JP3787674B2

JP3787674B2 - Sliding parts

Info

Publication number: JP3787674B2
Application number: JP15934799A
Authority: JP
Inventors: 一寿戸田
Original assignee: JTEKT Corp
Current assignee: JTEKT Corp
Priority date: 1999-06-07
Filing date: 1999-06-07
Publication date: 2006-06-21
Anticipated expiration: 2019-06-07
Also published as: JP2000345299A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は摺動部品に関し、さらに詳しくは、たとえばすべり軸受部品、自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸、ローラカムフォロワ、自動車エンジン用カムリフタ、もしくは一方向クラッチ等として用いられるのに適した摺動部品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種摺動部品として、従来、JIS ＳＵＪ２等の高硬度鋼よりなり、表面部にショットピーニングを施して表面硬さを増大させたものが用いられていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の摺動部品には次のような問題があることが判明した。すなわち、ショットピーニングによる表面硬さの増大は、靭性の低下を招き、耐摩耗性は向上するものの耐衝撃性が低下したり、亀裂進展速度が増加したりするという問題があった。また、使用中に摺動部品が発熱して焼戻し現象が生じた場合には、残留オーステナイトがマルテンサイト変態を起こし、寸法が膨張して焼付きが発生するという問題があった。
【０００４】
この発明の目的は、上記問題を解決し、靭性を損なうことなく、耐摩耗性が向上し、しかも焼付きが起こりにくくなる摺動部品を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
この発明による摺動部品は、鋼よりなり、浸炭処理を含む熱処理が施されて表面部のＣが０．９〜１．４２重量％となされるとともに、表面硬さがロックウェルＣ硬さで６３以上となされ、浸炭層に微細球状炭化物が析出させられ、球状炭化物の平均粒径が３μｍ以下でかつ球状炭化物の量が面積率で１３．５〜４０％となされているとともに、球状炭化物の７０％以上の粒径が１０μｍ以下となされており、さらに浸炭層の残留オーステナイト量が１３〜４０％となされていることを特徴とするものである。
【０００６】
上記において、通常、摺動部品は、摺動面に数十〜数百μｍ程度の研磨仕上げ処理が施されて使用される。したがって、上記においてＣが０．９〜１．４２重量％となされている表面部とは、研磨仕上げ処理が施された後の最表面から５０μｍの深さの部分までを意味するものとする。なお、浸炭層の深さは、上記研磨量に比べてかなり深く、したがって上記研磨により浸炭層の性状が影響を受けることはない。
【０００７】
上記摺動部品において、表面部のＣの量、表面硬さ、球状炭化物の平均粒径および球状炭化物中の粒径１０μｍ以下のものの量、球状炭化物の量（面積率）、ならびに浸炭層の残留オーステナイト量の限定理由は、次の通りである。
【０００８】
表面部のＣ量
表面部のＣの量が０．９重量％未満であると炭化物を均一に分散させることができず、１．４２重量％を越えると表面部の粗大炭化物量や残留オーステナイト量が多くなって強度が低下する。摺動部品の表面部にＣが集まると、ここに生成する炭化物が粗大化するので、実際には粒径が１０μｍを越えた球状炭化物が全体の４０％程度となり、場合によっては最大粒径が２０μｍとなり、その結果粒径が１０μｍを越えた球状炭化物に応力が集中し、この部分から破壊が生じるおそれがある。したがって、表面部のＣ量は０．９〜１．４２重量％の範囲内で選ぶべきである。
【０００９】
表面硬さ
表面硬さがロックウェルＣ硬さ（以下、ＨＲＣと称する）で６３未満であると表面硬さが十分ではなく、耐摩耗性が低下して摺動部品の寿命が短くなる。したがって、表面硬さはＨＲＣ６３以上とすべきである。なお、表面硬さの上限は、靭性を考慮するとＨＲＣ６８程度であることが好ましい。
【００１０】
球状炭化物の平均粒径および球状炭化物中の粒径１０μｍ以下のものの量
球状炭化物の平均粒径が１０μｍを越えると、粒径が１０μｍを越える球状炭化物の量が全体の８０％程度となり、その結果粒径が１０μｍを越えた球状炭化物に応力が集中し、この部分から破壊が生じるおそれがある。したがって、球状炭化物の平均粒径は１０μｍ以下、好ましくは３μｍ以下とすべきである。また、球状炭化物中の粒径が１０μｍ以下のものの量が７０％未満であると粒径が１０μｍを越えた球状炭化物の量が全体の３０％以上となり、場合によっては最大粒径が２０μｍとなり、その結果粒径が１０μｍを越えた球状炭化物に応力が集中し、この部分から破壊が生じるおそれがある。したがって、球状炭化物中の粒径１０μｍ以下のものの量は球状炭化物全体の７０％以上とするべきである。
【００１１】
球状炭化物の量（面積率）
球状炭化物の量が面積率で４０％を越えると浸炭層マトリックスの強度が低下するので、球状炭化物の量は面積率で４０％以下、好ましくは２５％以下とすべきである。なお、球状炭化物の量の下限は、１３．５％とすべきである。ここで、面積率とは、３０００倍で観察した４０×３０μｍの視野５箇所の面積率を各々画像解析によって観察し、上記５箇所の面積率の平均値をいうものとする。
【００１２】
残留オーステナイト量
残留オーステナイト量が１３％未満であると靭性が低下するとともに亀裂進展速度が速くなって摺動部品の寿命が低下し、４０％を越えると必要な硬さを確保することができない。したがって、残留オーステナイト量は１３〜４０％の範囲内で選ぶべきである。
【００１３】
この発明の摺動部品において、材料となる鋼に施される浸炭処理を含む熱処理としては、たとえば浸炭処理または浸炭焼入れ処理を施す第１工程と、焼入れ処理を施して浸炭層に微細球状炭化物を析出させる第２工程と、表面部の炭素濃度が上記第１工程で得られた表面部の炭素濃度よりも高濃度になるように高濃度浸炭焼入れ処理を施す第３工程とよりなる方法がある。上記第３工程における加熱温度は、上記第２工程の加熱温度以下であることが好ましい。上記第３工程の加熱温度が上記第２工程の加熱温度よりも高くなると、第２工程において析出した炭化物の一部がマトリックス中に溶解するおそれがあるからである。このような方法をより具体的に説明すると、次の通りである。すなわち、Ｃ₃Ｈ₈を１０〜１７vol ％含む浸炭雰囲気中において９３０〜９５０℃の温度で３〜５時間加熱した後、油冷する第１工程と、８００〜８４０℃の温度で０．５〜０．８時間加熱した後、油冷する第２工程と、Ｃ₃Ｈ₈を１０〜１７vol ％含む浸炭雰囲気中において７９０〜８４０℃の温度でかつ第２工程の加熱温度以下の温度で３〜５時間加熱した後、油冷する第３工程とよりなる方法である。上記第３工程において、Ｃ₃Ｈ₈を１０〜１７vol ％含む浸炭雰囲気中において７９０〜８２０℃の温度でかつ第２工程の加熱温度以下の温度で３〜５時間加熱した後、温度を上げて８３０〜８４０℃の温度で０．５〜０．８時間加熱し、その後油冷することが好ましい。この場合、炭化物の粗大化を伴わずに、炭化物量を増加させることが可能になる。
【００１４】
この発明による摺動部品によれば、鋼よりなり、浸炭処理を含む熱処理が施されて表面部のＣが０．９〜１．４２重量％となされるとともに、表面硬さがロックウェルＣ硬さで６３以上となされ、浸炭層に微細球状炭化物が析出させられ、球状炭化物の平均粒径が３μｍ以下でかつ球状炭化物の量が面積率で１３．５〜４０％となされているとともに、球状炭化物の７０％以上の粒径が１０μｍ以下となされており、さらに浸炭層の残留オーステナイト量が１３〜４０％となされているので、心部の強度および硬さが確保されるとともに、靭性の低下が防止される。特に、表面部のＣが０．９〜１．４２重量％となされるとともに、表面硬さがロックウェルＣ硬さで６３以上となされ、浸炭層に微細球状炭化物が析出させられ、球状炭化物の平均粒径が１０μｍ以下でかつその量が面積率で１３．５〜４０％となされているとともに、球状炭化物の７０％以上の粒径が１０μｍ以下となされており、さらに残留オーステナイト量が１３〜４０％となされているので、この摺動部品の耐摩耗性が向上して寿命が延びる。しかも、靭性の低下が防止される。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体的実施例を比較例とともに説明する。
【００１６】
実施例１〜４
ＳＡＥ５１２０を用いて自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸の素材を４個分つくり、これらの素材のうちの１個分に図１に示す条件（熱処理条件１）で熱処理を施すとともに、残りの３個分に図２に示す条件（熱処理条件２）で熱処理を施した。ついで、各素材に１６０℃で２時間加熱して焼戻し処理を施した後、各素材の表面を研磨し、その研磨量を変えることにより、表面部の性状の異なる４個のローラ支持軸を製造した。なお、上記焼戻しは、焼入れ処理の後、素材の靭性を向上させるために一般的に行われている工程であるので、図示は省略している。
【００１７】
上記熱処理条件１は、流動層炉を用いて行ったものであり、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が４．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給するとともにＣ₃Ｈ₈ガスを流量が０．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ（雰囲気中のＣ₃Ｈ₈濃度は１０vol ％である）、９３０℃で３時間加熱した後、８０℃に油冷して浸炭焼入れ処理を施す第１工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が５．０×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ、８４０℃で０．５時間加熱した後、８０℃に油冷して焼入れ処理を施す第２工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が４．２×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給するとともにＣ₃Ｈ₈ガスを流量が０．８×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ（雰囲気中のＣ₃Ｈ₈濃度は１６vol ％である）、８３０℃で５時間加熱した後、８０℃に油冷して高濃度浸炭焼入れ処理を施す第３工程とよりなる。
【００１８】
上記熱処理条件２は、流動層炉を用いて行ったものであり、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が４．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給するとともにＣ₃Ｈ₈ガスを流量が０．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ（雰囲気中のＣ₃Ｈ₈濃度は１０vol ％である）、９３０℃で３時間加熱した後、８０℃に油冷して浸炭焼入れ処理を施す第１工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が５．０×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ、８４０℃で０．５時間加熱した後、８０℃に油冷して焼入れ処理を施す第２工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が４．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給するとともにＣ₃Ｈ₈ガスを流量が０．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ（雰囲気中のＣ₃Ｈ₈濃度は１０vol ％である）、８３０℃で５時間加熱した後、８０℃に油冷して高濃度浸炭焼入れ処理を施す第３工程とよりなる。
【００１９】
実施例５〜１０
JIS ＳＵＪ２を用いて自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸の素材を６個分つくり、これらの素材のうちの２個分に熱処理条件１で熱処理を施すとともに、残りの４個分に熱処理条件２で熱処理を施した。ついで、各素材に１６０℃で２時間加熱して焼戻し処理を施した後、各素材の表面を研磨し、その研磨量を変えることにより、表面部の性状の異なる６個の自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸を製造した。なお、上記焼戻しは、焼入れ処理の後、素材の靭性を向上させるために一般的に行われている工程であるので、図示は省略している。
【００２０】
比較例１〜４
JIS ＳＵＪ２を用いて自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸の素材を４個分つくり、これらの素材に図３に示す条件（熱処理条件３）で熱処理を施した。ついで、各素材の表面を研磨し、その研磨量を変えることにより、表面部の性状の異なる４個の自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸を製造した。
【００２１】
上記熱処理条件３は、８３０℃で０．５時間加熱した後油冷して焼入れ処理を施す第１工程と、１８０℃で２時間加熱して焼戻し処理を施す第２工程とよりなる。
【００２２】
比較例５〜８
JIS ＳＵＪ２を用いて自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸の素材を４個分つくり、これらの素材に図４に示す条件（熱処理条件４）で熱処理を施した。ついで、各素材に１６０℃で２時間加熱して焼戻し処理を施した後、各素材の表面を研磨し、その研磨量を変えることにより、表面部の性状の異なる４個の自動車エンジン用ロッカアームのローラ支持軸を製造した。なお、上記焼戻しは、焼入れ処理の後、素材の靭性を向上させるために一般的に行われている工程であるので、図示は省略している。
【００２３】
上記熱処理条件４は、流動層炉を用いて行ったものであり、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が３．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給するとともにＣ₃Ｈ₈ガスを流量が１．５×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ（雰囲気中のＣ₃Ｈ₈濃度は３０vol ％である）、９３０℃で３時間加熱した後、８０℃に油冷して浸炭焼入れ処理を施す第１工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が５．０×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ、８３０℃で０．５時間加熱した後、８０℃に油冷して焼入れ処理を施す第２工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が５．０×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ、８３０℃で０．５時間加熱した後、８０℃に油冷して焼入れ処理を施す第３工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が４．２×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給するとともにＣ₃Ｈ₈ガスを流量が０．８×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ（雰囲気中のＣ₃Ｈ₈濃度は１６vol ％である）、９３０℃で５時間加熱した後、８０℃に油冷して高濃度浸炭焼入れ処理を施す第４工程と、流動化ガスとしてＮ₂ガスを流量が５．０×１０^-4ｍ³／ｓとなるように供給しつつ、８３０℃で０．５時間加熱した後、８０℃に油冷して焼入れ処理を施す第５工程とよりなる。
【００２４】
上記実施例１〜１０および比較例１〜８のローラ支持軸の表面部の表面硬さ、表面部のＣ量、浸炭層の炭化物面積率、同じく炭化物の平均粒径、同じく粒径１０μｍ以下の球状炭化物量、および同じく残留オーステナイト量（γＲ）を表１および表２に示す。
【００２５】
【表１】

【００２６】
【表２】

【００２７】
評価試験
上記実施例１〜１０および比較例１〜８のローラ支持軸を用いて、次のようにして摩耗試験を行った。すなわち、まずJIS ＳＵＪ２を用いて自動車エンジン用ロッカアームのローラの素材を１８個分つくり、これらの素材に図３に示す条件（熱処理条件３）で熱処理を施した後、各素材の表面を研磨し、その研磨量を変えることにより、表面部の性状の異なる１８個の自動車エンジン用ロッカアームのローラを製造した。ついで、実施例１〜１０および比較例１〜８のローラ支持軸に上記ローラを取付けてなるロッカアームを自動車用ガソリンエンジンに組み付けた。そして、潤滑油としてモータオイル（１０Ｗ−３０）を使用し、油温を６０℃に設定してエンジンをかけ、２００時間経過した後のローラ支持軸の摩耗深さを測定するとともに、ピーリング発生の有無を観察した。その結果も表１および表２に示す。また、表面硬さと摩耗深さとの関係を図５に示す。
【００２８】
表１および表２、ならびに図５から明らかなように、本発明品は、耐摩耗性が優れていることが分かる。しかも、表１および表２から明らかなように、本発明品は、ピーリングが発生しておらず、損傷抑制効果が、従来品に比べて著しく向上し、長寿命化を達成できることが分かる。
【００２９】
上記実施例においては、材料となる鋼として、ＳＡＥ５１２０およびJIS ＳＵＪ２だけが挙げられているが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例の熱処理条件１を示す線図である。
【図２】実施例の熱処理条件２を示す線図である。
【図３】比較例の熱処理条件３を示す線図である。
【図４】比較例の熱処理条件４を示す線図である。
【図５】実施例および比較例における表面硬さと摩耗深さとの関係を示すグラフである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a sliding part, and more particularly, to a sliding part suitable for use as, for example, a sliding bearing part, a roller support shaft of a rocker arm for an automobile engine, a roller cam follower, an automobile engine cam lifter, or a one-way clutch. .
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as this kind of sliding parts, those made of high-hardness steel such as JIS SUJ2 and whose surface hardness is increased by shot peening the surface portion have been used.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, it has been found that conventional sliding parts have the following problems. That is, the increase in surface hardness due to shot peening causes a decrease in toughness, but there is a problem that although the wear resistance is improved, the impact resistance is decreased and the crack growth rate is increased. Further, when the sliding part generates heat during use and a tempering phenomenon occurs, there is a problem that the retained austenite undergoes martensitic transformation, the dimensions expand, and seizure occurs.
[0004]
An object of the present invention is to provide a sliding component that solves the above-described problems and that has improved wear resistance and that is less likely to seize without impairing toughness.
[0005]
[Means for Solving the Problems and Effects of the Invention]
The sliding component according to the present invention is made of steel and subjected to heat treatment including carburizing treatment so that the surface portion C is 0.9 to 1.42 % by weight and the surface hardness is Rockwell C hardness. 63 or more, fine spherical carbide is precipitated in the carburized layer, the average particle size of the spherical carbide is 3 μm or less, and the amount of the spherical carbide is 13.5 to 40% in terms of area ratio. The particle size of 70% or more is 10 μm or less, and the amount of retained austenite of the carburized layer is 13 to 40%.
[0006]
In the above, the sliding component is usually used after the sliding surface is subjected to a polishing finish of about several tens to several hundreds of μm. Therefore, in the above description, the surface portion in which C is 0.9 to 1.42 % by weight means the portion from the outermost surface after the polishing finishing treatment to a portion having a depth of 50 μm. Note that the depth of the carburized layer is considerably deeper than the polishing amount, and therefore the properties of the carburized layer are not affected by the polishing.
[0007]
In the sliding part, the amount of C in the surface portion, the surface hardness, the average particle size of the spherical carbide, the amount of the spherical carbide having a particle size of 10 μm or less, the amount of spherical carbide (area ratio), and the residual carburized layer The reason for limiting the amount of austenite is as follows.
[0008]
If the amount of C in the surface portion is less than 0.9% by weight, the carbide cannot be uniformly dispersed. If it exceeds 1.42 % by weight, the amount of coarse carbide and the amount of retained austenite in the surface portion Increases and the strength decreases. When C collects on the surface part of the sliding part, the carbides generated here become coarse, so in reality, spherical carbides with a particle size exceeding 10 μm are about 40% of the total, and in some cases the maximum particle size is As a result, the stress concentrates on the spherical carbide having a particle diameter of more than 10 μm, and there is a possibility that fracture occurs from this portion. Therefore, the amount of C in the surface portion should be selected within the range of 0.9 to 1.42 % by weight.
[0009]
Surface hardness If the surface hardness is less than 63 in terms of Rockwell C hardness (hereinafter referred to as HRC), the surface hardness is not sufficient, wear resistance is reduced, and the life of the sliding part is shortened. Shorter. Therefore, the surface hardness should be HRC63 or higher. Note that the upper limit of the surface hardness is preferably about HRC68 in consideration of toughness.
[0010]
The average particle size of spherical carbide and the amount of spherical carbide having a particle size of 10 μm or less When the average particle size of spherical carbide exceeds 10 μm, the amount of spherical carbide exceeding 10 μm is about 80% of the total As a result, stress concentrates on the spherical carbide having a particle diameter exceeding 10 μm, and there is a possibility that fracture occurs from this portion. Therefore, the average particle size of the spherical carbide should be 10 μm or less, preferably 3 μm or less. Further, if the amount of spherical carbide having a particle size of 10 μm or less is less than 70%, the amount of spherical carbide having a particle size exceeding 10 μm is 30% or more of the total, and in some cases the maximum particle size is 20 μm, As a result, stress concentrates on the spherical carbide having a particle diameter exceeding 10 μm, and there is a possibility that fracture occurs from this portion. Therefore, the amount of spherical carbide having a particle size of 10 μm or less should be 70% or more of the entire spherical carbide.
[0011]
Amount of spherical carbide (area ratio)
If the amount of spherical carbide exceeds 40% in area ratio, the strength of the carburized layer matrix decreases, so the amount of spherical carbide should be 40% or less, preferably 25% or less in area ratio. The lower limit of the amount of spherical carbide should be 13.5%. Here, the area ratio refers to an average value of the above five area ratios by observing the area ratios of five 40 × 30 μm visual fields observed at 3000 times by image analysis.
[0012]
Residual austenite amount If the retained austenite amount is less than 13%, the toughness is reduced and the crack growth rate is increased to reduce the life of the sliding part. If the amount exceeds 40%, the necessary hardness is ensured. I can't. Therefore, the amount of retained austenite should be selected within the range of 13-40%.
[0013]
In the sliding part of the present invention, as the heat treatment including carburizing treatment applied to the material steel, for example, a first step of performing carburizing treatment or carburizing and quenching treatment, and applying a quenching treatment to form fine spherical carbide in the carburized layer. There is a method comprising a second step of precipitation and a third step of performing high-concentration carburizing and quenching treatment so that the carbon concentration of the surface portion is higher than the carbon concentration of the surface portion obtained in the first step. . The heating temperature in the third step is preferably not more than the heating temperature in the second step. This is because if the heating temperature in the third step is higher than the heating temperature in the second step, a part of the carbide precipitated in the second step may be dissolved in the matrix. This method will be described more specifically as follows. That is, in a carburizing atmosphere containing ₁₀ to 17% by volume of C ₃ H ₈ , after heating at a temperature of 930 to 950 ° C. for 3 to 5 hours and then oil-cooling, and at a temperature of 800 to 840 ° C., 0.5 to After heating for 0.8 hours, in a second step of oil cooling, in a carburizing atmosphere containing ₁₀ to 17 vol% of C ₃ H ₈ , the temperature is 790 to 840 ° C. and is equal to or lower than the heating temperature of the second step. This is a method comprising a third step of oil cooling after heating for 5 hours. In the third step, after heating in a carburizing atmosphere containing ₁₀ to 17 vol% of C ₃ H ₈ at a temperature of 790 to 820 ° C. and a temperature not higher than the heating temperature of the second step for 3 to 5 hours, the temperature is raised. It is preferable to heat at a temperature of 830 to 840 ° C. for 0.5 to 0.8 hours and then cool with oil. In this case, it becomes possible to increase the amount of carbide without coarsening of the carbide.
[0014]
According to the sliding component of the present invention, it is made of steel and subjected to heat treatment including carburizing treatment so that the surface portion C is 0.9 to 1.42 % by weight and the surface hardness is Rockwell C hardness. The fine spherical carbide is precipitated in the carburized layer, the average particle size of the spherical carbide is 3 μm or less, and the amount of the spherical carbide is 13.5 to 40% by area ratio. The particle size of 70% or more of the carbide is 10 μm or less, and the amount of retained austenite of the carburized layer is 13 to 40%, so that the strength and hardness of the core is ensured and the toughness is reduced. Is prevented. In particular, the surface portion C is 0.9 to 1.42 % by weight, the surface hardness is Rockwell C hardness 63 or more, fine spherical carbide is precipitated in the carburized layer, The average particle size is 10 μm or less and the amount thereof is 13.5 to 40% by area ratio, the particle size of 70% or more of the spherical carbide is 10 μm or less, and the amount of retained austenite is 13 to Since it is 40%, the wear resistance of this sliding part is improved and the life is extended. And the fall of toughness is prevented.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, specific examples of the present invention will be described together with comparative examples.
[0016]
Examples 1-4
4 pieces of making material of the roller support shaft of the rocker arm for an automobile engine using SAE5120, with heat treatment in these materials under the conditions shown in Figure 1 in one minute of the (heat treatment condition 1), the remaining three Heat treatment was performed on the condition shown in FIG. 2 (heat treatment condition 2). Next, each material is heated at 160 ° C. for 2 hours and tempered, then the surface of each material is polished, and the amount of polishing is changed to produce four roller support shafts with different surface properties. did. In addition, since the said tempering is a process generally performed in order to improve the toughness of a raw material after a hardening process, illustration is abbreviate | omitted.
[0017]
The heat treatment condition 1 is performed using a fluidized bed furnace. N ₂ gas is supplied as a fluidizing gas so that the flow rate is 4.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s and C ₃ H _{8 is used.} While supplying the gas at a flow rate of 0.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s (the C ₃ H ₈ concentration in the atmosphere is 10 vol%), after heating at 930 ° C. for 3 hours, A first step of carburizing and quenching by oil cooling, and supplying N ₂ gas as a fluidizing gas at a flow rate of 5.0 × 10 ⁻⁴ m ³ / s, at 840 ° C. for 0.5 hour After heating, the second step of quenching by oil cooling to 80 ° C. and supplying N ₂ gas as fluidizing gas so that the flow rate becomes 4.2 × 10 ⁻⁴ m ³ / s and C ₃ While supplying H ₈ gas at a flow rate of 0.8 × 10 ⁻⁴ m ³ / s (the C ₃ H ₈ concentration in the atmosphere is 16 vol%), 830 It consists of a third step of heating at 80 ° C. for 5 hours, followed by oil cooling to 80 ° C. and applying a high-concentration carburizing and quenching treatment.
[0018]
The heat treatment condition 2 is performed using a fluidized bed furnace. N ₂ gas is supplied as a fluidizing gas so that the flow rate is 4.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s and C ₃ H _{8 is used.} While supplying the gas at a flow rate of 0.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s (the C ₃ H ₈ concentration in the atmosphere is 10 vol%), after heating at 930 ° C. for 3 hours, A first step of carburizing and quenching by oil cooling, and supplying N ₂ gas as a fluidizing gas at a flow rate of 5.0 × 10 ⁻⁴ m ³ / s, at 840 ° C. for 0.5 hour After heating, oil cooling to 80 ° C. and second quenching treatment, and N ₂ gas as a fluidizing gas are supplied at a flow rate of 4.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s and C ₃ While supplying H ₈ gas at a flow rate of 0.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s (the C ₃ H ₈ concentration in the atmosphere is 10 vol%), 830 It consists of a third step of heating at 80 ° C. for 5 hours, followed by oil cooling to 80 ° C. and applying a high-concentration carburizing and quenching treatment.
[0019]
Examples 5-10
JIS SUJ2 is used to make 6 roller support shaft materials for the rocker arm for automobile engines, heat treatment condition 1 is applied to 2 of these materials, and heat treatment condition 2 is applied to the remaining 4 parts. Heat treatment was applied. Next, after each material was heated at 160 ° C. for 2 hours and tempered, the surface of each material was polished and the amount of polishing was changed, so that six rocker arms for automobile engines with different surface properties were obtained. A roller support shaft was manufactured. In addition, since the said tempering is a process generally performed in order to improve the toughness of a raw material after a hardening process, illustration is abbreviate | omitted.
[0020]
Comparative Examples 1-4
Using JIS SUJ2, four materials for roller support shafts of the rocker arm for automobile engines were made, and these materials were heat-treated under the conditions shown in FIG. 3 (heat treatment condition 3). Then, the roller support shafts of four rocker arms for automobile engines having different surface properties were manufactured by polishing the surface of each material and changing the polishing amount.
[0021]
The heat treatment condition 3 consists of a first step of heating at 830 ° C. for 0.5 hours and then oil cooling and quenching, and a second step of heating at 180 ° C. for 2 hours and tempering.
[0022]
Comparative Examples 5-8
Using JIS SUJ2, four materials for the roller support shafts of the rocker arm for automobile engines were made, and these materials were subjected to heat treatment under the conditions shown in FIG. 4 (heat treatment condition 4). Next, after each material was heated at 160 ° C. for 2 hours to be tempered, the surface of each material was polished, and the amount of polishing was changed, so that four rocker arms for automobile engines with different surface properties were obtained. A roller support shaft was manufactured. In addition, since the said tempering is a process generally performed in order to improve the toughness of a raw material after a hardening process, illustration is abbreviate | omitted.
[0023]
The heat treatment condition 4 is performed using a fluidized bed furnace. N ₂ gas is supplied as a fluidizing gas so that the flow rate is 3.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s and C ₃ H _{8 is used.} While supplying the gas at a flow rate of 1.5 × 10 ⁻⁴ m ³ / s (the C ₃ H ₈ concentration in the atmosphere is 30 vol%), after heating at 930 ° C. for 3 hours, The first step of carburizing and quenching by oil cooling, and supplying N ₂ gas as fluidizing gas at a flow rate of 5.0 × 10 ⁻⁴ m ³ / s, at 830 ° C. for 0.5 hour After heating, the second step of performing oil quenching at 80 ° C. and quenching, and supplying N ₂ gas as a fluidizing gas at a flow rate of 5.0 × 10 ⁻⁴ m ³ / s, 830 after heating 0.5 hours at ° C., 80 a third step of performing hardening treatment cooled oil ° C., fluidization flow rate 4.2 × 1 N ₂ gas as the gas ^-4 m ³ / s is supplied so that while supplying to the flow of C ₃ H ₈ gas is ^{^{0.8 × 10 -4 m 3 / s}} (C 3 H 8 concentration in the atmosphere is 16vol 4), after heating at 930 ° C. for 5 hours, oil-cooling to 80 ° C. and subjecting to high-concentration carburizing and quenching, and N ₂ gas as a fluidizing gas at a flow rate of 5.0 × 10 ⁻⁴ This is a fifth step in which heating is performed at 830 ° C. for 0.5 hour while supplying at m ³ / s, followed by oil cooling to 80 ° C. and quenching.
[0024]
The surface hardness of the surface part of the roller support shaft of Examples 1 to 10 and Comparative Examples 1 to 8, the amount of C in the surface part, the carbide area ratio of the carburized layer, the average particle diameter of the carbide, and the particle diameter of 10 μm or less. Table 1 and Table 2 show the amount of spherical carbide and the amount of retained austenite (γR).
[0025]
[Table 1]

[0026]
[Table 2]

[0027]
Evaluation Test Using the roller support shafts of Examples 1 to 10 and Comparative Examples 1 to 8, a wear test was performed as follows. That is, first, JIS SUJ2 was used to make 18 materials for the rocker arm rollers for automobile engines, and after these materials were heat treated under the conditions shown in FIG. 3 (heat treatment condition 3), the surface of each material was polished. By changing the amount of polishing, 18 rocker arm rollers for automobile engines having different surface properties were manufactured. Subsequently, the rocker arm which attached the said roller to the roller support shaft of Examples 1-10 and Comparative Examples 1-8 was assembled | attached to the gasoline engine for motor vehicles. Then, motor oil (10W-30) is used as the lubricating oil, the engine temperature is set to 60 ° C., the engine is started, the wear depth of the roller support shaft after 200 hours has passed, and peeling occurs. The presence or absence was observed. The results are also shown in Tables 1 and 2. Moreover, the relationship between surface hardness and wear depth is shown in FIG.
[0028]
As is apparent from Tables 1 and 2 and FIG. 5, it can be seen that the product of the present invention has excellent wear resistance. Moreover, as is apparent from Tables 1 and 2, the product of the present invention has no peeling, and it can be seen that the damage suppressing effect is remarkably improved as compared with the conventional product, and a longer life can be achieved.
[0029]
In the said Example, although only SAE5120 and JIS SUJ2 are mentioned as steel used as a material, it is not limited to this.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing heat treatment condition 1 of an example.
FIG. 2 is a diagram showing a heat treatment condition 2 of the example.
FIG. 3 is a diagram showing a heat treatment condition 3 of a comparative example.
FIG. 4 is a diagram showing a heat treatment condition 4 of a comparative example.
FIG. 5 is a graph showing the relationship between surface hardness and wear depth in Examples and Comparative Examples.

Claims

鋼よりなり、浸炭処理を含む熱処理が施されて表面部のＣが０．９〜１．４２重量％となされるとともに、表面硬さがロックウェルＣ硬さで６３以上となされ、浸炭層に微細球状炭化物が析出させられ、球状炭化物の平均粒径が３μｍ以下でかつ球状炭化物の量が面積率で１３．５〜４０％となされているとともに、球状炭化物の７０％以上の粒径が１０μｍ以下となされており、さらに浸炭層の残留オーステナイト量が１３〜４０％となされていることを特徴とする摺動部品。Made of steel and subjected to heat treatment including carburizing treatment, the surface portion C is 0.9 to 1.42 % by weight and the surface hardness is 63 or more in Rockwell C hardness, Fine spherical carbide is precipitated, the average particle size of the spherical carbide is 3 μm or less, the amount of the spherical carbide is 13.5 to 40% in terms of area ratio, and the particle size of 70% or more of the spherical carbide is 10 μm. A sliding component characterized in that the amount of retained austenite of the carburized layer is 13 to 40%.

浸炭層における球状炭化物の平均粒径が３μｍ以下で、かつ球状炭化物の量が面積率で２５％以下となされている請求項１の摺動部品。The sliding component according to claim 1, wherein the average particle diameter of the spherical carbide in the carburized layer is 3 µm or less, and the amount of the spherical carbide is 25% or less in terms of area ratio .