JP3769586B1 - 消毒用容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】収容空間を有するケース体11でなり、載置状態と起立状態とを選択して使用するようにした消毒用容器10であって、前記ケース体が、前記載置状態において、扉部20の幅方向Xが、奥行き方向Yに対して僅かに長く仮想の水平断面がほぼ正方形でなり、左右側壁部に露出した把持部40を有し、奥行き方向Yに移動されるトレー体30と、前記ケース体の前記載置状態においては、前記トレー体よりも上の位置で、前記起立状態においてほぼ下向きとなる箇所に、開閉部材50によって開閉されるように設けられた水抜き孔70とを有しており、前記収容空間の前記扉部側の投影面積が、前記起立状態における前記収容空間の底面側の投影面積よりも大きくなるようにされている消毒用容器。
【選択図】図2
Description
しかし、このような消毒方法は、特に、一般家庭で行う場合には手間がかかり、高温の湯を用いることで、取り扱いに伴う危険もある。
このような従来の消毒用容器では、扉部のついた矩形のケース体に哺乳瓶や付属品を収容して、消毒用容器無いに水を入れ、電子レンジの庫内に挿入して消毒される。この消毒においては、電子レンジのマイクロ波による消毒効果と、さらに、ケース体の中の水が加熱されて、蒸気となり、これによる蒸気消毒及び洗浄を合わせて行うことができるようになっている。
このため、消毒方法によって、別々の容器を用意することから、費用が嵩み、また、それぞれの収納場所を必要とする等の問題がある。
この場合、前記ケース体の前記収容空間の前記扉部側の投影面積が、前記起立状態における前記収容空間の底面側の投影面積よりも大きいので、収容物となる哺乳瓶等の出し入れを行い易い。また、ケース体を前記起立状態として、内部に薬液を所定量収容した後で、哺乳瓶やその付属品等を薬液内にいれても、液面の急激な上昇が防止されるので、薬液の外部への溢れを防止して、適切に薬液消毒を行うことができる。
さらに、ケース体の前記扉部を手前とした場合に、奥行き方向に移動されて前記収容空間に挿脱されるトレー体と、前記ケース体の前記載置状態においては、前記トレー体よりも上の位置で、前記起立状態においてほぼ下向きとなる箇所に、開閉部材によって開閉されるように設けられた水抜き孔を有しているので、トレー体に電子レンジ加熱用の水を収容して、トレー体をケース体に収容することができ、加熱消毒後は、前記水抜き孔から不要な湯を捨てることができる。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
これらの図において、消毒用容器10は、内部に後述する哺乳瓶やその付属品である乳首等の消毒対象物を収容する収容空間を有する箱状の本体であるケース体11を有している。
この消毒用容器10は、図示するような載置状態において、電子レンジ消毒に使用され、後述する起立状態、すなわち、図において背後の面を底面として起立させた状態において、薬液消毒に使用されるようになっている。
また、図2に示すように、ケース体11の載置状態においては、トレー体30よりも上の位置で、ケース体11の上述した起立状態においてほぼ下向きとなる箇所に、開閉部材50によって開閉されるように設けられた水抜き孔が形成されている。この水抜き孔については、後で詳しく説明する。
図4に示されているように、小ケース60は、全体が通気可能な貫通した細かな編み目を備えたバスケット状に形成されており、開閉できるようになっている。小ケース60の内部には、哺乳瓶のボトルBに固定される乳首(人工乳首)Nと、乳首Nを固定するためのキャップK、これに被せるフードF等の付属品が収容されるようになっている。
このような状態で、消毒用容器10は、電子レンジ(図示せず)の庫内に収容されて消毒が行われるようになっている。
そして、これらの構成、すなわち、ケース体11、扉部20、トレー体30、小ケース60は、電子レンジによる加熱に耐え、消毒に用いる薬液に耐える性質を有し、成形性に優れた丈夫な材質で形成され、例えば、開閉部材50を除き、全て合成樹脂、例えば、PP(ポリプロピレン)で形成することができる。
この側壁把持部40は、図8に示されているように、水平な面を備える第1の把持部41と、垂直な面を備える第2の把持部42とが、それぞれ端部を一体にして、全体としてL字を横にしたような形態を備えている。この第1及び第2の把持部に隣接して、この実施形態では、第1の把持部41と第2の把持部42の内側に側壁突起部43が露出して設けられている。この側壁突起部43は、水平に平行して延びる複数の突条43a,43b,43c,43dを備えている。
そして、側壁突起部43が、前記水平面と平行な方向に延びる複数の突条43a,43b,43c,43dで形成されているので、火傷等の防止のほか、ケース体を持ち上げる際等に指をそえれば、滑り止めとなって、取り落としにくくなる。尚、把持部40は、左右の側壁部14,15を膨らませ、そこに窪みを形成する等により形成してもよく、その場合には、当該窪みに突条等の滑り止めを形成すると好ましい。
このため、図10に示すように、トレー体30の凹面形状は、扉部20側に配置される先端側が、奥側(図10における右側)よりも僅かに高くされており、手前側に高温の湯がこぼれないようにされている。その底面は、哺乳瓶Bの形態に適合するように、奥側に向かって僅かに傾斜するように形成されている。
また、トレー体30の内面には、支持手段33が形成されており、後述するように薬液消毒の際に使用される。支持手段33は、小さな2枚の板を底面部から一体に起立させて、これらの間に狭いスリット状の空間を形成したものである。そして、トレー体30の手掛かり部31側が低くされており、後述する薬液消毒時に、薬液の液面に接触することなく支持手段33への着脱ができる。この実施形態では、図9に示すように支持手段33,33として二箇所に形成されており、トレー体30に複数の哺乳瓶Bを載置した際には、隣り合う哺乳瓶Bの間に位置して、哺乳瓶Bを載置する上で邪魔にならない位置に設けられている。そして、この支持手段33,33は、トレー体30の手掛かり部31寄りに設けられ、具体的には、後述する薬液消毒の際の消毒液の液面付近に位置するようにされている。尚、トレー体30の手掛かり部31は、その周縁31aが下方にリブ状となる構成とは異なり、扉部20側に把持部40と同様な突出部を設けることで形成してもよい。
支持手段32は、垂直方向に延びるスリット32aもしくは深い溝を備えており、図11及び図12に示す保持体35を支持するものである。
これらの図において、保持体35は、一方向に長い板体でなるベース38の一面に等間隔な長さ方向に並ぶ円筒状の保持部36,36,36を備えている。この保持部36,36,36は、電子レンジ消毒の対象となる哺乳瓶B等の瓶体の開口部内径よりも小さな外形を備えており、所定の長さを有している。
また、ベース38には、その長手方向の一辺に、それぞれ外方に延びる舌片状の支持片37,37,37が、等間隔に並んで形成されている。
扉部20は、片開き式の扉でなっている。扉部20は、図3で説明したように、ケース体11の開口部12のトレー体30が占める領域を除く開口部面積を開閉する大きさに形成されている。この扉部20は、電子レンジ消毒の場合、トレー体30を移動させて、消毒対象物を出し入れしたり、消毒用の水を投入するとともに、図5で説明した小ケース60を挿脱するためのものであり、後述する薬液消毒の場合には、消毒対象の哺乳瓶Bその他や消毒液を出し入れするためのものである。
ここで、周縁21aは、扉部20の下縁に沿って、下縁全体に設けられ、トレー体30の先端側(図7の左側)上縁全体を覆い、スライドを防止するとともに密閉性を高めている。また、扉部20の内面には、リブ22が設けられている。このリブ22は、図7に示すように、収容空間S内で、トレー体30の先端側よりも内側に端部が位置しており、扉部20に付着した蒸気によるしずくが、外部に漏れでないようになっている。
図16(a)は、ヒンジ部23を拡大した断面で示す図であり、図においてヒンジ部23は、支軸23aと、後述する軸受を逃げる空間23bを介して支軸23aと一体に形成されたアーム部23cを備えている。アーム部23cの支軸23a側とは反対の端部は扉部20と一体である。アーム部23aはこの断面において外方に凸となるような曲線状とされている。
小ケース30は、消毒対象の付属品等を主に収容する手段であり、図18及び図19に示されているように、浅い箱状のバスケットのような形態である。すなわち、小ケース60は、所定の深さの本体61と、この本体61に対してヒンジを介して開閉される蓋体62を有しており、蓋体62を閉じた状態で形成される内部空間は、図7に示されているように、乳首NやフードF、キャップK等が完全に収容できる大きさとなるようにされている。
本体61の底面は、固定底面部63と、着脱底面部64とを備えている。固定底面部63と、着脱底面部64には、ともに同様の同心円状のスリット61aが、図示の場合合計6組形成されている。これは一度の消毒対象の個数に対応しており、より多い数でも、少ない数でもよい。ひとつひとつの同心円状のスリットには、それぞれ、乳首NやフードF、キャップKが開口部を伏せた状態で置かれることで、乳首NやフードF、キャップKの内面を含めた表面がスリットを通過する蒸気に好適にさらされるようになっている。
着脱底面部64は、後述するように、固定底面部63と同一面となる位置に掛止され、あるいは掛止状態を解除することで取り外すことができるようにされている。
着脱底面部64には、そのひとつの長辺の中央付近に、着脱底面部64の主面と直交する方向に延びるつまみ部65を有しており、着脱作業に利用できるようになっている。着脱底面部64の他の長辺には、この着脱底面部64の主面と同じ方向に延びる一対の支持片66,66が形成されている。後述する薬液消毒の際には、この着脱底面部64を取り外して、その一対の支持片66,66を図6や図10で説明した支持手段33,33の隙間に差し入れることにより、図7に示すように起立状態で薬液消毒する際に取り付けることができる。
これにより、電子レンジ消毒の際には、トレー体30に収容した水が水切り孔70からこぼれることがなく、消毒後には、水切り孔から不要となった湯を排出することができる。また、薬液消毒時には、後述する開閉部材を使用して密閉することで薬液が水切り孔から漏れ出ることがない。
ケース体11を起立させた状態では水切り孔70が底面である奥側壁部16に近接し、下を向くので、湯または水を捨てる際には、完全に残さず捨てる作業が容易である。
図6ないし図8で説明したように、ケース体11を構成する各面の突き合わせ箇所は、陵線にそって曲面状に面取りされている。図22に示された奥側壁部16と他の面との突き合わせ箇所の少なくとも水切り孔70が形成された突き合わせ箇所もこのような曲面16aとされている。この曲面16aの中央部には、奥側壁部16を底面として、起立状態とした際に、ケース体11の起立状態を支持する支持脚16aが奥側壁部16の四隅に形成されている。
一対のリブ71,71は間に所定の間隔が設けられており、このリブ71とリブ71の間の領域は、曲面16aと異なり平坦面72とされている。この平坦面72に後述する開閉部材50が装着されることで、隙間をつくりにくく、密閉性能をより確実にすることができる。また、平坦面72に後述するガイド部74の構造を形成する上において、曲面にガイド部や孔を形成する場合と比べて、型を用いた成形が容易となる。
これらの図において、水切り孔70は貫通孔である。水切り孔70の外面側には、その周縁に沿ってガイド部74が形成されている。ガイド部74はその内側と外側を一部連通する壁で形成さる。この実施形態では、ガイド部74は、例えば、水切り孔70の周縁に沿って、例えば、4箇所配置されたリブである。このガイド部74のリブの間には、流路74aが複数箇所形成されている。ガイド部74の高さGTは、少なくとも外側のリブ71,71の高さを超えない高さとされている。ガイド部74の内側には、水切り孔70との間に段部75を形成することで、ガイド部74の内径GL1は、水切り孔70の内径HLよりも大きく形成されている。
さらに、平坦面72のガイド部74及び水切り孔70とずれた位置に固定用ボス73が形成されている。固定用ボス73の高さはガイド部74と同じであることが好ましい。
図23に示されているように、固定用ボス73は外径の縦横比は僅かに相違しており方向性が付与されており、長径側の上面(図24における上端)側には、後述する開閉部材の一部を着脱可能な範囲で係止可能とするためのリブとされている。
図25は開閉部材50の概略平面図、図26は開閉部材50の概略側面図、図27は開閉部材50の概略底面図、図28は図25のE−E線切断端面図である。開閉部材50は、弾力性のある比較的柔軟で丈夫な材料で形成されており、例えば、シリコン等の成形品で形成されている。
開閉部材50は、一方向に長い板状のベース51と、ベース51の中央付近で、その一面に一体に起立した低い有底の円筒状の中空の密閉部52と、密閉部52と異なる面に一体に起立させて設けた低い有底の円筒状の中空の嵌合部53とを備えている。そして、密閉部52及び嵌合部53の各仮想の中心線C1は一致するようにされている。
また、密閉部52の高さTL1は、図24のガイド部74の高さGTとほぼ一致するか僅かに小さい。これに対して、嵌合部53の高さ、すなわち嵌合部53の基部から先端部53aまでの距離TL2は、ガイド部74の高さGTよりも小さく形成することで、嵌合部53をガイド部74にセットした状態において、ガイド部74及び流路74aの一部が、開閉部材50から露出するようにされ、また、ガイド部74への結合力が密閉部52よりも弱くなるようにされている。
ベース51の一端よりには、図26において、段部54bを介して嵌合部53の上記先端部53aよりも低い位置に、固定用孔54が形成されている。この固定用孔54は、図23及び図24で説明した固定用ボス73が着脱可能に係止されて、開閉部材50を仮固定するためのものである。
図30に示されているように、電子レンジ消毒の場合には、ケース体の外側から開閉部材50−1として示されたように装着する(あわせて図2参照)。薬液消毒の場合ケース体の内側から、50−2として示されたように装着する。
開閉部材50−1は、図30(a)の状態とされる。すなわち、開閉部材50−1は、消毒用容器10の外側から、嵌合部53を空間部53bを中心にむかって変形させるようにして、ガイド部74の外側に装着されている。すなわち、ガイド部74は嵌合部53の内側で凸部53cの外側に受容される。この状態においては、嵌合部53の高さは、ガイド部74の高さよりも低いことから、浅く結合しており、結合力は比較的弱い。したがって、開閉部材50−1をガイド部74に装着するのは容易で、取り外しもしやすい。
この状態においては、嵌合部53の先端部53aと平坦面72との間に、隙間が生じる。この隙間は小開口M1となって、ガイド部54を構成する各リブどうしの間でなる流路74aが、隙間である小開口M1の分だけ露出し、水切り孔70と連通している。
このため、電子レンジ消毒に際して、レンジ加熱の熱で、ケース体の内側の圧力が高まった場合には、流路74a及び小開口M1から空気や蒸気が抜けるので、ケース体内部の圧力が高い圧力となった場合の危険を回避できる。また、流路74aが開口とされているため、電子レンジ消毒後に流路74aから湯を捨てることで水切りすることができる。
このため、作業途中において、開閉部材50−1が脱落して紛失する等の心配がないようにされている。
開閉部材50−1は、図30(b)の状態とされる。すなわち、開閉部材50−1は、消毒用容器10の内側から、その密閉部52を空間部52aを中心にむかって変形させるようにして、水切り孔70の内側に強制的に挿入されることで、装着されている。つまり、密閉部52は水切り孔70の内側に受容される。この場合密閉部52の外径は水切り孔70の内径より僅かに大きい状態から変形させて、深く挿入されることで結合している。このため結合力は電子レンジ消毒の場合よりもはるかに強い。したがって、開閉部材50−2を水切り孔70から外れにくく、しかも水切り孔70は、密閉部52の筒状の壁で遮蔽されるので、水抜き孔70は完全に密閉される。さらに、ベース51も平坦面72に接触するように形成されているため、確実に密閉することができる。
そもそも、開閉部材50では、図25ないし図31で説明したように、ベース52の異なる面に密閉部52と嵌合部53とを別々に設けたことから、これらを択一的にしか使用できないようにされている。このため、密閉部52と嵌合部53とを区別しさえすれば、誤使用が生じないようにされている。
あるいは、ケース体の内側から開閉部材50−4の嵌合部53に対応すべきガイド部がケース体11の内面には存在しないため結合することができない。
このようにして、誤使用を防止することができる。
電子レンジ消毒を行う場合には、消毒用容器10を図1及び図2に示すように載置状態とする。事前の準備として、開閉部材50は、図2及び、詳しくは図30(a)の符号50−1で説明したように装着する。さらに、小ケース60に図4で説明したように、予め洗浄を済ませた付属品として例えば、乳首NとフードF、キャップKを配置しておく。
扉部20を閉めて、掛止手段24により扉部20を固定して、図示しない電子レンジの庫内を収容する。次いで、電子レンジにより、所定時間、例えば5分程度加熱する。内部空間Sに収容された哺乳瓶Bや付属品は、電子レンジのマイクロ波により加熱消毒されるとともに、トレー体30に入れた水が加熱されて蒸気となり、その蒸気が収容物の内外に接触することで、蒸気消毒されるとともに、付着した微細なゴミ等も除去される。加熱終了後、消毒用容器10を、側壁把持部40,40をそれぞれの手で保持して取り出す。
最後に、図1の状態、もしくは、後述する起立状態として、清潔な哺乳瓶及び付属品をそのまま保管する。これにより、消毒後の哺乳瓶及び付属品をケース体11内で清潔に保管することができる。
また、図1や図2の状態で保管している場合には、使用のため扉部20を開くと、扉部20の内面に付着していた蒸気による水滴は、重力で下降して図3のリブ22で受けられるので、外にたれて周囲を濡らすおそれがない。
消毒用容器10は、図1や図2のような配置ではなく、図32に概略的に示すように、奥側壁部16を底面として起立した状態の容器として使用する。
先ず、消毒用容器10について扉部20を開いて、トレー体30を取り出し、小ケース60や保持体35を取り外すとともに、開閉部材50を内部空間Sの内側から、図30(b)で説明した符号50−2に示すようにセットする。これにより、ケース体11の内部空間Sは密閉される。この場合、ケース体11の内側に、装着する開閉部材50の外形を縁取りした線等による案内手段を設けておけば、これに従って開閉部材50を装着することができ、装着が容易となる。
こうして、ケース体11の密閉状態を確保した後に、ケース体11の内部空間S内に所定量の水を入れる。この実施形態では、ケース体11内には、例えば、水を3.4リットル入れた場合の液面に対応して目盛りを設けている。さらに、消毒液42ミリリットルを計量し、水に溶かして消毒薬液が準備された状態とすることができる。
これにより、図33に示すように、哺乳瓶のボトルBだけでなく、取り付けた着脱底面部64が押さえ蓋となって、付属品、例えば、乳首NやフードF、キャップKが液面L3より上に浮かないように押さえられて、これらが薬液ML中に完全に浸漬される。
この状態で扉部20を閉めて、例えば1時間程度で薬液の消毒が終了するので、扉部20を開けて、市販のハサミ状の治具等で、哺乳瓶のボトルBや付属品を取り出し、ケース体11内の薬液は、ケース体11を逆さにして、図3の開口部12から流し等に廃棄する。
以上により薬液消毒を完了する。
図34は、着脱底面部64使用しないで、各ボトルBを横向きにして収容した状態を示しており、ボトルBを横向きにして互い違いに積み、本数を多く消毒する場合を示している。
かくして、消毒用容器10によれば、ひとつの容器で電子レンジによる消毒と薬液消毒をそれぞれ行うことができる消毒用容器を提供することができる。
図37ないし図39において、すでに説明した箇所と共通する構成には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図37において、開閉部材80は、上述の開閉部材50と同様の性質をもつ材料で形成されている。
ベース81の一面には、有底の筒状に形成され空隙を有する嵌合突起部82が形成されている。嵌合突起部82は、筒体を構成する材料が内方に変形できる変形部82aとされている。
ベース81の他の面には、嵌合突起部82の仮想の中心線C3とは水平にずれた箇所に仮想の中心線C4を持つ密閉突起部83が形成されている。密閉突起部83は、有底の筒状に形成され空隙を有する形態で、筒体を構成する材料が内方に変形できる変形部83aとされている。
そして、密閉突起部83はケース体の内側から水切り孔70に緊密に挿入され、その外径L4は、水切り孔70の内径よりも僅かに大きな外径を有している。
これに対して、嵌合突起部82は、ケース体の外側から水切り孔70に挿入されるようになっており、水切り孔70の内径よりも僅かに大きく、かつ密閉突起部83の外径L4よりも僅かに小さな外径L3を有している。
また、嵌合突起部82の変形部82aは、密閉突起部83の変形部83aよりも、その肉厚を小さくすることによって変形度合いが大きく設定されている。
これに対して、開閉部材80の嵌合突起部82は密閉突起部83よりも僅かに小さな外径を有しているので、より水切り孔70に挿入しやすく、その変形部82aは密閉突起部83の変形部83aよりも変形度合いが大きいので、この点においても、図38に示す電子レンジ消毒の際に着脱しやすい。尚、この変形例においては、電子レンジ消毒後には、開閉部材80の嵌合突起部82を水切り孔70から外して水切りを行うこととなる。
一方、図38に示すように、平坦面の外面には、水切り孔70の周囲に、ケース体側の位置決め手段が形成されており、この場合には位置決め手段は水切り孔70の周囲に設けたリング状の凸部77で構成している。
これに対して、図39に示すように、誤ってケース体の外側から、密閉突起部83を水抜き孔70に挿入しようとすると、水切り孔70の周囲に設けたリング状の凸部77がベース81の表面に当接して、ベース81が平坦面72に密着できなくなる。これにより誤使用を防止することができる。
第2の変形例の開閉部材80を使用する場合に、ケース体の内面に、平坦面72の領域を、制限しておく。すなわち、水切り孔70の中心から半径D1の距離に段部もしくは傾斜段部72aを形成しておく。
これにより、図41に示すように、ケース体の内側から、水切り孔70に対して、誤って嵌合突起部82を挿入しようとすると、開閉部材80が図37で説明したように、嵌合突起部82と密閉突起部83とを水平方向にずらした箇所に形成されているので、ベース81の固定用孔84側端部が、傾斜段部72aと当接してしまう。このため、平坦面72に開閉部材80が密着できないので、ユーザに誤使用を気づかせることができる。
図42ないし図44において、すでに説明した箇所と共通する構成には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図42において、開閉部材90は、水切り孔の孔深さの方向に沿って進退される構成であり、さらに、進退位置に応じて、水切り孔を密閉し、あるいは別の進退位置で、ケース体と外部とを水切り孔を部分的に開放して連通させる構成としている特徴がある。
図43及び図44に示されているように、この場合、水切り孔70は、開閉部材90のねじ部92と螺合する貫通したネジ孔とされている。
また、図43及び図44に示されているように、頭部91の下面のネジ部92基端周縁には段部91aが形成されている。この段部91aの周囲にはリング状のパッキン94が装着されている。水切り孔70の周縁には、段部91aを受容する凹部70aが形成されている。
これに対して、開閉部材90を開く方向に逆回転させると、図44に示すように、ネジ部92は水切り孔70から後退して外部に移動し、段部91aはケース体側の凹部70aから出て、リング状のパッキン94も平坦面72から離れる。この状態では、ネジ部92のスリット93の一部が小開口M2を形成するので、ケース体の内部空間Sと外部が連通する。これにより電子レンジ消毒を行うことができる。
かくして、開閉部材90が進退位置に応じて、ケース体を密閉できるので、構造が単純でありながら、操作が簡単で確実である。
開閉部材は、本発明の原理を利用して、さらに他の構成とすることができる。上述の実施形態における種々の構成は必ずしも全て実施されなくてもよく、一部を省略したり、説明しない他の構成と適宜組み合わせることができる。
本発明の消毒用容器により消毒される対象は哺乳瓶やその付属品に限るものではなく、形態上ケース体に収容できれば、消毒対象の種類はなんでもよい。
Claims (4)
- 内部に消毒対象物を収容する収容空間を有するケース体でなり、このケース体を開閉する扉部が前面に位置する電子レンジ消毒用の載置状態と、前記扉部により開閉される開口部を上方に向けた薬液消毒用の起立状態とを選択して使用するようにした消毒用容器であって、
前記ケース体が、
前記載置状態において、左右側壁部に露出した把持部を有しており、
前記扉部を手前とした場合に、奥行き方向に移動されて前記収容空間に挿脱されるトレー体と、
前記ケース体の前記載置状態においては、前記トレー体よりも上の位置で、前記起立状態においてほぼ下向きとなる箇所に、開閉部材によって開閉されるように設けられた水抜き孔と
前記トレー体の内面に設けられ、薬液消毒の際に該ケース体の中蓋として機能する部材が着脱される薬液消毒用の支持手段と、
電子レンジ消毒の際における消毒対象を保持するための保持体が着脱される支持手段と
を有しており、
前記収容空間の前記扉部側の投影面積が、前記起立状態における前記収容空間の底面側の投影面積よりも大きくなるようにされている
ことを特徴とする消毒用容器。 - 前記ケース体は、少なくとも前記起立状態における底面と側面との突き合わせ角部が曲面状に形成されていて、前記水切り孔に取り付けられる前記開閉部材自体、および/または開閉部材と前記水切り孔の周縁近傍との間に弾性体が配置されて、前記水切り孔を密閉するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の消毒用容器。
- 前記ケース体には、薬液消毒の際の薬液や、電子レンジ消毒の際の湯を排出するための貫通孔とされた水切り孔を有し、かつ該水切り孔を保護するために、一対のリブが所定の間隔を設けて形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の消毒用容器。
- 前記ケース体の前記収容空間内であって、前記トレー体よりも上方の空間に、通気可能なバスケット状で、しかも乳首とキャップ、フード等を収容可能な、小ケースが配置されるようになっており、
前記ケース体の収容空間の上部には、該ケース体の両側壁に、奥行き方向に延びるレール状もしくは突条でなる小ケースガイド部が形成されており、該小ケースガイド部上に、前記小ケースが、該小ケースの両側面に設けた載置部を載せることにより、奥行き方向に移動可能に収容されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の消毒容器。
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