JP3771999B2 - アスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法 - Google Patents

アスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスファルト系構造材料を採石等に填充したのちに硬化させてアスファルト系構造材料填充構造物を施工するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道における有道床軌道は、かこう岩、安山岩、硬質砂岩等からなる稜角の多い砕石(骨材)を路盤上に敷設して道床を形成し、その上にまくらぎを並設し、まくらぎ上に2本のレールを締結することにより構成されていた。上記のうち、道床は、
▲1▼走行する鉄道車両からレールとまくらぎを経て加えられる荷重を広い面積に分布させるとともに列車による衝撃や振動を緩和させて路盤に伝達させることができること
▲2▼軌道に弾性を与えるため列車の乗り心地が良好であること
▲3▼路盤構造を変更することなく軌道の整正や変更等が容易であること
▲4▼構造が簡素であり建設費が低廉であること
等の長所を有していた。その反面、道床は、列車荷重の繰り返しにより徐々に沈下していくため、所定の道床高さ、道床形状等に維持するための保守作業が不可欠であり、そのために少なからぬ保守コストが必要である、という問題があった。
【0003】
列車走行により道床が沈下するのは、道床砕石が細粒分の比較的少ない粒度分布(例えば粒径が15〜75mm程度)となっており、その初期には列車走行により振動した上方の砕石が下方の砕石との間に存在する間隙内に徐々に落ち込む過程(圧密過程)が生じるためであり、その後は列車振動によりまくらぎ下の砕石が側方に移動する過程(側方流動過程)が生じるためである。したがって、道床沈下を防止するための一つの対策としては、砕石間の間隙を何らかの材料で填充し砕石を固定することによりその移動を防止することが考えられる。これにより、道床の沈下を抑制することができれば、有道床軌道の場合の鉄道の保守コストを低減することが可能となる。
【0004】
このため、道床砕石間に加熱したアスファルトを注入して硬化させる「アスファルト填充工法」、道床砕石間にセメントモルタルを注入して硬化させる「モルタル填充工法」、道床砕石間にポリエステルやエポキシ等の硬化性樹脂を注入して硬化させる「樹脂填充工法」等の道床改良工法が考えられ試みられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の道床改良工法のうちアスファルト填充工法では、道床に要求される弾力性の点では良好であり、樹脂填充工法よりも工事費用は低廉ではあったが、以下の短所があった。
【0006】
まず、アスファルトは、完全に硬化した後での最終的な強度(以下、「最終強度」という。)は他の填充材と遜色はないが、道床砕石間に注入可能な程度に軟化させるため加熱された後に道床内に注入され冷却により硬化して所定の強度を発現するまでにかなりの時間が必要であり、注入後の初期の強度(以下、「初期強度」という。)が低いことが挙げられる。一方、すでに営業を開始した鉄道線路(以下、「営業線」という。)においては、鉄道車両の走行の妨げにならないように、道床改良等の工事は、その区間を列車の走行しない時間帯(間合い)や夜間に行われ、短時間での施工完了が要求され、アスファルト注入後1時間程度での列車走行の開始等が要求される場合も少なくない。しかし、上記したように、アスファルトの初期強度はそれほど高くないため、注入後1時間程度の時間経過では道床砕石を固定する力が弱く、道床沈下防止性能が不足する場合が多かった。
また、アスファルトは、周囲の温度が高温になると、自然に軟化する傾向があり、夏期に道床沈下防止性能が低下する可能性もあった。
【0007】
また、モルタル填充工法の場合は、アスファルトに比べて強度が高いと考えられ、道床沈下防止性能の点では満足すべき結果が得られたが、耐凍結融解性が低く、長期間の使用に伴い冬期にひび割れ等が発生する可能性があった。
【0008】
また、樹脂填充工法の場合は、アスファルトに比べて強度は高いと考えられ、道床沈下防止性能の点では満足すべき結果が得られたが、工事単価が高く、特に、施工延長距離の長い鉄道においては、全体の工事費用が非常に高価になる、という問題があった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、初期強度が高く、道床等の沈下を有効に防止することができ、かつ工事費用の低廉なアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法は、
アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
次いで、前記塊状物を、施工時において、220〜240゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
前記小径混入部材としては、
金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
前記流動化材としては、
1個の炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素であるオレフィンの重合により生成される樹脂状物質のうちアモルファス状又はゴム状のものであって、ポリエチレン、又はポリプロピレン、又はポリブテンを含む非晶質ポリオレフィン系樹脂と、
松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
を特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法は、
アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
次いで、前記塊状物を、施工時において220゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
前記小径混入部材としては、
金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
前記流動化材としては、
1個の炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素であるオレフィンの重合により生成される樹脂状物質のうちアモルファス状又はゴム状のものであって、ポリエチレン、又はポリプロピレン、又はポリブテンを含む非晶質ポリオレフィン系樹脂と、
松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
を特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係るアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法は、
アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
次いで、前記塊状物を、施工時において、220〜240゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
前記小径混入部材としては、
金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
前記流動化材としては、
松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
を特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係るアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法は、
アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
次いで、前記塊状物を、施工時において220゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
前記小径混入部材としては、
金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
前記流動化材としては、
松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
を特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6に係るアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法は、
アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
次いで、前記塊状物を、施工時において、220〜260゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
前記小径混入部材としては、
金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は合成樹脂、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料、又は合成樹脂からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
前記流動化材としては、
1個の炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素であるオレフィンの重合により生成される樹脂状物質のうちアモルファス状又はゴム状のものであって、ポリエチレン、又はポリプロピレン、又はポリブテンを含む非晶質ポリオレフィン系樹脂と、
松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定されること
を特徴とする
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態としては、アスファルトを基材とし、これに繊維を混合したアスファルト系構造材料が挙げられる。これは、アスファルト内に繊維を分散混合させることにより、アスファルトを母材とし繊維を強化部材とする一種の複合材料を形成させ、硬化後の混成物全体としての強度、例えば圧縮強度、曲げ強度、弾性率等を向上させるとともに、硬化後の混成物全体に粘弾性を付与し、じん性破壊強度を向上させるものである。ただし、アスファルトと繊維の各々の強度が高く、かつ繊維がアスファルト内において均一に分散混合されないと、強度の向上は発揮されない。このため、基材としてのアスファルト、強化部材としての繊維の双方に所定の品質や条件等が要求される。
【0025】
まず、基材であるアスファルト自体については、硬化後の強度が高く硬いことが要求されるため、針入度が小さく、軟化点が高いものが好適である。例えば、針入度としては0〜50程度、軟化点としては60以上程度などが望ましい。
【0026】
ここに、針入度とは、JIS K 2207に規定する試験法により、規定の温度(例えば25°C)、規定の荷重(例えば100グラム)、及び規定の貫入時間(例えば5秒間)で、規定の形状の針をアスファルトに貫入させ、その貫入深度を1/10mm単位で表わした値であり、一般に針入度の値が小さいほど硬いアスファルトであることを示している。
【0027】
また、軟化点とは、JIS K 2207に規定する試験法により、規定の金属製環の内部に填充したアスファルトの上に質量3.5グラムの鋼球を載せて水中に入れ、連続的に加熱した場合に、鋼球の自重によりアスファルトが25mmだけ降下したときの温度(°C)で表わした値であり、規定の条件下でのアスファルトのコンシステンシーを示す指標であり、一般に軟化点の値が高いほど硬いアスファルトであることを示している。
【0028】
また、アスファルトの種類としては、舗装用石油アスファルトのうち、ストレートアスファルトが挙げられる。また、ストレートアスファルトに高温で空気を吹き込み、脱水素重縮合反応を起こさせ高分子化させる「ブローイング」という操作を施したブローンアスファルトやセミブローンアスファルト等も使用可能である。このブローンアスファルトやセミブローンアスファルト等は、ストレートアスファルトに比べ感温性が低く改善されており、60°C粘度等も改善されている。また、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト単独のほか、これらを適宜混合してもよく、あるいは、これらにプレパウダーアスファルト、天然アスファルトや改質アスファルトなどを混合してもよい。
【0029】
次に、繊維については、まず材料強度、特に引張強度が高いことが要求される。また、繊維は、攪拌混合等が可能な程度にまで軟化させるため所定の第1温度(例えば120〜185°C程度)まで加熱されたアスファルト中に投入されるので、少なくともこの第1温度で変質や溶解を生じない耐熱性が必要である。また、加熱アスファルト中に混合された後、粘性体の状態の加熱アスファルト中で沈澱や浮上等を生じずほぼ均一な分散状態を保持する性能(以下、「分散性能」という。)を有する必要があり、その長さ、直径、比重等がある範囲内にある繊維であることが望ましい。
【0030】
例えば、繊維の材質としては、軟鉄、鋼、アルミニウム等の金属材料、炭化物や窒化物等のセラミックス系材料、石英等の岩石鉱物系材料、炭素、ガラス系材料などが好適である。また、上記の条件を満足すれば、ABS樹脂やアラミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂)等の合成樹脂材料、麻等の植物性繊維、あるいは動物性繊維等であっても使用可能である。また、繊維の寸法としては、例えば、長さが1〜10mm程度、直径が0.01〜1mm程度の寸法の短尺小径の繊維などが好ましい。
【0031】
また、アスファルト系構造材料全体に対する繊維の混合割合についても所定の制限が考えられる。まず、混成物全体としての強度から見た場合、繊維の混合量が少ないうちは、混合量の増大につれて混成物全体の強度は高くなると考えられるが、繊維の混合量が所定の値のときに強度は最大に達し、その値を越えると混成物全体の強度は低下すると考えられる。繊維の混合率が低い場合は繊維が強化部材として機能するのに対し、混合率がある値を越えると、繊維が基材と同様の状態となると考えられるからである。したがって、混成物の強度の点から、繊維の混合率には所定の上限値があると考えられる。その上限値は、例えば、アスファルト系構造材料全体に対し、重量パーセントで30%程度である。
【0032】
また、このアスファルト系構造材料を鉄道道床の填充材として使用する場合には、別の観点から繊維の混合割合に関する制限が考えられる。すなわち、鉄道においては、レールのそれぞれに信号用電流が通電されており、これらの電流の短絡は信号故障等の原因となるため、レール下面に接触する可能性のある道床は、電気的に所定の絶縁度を有することが要求される。したがって、アスファルトに混合される繊維が金属等の導電性材料で形成されている場合には、繊維の混合率は、上記したレール間に要求される絶縁性を維持し得る程度の値より低い値である必要がある。すなわち、鉄道道床に使用する場合には、電気絶縁度の点からも、導電性繊維の混合率には所定の上限値があると考えられる。その上限値は、例えば、アスファルト系構造材料全体に対し、重量パーセントで5%程度である。
【0033】
また、上記したような第1温度までの加熱では、アスファルトは攪拌可能な程度までは軟化するが、砕石等の骨材間へ填充するには粘度が高すぎる。したがって、骨材への填充材として使用するためには、さらにアスファルトを流動状態にする必要がある。このため、アスファルトに繊維を混合した混成物を、第1温度よりも高温な第2温度(例えば220〜260°C程度)まで加熱し、混成物を溶融状態とする。このように、アスファルトと繊維の混成物を第2温度まで再加熱すれば、混成物が流動状態となるため、混成物を骨材の間に滑らかに流入させ、骨材の最深部まで効率良く填充させることができる。
【0034】
上記のようにアスファルトに繊維を混合させると、図1(A)の曲線A1に示すように、アスファルト単体の場合の曲線C1に比べ強度が向上する。図1(A)において、従来のアスファルト単体の場合(強度曲線C1)の注入後1時間経過時点の値が、填充材として要求される強度の規格値σB を下まわっているのに対し、本実施形態のアスファルト系構造材料の場合(強度曲線A1)は、注入後1時間経過時点の値が強度規格値σB を上まわっている。これにより、本実施形態のアスファルト系構造材料の場合は、最終強度だけでなく、初期強度も向上することがわかる。したがって、道床を填充した場合、注入後短時間経過時点においても、モルタル填充工法や樹脂填充工法の場合に劣らず十分な道床沈下防止性能を発揮すると考えられる。上記したアスファルト系構造材料の強度規格値σB としては、例えば、鉄道用道床に用いる場合の値として0.1MPaを規定したものがある。
【0035】
また、本実施形態の場合は、図1(B)の曲線A2に示すように、アスファルト単体の場合の曲線C2に比べ、高温時においても強度低下は少なく所定の強度を維持することができる。図1(B)において、従来のアスファルト単体の場合(強度曲線C2)の雰囲気温度が60°C以上となると、ある温度以上で強度規格値σB を下まわるのに対し、本実施形態のアスファルト系構造材料の場合(強度曲線A2)は、の雰囲気温度60°C以上となっても強度の低下は少なく、現実の使用環境においては強度規格値σB を下まわることはない。これにより、本実施形態のアスファルト系構造材料の場合は、夏期においても、モルタル填充工法や樹脂填充工法の場合に劣らず十分な道床沈下防止性能を発揮すると考えられる。
【0036】
(2)第2実施形態
上記した第1実施形態のほか、本発明の第2実施形態として、以下に説明するものも有効である。
これは、アスファルトを基材とし、これに粉末を混合した生成されたアスファルト系構造材料である。これは、上記したようなアスファルト内に、粉末を分散混合させることにより、アスファルトを母材とし粉末を強化部材とする一種の複合材料を形成させ、繊維の場合と同様に、硬化後の混成物全体としての強度をさらに向上させるものである。また、粉末は、アスファルト系構造材料が硬化後に低温状態となった場合でも柔軟性を失わないように粘弾性を付与し、低温で「割れ」を生じないようにする働きもある。ただし、強度や機能の点から、強化部材としての粉末には所定の品質や条件等が要求される。
【0037】
この粉末については、まず材料強度が高いことが要求される。また、粉末は、攪拌混合等が可能な程度にまで軟化させるための第1温度(例えば120〜185°C程度)まで加熱されたアスファルト中に投入されるので、少なくともこの第1温度で変質や溶解を生じない耐熱性が必要である。また、加熱アスファルト中に混合された後、粘性体の状態の加熱アスファルト中で沈澱や浮上等を生じずほぼ均一な分散状態を保持する分散性能を有する必要があり、その直径、比重、粗さ等がある範囲内にある粉末であることが望ましい。
【0038】
例えば、粉末の材質としては、軟鉄、鋼、アルミニウム等の金属材料、炭化物や窒化物等のセラミックス系材料、石英等の岩石鉱物系材料、雲母(マイカ)等の無機質鱗片状物、炭素(グラファイト)、ガラス系材料などが好適である。また、上記の条件を満足すれば、ABS樹脂等の合成樹脂材料などであっても使用可能である。例えば、直径が10〜100μm程度の微細粉末などである。
【0039】
また、上記した繊維の場合とまったく同様に、アスファルト系構造材料全体に対する粉末の混合割合についても、混成物全体の強度、及び電気絶縁度の点から、粉末の混合率に所定の上限値があると考えられる。強度の点から見た粉末の混合割合の上限値は、例えば、重量パーセントで、アスファルト系構造材料全体に対し30%程度である。また、電気絶縁の点から見た導電性粉末の混合割合の上限値は、例えば、重量パーセントで、アスファルト系構造材料全体に対し5%程度である。
【0040】
また、アスファルトと粉末を混合した混成物を、第1温度よりも高温な第2温度(例えば220〜260°C程度)まで加熱し、混成物を溶融状態として骨材に填充する点については、上記した第1実施形態の場合と同様である。
【0041】
また、注入後短時間経過時点、あるいは高温雰囲気下においても、モルタル填充工法や樹脂填充工法の場合に劣らず十分な道床沈下防止性能を発揮する点については、上記した第1実施形態の場合と同様である。
【0042】
(3)第3実施形態
上記した第1,2実施形態のほか、本発明の第3実施形態として、以下に説明するものも有効である。
これは、上記した第1実施形態のアスファルト系構造材料であるアスファルトと繊維の混成物に、さらに流動化材を混合したアスファルト系構造材料である。これは、繊維が混合されたアスファルト内に、さらに流動化材を改質材として混合させることにより、流動物状態となった混成物全体の流動性を改善させ、填充性能を向上させるものである。ただし、その機能等の点から、流動化材には所定の品質や条件等が要求される。
【0043】
流動化材は、加熱アスファルト中に溶融し、流動物状態となった混成物全体の流動性、特に低温域(例えば第1温度程度)でのアスファルト自体の流動性をさらに増大させ、填充材としての填充性能を一層向上させる機能を有する必要がある。また、アスファルト内の他の混合要素との親和性が高く、他の混合要素のアスファルト内での分散混合や流動化を補助する機能を有することも必要である。例えば、このような流動化材として、非晶質ポリオレフィン系樹脂が好適である。
【0044】
オレフィンとは、一般に、1個の炭素間二重結合を有し、反応性が高い不飽和炭化水素をいい、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が含まれる。ポリオレフィンとは、オレフィンの重合により生成される樹脂状物質をいい、例えば、エチレンから生成されるポリエチレン、プロピレンから生成されるポリプロピレン、ブチレンから生成されるポリブテン等が含まれる。非晶質とは、アモルファス状、あるいはゴム状であることをいう。したがって、非晶質ポリオレフィン系樹脂とは、アモルファス状又はゴム状のポリオレフィンを含む合成樹脂である。また、これらの単体だけでなく適宜のものを適宜の割合で組み合わせてもよい。
【0045】
また、この非晶質ポリオレフィン系樹脂の場合は、アスファルトの性質を改良するために混合される改質材であり、アスファルト系構造材料全体に対する混合割合は、おのずと上限値があると考えられる。例えば、重量パーセントで、アスファルト系構造材料全体に対し5%程度である。
【0046】
また、アスファルトと繊維と非晶質ポリオレフィン系樹脂を混合した混成物を、第1温度よりも高温な第2温度(例えば220〜260°C程度)まで加熱し、混成物を溶融状態として骨材に填充する点については、上記した第1,2実施形態の場合と同様である。そして、注入後短時間経過時点、あるいは高温雰囲気下においても、モルタル填充工法や樹脂填充工法の場合に劣らず十分な道床沈下防止性能を発揮する点についても、上記した第1,2実施形態の場合と同様である。また、この非晶質ポリオレフィン系樹脂は、予め基材のアスファルトに混合させておいてもよいし(プレミックス方式)、アスファルトに繊維又は粉末を混合する際に同時添加してもよい(プラントミックス方式)。
【0047】
(4)第4実施形態
上記した第1〜3実施形態のほか、本発明の第4実施形態として、以下に説明するものも有効である。
これは、上記した第1実施形態のアスファルト系構造材料であるアスファルトと繊維の混成物に、さらに粘弾性化材を混合したアスファルト系構造材料である。これは、繊維が混合されたアスファルト内に、さらに粘弾性化材を改質材として混合させることにより、硬化後の混成物の粘弾性を改善し、じん性の高いものとするものである。ただし、機能等の点から、粘弾性化材には所定の品質や条件等が要求される。
【0048】
粘弾性化材は、加熱アスファルト中に溶融し、硬化後の混成物全体に粘弾性を付与し、アスファルト系構造材料が硬化後に低温状態となった場合でも「割れ」を生じないようにする機能を持つ必要がある。例えば、このような粘弾性化材として、ゴム系樹脂が好適である。
【0049】
このゴム系樹脂としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)等を含む樹脂が挙げられる。また、これらの単体だけでなく適宜のものを適宜の割合で組み合わせてもよい。
【0050】
また、このゴム系樹脂の場合は、アスファルトの性質を改良するために混合される改質材であり、アスファルト系構造材料全体に対する混合割合は、おのずと上限値があると考えられる。例えば、重量パーセントで、アスファルト系構造材料全体に対し5%程度である。
【0051】
また、アスファルトと繊維とゴム系樹脂を混合した混成物を、第1温度よりも高温な第2温度(例えば220〜260°C程度)まで加熱し、混成物を溶融状態として骨材に填充する点については、上記した第1〜3実施形態の場合と同様である。そして、注入後短時間経過時点、あるいは高温雰囲気下においても、モルタル填充工法や樹脂填充工法の場合に劣らず十分な道床沈下防止性能を発揮する点についても、上記した第1〜3実施形態の場合と同様である。また、このゴム系樹脂は、予め基材のアスファルトに混合させておいてもよいし(プレミックス方式)、アスファルトに繊維,粉末又は非晶質ポリオレフィン系樹脂等を混合する際に同時添加してもよい(プラントミックス方式)。
【0052】
(5)第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態であるアスファルト填充工法について、図を参照しつつ詳細に説明する。
図2は、本発明の第5実施形態であるアスファルト填充工法に用いるアスファルト填充装置の構成を示す概念図である。図に示すように、このアスファルト填充装置1は、アスファルト加熱混合部2とアスファルト移送部3を備えて構成されている。
【0053】
アスファルト加熱混合部2は、加熱容器21と、モータ22と、攪拌羽根23を有している。加熱容器21内には、ブローンアスファルトやプレパウダーアスファルト等のアスファルト材料を投入する。加熱容器21には電熱ヒータ等の加熱器(図示せず)が設けられており、投入された材料を加熱することができる。また、加熱容器21内には攪拌羽根23が設けられ、攪拌羽根23はモータ22により回転駆動されるように構成されている。
【0054】
アスファルト移送部3は、ポンプ32と移送管路33,34を有しており、移送管路33は加熱容器21内のアスファルト材料中に挿入されている。また、ポンプ32はモータ31により駆動されるように構成されている。
【0055】
また、被填充体である道床5は、砕石等の骨材51を路盤7上に敷設し、その断面形状が略台形状をなす床状に予め形成されている。道床5の斜面の最下端には枠板6が設けられている。骨材51は、従来の鉄道道床用の砕石と同様の材質、形状、粒度のものとする。
【0056】
上記のような構成により、投入されたアスファルト材料を第1温度(例えば120〜185°C)まで加熱することによりアスファルト材料を軟化させ、攪拌可能な粘度の粘性体状態にした後、上記した繊維、粉末、非晶質ポリオレフィン系樹脂、又はゴム系樹脂のうちの一つ又は適宜の組合わせを所定の量だけ加熱容器21内に投入し、攪拌羽根23の回転により均一にかき混ぜ、これらを軟化したアスファルト材料中に分散混合させる(第1工程)。
【0057】
次に、上記の混成物を第1温度よりも高温な第2温度(例えば220〜260°C)まで加熱する。この第2温度まで加熱すると、上記の混成物は溶融状態となり、粘度が低下し、図において4で示すように、流動物(以下、「アスファルト系構造材料流動物」という。)の状態となる(第2工程)。
【0058】
次に、モータ31を作動させ、アスファルト系構造材料流動物4を加熱容器21から移送管路33で吸引し、ポンプ32により送出し、移送管路34により道床5の上方から散布し流し込む。アスファルト系構造材料流動物4は、粘性が低い流動物状になっているので、骨材51の間に滑らかに流入し、道床5の最深部まで効率良く填充させることができる。その後、道床5の最上部からアスファルト系構造材料流動物4が溢れてきた状態となったら、アスファルト系構造材料流動物4の散布を停止する(第3工程)。この際、枠板6は、アスファルト系構造材料流動物が道床5の最深部まで流下した後、道床5の側方へ流出しようとすることを防止する。
【0059】
アスファルト系構造材料流動物4の填充を停止した後は、道床5をそのまま放置し、冷却する。この冷却により、流動物状のアスファルト系構造材料4は硬化してアスファルト系構造材料硬化物となり、骨材51と協同して一種の複合構造物であるアスファルト系構造材料填充構造物を形成する(第4工程)。
【0060】
上記したアスファルト系構造材料填充構造物においては、骨材51の相互間の間隙を填充したアスファルト系構造材料が硬化してアスファルト系構造材料硬化物となることにより、所定の初期強度及び最終強度と粘弾性を示す。したがって、各骨材51は、アスファルト系構造材料硬化物により粘弾性的に支持される。このため、上方からの荷重や振動が加えられても、骨材は圧密や側方流動を起こさず、道床の沈下が防止される。したがって、鉄道道床に使用した場合には、道床の保守作業が不要となったり、道床保守の作業周期が非常に長期化し、鉄道の保守コストを大幅に低減することが可能となる。
【0061】
上記のようにして形成するアスファルト系構造材料填充構造物としては、図3に示すように、いくつかの種類が考えられる。図3(A),(B),(C)は、鉄道用の道床に用いた例を示している。
【0062】
図3(A)に示す例は、路盤7の上に略台形断面形状の床状に敷設された骨材51のうち、路盤7の直上からまくらぎ8の側方の骨材までをもアスファルト系構造材料硬化物41によって填充した構造物である。
【0063】
このように構成すると、道床の沈下を防止できるだけでなく、列車荷重や振動によるまくらぎ8の水平方向へのずれや移動も規制することができ、さらに、列車振動や風圧による道床の斜面からの骨材の転落や飛散も防止することができる。
【0064】
ただし、この場合には、アスファルト系構造材料填充構造物の中にまくらぎ8が全部埋設されているので、まくらぎ8及びレール9,9の位置変更や交換を行おうとした場合には、まくらぎ8の側方のアスファルト系構造材料填充構造物を一部除去しなければならず、施工がやや困難となる、という問題を有している。
【0065】
また、図3(B)に示す例は、路盤7の上に略台形断面形状の床状に敷設された骨材51のうち、まくらぎ8のやや下方にある骨材(上バラスト)とまくらぎ8の側方の骨材までをアスファルト系構造材料硬化物42によって填充し、上バラストよりも下方にある骨材(下バラスト)は填充せず未填充部53として残し、かつ道床の頂面及び側方斜面をアスファルトで舗装し舗装部52とした構造物である。
【0066】
このように、上部のみに填充を行い、下部にはアスファルト系構造材料が行き渡らないようにするため、填充部と未填充部の境界付近に両者を区画するためのビニールシートや不織布等の区画部材(図示せず)を配置するか、いったん未填充部の頂部まで道床を形成し頂面に舗装等を行って下部への填充材の浸透を防止する対策を施した後に填充部の骨材を敷設してアスファルト系構造材料の填充を行う、などの対策を講じる必要がある。
【0067】
この図3(B)に示す例のように構成すると、道床沈下とまくらぎ8の水平移動の防止機能については、図3(A)に示す例ほどではないもののある程度期待でき、列車振動や風圧による道床の斜面からの骨材の転落や飛散も防止することができる。また、この図3(B)に示す例の大きな利点は、填充に使用するアスファルト系構造材料の量を図3(A)に示す例に比べ大幅に節約することができるため、全体の工事費用を非常に低く抑えることができる点にある。
【0068】
図3(C)に示す例は、路盤7の上に略台形断面形状の床状に敷設された骨材51のうち、路盤7の直上からまくらぎ8の直下の骨材までをアスファルト系構造材料硬化物43によって填充し、まくらぎ8の側方の骨材は填充せず未填充部54として残した構造物である。
【0069】
このように構成すると、道床沈下防止機能については、図3(A)に示す例と同様の効果が期待でき、列車振動や風圧による道床の斜面からの骨材の転落や飛散も防止することができる。しかし、この場合には、まくらぎ8の水平移動の防止機能については、図3(A)に示す例ほどではない。しかしながら、この場合には、図3(A)に示す例とは逆に、まくらぎ8の側方までアスファルト系構造材料が填充されてはいないため、まくらぎ8及びレール9,9の位置変更や交換を容易に行うことができる、という利点がある。
【0070】
【実施例】
上記の第1〜5実施形態に示したアスファルト系構造材料、及びアスファルト填充工法について、実際に実験を行ったものの配合例を以下に示す。下記において、数値はアスファルト系構造材料全体に対する重量パーセントである。
【0071】
▲1▼実施例A
ブローンアスファルト 47.5%
プレパウダーアスファルト 40.0%
炭素繊維 0.5%
マイカ粉末 10.0%
非晶質ポリアルファオレフィン 2.0%
【0072】
▲2▼実施例B
ブローンアスファルト 25.0%
プレパウダーアスファルト 52.5%
炭素繊維 0.5%
マイカ粉末 20.0%
スチレンブタジエンゴム 2.0%
【0073】
上記各実施例において、ブローンアスファルトは、針入度が10〜20程度のものを使用した。また、プレパウダーアスファルトは、針入度が0〜5程度のものを使用した。また、炭素繊維は、長さ3mm以下、直径1mm以下程度のものを使用した。また、マイカ粉末は、直径が62μm以下程度のものを使用した。また、非晶質ポリアルファオレフィンは、非晶質ポリプロピレンと非晶質ポリエチレンの配合体である。ここで、アルファは、高分子化合物において主要官能基の結合している炭素原子の位置に置換基が結合することを表わしており、ポリプロピレンとポリエチレンの結合では大部分がアルファ結合となる。上記した各実施例では、A,Bいずれの場合も、ブローンアスファルトとプレパウダーアスファルトを混合しているが、これはいずれか一方のみであってもよい。また、実施例A,Bのいずれの場合も、炭素繊維とマイカ粉末を混合しているが、これについてもいずれか一方のみであってもよい。
【0074】
上記した実施例A,Bのアスファルト系構造材料、及び従来のアスファルト填充材について、1辺が6cmの立方体状に形成した試験体を作成し、JIS R2226(耐火レンガの圧縮強度の測定方法)に規定する試験方法に準じて圧縮強度を測定した。従来のアスファルト系構造材料は、ブローンアスファルトとストレートアスファルトを1:1の割合で混合したものである。この場合の各経過時間における圧縮強度の値を以下に示す。下記の測定結果において、経過時間は、アスファルト等の試験体鋳型への流し込み終了後の経過時間であり、単位は分である。また、圧縮強度の値の単位はMPaである。
Figure 0003771999
【0075】
また、上記の結果を、横軸に経過時間(単位:分)をとり、縦軸に圧縮強度(単位:MPa)をとって示したものが図4(A)である。図4(A)において、曲線A3は実施例Aの配合のアスファルト系構造材料の場合を、曲線B3は実施例Bの配合のアスファルト系構造材料の場合を、曲線C3は従来のアスファルトのみの填充材の場合を、それぞれ示している。これらの数値や図からわかるように、仮にアスファルト系構造材料の強度規格値σB として0.1MPaを採用すると、従来のアスファルトのみの填充材の場合には、60分すなわち1時間経過後の時点では、強度規格値σB の60%であり、初期強度が低く、道床填充に用いた場合には道床沈下防止性能が不足していることを示している。これに対し、実施例A,Bは、いずれの場合も、1時間経過後の時点では、強度規格値σB を上まわっており、初期強度が高く、道床填充に用いた場合、十分な道床沈下防止性能を有することがわかる。特に、実施例Bの場合には、1時間経過時点の圧縮強度が0.21MPaと強度規格値σB の2倍以上の値に達している。これは、マイカ粉末によるアスファルトの補強がかなり有効であるとも考えられる。
【0076】
次に、実施例A,Bのアスファルト系構造材料、及び上記と同様の配合のアスファルトのみの填充材について、上記と同様の試験体を作成し、JIS R 2226に規定する試験方法に準じて圧縮強度を測定した。最終強度に達した後の各雰囲気温度における圧縮強度の値を以下に示す。下記の測定結果において、温度の単位は°Cであり、圧縮強度の値の単位はMPaである。
Figure 0003771999
【0077】
また、上記の結果を、横軸に雰囲気温度(単位:°C)をとり、縦軸に圧縮強度(単位:MPa)をとって示したものが図4(B)である。図4(B)において、曲線A4は実施例Aの配合のアスファルト系構造材料の場合を、曲線B4は実施例Bの配合のアスファルト系構造材料の場合を、曲線C4は従来のアスファルトのみの填充材の場合を、それぞれ示している。これらの数値や図からわかるように、この場合にも、仮にアスファルト系構造材料の強度規格値σB として0.1MPaを採用すると、従来のアスファルトのみの填充材の場合には、もとになる最終強度自体が低いうえに高温になると圧縮強度の低下度合が大きく、60°Cにおける圧縮強度は0.15MPaしかなく、70〜80°C程度になると圧縮強度が強度規格値σB を下まわる可能性があり、直射日光にさらされる盛夏期には道床沈下防止性能が確保されないおそれがあることを示している。これに対し、実施例A,Bのアスファルト系構造材料は、いずれの場合も、最終強度及び強度低下率のいずれにおいても余裕があることがわかる。特に、実施例Bの場合には、60°Cにおける圧縮強度は0.4MPaもあり、圧縮強度が強度規格値σB を下まわる温度は150°C以上と考えられ、盛夏期等においても圧縮強度が強度規格値σB を下まわるおそれはなく、つねに十分な道床沈下防止性能が確保され得ることを示している。
【0078】
上記した各実施例A,Bの配合のアスファルト系構造材料については、さらに、鉄道道床に対し試験施工を行なった。すなわち、基材であるブローンアスファルト及びプレパウダーアスファルトの混成物に繊維、粉末、添加材等を第1温度(例えば120〜185°C)で混合し、その混成物を、第1温度よりも高温な第2温度(例えば220〜260°C程度)まで加熱し、填充材を流動状態とした。次に、この流動物を鉄道道床形状に敷設した骨材の上から散布したところ、填充材は骨材間に滑らかに流入し、骨材の最深部まで効率良く填充させることができた。その後、道床最上部からアスファルト系構造材料が溢れてきた状態で填充材散布を停止し、放置冷却した。その後、冷却によりアスファルト系構造材料は硬化し、約1時間経過後には所定の強度を発現した。この結果から、注入後短時間経過後での列車走行開始が要求される鉄道の営業線においても、上記のアスファルト系構造材料は十分使用可能であることがわかる。
【0079】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態及び各実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0080】
例えば、上記各実施形態においては、骨材として、かこう岩、安山岩、硬質砂岩等からなる稜角の多い砕石、あるいは細粒分の比較的少ない粒度分布(例えば粒径が15〜75mm程度)の砕石を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の種類の骨材、例えば他の材質の天然岩石を砕いた砕石、砂利、石炭ガラ、高炉スラグ、セラミックス等の人工材料による人工骨材などであってもよく、また粒度分布も他の粒度であってもよく、稜角の少ないもの、あるいは稜角のない玉石状の骨材であってもよい。
【0081】
また、上記各実施形態においては、アスファルト系構造材料として、アスファルトに繊維を適宜の割合で混合したもの(第1実施形態)、アスファルトに粉末を適宜の割合で混合したもの(第2実施形態)、アスファルトに繊維と流動化材をそれぞれ適宜の割合で混合したもの(第3実施形態)、アスファルトに繊維と粘弾性化材をそれぞれ適宜の割合で混合したもの(第4実施形態)を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成のアスファルト系構造材料、例えば、第1実施形態の混成物(アスファルトに繊維を適宜の割合で混合したもの)に粉末、流動化材、粘弾性化材のいずれか又はこれらの適宜の組み合わせを適宜の割合で混合してもよいし、第2実施形態の混成物(アスファルトに粉末を適宜の割合で混合したもの)に繊維、流動化材、粘弾性化材のいずれか又はこれらの適宜の組み合わせを適宜の割合で混合してもよい。
【0082】
例えば、アスファルトに混合して強度向上等に寄与させる粉末については、上述したもののほか、石灰岩(石灰石)の粉末も有効である。石灰岩の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3 )である。また、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2 )の粉末、酸化カルシウム(CaO)の粉末も有効である。これらは、いずれもカルシウム分を含んでいる。一般に、ポルトランドセメント等のセメントに水と砂や砕石等の骨材を混合すると、セメントと水が水和反応を行い、セメントの水和反応生成物が骨材どうしを強固に固結させることにより強度の高いコンクリートとなる。この際、セメントの水和反応生成物の主たるものは、カルシウム塩(カルシウムケイ酸化物)である。したがって、アスファルトにカルシウム分を含んだ物質の粉末を混合させた場合は、コンクリートの場合と類似した生成物により強度向上が図られるものと考えられる。これらの材料は、カルシウム系材料に相当している。
【0083】
また、アスファルトに混入させる繊維又は粉末としては、珪砂等のシリカ(二酸化ケイ素:SiO2 )、アルミナ(Al23)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2 )、ムライト(3Al23・2SiO2 )、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5又はAl23・TiO3 )、LAS(Li2O−Al23−SiO2)、コーディエライト又はMAS(2MgO・2Al23・5SiO2 )、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)等についても、強度向上に有効である。これらは、セラミックスの主成分であり、アスファルト中に混合された場合は、セラミックスと類似した生成物により強度向上が図られるものと考えられる。これらの材料は、セラミックス系材料に相当している。
【0084】
また、アスファルトに混入させる粉末としては、石英、長石類やフッ石類についても、強度向上に有効である。石英は、二酸化ケイ素(SiO2 )を主成分とする。長石類は、正長石(K〔AlSi38〕)、曹長石(N〔AlSi38〕)、灰長石(Ca〔Al2Si28 〕)を含む鉱物である。また、フッ石類は、方フッ石(Na〔AlSi26〕・H2O )、輝フッ石(Ca2〔Al4Si1436〕・12H2O )を含む鉱物である。一般に、長石類やフッ石類は、岩石の成分である。したがって、アスファルトに長石類やフッ石類の粉末を混合させた場合は、岩石等の場合と類似した生成物により強度向上が図られるものと考えられる。
また、上記と同様の理由から、アスファルトに混入させる粉末としては、岩石や砂を粉砕して生成した石粉等も強度向上に有効である。
これらの材料は、岩石鉱物系材料に相当している。
【0085】
また、アスファルトに混入させる粉末としては、カオリン系粘土、陶石、タルクについても、強度向上に有効である。カオリン系粘土は、カオリナイト(Al2 Si25(OH)4 )やハロイサイト(Al2Si25(OH)4 ・2H2O)などのカオリン鉱物を主成分とする粘土である。また、陶石は、セリサイトを主成分とし、石英を含む材料である。また、タルクは、含水マグネシウムケイ酸塩鉱物である。一般に、カオリン系粘土、陶石、タルク等は、焼成により固化し陶磁材料や耐火材料となる。したがって、アスファルトにカオリン系粘土、陶石、タルク等の粉末を混合させた場合は、陶磁器等の場合と類似した生成物により強度向上が図られるものと考えられる。これらの材料は、陶磁系材料に相当している。
【0086】
また、アスファルトの強度向上を目的として混入させる繊維又は粉末としては、上述したようにガラスも有効である。ガラスは、一般には、ケイ酸塩又は硼酸塩若しくは燐酸塩と塩基性酸化物を混合溶融し非晶質状態で固化させたものである。例えば、シリカ(二酸化ケイ素:SiO2 )と炭酸ナトリウム(Na2CO3)と炭酸カルシウム(CaCO3 )を混合溶融させ急速冷却させたソーダ石灰ガラス等が知られている。陶磁器における釉薬や、七宝細工等の硬質成分はガラス質である。したがって、アスファルトにガラス質物質の粉末を混合させた場合は、ガラスや陶磁器等の場合と類似した生成物により強度向上が図られるものと考えられる。これらの材料は、ガラス系材料に相当している。
【0087】
また、アスファルトに混入させる粉末としては、上述したように雲母(マイカ)も有効である。雲母は、フィロケイ酸塩鉱物であり、天然に産出する白雲母(マスコバイト:KAl2(Si3Al)O10(OH)2 )、ソーダ雲母(パラゴナイト:NaAl2(Si3Al)O10(OH)2 )、金雲母(フロゴパイト:KMg3(Si3Al)O10(OH)2 )、黒雲母(バイオタイト:K(Mg,Fe)3(Si3Al)O10(OH)2 )が含まれる。また、金雲母のOH基のかわりにフッ素(F)が入ったフッ素金雲母が工業的に製造されており、合成マイカと呼ばれている。これらのマイカは、ガラスの脆性を改善しガラスの性質を有しながら機械加工も可能としたマイカ結晶化ガラス等の材料として用いられている。したがって、アスファルトにマイカの粉末を混合させた場合は、マイカセラミックス等の場合と類似した生成物により脆性の改善、すなわち粘弾性向上が図られ、かつ、アスファルト単体に比べ最終強度も向上するものと考えられる。したがって、これらのマイカは、小径混入部材としても、粘弾性化材としても使用可能である。また上記の各マイカは、マイカ系材料に相当している。
【0088】
上記した炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、二酸化ケイ素、ガラス等の粉末は、アスファルトに比較して比重が相対的に大きい(以下、これらの粉末を「大比重粉末」という。)。このため、これらを単独でアスファルト中に混入させると、粉末分がアスファルト底部に沈澱し、アスファルト分と粉末分との材料分離が発生する場合がある。このような材料分離が生じると、アスファルトの強度向上等は図れない。一方、マイカ粉末は、アスファルトに比較して比重が相対的に小さいため、アスファルト中に混入させた場合、粉末分がアスファルト中に長時間浮遊し、アスファルト分と粉末分との材料分離が発生することが少ない。このことを利用し、上記した炭酸カルシウム等の大比重粉末をアスファルト中に混入させる際に、マイカ粉末も混入させると、アスファルト中に浮遊するマイカ粉末が大比重粉末の沈澱を防止するように作用する。この場合、大比重粉末とマイカ粉末の配分比率が、ほぼ1:1のときに、大比重粉末の沈澱防止効果が最も良好であった。また、マイカ粉末は、上記したようにアスファルトの粘弾性改良効果も有するので、アスファルトの性質改良の観点から好ましい。さらに、マイカ粉末は、大比重粉末に比べ、価格的にも低廉であり、アスファルト系構造材料の低廉化にも有効である。
【0089】
また、上記した第2実施形態の説明においては、アスファルト中での分散性能等の点から見た粉末の直径として、10〜100μm程度の値を例に挙げて説明したが、上記した岩石の粉砕粉末等をも考慮すると、粉末の直径の範囲は、10μm〜1mm程度まで許容可能である。
【0090】
また、上記した第2実施形態の説明においては、強度の点から見た粉末の混合割合の上限値は、重量パーセントでアスファルト系構造材料全体に対し30%程度の値を例に挙げて説明したが、上記した大比重粉末をアスファルト中に混合することをも考慮すると、この上限値は重量パーセントでアスファルト系構造材料全体に対し50%程度まで許容可能である。
【0091】
また、上記した第3実施形態の説明においては、流動化されたアスファルト系構造材料の流動性を高めるための流動化材として、非晶質ポリオレフィン系合成樹脂を例に挙げて説明したが、本発明のアスファルト系構造材料における流動化材はこれには限定されない。一般に、熱可塑性樹脂は、上記の流動化材として使用可能である。熱可塑性樹脂は、常温では固体であるが、加熱すると軟化し、さらに加熱すると溶融して流動状態となる合成樹脂である。このため、アスファルト系構造材料中に混入させれば、アスファルト系構造材料の流動状態においては、熱可塑性樹脂も流動状態となり、アスファルト系構造材料の流動性を高めると考えられる。熱可塑性樹脂には、上記したポリエチレン、ポリプロピレン等のほか、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、スチレン系共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、セルロースアセテート、その他のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド、シリコン樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアリルエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレン、ACS樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂等が含まれる。
【0092】
本発明のアスファルト系構造材料における流動化材としては、さらに他の物質も使用可能である。一般に、アスファルト乳化剤は、加熱アスファルトの流動性の向上に有効である。このアスファルト乳化剤は、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤に分類され、アスファルトを微粒子として乳化させるための物質であり、このアスファルト乳化性能が加熱時のアスファルトの流動化向上に寄与すると考えられる。
アニオン系乳化剤としては、ロジン、リグニン、トールオイル等の木材製品の副産物のカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸や高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸等のアルカリ金属塩などが挙げられる。ロジンは、松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留することにより得られる黄色から褐色の半透明の物質であり、アビチエン酸、パラストリン酸等を主成分とする。リグニンは、セルロースとともに植物の木質部を形成する無色から褐色の物質であり、紙パルプの亜硫酸溶液から得られる。トールオイル(トール油)は、ロジン、脂肪酸、ステロール、高分子量のアルコール等からなる黄色から黒色の樹脂状物質であり、木材パルプ製造時の廃液から得られる。
カチオン系乳化剤としては、牛脂や椰子油を原料とする脂肪酸誘導体のアミン(ジアミン、トリアミン、イミダゾリン等)の塩酸塩又は酢酸塩が挙げられる。
【0093】
また、上記の流動化材を使用すれば、同一温度ではアスファルトの流動性を高めることができる。したがって、流動化材を用いれば、同程度の流動性を得るのに必要な加熱温度(第1温度)を低下させることができる。
【0094】
また、本発明のアスファルト系構造材料に熱硬化性樹脂を混合すれば、固化後のアスファルト系構造材料の強度は向上すると考えられる。一般に、熱硬化性樹脂は、加熱すると硬化する合成樹脂である。このため、アスファルト系構造材料中に混入させれば、アスファルト系構造材料の硬度の向上に寄与すると考えられる。熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フタル酸樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化ポリブタジエン等が含まれる。
また、熱可塑性樹脂の場合も、冷却後は固化するため、固化後のアスファルト系構造材料の強度は向上すると考えられる。したがって、一般に、合成樹脂(プラスチックス)は、アスファルト系構造材料の強度向上に有効である。
【0095】
また、上記した実施形態においては、アスファルト内に混合する部材として、繊維と粉末とを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、一般に、小径の混入部材であれば、形状はどのようなものであってもよく、粉末よりも粒径の大きい粒子状であってもよい。また、この小径混入部材は、金属材料のように、溶融アスファルト内においてもアスファルトと融合せず混合状態を保持し得る部材であってもよい。この場合には、固化後のアスファルト系構造材料内においては、混合された小径部材は、アスファルト内に分散されており、アスファルト内に融合して消失しているわけではないため、「混合物」ということができる。一方、本発明における小径混入部材は、合成樹脂のように、高温の溶融アスファルト内においては、アスファルトと融合し、純粋のアスファルトとは異なる組成のアスファルト系物質を生成するような部材であってもよい。この場合には、固化後のアスファルト系構造材料内においては、混合された小径部材は、アスファルト内に融合して消失しており、新たな物質を合成しているため、「合成物」ということができる。上記記載における「混成物」は、混合物と合成物の2つの概念を併せた概念を表現する用語として用いられたものである。
また、上記記載における「改質材」は、流動化材と粘弾性化材の概念を含む上位概念を表現する用語として用いられたものであり、流動状態又は硬化後の混成物の性質を改良する物質に相当している。
【0096】
また、上記各実施形態においては、アスファルト系構造材料を骨材の填充材として用いた構造物として、鉄道用道床を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の種類の構造物、例えば道路における床状部、ふ頭やその他の港湾構造物における床状部、滑走路やエプロン等の空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部などであってもよい。
【0097】
また、本発明に係るアスファルト系構造材料は、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に流動状態で流し込んでアスファルト系構造材料填充構造物を施工する填充工法以外に、他のアスファルト系構造物の施工に利用することも可能である。例えば、本発明に係るアスファルト系構造材料と、砂や砕石等の骨材とを混合して、アスファルト骨材混成物を作り、これを敷きならして締め固めることにより、層状の構造を形成することもできる。
本発明に係るアスファルト系構造材料は、アスファルトに繊維又は粉末等が混合されており、いわゆる天然アスファルトに類似した組成を有し、硬くかつ耐摩耗性が高いという性質を有している。
したがって、本発明に係るアスファルト系構造材料は、新設道路建設用舗装材料、既設道路舗装のひび割れ,穴等の補修用材料、又は橋りょう上のジョイント部分の舗装の補修用材料、あるいは橋りょう等における段差部のすり付け用材料としても利用可能である。
このように、天然アスファルト類似の材料として使用する場合には、耐摩耗性能をさらに向上させるため、粒径が1〜5mm程度の粒子状の天然砕石、人工砕石、砂等を混合するとよい。
【0098】
また、本発明に係るアスファルト系構造材料を用いた他の施工方法も可能である。例えば、アスファルトを第1温度(繊維等の混合素材の攪拌が可能となる温度)まで加熱して攪拌可能な粘度とした後、このアスファルトに、所定の強度と所定の耐熱性とアスファルト中での所定の分散性能を有する材料からなる繊維、粉末のいずれか又はこれらの適宜の組合わせを適宜の割合で混入させ攪拌して混成物を生成したのち、これを冷却して硬化させ、破砕して塊状にし、その後、骨材間への填充、骨材との混合等の施工時に、現場等において、この塊状材を第1温度よりも高温な第2温度(骨材等への填充が可能な流動状態となる温度)まで加熱して流動化させて使用する方法が挙げられる。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、120〜185゜Cまで加熱されたアスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成した後、混成物を220〜240゜C、又は220゜Cまで加熱し流動化させて骨材間の間隙に填充させるようにしたので、アスファルト単体の場合よりも初期強度、最終強度及び填充性が改善され、骨材からなる床状の構造物の沈下を有効に防止することができ、かつ工事費用も低廉な価格に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるアスファルト系構造材料の強度に関する特性を示す概念図である。
【図2】本発明の他の実施形態であるアスファルト填充工法の構成を示す概念図である。
【図3】図2に示すアスファルト填充工法により施工された軌道構造の例を示す図である。
【図4】本発明の実施例であるアスファルト系構造材料の強度に関する特性を示す図である。
【符号の説明】
1 アスファルト填充装置
2 アスファルト加熱混合部
3 アスファルト移送部
4 アスファルト系構造材料流動物
5 道床
6 枠板
7 路盤
8 まくらぎ
9 レール
21 加熱容器
22 モータ
23 攪拌羽根
31 モータ
32 ポンプ
33,34 移送管路
41〜43 アスファルト系構造材料硬化物
51 骨材
52 舗装部
53,54 未填充部

Claims (4)

  1. アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
    次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
    次いで、前記塊状物を、施工時において、220〜240゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
    次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
    次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
    前記小径混入部材としては、
    金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
    若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
    前記流動化材としては、
    1個の炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素であるオレフィンの重合により生成される樹脂状物質のうちアモルファス状又はゴム状のものであって、ポリエチレン、又はポリプロピレン、又はポリブテンを含む非晶質ポリオレフィン系樹脂と、
    松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
    かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
    を特徴とするアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法
  2. アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
    次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
    次いで、前記塊状物を、施工時において220゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
    次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
    次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
    前記小径混入部材としては、
    金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
    若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物 系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
    前記流動化材としては、
    1個の炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素であるオレフィンの重合により生成される樹脂状物質のうちアモルファス状又はゴム状のものであって、ポリエチレン、又はポリプロピレン、又はポリブテンを含む非晶質ポリオレフィン系樹脂と、
    松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
    かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであこと
    を特徴とするアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法
  3. アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
    次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
    次いで、前記塊状物を、施工時において、220〜240゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
    次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
    次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
    前記小径混入部材としては、
    金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
    若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
    前記流動化材としては、
    松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
    かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
    を特徴とするアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法
  4. アスファルトを120〜185゜Cまで加熱した後、前記アスファルトに、強度を高める小径混入部材と、流動性を高める流動化材を混入させ撹拌して混成物を生成する工程と、
    次いで、前記混成物を冷却により硬化させた後に破砕して塊状に形成する工程と、
    次いで、前記塊状物を、施工時において220゜Cまで加熱して溶融させ流動状態のアスファルト系構造材料を生成する工程と、
    次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記流動状態のアスファルト系構造材料を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる工程と、
    次いで、冷却により前記流動状態のアスファルト系構造材料を硬化させ、硬化したアスファルト系構造材料と前記骨材とにより構造物を形成させる工程を有するアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法であって、
    前記小径混入部材としては、
    金属材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又は植物性材料、又は動物性材料からなり、長さが1〜10mmで直径が0.01〜1mmの繊維、
    若しくは、金属材料、又はカルシウム系材料、又はセラミックス系材料、又は岩石鉱物系材料、又は陶磁系材料、又は炭素、又はガラス系材料、又はマイカ系材料からなり直径が10μm〜1mmの粉末が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が30%以下に設定され、
    前記流動化材としては、
    松の樹脂から抽出される粗製テレビン油を蒸留して得られるロジン、又は植物の木質部を形成するリグニン、又は前記ロジンと脂肪酸とステロールと高分子アルコールを有するトールオイルのカルボン酸又はスルフォン酸のアルカリ金属塩、脂肪酸又は高級アルコール硫酸エステル又はアルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩を含むアニオン系アスファルト乳化剤が用いられるとともに、前記アスファルト系構造材料全体に対する重量比率が5%以下に設定され、
    かつ、前記構造物は、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれかであること
    を特徴とするアスファルト系構造材料を用いた構造物の施工方法。
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