筒群1bのためのフィードバック補正係数FAF2が小さく維持されると第2の気筒群1bの排気の空燃比がその目標値に対し大幅にリッチになるのが阻止される。しかしながら、例えば第2の気筒群1bにおいて、基本的な燃料噴射量(qB−qC)が少ないときにフィードバック補正係数FAF2がかなり小さくなると、燃料噴射量q2が燃焼のために必要な最小燃料量よりも少なくなる恐れがある。そこで本実施態様では、第2の気筒群1bの燃料噴射量q2が燃焼のために必要な最小燃料量、すなわち下限しきい値LTよりも少ないときには第2の気筒群1bの燃料噴射量q2が減量補正されるのを禁止すると共に、第1の気筒群1aの燃料噴射量q1を減量補正するようにしている。
【0060】
すなわち、図17に示されるように、基本フィードバック補正係数FAFに基づき算出された第2の気筒群1bの燃料噴射量q2が下限しきい値LTよりも少なくなったときには第2の気筒群1bのためのフィードバック補正係数FAF2が一定に維持される。したがって、基本的な燃料噴射量(qB−qC)が減少しない限り、第2の気筒群1bの燃料噴射量q2が下限しきい値LTよりも少なくなるのが阻止される。一方、フィードバック補正係数FAF2が一定にされ始めた時点でのFAF2をOLD2とすると、NOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比を理論空燃比に維持するためにはFAF・KS−OLD2だけ燃料噴射量を減量補正する必要がある。そこで、第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1をFAF・KS−OLD2だけ減少せしめるようにしている。
【0061】
同様に、第1の気筒群1aの燃料噴射量q1が燃焼可能な最大燃料量、すなわち上限しきい値UTよりも多いときには第1の気筒群1aの燃料噴射量q1が増量補正されるのを禁止すると共に、第2の気筒群1bの燃料噴射量q2を増量補正するようにしている。すなわち、基本フィードバック補正係数FAFに基づき算出された第1の気筒群1aの燃料噴射量q1が上限しきい値UTよりも多くなったときには第1の気筒群1aのためのフィードバック補正係数FAF1が一定に維持される。一方、フィードバック補正係数FAF1が一定にされ始めた時点でのFAF1をOLD1とすると、第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2をFAF・KS−OLD1だけ増大せしめ、それによりNOX 吸収剤12に流入する混合排気の空燃比を理論空燃比に維持するようにしている。
【0062】
図18および図19はフィードバック補正係数FAF1,FAF2の算出ルーチンを示している。このルーチンは図12のルーチンのステップ76で実行される。
図18および図19を参照すると、まずステップ90では図6のルーチンから基本フィードバック補正係数FAFが算出される。続くステップ91では図9(C)のマップから反映係数KSが算出される。続くステップ92では第1の副空燃比センサ34aの出力電圧V1が第1設定電圧VRよりも低いか否かが判別される。V1<VRのときにはステップ93に進み、前回の処理サイクル時にV1<VRであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にV1≧VRのとき、すなわちV1≧VRからV1<VRに変化したときにはステップ94に進み、フィードバック補正係数FAF1にスキップ値SRRが加算される。次いでステップ99に進む。これに対し前回の処理サイクル時にV1<VRのときにはステップ95に進み、フィードバック補正係数FAF1に積分値KRRが加算される。次いでステップ99に進む。
【0063】
一方、ステップ92においてV1≧VRのときにはステップ96に進み、基本フィードバック補正係数FAFが正値であるか否かが判別される。FAF>0のときにはステップ97に進み、FAFおよびKSからフィードバック補正係数FAF1が算出される(FAF1=FAF・KS)。次いでステップ99に進む。これに対し、FAF≦0のときにはステップ98に進み、FAFおよび(1−KS)からフィードバック補正係数FAF1が算出される(FAF1=FAF・(1−KS))。次いでステップ99に進む。
【0064】
ステップ99では第2の副空燃比センサ34bの出力電圧V2が第2設定電圧VLよりも低いか否かが判別される。V2>VLのときにはステップ100に進み、前回の処理サイクル時にV2>VLであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にV2≦VLのとき、すなわちV2≦VLからV2>VLに変化したときにはステップ101に進み、フィードバック補正係数FAF2からスキップ値SLLが減算される。次いでステップ106に進む。これに対し前回の処理サイクル時にV2>VLのときにはステップ102に進み、フィードバック補正係数FAF2から積分値KLLが減算される。次いでステップ106に進む。
【0065】
一方、ステップ99においてV2≦VLのときにはステップ103に進み、基本フィードバック補正係数FAFが正値であるか否かが判別される。FAF>0のときにはステップ104に進み、FAFおよび(1−KS)からフィードバック補正係数FAF2が算出される(FAF2=FAF・(1−KS))。次いでステップ106に進む。これに対し、FAF≦0のときにはステップ105に進み、FAFおよびKSからフィードバック補正係数FAF2が算出される(FAF2=FAF・KS)。次いでステップ106に進む。
【0066】
ステップ106では、ステップ90からステップ105までの部分により算出されたフィードバック補正係数FAF1,FAF2により燃料噴射量q1,q2が算出される(q1=(qB+qC)・(1+FAF1),q2=(qB−qC)・(1+FAF2))。続くステップ107では第1の気筒群1aの燃料噴射量q1が上限しきい値UTよりも大きいか否かが判別される。q1>UTのときにはステップ108に進み、FAF1とOLD1との偏差がDLTとされる。続くステップ109では第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1がOLD1とされる。続くステップ110では第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2に偏差DLTが加算される。続くステップ111では今回算出されたフィードバック補正係数FAF1,FAF2がそれぞれOLD1,OLD2とされる。
【0067】
一方、ステップ107においてq1≦UTのときにはステップ112に進み、第2の気筒群1bの燃料噴射量q2が下限しきい値LTよりも小さいか否かが判別される。q2<LTのときにはステップ113に進み、FAF2とOLD2との偏差がDLTとされる。続くステップ114では第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1から偏差DLTが減算される。続くステップ115では第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2がOLD2とされる。次いでステップ111に進む。これに対しq2≧LTのとき、すなわちq1≦UTかつq2≧LTのときにはステップ90からステップ105で算出されたフィードバック補正係数FAF1,FAF2を変更することなくステップ111に進む。
【0068】
次にさらに別の実施態様を説明する。これまで述べてきたように、第1の気筒群1aの排気の空燃比はその目標値に対しリーン側にずれるよりもリッチ側にずれるのが好ましく、第2の気筒群1bの排気の空燃比はその目標値に対しリッチ側にずれるよりもリーン側にずれるのが好ましい。そこで本実施態様では、第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1の変動中心が零よりも大きくなるようにし、第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2の変動中心が零よりも小さくなるようにしている。
【0069】
図20はフィードバック補正係数FAF1,FAF2の算出ルーチンを示している。このルーチンは図12のルーチンのステップ76で実行される。図20を参照すると、まず初めにステップ120では空燃比センサ29の出力電圧Vが基準電圧VREFよりも高いか否か、すなわち混合排気の空燃比がリッチであるか否かが判別される。V≧VREFのとき、すなわち混合排気の空燃比がリッチのときにはステップ121に進み、前回の処理サイクル時にリーンであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にリーンのとき、すなわちリーンからリッチに変化したときにはステップ122に進んでフィードバック補正係数FAF1,FAF2からそれぞれスキップ値SL1,SL2が減算され、したがって図21に示されるようにフィードバック補正係数FAF1,FAF2はそれぞれスキップ値SL1,SL2だけ急激に減少せしめられる。これに対し、ステップ121において前回の処理サイクル時にリッチのときにはステップ123に進み、フィードバック補正係数FAF1,FAF2からそれぞれ積分値KL1(≪SL1),KL2(≪SL2)が減算される。したがって図21に示されるようにフィードバック補正係数FAF1,FAF2はそれぞれ徐々に減少せしめられる。
【0070】
一方、ステップ120においてV<VREFのときにはステップ124に進み、前回の処理サイクル時にリッチであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にリッチのとき、すなわちリッチからリーンに変化したときにはステップ125に進んでフィードバック補正係数FAF1,FAF2にそれぞれスキップ値SR1,SR2が加算され、したがって図21に示されるようにフィードバック補正係数FAF1,FAF2はそれぞれスキップ値SR1,SR2だけ急激に増大せしめられる。これに対し、ステップ124において前回の処理サイクル時にリーンのときにはステップ126に進み、フィードバック補正係数FAF1,FAF2にそれぞれ積分値KR1(≪SR1),KR2(≪SR2)が加算される。したがって図21に示されるようにフィードバック補正係数FAF1,FAF2は徐々に増大せしめられる。
【0071】
このように本実施態様では基本フィードバック補正係数FAFを算出することなく空燃比センサ29の出力電圧から直接的にフィードバック補正係数FAF1,FAF2が算出される。この場合、第1の気筒群1aのフィードバック補正係数FAF1を増大させるための積分値KR1を、FAF1を減少させるための積分値KL1よりも大きく定めるとFAF1の変動中心を零よりも大きくすることができる。あるいは、FAF1を増大させるためのスキップ値SR1を、FAF1を減少させるためのスキップ値SL1よりも大きくしてもよい。同様に、第2の気筒群1bのフィードバック補正係数FAF2を減少させるための積分値KL2を、FAF2を増大させるための積分値KR2よりも大きく定めるとFAF2の変動中心を零よりも小さくすることができる。あるいは、FAF2を減少させるためのスキップ値SL2を、FAF2を増大させるためのスキップ値SR2よりも大きくしてもよい。
【0072】
これまで述べてきた実施態様ではNOX 吸収剤12上流の空燃比センサ29の出力信号に基づき第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量を補正するようにしている。しかしながら、NOX 吸収剤12下流に配置された空燃比センサの出力信号に基づき第1の気筒群1aおよび第2の気筒群1bの燃料噴射量を補正するようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比が過補正されるのを阻止することができ、したがって排気浄化触媒に十分な酸素およびHCを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】機関から排出される排気中の未燃HC,COおよび酸素の濃度を概略的に示す線図である。
【図3】NOX の吸放出作用を説明するための図である。
【図4】基本燃料噴射量qBのマップを示す図である。
【図5】基本燃料噴射量変更係数qCのマップを示す図である。
【図6】基本フィードバック補正係数FAFを算出するためのフローチャートである。
【図7】基本フィードバック補正係数FAFの変化を示す図である。
【図8】第1の気筒群のためのフィードバック補正係数FAF1および第2の気筒群のためのフィードバック補正係数FAF2の変化を示す図である。
【図9】反映係数KSのマップを示す図である。
【図10】NOX 放出制御を実行するためのフローチャートである。
【図11】SOX 放出制御を実行するためのフローチャートである。
【図12】燃料噴射量を算出するためのフローチャートである。
【図13】フィードバック補正係数FAF1,FAF2を算出するためのフローチャートである。
【図14】別の実施態様における内燃機関の全体図である。
【図15】第1設定電圧および第2設定電圧を示す図である。
【図16】図14の実施態様においてフィードバック補正係数FAF1の変化を示す図である。
【図17】図14の実施態様においてフィードバック補正係数FAF1,FAF2の変化を示す図である。
【図18】図14の実施態様においてフィードバック補正係数FAF1,FAF2を算出するためのフローチャートである。
【図19】図14の実施態様においてフィードバック補正係数FAF1,FAF2を算出するためのフローチャートである。
【図20】図20の実施態様においてフィードバック補正係数FAF1,FAF2を算出するためのフローチャートである。
【図21】さらに別の実施態様においてフィードバック補正係数FAF1,FAF2の変化を示す図である。
【符号の説明】
1a…第1の気筒群
1b…第2の気筒群
7…燃料噴射弁
11…合流排気管
12…NOX 吸収剤
29…空燃比センサ

Claims (4)

  1. 複数の気筒が第1の気筒群と第2の気筒群とに分割されてこれら第1の気筒群および第2の気筒群がそれぞれ対応する三元触媒を介し共通の合流排気通路に接続されている内燃機関において、合流排気通路内に配置された排気浄化触媒であって、流入する排気の空燃比がリーンのときにはNO を吸収し、流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNO を放出するNO 吸収剤から構成される排気浄化触媒と、排気浄化触媒からイオウを放出させるべきときに排気浄化触媒に流入する第1の気筒群の排気と第2の気筒群の排気との混合排気の目標空燃比を理論空燃比またはわずかばかりリッチに設定する混合排気目標空燃比手段と、第1の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリッチに設定しかつ第2の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリーンに設定すると共に、第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比がそれぞれ対応する目標空燃比のときに混合排気の空燃比が該混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の排気の目標空燃比と第2の気筒群の排気の目標空燃比とを設定する気筒群空燃比設定手段と、第1の気筒群の燃料噴射量および第2の気筒群の燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、混合排気の空燃比を検出するために排気浄化触媒上流の合流排気通路内に配置された空燃比センサと、空燃比センサの出力信号に基づいて混合排気の空燃比が該混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の燃料噴射量と第2の気筒群の燃料噴射量とを補正する補正手段とを具備し、該補正手段は混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには第1の気筒群の燃料噴射量の補正割合を第2の気筒群の燃料噴射量の補正割合よりも大きくし、混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには第2の気筒群の燃料噴射量の補正割合を第1の気筒群の燃料噴射量の補正割合よりも大きくする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 複数の気筒が第1の気筒群と第2の気筒群とに分割されてこれら第1の気筒群および第2の気筒群がそれぞれ対応する分岐排気通路を介して共通の合流排気通路に接続されている内燃機関において、合流排気通路内に配置された排気浄化触媒と、排気浄化触媒に流入する第1の気筒群の排気と第2の気筒群の排気との混合排気の目標空燃比を設定する混合排気目標空燃比手段と、第1の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリッチに設定しかつ第2の気筒群の排気の空燃比の目標空燃比を混合排気の目標空燃比に対しリーンに設定すると共に、第1の気筒群の排気の空燃比および第2の気筒群の排気の空燃比がそれぞれ対応する目標空燃比のときに混合排気の空燃比が該混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の排気の目標空燃比と第2の気筒群の排気の目標空燃比とを設定する気筒群空燃比設定手段と、第1の気筒群の燃料噴射量および第2の気筒群の燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、混合排気の空燃比を検出するために排気浄化触媒上流の合流排気通路内に配置された主空燃比センサと、各気筒群の排気の空燃比を検出するために各分岐排気通路内に配置された副空燃比センサと、主空燃比センサの出力信号に基づいて混合排気の空燃比が該混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の燃料噴射量と第2の気筒群の燃料噴射量とを補正する主補正手段と、副空燃比センサの出力信号に基づいて混合排気の空燃比が該混合排気の目標空燃比となるように第1の気筒群の燃料噴射量と第2の気筒群の燃料噴射量とを補正する副補正手段とを具備し、該副補正手段は副空燃比センサにより検出される第1の気筒群の排気の空燃比が予め定められた第1設定空燃比よりもリーンのときには主補正手段による第1の気筒群の燃料噴射量の減量補正量を減少し、副空燃比センサにより検出される第2の気筒群の排気の空燃比が予め定められた第2設定空燃比よりもリッチのときには主補正手段による第2の気筒群の燃料噴射量の増量補正量を減少する内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 第1の気筒群の燃料噴射量が予め定められた上限しきい値よりも多いときに混合排気の空燃比をリッチ側に補正すべきときには第1の気筒群の燃料噴射量が増量補正されるのを禁止すると共に第2の気筒群の燃料噴射量を増量補正するようにした請求項1または2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 第2の気筒群の燃料噴射量が予め定められた下限しきい値よりも少ないときに混合排気の空燃比をリーン側に補正すべきときには第2の気筒群の燃料噴射量が減量補正されるのを禁止すると共に第1の気筒群の燃料噴射量を減量補正するようにした請求項1または2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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