JP3782306B2 - 取鍋摺動開閉装置の詰砂 - Google Patents
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Description
[技術分野]
本発明は、製鋼用取鍋などの出湯に用いられるスライディングノズルまたはロータリーノズルなどの取鍋摺動開閉装置の詰砂に関する。
[背景技術]
溶鋼を受鋼する取鍋は、転炉精錬の後に行われる炉外精錬および連続鋳造などに用いられ、その底部には溶鋼出鋼用の摺動開閉装置(スライディングノズルまたはロータリーノズル)が設けられている。このような摺動開閉装置を備えた取鍋では、摺動開閉装置のノズル内で溶鋼が凝固することを防止するために、溶鋼を受鋼する前に摺動開閉装置のノズル内に耐火性の詰砂が充填され、取鍋内に溶鋼が注入された後にノズルを開くと、自然に詰砂が落下し溶鋼が流出する自然開孔により出鋼している。
従来、この種の詰砂としては、一般的にシリカ砂(SiO2:90〜99%)が用いられている。そして、使用状況によってSiO2の純度調整で焼結することを防止したり(特開昭64−48662号)、逆に正長石(K2O・Al2O3・6SiO2)を添加して焼結を生じさせ、溶鋼に接する部分に粘調な皮膜を生成させて溶鋼の浸透を防止したりしている。
しかし、前者では、詰砂が焼結するのを防止しているが、溶鋼の浸透を有効に防止することができないため、取鍋の自然開孔率を大幅に向上させることは期待できない。一方、後者は、通常の操業では使用可能であるが、鋼の高級化に伴って炉外精錬や取鍋等において長時間に亘って高温で処理する場合には、詰砂自身の焼結が進んで強固な皮膜が生成され、そのため自然間孔しないことが多い。自然開孔しなかった場合には、ロングノズルを取外し、下部から酸素を吹き込んで強制的に開孔しなければならず、溶鋼が空気に触れて品質に悪影響を与え、鋳片の格落ちやスクラップとなって多大な損害を生じる。
近年、このような問題を解決するため、黒鉛の持つ焼結阻害性や溶鋼との濡れにくさに着目して、詰砂に鱗状黒鉛や土状黒鉛を添加することが試みられている。しかしながら、使用前のホッパー内および紙袋やコンテナバック内で比重差や黒鉛の滑りやすさから偏析を生じ、実機において期待したほどの性能を発揮するに至っていない。また、ピッチを使用することも検討されているが、揮発分を30〜70%有し、かつ使用中にガスが発生し、さらに偏析も生じ、好ましくない。
これに対して、硅砂、MgOクリンカー、ジルコンサンドなどの詰砂にカーボンブラックを0.05〜5mass%配合することが提案されている(特開平4−84664号公報)。カーボンブラックは、鱗状または土状黒鉛、ピッチ等の配合物に比べ高い残存率を持ち、揮発分が少なく、焼結防止、溶鋼侵入防止特性が優れ、また、比表面積が大きいため、配合した際の分散効果に優れ、偏析を防止することができる。さらに、硅砂への付着性が優れる。このため、カーボンブラックを添加することにより、焼結防止、溶鋼侵入防止等の詰砂として必要な特性に優れたものとなることが期待される。
しかしながら、特開平4−84664号公報に記載された詰砂は、ある程度の効果は得られるものの、炉外精錬(VAD、VOD等)を伴う高温長時間の処理における自然開孔率は十分なものとは言えず、このような過酷な条件においても高い自然開化率が得られる詰砂が要求されている。
一方、シリカ砂よりも融点の高いクロマイト砂も詰砂として用いられている。ただし、クロマイト砂は単独で使用した場合、溶鋼の出鋼時に焼結し、不開孔を生じやすいため、単独で使用されることは少なく、シリカ砂と混合して用いられている。
しかしながら、このようなクロマイト砂とシリカ砂とを混合した詰砂であっても、やはり炉外精錬(VAD、VOD等)を伴う高温長時間処理における自然開孔率は十分なものとはいえない。また、この詰砂は、このような高温長時間の処理の際に、取鍋内のノズル受けレンガ表面に焼結しやすく、そのためノズル受けレンガの酸素洗浄頻度が増加し、ノズル受けの寿命低下、鍋内残鋼による歩留低下を招くおそれがある。
[発明の開示]
本発明の目的は、炉外精錬(VAD、VOD等)を伴う高温長時間の処理においても、高い自然開孔率を得ることができる取鍋摺動開閉装置の詰砂を提供することにある。
本発明の第1の観点によれば、45〜55mass%のジルコン砂、30〜40mass%のクロマイト砂および10〜20mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれら合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したことを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂が提供される。
上記第1の観点の詰砂において、前記カーボンブラックの配合量はジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の合計量の0.05〜1mass%であることが好ましい。また、前記ジルコン砂は粒径100〜300μmの範囲のものが95mass%以上、クロマイト砂は粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径200〜425μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径200〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径300〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれていることが好ましい。さらに、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有することが好ましい。さらにまた、前記ジルコン砂は粒径53μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、前記クロマイト砂も粒径53μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記クロマイト砂は粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記シリカ砂は、粒径106μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、また粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記カーボンブラックが、前記シリカ砂にコーティングされた状態で配合されることが好ましい。
また、本発明の第2の観点によれば、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれていることを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂が提供される。
さらに、本発明の第3の観点によれば、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックが配合され、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれていることを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂が提供される。
上記第2の観点および第3の観点の詰砂において、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有することが好ましい。また、前記クロマイト砂は、粒径106μm以下のものが実質的に存在しないことが好ましく、また粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらに、前記シリカ砂は、粒径300μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、また粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記シリカ砂は、Al2O3の含有量が2mass%以下であり、K2OおよびNa2Oの含有量の和が0.5〜1.2mass%であることが好ましく、また96〜98mass%のSiO2を含むことが好ましい。
また、上記第3の観点の詰砂において、前記カーボンブラックは、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の合計量の0.05〜1mass%であることが好ましい。さらに、前記カーボンブラックは、前記シリカ砂にコーティングされていることが好ましい。さらにまた、出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上の溶鋼に対しては、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の配合割合が、クロマイト砂70〜90mass%、シリカ砂10〜30mass%であることが好ましく、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の溶鋼に対しては、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の配合割合が、クロマイト砂30〜60mass%、シリカ砂40〜70mass%であることが好ましい。
本発明者らは、長時間の炉外精錬を伴う高温長時間の処理においても、高い自然開孔率を維持することができる取鍋摺動開閉装置の詰砂について検討を重ねた。その結果、一定比率のジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂をベースとし、それに対して微量のカーボンブラックを配合することにより優れた特性を得ることができることを見出した。また、所定の粒径分布を有するクロマイト砂およびシリカ砂を所定比率で配合することによっても優れた特性を得ることができること、および、その配合をベースとし、それに対して微量のカーボンブラックを外部添加することにより、より優れた特性を得ることができることを見出した。
すなわち、耐火度が高く、低膨張のジルコン砂に対し、クロマイト砂とシリカ砂を適切な割合で配合することにより、溶融温度は高いが単体で使用した場合焼結しやすいというクロマイト砂の欠点および耐火性の低いシリカ砂の欠点を補うことができ、さらに、カーボンブラックを配合することにより、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止することができるとともに、カーボンブラックの溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することを防止することができる。したがって、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理であっても、極めて高い自然開孔率を得ることができる。
また、適切な粒径分布としたシリカ砂およびクロマイト砂を適切な割合で配合することにより、耐火性が低いというシリカ砂の欠点、および溶融温度は高いが単体で使用した場合に焼結しやすいというクロマイト砂の欠点の両方を補うことができ、これにより高温長時間処理においても高い開孔率を得ることができる。さらに、このようなシリカ砂およびクロマイト砂の配合物にカーボンブラックを適量配合した場合には、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止すること、および、その溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することをより確実に防止することができ、より高温長時間の処理であっても十分に高い開孔率を得ることができる。具体的には、カーボンブラックを添加しない場合には出鋼温度1700℃および溶鋼滞留時間3時間がほぼ限界であるが、カーボンブラックを添加した場合には、出鋼温度1700℃以上または溶鋼滞留時間3時間以上の過酷な条件の処理でも十分に高い開孔率を得ることができる。
以上のような効果は、上述の特開平4−84664号公報に記載された、単に従来詰砂として使用されている珪砂、MgOクリンカー、ジルコンサンドにカーボンブラックを添加した技術では得ることができず、上記本発明の第1の観点のようなジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂を適切な配合割合とし、かつカーボンブラックを配合することによる相乗効果によって、または、上記本発明の第2の観点のようなクロマイト砂およびシリカ砂を適切な配合割合・粒径分布とするか、さらに第3の観点のようなカーボンブラックを配合することによる相乗効果によって初めて奏することができるものである。
上記構成の本発明は、本発明者らのこのような知見に基づいてなされたものである。
[発明の実施の最良の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る取鍋摺動開閉装置の詰砂は、45〜55mass%のジルコン砂、30〜40mass%のクロマイト砂および10〜20m,ass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれら合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したものである。
本実施の形態において、ジルコン砂を45〜55mass%、クロマイト砂を30〜40mass%、シリカ砂を10〜20mass%としたのは、この範囲で配合することにより、溶融温度は高いが単体で使用した場合焼結しやすいというクロマイト砂の欠点および耐火性の低いシリカ砂の欠点を補い、自然開孔率を高いものとできるからである。すなわち、ジルコン砂は2300℃、クロマイト砂は2030℃までの耐火性を有し、シリカ砂の1750℃よりも十分に高く、また、ジルコン砂およびクロマイト砂に10〜20mass%のシリカ砂が配合されることによりクロマイト砂の焼結しやすいという問題が解消されるからである。好ましくはジルコン砂が45〜50mass%、クロマイト砂が35〜40mass%、シリカ砂15〜20mass%である。
カーボンブラックを、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の合計量に対して外部添加で0.05〜5mass%配合することとしたのは、この範囲で配合することにより、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止することができ、かつその溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することを防止することができるからである。
ここで、カーボンブラックの配合量が0.05mass%未満であると、砂粒子同士の結合防止作用が不足し、5mass%を超えるとカーボンの溶鋼へのピックアップ量が多くなりすぎる。したがって、カーボンブラックの配合量を0.05〜5mass%とする。極低炭素鋼の溶製の際に適用する場合には、カーボンの溶鋼へのピックアップ量を極力抑制する必要があり、この場合にはカーボンブラックの配合量を1mass%以下とすることが好ましい。
このように、ジルコン砂に対してクロマイト砂およびシリカ砂を所定の割合で配合してクロマイト砂およびシリカ砂の欠点を補い、さらにカーボンブラックの焼結防止効果および溶鋼侵入防止効果を発揮させることによる相乗効果によって、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理であっても、極めて高い自然開孔率を得ることができる。
カーボンブラックを配合しない場合には、詰砂がノズル受けレンガ表面に焼結しやすい。そのため、ノズル受けの酸素洗浄頻度が増加し、それに伴うノズル受けの寿命低下、または鍋内残鋼による歩留低下を招くおそれがあるが、カーボンブラックを配合することによりこのような問題も解消される。
ジルコン砂は、粒径100〜300μmの範囲のものが95mass%以上、クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径200〜425μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、シリカ砂は粒径200〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径300〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれていることが好ましい。このような粒径分布を有することにより、過剰な焼結層の生成、熱膨張による棚吊り、およびスラグ、地金の浸透を一層有効に防止することができ、つまり焼結性および溶鋼浸透性を一層低くすることができ、自然開孔率を極めて高くすることができる。
このような効果をさらに有効に発揮するためには、ジルコン砂において、粒径53μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、クロマイト砂において、粒径53μm未満のもの、および/または粒径850μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましく、シリカ砂において、粒径106μm未満のもの、および/または粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。これにより高い自然開孔率を得ることができる。
ここで粒径分布は、JISの鋳物砂の粒度試験方法(Z2602)に準じて測定した値である。この方法は、ふるいを粗いほうから呼び寸法順に重ね、一番上すなわち最も目の大きいふるい上に原料を載せ、ロータータップ型ふるい機等のふるい分け機械を使用してふるい分けを行う。
本発明で用いるシリカ砂は、混合均一性をよくするため、シリカ砂として粒径係数を1.4以下のものを使用することが好ましい。粒径係数のより好ましい範囲は1.3〜1である。
なお、ここでいう粒径係数は、砂表面積測定器(ジョージフィッシャー社製)を用いて算出した値である。すなわち、粒径係数は、1g当たりの実際の砂の表面積(比表面積)を、理論的比表面積で割った値で表す。ここで、理論的比表面積とは、砂粒が全て球形であると仮定した場合の比表面積をいう。したがって、粒径係数が1に近いほど球に近い形状である。なお、このように均一混合性の観点よりジルコン砂およびクロマイト砂の粒径係数も1.4以下であることが望ましい。
本実施の形態で使用されるジルコン砂およびクロマイト砂は、特に限定されるものではなく、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造してもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよい。ジルコン砂の成分は一般的にはZrO2を65mass%前後含有する。例えば、ZrO2を66mass%、SiO2を32mass%、Al2O3を0.5mass%程度、Fe2O3を0.1mass%程度、TiO2を0.3mass%程度含有するものが典型例として挙げられる。また、クロマイト砂の成分は、その産地に左右されるが、一般的にはCr2O3を30mass%以上、好ましくは30〜60mass%含有する。例えば、Cr2O3を40〜50mass%、FeOを20〜30mass%、その他、Al2O3を約15mass%程度、MgOを約10mass%程度を含有するものが典型例として挙げられる。このようなクロマイト砂の粒径係数は通常1.4以下である。
一方、シリカ砂も特に限定されるものではなく、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造してもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよい。シリカ砂の成分もその産地に左右されるが、一般的には、SiO2を90mass%以上含有する。天然砂としては、例えば、オーストラリア産のフリーマントル砂、中国産のロイヤルサンド、国産の東北硅砂が挙げられる。なお、シリカ砂には、Al2O3、K2O、Na2O等の物質が含まれていてもよいが、Al2O3は2mass%以下、K2OとNa2Oとの含有量の和は0.5〜1.2mass%程度が望ましい。
ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の品質を一定にするために、磨鉱処理を施した砂を使用してもよい。また、磨鉱処理を施した砂または施さない砂を2種以上混合してもよい。
磨鉱処理には、公知の乾式法、湿式法のいずれも適用することができる。乾式法には、原料砂を高速気流により装置内で上昇させ、衝突板に衝突させることによって、砂粒相互の衝突と摩擦によって磨鉱処理するサンドリクレンマ等のニューマチックスクラバー装置、砂同士の摩擦を利用して磨鉱処理するアジテータミル等の高速撹拌機を用いた方法が挙げられる。一方、湿式法には、羽を回転させたトラフ内の砂粒相互の摩擦によって磨鉱処理するトラフ式等の磨鉱機による方法が挙げられる。
これら乾式法および湿式法の磨鉱処理の中では、湿式法を使用することが好ましい。これは、湿式法を用いることにより、磨鉱処理時の水洗によって所望の粒度より小さい砂を同時に取り除くことができるからである。しかしながら、乾式法であっても水洗装置を併設することにより同様の効果を得ることができる。
また、本発明の詰砂は上記配合割合であれば個々の原料の形態は問わないが、カーボンブラックとしては、適度な粘性のあるもの、具体的には造粒カーボンブラックを用いることが好ましい。これをシリカ砂の表面にコーティングしておき、このようにコーティングされたシリカ砂とクロマイト砂とジルコン砂を均一に混合して用いることが好ましい。これによりカーボンブラックの均一分散を図ることができるとともに、シリカ砂の焼結を一層有効に防止することができる。なお、ここでいうコーティングは、カーボンブラック粒子をシリカ砂粒子の表面に付着させることを意図しており、必ずしもカーボンブラックの層が形成されている必要はない。また、シリカ砂およびジルコン砂にカーボンブラックをコーティングしてもよく、さらには、シリカ砂、クロマイト砂およびジルコン砂にカーボンブラックをコーティングしてもよい。
本発明の第2の実施の形態に係る取鍋摺動開閉装置用の詰砂は、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれている。
本実施の形態において、クロマイト砂を30〜90mass%、シリカ砂を10〜70mass%としたのは、耐火性の低いシリカ砂の欠点および溶融温度は高いが単体で使用した場合に焼結しやすいというクロマイト砂の欠点の両方を補い、自然開孔率を高いものとすることができるからである。すなわち、クロマイト砂は2030℃までの耐火性を有し、シリカ砂の1750℃よりも十分に高く、また、これに10〜70mass%のシリカ砂が配合されることにより、クロマイト砂の焼結しやすいという問題が解消されるからである。
本実施の形態において、クロマイト砂の粒径分布を粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のもが60mass%以上とし、シリカ砂の粒径分布を粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上としたのは、クロマイト砂およびシリカ砂をそれぞれこのような粒径分布とすることにより、過剰な焼結層の生成、熱膨張による棚吊り、およびスラグ・地鉄の浸透を低減することができ、これにより自然開孔率を極めて高くすることができるためである。
以上のように、自然開孔率を高くすることができる粒径分布としたクロマイト砂およびシリカ砂を、さらに所定の割合で配合して両者の欠陥を補うことにより、高温長時間処理が可能となる。
このような効果をさらに有効に発揮させるためには、クロマイト砂においては、粒径106μm未満のもの、および/または、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましく、また、シリカ砂において粒径300μm未満のもの、および/または、粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。このような場合には、より高い自然開孔率を得ることができる。
また、前記第1の実施の形態と同様に、シリカ砂は、混合均一性をよくするため、シリカ砂として粒径係数が1.4以下のものを使用することが好ましい。粒径係数のより好ましい範囲は1.3〜1である。均一混合性の観点よりクロマイト砂の粒径係数も1.4以下であることが望ましい。なお、ここでの粒径分布は、前記第1の実施の形態における粒径分布と同様に、JISの鋳物砂の粒度試験方法(Z2602)に準じて測定した値であり、粒径係数は、前記第1の実施の形態における粒径係数と同様に砂表面積測定器(ジョージフィッシャー社製)を用いて算出した値である。
本実施の形態で使用されるクロマイト砂およびシリカ砂は特に限定されるものではなく、前記第1の実施の形態と同様に、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造したものを用いてもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよく、品質を一定にするために、前述した磨鉱処理を施した砂を使用してもよい。また、磨鉱処理を施した砂または施さない砂を2種以上混合してもよい。
本発明の第3の実施の形態に係る取鍋摺動開閉装置用詰砂は、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックが配合され、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれている。
すなわち、本実施の形態においては上記第2の実施の形態の粒径分布・配合割合としたクロマイト砂およびシリカ砂に、外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したものである。
上記第2の実施の形態の詰砂は、高温長時間処理において優れた特性が得られるものの、出鋼温度1700℃および溶鋼滞留時間3時間がほぼ限界であり、出鋼温度1700℃未満かつ溶鋼滞留時間3時間未満の条件に実質的に限定されるが、このように第2の実施の形態の詰砂にカーボンブラックを添加することにより、カーボンブラックの焼結防止効果および溶鋼侵入防止効果が発揮され、それとクロマイト砂およびシリカ砂の配合量および粒径分布を規定したこととの相乗効果によって、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の処理はもちろんのこと、出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上の処理においても極めて高い自然開孔率を得ることができる。
カーボンブラックをクロマイト砂およびシリカ砂の合計量に対して外部添加で0.05〜5mass%配合することとしたのは、カーボンブラックをこの範囲で配合することにより、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止すること、および、その溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することをより確実に防止することができ、より高温長時間での処理、具体的には出鋼温度が1700℃以上かつ溶鋼滞留時間が3時間以上の処理で、高い自然開孔率が得られるからである。カーボンブラックを添加する場合に、その配合量が0.05mass%未満であると、その結合防止作用を十分に発揮することができず、5mass%を超えるとカーボンの溶鋼へのピックアップ量が多くなり、成分規格を外れることになる。極低炭素鋼の溶製の際に適用する場合には、カーボンの溶鋼へのピックアップ量を極力抑制する必要があり、この場合にはカーボンブラックの配合量を1mass%以下とすることが好ましい。
また、カーボンブラックを配合しない場合には、詰砂がノズル受け煉瓦表面に焼結しやすい。そのため、ノズル受けの酸素洗浄頻度が増加し、それに伴うノズル受けの寿命低下、または鍋内残鋼による歩留低下を招くおそれがあるが、カーボンブラックを配合することによりこのような問題も解消される。
このような効果をさらに有効に発揮させるためには、クロマイト砂においては、粒径106μm未満のもの、および/または、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましく、また、シリカ砂において粒径300μm未満のもの、および/または、粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。このような場合には、より高い自然開孔率を得ることができる。
カーボンブラックを添加する場合には、上述したように出鋼温度が1700℃以上、または溶鋼滞留時間が3時間以上の処理に対して使用することが可能であるが、より安全性を高める観点から、出鋼温度および溶鋼滞留時間によって組成を使い分けることが好ましい。具体的には、出鋼温度が1700℃以上、または溶鋼滞留時間が3時間以上の溶鋼に対しては、クロマイト砂が70〜90mass%、シリカ砂が10〜30mass%とし、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の溶鋼に対しては、クロマイト砂が30〜60mass%、シリカ砂が40〜70mass%とすることが好ましい。
また、前記第1、第2の実施の形態と同様に、シリカ砂は、混合均一性をよくするため、シリカ砂として粒径係数が1.4以下のものを使用することが好ましい。粒径係数のより好ましい範囲は1.3〜1である。均一混合性の観点よりクロマイト砂の粒径係数も1.4以下であることが望ましい。なお、ここでの粒径分布は、前記第1、第2の実施の形態における粒径分布と同様に、JISの鋳物砂の粒度試験方法(Z2602)に準じて測定した値であり、粒径係数は、前記第1、第2の実施の形態における粒径係数と同様に砂表面積測定器(ジョージフィッシャー社製)を用いて算出した値である。
本実施の形態で使用されるクロマイト砂およびシリカ砂は特に限定されるものではなく、前記第1、第2の実施の形態と同様に、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造したものを用いてもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよく、品質を一定にするために、前述した磨鉱処理を施した砂を使用してもよい。また、磨鉱処理を施した砂または施さない砂を2種以上混合してもよい。
また、本発明の詰砂は上記配合割合であれば個々の原料の形態は問わないが、カーボンブラックとしては、前記第1の実施の形態と同様に適度な粘性のあるもの、具体的には造粒カーボンブラックを用いることが好ましい。これをシリカ砂の表面にコーティングしておき、このようにコーティングされたシリカ砂とクロマイト砂とを均一に混合して用いることが好ましい。これによりカーボンブラックの均一分散を図ることができるとともに、シリカ砂の焼結を一層有効に防止することができる。なお、ここでいうコーティングは、カーボンブラック粒子をシリカ砂粒子の表面に付着させることを意図しており、必ずしもカーボンブラックの層が形成されている必要はない。また、シリカ砂にカーボンブラックをコーティングしてもよく、さらには、シリカ砂およびクロマイト砂にカーボンブラックをコーティングしてもよい。
本発明の詰砂が適用される取鍋摺動開閉装置としてはスライディングノズルおよびロータリーノズルが挙げられ、その形状は特に限定されない。
本発明の詰砂が適用される摺動開閉装置の一例としてのスライディングノズルの構造を図1に示す。スライディングノズル10は、上ノズル3と、それを側方から支持するノズル受け煉瓦2と、上ノズル3を下方から支持する固定盤4と、固定盤4に対して摺動可能に設けられた摺動盤5と、摺動盤5の下に取り付けられた下部ノズル6とを備えている。そして、上ノズル3で規定されるノズル孔7内には本発明の詰砂1が充填される。図示するように、スライディングノズル10が閉状態で取鍋に溶鋼が注入される。溶鋼の注入が終了した時点で、摺動盤5を移動することによりスライディングノズル10が開かれる。この状態で詰砂1が落下しノズル孔7が自然開孔する。なお、ロータリーノズルも基本構造は同様であり、摺動盤が回転可能になっている点が異なるのみである。
実施例
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(第1の実施例)
まず、本発明の第1の実施の形態に対応する実施例について説明する。
ジルコン砂、クロマイト砂、シリカ砂、およびカーボンブラックを表1のように配合した詰砂を、250t取鍋の底に設けられた摺動開閉装置のノズル径75mmφのノズル孔に充填し、1000チャージにおける自然開孔率を測定した。試験1ではほぼ全チャージが溶鋼リードタイム200分間以下のもの、試験2では長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上という過酷な条件の割合が10%を占めているものである。この際の自然開化率を表1に併記する。なお、表1のジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の欄の記号は、それぞれ表2〜表4の粒径分布を示している。また、カーボンブラックについては造粒カーボンブラックで粒径が150〜1000μmのものを用いた。なお、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径係数はいずれも1.3以下のものを用いた。
その結果、本発明の範囲を満たす実施例のうち試料番号2〜4、6〜14は試験1については99.4%以上、試験2については99.2%以上の高い自然開孔率を示した。特に、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布が好ましい範囲である試料番号2〜4、6〜8が優れており、さらにその中でも粗粒および微粒が少ない試料番号2〜4がいずれの試験も100%の自然開孔率であった。また、カーボンブラック量が0.5mass%では溶鋼へのカーボンピックアップがほとんどなく極低炭素鋼に用い得ることが確認された。なお、試料番号2〜4に用いたジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布を図2に示す。
これに対して、クロマイト砂およびシリカ砂の配合割合が本発明の範囲であり、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布も好ましい範囲であるが、カーボンブラックを含まない試料番号1は、試験1では優れた自然開孔率を示したが、試験2では開孔率が99.8%とカーボンブラックを添加したものの自然開孔率の100%に比較して多少低い値となった。また、詰砂がノズル受けレンガ表面に焼結する頻度が高く、ノズル受けの酸素洗浄頻度が高いものとなり、ノズル受けの寿命が大幅に低下した。また、カーボンブラックが多い試料番号5は、優れた自然開孔率を示したが、溶鋼へのカーボンピックアップ量が多くなり使用に耐えないものであった。
クロマイト砂とシリカ砂の配合割合が本発明の範囲を外れる試料番号15〜17、およびジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の配合割合が本発明の範囲を外れる試料番号18〜20、およびジルコン砂とクロマイト砂の配合あるいはジルコン砂とシリカ砂の配合とした試料番号21〜26は、カーボンブラックをコーティングしたにもかかわらず、試験1、試験2において良好な自然開孔率が得られなかった。
この結果から、ジルコン砂、クロマイト砂、シリカ砂およびカーボンブラックを適切な割合で配合することにより、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理でも高い自然開孔率が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、ジルコン砂、クロマイト砂、シリカ砂、カーボンブラックを適切な割合で配合することにより、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理のような過酷な条件でも高い自然開孔率を維持することができる。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施の形態に対応する実施例について説明する。
クロマイト砂およびシリカ砂を表5のように配合した詰砂を、250t取鍋の底に設けられた摺動開閉装置のノズル径75mmφのノズル孔に充填し、1000チャージにおける自然開孔率を測定した。試験3では全チャージを出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の条件としたものである。この際の自然開孔率を表5に併記する。なお、表5のクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の欄の記号は、それぞれ表6および表7の粒径分布を示している。また、カーボンブラックについては造粒カーボンブラックで粒径が150〜1000μmのものを用いた。なお、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径係数はいずれも1.3以下のものを用いた。なお、試料番号27に用いたクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布を図3に示す。
その結果、本発明の範囲を満たす実施例である試料番号27、31、34、36においては、いずれも100%の自然開孔率を示した。これに対して、砂配合割合または粒径分布のいずれかが本発明の範囲を外れる試料番号28〜30、32、33、35、37においては、自然開孔率が劣っていた。
この結果から、本発明の詰砂によれば、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の条件においては極めて高い自然開孔率が得られることが確認された。
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施の形態に対応する実施例について説明する。
クロマイト砂、シリカ砂、およびカーボンブラックを表8のように配合した詰砂を、250t取鍋の底に設けられた摺動開閉装置のノズル径75mmφのノズル孔に充填し、1000チャージにおける自然開孔率を測定した。試験3では全チャージが出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満のもの、試験4では全チャージが長時間の炉外精錬を伴う出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上という過酷な条件の割合が100%を占めているものである。この際の自然開孔率を表8に併記する。なお、表8のクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の欄の記号は、それぞれ前記表6および前記表7の粒径分布を示している。また、カーボンブラックについては造粒カーボンブラックで粒径が150〜1000μmのものを用いた。なお、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径係数はいずれも1.3以下のものを用いた。なお、試料番号38〜41に用いたクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布は、第2の実施例の試料番号27と同様図3に示すものである。
その結果、本発明の範囲を満たす実施例である試料番号38〜40、51〜59においては、いずれも出鋼温度1700℃未満かつ溶鋼滞留時間3時間未満の条件で行った試験3で100%の自然開孔率を示し、出鋼温度1700℃以上または溶鋼滞留時間3時間以上の過酷な条件で行った試験4でも極めて高い自然開孔率を示した。これらの実施例の中でも、クロマイト砂およびシリカ砂の配合割合を最適化するとともに、カーボンブラックを添加した試料番号38〜40では、試験4において100%の自然開孔率を示し、極めて優れた特性が得られている。また、カーボンブラック量が0.1mass%の試料番号38および0.5mass%の試料番号39においては、いずれの場合も溶鋼へのカーボンピックアップがほとんどなく、極低炭素鋼の処理に好適に用いることができることが確認された。
これに対して、いずれかの条件が本発明の範囲を外れる試料番号41〜50、60〜65においては、優れた特性が得られなかった。具体的には、試料番号41は、カーボンブラックを本発明範囲を超えて配合したため、溶鋼へのカーボンピックアップ量が多くなり実際の使用には耐えないものであった。また、クロマイト砂およびシリカ砂の少なくとも一方の粒径分布が本発明範囲を外れる試料番号42〜50、および、クロマイト砂単独またはシリカ砂単独にカーボンブラックを添加した試料番号60〜65においては、カーボンブラックを添加したにもかかわらず、いずれも高い自然開孔率が得られなかった。
この結果から、本発明の詰砂によれば、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間3時間未満の条件において極めて高い自然開孔率を得ることができることはもちろんのこと、出鋼温度1700℃以上または溶鋼滞留時間3時間未満の過酷な条件においても極めて高い自然開孔率を得ることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の詰砂が適用される摺動開閉装置の一例としてのスライディングノズルを示す断面図。
図2は、本発明の実施例で用いたジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の一例を示すグラフ。
図3は、本発明の他の実施例で用いたクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の一例を示すグラフ。
本発明は、製鋼用取鍋などの出湯に用いられるスライディングノズルまたはロータリーノズルなどの取鍋摺動開閉装置の詰砂に関する。
[背景技術]
溶鋼を受鋼する取鍋は、転炉精錬の後に行われる炉外精錬および連続鋳造などに用いられ、その底部には溶鋼出鋼用の摺動開閉装置(スライディングノズルまたはロータリーノズル)が設けられている。このような摺動開閉装置を備えた取鍋では、摺動開閉装置のノズル内で溶鋼が凝固することを防止するために、溶鋼を受鋼する前に摺動開閉装置のノズル内に耐火性の詰砂が充填され、取鍋内に溶鋼が注入された後にノズルを開くと、自然に詰砂が落下し溶鋼が流出する自然開孔により出鋼している。
従来、この種の詰砂としては、一般的にシリカ砂(SiO2:90〜99%)が用いられている。そして、使用状況によってSiO2の純度調整で焼結することを防止したり(特開昭64−48662号)、逆に正長石(K2O・Al2O3・6SiO2)を添加して焼結を生じさせ、溶鋼に接する部分に粘調な皮膜を生成させて溶鋼の浸透を防止したりしている。
しかし、前者では、詰砂が焼結するのを防止しているが、溶鋼の浸透を有効に防止することができないため、取鍋の自然開孔率を大幅に向上させることは期待できない。一方、後者は、通常の操業では使用可能であるが、鋼の高級化に伴って炉外精錬や取鍋等において長時間に亘って高温で処理する場合には、詰砂自身の焼結が進んで強固な皮膜が生成され、そのため自然間孔しないことが多い。自然開孔しなかった場合には、ロングノズルを取外し、下部から酸素を吹き込んで強制的に開孔しなければならず、溶鋼が空気に触れて品質に悪影響を与え、鋳片の格落ちやスクラップとなって多大な損害を生じる。
近年、このような問題を解決するため、黒鉛の持つ焼結阻害性や溶鋼との濡れにくさに着目して、詰砂に鱗状黒鉛や土状黒鉛を添加することが試みられている。しかしながら、使用前のホッパー内および紙袋やコンテナバック内で比重差や黒鉛の滑りやすさから偏析を生じ、実機において期待したほどの性能を発揮するに至っていない。また、ピッチを使用することも検討されているが、揮発分を30〜70%有し、かつ使用中にガスが発生し、さらに偏析も生じ、好ましくない。
これに対して、硅砂、MgOクリンカー、ジルコンサンドなどの詰砂にカーボンブラックを0.05〜5mass%配合することが提案されている(特開平4−84664号公報)。カーボンブラックは、鱗状または土状黒鉛、ピッチ等の配合物に比べ高い残存率を持ち、揮発分が少なく、焼結防止、溶鋼侵入防止特性が優れ、また、比表面積が大きいため、配合した際の分散効果に優れ、偏析を防止することができる。さらに、硅砂への付着性が優れる。このため、カーボンブラックを添加することにより、焼結防止、溶鋼侵入防止等の詰砂として必要な特性に優れたものとなることが期待される。
しかしながら、特開平4−84664号公報に記載された詰砂は、ある程度の効果は得られるものの、炉外精錬(VAD、VOD等)を伴う高温長時間の処理における自然開孔率は十分なものとは言えず、このような過酷な条件においても高い自然開化率が得られる詰砂が要求されている。
一方、シリカ砂よりも融点の高いクロマイト砂も詰砂として用いられている。ただし、クロマイト砂は単独で使用した場合、溶鋼の出鋼時に焼結し、不開孔を生じやすいため、単独で使用されることは少なく、シリカ砂と混合して用いられている。
しかしながら、このようなクロマイト砂とシリカ砂とを混合した詰砂であっても、やはり炉外精錬(VAD、VOD等)を伴う高温長時間処理における自然開孔率は十分なものとはいえない。また、この詰砂は、このような高温長時間の処理の際に、取鍋内のノズル受けレンガ表面に焼結しやすく、そのためノズル受けレンガの酸素洗浄頻度が増加し、ノズル受けの寿命低下、鍋内残鋼による歩留低下を招くおそれがある。
[発明の開示]
本発明の目的は、炉外精錬(VAD、VOD等)を伴う高温長時間の処理においても、高い自然開孔率を得ることができる取鍋摺動開閉装置の詰砂を提供することにある。
本発明の第1の観点によれば、45〜55mass%のジルコン砂、30〜40mass%のクロマイト砂および10〜20mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれら合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したことを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂が提供される。
上記第1の観点の詰砂において、前記カーボンブラックの配合量はジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の合計量の0.05〜1mass%であることが好ましい。また、前記ジルコン砂は粒径100〜300μmの範囲のものが95mass%以上、クロマイト砂は粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径200〜425μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径200〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径300〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれていることが好ましい。さらに、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有することが好ましい。さらにまた、前記ジルコン砂は粒径53μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、前記クロマイト砂も粒径53μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記クロマイト砂は粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記シリカ砂は、粒径106μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、また粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記カーボンブラックが、前記シリカ砂にコーティングされた状態で配合されることが好ましい。
また、本発明の第2の観点によれば、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれていることを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂が提供される。
さらに、本発明の第3の観点によれば、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックが配合され、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれていることを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂が提供される。
上記第2の観点および第3の観点の詰砂において、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有することが好ましい。また、前記クロマイト砂は、粒径106μm以下のものが実質的に存在しないことが好ましく、また粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらに、前記シリカ砂は、粒径300μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、また粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。さらにまた、前記シリカ砂は、Al2O3の含有量が2mass%以下であり、K2OおよびNa2Oの含有量の和が0.5〜1.2mass%であることが好ましく、また96〜98mass%のSiO2を含むことが好ましい。
また、上記第3の観点の詰砂において、前記カーボンブラックは、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の合計量の0.05〜1mass%であることが好ましい。さらに、前記カーボンブラックは、前記シリカ砂にコーティングされていることが好ましい。さらにまた、出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上の溶鋼に対しては、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の配合割合が、クロマイト砂70〜90mass%、シリカ砂10〜30mass%であることが好ましく、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の溶鋼に対しては、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の配合割合が、クロマイト砂30〜60mass%、シリカ砂40〜70mass%であることが好ましい。
本発明者らは、長時間の炉外精錬を伴う高温長時間の処理においても、高い自然開孔率を維持することができる取鍋摺動開閉装置の詰砂について検討を重ねた。その結果、一定比率のジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂をベースとし、それに対して微量のカーボンブラックを配合することにより優れた特性を得ることができることを見出した。また、所定の粒径分布を有するクロマイト砂およびシリカ砂を所定比率で配合することによっても優れた特性を得ることができること、および、その配合をベースとし、それに対して微量のカーボンブラックを外部添加することにより、より優れた特性を得ることができることを見出した。
すなわち、耐火度が高く、低膨張のジルコン砂に対し、クロマイト砂とシリカ砂を適切な割合で配合することにより、溶融温度は高いが単体で使用した場合焼結しやすいというクロマイト砂の欠点および耐火性の低いシリカ砂の欠点を補うことができ、さらに、カーボンブラックを配合することにより、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止することができるとともに、カーボンブラックの溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することを防止することができる。したがって、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理であっても、極めて高い自然開孔率を得ることができる。
また、適切な粒径分布としたシリカ砂およびクロマイト砂を適切な割合で配合することにより、耐火性が低いというシリカ砂の欠点、および溶融温度は高いが単体で使用した場合に焼結しやすいというクロマイト砂の欠点の両方を補うことができ、これにより高温長時間処理においても高い開孔率を得ることができる。さらに、このようなシリカ砂およびクロマイト砂の配合物にカーボンブラックを適量配合した場合には、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止すること、および、その溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することをより確実に防止することができ、より高温長時間の処理であっても十分に高い開孔率を得ることができる。具体的には、カーボンブラックを添加しない場合には出鋼温度1700℃および溶鋼滞留時間3時間がほぼ限界であるが、カーボンブラックを添加した場合には、出鋼温度1700℃以上または溶鋼滞留時間3時間以上の過酷な条件の処理でも十分に高い開孔率を得ることができる。
以上のような効果は、上述の特開平4−84664号公報に記載された、単に従来詰砂として使用されている珪砂、MgOクリンカー、ジルコンサンドにカーボンブラックを添加した技術では得ることができず、上記本発明の第1の観点のようなジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂を適切な配合割合とし、かつカーボンブラックを配合することによる相乗効果によって、または、上記本発明の第2の観点のようなクロマイト砂およびシリカ砂を適切な配合割合・粒径分布とするか、さらに第3の観点のようなカーボンブラックを配合することによる相乗効果によって初めて奏することができるものである。
上記構成の本発明は、本発明者らのこのような知見に基づいてなされたものである。
[発明の実施の最良の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る取鍋摺動開閉装置の詰砂は、45〜55mass%のジルコン砂、30〜40mass%のクロマイト砂および10〜20m,ass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれら合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したものである。
本実施の形態において、ジルコン砂を45〜55mass%、クロマイト砂を30〜40mass%、シリカ砂を10〜20mass%としたのは、この範囲で配合することにより、溶融温度は高いが単体で使用した場合焼結しやすいというクロマイト砂の欠点および耐火性の低いシリカ砂の欠点を補い、自然開孔率を高いものとできるからである。すなわち、ジルコン砂は2300℃、クロマイト砂は2030℃までの耐火性を有し、シリカ砂の1750℃よりも十分に高く、また、ジルコン砂およびクロマイト砂に10〜20mass%のシリカ砂が配合されることによりクロマイト砂の焼結しやすいという問題が解消されるからである。好ましくはジルコン砂が45〜50mass%、クロマイト砂が35〜40mass%、シリカ砂15〜20mass%である。
カーボンブラックを、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の合計量に対して外部添加で0.05〜5mass%配合することとしたのは、この範囲で配合することにより、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止することができ、かつその溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することを防止することができるからである。
ここで、カーボンブラックの配合量が0.05mass%未満であると、砂粒子同士の結合防止作用が不足し、5mass%を超えるとカーボンの溶鋼へのピックアップ量が多くなりすぎる。したがって、カーボンブラックの配合量を0.05〜5mass%とする。極低炭素鋼の溶製の際に適用する場合には、カーボンの溶鋼へのピックアップ量を極力抑制する必要があり、この場合にはカーボンブラックの配合量を1mass%以下とすることが好ましい。
このように、ジルコン砂に対してクロマイト砂およびシリカ砂を所定の割合で配合してクロマイト砂およびシリカ砂の欠点を補い、さらにカーボンブラックの焼結防止効果および溶鋼侵入防止効果を発揮させることによる相乗効果によって、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理であっても、極めて高い自然開孔率を得ることができる。
カーボンブラックを配合しない場合には、詰砂がノズル受けレンガ表面に焼結しやすい。そのため、ノズル受けの酸素洗浄頻度が増加し、それに伴うノズル受けの寿命低下、または鍋内残鋼による歩留低下を招くおそれがあるが、カーボンブラックを配合することによりこのような問題も解消される。
ジルコン砂は、粒径100〜300μmの範囲のものが95mass%以上、クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径200〜425μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、シリカ砂は粒径200〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径300〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれていることが好ましい。このような粒径分布を有することにより、過剰な焼結層の生成、熱膨張による棚吊り、およびスラグ、地金の浸透を一層有効に防止することができ、つまり焼結性および溶鋼浸透性を一層低くすることができ、自然開孔率を極めて高くすることができる。
このような効果をさらに有効に発揮するためには、ジルコン砂において、粒径53μm未満のものが実質的に存在しないことが好ましく、クロマイト砂において、粒径53μm未満のもの、および/または粒径850μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましく、シリカ砂において、粒径106μm未満のもの、および/または粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。これにより高い自然開孔率を得ることができる。
ここで粒径分布は、JISの鋳物砂の粒度試験方法(Z2602)に準じて測定した値である。この方法は、ふるいを粗いほうから呼び寸法順に重ね、一番上すなわち最も目の大きいふるい上に原料を載せ、ロータータップ型ふるい機等のふるい分け機械を使用してふるい分けを行う。
本発明で用いるシリカ砂は、混合均一性をよくするため、シリカ砂として粒径係数を1.4以下のものを使用することが好ましい。粒径係数のより好ましい範囲は1.3〜1である。
なお、ここでいう粒径係数は、砂表面積測定器(ジョージフィッシャー社製)を用いて算出した値である。すなわち、粒径係数は、1g当たりの実際の砂の表面積(比表面積)を、理論的比表面積で割った値で表す。ここで、理論的比表面積とは、砂粒が全て球形であると仮定した場合の比表面積をいう。したがって、粒径係数が1に近いほど球に近い形状である。なお、このように均一混合性の観点よりジルコン砂およびクロマイト砂の粒径係数も1.4以下であることが望ましい。
本実施の形態で使用されるジルコン砂およびクロマイト砂は、特に限定されるものではなく、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造してもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよい。ジルコン砂の成分は一般的にはZrO2を65mass%前後含有する。例えば、ZrO2を66mass%、SiO2を32mass%、Al2O3を0.5mass%程度、Fe2O3を0.1mass%程度、TiO2を0.3mass%程度含有するものが典型例として挙げられる。また、クロマイト砂の成分は、その産地に左右されるが、一般的にはCr2O3を30mass%以上、好ましくは30〜60mass%含有する。例えば、Cr2O3を40〜50mass%、FeOを20〜30mass%、その他、Al2O3を約15mass%程度、MgOを約10mass%程度を含有するものが典型例として挙げられる。このようなクロマイト砂の粒径係数は通常1.4以下である。
一方、シリカ砂も特に限定されるものではなく、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造してもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよい。シリカ砂の成分もその産地に左右されるが、一般的には、SiO2を90mass%以上含有する。天然砂としては、例えば、オーストラリア産のフリーマントル砂、中国産のロイヤルサンド、国産の東北硅砂が挙げられる。なお、シリカ砂には、Al2O3、K2O、Na2O等の物質が含まれていてもよいが、Al2O3は2mass%以下、K2OとNa2Oとの含有量の和は0.5〜1.2mass%程度が望ましい。
ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の品質を一定にするために、磨鉱処理を施した砂を使用してもよい。また、磨鉱処理を施した砂または施さない砂を2種以上混合してもよい。
磨鉱処理には、公知の乾式法、湿式法のいずれも適用することができる。乾式法には、原料砂を高速気流により装置内で上昇させ、衝突板に衝突させることによって、砂粒相互の衝突と摩擦によって磨鉱処理するサンドリクレンマ等のニューマチックスクラバー装置、砂同士の摩擦を利用して磨鉱処理するアジテータミル等の高速撹拌機を用いた方法が挙げられる。一方、湿式法には、羽を回転させたトラフ内の砂粒相互の摩擦によって磨鉱処理するトラフ式等の磨鉱機による方法が挙げられる。
これら乾式法および湿式法の磨鉱処理の中では、湿式法を使用することが好ましい。これは、湿式法を用いることにより、磨鉱処理時の水洗によって所望の粒度より小さい砂を同時に取り除くことができるからである。しかしながら、乾式法であっても水洗装置を併設することにより同様の効果を得ることができる。
また、本発明の詰砂は上記配合割合であれば個々の原料の形態は問わないが、カーボンブラックとしては、適度な粘性のあるもの、具体的には造粒カーボンブラックを用いることが好ましい。これをシリカ砂の表面にコーティングしておき、このようにコーティングされたシリカ砂とクロマイト砂とジルコン砂を均一に混合して用いることが好ましい。これによりカーボンブラックの均一分散を図ることができるとともに、シリカ砂の焼結を一層有効に防止することができる。なお、ここでいうコーティングは、カーボンブラック粒子をシリカ砂粒子の表面に付着させることを意図しており、必ずしもカーボンブラックの層が形成されている必要はない。また、シリカ砂およびジルコン砂にカーボンブラックをコーティングしてもよく、さらには、シリカ砂、クロマイト砂およびジルコン砂にカーボンブラックをコーティングしてもよい。
本発明の第2の実施の形態に係る取鍋摺動開閉装置用の詰砂は、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれている。
本実施の形態において、クロマイト砂を30〜90mass%、シリカ砂を10〜70mass%としたのは、耐火性の低いシリカ砂の欠点および溶融温度は高いが単体で使用した場合に焼結しやすいというクロマイト砂の欠点の両方を補い、自然開孔率を高いものとすることができるからである。すなわち、クロマイト砂は2030℃までの耐火性を有し、シリカ砂の1750℃よりも十分に高く、また、これに10〜70mass%のシリカ砂が配合されることにより、クロマイト砂の焼結しやすいという問題が解消されるからである。
本実施の形態において、クロマイト砂の粒径分布を粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のもが60mass%以上とし、シリカ砂の粒径分布を粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上としたのは、クロマイト砂およびシリカ砂をそれぞれこのような粒径分布とすることにより、過剰な焼結層の生成、熱膨張による棚吊り、およびスラグ・地鉄の浸透を低減することができ、これにより自然開孔率を極めて高くすることができるためである。
以上のように、自然開孔率を高くすることができる粒径分布としたクロマイト砂およびシリカ砂を、さらに所定の割合で配合して両者の欠陥を補うことにより、高温長時間処理が可能となる。
このような効果をさらに有効に発揮させるためには、クロマイト砂においては、粒径106μm未満のもの、および/または、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましく、また、シリカ砂において粒径300μm未満のもの、および/または、粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。このような場合には、より高い自然開孔率を得ることができる。
また、前記第1の実施の形態と同様に、シリカ砂は、混合均一性をよくするため、シリカ砂として粒径係数が1.4以下のものを使用することが好ましい。粒径係数のより好ましい範囲は1.3〜1である。均一混合性の観点よりクロマイト砂の粒径係数も1.4以下であることが望ましい。なお、ここでの粒径分布は、前記第1の実施の形態における粒径分布と同様に、JISの鋳物砂の粒度試験方法(Z2602)に準じて測定した値であり、粒径係数は、前記第1の実施の形態における粒径係数と同様に砂表面積測定器(ジョージフィッシャー社製)を用いて算出した値である。
本実施の形態で使用されるクロマイト砂およびシリカ砂は特に限定されるものではなく、前記第1の実施の形態と同様に、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造したものを用いてもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよく、品質を一定にするために、前述した磨鉱処理を施した砂を使用してもよい。また、磨鉱処理を施した砂または施さない砂を2種以上混合してもよい。
本発明の第3の実施の形態に係る取鍋摺動開閉装置用詰砂は、30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックが配合され、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれている。
すなわち、本実施の形態においては上記第2の実施の形態の粒径分布・配合割合としたクロマイト砂およびシリカ砂に、外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したものである。
上記第2の実施の形態の詰砂は、高温長時間処理において優れた特性が得られるものの、出鋼温度1700℃および溶鋼滞留時間3時間がほぼ限界であり、出鋼温度1700℃未満かつ溶鋼滞留時間3時間未満の条件に実質的に限定されるが、このように第2の実施の形態の詰砂にカーボンブラックを添加することにより、カーボンブラックの焼結防止効果および溶鋼侵入防止効果が発揮され、それとクロマイト砂およびシリカ砂の配合量および粒径分布を規定したこととの相乗効果によって、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の処理はもちろんのこと、出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上の処理においても極めて高い自然開孔率を得ることができる。
カーボンブラックをクロマイト砂およびシリカ砂の合計量に対して外部添加で0.05〜5mass%配合することとしたのは、カーボンブラックをこの範囲で配合することにより、クロマイト砂およびシリカ砂の粒同士が焼結して結合することを防止すること、および、その溶鋼侵入防止特性によって溶鋼が詰砂内に侵入することをより確実に防止することができ、より高温長時間での処理、具体的には出鋼温度が1700℃以上かつ溶鋼滞留時間が3時間以上の処理で、高い自然開孔率が得られるからである。カーボンブラックを添加する場合に、その配合量が0.05mass%未満であると、その結合防止作用を十分に発揮することができず、5mass%を超えるとカーボンの溶鋼へのピックアップ量が多くなり、成分規格を外れることになる。極低炭素鋼の溶製の際に適用する場合には、カーボンの溶鋼へのピックアップ量を極力抑制する必要があり、この場合にはカーボンブラックの配合量を1mass%以下とすることが好ましい。
また、カーボンブラックを配合しない場合には、詰砂がノズル受け煉瓦表面に焼結しやすい。そのため、ノズル受けの酸素洗浄頻度が増加し、それに伴うノズル受けの寿命低下、または鍋内残鋼による歩留低下を招くおそれがあるが、カーボンブラックを配合することによりこのような問題も解消される。
このような効果をさらに有効に発揮させるためには、クロマイト砂においては、粒径106μm未満のもの、および/または、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましく、また、シリカ砂において粒径300μm未満のもの、および/または、粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しないことが好ましい。このような場合には、より高い自然開孔率を得ることができる。
カーボンブラックを添加する場合には、上述したように出鋼温度が1700℃以上、または溶鋼滞留時間が3時間以上の処理に対して使用することが可能であるが、より安全性を高める観点から、出鋼温度および溶鋼滞留時間によって組成を使い分けることが好ましい。具体的には、出鋼温度が1700℃以上、または溶鋼滞留時間が3時間以上の溶鋼に対しては、クロマイト砂が70〜90mass%、シリカ砂が10〜30mass%とし、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の溶鋼に対しては、クロマイト砂が30〜60mass%、シリカ砂が40〜70mass%とすることが好ましい。
また、前記第1、第2の実施の形態と同様に、シリカ砂は、混合均一性をよくするため、シリカ砂として粒径係数が1.4以下のものを使用することが好ましい。粒径係数のより好ましい範囲は1.3〜1である。均一混合性の観点よりクロマイト砂の粒径係数も1.4以下であることが望ましい。なお、ここでの粒径分布は、前記第1、第2の実施の形態における粒径分布と同様に、JISの鋳物砂の粒度試験方法(Z2602)に準じて測定した値であり、粒径係数は、前記第1、第2の実施の形態における粒径係数と同様に砂表面積測定器(ジョージフィッシャー社製)を用いて算出した値である。
本実施の形態で使用されるクロマイト砂およびシリカ砂は特に限定されるものではなく、前記第1、第2の実施の形態と同様に、天然に産出されるものを原料として乾燥、分級等を行って製造したものを用いてもよいし、天然に産出されるものをそのまま用いてもよく、品質を一定にするために、前述した磨鉱処理を施した砂を使用してもよい。また、磨鉱処理を施した砂または施さない砂を2種以上混合してもよい。
また、本発明の詰砂は上記配合割合であれば個々の原料の形態は問わないが、カーボンブラックとしては、前記第1の実施の形態と同様に適度な粘性のあるもの、具体的には造粒カーボンブラックを用いることが好ましい。これをシリカ砂の表面にコーティングしておき、このようにコーティングされたシリカ砂とクロマイト砂とを均一に混合して用いることが好ましい。これによりカーボンブラックの均一分散を図ることができるとともに、シリカ砂の焼結を一層有効に防止することができる。なお、ここでいうコーティングは、カーボンブラック粒子をシリカ砂粒子の表面に付着させることを意図しており、必ずしもカーボンブラックの層が形成されている必要はない。また、シリカ砂にカーボンブラックをコーティングしてもよく、さらには、シリカ砂およびクロマイト砂にカーボンブラックをコーティングしてもよい。
本発明の詰砂が適用される取鍋摺動開閉装置としてはスライディングノズルおよびロータリーノズルが挙げられ、その形状は特に限定されない。
本発明の詰砂が適用される摺動開閉装置の一例としてのスライディングノズルの構造を図1に示す。スライディングノズル10は、上ノズル3と、それを側方から支持するノズル受け煉瓦2と、上ノズル3を下方から支持する固定盤4と、固定盤4に対して摺動可能に設けられた摺動盤5と、摺動盤5の下に取り付けられた下部ノズル6とを備えている。そして、上ノズル3で規定されるノズル孔7内には本発明の詰砂1が充填される。図示するように、スライディングノズル10が閉状態で取鍋に溶鋼が注入される。溶鋼の注入が終了した時点で、摺動盤5を移動することによりスライディングノズル10が開かれる。この状態で詰砂1が落下しノズル孔7が自然開孔する。なお、ロータリーノズルも基本構造は同様であり、摺動盤が回転可能になっている点が異なるのみである。
実施例
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(第1の実施例)
まず、本発明の第1の実施の形態に対応する実施例について説明する。
ジルコン砂、クロマイト砂、シリカ砂、およびカーボンブラックを表1のように配合した詰砂を、250t取鍋の底に設けられた摺動開閉装置のノズル径75mmφのノズル孔に充填し、1000チャージにおける自然開孔率を測定した。試験1ではほぼ全チャージが溶鋼リードタイム200分間以下のもの、試験2では長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上という過酷な条件の割合が10%を占めているものである。この際の自然開化率を表1に併記する。なお、表1のジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の欄の記号は、それぞれ表2〜表4の粒径分布を示している。また、カーボンブラックについては造粒カーボンブラックで粒径が150〜1000μmのものを用いた。なお、ジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径係数はいずれも1.3以下のものを用いた。
その結果、本発明の範囲を満たす実施例のうち試料番号2〜4、6〜14は試験1については99.4%以上、試験2については99.2%以上の高い自然開孔率を示した。特に、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布が好ましい範囲である試料番号2〜4、6〜8が優れており、さらにその中でも粗粒および微粒が少ない試料番号2〜4がいずれの試験も100%の自然開孔率であった。また、カーボンブラック量が0.5mass%では溶鋼へのカーボンピックアップがほとんどなく極低炭素鋼に用い得ることが確認された。なお、試料番号2〜4に用いたジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布を図2に示す。
これに対して、クロマイト砂およびシリカ砂の配合割合が本発明の範囲であり、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布も好ましい範囲であるが、カーボンブラックを含まない試料番号1は、試験1では優れた自然開孔率を示したが、試験2では開孔率が99.8%とカーボンブラックを添加したものの自然開孔率の100%に比較して多少低い値となった。また、詰砂がノズル受けレンガ表面に焼結する頻度が高く、ノズル受けの酸素洗浄頻度が高いものとなり、ノズル受けの寿命が大幅に低下した。また、カーボンブラックが多い試料番号5は、優れた自然開孔率を示したが、溶鋼へのカーボンピックアップ量が多くなり使用に耐えないものであった。
クロマイト砂とシリカ砂の配合割合が本発明の範囲を外れる試料番号15〜17、およびジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の配合割合が本発明の範囲を外れる試料番号18〜20、およびジルコン砂とクロマイト砂の配合あるいはジルコン砂とシリカ砂の配合とした試料番号21〜26は、カーボンブラックをコーティングしたにもかかわらず、試験1、試験2において良好な自然開孔率が得られなかった。
この結果から、ジルコン砂、クロマイト砂、シリカ砂およびカーボンブラックを適切な割合で配合することにより、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理でも高い自然開孔率が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、ジルコン砂、クロマイト砂、シリカ砂、カーボンブラックを適切な割合で配合することにより、長時間の炉外精錬を伴う溶鋼リードタイム300分間以上の処理のような過酷な条件でも高い自然開孔率を維持することができる。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施の形態に対応する実施例について説明する。
クロマイト砂およびシリカ砂を表5のように配合した詰砂を、250t取鍋の底に設けられた摺動開閉装置のノズル径75mmφのノズル孔に充填し、1000チャージにおける自然開孔率を測定した。試験3では全チャージを出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の条件としたものである。この際の自然開孔率を表5に併記する。なお、表5のクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の欄の記号は、それぞれ表6および表7の粒径分布を示している。また、カーボンブラックについては造粒カーボンブラックで粒径が150〜1000μmのものを用いた。なお、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径係数はいずれも1.3以下のものを用いた。なお、試料番号27に用いたクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布を図3に示す。
その結果、本発明の範囲を満たす実施例である試料番号27、31、34、36においては、いずれも100%の自然開孔率を示した。これに対して、砂配合割合または粒径分布のいずれかが本発明の範囲を外れる試料番号28〜30、32、33、35、37においては、自然開孔率が劣っていた。
この結果から、本発明の詰砂によれば、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の条件においては極めて高い自然開孔率が得られることが確認された。
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施の形態に対応する実施例について説明する。
クロマイト砂、シリカ砂、およびカーボンブラックを表8のように配合した詰砂を、250t取鍋の底に設けられた摺動開閉装置のノズル径75mmφのノズル孔に充填し、1000チャージにおける自然開孔率を測定した。試験3では全チャージが出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満のもの、試験4では全チャージが長時間の炉外精錬を伴う出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上という過酷な条件の割合が100%を占めているものである。この際の自然開孔率を表8に併記する。なお、表8のクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の欄の記号は、それぞれ前記表6および前記表7の粒径分布を示している。また、カーボンブラックについては造粒カーボンブラックで粒径が150〜1000μmのものを用いた。なお、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径係数はいずれも1.3以下のものを用いた。なお、試料番号38〜41に用いたクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布は、第2の実施例の試料番号27と同様図3に示すものである。
その結果、本発明の範囲を満たす実施例である試料番号38〜40、51〜59においては、いずれも出鋼温度1700℃未満かつ溶鋼滞留時間3時間未満の条件で行った試験3で100%の自然開孔率を示し、出鋼温度1700℃以上または溶鋼滞留時間3時間以上の過酷な条件で行った試験4でも極めて高い自然開孔率を示した。これらの実施例の中でも、クロマイト砂およびシリカ砂の配合割合を最適化するとともに、カーボンブラックを添加した試料番号38〜40では、試験4において100%の自然開孔率を示し、極めて優れた特性が得られている。また、カーボンブラック量が0.1mass%の試料番号38および0.5mass%の試料番号39においては、いずれの場合も溶鋼へのカーボンピックアップがほとんどなく、極低炭素鋼の処理に好適に用いることができることが確認された。
これに対して、いずれかの条件が本発明の範囲を外れる試料番号41〜50、60〜65においては、優れた特性が得られなかった。具体的には、試料番号41は、カーボンブラックを本発明範囲を超えて配合したため、溶鋼へのカーボンピックアップ量が多くなり実際の使用には耐えないものであった。また、クロマイト砂およびシリカ砂の少なくとも一方の粒径分布が本発明範囲を外れる試料番号42〜50、および、クロマイト砂単独またはシリカ砂単独にカーボンブラックを添加した試料番号60〜65においては、カーボンブラックを添加したにもかかわらず、いずれも高い自然開孔率が得られなかった。
この結果から、本発明の詰砂によれば、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間3時間未満の条件において極めて高い自然開孔率を得ることができることはもちろんのこと、出鋼温度1700℃以上または溶鋼滞留時間3時間未満の過酷な条件においても極めて高い自然開孔率を得ることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の詰砂が適用される摺動開閉装置の一例としてのスライディングノズルを示す断面図。
図2は、本発明の実施例で用いたジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の一例を示すグラフ。
図3は、本発明の他の実施例で用いたクロマイト砂およびシリカ砂の粒径分布の一例を示すグラフ。
Claims (30)
- 45〜55mass%のジルコン砂、30〜40mass%のクロマイト砂および10〜20mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれら合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックを配合したことを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂。
- 請求項1の詰砂において、前記カーボンブラックの配合量はジルコン砂、クロマイト砂およびシリカ砂の合計量の0.05〜1mass%である。
- 請求項1の詰砂において、前記ジルコン砂は粒径100〜300μmの範囲のものが95mass%以上含まれ、クロマイト砂は粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径200〜425μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径200〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径300〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれている。
- 請求項1の詰砂において、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有する。
- 請求項10詰砂において、前記ジルコン砂は、粒径53μm未満のものが実質的に存在しない。
- 請求項1の詰砂において、前記クロマイト砂は、粒径53μm未満のものが実質的に存在しない。
- 請求項1の詰砂において、前記クロマイト砂は、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しない。
- 請求項1の詰砂において、前記シリカ砂は、粒径106μm未満のものが実質的に存在しない。
- 請求項1の詰砂において、前記シリカ砂は、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しない。
- 請求項10詰砂において、前記カーボンブラックは、前記シリカ砂にコーティングされた状態で配合される。
- 30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれていることを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂。
- 請求項11の詰砂において、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有する。
- 請求項11の詰砂において、前記クロマイト砂は、粒径106μm以下のものが実質的に存在しないことを特徴とする。
- 請求項11の詰砂において、前記クロマイト砂は、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことを特徴とする。
- 請求項11の詰砂において、前記シリカ砂は、粒径300μm未満のものが実質的に存在しない。
- 請求項11の詰砂において、前記シリカ砂は、粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しない。
- 請求項11の詰砂において、前記シリカ砂は、Al2O3の含有量が2mass%以下であり、K2OおよびNa2Oの含有量の和が0.5〜1.2mass%である。
- 請求項11の詰砂において、前記シリカ砂は、96〜98mass%のSiO2を含む。
- 30〜90mass%のクロマイト砂および10〜70mass%のシリカ砂を含有し、これらに対し外部添加でこれらの合計量の0.05〜5mass%のカーボンブラックが配合され、前記クロマイト砂は、粒径150〜850μmの範囲のものが95mass%以上、粒径212〜600μmの範囲のものが60mass%以上含まれ、前記シリカ砂は粒径300〜1180μmの範囲のものが95mass%以上、粒径600〜1180μmの範囲のものが90mass%以上含まれていることを特徴とする取鍋摺動開閉装置の詰砂。
- 請求項19の詰砂において、前記カーボンブラックは、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の合計量の0.05〜1mass%である。
- 請求項19の詰砂において、前記シリカ砂は、1.4以下の粒径係数を有する。
- 請求項19の詰砂において、前記クロマイト砂は、粒径106μm以下のものが実質的に存在しないことを特徴とする。
- 請求項19の詰砂において、前記クロマイト砂は、粒径1180μmを超えるものが実質的に存在しないことを特徴とする。
- 請求項19の詰砂において、前記シリカ砂は、粒径300μm未満のものが実質的に存在しない。
- 請求項19の詰砂において、前記シリカ砂は、粒径1700μmを超えるものが実質的に存在しない。
- 請求項19の詰砂において、前記カーボンブラックは、前記シリカ砂にコーティングされている。
- 請求項19の詰砂において、前記シリカ砂は、Al2O3の含有量が2mass%以下であり、K2OおよびNa2Oの含有量の和が0.5〜1.2mass%である。
- 請求項19の詰砂において、前記シリカ砂は、96〜98mass%のSiO2を含む。
- 請求項19の詰砂において、出鋼温度が1700℃以上または溶鋼滞留時間が3時間以上の溶鋼に対しては、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の配合割合が、クロマイト砂70〜90mass%、シリカ砂10〜30mass%である。
- 請求項19の詰砂において、出鋼温度が1700℃未満かつ溶鋼滞留時間が3時間未満の溶鋼に対しては、前記クロマイト砂および前記シリカ砂の配合割合が、クロマイト砂30〜60mass%、シリカ砂40〜70mass%である。
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