JP3786489B2 - 制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物等の構造物における振動を抑制する制振装置に関し、詳しくは可動質量を運動させて制振作用を得る動吸振器を用いた制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地震や風圧等の外力によって建物等の構造物に発生する振動を抑制するために、可動質量(重錘)の運動を利用して制振作用を得る動吸振器を用いた制振装置が知られている。
そして、このような制振装置には、パッシブ型、アクティブ型がある。
【0003】
図8は、パッシブ型動吸振器を用いた制振装置の概要を示す説明図である。
この制振装置は、建物2の最上部に設置され、建物2の水平方向の振動を吸収するものである。パッシブ型動吸振器は、水平方向に移動可能に支持された重錘4と建物2に固定されたベース部6との間にバネ8と減衰器(ダンパ)10とを介在させたものである。
そして、重錘4、バネ8および減衰器10は、建物2の1次固有振動に同調するようにチューニングされた減衰振動系を構成しており、重錘4の減衰振動によって建物2の振動を吸収する。
【0004】
また、図9は、アクティブ型の制振装置の概要を示す説明図である。
この制振装置は、建物2の最上部に設置した重錘12を駆動装置14によって強制振動させることにより、建物2の水平方向の振動を吸収するものである。
重錘12は、パッシブ型と同様に、水平方向に移動可能に支持されており、この重錘12と建物2に固定されたベース部16との間に駆動装置14が配置されている。
また、この制振装置では、建物2の最下部と最上部、および重錘12に、それぞれ振動計18、20、22を設け、各部の変位、応答速度、加速度等をリアルタイムで検出し、その検出信号をコンピュータ24で演算処理することにより、駆動装置14の駆動信号を算出し、重錘12の最適な強制振動を得るようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したパッシブ型の制振装置では、制振効果は重錘4が重いほど大きくなるが、装置の大きさの制約から、重錘4の大きさにも限界がある。したがって、十分な制振効果を得ることは困難であった。
一方、アクティブ型の制振装置では、駆動装置14、複数の振動計18、20、22、コンピュータ24を有する構成であるため、複雑で高価なシステムとなり、またメンテナンスも必要となる。
また、このようなアクティブ型の制振装置では、制振効果が大きい反面、制御系の故障により、制振作用が大幅に低下したり、システムの暴走により危険な状態になることもあり、安全性の確保のために完全な管理システムを設ける必要があり、その点からもコスト高となる。
そこで本発明の目的は、パッシブ型の制振装置よりも十分な制振効果を得ることができ、また、アクティブ型の制振装置よりも簡易で安価な制振装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、構造物の振動を抑制する制振装置において、前記構造物に固定されるベース部と、支持機構を介して前記ベース部に対して移動可能に支持された可動質量と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の速度に応じた減衰力を発生する減衰手段と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の大きさに応じたバネ力を発生するバネ手段と、前記構造物の振動によって発生する前記ベース部の加速度を表す加速度信号を出力する加速度計と、前記加速度信号を受取り、その加速度信号に応じた制御信号を発生する制御信号発生手段と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記制御信号に応じた駆動力を前記ベース部と前記可動質量との間に作用させる駆動手段とを備え、前記構造物の振動時に前記可動質量に作用する前記ベース部を基準とした慣性力と、前記可動質量に作用する前記駆動手段の駆動力とが同位相になるように、前記制御信号発生手段及び前記駆動手段を構成し、前記制御信号が前記加速度信号に比例するように、前記制御信号発生手段を構成したことを特徴とする。
また、本発明は、構造物の振動を抑制する制振装置において、前記構造物に固定されるベース部と、支持機構を介して前記ベース部に対して移動可能に支持された可動質量と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の速度に応じた減衰力を発生する減衰手段と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の大きさに応じたバネ力を発生するバネ手段と、前記構造物の振動によって発生する前記ベース部の加速度を表す加速度信号を出力する加速度計と、前記加速度信号を受取り、その加速度信号に応じた制御信号を発生する制御信号発生手段と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記制御信号に応じた駆動力を前記ベース部と前記可動質量との間に作用させる駆動手段とを備え、前記構造物の振動時に前記可動質量に作用する前記ベース部を基準とした慣性力と、前記可動質量に作用する前記駆動手段の駆動力とが同位相になるように、前記制御信号発生手段及び前記駆動手段を構成し、前記制御信号が前記加速度信号に比例し、その比例定数が前記加速度信号の振幅に応じて変化するように前記制御信号発生手段を構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記可動質量、前記減衰手段および前記バネ手段によって、前記構造物の固有振動に同調した振動系が構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記加速度信号は前記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が増幅器を含んでいることを特徴とする。
また、本発明は、前記加速度信号は前記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅に応じて該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御回路とを含んでいることを特徴とする。
また、本発明は、前記加速度信号の振幅が小さいときには前記比例定数を大きくし、前記加速度信号の振幅が大きくなるにつれて前記比例定数を小さくすることによって、前記可動質量の変位が適正変位範囲を逸脱せず前記駆動手段の駆動力が適正駆動力上限を超えないようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、前記加速度信号は前記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅に応じて該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御手段とを含んでおり、前記利得制御手段が、前記加速度信号の振幅に応じて前記可変利得増幅器の利得を自動的に関数的に算出する手段を含んでいることを特徴とする。
また、本発明は、前記構造物の水平方向の振動を吸収することを特徴とする。
また、本発明は、前記構造物の垂直方向の振動を吸収することを特徴とする。
また、本発明は、1つの可動質量に対して複数の制振装置を設けることにより、前記構造物の複数次元方向の振動を吸収することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る制振装置において、構造物に振動が生じると、可動質量、減衰手段およびバネ手段によって構成される減衰自由振動系がパッシブ型の動吸振器として機能し、構造物の振動に対して位相のずれた状態で可動質量が振動することで、構造物の振動を吸収するように作用する。
また、加速度計から出力される加速度信号に応じて発生される制御信号に従って、駆動手段が可動質量に強制的な変位力を付与することにより、上述したパッシブ型の動吸振器による可動質量の減衰振動の振幅を増幅するように作用する。
したがって、可動質量の質量によって制約されるパッシブ型動吸振器の制振能力を、加速度計の出力に基づく駆動手段の作用によって補強することができ、簡易で安価な構成で最大限の制振効果を得ることができる。
特に、構造物の加速度のみを測定してフィードバックする構成であるため、構造物の応答速度や変位を検出する必要がなく、安価な加速度計の使用が可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による制振装置の実施の形態例について説明する。
図1、図2は、本発明による制振装置の一例を示す説明図であり、図1は設置状態の概要を示し、図2は制振装置の構成を示している。
本例の制振装置は、建物30の最上部に設置され、建物30の水平方向の振動を吸収するものである。
建物30の最上部に、制振装置のベース部36が固定されており、制振装置の重錘32は、支持機構34を介してベース部36の水平部36a上で、図中矢線AB方向に移動可能に支持されている。
【0010】
また、ベース部36には、重錘32と対向する位置に垂直部36bが設けられ、この垂直部36bと重錘32との間に、バネ38、減衰器(ダンパ)40および駆動装置42が設けられている。
バネ38は、ベース部36に対する重錘32のAB方向の変位の大きさに応じた(即ち略々比例した)バネ力を発生するものである。
減衰器40は、ベース部36に対する重錘32のAB方向の変位の速度に応じた(即ち略々比例した)減衰力を発生するものである。
駆動装置42は、後述する制御信号を受取り、その制御信号に応じた駆動力を発生するものであり、この駆動力がベース部36と重錘32との間に、重錘32の移動方向(AB方向)に作用するようにしてある。
駆動装置42は、例えば、リニアモータとその駆動制御回路並びに適当な駆動力伝達機構等で構成することができる。
重錘32、バネ38、および減衰器40は、重錘32の減衰振動によって建物30の振動を吸収するパッシブ型動吸振器を構成しており、建物30の1次固有振動に同調するようにチューニングされ、また、振動エネルギを速やかに吸収できるように減衰定数が設定され、最適設計による動吸振器となっている。
【0011】
建物30の最上部には、ベース部36の水平部36a上に、加速度計44が設けられている。加速度計44は、建物30の振動によって発生するベース部36の加速度を表す加速度信号(図示例では電気信号)を出力するものである。加速度計44は、必ずしもベース部36に直接取付ける必要はなく、ベース部36の近傍の建物30の床や壁等に取付けてベース部36の加速度を検出するようにしてもよい。
加速度計44が出力する加速度信号は制御装置46へ入力しており、この制御装置46は受取ったその加速度信号に略々比例した制御信号を発生する。この制御信号は駆動装置42に供給されており、この駆動装置42は受取ったその制御信号に略々比例した駆動力を発生する。この構成によれば、駆動装置42が発生する駆動力の大きさは、ベース部36の加速度に略々比例する。
建物30が地震等の外力を受けて振動して、この建物30に固定されたベース部36に加速度を発生したときに、ベース部36に対して固定した座標系を基準として見れば、ベース部36の加速度と重錘32の質量との積に等しい慣性力が重錘32に作用することになる。
また、地震のように、瞬間的に作用する大きな外力によって発生する建物30の振動は、略々、建物30の固有振動数に等しい振動数の、減衰正弦波振動になる。
従って地震等によって建物30に振動が発生したときに、重錘32に作用する上述の慣性力の波形と駆動装置42から重錘32に作用する駆動力の波形とは、相似の減衰正弦波振動波形となる。
そして、本発明においては、ベース部36を基準として見たときの重錘32に作用する慣性力と、重錘32に作用する駆動装置42の駆動力とが、略々同位相になるように、制御装置46及び駆動装置42を構成してある。
そのため、加速度計44、制御装置46、および駆動装置42から成るフィードバック系の働きによって、慣性力が駆動力で増強されるようになっている。換言すれば、重錘32、バネ38、および減衰器40から成る振動系に作用する外力が、フィードバック系を備えない場合(即ち慣性力のみ)と比べて増幅される(即ち慣性力と駆動力との和になる)ようにしてある。
この増幅倍数(即ち、(慣性力+駆動力)/慣性力)を外力増幅係数と呼び、以下の説明ではαで表す。
【0012】
図3は、以上のような制振装置における振動系の構成を示す説明図である。
ここで、重錘32の質量をm、バネ38のバネ定数をk、減衰器40の減衰係数をcとし、建物に対する重錘32のAB方向の変位をZとする。
また、建物30の等価質量をM、建物30の等価バネ要素のバネ定数をK、建物30の等価減衰要素の減衰係数をCとし、地面に対する建物30のAB方向の変位をXとする。
さらに、静止基準点に対する地震動による地面のAB方向の変位をYとし、駆動装置42による制御力(駆動力)をuとすると、この振動系における運動方程式は以下のようになる。
【0013】
まず、動吸振器の運動方程式は、
mZ”+cZ’+kZ=−m(X”+Y”)+u … 式(1)
となる。
また、建物の運動方程式は、
MX”+CX’+KX=−MY”+cZ’+kZ−u … 式(2)
となる。
なお、以上の式において、
X’=dX/dt、X”=d2 X/dt2 、
Y’=dY/dt、Y”=d2 Y/dt2 、
Z’=dZ/dt、Z”=d2 Z/dt2 、
である。
【0014】
また、上述の外力増幅係数αを用いて制御力(駆動力)uを表すと、次式のようになる。
u=−(α−1)m(X”+Y”) … 式(3)
すなわち、加速度計44が検出する加速度(X”+Y”)を入力とし、駆動装置42が発生する駆動力uを出力とする上述のフィードバック系は、その増幅率が、−(α−1)mになる。
そして、式(3)を式(1)に代入すると、
mZ”+cZ’+kZ=−αm(X”+Y”) … 式(4)
となる。
【0015】
したがって、制御力(駆動力)uを式(3)のように与えることにより、動吸振器の運動方程式は式(4)となり、動吸振器にかかる外力は、パッシブ型動吸振器の場合に比べてα倍されることとなり、重錘がより大きく応答することになる。
そして、制御装置44において、制振装置の外力増幅係数αを制御することにより、制振装置の制振効果を調節することができる。
制御装置44は例えば、電気信号である加速度信号を受取って増幅する可変利得増幅器(不図示)と、この可変利得増幅器の利得を制御する利得制御装置(不図示)とで構成すればよい。この場合、可変利得増幅器の利得の制御によって外力増幅係数αを制御することができる。尚、制御装置44の具体的な構成はそれ以外にも様々なものが考えられるが、当業者には自明なものであるため、その詳細な説明は省略する。
図4(a)は、外力増幅係数αと建物の応答性との関係を示す説明図であり、横軸に外力増幅係数αを取り、縦軸に建物の応答性(ここでは振動の振幅)を取っている。また、図4(b)は、外力増幅係数αと駆動装置42が発生する制御力(駆動力)uとの関係を示す説明図であり、横軸に外力増幅係数αを取り、縦軸に制御力uを取っている。
図示のように、外力増幅係数αを大きくすることにより、制御力uが増大し、建物の応答を迅速に減衰できる。なお、α=1の時は、式(3)により、制御力uを与えないことになり、この時、式(4)は式(1)と同じになり、装置はパッシブ型動吸振器としての制振効果のみを示す。
【0016】
この実施の形態においては、減衰正弦波の形で変化する加速度信号の振動振幅に応じて、外力増幅係数αを変化させるようにしている。そのために、上述の利得制御装置を、加速度信号の振幅を入力とし利得制御信号を出力とする一種の関数発生装置として構成してある。
更に詳しく説明すると、その利得制御装置を設計するには、最初に所望の関数を決定し、次にその所望の関数を実現できるように利得制御装置の具体的な構成を設計すればよい。具体的には、例えば、加速度信号の振動振幅を検出する回路の後に関数発生手段を接続すればよい。関数発生手段としては、例えば、マイクロプロセッサを使用し、所望の関数をルックアップテーブルの形または数式の形でデータとして記憶させておくのも1つの方法である。また別法として、関数発生手段を、演算増幅器とコンデンサや抵抗等を組合せて所望の関数が得られるようにした回路で構成するようにしてもよい。
図4(c)は、図示の実施の形態における、建物の応答(加速度の振幅或いは変位の振幅)と、駆動装置42による必要な制御力(駆動力)uの最大値との関係を示した関係図である。実線は外力増幅係数αを建物の応答に応じて自動的に変化させた場合を示しており、点線は比較のために、αを変化させずに一定値にした場合を示している。
図示のように、外力増幅係数αを建物の応答に応じて自動的に変化させるようにした場合には、中・大地震時に建物の応答が大きくなったときでも、駆動装置の駆動力の最大値が過大にならず、巨大な駆動装置を必要としない。また、建物の応答が小さいときには、駆動力にも余裕があるので、αを大きくして制振効果を上昇させ、駆動力を有効に利用することができる。
【0017】
次に、図5(a)は、建物の応答に対するパッシブ型動吸振器の応答を示す説明図であり、縦軸に応答の振幅レベルを取り、横軸に時間を取っている。
また、図5(b)は、建物の応答に対する駆動装置42の作用を加えた動吸振器の応答を示す説明図であり、縦軸に応答の振幅レベルを取り、横軸に時間を取っている。
図5(a)に示すように、建物の応答に対して、パッシブ型動吸振器の応答は90°位相の遅れた減衰振動となる。
また、図5(b)に示すように、駆動装置42の駆動力uによる応答は、パッシブ型動吸振器による応答と位相が一致している。したがって、従来のパッシブ型動吸振器による応答を、駆動装置42の駆動力uによって増幅するような作用となり、建物の応答を迅速に減衰することができる。
【0018】
次に、図6、図7は、本発明による制振装置の他の例を示す説明図であり、図6は設置状態の概要を示し、図7は制振装置の構成を示している。
上述した図1、図2に示す制振装置は、建物30の水平方向の振動を抑制するものであったが、図6、図7に示す制振装置は、建物の床や梁等の横架材48に生じる垂直方向の振動を抑制するためのものである。
【0019】
この制振装置では、床や梁等に設けたベース部50に対して、重錘52をバネ54でバランスさせて垂直方向に移動可能に支持したものである。なお、重錘52の支持機構としては、重錘52の垂直方向の移動をスライド機構でガイドするような構造としてもよい。
また、ベース部50と重錘52との間には、減衰器56と駆動装置58が設けられ、ベース部50には、加速度計60が設けられている。
【0020】
重錘52、バネ54および減衰器56は、重錘52の減衰振動によって横架材48の振動を吸収するパッシブ型動吸振器を構成しており、横架材48の固有振動に同調するようにチューニングされ、最適設計による動吸振器となっている。
このような制振装置においても、加速度計60の出力信号を制御装置62を介してフィードバックし、駆動装置58を駆動させることにより、パッシブ型動吸振器の制振作用を強化することができ、限られた装置規模の範囲で有効な制振効果を得ることができる。
なお、加速度計60の出力信号に基づく駆動装置58の作用の詳細については、上述した図1、図2の例と同様であるので説明は省略する。
【0021】
また、上述した各例の制振装置において、加速度計44、60の検出レベルに基づき、構造物の振動が大きい場合には、外力増幅係数αを下げることにより、過度の強制力が重錘32、52にかからないようにし、構造物の振動が小さい場合には、外力増幅係数αを上げることにより、制振効果を高めるようにすれば、信頼性の高い、安定したシステムを構成することができる。
また、上述した各例の制振装置では、1自由度系の制振装置について説明したが、1つの重錘に対して複数の方向から制振作用を付与する複数の制振装置を設けることにより、多自由度系の制振システムを構成し、多方向の振動を抑制するようにすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る制振装置では、可動質量、減衰手段およびバネ手段によって構成したパッシブ型動吸振器の制振機能に加えて、この構造物の加速度を加速度計で検出して駆動装置を駆動し、前記可動質量を強制振動させるようにした。
このため、可動質量の質量によって制約されるパッシブ型動吸振器の制振効果を、加速度計の出力に基づく駆動手段の作用によって補強することができ、限られた装置規模の範囲で有効な制振効果を得ることができる。
また、簡易な構成により、低コストで信頼性の高いシステムを構築することができる。特に、構造物の加速度のみを測定してフィードバックする構成であるため、構造物の応答速度や変位を検出する必要がなく、安価な加速度計を用いて実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制振装置の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示す制振装置の構成を示す説明図である。
【図3】図1に示す制振装置の振動系の構成を示す説明図である。
【図4】図1に示す制振装置の、外力増幅係数αと建物の応答性との関係、外力増幅係数αと駆動装置による制御力uとの関係、それに、外力増幅係数を可変とした場合の建物の応答と必要制御力の最大値との関係を示す説明図である。
【図5】建物の応答に対する従来のパッシブ型動吸振器の応答と図1に示す制振装置の応答を示す説明図である。
【図6】本発明による制振装置の他の例を示す説明図である。
【図7】図6に示す制振装置の構成を示す説明図である。
【図8】従来のパッシブ型制振装置の概要を示す説明図である。
【図9】従来のアクティブ型制振装置の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
30 建物
32、52 重錘
34 支持機構
36、50 ベース部
38、54 バネ
40、56 減衰器
42、58 駆動装置
44、60 加速度計
46、62 制御装置
48 横架材
Claims (10)
- 構造物の振動を抑制する制振装置において、
前記構造物に固定されるベース部と、
支持機構を介して前記ベース部に対して移動可能に支持された可動質量と、
前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の速度に応じた減衰力を発生する減衰手段と、
前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の大きさに応じたバネ力を発生するバネ手段と、
前記構造物の振動によって発生する前記ベース部の加速度を表す加速度信号を出力する加速度計と、
前記加速度信号を受取り、その加速度信号に応じた制御信号を発生する制御信号発生手段と、
前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記制御信号に応じた駆動力を前記ベース部と前記可動質量との間に作用させる駆動手段とを備え、
前記構造物の振動時に前記可動質量に作用する前記ベース部を基準とした慣性力と、前記可動質量に作用する前記駆動手段の駆動力とが同位相になるように、前記制御信号発生手段及び前記駆動手段を構成し、
前記制御信号が前記加速度信号に比例するように前記制御信号発生手段を構成した、
ことを特徴とする制振装置。 - 前記可動質量、前記減衰手段および前記バネ手段によって、前記構造物の固有振動に同調した振動系が構成されている請求項1記載の制振装置。
- 前記加速度信号は前記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が増幅器を含んでいる請求項2記載の制振装置。
- 構造物の振動を抑制する制振装置において、
前記構造物に固定されるベース部と、
支持機構を介して前記ベース部に対して移動可能に支持された可動質量と、
前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の速度に応じた減衰力を発生する減衰手段と、
前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動質量の変位の大きさに応じたバネ力を発生するバネ手段と、
前記構造物の振動によって発生する前記ベース部の加速度を表す加速度信号を出力する加速度計と、
前記加速度信号を受取り、その加速度信号に応じた制御信号を発生する制御信号発生手段と、
前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記制御信号に応じた駆動力を前記ベース部と前記可動質量との間に作用させる駆動手段とを備え、
前記構造物の振動時に前記可動質量に作用する前記ベース部を基準とした慣性力と、前記可動質量に作用する前記駆動手段の駆動力とが同位相になるように、前記制御信号発生手段及び前記駆動手段を構成し、
前記制御信号が前記加速度信号に比例し、その比例定数が前記加速度信号の振幅に応じて変化するように前記制御信号発生手段を構成した、
ことを特徴とする制振装置。 - 前記加速度信号は前記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅に応じて該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御回路とを含んでいる請求項4記載の制振装置。
- 前記加速度信号の振幅が小さいときには前記比例定数を大きくし、前記加速度信号の振幅が大きくなるにつれて前記比例定数を小さくすることによって、前記可動質量の変位が適正変位範囲を逸脱せず前記駆動手段の駆動力が適正駆動力上限を超えないようにした請求項4記載の制振装置。
- 前記加速度信号は前記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅に応じて該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御手段とを含んでおり、前記利得制御手段が、前記加速度信号の振幅に応じて前記可変利得増幅器の利得を自動的に関数的に算出する手段を含んでいる請求項6記載の制振装置。
- 前記構造物の水平方向の振動を吸収する請求項1乃至7のいずれか1項記載の制振装置。
- 前記構造物の垂直方向の振動を吸収する請求項1乃至7のいずれか1項記載の制振装置。
- 1つの可動質量に対して複数の制振装置を設けることにより、前記構造物の複数次元方向の振動を吸収する請求項1乃至7のいずれか1項記載の制振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04732097A JP3786489B2 (ja) | 1997-02-14 | 1997-02-14 | 制振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP04732097A JP3786489B2 (ja) | 1997-02-14 | 1997-02-14 | 制振装置 |
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