JP3766499B2 - 顎運動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顎運動装置に係り、特に、顎部の開閉運動、前後左右運動又はこれらの組合せ運動等の顎運動を行う顎運動ロボットに関する。本発明の顎運動装置は、例えば、生態を模擬した冗長自由度を持つ筋・骨格系についての咀嚼運動等の運動解析、運動再現の研究開発、運動トレーニング、運動補助等に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、人の顎運動の再現を目的として、いくつかの実験装置の開発が報告されている(例えば、T.Messerman," A means for studying mandibular movements", J. Pros. Dent, Janurary, 1967, Volume 17, Number 1 、C. H. Gibbs, et al."Functional movements of the mandible" J. Pros. Dent. Vol.26. No.6.Dec. 1971,等参照)。これは、人の顎運動の位置及び姿勢データを電気的信号として記録し、それを6のサーボモータを用いた6自由度の動作で再現する装置である。この装置では、アクチュエータの配置及び駆動方法は、顎モデルの運動について着目しているため、生態の筋・骨格系とは全く異なっている。
【0003】
また、従来から、様々な顎モデルの咬合状態を研究する咬合器が使われている。これは、顎運動を口腔外において再現するものであるが、その操作は手動で行なわれ、自動制御されるものはない。
【0004】
さらに、顎関節部に作用する力を推定することを目的とした顎関節負荷モデル、ロボット化したシミュレータを目標とする自律顎運動ロボット、また、線形計画法を利用した顎関節力の軽減を目的とした咀嚼ロボット等が報告されている(例えば、D.C.Hather et al."Development of mechanical and mathematic models to study temporomandibular joint loading" J.Prosthetic Dent.Vol55,No.3,1986 、青木他「自律顎運動ロボットの顎体と咬合力センサの試作」、信学技報MBE93-75,1993 、高西、高信、加藤「咀嚼ロボットの開発」日本咀嚼学会雑誌vol.2、No.1(1992)PP.71−77等参照)。
【0005】
また、従来、顎運動の測定装置としては、上顎と下顎にフレームを固定し、6個乃至8個の変位及び角度を検出するセンサにより運動を測定していた。そして、上顎が固定された運動ロボットにおいても上顎と下顎の両方にフレームを取り付ける必要があり、装着が難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来においては、実際の生体を模擬した顎運動装置は、装置規模、動作性能、汎用性、操作性及び外観等において、実用に乏しいものであった。そこで、本発明においては、以下のような課題を解決する実用的な顎運動装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明では、顎モデルとアクチュエータとを分離して、筋の両付着点を結ぶ直線上からアイドルプーリ等を採用して駆動部に導くようにすることにより、顎モデルの状態が見やすく、観察、保守点検、調整作業が容易とすることを目的とする。
【0008】
また、本発明において、顎モデルは、結合部によりアクチュエータ及び全体フレームと分離結合可能とし、顎モデルの比較実験、観察等のために交換を簡単とし、また、顎モデルを、小形化及び軽量化することを目的とする。
【0009】
また、本発明においては、アクチュエータを、各筋モデル部に対して同一構成とすることにより、安価とし、小形化、軽量化することを目的とする。また、アクチュエータをフレームにビルディングブロック形式で集中搭載することにより、模擬筋束(筋モデル部)の配置や個数等の変更が容易とし、さらに、アクチュエータの保守点検、追加削除等が容易とすることを目的とする。
【0010】
本発明においては、アイドルプーリは、顎モデルと一体の連結フレームに取りつけることにより、顎モデルを調整された一体のものとして扱い、顎モデルの交換後の調整を容易とすることを目的とする。
【0011】
さらに、本発明においては、非線形粘弾性部を、アクチュエータの直線移動部に受動的に滑動可能な状態で取りつけることにより、生体の筋束を適切に模擬し、安定した動作とし、さらに運動を観察・解析する場合の障害とならないようにすることを目的とする。
【0012】
また、本発明の顎運動装置を、顎運動トレーニング又は顎運動測定装置との関連動作に適用すること等、様々な応用を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の解決手段によると、上顎部、下顎部、顎関節部、及び取付け及び取外し可能な支持部を有する顎モデル手段と、生体の下顎を運動させるための複数の筋束をそれぞれ模擬し、前記顎モデル手段の前記下顎部を運動させる筋モデル部と、分離結合部とをそれぞれ有する複数の運動伝達手段と、各々の前記運動伝達手段が前記分離結合部により分離可能に取り付けられ、前記筋モデル部を非線形粘弾性特性に従いそれぞれ駆動する複数の駆動手段と、前記顎モデル手段が前記支持部により分離可能に取り付けられ、前記駆動手段を収容する収容手段と、複数の前記駆動手段を制御する制御手段とを備えた顎運動装置を提供する。
【0014】
また、本発明の第2の解決手段によると、一端を前記上顎部及び前記下顎部に固定し、他端をトレーニング者の上顎及び下顎に固定することにより、前記顎モデル手段の運動を前記トレーニング者に伝達するインタフェース手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の第3の解決手段によると、前記顎モデル手段又は被測定者の顎運動を検出するために前記上顎部又は前記下顎部又はこれら近傍に検出点が固定され、複数方向に対して前記検出点の位置移動量をそれぞれ検出する複数の検出部と、複数の前記検出部の検出結果を演算して、2次元又は3次元的な顎運動及び/又は顎位置を演算する演算部とを含む顎運動センサをさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、前記運動伝達手段は、左右一対の咬筋、側頭筋、外側翼突筋、及び/又は、ひとつの開口筋をそれぞれ模擬して、これら筋の付着点間で弛緩又は収縮動作を行う咬筋モデル部、側頭筋モデル部、外側翼突筋モデル部、及び/又は、開口筋モデル部を備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに、前記運動伝達手段は、プーリ及びワイヤ、蛇管、ピストン及びシリンダ、又はロットにより構成され、前記結合手段に略垂直に設けられた複数の軸を備え、それぞれの前記軸の先端両側に前記固定端を設けるようにしたこと特徴とする。
【0018】
また、前記駆動手段は、前記制御装置の命令により横方向に移動するリニア駆動部を備え、前記リニア駆動部により前記弾性手段の一端を移動させることにより、前記運動伝達手段に移動運動を伝達することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下順に、1.顎運動ロボットのハードウェア構成、2.各種センサ、3.駆動制御系の構成、4.顎運動ロボットの制御ソフトウェア、5.顎運動ロボットの応用例、について詳細に説明する。
1.顎運動ロボットのハードウェア構成
図1に、本発明による顎運動ロボットの側面構成図を示す。また、図2に、本発明による顎運動ロボットの上面構成図を示す。
本発明の顎運動ロボットは、顎モデル部10、結合部20、運動伝達部30、弾性部40、駆動部50、収容部60、制御部70等を含む。
【0020】
顎モデル部10は、上顎部11、下顎部12、顎関節部13、頭蓋骨14を備える。顎関節部13により、下顎部12が上顎部11対して、開口、前後及び左右移動、すりつぶし運動等の多種の運動が可能なように構成されている。頭蓋骨14は、ここでは、頭蓋骨上部と下部とが分割式になっている形状のモデルの例を示しているが、外観形状はどのようなものでもよいし、また、具備されていなくても良い。
【0021】
ここで、図3に、顎関節部13の構成図の一例を示す。
このような顎関節機構では、下顎の回転中心に回転中心軸135があり、そこに作業側球138及び平衡側球139が回転できるように貫通して取り付けられている。作業側球138は、回転のみ可能で軸方向は拘束されており、一方、平衡側球139は、回転及び軸方向の移動の両方が可能であるように構成される。
【0022】
下顎部12が開閉口動作をする場合は、作業側球138及び平衡側球139が回転中心軸135に対して回転する。前後方向(X方向)に併進する場合は、2つの球138及び139が、回転しながら作業側軸受136及び平衡側軸受137の溝をそれぞれ移動する。
【0023】
また、切歯(下顎部12先端部の前歯)点が左右に動く動作をする場合は、上下軸(Z軸)回りの回転運動となる。
【0024】
また、左右方向(Y方向)の回転を伴わない併進方向の力が発生した場合は、作業側球138が回転中心軸135に対して拘束されているため、動くことはなく、作業側軸受136で支持される。開口筋以外の筋に対応するワイヤ31−1〜4は下顎部12を上へ引き上げる方向に張力を発生させるため、軸受にも下方から力がかかる。その反力を受けるために、軸受136及び137は、図示のように、溝を下向きにした形で上顎側のフレームに固定されている。
【0025】
このような顎関節機構によって、下顎12は開閉運動の他に前後方向の併進、左右方向の回転(上下方向を中心とした回転)等の様々な運動を行うことができる。
【0026】
つぎに、結合部20は、顎モデルフレーム21、取付部材22及び軸23−1〜4を含む。顎モデルフレーム21の一端は、頭蓋骨14及び上顎部11に固定され、頭蓋骨14の後方に延びている。また、顎モデル部10は、顎モデルフレーム21及び取付部材22により、収容部60の全体フレーム61に取りつけられる。このような取付けに用いられる取付部材22は、例えば、容易に取外し及び結合可能なように、ネジ、ボルト、フック、溝等の周知の手段を備える。また、顎モデルフレーム21には、4本の軸23−1〜4が各々垂直に設けられている。なお、これら軸は、必ずしも垂直に設けられていなくてもよい。
【0027】
収容部60は、本体フレーム61、基板62、支持体63等を備え、駆動部50を、例えば、ビルディングブロック形式に搭載する。収容部60には、搭載可能な駆動部50の個数は適宜可変とできるように十分な棚が設けられている。さらに、各駆動部50毎に、アイドルプーリ64及び位置調整部65が設けられ、駆動引っ張り方向を、上下左右に調整できる。また、アイドルプーリ64は、ひとつの駆動部50に対して複数設けて、上側又は下側のいずれからでも引っ張ることができるようにしたり、角度を変えて構成しても良い。
【0028】
制御部70は、CPU部71、伝送部72及び入出力部73等を備える。入出力部73の操作又はCPU部71の自動制御により、各駆動部50に所定の駆動命令等を伝送して顎運動ロボットの動作を制御する。
【0029】
つぎに、本発明に係る顎運動ロボットにおける、運動伝達部30、弾性部40及び駆動部50に係る構成を詳細に説明する。運動伝達部30は、生体を模擬した複数の各筋モデル部を含む。また、各筋モデル部の弛緩又は収縮動作を行うアクチュエータが、主に弾性部40及び駆動部50により構成される。
【0030】
運動伝達部30は、ワイヤ31−1〜5、張力センサ32、連結部材33、移動端34−1〜5、固定端35−1〜5等を備える。ワイヤ31−1〜5は、顎モデル部10とアクチュエータ(弾性部40及び駆動部50等)とを接続するものであり、ミニチュアワイヤー等で構成される。各ワイヤ31−1〜5には、分離及び結合できるように、途中に連結部材33が設けられ、また、必要に応じて、ワイヤの途中には張力センサ32が取りつけられる。張力センサ32は、駆動部40側又は顎モデル部10側の適宜の場所に備えることができる。
【0031】
また、ワイヤ31−1〜5には、一端が下顎部12に結合されて移動端34−1〜5を構成し、その張力方向を調節するための固定端35−1〜5が設けられている。移動端34−1〜5は、下顎部12の生体を模擬した適宜の位置に接続される。固定端は、結合部20の軸23−1〜4のそれぞれの先端に、1対のアイドルプーリ35−1〜4が設けることにより構成される。また、収容部60の基板62にもアイドルプーリ35−5が設けられている。各アイドルプーリ35−1〜5は、ワイヤ31−1〜5の張力方向を考慮して、垂直及び/又は平面方向に適宜角度をつけて取り付けられている。
【0032】
本発明の顎運動ロボットにおいては、9本の筋に相当するワイヤ31−1〜5により、下顎の位置及び運動等を制御している。すなわち、咬筋に相当する一対のワイヤ31−1、側頭筋前部筋束に相当する左右一対のワイヤ31−2、側頭筋後部筋束に相当する左右一対のワイヤ31−3、外側翼突筋に相当する左右一対のワイヤ31−4と、開口筋(開口筋群)に相当する一本のワイヤ31−5という、合計9本のワイヤが筋束を模擬する手段である。主に、各ワイヤ31−1〜5の移動端34−1〜5と固定端35−1〜5の間が、各筋モデル部に相当し、弛緩又は収縮動作を行う。
【0033】
これらの中で、歯列にかかる咬合力の位置(切歯側、臼歯側等)を制御しない場合には側頭筋前部筋束ワイヤ31−2と側頭筋後部筋束ワイヤ31−3をまとめることは可能である。また、顎の前後、左右の動きを省略すれば、外側翼突筋ワイヤ31−4を省くことも可能である。また、開口時の動作あるいは顎運動の剛性に注目しなければ、開口筋ワイヤ31−5に対するアクチュエータを省略して、バネによる張力で置きかえることも可能である。その他、必要に応じて、所望のワイヤを適宜付加又は省略することができる。
【0034】
また、ここでは、移動端34−1〜5及び固定端35−1〜5による筋肉を模擬した構成は、ワイヤとアイドルプーリにより構成されているが、この他にも、油圧、空圧、水圧等のピストン及びシリンダによる構成、蛇管又はロットによる構成、又はリニアモータによる構成等に適宜置換することができる。アイドルプーリによる構成では、顎モデル部10の外側に固定端が突出してしまうが、これらの構成を採用することにより、外側に突出しなくでも所定方向に張力を加えることが可能である。
【0035】
このように、下顎部12は、ワイヤ31−1〜5により顎モデル部10の後方に設けられたアクチュエータユニットに接続されており、上顎部12との間で、回転、併進等の多種の運動が可能となる。
【0036】
つぎに、図4に、弾性部40の説明図を示す。図4(a)に示すように、弾性部40は、各ワイヤ31毎に設けられ、非線形特性及び粘弾性特性を備える。これにより、生体の筋肉収縮を模擬することができる。
【0037】
弾性部40の、非線形粘弾性機構は、粘性抵抗トルクを発生するダンパ43と、ねじりコイルバネ42と駆動回転軸45を回転中心として回転する1対のレバー41等で構成される。また、1対のレバー41は、回動可能なヒンジで一端が連結され駆動回転軸45を構成し、他端にはワイヤ31が取りつけられている。レバー41は、ねじりコイルバネ42で一定の角度に広げられている。
【0038】
図4(b)に、伸び方向変位に対する張力の関係を示す特性図を示す。このような非線形粘弾性機構において、ワイヤ31と駆動回転軸45との間を引き伸す方向に張力がかかると、伸びれば伸びるほどレバー間の角度θが小さくなり、張力が大きく(剛性が高く)なる。この例では、角度θが約180°のときバネ効果最大となり、角度θがほぼ0になるとバネとしての作用がなくなる(バネ効果なし)。
【0039】
このように、1対のレバー41はダンパー43で結合され、バネと下顎によって形成されるバネ・質点系の振動を防ぎ、より生体に近い特性を得る。なお、実際のロボットにおいては、ダンパーはレバー間の回転角速度に比例して減衰力を発生するロータリーダンパーを使用すると良い。また、コイルバネ42又はダンパ43のいずれか一方のみを備えることにより、非線形特性又は粘弾性特性のいずれか一方を具備するようにしても良い。
【0040】
つぎに、図5に、アクチュエータの機構構成図を示す。
ここで、顎モデル部10からのワイヤ31は、連結部33及び張力センサ32が取りつけられ、本体フレーム側のアイドルプーリ64を介して弾性部40に接続される。弾性部40のダンパ43の具体的部材としては、ここではロータリーダンパを採用している。弾性部40の駆動軸45は、さらに駆動部50に接続される。また、駆動部50は、複数個が収容部60の全体フレーム61の上に並べられている。以下の例では9個の駆動部50により、9本のワイヤ31−1〜5を駆動することにより、顎モデル部10を運動制御する構成としているが、ワイヤ数を減らすこと、又はアクチュエータの代りにバネ等で張力をかけておくことも可能である。
【0041】
図5(a)において、駆動部50は、リニア運動機構を実現し、サーボモータ51により直線的に駆動される。すなわち、駆動部50では、制御用計算機の指令によってサーボモータ51が位置制御で駆動され、減速機52を介してタイミングベルトプーリ53が回転され、タイミングベルト54に固定された非線形粘弾性特性を有する弾性部40を直線的に駆動する。リニア運動機構としては、タイミングベルト54に固定されたリニアブシュ55が、リニアシャフト56によってガイドされ、ワイヤ31の張力によって発生するモーメントが支持されている。
図5(b)に、駆動機構の他の構成図を示す。
図5(b)において、非線形粘弾性部40は図5(a)と同様であるが、リニア機構部としては、非線形粘弾性部40の取り付け板である基板部57、ネジ部58及びシャフト部59等により構成したものである。
【0042】
2.各種センサ
図6に、張力センサ及び歯根咬合力センサの構成図の一例を示す。
まず、図6(a)に、各ワイヤーに取りつけられた張力センサ32の構成図の一例を示す。
張力センサ32は、ワイヤ31に設けられたもので、張力によって曲げ歪を発生させる金属板61と、その金属板61に貼られた歪ゲージ62を備えることにより、ワイヤ31の張力を測定するものである。
【0043】
また、図6(b)に、歯にかかる咬合力を測定する歯根咬合力センサの断面図の一例を示す。
歯根咬合力センサは、例えば、上顎部11又は下顎部12の歯根位置に適宜設けることができる。このセンサは、小型の圧力センサ68を使用して、これを顎モデル部10の上顎部11又は下顎部12の骨にあたる部分66に、例えば、圧力を検出する部位を上にして固定する。ここに硬化すると接着作用のある硬度の低いゴム状材料67等を充填して、歯のモデル65を、これらセンサ68及びゴム状材料67に合わせて、上顎部11又は下顎部12の骨の部分46の外部に適当な高さに突出するように加工・接着する。また、歯ぐきと同様の形状をしている接着作用のないゴム状材料を充填することにより、入れ歯・差し歯等の挿入及び抜出を可能とすることができる。
【0044】
このようにして、歯に加わった力は、微小な変異は粘性に近い挙動をする低硬度のゴム67によって圧力センサ68に伝えられ、圧力として検出することができる。
【0045】
つぎに、図7に、顎関節13にかかる力を測定するための顎関節力センサの構成図を示す。
これは、図3に示した顎関節の構成図において、軸受136又は137自体がセンサとなっているものである。
【0046】
図7(a)は、作業側軸受136にセンサを設けたものである。作業側軸受136では、顎によるZ方向の咬合力と、回転軸の軸方向に拘束された球のY方向の力を検出する構造となっている。
【0047】
Z方向の外力は取付金具74と軸受金具70によってはさまれた歪発生板71が外力で曲げられることによって、歪発生板71に貼られた歪ゲージ73が歪を検出するものである。歪発生板71は中央部を取付金具74によって支えられ、両端を軸受金具70によって押さえられるので、曲げ歪が発生する。また、Y方向の外力は、軸受金具70を歪が発生し易い形状にし、歪ゲージ75を貼ることによって測定する。
【0048】
図7(b)は、平衡側軸受137にセンサを設けたものである。平衡側では、Z方向のみの測定のため、作業側軸受136からY方向の力測定部の構成部を除いた形状であり、軸受金具76の形状が図示のようになっている。Z方向の外力は、歪み発生板77に貼られた歪ゲージ78で測定する。
【0049】
3.駆動制御系の構成
図8に、本発明の顎運動ロボットの駆動制御系の構成図を示す。
アクチュエータ回路801−1〜nは、駆動部50に対応し、顎モデル部10を制御するための各模擬筋モデル数に対応した所定個数(n個)設けられる。なお、予備として多めに設けておいても良い。制御部70の制御用コンピュータ805は、所望のアクチュエータ回路801−1〜nに対して、インタフェース部804を介して命令を送信する。各アクチュエータ回路801−1〜nは、自己の命令の場合、インタフェース回路815を介してその命令を受信し、サーボドライバ811によりサーボモータ812を制御する。エンコーダ813は、その各筋モデル又はアクチュエータ等の位置(角度)等を検出してコード化し、サーボドライバ811に出力する。サーボドライバ811及びカウンタ814、インタフェース回路815を介して位置(角度)等の検出データを制御部70にフィードバックする。制御部70では、インタフェース部804を介して制御用コンピュータ805でその検出データを受信する。
【0050】
また、各ワイヤーに設けられている張力センサ802−1〜nの値も、インタフェース部804を介して制御用コンピュータ805に伝送される。また、検出部803は、関節力センサ831、歯根咬合力センサ832等の各種センサを含み、これらの検出値はインタフェース部804を介して制御用コンピュータ805に伝送される。
さらに、操作スイッチ806は、コンピュータプログラムの制御のためのキーボード、マウス等の他に、手元のスイッチによる操作を行なうための入力機能等を備えている。操作スイッチ806による操作命令等もインタフェース部804を介して制御用コンピュータ805に伝送される。
【0051】
このような制御系の構成により、制御用コンピュータ805は、各アクチュエータ回路801−1〜nのサーボドライバ811の出力、張力センサ802−1〜n、検出部803の出力、及び操作スイッチ806の操作出力等の値により、適宜アクチュエータ回路801−1〜nのサーボモータ812等を制御する。
【0052】
4.顎運動ロボットの制御ソフトウェア
つぎに、本発明の顎運動ロボットの制御動作について述べる。
以下の説明において、図1又は図2に示した構成との関係については、咬筋アクチュエータはワイヤ31−1、弾性部40−1及び駆動部50−1等に係る構成に対応し、それぞれの構成が左右一対設けられている。同様に、側頭筋前部筋束アクチュエータ、側頭筋後部筋束アクチュエータ及び外側翼突筋アクチュエータは、それぞれ、添え字「−2」、「−3」及「−4」の各ワイヤ31、弾性部40及び駆動部50等に係る構成に対応し、それぞれの構成が左右一対設けられている。また、開口筋アクチュエータは、ワイヤ31−5、弾性部40−5及び駆動部50−5等に係る構成に対応し、ひとつ設けられている。
【0053】
側頭筋前部筋束アクチュエータ及び咬筋アクチュエータは、下顎部12を前方外側上方向に張力が作用するように配置される。一方、開口筋アクチュエータは、下顎部12を後方下方向に張力が作用するように配置される。
【0054】
また、図9に、下顎部と各アクチュエータに関する動作の説明図を示す。
咬筋アクチュエータ95L,95R及び側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94R及び側頭筋後部筋束アクチュエータ91L、91R及び外側翼突筋アクチュエータ92L、92Rは、下顎部12の所定箇所に対して、左右にそれぞれ一対設けられる。また、開口筋アクチュエータ96は、下顎部12の所定箇所に一個設けられる。側頭筋後部筋束アクチュエータ91L、91Rは、下顎部12を後方上方向に張力が働くようになっており、一方、外側翼突筋アクチュエータ92L、92Rは、下顎部12の前方内側下方向に張力が働くようになっている。
【0055】
これら各アクチュエータの張力の組合せにより、下顎部12の左右、上下及び前後運動等が実行される。また、咬筋アクチュエータ95L,95Rと側頭筋前部筋束アクチュータ94L,94Rは、下顎部12を回転中心軸93を中心に上方へ引き上げる方向に張力が働くようになっており、一方、開口筋アクチュエータ96は、その反対に下顎部12を下方へ引き下げる方向に張力が働くようになっている。これらの各アクチュエータの張力の組合せにより、下顎部12は開閉口運動、前後移動運動、左右への運動等や、これらの組合せ運動など様々な運動を実現することが出来る。
(1)基本的な顎運動の制御動作
顎運動ロボットの顎部分の運動は、主に、3つの基本運動を含む。すなわち、1)開閉口運動、2)前後移動運動、3)左右へのすりつぶし運動から構成される。また、これら3つの基本運動を適宜組み合わせることにより、任意の顎運動を行うことができる。以下、図9を参照して、各基本運動の詳細を述べる。
1)開閉口運動
顎運動ロボットによる開閉口運動は、主に咬筋アクチュエータ95L,95Rと開口筋アクチュエータ96との拮抗駆動により実行される。すなわち、開口時は、咬筋アクチュエータ95L,95Rを弛緩させ、開口筋アクチュエータ96を収縮させる。一方、閉口時は、逆に、咬筋アクチュエータ95L,95Rを収縮させ、開口筋アクチュエータ96を弛緩させる。ここで、咬筋アクチュエータ95L,95Rと同期・連動して、側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94Rを収縮・弛緩することもできる。
【0056】
図10に、開閉口運動の基本的なフローチャートを示す。
まず、プログラムがスタートされると、目標開口角を生成する(S001)。次に、この目標開口角に応じて、咬筋アクチュエータ95L,95R及び開口筋アクチュエータ96の目標位置を算出する(S003)。算出された値に基づいて、咬筋アクチュエータ95L,95Rの位置制御及び開口筋アクチュエータ96の位置制御・力制御を行う(S005、S007)。この際、咬筋アクチュエータ95L,95Rと連動して、側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94Rの目標算出及び位置制御・力制御を行うこともできる。これら複数のアクチュエータの制御、又は、目標値の算出と制御とは、同時に実行するようにしても良い。これら制御を目標位置になるまで繰り返し、目標位置に達したら(S009)、終了する。
2)前後移動運動
顎運動ロボットによる前後移動運動は、主に、左右の側頭筋後部筋束アクチュエータ91L,91Rと外側翼突筋アクチュエータ92L,92Rとの拮抗駆動により実行される。すなわち、前方向移動時は、側頭筋後部筋束アクチュエータ91L,91Rを弛緩させ、外側翼突筋アクチュエータ92L,92Rを収縮させる。一方、後方向移動時は、逆に、側頭筋後部筋束アクチュエータ91L,91Rを収縮させ、外側翼突筋アクチュエータ92L,92Rを弛緩させる。
図11に、前後移動運動の基本的なフローチャートを示す。
まず、プログラムがスタートされると、目標前後位置を生成する(S101)。次に、この目標前後位置に応じて、側頭筋後部筋束アクチュエータ及び外側翼突筋アクチュエータの目標位置を算出する(S103)。算出された値に基づいて、これらアクチュエータの位置制御を行う(S105、S107)。これら複数のアクチュエータの制御又は、目標値の算出と制御とは、同時に実行するようにしても良い。目標位置になるまで動作を繰り返し、目標位置に達したら(S109)、終了する。
3)左右へのすりつぶし運動
すりつぶし運動は、前後移動運動時の左右のアクチュエータの位相をずらすことにより実行する。すなわち、左方向へのすりつぶし運動時は、左側の側頭筋後部筋束アクチュエータ91Lを収縮させ、左側の外側翼突筋アクチュエータ92Lを弛緩させると同時に、右側の側頭筋後部筋束アクチュエータ91Rを弛緩させ、右側の外側翼突筋アクチュエータ92Rを収縮させることにより行う。一方、右方向へのすりつぶし運動時は、逆に、右側の側頭筋後部筋束アクチュエータ91Rを収縮させ、右側の外側翼突筋アクチュエータ92Rを弛緩させると同時に、左側の側頭筋後部筋束アクチュエータ91Lを弛緩させ、左側の外側翼突筋アクチュエータ92Lを収縮させることにより行う。
【0057】
(2)反射運動
咀嚼運動における反射は、開口反射と脱負荷反射とがある。顎運動ロボットにおけるこれらの各反射運動は以下のようになる。
1)開口反射運動
開口反射とは、例えば、閉口運動中に異常に堅い食物を噛みしめた場合、閉口運動を中止して開口動作に移行する反射運動である。顎運動ロボットでは、咬合力センサの出力が、予め設定された閾値を超えた場合、このような開口反射運動を実行する。
2)脱負荷反射運動
脱負荷反射運動とは、例えば、煎餅などを噛むときに、閉口運動中に食物が突然破砕することにより急激な閉口運動が生じた場合、閉口運動を中止する反射運動である。また、その後開口動作に移行することもできる。顎運動ロボットでは、アクチュエータの角速度センサの出力が、予め設定された閾値を超えた場合、このような脱負荷反射運動を実行する。
【0058】
図12に、反射運動の動作フローチャートを示す。
まず、プログラムがスタートされると、目標開口角を生成する(S201)。次に、生成された目標開口角に応じて、咬筋アクチュエータ95L,95R(必要に応じて、さらに側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94R)及び開口筋アクチュエータ96の目標位置を算出する(S205)。この際、顎運動剛性目標値を設定することもできる。算出された値に基づいて、咬筋アクチュエータ95L,95R(必要に応じて、さらに側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94R)の位置制御及び開口筋アクチュエータ96の位置制御・力制御を行う(S207、S209)。なお、これらアクチュエータの制御、又は、目標値の算出と制御とは、同時に実行するようにしても良い。
【0059】
次に閉口運動中か否かが判断され(S211)、該当しないときは、ステップS201に戻る。一方、閉口運動中である場合、咬合力センサ出力値と、予め設定された設定値とを比較する(S213)。咬合力センサ出力値が設定値以上の場合、開口反射運動と判断される。一方、咬合力センサ出力値が設定値より小さい場合、さらに、咬筋アクチュエータ速度を他の予め設定された設定値と比較する(S215)。咬筋アクチュエータ速度が設定値以上であれば、脱負荷反射運動と判断される。なお、側頭筋前部筋束アクチュエータ速度に基づいて、又は、両アクチュエータ速度に基づいて、脱負荷反射運動を判定することも可能である。閉口運動でない場合、または反射運動と判断されない場合、目標値になるまでステップS201に戻り所定の動作を繰り返す(S225)。
【0060】
ここで、開口反射運動の場合は、まず、目標開口角が生成される(S217)。次に、生成された目標開口角に応じて、咬筋アクチュエータ95L,95R(必要に応じて、さらに側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94R)及び開口筋アクチュエータ96の目標位置を算出する(S219)。算出された値に基づいて、咬筋アクチュエータ95L,95R(必要に応じて、さらに側頭筋前部筋束アクチュエータ94L,94R)の位置制御及び開口筋アクチュエータ96の制御を行う(S221、S223)。なお、これら複数のアクチュエータの制御、又は、目標値の算出と制御とは、同時に実行するようにしても良い。
【0061】
一方、脱負荷反射運動の場合は、全てのアクチュエータを停止又は弛緩する(S227)。さらに、その後、前述したように開口運動を実行することもできる。
(3)非線形アクチュエータを用いた顎剛性の調節
ワイヤにより拮抗駆動される運動ロボットのアクチュエータは、非線形な特性を有する。そこで同じ下の位置と姿勢であっても、拮抗するアクチュエータの特性を変化させることにより、顎の剛性を調節することができる。その際には、例えば、開閉口運動におけるステップS003、前後運動におけるステップS103、又は反射運動におけるステップS205又はS219等の目標位置算出の際に、顎運動剛性目標値を設定することができる。このほかにも適宜の動作フローにおいて設定することができる。
【0062】
具体的には、剛性を小さくする場合は、図4に示したような弾性部40の非線形粘弾性機構を調整する。図4(a)において、初期状態としてレバー41の開き角度を大きくすることにより、張力を小さくすることができる。一方、剛性を大きくする場合は、レバー41の開き角度を小さくすることにより、張力を大きくすることができる。これらの調整は、所望のアクチュエータを適宜選択して、その弾性部40、駆動部50等の設定位置を変更することにより可能である。例えば、下顎部12を所定方向に張力を加えるひとつ又は複数のアクチュエータと、この所定方向と反対方向に張力を加えるひとつ又は複数のアクチュエータとを適宜調整することにより、所望の剛性に調整することができる。
【0063】
5.顎運動ロボットの応用例
(1)顎運動トレーニング
図13に、本発明を顎運動トレーニングに応用するための構成図を示す。
下顎シャフト301及び上顎シャフト302は、それぞれ、顎運動ロボット310とトレーニング者311との対応する下顎及び上顎の適宜の箇所に固定される。固定方法としては、セメント等の歯科治療的な手段や、顎形状の支持等により、適宜実施しうる。これら下顎及び上顎シャフト301及び302は、下顎連結部303及び上顎連結部304により支持されており、下顎連結部303と上顎連結部304は、軸305の周りを回転可能である。下顎シャフト301は、下顎連結部303とは回転可能であり、また、フランジ306等が設けられることにより横方向の滑動はできないように構成される。上顎シャフト302は、上顎連結部304とは回転可能であり、また、横方向の滑動可能である。このような構造により、下顎シャフト301及び上顎シャフト302は、平行を保ちながら、これらシャフトの両端で左右、上下、前後及び左右の軸回転等について、同様の運動を行うことができる。
【0064】
以上のように、このようなインターフェース機構部により、顎運動ロボット310と顎運動トレーニング者311とを連結すると、インターフェース機構部は、顎運動ロボット310の開閉口運動、咀嚼運動等をそのままトレーニング者311に連動することができる。これにより、各筋及び歯根等に無理な力を加えることなく、適当な運動トレーニングを実行することができる。
また、本発明は、歯科模型形の上顎部や下顎部に適用することができる。入れ歯、差し歯を適宜挿入及び/又は抜出可能なように構成することにより、運動特性解析等に利用することができる。さらに、言語学的にも応用が可能であり、例えば、発声時の運動動作等についても、適宜プログラムを実行することにより再現することができる。
【0065】
(2)顎運動測定装置
図14に、顎運動測定装置の構成図を示す。
検出装置402は、3次元的に配置され、ワイヤ401等で顎運動ロボット又は被測定者の顎の一部に固定される。固定方法としては、例えば、歯科医療的なセメント、接着剤等による固定方法を採用することができる。配置関係としては、顎の移動度及び必要な解析度等を考慮して、所定の角度を持たせるようにすればよい。検出装置402としては、例えば、ワイヤー引き出し式エンコーダ等が用いられ、顎運動によりワイヤーの引き出し及び巻き取り量を求めることができる。
【0066】
また、各々の検出装置402の検出出力は、必要によりカウンタ403等により集計等の処理がなされ、演算装置404で顎運動が解析される。必要に応じて、中央制御装置へ伝送したり、表示装置405に表示したりする。
【0067】
このような顎運動測定装置を被測定者に適応して運動データを収集し、その運動データに基づいて顎運動ロボットを動作させることにより、被測定者の運動解析、治療への応用等が可能となる。なお、このような顎運動測定装置は、顎運動ロボットと組合わせなくとも、独立に測定装置として機能することもできる。
【0068】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、顎モデルとアクチュエータとを分離して、筋の両付着点を結ぶ直線上からアイドルプーリ等を採用して駆動部に導くようにしたため、顎モデルの状態が見やすく、観察、保守点検、調整作業が容易となる。
【0069】
また、顎モデルは、結合部によりアクチュエータ及び全体フレームと分離結合可能であるため、顎モデルの比較実験、観察等のために交換をすることが簡単となり、また、顎モデルを、小形化及び軽量化することができる。
【0070】
また、アクチュエータを、各筋モデル部に対して同一構成とすることができ、安価となり、小形化、軽量化ができる。そして、アクチュエータをフレームにビルディングブロック形式で集中搭載したため、模擬筋モデル部の配置や個数等の変更が容易である。さらに、アクチュエータの保守点検、追加削除等が容易となる。
【0071】
また、アイドルプーリは、顎モデルと一体の顎モデルフレームに取りつけられているため、顎モデルは調整された一体のものとして扱われるため、交換後の調整はそれほど要しない。
【0072】
さらに、非線形粘弾性部は、アクチュエータの直線移動部に受動的に滑動可能な状態で取りつけられているため、生体の筋束を適切に模擬することができ、安定した動作となり、さらに運動を観察・解析する場合の障害となることがない。
【0073】
本発明における顎運動トレーニング装置は、ハードウェア構成が小さく、安価で、かつ装着が容易であり、適切な顎運動トレーニングを実行することができる。
【0074】
本発明における顎運動測定装置は、ハードウェア構成が小さく、安価で、かつ、装着が容易で顎運動が制限されにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による顎運動ロボットの側面構成図。
【図2】本発明による顎運動ロボットの上面構成図。
【図3】顎関節部13の構成図の一例。
【図4】弾性部40の説明図。
【図5】アクチュエータの機構構成図。
【図6】張力センサ及び歯根咬合力センサの構成図。
【図7】顎関節力センサの構成図。
【図8】本発明の顎運動ロボットの駆動制御系の構成図。
【図9】下顎部と各アクチュエータに関する動作の説明図。
【図10】開閉口運動の基本的なフローチャート。
【図11】前後移動運動の基本的なフローチャート。
【図12】反射運動の動作フローチャート。
【図13】本発明を顎運動トレーニングに応用するための構成図。
【図14】顎運動測定装置の構成図。
【符号の説明】
10 顎モデル部
20 結合部
30 運動伝達部
40 弾性部
50 駆動部
60 収容部
70 制御部

Claims (5)

  1. 上顎部、下顎部、及び、前記下顎部の回転中心に回転中心軸があり、そこに回転可能な作業側球と回転及び軸方向の移動が可能の平衡側球とが貫通して取り付けられ、前記上顎部及び前記下顎部の開閉運動と開閉方向に直交する前後及び左右の移動運動が可能な顎関節部を含む顎モデル手段と、
    一端が前記顎モデル手段の前記上顎部と固定され、他端が取り外し可能な取付部を備えた結合手段と、
    生体の下顎を駆動する複数の筋束を模擬して、各々の前記筋束に対応して前記下顎部の複数の所定位置に設けられた移動端と、各々の前記筋束の伸縮方向の所定位置に設けられた固定端とを有し、複数の前記移動端及び前記固定端の間を伸縮させることにより前記下顎部を運動させ、各々の前記筋束に対応して連結部と張力センサを含む複数の運動伝達手段と、
    各々の前記運動伝達手段に対して前記連結部を介して設けられ、非線形粘弾性部を備え、移動長と張力との関係が非線形特性及び粘弾性特性を有するように運動を伝達する複数の弾性手段と、
    各々の前記弾性手段に対して設けられ、リニア運動機構部を備え、位置制御して前記弾性手段を直線的に駆動することで前記運動伝達手段を駆動する複数の駆動手段と、
    前記結合手段の前記取付部により前記顎モデル手段が固定され、複数の前記駆動手段を追加及び/又は削除可能に収容する収容手段と、
    複数の前記駆動手段に対して命令して、前記上顎部及び下顎部の開閉運動、及び前記上顎及び下顎の開閉方向に直交する前後及び左右の移動運動を実行させる制御手段と
    を備え
    各々の前記運動伝達手段及び前記駆動手段は、
    左右一対の咬筋、左右一対の側頭筋前部筋束、左右一対の側頭筋後部筋束、左右一対の外側翼突筋、及び、ひとつの開口筋をそれぞれ模擬して、左右の咬筋アクチュエータ、左右の側頭筋前部筋束アクチュエータ、左右の側頭筋後部筋束アクチュエータ、左右の外側翼突筋アクチュエータ、及び、開口筋アクチュエータを構成し、
    前記制御手段は、
    (1)目標前後位置に応じて、前記左右の咬筋アクチュエータと前記開口筋アクチュエータの一方を弛緩及び他方を収縮動作するように位置及び力制御することにより実行する開閉口運動、
    (2)前記左右の側頭筋後部筋束アクチュエータと前記左右の外側翼突筋アクチュエータの一方を弛緩及び他方を収縮動作するように位置制御することにより実行する前後移動運動、及び、
    (3)前記左の側頭筋後部筋束アクチュエータを収縮させ、前記左の外側翼突筋アクチュエータを弛緩させると同時に、前記右の側頭筋後部筋束アクチュエータを弛緩させ、前記右の外側翼突筋アクチュエータを収縮させる動作、又は、この逆に収縮及び弛緩させる動作をするように位置制御することにより実行するすりつぶし運動
    制御する顎運動装置。
  2. 前記上顎部又は前記下顎部に設けられ咬合力を検出する歯根咬合力センサをさらに備え、
    前記制御手段は、
    閉口運動の際に、前記歯根咬合力センサの出力値が所定値を超えた場合に開口反射運動を実行する反射運動制御実行することを特徴とする請求項に記載の顎運動装置。
  3. 前記運動伝達手段に設けられ張力を検出する張力センサ、前記上顎部又は前記下顎部に設けられ咬合力を検出する歯根咬合力センサ、及び/又は前記顎関節に加わる力を検出する顎関節力センサ内、所望のひとつ又は複数の各センサをさらに備え、
    前記制御手段は、前記所望のひとつ又は複数の各センサの出力に応じて前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の顎運動装置。
  4. 上顎部、下顎部、顎関節部有する顎モデル手段と、
    生体の下顎を運動させるための複数の筋束をそれぞれ模擬し、前記顎モデル手段の前記下顎部を運動させる筋モデル部と、連結部とをそれぞれ有する複数の運動伝達手段と、
    各々の前記運動伝達手段が前記連結部により分離可能に取り付けられ、前記筋モデル部を非線形粘弾性特性に従いそれぞれ駆動する複数の駆動手段と、
    前記顎モデル手段が前記支持部により分離可能に取り付けられ、前記駆動手段を収容する収容手段と、
    複数の前記駆動手段を制御する制御手段と
    を備え、さらに、
    一端を前記上顎部及び前記下顎部に固定し、他端をトレーニング者の上顎及び下顎に固定することにより、前記顎モデル手段の運動を前記トレーニング者に伝達するインタフェース手段備えた顎運動装置。
  5. 上顎部、下顎部、顎関節部有する顎モデル手段と、
    生体の下顎を運動させるための複数の筋束をそれぞれ模擬し、前記顎モデル手段の前記下顎部を運動させる筋モデル部と、連結部とをそれぞれ有する複数の運動伝達手段と、
    各々の前記運動伝達手段が前記連結部により分離可能に取り付けられ、前記筋モデル部を非線形粘弾性特性に従いそれぞれ駆動する複数の駆動手段と、
    前記顎モデル手段が前記支持部により分離可能に取り付けられ、前記駆動手段を収容する収容手段と、
    複数の前記駆動手段を制御する制御手段と
    を備え、さらに、
    前記顎モデル手段又は被測定者の顎運動を検出するために前記上顎部又は前記下顎部又はこれら近傍に検出点が固定され、複数方向に対して前記検出点の位置移動量をそれぞれ検出する複数の検出部と、
    複数の前記検出部の検出結果を演算して、2次元又は3次元的な顎運動及び/又は顎位置を演算する演算部と
    を含む顎運動測定装置を備えた顎運動装置。
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