JP3771668B2 - サーマルヘッドの調整方法および感熱記録装置 - Google Patents

サーマルヘッドの調整方法および感熱記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドを用いる感熱記録装置において、サーマルヘッドの個体差によらず一定の濃度で感熱記録を行うことができるサーマルヘッドの調整方法および感熱記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断画像の記録に、フィルム等を支持体としてその上に感熱記録層を形成した感熱記録材料(以下、感熱材料とする)を用いた画像記録(以下、感熱画像記録ともいう)が利用されている。
また、感熱画像記録は、湿式の現像処理が不要であり、取り扱いが簡単である等の利点を有することから、近年では、超音波診断のような小型の画像記録のみならず、CT診断、MRI診断、X線診断等の大型かつ高画質な画像が要求される用途において、医療診断のための画像記録への利用も検討されている。
【0003】
周知のように、感熱画像記録は、感熱材料の感熱記録層を加熱して画像を記録する、発熱素子を構成する発熱抵抗体が一方向に配列されてなるグレーズを有するサーマルヘッドを用い、グレーズ(発熱素子)を感熱材料(感熱記録層)に若干押圧した状態で、両者をグレーズの延在方向と直交する方向に相対的に移動しつつ、グレーズの各発熱素子にエネルギーを印加して、記録画像に応じて加熱することにより、感熱材料の感熱記録層を像様に加熱して画像記録を行う。
特に近年、医療用のような高画質を要求される用途においては、このようなグレーズの各発熱素子に印加するエネルギーの制御は、一定の印加電圧の下で印加時間を変調することにより行う、パルス幅変調により行われることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サーマルヘッドの製造に際して、同一の設計値をもつサーマルヘッドを製造しても、実際に得られた製品のグレーズ高さ、グレーズの幅、保護膜厚、ヒータサイズ等には個々のサーマルヘッドごとにばらつきがあり、設計値と完全に一致させるのは困難である。このため、ヒータサイズのばらつき等により個々のサーマルヘッドごとに抵抗値(例えば、最大抵抗値、平均抵抗値)が若干異なってしまい、同一電圧を印加してもサーマルヘッドごとに電流値が異なり、その結果、発熱素子に与える印加パワーが異なってしまう。また、同一の印加パワーを与えたとしても、グレーズや保護膜の熱容量のばらつきにより、記録部位の温度が異なり、異なった濃度が記録されてしまう。従って、同一の電圧を印加しても、ヘッドごとのグレーズ高さ、グレーズの幅、保護膜厚、ヒータサイズ等のサーマルヘッドの特性のばらつきにより、濃度が変動してしまうという問題がある。
【0005】
このような記録画像の濃度の感熱記録装置間のばらつきは、高画質な画像記録を要求される場合、特に、高精細な中間調画像の記録の場合には、大きな問題となっていた。特に、前述の医療用のように高精細、高画質の中間調画像が要求される用途では、画像観察の障害となり、診断のミスにもつながる重大な問題となっていた。
【0006】
また、このようなサーマルヘッドの特性のばらつきにより、印加パワーが適切に制御されずに、発熱素子に対して印加パワーが大きくなりすぎた場合には、その分だけ発熱素子が達するピーク温度が高くなるので、サーマルヘッドに対する熱ストレスが大きくなり、サーマルヘッドの耐久性が低下してしまうという問題がある。また、感熱記録媒体に対する熱のダメージ(例えば、表面のただれ)などの印字障害も起こりうる。このため、ピーク温度を感熱記録に支障を来さない程度にできるだけ下げ、サーマルヘッドに対して不必要に高い電圧を印加することを防止する、すなわち印加電圧を最適化する必要もある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、サーマルヘッドを用いる感熱記録装置において、サーマルヘッドの個体差や個体ばらつきによる濃度ばらつきを低減し、感熱記録媒体の損傷を無くし、サーマルヘッドの熱による劣化および性能の低下を防止して耐久性を向上することにより、サーマルヘッドによらず均質で、かつ、高画質・高品質の感熱画像を安定して記録することができるサーマルヘッドの調整方法および感熱記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、画像データに応じて電圧を印加することにより感熱記録材料に画像を記録するサーマルヘッドの調整方法であって、
前記サーマルヘッドの特性値である、発熱素子のグレーズ高さH、グレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lおよびヒータ長さLの各々について、予め定められた基準値をH 0 、W 0 、d 0 、l 0 およびL 0 とし、
前記サーマルヘッドの特性値が前記基準値H 0 、W 0 、d 0 、l 0 およびL 0 である場合における、必要最大濃度の記録のために前記発熱素子に印加すべき基準電圧をV 0 、前記発熱素子の抵抗値RをR 0 としたとき、P 0 =V 0 2 /R 0 で表される、必要最大濃度の記録に要するパワーP 0 に対する、前記特性値H、W、d、lおよびLの1つを変化させた場合における前記必要最大濃度の記録に要するパワーの変化率ΔP H 、ΔP W 、ΔP d 、ΔP l およびΔP L と、変化させた前記特性値H、W、d、lおよびLとの関係を、前記特性値の各々について予め求めておき、
前記サーマルヘッドの前記発熱素子の初期状態である前記特性値の初期値H i 、W i 、d i 、l i 、L i 、およびR i を測定し、
前記サーマルヘッドの特性値の初期値H i 、W i 、d i 、l i およびL i の各々に対応する前記必要最大濃度の記録に要する前記パワーの変化率ΔP H 、ΔP W 、ΔP d 、ΔP l およびΔP L を、それぞれ、予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、
求めた前記パワーの変化率ΔP H 、ΔP W 、ΔP d 、ΔP l 、ΔP L を用いて下記式(1)から求められる電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧 0 に対して調整することを特徴とするサーマルヘッドの調整方法を提供する。
Figure 0003771668
【0009】
ここで、さらに、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係を予め求めておき、
前記サーマルヘッドの使用量に応じて、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係から、前記経時変化後の前記保護膜厚dを予測し、
前記経時変化後の前記保護膜厚dにおけるパワーの変化率ΔPd を予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、
このパワーの変化率ΔPd を用いて前記式(1)により算出される電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整するのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、サーマルヘッドと、
画像データに応じて前記サーマルヘッドに電圧を印加する記録制御部と、
前記サーマルヘッドの特性値である、発熱素子のグレーズ高さH、グレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lおよびヒータ長さLの各々について、予め定められた基準値をH0 、W0 、d0 、l0 およびL 0 、前記サーマルヘッドの特性値が前記基準値H0 、W0 、d0 、l0 およびL0 である場合における、必要最大濃度の記録のために前記発熱素子に印加すべき基準電圧をV 0 、前記発熱素子の抵抗値RをR 0 としたとき、P 0 =V 0 2 /R 0 で表される、必要最大濃度の記録に要するパワーP0 に対する、前記特性値H、W、d、lおよびLの1つを変化させた場合における前記必要最大濃度の記録に要するパワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL と、変化させた前記特性値H、W、d、lおよびLとの関係を記憶する記憶部と、
測定された前記サーマルヘッドの前記発熱素子の初期状態である前記特性値の初期値Hi 、Wi 、di 、li およびLi の各々に対応する前記必要最大濃度の記録に要する前記パワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPlおよびΔPL を、それぞれ、予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、求めた前記パワーの変化率ΔP H 、ΔP W 、ΔP d 、ΔP l 、ΔP L を用いて前記式(1)から電圧Vを算出する処理部と、を有し、
前記記録制御部は、算出された前記電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整することを特徴とする感熱記録装置を提供する
ここで、前記記憶部は、さらに、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係を記憶し、
前記処理部は、前記サーマルヘッドの使用量に応じて、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係から、前記経時変化後の前記保護膜厚dを予測し、前記経時変化後の前記保護膜厚dにおけるパワーの変化率ΔPd を予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、
前記記録制御部は、このパワーの変化率ΔPd を用いて前記式(1)により算出される電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整するのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るサーマルヘッドの調整方法および感熱記録装置を添付の図面に示す好適実施例を基づいて以下に詳細に説明する。
【0012】
図1に、本発明のサーマルヘッドの調整方法を実施する本発明の感熱記録装置の一実施例の概略断面模式図を示す。
図1に示す感熱記録装置(以下、単に記録装置という)10は、例えばB4サイズ等の所定のサイズのカットシートである感熱記録材料(以下、単に感熱材料という)Aに感熱画像記録を行うものであり、感熱材料Aが収容されたマガジン24が装填される装填部14、供給搬送部16、サーマルヘッド66によって感熱材料Aに感熱画像記録を行う記録部20、および排出部22を有する。また、図に示されるように、記録部20のサーマルヘッド66には、画像処理部80および記録制御部84が接続され、さらに、画像処理部80にはデータ記憶部86が接続される。
【0013】
このような記録装置10においては、供給搬送部16によって記録部20まで感熱材料Aを搬送して、サーマルヘッド66を感熱材料Aに押圧しつつ、グレーズ66aの長手方向(図1および図2において紙面と垂直方向)と直交する方向に感熱材料Aを搬送して、記録画像に応じて各発熱素子を加熱することにより、感熱材料Aに感熱画像記録を行う。
【0014】
感熱材料Aは、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのフィルムや紙等を支持体として、その一面に感熱記録層を形成してなるものである。
このような感熱材料Aは、通常、100枚等の所定単位の積層体(束)とされて袋体や帯等で包装されており、図示例においては、所定単位の束のまま感熱記録層を下面として記録装置10のマガジン24に収納され、一枚づつマガジン24から取り出されて感熱画像記録に供される。
【0015】
マガジン24は、開閉自在な蓋体26を有する筐体であり、感熱材料Aを収納して記録装置10の装填部14に装填される。
装填部14は、記録装置10のハウジング28に形成された挿入口30、案内板32および案内ロール34,34、停止部材36を有しており、マガジン24は、蓋体26側を先にして挿入口30から記録装置10内に挿入され、案内板32および案内ロール34に案内されつつ、停止部材36に当接する位置まで押し込まれることにより、記録装置10の所定の位置に装填される。
【0016】
供給搬送手段16は、装填部14に装填されたマガジン24から感熱材料Aを取り出して、記録部20に搬送するものであり、吸引によって感熱材料Aを吸着する吸盤40を用いる枚葉機構、搬送手段42、搬送ガイド44、および搬送ガイド44の出口に位置する規制ローラ対52を有する。
搬送手段42は、搬送ローラ46と、この搬送ローラ46と同軸のプーリ47a、回転駆動源に接続されるプーリ47bならびにテンションプーリ47cと、この3つのプーリに張架されるエンドレスベルト48と、搬送ローラ46に押圧されるニップローラ50とを有し、吸盤40によって枚葉された感熱材料Aの先端を搬送ローラ46とニップローラ50とによって挟持して、感熱材料Aを搬送する。
【0017】
記録装置10において記録開始の指示が出されると、図示しない開閉機構によって蓋体26が開放され、吸盤40を用いた枚葉機構がマガジン24から感熱材料Aを一枚取り出し、感熱材料Aの先端を搬送手段42(搬送ローラ46とニップローラ50)に供給する。搬送ローラ46とニップローラ50とによって感熱材料Aが挟持された時点で、吸盤40による吸引は開放され、供給された感熱材料Aは、搬送ガイド44によって案内されつつ搬送手段42によって規制ローラ対52に搬送される。
なお、記録に供される感熱材料Aがマガジン24から完全に排出された時点で、前記開閉手段によって蓋体26が閉止される。
【0018】
搬送ガイド44によって規定される搬送手段42から規制ローラ対52に至るまでの距離は、感熱材料Aの搬送方向の長さより若干短く設定されており、搬送手段42による搬送で感熱材料Aの先端が規制ローラ対52に至るが、規制ローラ対52は最初は停止しており、感熱材料Aの先端はここで一旦停止して位置決めされる。
この感熱材料Aの先端が規制ローラ対52に至った時点で、サーマルヘッド66(グレーズ66a)の温度が確認され、サーマルヘッド66の温度が所定温度であれば、規制ローラ対52による感熱材料Aの搬送が開始され、感熱材料Aは、記録部20に搬送される。
【0019】
図2に記録部20の概略図を示す。記録部20は、サーマルヘッド66、プラテンローラ60、クリーニングローラ対56、ガイド58、サーマルヘッド66を冷却する冷却ファン76(図1参照)およびガイド62を有する。
サーマルヘッド66は、例えば、最大B4サイズまでの画像記録が可能な、約300dpiの記録(画素)密度の感熱画像記録を行うものであって、感熱材料Aへの感熱記録を行う発熱素子となる発熱抵抗体90(図4(a)および(b)参照)が多数一方向(図1および図2中紙面と垂直な長手方向)に配列されるグレーズ66aが形成されたアルミナセラミックス等の耐熱性に優れた電気絶縁材料からなるセラミック基板66bと、セラミック基板66bの、グレーズ66aと逆側の面に積層されているアルミニウム等の金属製板からなるベース66dと、このベース66dの他方の面にに固定され、多数の放熱フィン(図3参照)を持つアルミニウム等の金属製のヒートシンク66cとを有する。サーマルヘッド66は、支点68aを中心に矢印a方向および逆方向に回動自在な支持部材68に支持されている。
【0020】
次に、プラテンローラ60は、感熱材料Aを所定位置に保持しつつ所定の画像記録速度で回転し、主走査方向と直交する方向(図2中の矢印b方向)に感熱材料Aを搬送する。
クリーニングローラ対56は、弾性体である粘着ゴムローラ56aと、通常のローラ56bとからなるローラ対であり、粘着ゴムローラ56aが感熱材料Aの感熱記録層に付着したゴミ等を除去して、グレーズ66aへのゴミの付着や、ゴミが画像記録に悪影響を与えることを防止する。
【0021】
図示例の記録装置10において、感熱材料Aが搬送される前は、支持部材68は上方(矢印a方向と逆の方向)に回動しており、サーマルヘッド66(グレーズ66a)とプラテンローラ60とは接触していない。
前述の規制ローラ対52による搬送が開始されると、感熱材料Aは、次いでクリーニングローラ対56に挟持され、さらに、ガイド58によって案内されつつ搬送される。感熱材料Aの先端が記録開始位置(グレーズ66aに対応する位置)に搬送されると、支持部材68が矢印a方向に回動して、感熱材料Aがサーマルヘッド66のグレーズ66aとプラテンローラ60とで挟持されて、記録層にグレーズ66aが押圧された状態となり、感熱材料Aはプラテンローラ60によって所定位置に保持されつつ、プラテンローラ60(および規制ローラ対52と搬送ローラ対63)によって矢印b方向に搬送される。
この搬送に伴い、記録画像に応じてグレーズ66aの各発熱抵抗体90を加熱することにより、感熱材料Aに感熱画像記録が行われる。
【0022】
図3にサーマルヘッド66の部分切欠概略斜視図およびその制御ブロック図を示し、図4(a)および(b)にそれぞれサーマルヘッド66のグレーズ66a部分の詳細を示す部分断面模式図およびその部分上面模式図を示す。
また、図3に示すように、サーマルヘッド66は、グレーズ66a、セラミック基板66b、ヒートシンク66cおよびベース66dを有するのは上述した通りであるが、サーマルヘッド66のヒートシンク66cの複数のフィンにはグレーズ66aに対応する部分に、例えば所定の間隔で5ヶ所の切欠を有し、この切欠部分のヒートシンク66cの基部には各画素のグレーズ66aの温度を計測するためのサーミスタ66eが取り付けられている。そして、これらのサーミスタ66eは、グレーズ66aの温度(すなわち、この部分の発熱抵抗体90(図4(a)、(b)参照)の温度)を検出し、一点鎖線で示されるように、その検出結果を後述する画像処理部80に送信する。画像処理部80は、この検出結果を受け、例えば、直線補間等によって各発熱抵抗体90の温度を算出する。
【0023】
次に、サーマルヘッド66のグレーズ66aは、図4(a)に示すように、セラミック基板66b上に形成され、発熱抵抗体90で発生した熱を蓄える蓄熱部であって、高さ(グレーズ高さ)H、幅(グレーズ幅)Wの蒲鉾状(半円または半楕円状)のガラスやポリイミド樹脂からなる。グレーズ66aの上には、発熱抵抗体90が積層される。図4(b)に示すように、発熱抵抗体90は、グレーズ66aの両側のセラミック基板66b上にも延在し、幅(ヒータ幅)lの帯状の窒化タンタル(Ta2 N)等からなり、各画素毎に所定のピッチpで、例えば、記録画素密度が300dpiでは84.7μm間隔で1ラインに必要な画素分だけ配置される。
【0024】
この発熱抵抗体90の上には、その中央部分を除いてアルミニウム、銅等からなるほぼ同じ幅の一対の電極92a,92bが積層される。電極92aと電極92bとの間には、長さ(ヒータ長)Lに渡って発熱抵抗体90が被覆されておらず、発熱抵抗体90が露出しており、この露出部分は、グレーズ66aの頂部上にあり、発熱抵抗体90で発生した熱を保護膜94を介して付与し、感熱材料Aを発色させる1画素のドットに相当する。一対の電極92a,92b、露出発熱抵抗体90、グレーズ66aおよびセラミック基板66bの上の全面には、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(SiN)、五酸化タンタル(Ta2 5 )、SiAlON(通称サイアロン)やLaSiON(通称ラシオン)等の窒素含有ガラスなどの耐磨耗性に優れた材料からなる膜厚(保護膜厚)dの保護膜94が積層される。なお、サーマルヘッド66のグレーズ66aの部分は、半導体装置などの製造技術、例えば、CVD、PVD、スパッタリング、蒸着、フォトリソグラフィーなどによって製造される。このため、保護膜94はエッチングなどによって形成された電極92a,92b上に蒸着されるので、電極92a,92b間の凹部によって保護膜94の頂部には同様な凹部が形成される。サーマルヘッド66、特にグレーズ66aの部分は、基本的に以上のように構成される。
【0025】
一方、サーマルヘッド66の記録制御系は、図3に示すように、画像データ源から供給された画像データに鮮鋭度などの画像処理を施す画像処理部80、画像処理された画像データ等を記憶する画像メモリ82およびこれらの画像データに基づいたサーマルヘッド66による感熱記録を制御する記録制御部84から構成される。また、画像処理部80には、画像処理部80において施される各種の画像処理のための補正用データ等を記憶するデータ記憶部86が接続される。
まず、CTやMRI等の画像データ源からの画像データは、例えば、10bit (0〜1023)のデジタルデータとして画像処理部80に送られる。
【0026】
画像処理部80は、各種の画像処理回路やメモリが組み合わされてなるものであり、画像データ源からの画像データを受け、この画像データに感熱記録画像の輪郭を強調するための鮮鋭度補正処理(シャープネス強調処理)を始めとして感熱材料のγ値や感熱記録装置、特にサーマルヘッド等に対応して適正画像を得るための階調補正、サーマルヘッドの発熱素子の温度に応じて発熱エネルギーを調整する温度補正、サーマルヘッドのグレーズの長手方向の形状バラツキ等によって生じる濃度ムラを補正するシェーディング補正、各発熱素子の抵抗値の差を補正する抵抗値補正、記録パターンの変化によるサーマルヘッド電源電圧降下量変化によらず、同じ濃度に対応する画像データを同濃度で発色するための黒比率補正等の所定の画像処理を施し、さらに、必要に応じてフォーマット(拡大・縮小、コマ割り当て)等を行って、サーマルヘッド66による感熱記録に応じた感熱記録画像データとして画像メモリ82に出力する。
【0027】
このようにして、CTやMRI等の画像データ源Rからの供給され、画像処理部80において、鮮鋭度補正、階調補正、温度補正、シェーディング補正、抵抗値補正および黒比率補正などの画像処理が施され、さらに、必要に応じてフォーマットされた、サーマルヘッド66による感熱記録に応じた感熱記録データは、画像メモリ82に記憶される。
記録制御部84は、画像メモリ82から、感熱記録画像データをサーマルヘッド66のグレーズ66aの長手方向の1ラインずつ順次読み出し、読み出した感熱記録画像データに応じた記録信号(パルス幅変調では画像に応じた電圧印加時間幅)をサーマルヘッド66に出力する。
【0028】
サーマルヘッド66の各画素毎に設けられた発熱抵抗体90は、記録信号に応じて発熱し、前述のように、感熱材料Aがプラテンローラ60等によって矢印b方向に搬送されつつ、感熱画像記録が行われる。
ここで行われる感熱画像記録は、一定の電圧の下、電圧の印加時間を濃度に応じて変調することにより像様に感熱記録をする、パルス幅変調により行われる。なお、本発明を適用することができる記録方法としては、パルス幅変調に限定されず、一定の印加時間の下、濃度に応じて電圧を変調する強度変調によるものであってもよい。
【0029】
感熱画像記録が終了した感熱材料Aは、ガイド62に案内されつつ、プラテンローラ60および搬送ローラ対63に搬送されて排出部22のトレイ72に排出される。トレイ72は、ハウジング28に形成された排出口74を経て記録装置10の外部に突出しており、画像が記録された感熱材料Aは、この排出口74を経て外部に排出され、取り出される。
【0030】
このようにして、図示例の記録装置10においては、工場出荷時に適切に調整されていれば、サーマルヘッド66の温度、記録速度や感熱材料Aのγ値によらず高画質画像を安定して得ることができる。しかしながら、記録装置10において、サーミスタ66eによって実測されるグレーズ66aの温度、記録速度、感熱材料のγ値等が同一であっても、サーマルヘッド66に個体ばらつきがあると、装置間で得られる感熱記録画像の濃度にばらつきが生じていたことは、前述した通りである。
【0031】
このため、本発明者は、装置間における濃度ばらつきに影響を及ぼすサーマルヘッド66の特性値として、図4(a)および(b)に示すように、サーマルヘッド66、特にグレーズ66aの構造から、発熱抵抗体90で発生した熱の蓄熱部として機能するグレーズ66aの容積を表す代表寸法としてグレーズ高さHおよびグレーズ幅W、発熱抵抗体90で発生した熱を伝達する保護膜94の厚さ(保護膜厚)d、熱を発生する発熱抵抗体90の幅(ヒータ幅)lおよび電極92a,92bとの間の露出長さ(ヒータ長)L等があることを知見し、これらの特性値の初期個体ばらつきに応じた印加電圧の調整を工場出荷時やサーマルヘッドの交換時に行うことにより、このような装置間の濃度ばらつきを大幅に低減できることを見いだした。
すなわち、サーマルヘッド66の特性値のうち、グレーズ高さH、グレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lおよびヒータ長Lなどが、装置間における濃度の初期ばらつきを生じ、画質に機差を生じさせる、初期の個体差(個体ばらつき)が問題となる特性値である。
【0032】
ここで、実際の記録に必要とされる最大の濃度(以下、必要最大濃度という。例えば、濃度3.0)を発色させるために必要とされる印加パワー、例えば最大濃度を表す画像データ(例えば、8ビットデータとする時、255)に対して印加するパワーを印加パワーPとする。
また、グレーズ高さ、グレーズ幅、保護膜厚、ヒータ幅およびヒータ長がそれぞれ任意の基準値(例えば、設計値)H0 、W0 、d0 、l0 およびL0 (この時の1ドット当たりの発熱抵抗体の抵抗をR0 とする)である場合における、必要最大濃度を発色させるために印加すべきパワーを基準パワーP0 とする。さらに、このパワーP0 を前記サーマルヘッドに印加するのに要する電圧をV0 とする。
なお、印加パワーPおよび基準パワーP0 をともに必要最大濃度に対応させているが、これは、必要最大濃度で調整することにより、それ以下の濃度、すなわち実際の記録に必要とされる全ての濃度は、例えばパルス幅変調における印加時間を段階的に短くすることにより、容易に濃度階調を得ることが可能となるからである。しかしながら、本発明における基準パワーP0 は必要最大濃度には限定されず、必要最大濃度以下の任意の濃度を基準としてもよい。
【0033】
ここで、サーマルヘッド66のグレーズ66aは、発熱抵抗体90で発生した熱を蓄える部分であり、その容積が大きいほど熱容量は大きくなるため、この熱容量が変化すると、同じパワー(即ち、同じ熱量)を与えても温度が異なり、濃度が異なってしまう。なお、このようなグレーズ66aの容積を規定するパラメータとしては、グレーズ高さHとグレーズ幅Wが代表的に挙げられる。すなわち、グレーズ高さH、グレーズ幅Wが大きい程グレーズ66aの熱容量は増加し、同じ濃度を出力するためには、この熱容量の増加に応じてサーマルヘッド66に印加するパワーも増大させる必要がある。
【0034】
このため、グレーズ幅、保護膜厚、ヒータ幅およびヒータ長をそれぞれ基準値W0 、d0 、l0 およびL0 とし、グレーズ高さHのみを変化させた場合における、基準パワーP0 に対する印加パワーPの変化率ΔPH とグレーズ高さHとの関係は図5(a)に示すようなグラフおよび下記式(2)で表すことができる。また、基準値H0 、d0 、l0 およびL0 において、グレーズ幅Wのみを変化させた場合における、基準パワーP0 に対する印加パワーPの変化率ΔPW とグレーズ幅Wとの関係は図5(b)に示すようなグラフおよび下記式(3)でそれぞれ表すことができる。
P=(1+ΔPH )P0 …(2)
P=(1+ΔPW )P0 …(3)
【0035】
次に、保護膜94は、サーマルヘッド66のグレーズ66aの発熱抵抗体90や電極92a,92bを保護するために設けられるが、膜厚dを有しているために、やはりこの膜厚dによって熱伝達時間が異なり、結果的に熱容量が変化してしまい、同じパワーを与えても温度が異なり、発色濃度が異なってしまう。すなわち、膜厚dが厚い程熱伝達時間は増加し、同じ濃度を発色させるためには、この熱伝達時間の増加に応じてサーマルヘッド66に印加するパワーも増大させる必要がある。
このため、基準値H0 、W0 、l0 およびL0 において、保護膜厚dのみを変化させた場合における、基準パワーP0 に対する印加パワーPの変化率ΔPd とグレーズ66aの保護膜厚dとの関係は、図5(c)に示すようなグラフおよび下記式(4)で表すことができる。
P=(1+ΔPd )P0 …(4)
【0036】
また、ヒータ幅lおよびヒータ長Lは、発熱抵抗体90が電極92aと92bとで覆われていない部分の幅と長さを表すが、ヒータ長Lが長いほど抵抗値が大きくなり、電流値も小さくなりパワーが低下するので、サーマルヘッド66に印加するパワーも増大させる必要がある。一方、ヒータ幅lが広いほど抵抗値が小さくなり、電流値が大きくなりパワーが増大するので、サーマルヘッド66に印加するパワーも減少させる必要がある。
従って、基準値H0 、W0 、d0 およびL0 において、ヒータ幅lのみを変化させた場合における、基準パワーP0 に対する印加パワーPの変化率ΔPl とグレーズ66aのヒータ幅lとの関係は図5(d)に示すようなグラフおよび下記式(5)で表すことができる。また、基準値H0 、W0 、d0 およびl0 において、ヒータ長Lのみを変化させた場合における、基準パワーP0 に対する印加パワーの変化率ΔPL とヒータ長Lとの関係は図5(e)に示すようなグラフおよび下記式(6)で表すことができる。
P=(1+ΔPl )P0 …(5)
P=(1+ΔPL )P0 …(6)
【0037】
本発明においては、予め、用いられるサーマルヘッド66について、印加パワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL と、グレーズ高さH、グレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lおよびヒータ長Lの各々との関係、例えば図5(a)〜(e)に示すような関係をそれぞれ求めておく。なお、この関係を求める際に基準パワーP0 の値が必要となるが、基準値H0 、W0 、d0 、l0 およびL0 における抵抗値(基準抵抗値)R0 、およびこの場合に必要最大濃度を得るために印加する基準電圧V0 を測定しておき、下記式(7)により算出した値を用いる。また、測定する抵抗値としては、最大抵抗値を用いても、平均抵抗値を用いてもよく、特に限定されない。
0 =V0 2/R0 …(7)
【0038】
そして、画像記録装置の工場出荷時やサーマルヘッドの交換時などにおいて、個々のサーマルヘッド66の使用前に、これらのサーマルヘッド66の特性値を顕微鏡などを用いて計測しておく。これらの特性値の初期個体ばらつきを示す計測値が、それぞれグレーズ高さHi 、グレーズ幅Wi 、保護膜厚di 、ヒータ幅li およびヒータ長Li であったとする。また、サーマルヘッド66の抵抗値Ri も測定しておく。
ここで、グレーズ66aの容積を示すグレーズ高さHおよびグレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lならびにヒータ長Lの各計測値Hi 、Wi 、di 、li およびLi が、それぞれ基準値H0 、W0 、d0 、l0 およびL0 からばらついていたとすると、図5(a)〜(e)に示す関係から、基準パワーP0 に対する印加パワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL をそれぞれ算出する。
【0039】
こうして得られたΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL のすべてを考慮すると、必要最大濃度を発色させるために必要な印加パワーPは下記式(8)で表すことができる。ここで、式(8)を式(9)のようにおく。一方、印加パワーPは、印加電圧をVとして、下記式(10)で表される。従って、必要最大濃度を発色させるために印加すべき電圧(最大濃度に対応する画像データに対する印加電圧)Vは、式(9)および式(10)により得られた式(11)に式(7)を代入して得られる、下記式(12)により算出することができる。なお、ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL はすべて用いなくてもよく、これらのうち少なくとも1種以上を用いて印加パワーPを算出してもよい。
【数3】
Figure 0003771668
【0040】
このように補正された印加電圧Vを最大濃度を示す画像データに対してサーマルヘッド66に印加するように、印加電圧の調整を行う。これにより、サーマルヘッドの個体差や個体ばらつきによる濃度のばらつきを大幅に低減することができる。
また、適正に補正された電圧が印加されることにより、最大濃度画像データに対しても過大な電圧が印加されてグレーズ66aのピーク温度が高くなりすぎることがなく、感熱記録媒体の損傷を低減し、サーマルヘッドの熱による劣化および耐久性の低下を防止することができる。
【0041】
このようなサーマルヘッドの調整は、予め印加パワーの変化率ΔPH 等と、グレーズ高さH等との関係(例えば図5(a)〜(e)に示すような関係)をそれぞれサーマルヘッド66の制御系のデータ記憶部86に記憶させておき、この関係と、外部より入力されたサーマルヘッドの各計測値とを基に画像処理部80または図示しない制御部において印加電圧を算出し、この得られた印加電圧に記録制御部84が自動的に調整することにより行えばよい。
なお、本発明はこれに限定されず、サーマルヘッドの各計測値を基に装置外で印加電圧Vを算出し、この得られた印加電圧Vとなるように手動で装置内の印加電圧の調整を行ってもよい。
【0042】
また、サーマルヘッド66のグレーズ66aの保護膜94は、ランニングやラッピングによって磨耗し、保護膜厚dが時間の経過とともに減少する。このため、保護膜厚dの経時変化に対応させて印加電圧を調整させる構成としてもよい。この場合には、予めサーマルヘッド66の使用時間、記録時間、記録枚数、あるいは記録データ履歴(記録印字量)などの経時量と、磨耗したグレーズ66aの保護膜厚dの経時変化の関係を求めておき、例えばデータ記憶部86に記憶させておく。
【0043】
そして、記録装置10による感熱記録が行われ、サーマルヘッド66の使用時間、記録時間、記録枚数、または記録データ履歴(記録印字量)が、所定経時量に達したと判断すると、画像処理部80は、データ記憶部86に記憶された保護膜厚dの経時変化の関係から、その経時変化量に応じて磨耗した保護膜厚dを予測する。次いで、画像処理部80は、データ記憶部86に記憶された図5(c)に示すような関係から、保護膜厚の基準値d0 での基準パワーP0 を基準として予測された保護膜厚dでのパワー変化率ΔPd を算出し、印加電圧Vを求め、サーマルヘッド66に印加する電圧をVに調整する。これにより、サーマルヘッド66の経時摩耗により濃度の時系列的な変化(上昇)を補償することができ、経時的にも安定した濃度で画像記録を行うことができる。
本発明に係るサーマルヘッドの調整方法は、基本的に以上のように行われる。
【0044】
以上、本発明のサーマルヘッドの調整方法および感熱記録装置について詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および設計の変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、サーマルヘッドを用いる感熱記録において、サーマルヘッドの個体差や個体ばらつきによる濃度のばらつきを大幅に低減することができる。また、印加電圧を必要最大濃度に合わせて調整することにより、感熱記録媒体の熱による損傷を無くし、サーマルヘッドの熱による劣化および性能の低下を防止して耐久性を向上することができる。従って、サーマルヘッドによらず均質で、かつ、高画質・高品質の感熱画像を安定して記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサーマルヘッドのサーマルヘッド調整方法を実施する感熱記録装置の一実施例の概略断面模式図である。
【図2】 図1に示す感熱記録装置の記録部の部分拡大断面模式図である。
【図3】 図2に示す記録部に用いられる、制御系のブロック図を含むサーマルヘッドの部分切欠概略斜視図である。
【図4】 (a)および(b)は、それぞれ図3に示すサーマルヘッドの構成を示す部分拡大断面模式図およびその部分上面模式図である。
【図5】 (a)、(b)、(c)、(d)および(e)は、それぞれグレーズ高さ(H),グレーズ幅(W)、保護膜厚(d)、ヒータ幅(l)およびヒータ長(L)と必要最大濃度の発色に要する印加パワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl 、ΔPL との関係を示すグラフの一例である。
【符号の説明】
10 (感熱画像)記録装置
14 装填部
16 供給搬送手段
20 記録部
22 排出部
24 マガジン
26 蓋体
28 ハウジング
30 挿入口
32 案内板
34 案内ロール
36 停止部材
40 吸盤
42 搬送手段
44 搬送ガイド
48 エンドレスベルト
50 ニップローラ
52 規制ローラ対
56 クリーニングローラ対
58,62 ガイド
60 プラテンローラ
63 搬送ローラ対
66 サーマルヘッド
66a グレーズ
66b セラミック基板
66c ヒートシンク
66d ベース
68 支持部材
72 トレイ
74 排出口
76 冷却ファン
80 画像処理部
82 画像メモリ
84 記録制御部
86 データ記憶部
90 発熱抵抗体
92a,92b 電極
94 保護膜
A 感熱(記録)材料
H グレーズ高さ
W グレーズ幅
d 保護膜厚
l ヒータ幅
L ヒータ長

Claims (4)

  1. 画像データに応じて電圧を印加することにより感熱記録材料に画像を記録するサーマルヘッドの調整方法であって、
    前記サーマルヘッドの特性値である、発熱素子のグレーズ高さH、グレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lおよびヒータ長さLの各々について、予め定められた基準値をH0 、W0 、d0 、l0 およびL 0
    前記サーマルヘッドの特性値が前記基準値H0 、W0 、d0 、l0 およびL0 である場合における、必要最大濃度の記録のために前記発熱素子に印加すべき基準電圧をV 0 、前記発熱素子の抵抗値RをR 0 としたとき、P 0 =V 0 2 /R 0 で表される、必要最大濃度の記録に要するパワーP0 に対する、前記特性値H、W、d、lおよびLの1つを変化させた場合における前記必要最大濃度の記録に要するパワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL と、変化させた前記特性値H、W、d、lおよびLとの関係を、前記特性値の各々について予め求めておき、
    前記サーマルヘッドの前記発熱素子の初期状態である前記特性値の初期値H i 、W i 、d i 、l i 、L i 、およびR i を測定し、
    前記サーマルヘッドの特性値の初期値Hi 、Wi 、di 、li およびLi の各々に対応する前記必要最大濃度の記録に要する前記パワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPlおよびΔPL を、それぞれ、予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、
    求めた前記パワーの変化率ΔP H 、ΔP W 、ΔP d 、ΔP l 、ΔP L を用いて下記式(1)から求められる電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整することを特徴とするサーマルヘッドの調整方法。
    Figure 0003771668
  2. さらに、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係を予め求めておき、
    前記サーマルヘッドの使用量に応じて、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係から、前記経時変化後の前記保護膜厚dを予測し、
    前記経時変化後の前記保護膜厚dにおけるパワーの変化率ΔPd を予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、
    このパワーの変化率ΔPd を用いて前記式(1)により算出される電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整することを特徴とする請求項に記載のサーマルヘッドの調整方法。
  3. サーマルヘッドと、
    画像データに応じて前記サーマルヘッドに電圧を印加する記録制御部と、
    前記サーマルヘッドの特性値である、発熱素子のグレーズ高さH、グレーズ幅W、保護膜厚d、ヒータ幅lおよびヒータ長さLの各々について、予め定められた基準値をH0 、W0 、d0 、l0 およびL 0 、前記サーマルヘッドの特性値が前記基準値H0 、W0 、d0 、l0 およびL0 である場合における、必要最大濃度の記録のために前記発熱素子に印加すべき基準電圧をV 0 、前記発熱素子の抵抗値RをR 0 としたとき、P 0 =V 0 2 /R 0 で表される、必要最大濃度の記録に要するパワーP0 に対する、前記特性値H、W 、d、lおよびLの1つを変化させた場合における前記必要最大濃度の記録に要するパワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPl およびΔPL と、変化させた前記特性値H、W、d、lおよびLとの関係を記憶する記憶部と、
    測定された前記サーマルヘッドの前記発熱素子の初期状態である前記特性値の初期値Hi 、Wi 、di 、li およびLi の各々に対応する前記必要最大濃度の記録に要する前記パワーの変化率ΔPH 、ΔPW 、ΔPd 、ΔPlおよびΔPL を、それぞれ、予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、求めた前記パワーの変化率ΔP H 、ΔP W 、ΔP d 、ΔP l 、ΔP L を用いて下記式(1)から電圧Vを算出する処理部と、を有し、
    前記記録制御部は、算出された前記電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整することを特徴とする感熱記録装置。
    Figure 0003771668
  4. 前記記憶部は、さらに、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係を記憶し、
    前記処理部は、前記サーマルヘッドの使用量に応じて、前記サーマルヘッドの使用量と前記保護膜厚dの経時変化量との関係から、前記経時変化後の前記保護膜厚dを予測し、前記経時変化後の前記保護膜厚dにおけるパワーの変化率ΔPd を予め求められている前記パワーの変化率と前記特性値との関係から求め、
    前記記録制御部は、このパワーの変化率ΔPd を用いて前記式(1)により算出される電圧Vを、最大濃度を表す前記画像データに対応する電圧として前記サーマルヘッドの各発熱素子に印加するように、前記画像データに応じて印加するための前記電圧を基準電圧V 0 に対して調整することを特徴とする請求項に記載の感熱記録装置。
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