JP3768802B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体デバイスの製造工程において、基板上の金属付着物を処理液で除去する基板処理方法および基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの製造工程においては、デザインルールの微細化が益々進み、これにともなって高速化の観点から配線層として従来のAlに代わってより電気抵抗が低いCuが用いられつつある。
【0003】
そして、Cu配線層を多層に形成する場合には、被処理基板である半導体ウエハに、下層のCu配線層を形成し、その上にSiNバリア層、層間絶縁層を順次成膜した後、フォトリソグラフィー技術によりその上にレジストによるパターンを形成し、そのパターンに応じて半導体ウエハ上に形成した膜をレジストをマスクとしてドライエッチングして金属配線層に達するコンタクトホールを形成する。その後、ドライアッシングによりレジストマスクを除去し、引き続き残存したレジストマスクやホール内のエッチング残渣であるポリマー層をフッ酸(HF)、硫酸(HSO)、または有機剥離剤等の洗浄処理液により除去した後、層間絶縁層の上およびコンタクトホール内に上層のCu配線および埋め込み層を形成する。
【0004】
ところで、上記ドライエッチングの際には、ホールの側壁にポリマー層を形成しつつ、エッチングガスのプラズマにより層間絶縁層をエッチングするため、上述したようにホール内にポリマー層が残存するが、エッチングがCu配線層まで達した際にはCuがスパッタされて飛散するため、ポリマー層の上にスパッタされたCuが付着することとなる。したがって、ポリマー層とともにこのCu付着物を除去する必要がある。
【0005】
一方、半導体デバイスの製造工程において、Cuはめっき金属として用いられているが、めっきの際にCuが半導体ウエハの裏面に付着することがある。このように付着したCuは除去する必要があり、この場合にも上述した洗浄処理液で洗浄することが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記洗浄処理液を単に供給するだけではCuは除去されず、Cuを一旦CuOに酸化させる必要がある。すなわち、Cuの状態では前記洗浄処理液には不溶であるが、CuOに酸化されることによって前記洗浄処理液に可溶となり、除去することが可能となる。
【0007】
このため、上記いずれの場合にも、空気中で処理した場合には、Cu付着物を酸化させてから薬液により溶解除去することが考えられるが、これではCu配線層やCuめっき層までが溶解除去され、これらの金属層にダメージを与えてしまう。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板に付着した金属を金属層にダメージを与えることなく除去することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第の観点によれば、金属層を有する基板に付着したポリマー層と金属付着物とを処理液によって除去する基板処理方法であって、
基板をチャンバー内に装入する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を溶解除去する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された付着物を溶解除去する工程と
を具備することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0013】
この場合に、前記付着物を溶解除去する工程は、前記ポリマー層を溶解除去する工程の後に行ってもよいし、前記ポリマー層を溶解除去する工程の前に行ってもよい。また、前記ポリマー層を溶解除去する工程および前記付着物を溶解除去する工程を交互に、少なくとも一方の工程が複数回になるように繰り返し行ってもよい。
【0014】
本発明の第の観点によれば、基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物を処理液によって除去する基板処理方法であって、
エッチング後の基板をチャンバー内に装入する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を溶解除去し、金属付着物を露出させる工程と、
その後、前記チャンバー内に酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された、露出した付着物を溶解除去する工程と、
その後、酸素含有ガスの供給を停止し、再び前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して残存するポリマー層を溶解除去する工程と
を具備することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0015】
本発明の第の観点によれば、基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、フォトレジスト層をマスクとして絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するレジストマスク、ポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物を処理液によって除去する基板処理方法であって、
エッチング後の基板をチャンバー内に装入する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、チャンバー内に処理液を供給してレジストマスクを溶解除去する工程と、
不活性ガス雰囲気の前記チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を溶解除去するとともに、ポリマー層内部の金属付着物を露出させる工程と、
その後、前記チャンバー内に酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された、露出した付着物を溶解除去する工程と、
その後、酸素含有ガスの供給を停止し、再びチャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して残存するポリマー層を溶解除去する工程と
を具備することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0016】
上記第の観点において、レジストマスクを溶解除去する工程と、ポリマー層を溶解除去するとともに、ポリマー層内部の金属付着物を露出させる工程を同時に行うことができる。
【0017】
本発明の第の観点によれば、金属層を有する基板に付着したポリマーからなる第1の付着物と、金属を含有する第2の付着物と、金属を含有し、前記第2の付着物とは異なる組成の第3の付着物を処理液によって除去する基板処理方法であって、
基板をチャンバー内に装入する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給してポリマーからなる第1の付着物を溶解除去する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記第2の付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された第2の付着物を溶解除去する工程と、
前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記第3の付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された第3の付着物を溶解除去する工程と
を具備することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0018】
上記第の観点においては、第1の酸素濃度の雰囲気で溶解除去処理を行うことにより第1の付着物を、第2の酸素濃度の雰囲気で溶解除去処理を行うことにより第2の付着物を、それぞれ除去することができる。また、第1および第2の酸素濃度と異なる第3の酸素濃度で付着物の溶解除去処理を行うことにより、第3の付着物を除去するができる。
【0019】
上記第の観点および第の観点において、前記付着物を溶解除去する工程および残存するポリマー層を溶解除去する工程は、交互に、少なくとも一方の工程が複数回になるように繰り返し行ってもよい。
【0020】
上記第の観点、第の観点、および第の観点において、前記ポリマー層の溶解除去は、前記処理液の供給および基板からの処理液の除去を繰り返し行うことによってなされることが好ましい。また、上記第の観点において、前記レジストマスクの溶解除去は、前記処理液の供給および基板からの処理液の除去を繰り返し行うことによってなされることが好ましい。
【0021】
また、上記第の観点、第の観点、および第の観点に係る基板処理方法において、金属付着物を酸化させる際に、金属付着物の付着状態に応じてチャンバー内の酸素濃度を制御することが好ましい。さらに、上記いずれの基板処理方法においても、適用可能な金属付着物としてCu,RuおよびPtを挙げることができる。さらにまた、上記第の観点に係る基板処理方法は、ポリマーを主体とする第1の付着物と、Cu,RuおよびPtの少なくとも1種を主体とする第2の付着物とを含む付着物の処理に適用することができる。
【0022】
また、上記いずれの基板処理方法においても、前記付着物の溶解除去は、前記処理液の供給および基板からの処理液の除去を繰り返し行うことによってなされることが好ましい。
【0023】
本発明の第の観点によれば、金属層を有する基板に付着したポリマー層と金属付着物を処理液によって除去する基板処理装置であって、
基板を収容するチャンバーと、
チャンバーに不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、
チャンバーに酸素含有ガスを導入する酸素ガス導入手段と、
チャンバー内を排気する排気手段と、
チャンバー内に基板に付着したポリマー層を除去する第1の処理液を導入する第1の処理液導入手段と、
チャンバー内に基板に付着した金属付着物を除去する第2の処理液を導入する第2の処理液導入手段と、
チャンバー内に供給された処理液を排液する排液手段と
を具備し、
前記ポリマー層を除去する際には、前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第1の処理液を供給し、
前記金属付着物を除去する際には、前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第2の処理液を供給することを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0025】
上記本発明の第の観点によれば、基板をチャンバー内に装入し、チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にしてから、チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を除去し、チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にしてから、チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された付着物を溶解除去するので、金属付着物を除去する際に、金属付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもポリマー層除去の際には、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気で行うので、金属層の酸化を極力防止して処理液による金属層へのダメージを生じさせずに金属付着物を除去することができる。具体的には、本発明の第の観点のように基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物を処理液によって除去する際にこのような処理を行うことにより、金属層の酸化を極力防止して処理液による金属層へのダメージを生じさせずに金属付着物を除去することができる。
【0026】
上記本発明の第の観点によれば、基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、フォトレジスト層をマスクとして絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するレジストマスク、ポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物を処理液によって除去するにあたり、エッチング後の基板をチャンバー内に装入し、チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にして、レジストマスクおよびポリマー層を除去し、ポリマー層内部の金属付着物を露出させた後、チャンバー内に酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、その状態でチャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された、露出した付着物を溶解除去し、その後、酸素含有ガスの供給を停止し、再びチャンバー内を不活性ガス雰囲気にしてからチャンバー内に処理液を供給して残存するポリマー層を除去するので、金属付着物を除去する際に、金属付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもレジストマスクおよびポリマー層除去の際には、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気で行うので、金属層の酸化を極力防止して処理液による金属層へのダメージを生じさせずに金属付着物を除去することができる。
【0027】
上記本発明の第の観点によれば、チャンバーに不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、チャンバーに酸素含有ガスを導入する酸素ガス導入手段と、チャンバー内に基板に付着したポリマー層を除去する第1の処理液を導入する第1の処理液導入手段と、チャンバー内に基板に付着した金属付着物を除去する第2の処理液を導入する第2の処理液導入手段と設け、ポリマー層を除去する際には、チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第1の処理液を供給し、金属付着物を除去する際には、チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第2の処理液を供給するので、金属付着物を除去する際に、金属付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもポリマー層除去の際には、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気で行うので、金属層の酸化を極力防止して処理液による金属層へのダメージを生じさせずに金属付着物を除去することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について具体的に説明する。図1および図2は、本実施形態の方法を実施するための基板処理装置を示す断面図であり、図1は外側チャンバー7の内部に内側チャンバー8を配置した状態を示し、図2は内側チャンバー8を外側チャンバー7の外部に出した状態を示している。また、図3は図1のA−A断面図である。
【0029】
基板処理装置1は、半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)Wのエッチング処理後にレジストマスク、エッチング残渣であるポリマー層、およびエッチングによりスパッタされて付着した金属付着物を除去するものであり、鉛直に設けられた支持壁2と、回転軸4を水平にして支持壁2に固定されたモータ3と、モータ3の回転軸4に取り付けられたロータ5と、支持壁2に水平に取り付けられ、モータ3および回転軸4を囲繞する円筒状のケーシング6と、ケーシング6に支持され、ロータ5を囲繞するように構成される外側チャンバー7と、図1に示すように外側チャンバー7の内側に配置された状態で薬液処理を行う内側チャンバー8とを有している。
【0030】
ロータ5は、鉛直にされた複数(例えば26枚)のウエハWを水平方向に配列した状態で保持可能となっており、保持された複数のウエハWとともに、モータ3によって回転軸4を介して回転されるようになっている。ロータ5の構造については後述する。
【0031】
外側チャンバー7はモータ3側の垂直壁7aと、先端側の垂直壁7bと、ロータ5の外側に所定間隔をおいて設けられた円筒状の外筒7cを有している。垂直壁7bの中央部には、回転軸4との間をシールする後述するシール機構90が設けられている。なお、外筒7cは、ウエハWを装入する際にはケーシング6側に退避可能となっている。
【0032】
内側チャンバー8は外側チャンバー7の外筒7cよりも径が小さい円筒状の内筒8aを有しており、内筒8aが図1の薬液処理位置と図2の退避位置と間で移動可能となっている。そして、図1のように内筒8aが外側チャンバー7の外筒7cの内側の薬液処理位置にある場合には、内筒8aと垂直壁7a,7bとで区画される処理空間30が形成され、図2のように内筒8aが退避位置にある場合には、外側チャンバー7によって区画される処理空間20が形成される。なお、処理空間20および処理空間30は、シール機構により密閉空間とされる。
【0033】
処理空間20の上端近傍部分には、多数の吐出口21を有する2本の吐出ノズル22(図3参照)が水平方向に沿って配置されている。吐出ノズル22からは、図示しない供給源から供給された純水、IPA、Nガス、各種薬液が吐出可能となっている。
【0034】
処理空間30の上端近傍には、多数の吐出口31を有する2本の吐出ノズル32が内筒8aに取り付けられた状態で設けられている。吐出ノズル32からは、図示しない供給源から供給された各種薬液、純水、IPA、Nガスが吐出可能となっている。
【0035】
吐出ノズル22,32から吐出される薬液(処理液)は、レジスト、ポリマー層、金属付着物を溶解除去可能なものであり、このような薬液としては例えばフッ酸(HF)、硫酸(HSO)、または有機剥離剤を挙げることができる。
【0036】
上記外側チャンバー7の先端側の垂直壁7bの下部には、図1の状態において処理空間30から使用済みの薬液、純水、IPAを排出する第1の排液ポート41が設けられており、第1の排液ポート41の下方には図2の状態において処理空間20から使用済みの薬液、純水、IPAを排出する第2の排液ポート42が設けられている。また、第1の排液ポート41および第2の排液ポート42には、それぞれ第1の排液管43および第2の排液管44が接続されている。
【0037】
また、垂直壁7bの上部には、図1の状態において処理空間30を排気する第1の排気ポート45が設けられており、第1の排気ポート45の上方には図2の状態において処理空間20を排気する第2の排気ポート46が設けられている。また、第1の排気ポート45および第2の排気ポート46には、それぞれ第1の排気管47および第2の排気管48が接続されている。
【0038】
さらに、垂直壁7bの中央部には、処理空間30に不活性ガス、例えばNガス、Arガス等を導入する不活性ガス導入ポート51、および酸素含有ガス、例えばOガス、空気、オゾン(O)等を導入する酸素含有ガス導入ポート52が設けられている。不活性ガス導入ポート51には不活性ガス供給配管53が接続され、不活性ガス供給源54からこの不活性ガス供給配管53を通って処理空間30に不活性ガスが供給される。また、酸素含有ガス導入ポート52には酸素含有ガス供給配管56が接続され、酸素含有ガス供給源57からこの酸素含有ガス供給配管56を通って処理空間30に酸素含有ガスが供給される。不活性ガス供給源54および酸素含有ガス供給源57には、それぞれヒーター54aおよび57aが取り付けられており、これらヒーター54a,57aにより処理空間30に導入される不活性ガスおよび酸素含有ガスを加熱してチャンバー内温度を上昇させることにより、薬液による溶解反応を促進することが可能となる。不活性ガス供給配管53および酸素含有ガス供給配管56には、それぞれマスフローコントローラ55および58が設けられており、これらによって、NガスおよびOガスの流量がコントロールされ、処理空間30内の雰囲気が調整可能となっている。
【0039】
不活性ガス供給源54には、さらに、マスフローコントローラ55a、55bがそれぞれ設けられた不活性ガス供給配管53a、53bが接続されている。また、酸素含有ガス供給源57には、マスフローコントローラ58a、58bがそれぞれ設けられた酸素含有ガス供給配管56a、56bが接続されている。不活性ガス供給配管53aと酸素含有ガス供給配管56aとは合流してガス供給配管53cとなっており、不活性ガス供給配管53bと酸素含有ガス供給配管56bとは合流してガス供給配管53dとなっている。ガス供給配管53cは垂直壁7a中央部に設けられた後述する筒状体310に接続されている。ガス供給配管53dは2系統に分岐して、後述する切替部材292aまたは292b近傍のボス301に接続されている。
【0040】
これらマスフローコントローラ55、55a、55b、58、58aおよび58bの流量は、コントローラ60によって制御される。なお、マスフローコントローラの代わりに流量計を設け、手動で流量を調整するようにしてもよい。
【0041】
垂直壁7aの所定位置には、ロータ5を保持状態と解除状態との間で切り換える後述する切換機構80が設けられている。
【0042】
ロータ5は、図4に示すように、所定の間隔をおいて配置された一対の円盤270a、270bと、これら円盤270a,270bに架設された、それぞれ左右対をなす、第1の係止部材271a,271bと、第2の係止部材272a、272bと、係止部材271a,271b,272a、272bにより係止されたウエハWを下方から保持する一対の保持機構273a,273bとを備えている。
【0043】
第1の係止部材271a,271b、および第2の係止部材272a、272bは、複数の溝275を有し、これらの溝275にウエハWの周縁が挿入された状態でウエハWを係止するように構成されている。なお、これら係止部材のいずれかには圧力センサーが取り付けられている。
【0044】
保持機構273aは、円盤270aの内側に配置されたアーム280aと、円盤270aの外側に配置されたバランスウエイト281aと、円盤270bの内側に配置されたアーム284aと、円盤270bの外側に配置されたバランスウエイト285aと、アーム280aおよび284aを連結する保持部材283aを有している。アーム280aおよびバランスウエイト281aは円盤270aを貫通する回動軸により互いに連結され、アーム284aおよびバランスウエイト285aは円盤270bを貫通する回動軸により互いに連結され、それぞれ一体的に回動するようになっている。一方、保持機構273bは保持機構273aと同様に、円盤270aの内側に配置されたアーム280bと、円盤270aの外側に配置されたバランスウエイト281bと、円盤270bの内側に配置されたアーム284bと、円盤270bの外側に配置されたバランスウエイト285bと、アーム280bおよび284bを連結する保持部材283bを有している。アーム280bおよびバランスウエイト281bは円盤270aを貫通する回動軸により互いに連結され、アーム284bおよびバランスウエイト285bは円盤270bを貫通する回動軸により互いに連結され、それぞれ一体的に回動するようになっている。これら保持機構273a,273bの保持部材283a,283bにはウエハWの周縁が挿入される複数の溝286が形成されている。
【0045】
また、円盤270a,270bの外側の面には、保持機構273a,273bを閉じる際にバランスウエイト281a,281b,285a,285bをロックするロックピン287が設けられている。このロックピン287は、バランスウエイト281a,281b,285a,285bが必要以上に外側へ開いてこれらがチャンバー壁に当たることを防止するたのストッパとしても機能する。さらに、バランスウエイト285a,285bには、図5および図6に示すように、それぞれ後述する切換部材292a,292bの溝293a,293bに挿入される突起部288a,288bが設けられている。
【0046】
図5および図6に示すように、モータ3側の垂直壁7aには、円周状のガイド溝290が形成されており、このガイド溝290の途中の保持機構273a,273bに対応する位置に円形の開口部291a,291bが形成されている。そして、この開口部291a,291bに円柱状をなす切換部材292a,292bがそれぞれθ方向に回転自在に挿入されている。これら切換部材292a,292bは上記切換機構80の一構成要素として機能する。これら切換部材292a,292bの前面には、それぞれ円弧状の溝293a,293bが形成されており、これら溝293a,293bは切換部材292a,292bを回動させることにより、前記ガイド溝290に連続した状態(図7参照)と、ガイド溝290に連続しない状態(図6参照)とで切換可能となっている。また、溝293a,293bには、バランスウエイト285a,285bに設けられた突起部288a,288bが挿入されており、切換部材292a,292bの回動動作により、バランスウエイト285a,285bを介して保持機構273a,273bを保持状態と解除状態との間で切り換えることが可能となっている。
【0047】
切換部材292a,292bを回動させて、図8に示すように溝293a,293bがガイド溝290と連続せず、バランスウエイト285a,285bが垂直姿勢となった際には、保持機構273a,273bが図4の実線で示す保持解除状態となる。
【0048】
一方、切換部材292a,292bを図7に示すように、それぞれ溝293a,293bがガイド溝290と連続するようにしてバランスウエイト285a,285bを上側が開いた状態とすることにより、保持機構273a,273bが図4の二点鎖線で示す閉じた状態、すなわちウエハWを保持する保持状態となる。このように保持機構273a,273bが保持状態の時には、係止部材271a,271b,272a,272bにより係止された複数、例えば26枚のウエハWが保持部材283a,283bによって下方から保持されているとともに、ガイド溝290が連続することにより、突起部288a,288bがガイド溝290に沿って移動可能となり、保持状態を保ったままロータ5を回転させることができる。また、この場合、ローター5の回転角に関わらず保持機構273a、273bの状態は一定に維持されるので、ロータ5を回転させた際にウエハWの保持が解除されることはない。このため、洗浄処理や乾燥処理中にロータ5からウエハWがはみ出して洗浄液や乾燥ガスの供給を妨げたり、ウエハWがロータ5から飛び出して破損することを防止することができる。
【0049】
次に、上記切換部材292aおよび292bを含む切換機構80およびその周辺の構造について説明する。切換機構80において、切換部材292a側の構造および切換部材292b側の構造は実質的に同じであるため、ここでは切換部材292a側の構造のみを説明する。図9は、切換機構80のうち切換部材292a側の部分およびその周辺部を概略的に示した拡大断面図である。
【0050】
図9に示すように、垂直壁7aに設けられた開口部291aのモーター3側には、この開口部291aと連続する貫通孔を有するボス301が配設されており、切換部材292aは、このボス301の貫通孔内にわずかなクリアランス302をもつように挿入されている。切換部材292aの先端部と開口部291aとは隙間305をなしている。ボス301のモーター3側には回転シリンダ300が設けられており、切換部材292aはこの回転シリンダ300と連結され、回転シリンダ300を動作させることにより回転動作するようになっている。
【0051】
ボス301の内部には、リング状の通路303が形成されており、この通路303の所定部分に前述したガス供給配管53dが接続されている。また、ボス301の内部には、このリング状の通路303と連続するようにして、処理空間20または30側に伸びる幅の狭いリング状の通路304が設けられており、この通路304は切換部材292aと垂直壁7aとの間の隙間305と連通している。このような構成において、ガス供給配管53dを介して不活性ガスおよび/または酸素含有ガスを供給することにより、ガスは通路303から通路304を経て隙間305から処理空間20または30内に流入する。このようにすることで、処理空間20または30内に不活性ガスおよび/または酸素含有ガスを供給して雰囲気調整を補助的に行うことができるとともに、切換部材292aと垂直壁7aとの隙間305に処理液が溜まることを防止することができる。処理液が溜まりそれが乾燥するとパーティクルとなってウエハ汚染の原因となるが、処理液が溜まることを防止することにより、このような問題はなくなる。
【0052】
次に、垂直壁7aの中央部に設けられたシール機構90について説明する。図10は、図1に概略的に示したシール機構90およびその周辺部の詳細な構造を示す拡大断面図である。
【0053】
図10に示すように、垂直壁7aの中央部には、回転軸4を囲むようにして中空の筒状体310が配設されており、筒状体310の先端部310aと回転軸4との間にはわずかな隙間312が設けられている。筒状体310と回転軸4との間にはベアリング313および流体シール部材9が設けられており、筒状体310は回転軸4を回転可能にシールするようになっている。筒状体310およびベアリング313との間にはリング状の通路311が設けられており、この通路311には前述したガス供給配管53cと、通路311内のガスを排出するガス排出配管54eとが接続されている。また、通路311は、隙間312を介して処理空間20または30内に連通している。このような構成において、ガス供給配管54cを介して不活性ガスおよび/または酸素含有ガスを供給することにより、ガスは通路311から隙間312を経て、図中に矢印で示すように処理空間20または30内に流入する。このようにすることで、処理空間20または30内に不活性ガスおよび/または酸素含有ガスを供給して雰囲気調整を補助的に行うことができるとともに、回転軸4の周囲の隙間312に処理液が溜まることを防止することができる。
【0054】
次に、このように構成される基板処理装置1によって、図11に示す工程でエッチングされた半導体装置(ウエハW)の薬液処理を行う際の動作について説明する。
【0055】
最初に、図11の工程について説明する。図11の(a)に示すように、シリコンからなるウエハWの上に、Cu配線層71、SiNバリア層72、層間絶縁層73を形成し、その上にレジスト層74を形成し、フォトリソグラフィー技術により、レジスト層74に所定の配線パターンを形成する。なお、層間絶縁層73としては、SiO膜であってもよいし、高速化のために近年用いられつつある有機系の低誘電率材料からなるいわゆるlow−k膜であってもよい。
【0056】
次いで、図11の(b)に示すように所定のエッチングガスのプラズマを用いたプラズマエッチングにより、レジスト層74をマスク(レジストマスク)として、コンタクトホール75を形成する。この際に、エッチングガスの成分により、コンタクトホール75の側壁にポリマー層76が形成される。そして、エッチングの際にはこのポリマー層76が保護層として作用し、異方性の高いエッチングが行われる。
【0057】
エッチングが進行し、図11の(c)に示すように、Cu配線層71に達すると、Cuがスパッタされてポリマー層76の外側にCu付着物77が付着する。エッチングがCu配線層71に達した後も所定のオーバーエッチングが行われるが、それにより再びポリマーが形成され、図11の(d)に示すように、Cu付着物77の外側にポリマー層78が形成される。したがって、ポリマー層の内部にCuが存在している状態となる。
【0058】
この図11の(d)の状態のウエハWが基板処理装置1により処理される。この処理により以下に説明するように、レジストマスク(レジスト層)、ポリマー層およびCu付着物が除去される。この処理においては、まず、外側チャンバー7の外筒7cおよび内側チャンバー8の内筒8aをケーシング6の上へ退避させた状態で、図示しない搬送手段により下側から複数のウエハWをロータ5に装着し、保持機構273aおよび273bを保持状態としてウエハWを保持する。この際、前述の圧力センサーによりウエハWの受ける圧力を検出しながらロータ5に装着することにより、ウエハWの破壊が防止される。そして、外筒7cおよび内筒8aをロータ5の外側に配置して、図1に示すように密閉状態の処理空間30を形成する。
【0059】
次に、Cu配線層71の酸化を極力防止する観点から、不活性ガス供給源54から不活性ガス供給配管53および不活性ガス導入ポート51を介して処理空間30に不活性ガスを供給して、処理空間30を実質的に酸素を含まない不活性ガス雰囲気とする。
【0060】
その後、モータ3による回転駆動により、ロータ5を1〜500rpmの速度で低速回転させ、ウエハWを回転させながら、吐出ノズル32から所定の薬液(処理液)を吐出し、レジストマスクおよびポリマー層を溶解除去する。
【0061】
このレジストマスクおよびポリマー層の除去に際しては、まず吐出ノズル32から所定の薬液を数十秒間吐出する。この際にロータ5とともにウエハWを1〜500rpmの低速で回転させることにより、吐出された薬液をウエハWの表面上に拡散させる。この場合に、薬液の粘性に応じてロータ5の回転速度を制御することにより、薬液をウエハWの表面上に均一に拡散させることができ、レジストマスクおよびポリマー層を均一に溶解させることができる。例えば、薬液の粘性が高い場合には、上記範囲内において比較的高い回転数でロータ5を回転させるようにし、粘性の低い場合には比較的低い回転速度でロータ5を回転させるようにすることにより、薬液の均一拡散が可能となる。
【0062】
このようにしてレジストマスクおよびポリマー層を溶解させると、溶解反応済みの薬液がウエハWの表面に滞留することとなる。溶解反応済みの薬液は反応速度が低いため、このような溶解反応済みの薬液が滞留した場合には、一旦薬液の吐出を停止し、加熱されたNガスを吐出ノズル32から数秒間程度吐出させるとともに、モータ3の出力を上げて、ロータ5の回転速度を100〜3000rpm程度と、薬液供給の際の回転速度よりも高速にする。これにより、不活性ガスの供給圧力およびロータ5の回転による遠心力によりウエハWから溶解反応済みの薬液を除去する。この際に、溶解反応済みの薬液を効果的に除去するために、ロータ5の回転速度は薬液の粘性に応じて制御することが好ましい。
【0063】
以上のように溶解反応済みの薬液をウエハWの表面から除去した後、再びロータ5の回転速度を1〜500rpmとし、新しい薬液を吐出ノズル32から吐出する。このように薬液を供給する工程と、溶解反応済みの薬液を除去する工程とを数回〜数千回程度繰り返して行うことにより、反応性の高い新しい薬液をウエハWの表面に常に供給することができ、レジストマスクやポリマー層を効率良く除去することができる。
【0064】
このようにしてレジストマスク(レジスト層)74およびポリマー層78は除去され、ポリマー層76の一部も除去されるが、処理空間30内が不活性ガス雰囲気であるため、Cu付着物77は酸化されず、したがって薬液に溶解されないため図12の(a)に示すように周囲のポリマー層とともに除去されずに残存する。すなわち、上述したフッ酸(HF)、硫酸(HSO)、有機剥離剤等の薬液は、Cuの状態では溶解させることができず、CuOになって溶解可能となることから、不活性ガス雰囲気によってCu配線層71の酸化は抑制されるもののCu付着物77も除去することができない。
【0065】
そこで、本実施形態においては、上述のようにレジストマスクおよびポリマー層を除去後、不活性ガス供給源54からの不活性ガスの供給を継続した状態で、酸素含有ガス供給源57から酸素含有ガス供給配管56および酸素含有ガス導入ポート52を介して処理空間30に酸素含有ガスを供給し、処理空間30を所定の酸素濃度の不活性雰囲気とする。この場合に、コントローラ60によりマスフローコントローラ55,58を制御してこれらを所定の流量とすることにより、酸素濃度を制御する。
【0066】
このように処理空間30内の雰囲気制御を行った後、従前のレジストマスクおよびポリマー層の除去処理と同様に、ロータ5を回転させた状態で吐出ノズル32から薬液を吐出する。この際に、雰囲気中の酸素によりCu付着物が酸化されてCuOとなるため、供給された薬液により、図12の(b)に示すように、その酸化されたCuO付着物が溶解除去される。
【0067】
このようなCu付着物を除去する際に、空気中で除去処理を行う場合には、確かにCu付着物が酸化されて薬液により溶解除去されるが、その際にはCu配線層も酸化が進んでかなりの部分が溶解除去されてしまう。これに対して本実施形態のように、不活性ガス雰囲気中に微量の酸素含有ガスを導入した雰囲気で処理を行うことにより、Cu配線層の溶解除去される量を極力少なくして、Cu付着物を除去することが可能となる。
【0068】
この場合に、Cu付着物77の付着状態に応じて、かつCu配線層71に極力ダメージを与えないようにして酸素濃度を制御することが好ましい。この際の適切な酸素濃度は、Cu付着物の状態等に応じて変化するが、例えば5%以下程度の所定の濃度に設定する。この場合の酸素濃度の制御としては酸素含有ガス自体の濃度制御の他、ガスそのものを切り換えることによって酸素濃度を制御することもできる。例えば、空気とOガスの切換等が考えられる。
【0069】
このようにCu付着物77を除去する際にも、所定時間薬液を吐出後、Nガスの吐出およびロータ5の回転速度の上昇により溶解処理済みの薬液をウエハW表面から除去し、これらの工程を数回〜数千回程度繰り返して行うことにより、効率良くCu付着物を除去することができる。この方法は、薬液を除去した際に露出したCu付着物を雰囲気中の酸素により酸化させることができるので、より効果がある。
【0070】
このようにしてCu付着物77を除去した後、酸素含有ガスの供給を停止し、処理空間30内を再び酸素を実質的に含まない不活性ガス雰囲気とし、従前のレジストマスクおよびポリマー層の除去処理と全く同様に、薬液供給と溶解反応後の薬液除去とを繰り返し行うことにより、Cu配線層71の酸化を防止しつつ残存するポリマー層76を除去し、図12の(c)に示す状態とすることができる。
【0071】
このようにしてレジストマスク、ポリマー層、およびCu付着物の除去処理が終了後、吐出ノズル32からIPAまたは純水を吐出させて残存する反応生成物をウエハWから洗い流す。
【0072】
次いで、内筒8aを外筒7cの内側からケーシング6の外側退避させ、外側チャンバー7内に形成される処理空間20内にウエハWが位置している状態とする。この状態で、吐出ノズル22から純水を吐出させてウエハWをリンス処理し、最後にロータ5を高速で回転させてウエハWのスピン乾燥を行う。
【0073】
以上のようにCu付着物を除去する際に、不活性ガス雰囲気に微量の酸素含有ガスを添加して行うので、Cu付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもレジストマスクおよびポリマー層除去の際には、酸素を実質的に含まない雰囲気で行うので、Cu配線層の酸化を極力防止してCu配線層をほとんど溶解除去させずにCu配線層へのダメージを少なくしてレジストマスク、ポリマー層、およびCu付着物の除去を行うことができる。
【0074】
従来は、Cuがスパッタされて付着すると、それを除去するためにCu配線層も除去されざるを得ないため、エッチングの際にCuスパッタが生じない方法を採用していた。すなわち、図11の(a)に示す状態で、まず層間絶縁層73のみをエッチングし、引き続きレジストマスクおよびポリマー層の除去を行い、その後、イオンよりもエネルギーの小さいラジカルを用いてSiNバリア層72をエッチングしてCuスパッタが生じないようにしていた。しかしながら、この場合には工程が煩雑となるとともに、ラジカルエッチングは等方的なエッチングであることからSiNバリア層72のエッチング形状が悪くなってしまう。これに対して、本実施形態ではCu配線層71にダメージを与えずにCu付着物の除去が可能となることから、このように工程が煩雑であるという問題やエッチング形状が悪いといった問題が生じない。
【0075】
なお、上記の実施形態において、最初にレジストマスクとポリマー層とを同時に除去したが、それぞれ異なる薬液を用いて別々の工程で除去してもよい。この場合には、例えば、まず内筒8aを外筒7cの内側へ装着した状態で吐出ノズル32から処理空間30へレジストマスク除去用の薬液を供給し、その後、内筒8aを退避させて吐出ノズル22から処理空間20へポリマー層除去用の薬液を供給すればよい。
【0076】
また、ポリマー層と金属付着物が同時に付着しているような場合には、必ずしも上述のように最初にポリマー層を溶解除去する必要はなく、上記金属付着物の溶解除去工程をポリマー層の溶解除去工程に先立って行ってもよい。
【0077】
さらに、以下の1〜4に示すように、ポリマー層を溶解除去する工程および金属付着物を溶解除去する工程を交互に、少なくとも一方の工程が複数回になるように繰り返し行うようにしてもよい。これにより複雑にポリマー層とCu付着物とが混ざり合った状態から、ポリマー層およびCu付着物の除去をより確実に行うことが可能となる。
1.ポリマー層除去−金属付着物除去−ポリマー層除去
2.金属付着物除去−ポリマー層除去−金属付着物除去
3.ポリマー層除去−金属付着物除去を1セットとして2回以上繰り返し
4.金属付着物除去−ポリマー層除去を1セットとして2回以上繰り返し
【0078】
上述のように、ポリマー層を溶解除去する工程は不活性雰囲気で行うことができ、金属付着物を溶解除去する工程は不活性ガスに微量の酸素含有ガスを添加した雰囲気で行うことができるから、上記のようにこれらの工程を交互に行う場合には上記2種類の雰囲気を切り替えて行えばよいが、これに限るものではない。
【0079】
本発明者らの解析結果によれば、基板に付着した金属付着物には酸素含有量の異なるものが複数種存在する場合があることが判明している。例えば、Cu付着物にはCu−richな付着物とCuO−richな付着物とが存在する場合がある。金属付着物の付着の態様はエッチング工程の進行状況と密接な関係があるため、表面近くではCu−richな付着物が主体となり、内部ではCuO−richな付着物が主体となるといったように、除去対象物表面からの距離に応じて付着物の性状が変化している場合がある。
【0080】
Cu−richな付着物を完全に酸化するためには多くの酸素を必要とするが、CuO−richな付着物に対しては必要とされる酸素は少量である。Cu配線層保護の観点より不活性ガスに添加する酸素量は必要最小限とすることが望ましいため、上記のようなCu−richな付着物およびCuO−richな付着物が存在する場合には、例えば以下の説明および図13に示す(a)〜(e)の手順により溶解除去処理を行うことが好適である。
(a)不活性ガス雰囲気(N雰囲気)でポリマー層の溶解除去を3分
(b)酸素を200ppm含む不活性ガス雰囲気にてCu−richな付着物の溶解除去を1分
(c)不活性ガス雰囲気でのポリマー層の溶解除去を3分
(d)酸素を100ppm含む不活性ガス雰囲気にてCuO−richな付着物の溶解除去を1分
(e)不活性ガス雰囲気でのポリマー層の溶解除去を3分
このような手順で溶解除去処理を行うことにより、Cu配線層の受けるダメージを一層低減しつつ、金属付着物およびポリマー層を除去することができる。
【0081】
以上は、エッチング後にポリマー層とともに付着したCu層を除去する場合について示したが、半導体デバイス製造において、ウエハの表面にCuめっきを施す工程があり、図14に示すように、ウエハWの表面にめっき層81が形成されるが、その際にウエハWの裏面等にCu付着物82が形成される場合がある。この場合にも上記図1〜図3に示す装置により、処理空間30を所定濃度の酸素を含む不活性ガス雰囲気とし、薬液を供給して従前の実施形態と同様の処理を行うことにより、めっき層81にダメージを与えることなくCu付着物82を除去することができる。
【0082】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。ここでは、以上のバッチ処理とは異なり、枚葉処理の例を示す。図15は枚葉式の基板処理装置を示す図である。この基板処理装置101は、ウエハWを収容するチャンバー102を有し、チャンバー102の上部開口は蓋体103で密閉可能となっており、これによりチャンバー102内に密閉された処理空間110が形成されるようになっている。
【0083】
チャンバー102内にはウエハWを水平にかつ回転可能に外側から支持する保持部材104が設けられ、保持部材104はモータ105により回転されるようになっている。
【0084】
処理空間110のウエハWの上方には吐出ノズル106が鉛直に配置されている。吐出ノズル106からは、図示しない供給源から供給された各種薬液、純水、IPA、Nガス、各種薬液が配管107を介して吐出可能となっている。
【0085】
チャンバー102の底壁には、使用済みの薬液、純水、IPAを排出する排液ポート111および処理空間110を排気する排気ポート112が設けられており、排液ポート111および排気ポート112には、それぞれ排液管113および排気管114が接続されている。
【0086】
チャンバー102の側壁には、処理空間110にNガスやArガス等の不活性ガスを導入する不活性ガス導入ポート121およびOガス、空気、オゾン(O)等の酸素含有ガスを導入する酸素含有ガス導入ポート122が設けられている。不活性ガス導入ポート121には不活性ガス供給配管123が接続され、不活性ガス供給源124からこの不活性ガス供給配管123を通って処理空間110に不活性ガスが供給される。また、酸素含有ガス導入ポート122には酸素含有ガス供給配管126が接続され、酸素含有ガス供給源127からこの酸素含有ガス供給配管126を通って処理空間110に酸素含有ガスが供給される。不活性ガス供給源124および酸素含有ガス供給源127には、それぞれヒーター124aおよ127aが取り付けられており、これらヒーター124a,127aにより処理空間110に導入される不活性ガスおよび酸素含有ガスを加熱してチャンバー内温度を上昇させることにより、薬液による溶解反応を促進することが可能となる。不活性ガス供給配管123および酸素含有ガス供給配管126には、それぞれマスフローコントローラ125および128が設けられており、これらによって、不活性ガスおよび酸素含有ガスの流量がコントロールされ、処理空間110内の雰囲気が調整可能となっている。これらマスフローコントローラ125および128の流量は、コントローラ130によって制御される。なお、マスフローコントローラの代わりに流量計を設け、手動で流量を調整するようにしてもよい。
【0087】
このように構成される基板処理装置101によって、前述の図11の(d)の状態のウエハWを処理する際には、まず、蓋体103を開けた状態で、図示しない搬送手段により保持部材104上にウエハを吸着保持させ、搬送手段を退避させた後、蓋体103を装着して密閉された処理空間110を形成する。
【0088】
次に、Cu配線層71の酸化を極力防止する観点から、不活性ガス供給源124から不活性ガス供給配管123および不活性ガス導入ポート121を介して処理空間110に不活性ガスを供給して、処理空間110を実質的に酸素を含まない不活性ガス雰囲気とする。
【0089】
その後、モータ105による回転駆動により、保持部材104を所定の速度で回転させ、吐出ノズル106から所定の薬液(処理液)を吐出し、レジストマスクおよびポリマー層を除去する。
【0090】
このレジストマスクおよびポリマー層の除去に際しては、まず吐出ノズル106から所定の薬液を数十秒間吐出する。この際に保持部材104とともにウエハWを所定速度で回転させることにより、吐出された薬液をウエハWの表面上に拡散させる。この場合に、薬液の粘性に応じて保持部材104の回転速度を制御することにより、薬液をウエハWの表面上に均一に拡散させることができ、レジストマスクおよびポリマー層を均一に溶解させることができる。
【0091】
このようにしてレジストマスクおよびポリマー層を溶解させると、溶解反応済みの薬液がウエハWの表面に滞留することとなる。溶解反応済みの薬液は反応速度が低いため、このような溶解反応済みの薬液が滞留した場合には、一旦薬液の吐出を停止し、加熱された不活性ガスを吐出ノズル106から数秒間程度吐出させるとともに、モータ105の出力を上げて、保持部材104の回転速度を高速にする。これにより、不活性ガスの供給圧力および保持部材104の回転による遠心力によりウエハWから溶解反応済みの薬液を除去する。この際に、溶解反応済みの薬液を効果的に除去するために、保持部材104の回転速度は薬液の粘性に応じて制御することが好ましい。
【0092】
このように溶解反応済みの薬液をウエハWの表面から除去した後、保持部材104の回転速度を元に戻し、新しい薬液を吐出ノズル106から吐出する。このように薬液を供給する工程と、溶解反応済みの薬液を除去する工程とを数回〜数千回程度繰り返して行うことにより、反応性の高い新しい薬液をウエハWの表面に常に供給することができ、レジストマスクやポリマー層を効率良く除去することができる。
【0093】
次に、このようにしてレジストマスクおよびポリマー層を除去後、不活性ガス供給源124からのNガスの供給を継続した状態で、酸素含有ガス供給源127から酸素含有ガス供給配管126および酸素含有ガス導入ポート122を介して処理空間110に酸素含有ガスを供給し、処理空間110を所定の酸素濃度のN雰囲気とする。この場合に、例えばコントローラ130によりマスフローコントローラ125,128を制御することによりこれらを所定の流量とすることにより、酸素濃度を制御する。
【0094】
このように処理空間110内の雰囲気制御を行った後、従前のレジストマスクおよびポリマー層の除去処理と同様に、保持部材104を回転させた状態で吐出ノズル106から薬液を吐出する。この際に、雰囲気中の酸素によりCu付着物が酸化されてCuOとなるため、供給された薬液により、図12の(b)に示すように、その酸化されたCuO付着物が溶解除去される。この場合に、Cu付着物77の付着状態に応じて、かつCu配線層71に極力ダメージを与えないようにして酸素濃度を制御することが好ましい。この際の適切な酸素濃度は、Cu付着物の状態等に応じて変化するが、例えば5%以下程度の所定の濃度に設定する。この場合の酸素濃度の制御としては酸素含有ガス自体の濃度制御の他、ガスそのものを切り換えることによって酸素濃度を制御することもできる。例えば、空気とOガスの切換等が考えられる。
【0095】
このようにCu付着物77を除去する際にも、所定時間薬液を吐出後、不活性ガスの吐出および保持部材104の回転速度の上昇により溶解処理済みの薬液をウエハW表面から除去し、これらの工程を数回〜数千回程度繰り返して行うことにより、効率良くCu付着物を除去することができる。この方法は、薬液を振り切った際に露出したCu付着物を雰囲気中の酸素により酸化させることができるので、より効果がある。
【0096】
このようにしてCu付着物77を除去した後、酸素含有ガスの供給を停止し、処理空間110内を再び酸素を実質的に含まない不活性ガス雰囲気とし、従前のレジストマスクおよびポリマー層の除去処理と全く同様に、薬液供給と溶解反応後の薬液除去とを繰り返し行うことにより、Cu配線層71の酸化を防止しつつ残存するポリマー層76を除去し、図12の(c)に示す状態とすることができる。
【0097】
このレジストマスク、ポリマー層、およびCu付着物の除去処理が終了後、吐出ノズル106からIPAまたは純水を吐出させて残存する反応生成物をウエハWから洗い流す。次いで、吐出ノズル106から純水を吐出させてウエハWをリンス処理し、最後に保持部材104とともにウエハWを高速で回転させてウエハWのスピン乾燥を行う。
【0098】
このように、本実施形態においても、Cu付着物を除去する際に、不活性ガス雰囲気に微量の酸素含有ガスを添加するので、Cu付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもレジストマスクおよびポリマー層除去の際には、酸素を実質的に含まない雰囲気で行うので、Cu配線層の酸化を極力防止し、Cu配線層をほとんど溶解除去させずにCu配線層へのダメージを少なくしてレジストマスク、ポリマー層、およびCu付着物の除去を行うことができる。
【0099】
なお、このような枚葉式の基板処理装置においても、最初にレジストマスクとポリマー層とを同時に除去する代わりに、それぞれ異なる薬液を用いて別々の工程で除去してもよい。この場合には、例えば、最初に吐出ノズル106からレジストマスク除去用の薬液を供給してレジストマスクを除去し、その後吐出ノズル106からポリマー層除去用の薬液を供給するようにすればよい。
【0100】
また、従前の実施形態と同様、ポリマー層と金属付着物が同時に付着しているような場合には、必ずしも上述のように最初にポリマー層を溶解除去する必要はなく、上記金属付着物の溶解除去工程をポリマー層の溶解除去工程に先立って行ってもよい。
【0101】
さらに、以下の1〜4に示すように、ポリマー層を溶解除去する工程および金属付着物を溶解除去する工程を交互に、少なくとも一方の工程が複数回になるように繰り返し行うようにしてもよい。
1.ポリマー層除去−金属付着物除去−ポリマー層除去
2.金属付着物除去−ポリマー層除去−金属付着物除去
3.ポリマー層除去−金属付着物除去を1セットとして2回以上繰り返し
4.金属付着物除去−ポリマー層除去を1セットとして2回以上繰り返し
【0102】
さらにまた、付着物の表面付近にCu−richな付着物が存在し、付着物の内側にCuO−richな付着物が存在する場合にも、従前の実施形態と同様にして、付着物を溶解除去することができる。
【0103】
また、このような枚葉式の基板処理装置を、図14に示したCuめっき後のウエハの処理に適用することもできる。この場合には、ウエハWを、その裏面を上にした状態で、保持部材104で保持し、処理空間110を所定濃度の酸素を含む不活性ガス雰囲気とし、薬液を供給して同様の処理を行うことにより、めっき層81にダメージを与えることなくCu付着物82を除去することができる。この場合に、めっき層81のダメージをより一層低減する観点から、仕切壁を設ける等の手段によりウエハWのめっき層81を形成した部分のみを酸素濃度の低い雰囲気にすることが好ましい。また、この場合に、保持部材104の下方に空間があることから、その部分に吐出ノズルを設けることができるので、ウエハWを、その表面を上にした状態で保持しても、めっき層81にダメージを与えることなくCu付着物を除去することができる。
【0104】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、Cu付着物を除去する場合について説明したが、酸化することにより溶解性が変化する金属であれば同様のメカニズムにより溶解除去することが可能である。このような金属としてはRuおよびPtを挙げることができる。
【0105】
また、上記実施形態では、不活性ガス雰囲気に酸素含有ガスを導入することにより酸素を供給したが、これに限らず、処理液として供給する薬液中に酸素を溶解させ、薬液と酸素とを同時に供給してもよい。この場合にも溶解させる酸素の量を制御すれば、金属付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、金属層の酸化を極力防止して金属付着物を除去することができる。
【0106】
さらに、レジストマスクおよびポリマー層をともに薬液(処理液)で除去する場合について示したが、レジストマスクをドライアッシングで除去してからポリマー層を除去する場合にも適用可能である。さらにまた、半導体ウエハに適用した場合について示したが、これに限らず、液晶表示装置(LCD)用基板等、他の基板の処理にも適用することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属層を有する基板に付着したポリマー層と金属付着物とを処理液によって除去する際、具体的には基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物、またはそれらに加えてレジストマスクを処理液によって除去する際に、チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にしてから、チャンバー内に処理液を供給してポリマー層、またはレジストマスクおよびポリマー層を除去し、チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にしてから、チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された付着物を溶解除去するので、金属付着物を除去する際に、金属付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもポリマー層、またはレジストマスクおよびポリマー層除去の際には、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気で行うので、金属層の酸化を極力防止して処理液による金属層へのダメージを生じさせずに金属付着物を除去することができる。
【0109】
さらに、チャンバーに不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、チャンバーに酸素含有ガスを導入する酸素ガス導入手段と、チャンバー内に基板に付着したポリマー層を除去する第1の処理液を導入する第1の処理液導入手段と、ャンバー内に基板に付着した金属付着物を除去する第2の処理液を導入する第2の処理液導入手段とを設け、ポリマー層を除去する際には、チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第1の処理液を供給し、金属付着物を除去する際には、チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第2の処理液を供給するので、金属付着物を除去する際に、金属付着物を酸化させて除去可能にするのに必要最小限の酸素量とすることができ、しかもポリマー層除去の際には、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気で行うので、金属層の酸化を極力防止して処理液による金属層へのダメージを生じさせずに金属付着物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するために用いる一実施形態に係る基板処理装置の外側チャンバーの内部に内側チャンバーを配置した状態を示す断面図。
【図2】本発明の方法を実施するために用いる一実施形態に係る基板処理装置の内側チャンバーを外側チャンバーの外部に出した状態を示す断面図。
【図3】図1の基板処理装置のA−A線による断面図。
【図4】図1の基板処理装置のロータを示す斜視図。
【図5】ロータの保持機構を保持状態と解除状態との間で切り換える切換部材とモータ側の垂直壁の要部を示す分解斜視図。
【図6】保持機構が解除状態にある時の切換部材および突起部の状態を示す斜視図。
【図7】保持機構が保持状態にある時の切換部材および突起部の状態を示す斜視図。
【図8】図4に示すロータのアーム、バランスウエイトおよび突起部を示す斜視図。
【図9】図1の基板処理装置の切換機構およびその周辺部の拡大断面図。
【図10】図1の基板処理装置のシール機構およびその周辺部の拡大断面図。
【図11】本発明の一実施形態に係る基板処理方法が適用される半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る基板処理方法の処理工程を説明するための断面図。
【図13】本発明の一実施形態に係る基板処理方法を適用した複数種のCu付着物を除去する処理手順における処理時間と酸素濃度との関係を示すグラフ。
【図14】本発明の他の実施形態に係る基板処理方法に適用される半導体ウエハを示す断面図。
【図15】本発明の方法を実施するために用いる他の実施形態に係る基板処理装置を示す断面図。
【符号の説明】
1,101……基板処理装置
5……ロータ
7,8,102……チャンバー
20,30,110……処理空間
22,32,106……吐出ノズル
51,121……不活性ガス導入ポート
52,122……酸素含有ガス導入ポート
54,124……不活性ガス供給源
57,127……酸素含有ガス供給源
55,58,125,128……マスフローコントローラ
60,130……コントローラ
71……Cu配線層
72……SiNバリア層
73……層間絶縁層
74……レジスト層(レジストマスク)
75……コンタクトホール
76,78……ポリマー層
77……Cu付着物(金属付着物)
W……半導体ウエハ(基板)

Claims (16)

  1. 金属層を有する基板に付着したポリマー層と金属付着物とを処理液によって除去する基板処理方法であって、
    基板をチャンバー内に装入する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を溶解除去する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された付着物を溶解除去する工程と
    を具備することを特徴とする基板処理方法。
  2. 前記付着物を溶解除去する工程は、前記ポリマー層を溶解除去する工程の後に行うことを特徴とする請求項に記載の基板処理方法。
  3. 前記付着物を溶解除去する工程は、前記ポリマー層を溶解除去する工程の前に行うことを特徴とする請求項に記載の基板処理方法。
  4. 前記ポリマー層を溶解除去する工程および前記付着物を溶解除去する工程を交互に、少なくとも一方の工程が複数回になるように繰り返し行うことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  5. 基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物を処理液によって除去する基板処理方法であって、
    エッチング後の基板をチャンバー内に装入する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を溶解除去し、金属付着物を露出させる工程と、
    その後、前記チャンバー内に酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された、露出した付着物を溶解除去する工程と、
    その後、酸素含有ガスの供給を停止し、再び前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して残存するポリマー層を溶解除去する工程と
    を具備することを特徴とする基板処理方法。
  6. 基板上に少なくとも金属層およびその上の絶縁層を形成し、フォトレジスト層をマスクとして絶縁層を金属層に達するまでエッチングした後に残存するレジストマスク、ポリマー層およびポリマー層内部に存在する金属層がスパッタされて付着した金属付着物を処理液によって除去する基板処理方法であって、
    エッチング後の基板をチャンバー内に装入する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスを導入してチャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、チャンバー内に処理液を供給してレジストマスクを溶解除去する工程と、
    不活性ガス雰囲気の前記チャンバー内に処理液を供給してポリマー層を溶解除去するとともに、ポリマー層内部の金属付着物を露出させる工程と、
    その後、前記チャンバー内に酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された、露出した付着物を溶解除去する工程と、
    その後、酸素含有ガスの供給を停止し、再びチャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して残存するポリマー層を溶解除去する工程と
    を具備することを特徴とする基板処理方法。
  7. レジストマスクを溶解除去する工程と、ポリマー層を溶解除去するとともに、ポリマー層内部の金属付着物を露出させる工程を同時に行うことを特徴とする請求項に記載の基板処理方法。
  8. 前記付着物を溶解除去する工程および残存するポリマー層を溶解除去する工程は、交互に、少なくとも一方の工程が複数回になるように繰り返し行うことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  9. 前記ポリマー層の溶解除去は、前記処理液の供給および基板からの処理液の除去を繰り返し行うことによってなされることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  10. 前記レジストマスクの溶解除去は、前記処理液の供給および基板からの処理液の除去を繰り返し行うことによってなされることを特徴とする請求項または請求項に記載の基板処理方法。
  11. 金属付着物を酸化させる際に、金属付着物の付着状態に応じてチャンバー内の酸素濃度を制御することを特徴とする請求項から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  12. 前記金属付着物はCu,RuおよびPtの少なくとも1種を主体とするものであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  13. 金属層を有する基板に付着したポリマーからなる第1の付着物と、金属を含有する第2の付着物と、金属を含有し、前記第2の付着物とは異なる組成の第3の付着物を処理液によって除去する基板処理方法であって、
    基板をチャンバー内に装入する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給してポリマーからなる第1の付着物を溶解除去する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記第2の付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された第2の付着物を溶解除去する工程と、
    前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入して、前記チャンバー内を前記第3の付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にし、前記チャンバー内に処理液を供給して、チャンバー内雰囲気中の酸素により酸化された第3の付着物を溶解除去する工程と
    を具備することを特徴とする基板処理方法。
  14. 金属層を有する基板に付着したポリマー層と金属付着物を処理液によって除去する基板処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    チャンバーに不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、
    チャンバーに酸素含有ガスを導入する酸素ガス導入手段と、
    チャンバー内を排気する排気手段と、
    チャンバー内に基板に付着したポリマー層を除去する第1の処理液を導入する第1の処理液導入手段と、
    チャンバー内に基板に付着した金属付着物を除去する第2の処理液を導入する第2の処理液導入手段と、
    チャンバー内に供給された処理液を排液する排液手段と
    を具備し、
    前記ポリマー層を除去する際には、前記チャンバー内に不活性ガスを導入して前記チャンバー内を不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第1の処理液を供給し、
    前記金属付着物を除去する際には、前記チャンバー内に不活性ガスおよび酸素含有ガスを導入してチャンバー内を前記金属付着物を酸化させることが可能な程度の酸素濃度の不活性ガス雰囲気にしつつ、前記チャンバー内に第2の処理液を供給することを特徴とする基板処理装置。
  15. 前記不活性ガス導入手段および前記酸素ガス導入手段の少なくとも一方は、流量調節機構を有することを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
  16. 前記チャンバー内に収容された基板を回転可能に保持する基板保持手段をさらに具備することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の基板処理装置。
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