JP3768236B2 - 高栄養価の動物飼料を製造するための方法およびそのように製造された動物飼料の使用 - Google Patents

Description

この発明は、グリセリルポリエチレングリコールリシノレアート（通常ひまし油エトキシラートと呼ばれる）からなる界面活性化合物を、栄養物とは混合するが、液体の状態の（必要に応じて加熱後に）疎水性成分とは混合しない、粉末状または粒状の栄養物を含有する乾燥動物飼料を製造するための方法に関する。そのように製造された動物飼料は、飼鳥類、豚および子牛等に対して高い栄養価を有することがわかった。
主に子牛向けの調合乳を製造するために、ひまし油エトキシラートおよびレシチン等の界面活性剤によって、水に脂肪を分散させることは一般に知られている。さらに、脂肪の栄養価の有効性を増すよう、界面活性化合物を、必要に応じて加熱後に、液体の状態である脂肪相に混合することによって、穀類および脂肪をベースとした粉末状または粒状の飼料に混合することも知られている。
したがって、たとえば、1988年２月16日の、ボン（Bonn）のライニッシェン・フリードリヒ・ヴィルハイム大学高等農学部

の、「乳化剤が肥育鶏の動物性脂肪の使用に及ぼす影響

」と題される、クリストフ・ギュンター

による博士論文から、穀類および融解した脂肪等の種々の栄養物を混合することによって家禽飼料を製造することは既知である。消化性を向上させるために、大豆レシチン、糖エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、およびひまし油エトキシラートと大豆レシチンとの混合物等の乳化剤がこの脂肪に添加される。
動物飼料混合物の調製に関連してほこりの形成を防ぐために、ひまし油エトキシラートのような非イオン界面活性剤および乳化剤を用いることも、ＥＰ−Ａ−１９７ １８８およびＥＰ−Ａ−２０７ ３４４から既知である。
J.APPL.飼鳥類リサーチ（J.APPL.Poultry Res.）（1992年）1,373頁〜381頁の、ジェイ・ピー・テクストン（J.P.Texton）らによる、「コポリマーＣＲＬ８７−６１’によるブロイラーの成長促進（Growth Promotion in Broilers by Copolymer CRL 87-61'）」と題される論文は、ひな鶏の成長を促進する試みにおいて、家禽飼料に、たとえば１０ｐｐｍの含有量の、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの非イオン界面活性ブロックコポリマーを添加することを開示している。この論文によれば、界面活性コポリマーは、まずトウモロコシの粉餌のプレミックス（予備混合物）と混合され、次いで飼料の他の成分と混合された。ひな鶏はこの飼料を給餌され、それらの成長率はいくぶん増加し、それらの斃死率は、２１日後ではなく４２日後に減少した。しかしながら、これらの結果は、ウィリアム・エイ・ダクレイ−キャッシュ（William A.Duclley-Cash）によって、「飼料（Feedstuffs）」、1993年３月１日、１３頁に発表された論文で問題となっている。
この発明の目的は、斃死率を減少させながら、動物飼料の重量単位あたりの成長および／または１日あたりの成長を増大させるために、従来の乾燥動物飼料、特に飼鳥類、豚および子牛向けの飼料における栄養物の有効性を向上させることである。
ここで驚くことに、この目的は、動物飼料の製造において、任意に、水に溶解もしくは懸濁され、または担体により収着され、かつ８〜３５のエチレンオキシ基、好ましくは１８〜３０のエチレンオキシ基を含むひまし油エトキシラートを、動物飼料の粉末状もしくは粒状栄養物または他の固体成分と混合することによって達成され得ることがわかった。この発明によれば、添加されるひまし油エトキシラートの量は、動物飼料の総重量に対して、通常は５０〜３０００ｐｐｍ、好ましくは２００〜１５００ｐｐｍである。したがって、液体の状態（必要に応じて加熱後に）でありかつたとえば脂肪等の脂質および／または天然の脂肪酸等のカルボン酸からなる疎水性成分を介して、ひまし油エトキシラートが動物飼料に導入されるのではない。液体の疎水性成分へひまし油エトキシラートを添加すると、ひまし油エトキシラートが添加されない場合よりもわずかに高い栄養価を有する飼料が製造されることが比較試験によって示されている。この発明によれば、ひまし油エトキシラートを穀類または他の固体栄養物と混合することによって、結果として得られた飼料を給餌された動物は、よりよい成長率およびより低い斃死率を示す。脂質またはカルボン酸等の液体の疎水性成分が飼料に添加される場合、これは、ひまし油エトキシラートが粉末状もしくは粒状栄養物または他の固体成分に混合される前または後のいずれかで行なわれる。もちろん、所望されるならば、追加のひまし油エトキシラートが、必要に応じて加熱後に、液体の状態である疎水性成分に別途導入されてもよい。この発明の驚くべき結果の理由はまだわかっていないが、疎水性成分の外側にひまし油エトキシラートが存在することが、粉末状または粒状栄養物の有効性を増大させ、その同化を促進するようである。
動物飼料を調製するとき、ビタミン、香味料、ミネラル、酵素、抗生物質および共生物質（プロバイオティクス）等からなるプレミックスを従来のように調製してもよい。このプレミックスに、小麦、オート麦、大麦、トウモロコシおよび米の粉餌等の穀類または粉砕された状態にあるこれらの穀類；ナタネ、大豆およびヒマワリ等に基づく植物性タンパク質飼料；プロテインＥ、血粉、骨粉および魚粉等の動物性タンパク質飼料；糖蜜；および種々の粉乳および粉末ホエー等の乳製品からなる乾燥成分を添加してもよい。この混合物またはプレミックスに、任意に、水に溶解もしくは乳化されたひまし油エトキシラート、または粉にひいた穀類、澱粉もしくはケイ酸塩等の無機ミネラルからなってもよい担体に収着（つまり吸着または吸収）されたひまし油エトキシラートを好適に添加してもよい。すべての乾燥添加物を混合した後、任意に加熱後に、液体の状態であり、かつ脂肪等の脂質および／または脂肪酸等のカルボン酸からなってもよい疎水性成分を添加してもよい。脂質は、通常は、任意に加熱により液化される動物性脂肪および植物性脂肪からなる。完全な混合の結果、成分の粉砕の度合いに依って、粉状または粒状の組成物が生ずる。必要ならば、ひまし油エトキシラートを添加する前に固体の粉末状混合物を製造するために、液体の疎水性成分を固体の粉末状もしくは粒状成分またはその一部に添加してもよい。
この発明による動物用飼料は、通常、０〜８０重量％、好ましくは１０〜７０重量％の穀類と；０〜１５重量％、好ましくは０〜１０重量％、最も好ましくは１〜８重量％の飼料用脂肪と；０〜７０重量％、好ましくは１０〜５０重量％の、穀類以外の、タンパク質を含有する栄養物と；０〜１２重量％、好ましくは１〜１０重量％のビタミン、ミネラル、酵素、香味料、抗生物質、共生物質、および必要に応じて他の広く用いられる動物飼料用添加物とを含有する。
貯蔵中の分離を防止するために、水をその動物用飼料に好適に添加し、それを従来のペレット化、膨化、またはエクストルージョンプロセスにかけるべきである。この処理後に動物用飼料が過剰な水分を含有する場合には、この水分は乾燥によって除去され得る。好適であると思われるならば、結果として製造された粒状の動物用飼料は、より小さい粒子サイズに粉砕されてもよい。
ここで、いくつかの実施例によってさらにこの発明を説明する。
実施例１
１モルのひまし油が１２モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、０．１５重量部のひまし油エトキシラート（ＲＯ１２）を、０．３重量部の小麦ふすま飼料に添加することによって、この発明による異なった２種類の家禽飼料が製造された。この小麦ふすま飼料は次いで、他の粉にひいた穀類、肉粉、タピオカ粉、ならびにビタミンおよびミネラルを含有するプレミックスと混合された。融解された飼料用脂肪および糖蜜が次いでこの乾燥混合物に攪拌下で添加された。最後に、少量の水が添加され、この家禽飼料はペレット化されて乾燥された。
０．１５重量部のひまし油エトキシラートが３重量部および５重量部の融解した飼料用脂肪にそれぞれ混合された２つの比較組成物、ならびにひまし油エトキシラートが全く添加されなかった２つのさらなる飼料組成物がさらに製造された。製造された異なる種類の家禽飼料は以下の組成を有した。

組成物４〜６は、組成物１〜３よりも飼料用脂肪を約６７％多く含有した。組成物３および６はこの発明に従って製造された。一方、組成物２および５は、エトキシル化されたリシノレアートが脂肪を介して添加された。
次に、１４個のケージ間に配分された２１０羽のブロイラー（各ケージに１５羽ずつ）が飼料組成物ごとに給餌された。ブロイラーの体重増加、飼料摂取量、飼料指数（飼料摂取量／体重増加）、および相対的飼料転化率が測定された。以下の結果が得られた。

これらの結果から、この発明に従って製造された飼料を給餌された動物が、比較飼料を給餌された動物よりもよい成長を示したことは明らかである。さらに、この発明に従って製造された飼料では、より低い飼料指数、つまり体重増加あたりのより低い飼料摂取量が得られた。
実施例２
ＲＯ１２の含量が１，０００ｐｐｍに減らされた組成物と並んで、実施例１の飼料組成物６に対応する飼料組成物が製造された。さらに、１モルのひまし油が２５モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたひまし油エトキシラート（ＲＯ２５）と、１モルのひまし油が２０モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたひまし油エトキシラート（ＲＯ２０）とでＲＯ１２が置換された、２つの組成物がさらに製造された。比較のために、表１の組成物４に相当する組成物も製造された。
これら異なる組成物は次いで、実施例１にあるように、ブロイラーに給餌された。以下の結果が得られた。

これらの結果から、ひまし油エトキシラートを含有する飼料組成物を給餌されたブロイラーは、比較組成物を給餌されたブロイラーよりも、よい成長、よい飼料指数、および低い斃死率を示したことが明らかである。
実施例３
エトキシラートＲＯ１２が以下の添加物と置換されたことを除き、６つの飼料組成物が実施例１（組成物６）と同様の方法で製造された。

これらの異なる組成物は次いで実施例１と同じ条件下でブロイラーに給餌された。以下の結果が得られた。

これらの結果から、ひまし油エトキシラートの添加は、成長、斃死率および飼料指数に好ましい効果を有し、一方、組成物３、４および５における添加物は斃死率および飼料指数に対して逆効果をもたらしただけであったことは明らかである。ひまし油エトキシラートＲＯ２５は、１００ｐｐｍのような低い含量ででも、好ましい効果を有した。
実施例４
飼料用脂肪と、収着されたひまし油エトキシラートを伴う小麦ふすま飼料とを除くすべての成分を混合することによって、実施例１の組成物３に対応する組成物が製造された。加熱により液化された飼料用脂肪が次いで攪拌下この飼料混合物に添加されて、この脂肪は細かく分割され、乾燥した粒状の、自由に流動する飼料混合物が得られた。収着されたひまし油エトキシラートを伴う小麦ふすま飼料が次いで攪拌中にこの混合物に添加された。最後に、少量の水が添加され、この家禽飼料は粒状化され乾燥された。
実施例１と同様に、この飼料組成物をひな鶏に給餌し、それらの重量増加、飼料摂取量、飼料指数および相対的飼料消費率を測定した。得られた結果は、実施例１の組成物３に対して得られた結果と十分一致し、同実施例の組成物１および２の場合に得られた結果を上回るものであった。

Claims (6)

1. 界面活性化合物を含有する粉末状または粒状の動物飼料を製造するための方法であって、８〜３５のエチレンオキシ基を含むひまし油エトキシラートを、動物飼料の粉末状もしくは粒状の栄養物と混合し、前記ひまし油エトキシラートの導入とは別途に、液体の状態である疎水性成分を添加することによって、前記ひまし油エトキシラートを動物飼料に導入することを特徴とする、界面活性化合物を含む粉末状または粒状の動物飼料の製造方法。
2. 水に溶解もしくは懸濁されまたは担体によって収着された、８〜３５のエチレンオキシ基を含む前記ひまし油エトキシラートを、動物飼料の粉末状および／または粒状の栄養物と、その他の固形成分と混合し、前記ひまし油エトキシラートの導入とは別途に、加熱後に、液体の状態である疎水性成分を添加することによって、前記ひまし油エトキシラートを動物飼料に導入することを特徴とする、請求項１に記載の製造方法。
3. 前記ひまし油エトキシラートが添加された後に、乾燥した粉末状または粒状の飼料混合物を形成するために、液体状態の疎水性成分を、動物飼料の粉末状もしくは粒状の栄養物と混合することを特徴とする、請求項１または２のいずれか１項に記載の製造方法。
4. １８〜３０のエチレンオキシ基を含むひまし油エトキシラートを用いることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の製造方法。
5. 前記ひまし油エトキシラートを、前記動物飼料の重量に対して、５０〜３０００ｐｐｍの量で添加することを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載の製造方法。
6. 飼料用脂肪を前記疎水性成分として用いることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項に記載の製造方法。