JP3781260B2 - スクリュー付斜流圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、分散型発電機あるいは自動車用エンジンまたは船舶の推進機などに用いる圧縮機であって、特に、比較的小型のガスタービンに適用できる斜流圧縮機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の斜流圧縮機は、図6に示すように、円錐状のハブ1に多数の羽根2を止着した羽根車3が回転軸4の先端部に嵌着してあり、円錐状のハブ1に羽根2が傾斜させて止着してある。そして、羽根2の周部には羽根2の外周端に接近させてケーシング5が設けてあり、ケーシング5の前段部には先端部を拡開した吸込ケーシング6が連結してある。ケーシング5の後方部は羽根2の外周端に沿って末広がり状に形成してあり、ケーシング5の後端部をデイフューザー7に連結してある。デイフューザー7の内部には、圧縮された旋回流を直線流に案内するガイドベーン8が設けてあり、整流となった圧縮気体を渦巻室に送り出す構造となっている。図7に示す従来の斜流圧縮機は、ポンプの吸込性能を向上させるために、羽根2の始端部を旋回方向に折り曲げてインデューサー2aとしてある。
【0003】
図6に示す斜流圧縮機は、例えば、特開平9−49498号公報に記載してあるように公知であり、羽根間に流入した気体が圧縮されて限界値以下の流量に減少してくると、圧縮空気の流れが羽根から剥離し、圧力上昇量が不連続的に低下して激しい圧力変動と騒音が起こり、流れの脈動を伴う圧縮機全体の不安定現象であるサージングの原因となっており、この斜流圧縮機は羽根車を囲繞するケーシングの先端部の形状と、羽根車の入口部の面積が性能に重要な影響を与えている。そして、このサージング対策として、吸込ケーシングに設けたガイドベーンでポンプの吸込性能を向上させ、ガイドベーンで誘発させた渦流を自由ロータを回転させて流体の変動を緩和させる装置は、例えば、特開平11−62894号公報に記載してあるように公知である。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、羽根車の前段にガイドベーンと自由ロータを設けた装置にあっては、圧縮機の吸込口における流体の過渡的な変動が軽減でき、振動を減衰させるように働くものであるが、安定して空気が圧縮されている時には空気の流入抵抗となり、羽根車の後段における圧力上昇量が不連続的に低下する恐れがあり、構造も複雑となるものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨とするところは、羽根車の周部に配設したケーシングと、ケーシングの前端に連結して気体を軸心方向から吸引する吸込ケーシングと、羽根車の回転により圧縮した気体を斜流方向外方に導くデイフューザーとからなる圧縮機において、円錐状のハブにスクリュー状に巻き掛けた複数枚の螺旋状翼の始端部を回転軸心に沿って配設し、螺旋状翼の始端側の外周先端部を吸込ケーシングの方向に突設させて、螺旋状翼の吸込口の内周部を大きく拡開して螺旋状翼の先端部で気体の流入を案内させるもので、吸込性能と容積効率が向上しハブに巻き掛けた複数の螺旋状翼でバランス効率がよくなるもので、圧縮された気体の局部剥れが防止され、サージングに起因する振動と騒音がなくなるものである。そして、螺旋状翼の始端部を旋回方向にさらに折り曲げてインデューサーとし、このインデューサーの外周先端部を吸込ケーシングの方向に突設させれば、気体が案内されて吸込性能が高められるものである。また、上記ディフューザーに連設したリタンチャンネルを後部ケーシングに連結して、圧縮された気体を後部ケーシングの軸心に沿って導くと共に、後部ケーシングの内部に延設した回転軸にハブを嵌着し、このハブに巻き掛けた螺旋状翼の始端部を回転軸心に沿って配設し、その外周先端部を突設させれば、気体の高圧縮が可能となり流体エネルギーを圧力エネルギーに変換して、タービン等の高速回転が可能となるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明に係るスクリュー付斜流圧縮機は、回転軸心に沿って配設した螺旋状翼の始端側の外周先端部を吸込ケーシングの方向に突設したので、広い吸込口が形成されて口径も大きくなり、吸込風量が増加して吸込口近傍での吸引効率を高めることが出来るものである。そして、複数枚の螺旋状翼が回転軸方向に所定の長さに渡って設けてあるので螺旋状翼間に流入した空気の圧縮圧を連続して高めることができる。また、駆動軸に垂直な全ての面において軸対称に螺旋状翼がバランスよく配設されて空気にエネルギーを与えるので、体積効率とバランス効率がよいもので、口径を大きくした吸込口から吸引した空気が螺旋状翼面から剥がれることもなく、吸込性能と吐出し量が増加され、サージングに基づく振動と騒音が防止できるものである。
【0007】
【実施例】
この発明の実施例を図面に基づき詳述すると、まず、図1において、円錐状のハブ1に複数枚のスクリュー状に巻き掛けた螺旋状翼9が等間隔に止着してあり、螺旋状翼9の吸込側の開口が回転軸4の軸線方向に向って止着され、その後方部を回転方向後方に緩やかに湾曲させてその吐出側の開口が斜流方向に向って配設してあり、前段部の螺旋状翼9が容積形ポンプの機能を発揮して、その推進力により強い吸引作用が発生するようにしてある。螺旋状翼9が連続しているので、螺旋状翼9の後段部分において遠心力が増加して、前段部分で空気に加えられたエネルギーをも含めて、圧力エネルギーに変えられるため、高圧縮圧と吐出量が得られるようにしてある。そして、ハブ1に巻き掛けた螺旋状翼9は、回転軸4に垂直な全ての面において軸対称に螺旋状翼9がバランスよく配設されて気体にエネルギーを与えるようにしてあり、体積効率とバランス効率が得られるようにしてある。螺旋状翼9の始端側の外周先端部9aが吸込ケーシング6の方向に突設させてあり、螺旋状翼9の外周先端部9aの内側に広い吸込口が形成されて吸込風量が増加されるようにしてあり、螺旋状翼9、9間に流入して圧縮された気体が不連続的に低下することもなく、圧縮された気体が螺旋状翼9からの局部剥れが防止され、激しい圧力変動と騒音が防止されるものである。そして、螺旋状翼9の吸込口に突設させた外周先端部9aを設けることにより、回転軸心方向の気体の流れを効率よく螺旋状翼9、9間に導入し、終端部の放射状の螺旋状翼9が遠心力により流れを外周に送りだすもので、流れの脈動を伴う圧縮機全体の不安定現象であるサージングがなくなるものである。
【0008】
図2に示すスクリュー付斜流圧縮機は、円錐状のハブ1に巻き掛けた螺旋状翼9の始端部を旋回方向にさらに折り曲げてインデューサー10とし、その外周先端部10aを吸込ケーシング6の方向に突設してあり、広い吸込口と吸込性能をさらに向上させるようにしてある。図3に示す二段圧縮機は、図1に示すスクリュー付斜流圧縮機の後段に高圧用の圧縮機を設けたものであって、図1に示すディフューザー7に連設したリタンチャンネル11を後部ケーシング12に連結して、圧縮された気体を回転軸4の軸心に沿って導くようにしてある。後方に延設した回転軸4に嵌着した円錐状のハブ13に螺旋状翼14が巻き掛けて後部ケーシング12に内設してあり、回転軸4の軸心方向から前段で圧縮された気体を高圧側の圧縮機に導くようにしたものである。なお、ハブ13に巻き掛けた螺旋状翼14の吐出側を傾斜させて斜流圧縮機としても、あるいは、螺旋状翼14の吐出口を遠心方向に開口して、遠心圧縮機としてもよいものである。そして、この螺旋状翼14の始端側の外周先端部14aが圧縮気体の流入方向に突設してあり、吸込方向に延設した前段の螺旋状翼9の外周先端部9aと、後段の螺旋状翼14の外周先端部14aがその内側に広い吸込口を形成して前段の螺旋状翼9、9と後段の螺旋状翼14、14間とに流入する気体が圧縮されて、不連続的に低下することがないように吸込性能を向上させて、サージングに基づく振動と騒音が防止できるようにしてある。
【0009】
また、図4に示す二段圧縮機は他の実施例のスクリュー付斜流圧縮機であって、螺旋状翼9の始端部にインデューサー10を設けた図2に示す斜流圧縮機と、図3に示す二段圧縮機の高圧側の斜流圧縮機を連結したものである。そして、吸込方向に延設した前段のインデューサー10の外周先端部10aと後段の螺旋状翼14の外周先端部14aがその内側に広い吸込口を形成して前段の螺旋状翼9、9と後段の螺旋状翼14、14との間に流入した気体が圧縮されて、不連続的に低下することがないように吸込風量を増加させるようにしてある。なお、符号15はリターンチャンネル11の内部に設けた整流用のガイドベーン、符号16は高圧側のデイフューザー、符号17はデイフューザー16の内部に設けたガイドベーンである。
【0010】
図5は、この発明に係るスクリュー付斜流圧縮機と従来の遠心、斜流、軸流圧縮機との比速度(ns)と効率(η)の関係をあらわす図表であって、この発明は吸込性能向上に有効で、低比速度(ns)側すなわち高速回転側あるいは高圧縮比側の効率向上に効果が大きく、特に斜流圧縮機の場合にその効果が顕著となることを表している。軸流と遠心の大きな隔たりを狭めたとも見ることができる。即ち、この発明は、斜流圧縮機の大流量化の一助となるもので、分散型発電機あるいは自動車用エンジンとして開発が進められている斜流圧縮機を用いた比較的小型のガスタービンの小型、軽量化に寄与できるものである。
【0011】
【発明の効果】
この発明に係るスクリュー付斜流圧縮機は上記のように構成してあり、失速の原因となる羽根面からの流れの剥れが吸込み端部と羽根の先端側から発生するものであるが、この発明にあっては、スクリュー状に巻き掛けた螺旋状翼の始端側の外周先端部を吸込ケーシングの方向に突設させて、螺旋状翼の吸込口の内周部を大きく拡開して螺旋状翼の先端部で気体の流入を案内させるので、吸込風量が増加するものである。そして、複数枚の螺旋状翼が回転軸方向に所定の長さに渡って設けてあるので螺旋状翼間に流入した空気の圧縮圧を連続して高めることができ、吸込性能を向上させるものである。従って、螺旋状翼間に流入した気体が圧縮されても限界値以下の流量に減少することがなく、螺旋状翼面からの気体の局部剥れが防止され、サージングに起因する振動と騒音がなくなるものである。また、螺旋状翼の始端部を旋回方向にさらに折り曲げたインデューサーを設ければ、吸込性能が向上するとともに、流れが整いスムーズな流れとなり、旋回失速が発生し難い状態となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る螺旋状翼の始端側の先端部を突設させたスクリュー付斜流圧縮機の一部縦断側面図である。
【図2】 同じく、螺旋状翼の始端側にインデューサーを設けた他の実施例の一部縦断側面図である。
【図3】 同じく、スクリュー付斜流圧縮機を二段に連設した実施例の一部縦断側面図である。
【図4】 同じく、スクリュー付斜流圧縮機を二段に連設した他の実施例の一部縦断側面図である。
【図5】 この発明に係るスクリュー付斜流圧縮機と従来型の圧縮機の比速度と効率の関係を比較する図表である。
【図6】 従来の斜流圧縮機の一部縦断側面図である。
【図7】 羽根の先端にインデューサーを設けた従来の斜流圧縮機の一部縦断側面図である。
【符号の説明】
1、13 ハブ
3 羽根車
5 ケーシング
6 吸込ケーシング
7 デイフューザー
9、14 螺旋状翼
9a、14a 外周先端部
10 インデューサー
10a 外周先端部
11 リタンチャンネル
12 後部ケーシング
Claims (3)
- 羽根車(3)の周部に配設したケーシング(5)と、ケーシング(5)の前端に連結して気体を軸心方向から吸引する吸込ケーシング(6)と、羽根車(3)の回転により圧縮した気体を斜流方向に導くデイフューザー(7)とからなる圧縮機において、円錐状のハブ(1)にスクリュー状に巻き掛けた複数枚の螺旋状翼(9…)を止着して、この螺旋状翼(9)の始端側の外周先端部(9a)を吸込ケーシング(6)の方向に突設させたことを特徴とするスクリュー付斜流圧縮機。
- 上記螺旋状翼(9)の始端部を旋回方向にさらに折り曲げてインデューサー(10)とし、このインデューサー(10)の外周先端部(10a)を吸込ケーシング(6)の方向に突設させたことを特徴とする請求項1記載のスクリュー付斜流圧縮機。
- 上記ディフューザー(7)に連設したリタンチャンネル(11)を後部ケーシング(12)に連結して、圧縮された気体を後部ケーシング(12)の軸心に沿って導くと共に、後部ケーシング(12)の内部に延設した回転軸(4)にハブ(13)を嵌着し、このハブ(13)に巻き掛けた螺旋状翼(14)の始端部を回転軸心に沿って配設し、その外周先端部(14a)を突設させたことを特徴とする請求項1または2記載のスクリュー付斜流圧縮機。
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