JP3783837B2 - 蒸発燃料処理系のリーク判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内に発生した蒸発燃料を、キャニスタに一時的に貯留し、吸気系に適宜供給する内燃機関の蒸発燃料処理系のリークの有無を判定する蒸発燃料処理系のリーク判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のリーク判定装置として、例えば特開平9−291854号公報に記載されたものが知られている。この蒸発燃料処理系は、キャニスタ、燃料タンク、チャージ通路およびパージ通路などで構成されている。このキャニスタは、チャージ通路を介して燃料タンクに接続され、パージ通路を介して内燃機関の吸気管に接続されている。チャージ通路には、圧力センサが設けられており、この圧力センサは、チャージ通路内の圧力(この圧力は定常状態では、燃料タンク内の圧力にほぼ等しいので、以下「タンク内圧」という)を検出する。また、チャージ通路のバイパス通路には、これを開閉するバイパス弁が設けられている。さらに、キャニスタには、大気側に開口する大気通路が接続されており、この大気通路には、これを開閉するベントシャット弁が設けられている。また、パージ通路には、これを開閉するパージ制御弁が設けられている。
【0003】
このリーク判定装置は、以下に述べるように、減圧モード処理およびリークチェックモード処理を順に実行することにより、上記蒸発燃料処理系のリークの有無を判定する。まず、減圧モード処理において、バイパス弁およびパージ制御弁を開放するとともに、ベントシャット弁を閉鎖することにより、タンク内圧が所定負圧になるまで蒸発燃料処理系内を減圧する。
【0004】
次いで、リークチェックモード処理において、バイパス弁、パージ制御弁およびベントシャット弁を閉鎖することにより、蒸発燃料処理系を所定時間、密閉状態に保持するとともに、この密閉保持中、タンク内圧の変化をモニタする。そして、このモニタ中にタンク内圧の変化が所定値以上になったときには、リークがあると判定する。一方、モニタ中にタンク内圧の変化が所定値未満であるときには、リークがないと判定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のリーク判定装置おいては、例えば燃料タンク内の燃料量が少ない状態で車両が揺れた場合や、外気温が高い場合に、燃料タンク内の蒸発燃料量が増大し、タンク内圧が短時間で上昇することにより、リーク判定を正確に行うことができなくなることがある。すなわち、リークチェックモード処理は、所定時間内におけるタンク内圧の変化をチェックしているにすぎないので、この処理中に、上述した様々な原因によりタンク内圧が一時的に上昇したときには、リークがないにもかかわらず、リークがあると誤判定されるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、燃料タンク内の蒸発燃料量の増大などにより、蒸発燃料処理系内の圧力が一時的に上昇している場合でも、圧力上昇による影響を排除しながら、リーク判定を正確に行うことができる蒸発燃料処理系のリーク判定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、燃料タンク21内に発生した蒸発燃料を、キャニスタ24で一時的に吸着し、パージ通路25を介して内燃機関3の吸気系4に供給する蒸発燃料処理系20のリーク判定装置1であって、蒸発燃料処理系20内の圧力(タンク内圧PTANK)を検出する圧力検出手段(圧力センサ26)と、吸気系4の負圧を導入することにより、検出された蒸発燃料処理系20内の圧力(タンク内圧PTANK)が所定負圧POBJになるまで蒸発燃料処理系20内を一次減圧する一次減圧手段(ECU2、チャージバイパス弁31、パージ制御弁33、ステップ3)と、一次減圧手段による一次減圧の終了後、一次減圧に引き続いて、吸気系4の負圧を所定の一定の負圧導入流量Qで蒸発燃料処理系20内に導入することにより、蒸発燃料処理系20内を二次減圧する二次減圧手段(ECU2、チャージバイパス弁31、パージバイパス弁34、ジェット35、ステップ6)と、二次減圧手段による二次減圧中に検出された蒸発燃料処理系20内の圧力(初期タンク内圧PTANK1、最終タンク内圧PTANK2)に基づき、蒸発燃料処理系20のリークの有無を判定するリーク判定手段(ECU2、ステップ11)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この蒸発燃料処理系のリーク判定装置によれば、リーク判定の際に、まず、吸気系の負圧を導入することにより、蒸発燃料処理系内の圧力を所定負圧まで一次減圧する。次に、この一次減圧の終了後、一次減圧に引き続いて、吸気系の負圧を所定の一定の負圧導入流量で蒸発燃料処理系内に導入することにより、蒸発燃料処理系内を二次減圧するとともに、この二次減圧中に検出された蒸発燃料処理系の圧力に基づき、蒸発燃料処理系のリークの有無を判定する。このように、本発明によれば、一次減圧に引き続いて行われる二次減圧中、蒸発燃料処理系内に負圧を導入しながら、その圧力を検出するので、二次減圧中に検出される蒸発燃料処理系内の圧力は、リークによる圧力上昇分と、負圧導入による圧力低下分とが相殺された値を表す。したがって、このような蒸発燃料処理系内の圧力に基づき、蒸発燃料処理系のリーク判定を行うことができる。
【0009】
また、二次減圧中、蒸発燃料処理系内への負圧導入を継続しながら、その圧力を検出するので、燃料タンク内の蒸発燃料量の増大などによって、蒸発燃料処理系内の圧力が一時的に上昇したとしても、そのような状態を解消しながら、リーク判定を行うことができる。その結果、リーク以外を原因とする一時的な圧力上昇の影響を排除しながら、蒸発燃料処理系のリークの有無を正確に判定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る蒸発燃料処理系のリーク判定装置について説明する。図1は、本実施形態のリーク判定装置を適用した蒸発燃料処理系、およびこれを備えた内燃機関の概略構成を示している。このリーク判定装置1は、内燃機関3(以下「エンジン3」という)の蒸発燃料処理系20のリークの有無を判定するものであり、ECU2(一次減圧手段、二次減圧手段、リーク判定手段)を備えている。これらの蒸発燃料処理系20およびECU2の詳細については後述する。
【0011】
このエンジン3は、ガソリンエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。エンジン3の本体には、エンジン回転数センサ12が取り付けられており、このエンジン回転数センサ12は、エンジン回転数NEを検出し、その検出信号をECU2に送る。
【0012】
また、エンジン3の吸気系4は、吸気管5およびスロットルバルブ6などで構成されている。この吸気管5のスロットルバルブ6よりも下流側の部分には、吸気管内絶対圧センサ13が取り付けられている。この吸気管内絶対圧センサ13は、吸気管5内の吸気管内絶対圧PBAを検出し、その検出信号をECU2に送る。
【0013】
さらに、吸気管5の吸気管内絶対圧センサ13よりも下流側の部分には、インジェクタ(燃料噴射弁)7が、図示しない吸気ポートに臨むように取り付けられている。このインジェクタ7の開弁時間である燃料噴射時間TOUTは、ECU2によって制御される。また、インジェクタ7は、燃料供給管8を介して燃料タンク21に接続されている。この燃料供給管8の途中には、インジェクタ7に燃料を圧送する燃料ポンプ9が設けられている。
【0014】
一方、エンジン3の排気管10の触媒装置11よりも上流側の部分には、O2センサ14が取り付けられている。このO2センサ14は、触媒装置11の上流側の排気ガス中の酸素濃度を検出し、その酸素濃度に基づく検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このO2センサ14の検出信号に基づき、前述した燃料噴射時間TOUTの算出に用いる空燃比補正係数KO2を求める。
【0015】
さらに、前述した車両には、車速センサ15が設けられている。この車速センサ15は、車速VPを検出し、その検出信号をECU2に送る。
【0016】
次に、前述した蒸発燃料処理系20について説明する。この蒸発燃料処理系20は、燃料タンク21内で発生した蒸発燃料を、キャニスタ24に一時的に貯留し、吸気管5内に適宜放出するものである。蒸発燃料処理系20は、燃料タンク21、チャージ通路22、給油時用チャージ通路23、キャニスタ24およびパージ通路25などで構成されている。
【0017】
燃料タンク21は、チャージ通路22および給油時用チャージ通路23を介して、キャニスタ24に接続されている。このチャージ通路22は、燃料タンク21内に発生した蒸発燃料をキャニスタ24に送るためのものである。チャージ通路22の燃料タンク21に近い部分には、圧力センサ26(圧力検出手段)が配置されている。この圧力センサ26は、例えば圧電素子で構成され、チャージ通路22内の圧力を検出し、その検出信号をECU2に出力する。このチャージ通路22内の圧力は、通常は燃料タンク21内の圧力にほぼ等しいので、以下、タンク内圧PTANKという。
【0018】
また、チャージ通路22の圧力センサ26とキャニスタ24との間には、2方向弁27が設けられている。この2方向弁27は、いずれもダイアフラム式の正圧弁および負圧弁を組み合わせた機械式弁で構成されており、この正圧弁は、タンク内圧PTANKが大気圧よりも所定値分、高くなったときに開弁する。この正圧弁の開弁により、燃料タンク21内の蒸発燃料がキャニスタ24に送られる。また、負圧弁は、タンク内圧PTANKがキャニスタ24側の圧力よりも所定値分、低くなったときに開弁するものであり、この負圧弁の開弁により、キャニスタ21に貯えられていた蒸発燃料が燃料タンク21に戻される。
【0019】
さらに、チャージ通路22には、チャージバイパス通路28が設けられている。このチャージバイパス通路28は、2方向弁27をバイパスするものであり、チャージ通路22の2方向弁27よりもキャニスタ24側の部分と、圧力センサ26側の部分とに接続されている。このチャージバイパス通路28の途中には、チャージバイパス弁31(一次減圧手段、二次減圧手段)が設けられている。このチャージバイパス弁31は、常閉タイプの電磁弁で構成されており、通常はチャージバイパス通路28を閉鎖し、ECU2によって駆動されたときに開弁し、チャージバイパス通路28を開放する。
【0020】
また、前述した給油時用チャージ通路23(一部のみ図示)は、燃料タンク21内に給油時に特に発生する多量の蒸発燃料をキャニスタ24に送るためのものであり、チャージ通路22よりも大きな口径を有している。この給油時用チャージ通路23の途中には、これを開閉するダイヤフラム弁23aが設けられている。このダイヤフラム弁23aは、給油時以外は閉弁しており、給油時に開弁することにより、蒸発燃料を給油時用チャージ通路23を介してキャニスタ24に送る。
【0021】
さらに、燃料タンク21には、フロート弁21a,21bが設けられている。これらのフロート弁21a,21bはそれぞれ、チャージ通路22および給油時用チャージ通路23の燃料タンク21側の開口を開閉するものであり、通常は両通路22,23の開口を開放する一方、燃料タンク21が揺れたときや満タン状態のときなどに、両通路22,23の開口を閉鎖することにより、燃料が両通路22,23側に流れ込むのを阻止する。
【0022】
一方、キャニスタ24は、活性炭を内蔵しており、この活性炭により蒸発燃料を吸着する。また、キャニスタ24には、大気側に開口する大気通路29が接続されており、この大気通路29には、これを開閉するベントシャット弁32が設けられている。このベントシャット弁32は、常開タイプの電磁弁で構成されており、通常は大気通路29を開放状態に保持するとともに、ECU2によって駆動されることにより、大気通路29を閉鎖する。
【0023】
また、前述したパージ通路25の途中には、これを開閉するパージ制御弁33(一次減圧手段)が設けられている。このパージ制御弁33は、その開度がECU2の駆動信号のデューティ比に応じて連続的に変化する電磁弁で構成されている。上記ベントシャット弁32が開弁状態のときに、このパージ制御弁33が開弁することにより、キャニスタ24により吸着された蒸発燃料が、吸気管5内の負圧によって吸気管5に送り込まれる。ECU2は、パージ制御時に、このパージ制御弁33の開度をデューティ制御することにより、キャニスタ24から吸気管5に送り込まれる蒸発燃料の流量、すなわちパージ流量を制御する。
【0024】
さらに、パージ通路25には、前述したチャージバイパス通路28と同様のパージバイパス通路30が接続されている。このパージバイパス通路30は、パージ制御弁33をバイパスするものであり、パージ通路25のパージ制御弁33よりもキャニスタ24側の部分と、吸気管5側の部分とに接続されている。このパージバイパス通路30の途中には、キャニスタ24側から順にパージバイパス弁34およびジェット35が取り付けられている。
【0025】
このパージバイパス弁34(二次減圧手段)は、常閉タイプの電磁弁で構成されており、通常はパージバイパス通路30を閉鎖状態に保持するとともに、ECU2によって駆動されることにより、パージバイパス通路30を開放する。このパージバイパス弁34の開弁により、吸気管5の負圧が蒸発燃料処理系20内に導入されることで、後述する二次減圧が実行される。また、ジェット35(二次減圧手段)は、所定口径のオリフィスであり、二次減圧中の負圧の導入流量を所定の一定の流量Qに制限する。この流量Qは、二次減圧中において、蒸発燃料処理系20にリークがないときに、タンク内圧PTANKが緩やかに低下するような値(例えば3リットル/分)に設定されている。
【0026】
一方、ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述したセンサ12〜15,26の検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。CPUは、これらの入力信号に応じて、エンジン3の運転状態を判別し、ROMに予め記憶された制御プログラムやRAMに記憶されたデータなどに従い、前述した弁31〜34を駆動するとともに、以下に述べるリーク判定処理を実行する。
【0027】
以下、図2を参照しながら、ECU2が実行する蒸発燃料処理系20のリーク判定処理について説明する。同図は、本処理のプログラムを示すフローチャートである。この処理は、タイマ設定により、所定時間(例えば80msec)ごとに割り込み実行されるとともに、リーク判定(後述するステップ14の判定)の実行後は、本処理は実行されない。すなわち、本処理によるリーク判定は、エンジン3の運転開始から終了までの間に1回のみ実行される。
【0028】
まず、ステップ1(図ではS1と略す。以下同様)において、モニター条件が成立しているか否かを判別する。このモニター条件は、リーク判定処理の実行条件が成立しているか否かを判別するためのものであり、例えば以下の条件(1)〜(4)がいずれも成立しているときに、モニター条件が成立していると判別される。
【0029】
(1)パージ制御弁33が開弁状態で、パージ制御が実行中であること。
(2)エンジン3が所定の定常運転状態にあること(例えば吸気管内絶対圧PBAおよびエンジン回転数NEなどにより判定される)。
(3)車速VPの変化が小さいクルージング運転中であること。
(4)空燃比補正係数KO2が所定値以上であって、空燃比A/Fに対するパージ燃料の影響が小さい状態であること。
【0030】
ステップ1の判別結果がNOのとき、すなわち上記(1)〜(4)の条件のうちの少なくとも1つが不成立であるときには、本処理を終了する。
【0031】
一方、ステップ1の判別結果がYESのとき、すなわち上記(1)〜(4)の条件がいずれも成立しているときには、ステップ2に進み、一次減圧実行済みフラグFPOKが「1」であるか否かを判別する。この一次減圧実行済みフラグFPOKは、以下に述べるステップ3〜6の一次減圧を終了したときに「1」にセットされるものである(ステップ7)。
【0032】
本処理を開始した直後は、FPOK=0になっているので、ステップ2の判別結果がNOとなり、ステップ3に進み、蒸発燃料処理系20内の一次減圧を実行する。具体的には、パージバイパス弁34を閉弁状態に保持したままで、ベントシャット弁32を閉弁し、チャージバイパス弁31を開弁するとともに、圧力センサ26が検出したタンク内圧PTANKに基づき、タンク内圧PTANKが所定負圧POBJ(例えば−20hPa)になるように、パージ制御弁33のデューティ比を制御する。これにより、蒸発燃料処理系20内に吸気管5の負圧が導入され、タンク内圧PTANKが所定負圧POBJまで減圧される。この場合、チャージバイパス弁31が開弁状態にあることにより、タンク内圧PTANKは、蒸発燃料処理系20内の圧力を表すものになる。
【0033】
次に、ステップ4に進み、減圧時間が経過したか否かを判別する。この減圧時間は、弁31〜34や圧力センサ26などが正常に動作しており、かつ蒸発燃料処理系20内に多量のリークがなければ、その時間内に上記一次減圧によりタンク内圧PTANKが所定負圧POBJまで確実に低下すると想定される値(例えば15sec)に設定される。この判別結果がNOのとき、すなわち減圧時間が経過していないときには、本処理を終了する。
【0034】
一方、ステップ4の判別結果がYESのとき、すなわち減圧時間が経過したときには、次に、ステップ5に進み、タンク内圧PTANKが上記所定負圧POBJ以下であるか否かを判別する。
【0035】
このステップ5の判別結果がNOのとき、すなわちPTANK>POBJのときには、弁31〜34や圧力センサ26などが正常に動作していないか、または蒸発燃料処理系20内に多量のリークがあることで、蒸発燃料処理系20のリーク判定を正常に行える状態にないとして、リーク判定終了フラグFDONEを「1」にセットして(ステップ8)、本処理を終了する。このリーク判定終了FDONEが「1」にセットされることにより、それ以降は、本処理は実行されず、すなわちリーク判定は行われない。
【0036】
一方、ステップ5の判別結果がYESのとき、すなわちPTANK≦POBJのときには、ステップ6に進み、一次減圧を終了するとともに、これに続いて、二次減圧を開始する。具体的には、ベントシャット弁32を閉弁状態に、チャージバイパス弁31を開弁状態にそれぞれ保持したままで、パージ制御弁33を閉弁するとともに、パージバイパス弁34を開弁する。これにより、蒸発燃料処理系20がパージバイパス通路30のみを介して吸気管5に連通し、吸気管5内の負圧が、ジェット35を介して前記一定の流量Qで蒸発燃料処理系20内に導入される。
【0037】
次に、ステップ7に進み、一次減圧実行済みフラグFPOKを「1」にセットし、ステップ9に進む。これにより、本処理の次回以降のループでは、前記ステップ2の判別結果がYESとなり、その場合には、ステップ3〜7をスキップし、同様にステップ9に進む。
【0038】
このステップ9においては、リークチェック時間が経過したか否かを判別する。このリークチェック時間は、例えば二次減圧開始後、リークの有無によるタンク内圧PTANKの変動傾向が明確に現れるのに十分な長さ(例えば30sec)に設定される。この判別結果がNOのとき、すなわちリークチェック時間が経過していないときには、そのまま本処理を終了する。
【0039】
一方、ステップ9の判別結果がYESのとき、すなわちリークチェック時間が経過したときには、ステップ10に進み、二次減圧を終了するとともに、タンク内圧PTANKの変化量ΔPを算出する。この二次減圧の終了動作は、パージ制御弁33を閉弁状態に保持したままで、チャージバイパス弁31およびパージバイパス弁34を閉弁し、ベントシャット弁32を開弁することにより行われる。
【0040】
また、タンク内圧PTANKの変化量ΔPは、例えばリークチェック時間の計時終了および計時開始時点、すなわち二次減圧の終了時点および開始時点(図3の時刻t2および時刻t1)でそれぞれ検出された最終タンク内圧PTANK2と初期タンク内圧PTANK1との差圧(PTANK2−PTANK1)として算出される。なお、この場合、パージ制御弁33のデューティ比制御により、通常、PTANK1=POBJとなる。
【0041】
次に、ステップ11に進み、上記ステップ10で算出した変化量ΔPが所定のリーク判定値ΔPREF(例えば5hPa)より小さいか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわちΔP<ΔPREFのときには、タンク内圧PTANKが緩やかに低下しているか、またはその上昇度合が小さく、蒸発燃料処理系20にリークがないと判定する。次いで、それを表すために、リーク判定フラグFLEAKを「0」にセットし(ステップ12)、次に、一次減圧実行済みフラグFPOKを「0」にセットして(ステップ14)、本処理を終了する。
【0042】
一方、ステップ11の判別結果がNOのとき、すなわちΔP≧ΔPREFのときには、タンク内圧PTANKの上昇度合が大きく、蒸発燃料処理系20にリークがあると判定する。次に、ステップ13に進み、それを表すために、リーク判定フラグFLEAKを「1」にセットした後、上記ステップ14を実行し、本処理を終了する。
【0043】
次に、以上のリーク判定処理を実行した場合に得られるタンク内圧PTANKの推移の一例を、図3に示すタイムチャートを参照しながら説明する。図中の実線および破線で示す曲線は、蒸発燃料処理系20にリークがない場合およびある場合のタンク内圧PTANKの推移をそれぞれ示している。
【0044】
まず、一次減圧が開始されると(時刻t0)、タンク内圧PTANKが低下する。その後、タンク内圧PTANKが所定負圧POBJまで低下し、減圧時間が経過した時点(時刻t1)で、これに同期して、パージ制御弁33が閉弁され、チャージバイパス弁34が開弁されることにより、一次減圧が終了し、二次減圧が開始される。その後、リークチェック時間が終了した時点(時刻t2)で、二次減圧が終了し、最終タンク内圧PTANK2と初期タンク内圧PTANK1との差圧である変動量ΔPが算出され、これとリーク判定値ΔPREFを比較することにより、リーク判定が行われる。
【0045】
この場合、蒸発燃料処理系20にリークがないときには、図中に実線で示すように、二次減圧中、タンク内圧PTANKが緩やかに低下するので、変動量ΔPが負の値となり、図2のステップ11の判別結果がYES(ΔP<ΔPREF)となる。これにより、蒸発燃料処理系20にリークがないと判定される。一方、蒸発燃料処理系20にリークがあるときには、図中に破線で示すように、タンク内圧PTANKが緩やかに上昇し、ΔP≧ΔPREFとなることにより、蒸発燃料処理系20にリークがあると判定される。
【0046】
以上のように、本実施形態のリーク判定装置1によれば、二次減圧中に、吸気系4の負圧を蒸発燃料処理系20内に導入しながら、タンク内圧PTANKを検出するとともに、二次減圧中の最終タンク内圧PTANK2と初期タンク内圧PTANK1との差圧である変動量ΔPを算出する。この変動量ΔPは、リークによる圧力上昇分と、負圧導入による圧力低下分とが相殺された最終的な圧力値を表す。したがって、このような変動量ΔPを所定値ΔPREFと比較することにより、蒸発燃料処理系20のリークの有無を判定することができる。
【0047】
また、二次減圧を継続しながら、タンク内圧PTANKを検出するので、燃料タンク21内の蒸発燃料量の増大などによって、タンク内圧PTANKが一時的に上昇したとしても、そのような状態を解消しながら、リーク判定を行うことができる。その結果、リーク以外を原因とする一時的な圧力上昇の影響を排除しながら、蒸発燃料処理系20のリークの有無を正確に判定することができる。
【0048】
なお、前述した実施形態においては、タンク内圧PTANKの変化量ΔPを、二次減圧中の最終タンク内圧PTANK2と初期タンク内圧PTANK1との差圧として算出したが、二次減圧中のタンク内圧PTANKの変化状態を表すパラメータとして、この変化量ΔP以外の適当なパラメータを採用することが可能である。例えば、変化量ΔPを、二次減圧中の複数の時点でそれぞれ検出した複数のタンク内圧PTANKと、初期タンク内圧PTANK1との差の累積値として算出してもよく、あるいは、初期タンク内圧PTANK1を基準とする二次減圧中のタンク内圧PTANKの積分値として算出してもよい。
【0049】
さらに、パージバイパス弁34およびジェット35に代えて、パージバイパス通路30の流量をジェット35と同じ流量Qに制限する流量調整弁を用いてもよい。また、パージバイパス通路30、パージバイパス弁34およびジェット35を省略するとともに、パージ制御弁33に代えて、パージ通路25の流量をジェット35による流量Qからパージ制御弁33で制御される流量にわたる範囲で精度良く制御可能な制御弁を用いることにより、パージ制御や二次減圧を実行するようにしてもよい。また、パージバイパス通路30をパージ通路25とは別個に設け、これにより、二次減圧中に吸気管5とキャニスタ24との間を連通させるように構成してもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の蒸発燃料処理系のリーク判定処理によれば、燃料タンク内の蒸発燃料量の増大などにより、蒸発燃料処理系内の圧力が一時的に上昇している場合でも、圧力上昇による影響を排除しながら、リーク判定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るリーク判定装置を適用した蒸発燃料処理系およびこれを備えた内燃機関の概略構成図である。
【図2】リーク判定装置が実行するリーク判定処理のフローチャートである。
【図3】リーク判定処理を実行したときのタンク内圧PTANKの推移の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 リーク判定装置
2 ECU(一次減圧手段、二次減圧手段、リーク判定手段)
3 内燃機関
4 吸気系
20 蒸発燃料処理系
21 燃料タンク
24 キャニスタ
25 パージ通路
26 圧力センサ(圧力検出手段)
31 チャージバイパス弁(一次減圧手段、二次減圧手段)
33 パージ制御弁(一次減圧手段)
34 パージバイパス弁(二次減圧手段)
35 ジェット(二次減圧手段)
PTANK タンク内圧(蒸発燃料処理系内の圧力)
PTANK1 初期タンク内圧(負圧導入中に検出された圧力)
PTANK2 最終タンク内圧(負圧導入中に検出された圧力)
POBJ 所定負圧
Q 所定の一定の負圧導入流量
Claims (1)
- 燃料タンク内に発生した蒸発燃料を、キャニスタで一時的に吸着し、パージ通路を介して内燃機関の吸気系に供給する蒸発燃料処理系のリーク判定装置であって、
前記蒸発燃料処理系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記吸気系の負圧を導入することにより、前記検出された蒸発燃料処理系内の圧力が所定負圧になるまで前記蒸発燃料処理系内を一次減圧する一次減圧手段と、
当該一次減圧手段による一次減圧の終了後、当該一次減圧に引き続いて、前記吸気系の負圧を所定の一定の負圧導入流量で前記蒸発燃料処理系内に導入することにより、前記蒸発燃料処理系内を二次減圧する二次減圧手段と、
当該二次減圧手段による二次減圧中に検出された前記蒸発燃料処理系内の圧力に基づき、前記蒸発燃料処理系のリークの有無を判定するリーク判定手段と、
を備えることを特徴とする蒸発燃料処理系のリーク判定装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000171838A JP3783837B2 (ja) | 2000-06-08 | 2000-06-08 | 蒸発燃料処理系のリーク判定装置 |
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