JP3784617B2 - 小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの熱電比制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力と蒸気や温水や冷水を同時に供給するガスタービンコージェネレーションシステムに於ける出力の熱電比制御方法に関するものであり、主として比較的小規模な各種工場やマーケット、事務所、温室農場、集合住宅等で単独又は複数台を組み合せした状態で使用する小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービン発電機と排ガスボイラ等を組み合わせた熱電併給システム(コージェネレーションシステム)は従前から広く知られており、実用にも供されている。この熱電併給システムは、タービン発電機を駆動して電力を得ると共に、ガスタービンからの高温排ガスの熱を排熱ボイラ又は排熱温水ボイラにより回収して蒸気又は温水若しくは冷水を得るものであり、電力と蒸気等を同時に必要とする事業所等に於いては、別個に電力と蒸気等の供給を受ける場合に比較して総合的なエネルギー効率が向上し、経済性に優れている。
【0003】
ところで、従前のこの種システムは、何れも発電容量が5000KW前後の比較的大容量のものであり、理念的には発電装置が主体であって、その排熱を排ガスボイラで回収しようとするものである。
しかし、近年省エネルギーの観点から熱電併給システムの見直しが進められ、これに伴なって容量が15〜100KW程度の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムが広く利用され出している。
【0004】
図6は、従前のこの種小容量ガスタービンコージェネレーションシステムの一例を示すブロック構成図であり、ガスタービン1、圧縮機2、再生器3、燃焼器4、発電機5、排熱回収ボイラ6等からガスタービンコージェネレーションシステムが構成されている。
而して、燃焼用空気Aは、先ずガスタービン1に直結された圧縮機2において圧縮されたあと、再生器3へ導かれる。再生器3へ導かれた圧縮空気は、ガスタービン1からの約600℃の高温タービン排ガスG1 と熱交換をすることにより予熱されたあと、燃焼器4へ供給される。燃焼器4内では、前記予熱された燃焼用空気Aと供給された燃料ガスFとが混合燃焼をし、約850℃の高温燃焼ガスが発生する。この高温燃焼ガスによりガスタービン1が回転駆動され、これに直結した圧縮機2及び発電機5を回転駆動させることにより発電をする。
【0005】
燃焼器4で発生した高温燃焼ガスは、断熱膨張をしてタービン1を回転駆動することにより約600℃の高温タービン排ガスG1 となって再生器3へ送られ、ここで圧縮空気Aと熱交換して約270℃のタービン排ガスG2 となる。このタービン排ガスG2 は引き続き排熱回収熱交換器6へ導入され、温水(又は蒸気)を発生させたあと、約150℃の排ガスG0 となって大気中へ放出される。
【0006】
例えば、燃料Fを都市ガス13A(9.7Nm3 /h、9930kcal/Nm3 、熱入力112KW)とする小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの場合には、発電機出力が約28KW及び熱回収量が約56KWとなり、システム全体としての総合的なエネルギー効率は約75%となる。
【0007】
ところで、前記ガスタービン1から排出される高温タービン排ガスG1 の流量は、ガスタービン1の出力と略比例関係にあり、その結果、再生器3から排出されるタービン排ガスG2 の温度も略ガスタービン1の出力に比例して変化することになる。何故なら再生器3の伝熱面積が一定であるため、その熱交換量が大きく変動しないからである。
換言すれば、ガスタービン1の出力が上昇すれば、タービン排ガスG2 の流量及び温度も共に上昇し、また逆に、ガスタービン1の出力が低下すれば、タービン排ガスG2 の流量及び温度が共に低下する。
【0008】
一方、排熱回収ボイラ6に於ける排熱回収量はタービン排ガスG2 の流量及び温度によって決まる。そのため、ガスタービン出力即ち発電機出力と排熱回収量とは比例関係となり、これによって発電機5の電気出力Peと排熱回収ボイラ6の熱出力Teとの比である熱電比Q=Te/Peは、タービンコージェネレーションシステムの100〜30%の出力範囲に亘って、ほぼ一定となる。
【0009】
例えば、上記に例示した小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに於いては、定格出力下で発電機出力Pe=28KW、排熱回収ボイラの熱出力Te=56KWとなり、熱電比Qは2となる。また、このシステム出力の熱電比Qは、システムの出力が低下しても略一定に保たれることになり、適宜の値に調整することができない。
【0010】
ところで、電力負荷7の電力需要Pe′と熱負荷8の熱需要Te′との比率Q′(熱電需要比Q′=Te′/Pe′)が常に約2である場合には特に問題が生じないが、熱電需要比Q′=Te′/Pe′が大きく変動する場合には、前記システム出力の熱電比Qが常に一定であると、必然的に電気出力Pe又は熱出力Teの余剰若しくは不足を生ずることとなる。
そのため、クーリングタワー等によって余剰な熱を放熱したり、或いは蓄電設備や電力販売等によって余剰な電力を処理する必要があり、システム全体としての総合的なエネルギー効率の低下を招来することになる。
【0011】
なお、小容量のガスタービンコージェネレーションシステムにあっては、前記再生器3を省略し、圧縮器2で圧縮した圧縮空気を直ちに燃焼器4へ供給すると共に、ガスタービン1からの高温タービン排ガスG1 を直に排熱回収ボイラ6へ導入する構成とする場合がある。しかし、この場合でも、システム出力の熱電比Qは常に一定となり、電力需要と熱需要との熱電需要比Q′が前記システム出力の熱電比Qと異なる場合には、システム出力側の熱電比Qを調整することができないために様々な支障が生ずることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従前のこの種小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに於ける上述の如き問題、即ち、システム側の発電機出力Peと熱出力Teの比Q(熱電比Q=Te/Pe)が常にほぼ一定であるため、電力負荷7の電力需要Pe′と熱負荷8の熱需要Te′との比Q′(熱電需要比Q′=Te′/Pe′)が前記熱電比Qと異なる場合には、電力又は熱の何れかに余剰が生じてシステム全体の総合的なエネルギー効率が低下すると云う問題を解決せんとするものであり、排熱回収ボイラ6からの発生蒸気が余剰の場合若しくは発電機5の出力増が必要な場合には、発生蒸気の一部を燃焼器4へ導入してガスタービン1の出力増を図り、システム出力の熱電比Qを現実の熱電需要比Q′=Te′/Pe′に近づけることにより、ガスタービンコージェネレーションシステムを常に高い総合エネルギー効率でもって運転できるようにした、小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの熱電比制御方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は多数の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの開発並びに試験を通して、ガスタービンの燃焼器内へ蒸気を吹き込むことにより、ガスタービンの出力(即ち発電機出力)を比較的円滑に増加できることを知得した。
本発明は、発明者等の上記知得に基づいて創作されたものであり、請求項1の発明は、ガスタービンと発電機と圧縮機と再生器と燃焼器と排熱回収ボイラとを備え、ガスタービンからの高温タービン排ガスを再生器を経て排熱回収ボイラへ供給する構成の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに於いて、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気の一部を燃焼器へ供給する蒸気制御バルブを備えた蒸気供給通路を設けると共に、前記再生器にタービン排ガス制御バルブを備えた高温タービン排ガスのバイパス通路を設け、排熱回収ボイラの熱負荷に応じて蒸気制御バルブとタービン排ガス制御バルブの何れか一方又は両方の開度を調整することにより、システム出力の熱電比を制御することを発明の基本構成とするものである。
【0014】
請求項2の発明は、ガスタービンと発電機と圧縮機と再生器と燃焼器と排熱回収ボイラとを備え、ガスタービンからの高温タービン排ガスを再生器を経て排熱回収ボイラへ供給すると共に、圧縮機からの燃焼用空気を再生器を経て燃焼器へ供給する構成の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに於いて、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気の一部を燃焼器へ供給する蒸気制御バルブを備えた蒸気供給通路を設けると共に、前記再生器にタービン排ガス制御バルブを備えた高温排ガスのバイパス通路を夫々設け、排熱回収ボイラの熱負荷に応じて前記各制御バルブの何れか一個又は複数個の開度を調整することにより、システム出力の熱電比を制御することを発明の基本構成とするものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、ガスタービンと発電機と空気圧縮機と再生器と燃焼器とを一体的に組立てしてガスタービン発電機ユニットとするようにしたものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、排熱回収ボイラの発生蒸気圧を検出することにより熱負荷の変動を検知し、前記検出した発生蒸気圧に基づいて必要な各制御バルブの開度を調整するようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の各実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る小容量のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。
尚、図1では、前記図6の場合と同一の部材についてはこれと同じ参照番号が付されている。
また、図1に示したガスタービンコージェネレーションシステムの基本的な構成は、前記図6に示した従前のシステムとほぼ同一であるため、ここではその詳細説明を省略する。
【0020】
図1を参照して、本実施形態に於いては、排熱回収ボイラ6の発生蒸気S1 の取出口6aから蒸気供給通路13を分岐し、蒸気制御バルブ14を通して発生蒸気S1 の一部S3 を燃焼器4へ供給するようにした点が、従前のシステム構成と異なっている。尚、17は蒸気圧検出センサ、18は制御装置であり、蒸気検出センサ17からの圧力検出信号により制御装置18を介して蒸気制御バルブ14の開度が自動調整される。
【0021】
燃焼用空気Aは圧縮機2により圧縮され、圧縮された燃焼用空気Aは再生器3内で高温タービン排ガスG1 により予熱されたあと、燃焼器4へ供給される。
燃焼器4では、前記予熱された燃焼用空気Aと供給された燃料Fとが混合燃焼をし、発生した高温燃焼ガスによりガスタービン1が回転駆動される。
また、ガスタービン1内で断熱膨張をした高温のタービン排ガスG1 は高温タービン排ガス通路9を経て再生器3側へ送られ、圧縮空気Aと熱交換をしたあと、タービン排ガス通路12を経て排熱回収ボイラ6へ流入し、ここで排熱回収が行なわれることにより、蒸気S1 が生成される。
【0022】
前記蒸気供給通路13へ分流される蒸気S3 の流量は、熱負荷8の増・減に応じて蒸気制御バルブ14の開度を調整することにより連続的に制御されており、これによって発電機5の電気出力Peと排熱回収ボイラ6の熱出力Teの熱電比Q(Te/Pe=Q)が調整され、システム出力の熱電比Qが現実の電力需要Pe′と熱需要Te′の比Q′(熱電需要比Q′=Te′/Pe′)に近づけられる。
【0023】
即ち、熱負荷8側の蒸気需要が減少すると、発生蒸気S1 の蒸気圧力が上昇する。この蒸気圧力の上昇は蒸気圧検出センサ17で検出され、制御装置18へ入力されると共に、制御装置18からは蒸気制御バルブ14へバルブ開方向の制御信号が発信され、蒸気制御バルブ14の開度が高められる。
これにより、燃焼器4へ供給される蒸気S3 の流量が増大し、ガスタービン1の出力(即ち発電機出力)が増大すると共に、蒸気負荷8への蒸気S2 の供給量が減少して、システム出力の熱電比Qが減少方向に調整される。
【0024】
また、逆に熱負荷8の蒸気需要が増大すると、発生蒸気S1 の蒸気圧が減少する。蒸気圧検出センサ17からの蒸気圧信号が低下すると、制御装置18から蒸気制御バルブ14へバルブ閉方向の制御信号が発信され、蒸気圧制御バルブ14の開度を減少させる。これにより、熱負荷8への蒸気S2 の供給量が増大し、システム出力の熱電比Qが増大方向に調整される。
【0025】
図2は、本発明の第2実施形態を示すものであり、前記図1の第1実施形態に於ける蒸気制御バルブ14の開度調整による熱電比Qの制御の他に、再生器3に於ける排熱回収量の調整による熱電比Qの制御を設ける構成としたものである。
即ち、第2実施形態に於いては、再生器3にガスタービン1から再生器3へ流入する高温タービン排ガスG1 のバイパス通路10を設けると共に、このバイパス通路10にタービン排ガス制御弁11を介設するようにしており、タービン排ガス制御弁11の開度を熱負荷Te′の変動に応じて制御することにより、再生器3での熱回収量を調整してシステム出力の熱電比Qを調整する機能を、前記図1の本発明の第1実施形態に付加したものである。
尚、このタービン排ガス制御弁11の開度調整による熱電比Qの制御は、前記蒸気制御バルブ14の開度制御による熱電比Qの制御と同時に並列的に行なってもよく、或いは蒸気制御バルブ14の制御とは別個に、タービン排ガス制御弁11の開度調整だけを単独で行なうようにしてもよい。
【0026】
図2を参照して、ガスタービン1内で断熱膨張をした高温のタービン排ガスG1 は、高温タービン排ガス通路9を経て再生器3側へ送られ、その一部G1bはバイパス通路10へ、また残部G1aは再生器3内へ流入する。
前記再生器3内へ流入した高温タービン排ガスG1aは圧縮空気Aと熱交換をしたあと、タービン排ガス通路12を経て排熱回収ボイラ6側へ導出され、バイパス通路10を通して分流された前記高温タービン排ガスG1bと合流して排熱回収ボイラ6へ流入し、ここで排熱回収が行なわれ、蒸気S1 が生成される。
【0027】
前記バイパス通路10へ分流される高温タービン排ガスG1bの流量は、熱負荷8の増・減に応じてタービン排ガス制御バルブ11の開度を調整することにより制御される。
例えば、今熱負荷8の熱需要Te′が少ない場合には、タービン排ガス制御バルブ11の開度を下げ(バルブを絞る)、高温ガスタービン排ガスG1bの流量を減少させて排熱回収ボイラ6への熱入力を減少させることにより、前記システム出力の熱電比Qを下降させる。尚、燃焼空気Aの温度は再生器3内へ流入する高温タービン排ガスG1aの流量が増すために上昇し、これによって発電機5の発電効率が若干上昇することになる。
逆に、熱負荷8の熱需要Te′が増加した場合には、タービン排ガス制御バルブ11の開度を上げ(バルブを開放する)、高温ガスタービン排ガスG1bの流量を増加することにより排熱回収ボイラ6への熱入力を高め、前記熱電比Q(Q=Te/Pe)を高める。
【0028】
図3は本発明の第3実施形態に係る小容量のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。この第3実施形態に於いては、前記図1に示した第1実施形態の蒸気制御バルブ14の開度調整によるシステム出力の熱電比Qの制御の他に、圧縮空気流Aによる再生器3での排熱回収量を調整することによるシステム出力の熱電比制御を設ける構成としたものである。
即ち、この第3実施形態に於いては、図3に示す如く、再生器3に、圧縮機2から流出して再生器3側へ流入する圧縮空気Aのバイパス通路15を設けると共に、このバイパス通路15に制御バルブ16を介設する構成としており、圧縮機2から流出した燃焼用空気Aの一部A2 はバイパス通路A2 を通して直接燃焼器4へ供給され、また燃焼用空気Aの残部A1 は、再生器3内で予熱されたあと、燃焼器4へ供給される。
【0029】
従って、今、熱負荷8の熱需要Te′が増大したとすると、空気制御バルブ16の開度を上げてバイパス空気流A2 の流量を増す。これにより再生器3へ流入する燃焼用空気A1 の流量が減少し、再生器3に於ける高温タービン排ガスG1 からの熱回収量が低下する。その結果、再生器3から排出されるタービン排ガスG2 の温度が上昇し、排熱回収ボイラ6の熱出力Te′が増大する。
【0030】
一方、燃焼器4へ供給する燃焼用空気Aの温度が低下することにより、ガスタービン1の効率は若干低下することになるものの大きな出力低下を来たすことはない。その結果、システム出力の熱電比Q(Te/Pe)は増大し、現実の電力負荷Pe′と熱負荷Te′との熱電需要比Q′(Te′/Pe′)にマッチした熱電比Qでもって、ガスタービンコージェネレーションシステムは高効率で運転されることになる。
【0031】
尚、熱負荷8の熱負荷Te′が減少した場合には、前述とは逆に制御バルブ16の開度を下げ、再生器3に於ける燃焼用空気A1 による熱回収量を増加する。これにより、前記熱電比Qが減少し、実際の電力負荷Pe′と熱負荷Te′との熱電需要比Q′=Te′/Pe′にマッチした最適の熱電比Qでもって、システムの運転を行なうことができる。
【0032】
この空気制御バルブ16の開度調整によるシステム熱電比Qの制御は、前記蒸気制御バルブ14の開度調整による熱電比制御と同時に並列的に行なっても、或いは蒸気制御バルブ14の開度調整とは全く別個に、空気制御バルブ16の開度調整だけを独立して行なってもよい。
また、空気制御バルブ16の開度制御が、排熱回収ボイラ6の発生蒸気S1 の蒸気圧検出信号によって行なわれることは、前記第1実施態様の場合と同様である。
【0033】
図4は、本発明の第4実施形態を示すものであり、前記第2実施形態と第3実施形態とを合体し、より高精度なシステム出力の熱電比Qの制御を可能としたものである。
即ち、図4に示す如く、蒸気制御バルブ14を備えた蒸気供給通路13を通して発生蒸気S1 の一部S1 を燃焼器4へ供給すると共に、再生器3に、タービン排ガス制御バルブ11を備えた高温タービン排ガスG1 のバイパス通路10と、空気制御バルブ16を備えた燃焼用空気Aのバイパス流路15を夫々設け、熱負荷8の変動に応じて何れか1個の制御バルブ又は何れか2個の制御バルブ若しくは3個の制御バルブの開度を適宜に調整することにより、ガスタービンコージェネレーションシステムのシステム出力の熱電比Qを、現実の電力負荷7と熱負荷8との熱電需要比Q′により高精度で、然も円滑に合致させることを可能とするものである。
【0034】
図5は、本発明で使用するガスタービン発電機ユニットUの概要説明図であり、ガスタービン1・空気圧縮機2・再生器3・燃焼器4・発電機5・空気予熱管(通路)2a・高温タービン排ガス管(通路)9・高温タービン排ガス分岐口9a・空気ベアリング19・発電機冷却フィン20・再生器ケーシング21及びタービン排ガス口3c等を一体的に組み付けることにより、ガスタービン発電機ユニットUが形成されている。
また、当該ガスタービン発電機ユニットUは、他の各機器類と共に一つの支持枠体上に乗せられてパッケージケーシング内に収納されており、コンパクトなガスタービンコージェネレーション装置として工場内で量産されたあと、据付場所へ搬送される。
【0035】
【発明の効果】
本発明の請求項1では、蒸気制御バルブを備えた蒸気供給通路を通してガスタービンの燃焼器へ排熱回収ボイラで発生した蒸気の一部を供給すると共に、熱負荷の変動に応じて蒸気制御バルブの開度を調整し、燃焼器への蒸気供給量を制御するようにしている。
これにより、熱負荷への熱出力が調整されると共に燃焼器への蒸気供給によってガスタービン出力即ち発電機出力が増加され、システム出力の熱電比Qが調整される。
【0036】
また、本発明の請求項2〜請求項4では、前記燃焼器への蒸気の供給に加えて、ガスタービンコージェネレーションシステムを構成する再生器に、高温タービン排ガスG1 と燃焼用空気Aの何れか一方又は両方のバイパス通路を設けると共に、当該バイパス通路に設けたタービン排ガス制御バルブや空気制御バルブを熱負荷の変動に応じて適宜に調整するようにしている。その結果、システム出力の熱電比Qを負荷側の実際の熱電需要比Q′により高精度に、しかも円滑に合致させることができる。
これにより、従前のこの種ガスタービンコージェネレーションシステムのように、システム出力の熱電比Qと負荷側の熱電需要比Q′との間に差異を生じて熱の余剰や熱の不足を生ずることが皆無となり、ガスタービンコージェネレーションシステムを常に最適のシステム出力の熱電比でもって高効率運転することが可能となる。
【0037】
更に、本発明では燃焼器へ蒸気を供給することにより、大容量のガスタービン発電機の発電効率(約35%)に比較して相当に低い小容量ガスタービン発電機の発電効率(約25%)を、約30%にまで向上させる。
本発明は上述の通り優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る小容量のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る小容量のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る小容量のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る小容量のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。
【図5】本発明で使用するガスタービン発電機ユニットの概要説明図である。
【図6】従前のガスタービンコージェネレーションシステムのブロック構成図である。
【符号の説明】
1はガスタービン、2は圧縮機、3は再生器、3a・3bは熱交換管、3cはタービン排ガス出口、4は燃焼器、5は発電機、6は排熱回収ボイラ、6aは蒸気取出口、7は電力負荷、8は熱負荷、9は高温タービン排ガス通路、9aは高温タービン排ガス分岐口、10は高温タービン排ガスG1 のバイパス通路、11はタービン排ガス制御バルブ、12はタービン排ガス通路、13は蒸気供給通路、14は蒸気制御バルブ、15は燃焼用空気のバイパス通路、16は空気制御バルブ、17は蒸気圧検出センサ、18は制御装置、19は空気ベアリング、20は発電機冷却フィン、21は再生器ケーシング、Uはガスタービン発電機ユニット、Fは燃料ガス、Aは燃焼用空気、G1 は高温タービン排ガス、G2 はタービン排ガス、G0 は排ガス、S1 は発生蒸気、S2 は熱負荷への供給蒸気、S3 は燃焼器への供給蒸気、Peは発電機側の電気出力、Teは排熱回収ボイラの熱出力、Te′は熱負荷の熱需要、Pe′は電力負荷の電力需要、Qは熱電比(Te/Pe)、Q′は熱電需要比(Te′/Pe′)。
Claims (4)
- ガスタービンと発電機と圧縮機と再生器と燃焼器と排熱回収ボイラとを備え、ガスタービンからの高温タービン排ガスを再生器を経て排熱回収ボイラへ供給する構成の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに於いて、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気の一部を燃焼器へ供給する蒸気制御バルブを備えた蒸気供給通路を設けると共に、前記再生器にタービン排ガス制御バルブを備えた高温タービン排ガスのバイパス通路を設け、排熱回収ボイラの熱負荷に応じて蒸気制御バルブとタービン排ガス制御バルブの何れか一方又は両方の開度を調整することにより、システム出力の熱電比を制御することを特徴とする小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの熱電比制御方法。
- ガスタービンと発電機と圧縮機と再生器と燃焼器と排熱回収ボイラとを備え、ガスタービンからの高温タービン排ガスを再生器を経て排熱回収ボイラへ供給すると共に、圧縮機からの燃焼用空気を再生器を経て燃焼器へ供給する構成の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムに於いて、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気の一部を燃焼器へ供給する蒸気制御バルブを備えた蒸気供給通路を設けると共に、前記再生器にタービン排ガス制御バルブを備えた高温排ガスのバイパス通路を夫々設け、排熱回収ボイラの熱負荷に応じて前記各制御バルブの何れか一個又は複数個の開度を調整することにより、システム出力の熱電比を制御することを特徴とする小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの熱電比制御方法。
- ガスタービンと発電機と空気圧縮機と再生器と燃焼器とを一体的に組立てしてガスタービン発電機ユニットとするようにした請求項1又は請求項2に記載の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの熱電比制御方法。
- 排熱回収ボイラの発生蒸気圧を検出することにより熱負荷の変動を検知し、前記検出した発生蒸気圧に基づいて必要な各制御バルブの開度を調整するようにした請求項1又は請求項2に記載の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムの熱電比制御方法。
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