JP3767748B2 - 送電線電流検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電線に流れている送電線電流や、短絡、地絡などの電気故障時の電流を、送電線に対し非接触状態で検出、監視することのできる送電線電流検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数相の各送電線に流れている電流を非接触状態で検出する送電線電流検出装置は、各相送電線に対して配置された磁界センサを備える。図6は、送電線電流検出装置における磁界センサ配置の例を示し、3相の送電線A、B、Cに対してそれぞれ磁界センサSa、Sb、Scを配置する。送電線A〜Cの電流により生じる磁界の変化により磁界センサSa〜Scに誘導電圧が生起され、この誘導電圧に基づいて各相送電線A、B、Cに流れている電流を検出する。
【0003】
磁界センサSa〜Scの出力は、対応する相の送電線により生じる磁界以外に、他相の送電線により生じる磁界の影響を受ける。各相送電線A、B、Cに流れている電流を正確に検出するには、他相送電線により生じた磁界の影響を除去する必要があり、このための技術が種々提案されている。
【0004】
例えば、特開2002−162423号公報には、3相の送電線と磁界センサの間の距離の関数で表される電圧電流変換係数を用いた式により各相送電線に流れている電流を検出する手法が提案されている。
【0005】
この手法は、送電線に流れている電流を以下の原理で検出する。まず、直線状無限長の送電線が1本だけある場合に、これから距離rだけ離れた磁界センサが出力する検出電圧Vは公知のビオ・サバールの法則により、式(1)で表わされる。
V=k・I/(2πr) ・・・式(1)
ただし、k:磁界センサの磁界電圧変換係数、r:送電線と磁界センサの間の距離、I:送電線電流である。
磁界センサが出力する検出電圧Vから送電線電流Iを求めるには、(2πr/k)を検出電圧Vに乗算すればよい。
【0006】
次に、直線状無限長の3本の送電線がある3相送電系統において、各相送電線A、B、Cに対して図6に示すような相対位置関係に設置された磁界センサSaの検出電圧Vaは、式(2)で表わされる。
Va=k・Ia /(2πr1 )+k・Ib /(2πr2 )+k・Ic /(2πr3) ・・・式(2)
ただし、Va:磁界センサSaの検出電圧、r1:磁界センサSaとa相送電線Aの間の距離、r2:磁界センサSaとb相送電線Bの間の距離、r3:磁界センサSaとc相送電線Cの間の距離、Ia:a相送電線Aの電流、Ib:b相送電線Bの電流、Ic:c相送電線Cの電流である。
【0007】
それぞれの送電線A、B、Cに対する磁界センサSaの変換係数すなわちki/2πri(ここで、i=1〜3)をk11、k12、k13とおくと、式(2)は式(3)となる。
Va=k11・Ia+k12・Ib+k13・Ic ・・・式(3)
他の磁界センサSb、Scの検出電圧Vb、Vcについても、Vaと同様に考えることができるので、それぞれの検出電圧は式(4)、式(5)のようになる。
Vb=k21・Ia+k22・Ib+k23・Ic ・・・式(4)
Vc=k31・Ia+k32・Ib+k33・Ic ・・・式(5)
これらの式(3)〜(5)を行列表記すると、図7に示す式(6)が得られる。式(6)からIa、Ib、Icを求めるためには、式(6)の右辺第1項の行列kiiの逆行列を同式の両辺に乗算し、図8に示す式(7)のようにすればよいことが分かる。
【0008】
式(7)の右辺第1項の行列kiiの逆行列を行列Kiiとおくと、式(7)は図9に示す式(8)になる。式(8)から分かるように、磁界センサと送電線との相対配置で決まる定数の電圧電流変換係数行列Kiiを磁界センサの検出電圧の行列Vi に乗算することにより、3相3線の各相送電線の電流を求めることができる。
【0009】
また、配電線において電圧電流変換係数の最適値を求める方法として、複数の磁界センサの出力をサンプリングし、複数相の配電線間の距離を表す変数および複数の配電線と対応する複数の磁界センサとの間の距離を表す変数を、予め定めた設置許容範囲において変化させて最適値を求める方法が、特開平8−233868号公報に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電流検出装置では、前述から明らかなように、電線が直線状であると仮定して電線と磁界センサの間の距離のみの関数である電圧電流変換係数を用いている。また、電圧電流変換係数の最適値は、磁界センサが設置される移動範囲を予め決め、その移動範囲で3相のベクトル和を用いて求めている。
【0011】
しかしながら、この方法は、図10に示すように、電線1がピン碍子2で引き留められているような配電線に適用した場合には問題がないが、図11に示すような、電線1が碍子3により湾曲して引き留められており、かつ磁界センサSを取り付ける鉄塔4が電線1に対して傾いているような送電線に適用した場合には、電線が直線状であるという仮定は成立しないので、正確な電流が検出されない。すなわち、複数相の送電線において、送電鉄塔に非接触磁界センサを配置した場合、複数相の送電線と複数の磁界センサの間の距離のみの関数である電圧電流変換係数を用いた電流検出装置では、各相送電線に流れている電流を正確に検出することができないという問題がある。
【0012】
また、ベクトル和で最適な電圧電流変換係数を求める方法は、相対的な算出方法であり、3相の場合には変換係数k11〜k33の9個のパラメータを変更してベクトル和を設定値以下にする必要がある。送電線では、図12に示すように、1つの鉄塔4に2回線の送電線A〜Cが支持される場合もあり、このような場合には1個の磁界センサにつき6個のパラメータ(r11、r12、r21、r22、r31、r32)、合計で36個のパラメータを含むこととなる。このような多数のパラメータを変更してベクトル和が設定値以下になるようにして電圧電流変換係数の最適値を求める計算は複雑であり、現実的には困難である。
【0013】
さらに、電線引き留め形状の寸法が各相送電線ごとに異なる場合、各相ごとの電線引き留め形状の寸法を入力するために、多大な労力を要するとともに算出方法がさらに複雑になるという問題がある。
【0014】
本発明は、前記の問題点にかんがみなされたものであり、電線引き留めが湾曲しているような複数相の送電線でも、複数相の送電線が2回線以上あるような送電線でも、各相送電線に流れている電流を正確に検出できる送電線電流検出装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明は、複数相の送電線の各々に対して、その近傍に非接触状態で配置され、各相送電線に流れている電流による誘導電圧を出力する複数の磁界センサと、電圧電流変換係数を用いて前記複数の磁界センサの出力電圧を他相送電線による磁界の影響を除去しつつ各相送電線に流れている電流に変換する演算手段とを具備する送電線電流検出装置において、前記電圧電流変換係数は、前記磁界センサを設置する鉄塔の前後適当な距離について微小に分割した前記複数相の送電線の微小部分と前記複数の磁界センサの間の距離と、前記複数相の送電線の微小部分と前記複数の磁界センサの3次元角度との関数であることを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、磁界センサを設置している鉄塔付近の複数相の送電線を微小部分に分け、該微小部分と磁界センサ間についての電圧電流変換係数を計算し、当該鉄塔の前後適当な距離について積分して送電線に対する磁界センサの電圧電流変換係数を求めるので、送電線の電線引き留め形状がどのようなものであっても、各相送電線に流れている電流を他相送電線による磁界の影響を除去して正確に検出することができる。
【0017】
また、本発明は、前記電圧電流変換係数により変換された電流値が電気所で計測された前記各相送電線の電流値となるように、前記複数相の送電線の微小部分と前記複数の磁界センサの間の距離と3次元角度とを補正し、該補正した電圧電流変換係数を使用して各相送電線に流れている電流を求めることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記鉄塔に設置され、電圧電流変換係数を有する鉄塔局と、前記電気所で計測された前記各相送電線の電流値を前記鉄塔局に伝送する機能を有する親局とから構成されることを特徴とする。
【0019】
このように電気所で計測された各相送電線の電流値となるように電圧電流変換係数を補正することにより、電線引き留め形状の寸法が各相送電線で異なる場合でも、代表的電線引き留め形状の入力だけで各相送電線に流れている電流を正確に検出することができるようになる。したがって、電圧電流変換係数算出用データの入力作業の効率を向上させることができ、また、磁界センサの取り付け調整も不要になり、その取り付け作業の効率を向上させることもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明に係る送電線電流検出装置の実施形態を示す回路ブロック図であり、本実施形態は、図6に示されるような、3相3線式送電線に適用した例である。
【0021】
3相送電線A、B、Cにはそれぞれa、b、c相の3相電流が流れている。それぞれの相a、b、cに対する3個の磁界センサSa、Sb、Scは、棒状コアの中央部に適当巻数のコイルを巻回して構成され、対応する各送電線A、B、Cから安全を確保できる距離だけ離れた鉄塔上の適当位置に配置される。この場合、磁界センサSa、Sb、Scの配置位置は臨界的では無く、安全距離が確保されれば、上下左右にずれてもよい。
【0022】
磁界センサSa、Sb、Scの検出電圧は、それぞれ別個に、対応のフィルタ11a、11b、11cに入力される。フィルタ11a〜11cは、磁界センサSa、Sb、Scの検出電圧からノイズを除去する。ノイズが除去されたフィルタ出力(磁界センサの検出電圧波形)は、A/D変換器12でデジタル化された後、電流検出部13に入力される。
【0023】
鉄塔構造図を参照し、電圧電流変換係数算出用入力部14から、磁界センサSa、Sb、Scと3相送電線A、B、Cの間の距離、磁界センサSa、Sb、Scと3相送電線A、B、Cとの角度、電線引き留め形状などのデータを入力する。
【0024】
変換係数計算部15は、電圧電流変換係数算出用入力部14から入力されたデータを用いて、磁界センサSa、Sb、Scの検出電圧と各相送電線A、B、Cの電流との関係を表す変換係数を計算する。この計算の方法については、後で詳細に説明する。
【0025】
電圧電流変換係数行列計算部16は、変換係数計算部15で求められた変換係数を行列化し、さらに、その係数群の逆行列である電圧電流変換係数行列を計算により求める。
【0026】
電流検出部13は、A/D変換器12を介して入力された磁界センサSa、Sb、Scの検出電圧波形のデジタルデータに電圧電流変換係数行列を乗算することにより、3相送電線A、B、Cの各々に流れている電流を他相送電線による磁界の影響が除去された形で検出する。
【0027】
以上の構成部分は、鉄塔局に備えられる。本実施形態では、鉄塔局に、さらに伝送部17および電流比較部18を備え、親局から伝送される送電線電流情報による電圧電流変換係数行列の補正を可能にしている。
【0028】
親局の電気所測定部19で3相送電線A、B、Cの各々に流れている電流を計測して送電線電流情報を得、これを伝送部20を介して鉄塔局へ伝送する。鉄塔局の伝送部17は、親局から伝送されてきた送電線電流情報を電流比較部18に与える。
【0029】
電流比較部18は、伝送されてきた電気所測定部19での各相送電線電流と電流検出部13で検出された電流とを比較して両者の差を検出し、変換係数計算部15に出力する。これにより変換係数計算部15から出力される変換係数が補正され、さらに、電圧電流変換係数行列計算部16から出力される電圧電流変換係数行列が補正される。
【0030】
次に、本実施形態の動作を説明する。まず、電圧電流変換係数算出用入力部14におけるデータ入力について説明する。図2(a)、(b)は、1本の送電線5(AまたはBあるいはC)とそれに対する磁界センサS(Sa、Sb、Sc)の配置関係および電線引き留め形状を示す図であり、同図(a)のように、送電線5は、点M、点Nで分けられた湾曲した形状で碍子3により引き留められている。
【0031】
電圧電流変換係数算出用入力部14では、鉄塔構造図を参照して得られた鉄塔情報から送電線の引き留め形状のモデリングと配置、磁界センサSの設置位置を同一座標上に展開し、それらの位置の座標を求める。送電線5の引き留め形状のモデリングでは、円や楕円でモデル化してもよいし、送電線5の引き留め形状をプロットしてもよい。また、各相で引き留め形状の寸法が異なる場合には、代表的な引き留め形状をモデル化する。
【0032】
次に、変換係数計算部15での計算について説明する。まず、図2(a)に示すように、送電線5を点M、Nで3区間に分け、各区間を、例えば100の微小部分ΔLに分割し、単位電流による磁界センサSが微小部分ΔLから受ける磁界強度ΔHを考える。
【0033】
空間のある点Pに磁界センサSがあり、これからr(m)離れた微小部分ΔLに単位電流I(A)が流れているものとすると、微小部分ΔLの単位電流I(A)による点Pの磁界強度ΔHは、ビオ・サバールの法則により、式(9)で表わされる。
ΔH=I・ΔL・sinθ/(4πr) ・・・式(9)
ここで、r:微小部分ΔLと磁界センサSの間の距離、θ:微小部分ΔLの接線と点P−ΔLを結ぶ直線との角度、I:単位電流である。
【0034】
式(9)ではΔHの方向が明確ではないため、これを明確にするためにIとrをベクトル〈I〉、〈r〉と考え、ΔHのベクトル〈ΔH〉をそれらのベクトル積を用いて式(10)で表す。なお、〈 〉付きは、ベクトルであることを示し、以下においてもベクトルを同様に表記する。
〈ΔH〉=[ΔL/(4πr)]・〈I〉×〈r〉・・・式(10)
ここで、〈I〉:大きさI,ΔLの接線方向のベクトル、〈r〉:大きさr,ΔLから点P方向のベクトルである。
【0035】
式(10)により〈ΔH〉のx成分ΔHx、y成分ΔHy、z成分ΔHzは式(11x)〜式(11z)となる。
ΔHx=[ΔL/(4πr)]・(Iy・rz−Iz・ry)・・・式(11x)
ΔHy=[ΔL/(4πr)]・(Iz・rx−Ix・rz)・・・式(11y)
ΔHz=[ΔL/(4πr)]・(Ix・ry−Iy・rx)・・・式(11z)
ここで、Ix,Iy,Iz:〈I〉のx,y,z成分、rx,ry,rz:〈r〉のx,y,z成分である。
【0036】
電圧電流変換係数算出用入力部14においてモデル化された座標値を用い〈ΔH〉のx,y,z成分を算出し、各成分について3つの区間について数値積分し、単位電流Iにより点Pに発生する磁界〈H〉を算出する。なお、鉄塔の前後の区間については、送電線5に流れる電流による誘導電圧が無視できない適当な距離範囲まで積分すればよい。
【0037】
点Pに置かれた磁界センサSがZ軸と平行であれば,磁界センサSが受ける磁界強度は〈H〉のz成分のHzと等しくなる。しかし,磁界センサSが図2に示すように、X軸からα、Y軸からβの角度で傾いていた場合、磁界センサSと〈H〉との角度をγとすると磁界センサSが受ける磁界|〈Hs〉|は式(12)となる。
|〈Hs〉|=|〈H〉|・cosγ ・・・式(12)
磁界センサS方向の方向ベクトル〈s〉は式(13)のように表されるので
〈s〉=(x成分,y成分,z成分)
=(cosα,(sinα・cosβ)/sinβ,sinα) ・・・式(13)
磁界センサS方向の方向ベクトル〈s〉と磁界〈H〉の内積の式(14)から、磁界センサSと磁界〈H〉の角度γは式(15)で表される。
〈s〉・〈H〉=|〈s〉|・|〈H〉|・cosγ
=Hx・cosα+Hy・(sinα・cosβ)/sinβ+Hz・sinα・・・式(14)
cosγ=[Hx・cosα+Hy・(sinα・cosβ)/sinβ+Hz・sinα]/(|〈s〉|・|〈H〉|) ・・・式(15)
送電線5に流れる電流Ipによる磁界センサSの検出電圧Vは、式(16)で表される。
V=k・|〈Hs〉|・Ip=k・|〈H〉|・cosγ・Ip・・・式(16)
ここで、k:磁界センサSの磁界電圧変換係数である。
【0038】
上記より明らかなように、磁界センサSの検出電圧Vは、送電線5の微小部分ΔLと磁界センサSの間の距離r、微小部分ΔLの接線と磁界センサSの中心点−ΔLを結ぶ直線との角度θ(x,y,z成分で表される)の関数となり、α、βは、磁界センサSの設置位置で決まる定数となる。
【0039】
図6に示すように、3相の送電線A、B、Cがある場合、磁界センサSaの検出電圧は、式(17)で表される。
Va=T(r1,θ1,α,β)・Ia+T(r2,θ2,α,β)・Ib+T(r3,θ3,α,β)・Ic ・・・式(17)
ただし、Va:磁界センサSaの検出電圧、r1 〜r3:磁界センサSaとa相、b相、c相の送電線A、B、Cの微小部分の間の距離、θ1〜θ3:磁界センサSaとa相、b相、c相の送電線A、B、Cの微小部分の接線との角度、α:磁界センサSaのX軸との角、β:磁界センサSaのY軸との角、T(r,θ,α,β):電流Iの係数で微小部分ΔLについて積分した値であり、変換係数とする。Ia〜Ic:a相、b相、c相の送電線A、B、Cの電流である。
【0040】
今、それぞれの電流Ia、Ib、Icに対する係数(変換係数)をそれぞれ、T11、T12、T13 と置くと、式(17)は式(18)となる。
Va=T11・Ia+T12・Ib+T13・Ic ・・・式(18)
同様に、磁界センサSb、Scの検出電圧Vb、Vcはそれぞれ、式(19)、式(20)で表される。
Vb=T21・Ia+T22・Ib+T23・Ic ・・・式(19)
Vc=T31・Ia+T32・Ib+T33・Ic ・・・式(20)
以上のようにして、変換係数計算部15は変換係数T11〜T33 を計算により求める。電圧電流変換係数行列計算部16は、変換係数計算部15で求められた変換係数T11〜T33 を行列化し、その逆行列である電圧電流変換係数行列を求める。電流検出部13は、行列演算により式(18)〜式(20)の連立方程式を解いて各相送電線A〜Cに流れている電流Ia〜Icを求める。
【0041】
次に、電圧電流変換係数行列の補正について説明する。以下に説明する電圧電流変換係数行列の補正処理は、装置取付時や装置点検時などに適宜実行される。親局の電気所測定部19で3相送電線A、B、Cの各々に流れている電流を計測して得た送電線電流情報を伝送部20を介して鉄塔局へ伝送する。鉄塔局では、この送電線電流情報を伝送部17で受け、電流比較部18に与える。
【0042】
電流比較部18は、伝送されてきた電気所測定部19での各相送電線電流と電流検出部13で検出された電流とを比較する。この比較の方法は、電流のサンプリング値そのものを比較する方法、あるいは電流値、位相角の数値を比較する方法でよい。この比較の結果、どの相の電流がどれだけ大きいかの差が得られる。この差は変換係数計算部15に与えられる。
【0043】
変換係数計算部15は、電流比較部18より与えられる差が設定された許容範囲内に入るまで、差の大きい相の電流に対応する変換係数から順次磁界センサの位置データ(送電線と磁界センサの間の距離、角度)を変更し、電圧電流変換係数行列計算部16は、変更された変換係数に基づいて電圧電流変換係数行列を求めて電流検出部13に与える。電流比較部18より与えられる差が許容範囲に入ったらその時の電圧電流変換係数行列を保持して、補正処理を停止する。
【0044】
なお、鉄塔局での測定値、親局からの送電線電流情報それぞれにより式(18)〜式(20)のVa〜Vcを計算し、それらが同じになるように電圧電流変換係数行列を補正するようにしてもよい。補正処理を停止した以後は、保持した電圧電流変換係数行列を使用して各相送電線に流れている電流を算出する。
【0045】
この補正方法によれば、ベクトル和を用いずに各相ごとに補正するため、計算に使用するパラメータを少なくすることができる。本例の場合、パラメータは各相3個ずつでよく、3相分の9個のパラメータを一度に変化させる必要がないため計算が簡単になり、2回線以上の送電線でも一度に変化させるパラメータの増加を抑えることができる。
【0046】
電圧電流変換係数行列の補正は、親局から鉄塔局へ送電線電流情報を伝送せずに行うこともできる。例えば、同一時刻での複数相送電線の電流を電気所と鉄塔局の送電線電流検出装置とで計測して記録し、後に電気所で記録した電流値を送電線電流検出装置に入力してこれを行うようにしてもよいし、パソコンで変換係数や電圧電流変換係数行列の補正計算を行い、その結果得られた変換係数や電圧電流変換係数行列を送電線電流検出装置に入力するようにしてもよい。
【0047】
本発明は、図2に示すような3区間に分けられる湾曲引き留め形状の送電線5に限らず、他の形状の引き留め形状の送電線にも適用できる。図3は、鉄塔4に配置された懸垂碍子6による引き留め形状の送電線5を示す。この引き留め形状の場合、図2(a)の点M、点Nで分けられた中間の区間がなく、点Mと点Nとが一致したと考えれば、前記と同様に電圧電流変換係数行列を算出することができる。
【0048】
図4は、送電線5が鉄塔4に配置された碍子3により曲がって支持される場合であり、このような場合でも送電線5を微小部分に分割して電圧電流変換係数行列を算出することにより、送電線5の電流を正確に検出することができる。
【0049】
さらに、図5に示すような、3相3線式4回線の送電線5の場合、送電線5の本数に等しい12の磁界センサSを各相の送電線にそれぞれ対応して配置し、12×12行列の電圧電流変換係数を用いることにより各相送電線5の電流を求めることができるが、このような場合でも本発明は適用できる。
【0050】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、複数相の送電線の各々に対して非接触状態で配置された複数の磁界センサの出力電圧に、磁界センサを設置する鉄塔の前後適当な距離について微小に分割した複数相の送電線の微小部分と複数の磁界センサの間の距離と、複数相の送電線の微小部分と複数の磁界センサの3次元角度との関数である電圧電流変換係数を適用することにより、引き留め形状が湾曲した送電線でも各相の電流を正確に検出することができるようになる。
【0051】
これにより、2回線以上の多回線の送電線でも正確な零相電流や短絡電流を計測でき、送電線路の送電電流増減状況や電気故障時の故障電流の大きさや故障種別、故障相、故障回線などの監視が可能になる。また、公知の故障区間検出器やこの種の装置と組み合わせることにより、故障区間の判定や故障方向の判定などの処理も可能になる。
【0052】
さらに、電気所で計測された各相送電線の電流値を使用して電圧電流変換係数を補正することにより、電線引き留め形状の寸法が各相送電線で異なる場合でも、代表的電線引き留め形状の入力だけで各相送電線に流れる電流を正確に検出することができるようになる。したがって、電圧電流変換係数算出用データの入力作業の効率を向上させることができ、また、磁界センサの取り付け調整も不要になり、その取り付け作業の効率を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る送電線電流検出装置の実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】送電線引き留め形状の一例および本発明による送電線電流検出原理の説明図である。
【図3】送電線引き留め形状の他の例の側面図である。
【図4】送電線引き留め形状のさらに他の例の平面図である。
【図5】3相4回線の送電線に対する磁界センサ配置の例を示す側面図である。
【図6】従来の送電線電流検出装置の動作説明図である。
【図7】式(6)の行列表示を示す図である。
【図8】式(7)の行列表示を示す図である。
【図9】式(8)の行列表示を示す図である。
【図10】配電線の引き留め形状の例を示す側面図である。
【図11】送電線の引き留め形状の例を示す側面図である。
【図12】3相2回線送電線に対する従来の送電線電流検出装置の動作説明図である。
【符号の説明】
1,5…(送、配)電線、2,3,6…碍子、4…鉄塔、11a〜11c…フィルタ、12…A/D変換器、13…電流検出部、14…電圧電流変換係数算出用入力部、15…変換係数計算部、16…電圧電流変換係数行列計算部、17,20…伝送部、18…電流比較部、19…電気所測定部、A,B、C…送電線、S,Sa,Sb,Sc…磁界センサ

Claims (3)

  1. 複数相の送電線の各々に対して、その近傍に非接触状態で配置され、各相送電線に流れている電流による誘導電圧を出力する複数の磁界センサと、電圧電流変換係数を用いて前記複数の磁界センサの出力電圧を他相送電線による磁界の影響を除去しつつ各相送電線に流れている電流に変換する演算手段とを具備する送電線電流検出装置において、
    前記電圧電流変換係数は、前記磁界センサを設置する鉄塔の前後適当な距離について微小に分割した前記複数相の送電線の微小部分と前記複数の磁界センサの間の距離と、前記複数相の送電線の微小部分と前記複数の磁界センサの3次元角度との関数であることを特徴とする送電線電流検出装置。
  2. 前記電圧電流変換係数により変換された電流値が電気所で計測された前記各相送電線の電流値となるように、前記複数相の送電線の微小部分と前記複数の磁界センサの間の距離と3次元角度とを補正し、該補正した電圧電流変換係数を使用して各相送電線に流れている電流を求めることを特徴とする請求項1の送電線電流検出装置。
  3. 前記鉄塔に設置され、電圧電流変換係数を有する鉄塔局と、前記電気所で計測された前記各相送電線の電流値を前記鉄塔局に伝送する機能を有する親局とから構成されることを特徴とする請求項2の送電線電流検出装置。
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