JP3762349B2 - アレーアンテナの制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレーアンテナの制御装置及び制御方法に関し、特に、空間的ダイバシティを実現する2素子アレーアンテナの制御装置及び制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信のブロードバンド化に伴い、ノートパソコンやPCMCIAカードなどのユーザ端末装置に搭載するアンテナ装置も高機能及び高性能が求められるようになってきた。必要とされる機能として、例えば、到来する無線信号からマルチパスフェージングを除去することが挙げられる。マルチパスフェージングは、ひとつの信号源から送信された波動が複数の経路を伝搬し、受信点において信号が同振幅かつ逆位相でキャンセルされるときに激しいレベル低下が発生する現象である。屋外無線基地局において受信する場合には、マルチパスの経路による到来波の角度広がりは比較的狭い。しかし、ユーザ端末装置あるいは室内環境においては、360度全方位に広がるマルチパス波の到来が生じる。
【0003】
携帯型端末装置やPCカード等に搭載されるには、当該アンテナ装置は、小型軽量であること、民生コンシューマ品として受け入れられるコストであること、かつ、バッテリ駆動に耐えうる低消費電力動作であること、などの制約が課せられる。以上の制約を満たすアンテナ装置として、例えば、特許文献1や非特許文献1及び2において、電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenna;以下、エスパアンテナという。)が提案されている。
【0004】
このエスパアンテナは、無線信号が給電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が給電されない6個の非励振素子と、この非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値をそれぞれ変化させることにより、当該アレーアンテナの指向特性を変化させることができる。なお、例えば、アンテナ素子間隔が波長の1/10という狭間隔の2素子エスパアンテナであっても空間ダイバシティ効果が得られるという数値シミュレーション例が報告されている(非特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−118414号公報。
【非特許文献1】
T. Ohira et al., "Electronically steerable passive array radiator antennas for low-cost analog adaptive beamforming," 2000 IEEE International Conference on Phased Array System & Technology pp. 101-104, Dana point, California, May 21-25, 2000。
【非特許文献2】
大平孝ほか,“エスパアンテナの等価ウエイトベクトルとその勾配に関する基本的定式化”,電子情報通信学会技術研究報告,2002年5月,AP2001−16,SAT2001−3,p.15−20。
【非特許文献3】
青山直樹ほか,“アンテナ素子間の相互結合を用いたCOFDMの簡易ダイバシティ受信方式”,電子情報通信学会総合大会講演論文集,2002年3月27日−30日,B−5−224,p.695。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1及び非特許文献3に示されたアンテナ装置は、設定されるリアクタンス値を決定するために、リアクタンス値を微細に(ほぼ連続的に)変化させる適応制御処理を行っている。この適応制御処理では、複雑な処理アルゴリズムと、それを実行するためのコントローラとを必要とし、さらに、上記コントローラは、可変容量ダイオードに設定するリアクタンス値信号を発生するための制御電圧発生用DAコンバータを必要とするので、アンテナ装置の構成が複雑になり、装置の大きさとコストとが増大する。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較してハードウエア構成や制御がきわめて簡単であり、マルチパスフェージングが存在するときのアンテナ利得を大きく改善することができるアレーアンテナの制御装置及び制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアレーアンテナの制御装置は、送信された無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた非励振素子と、上記非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子を導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御装置において、
上記アレーアンテナによって受信される無線信号に基づいて、所定値以上のダイバシティ利得が得られるように設定された第1と第2のリアクタンス値のうち、上記第1と第2のリアクタンス値をそれぞれ上記可変リアクタンス素子に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して上記可変リアクタンス素子に設定する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記アレーアンテナの制御装置において、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が所定値であるときに、ダイバシティ利得が実質的に最大となるように上記第1及び第2のリアクタンス値が設定されたことを特徴とする。
【0010】
さらに、上記アレーアンテナの制御装置において、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が所定値であるときに、ダイバシティ利得が所定値以上となるように上記第1及び第2のリアクタンス値が設定されたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るアレーアンテナの制御方法は、送信された無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた非励振素子と、上記非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子を導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法において、
上記アレーアンテナによって受信される無線信号に基づいて、所定値以上のダイバシティ利得が得られるように設定された第1と第2のリアクタンス値のうち、上記第1と第2のリアクタンス値をそれぞれ上記可変リアクタンス素子に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して上記可変リアクタンス素子に設定するステップを含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記アレーアンテナの制御方法において、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が所定値であるときに、ダイバシティ利得が実質的に最大となるように上記第1及び第2のリアクタンス値が設定されたことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記アレーアンテナの制御方法において、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が所定値であるときに、ダイバシティ利得が所定値以上となるように上記第1及び第2のリアクタンス値が設定されたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、アレーアンテナの制御装置は、1つの励振素子A0と、可変リアクタンス素子12が装荷された1つの非励振素子A1とを備えてなるエスパアンテナで構成されたアレーアンテナ装置100と、アンテナコントローラ10とを備え、ここで、アンテナコントローラ10は、アレーアンテナ装置100で受信された無線信号に基づいて、所定値以上のダイバシティ利得が得られるように設定された第1と第2のリアクタンス値2xH,2xLのうち、上記第1と第2のリアクタンス値2xH,2xLをそれぞれ可変リアクタンス素子12に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して可変リアクタンス素子12に設定することを特徴としている。
【0016】
図2は、図1のアレーアンテナ装置100の詳細構成を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、アレーアンテナ装置100は、接地導体11上に垂直に設けられた励振素子A0及び非励振素子A1から構成され、励振素子A0と非励振素子A1とは、互いに平行に、かつ距離dで離間して配置されている。励振素子A0及び非励振素子A1の各長さは、所望波の波長λの約1/4になるように構成され、また、上記アンテナ間隔dは、例えば、λ/10になるように構成される。励振素子A0の給電点は同軸ケーブル1を介して低雑音増幅器(LNA)2に接続され、また、非励振素子A1は可変リアクタンス素子12に接続され、可変リアクタンス素子12のリアクタンス値は、アンテナコントローラ10からのペアケーブル5を介して伝送されるリアクタンス値信号によって設定される。
【0017】
図3は、図2のA−A’線におけるアレーアンテナ装置100の縦断面図である。図3に示すように、励振素子A0は接地導体11と電気的に絶縁され、かつ同軸ケーブル1の中心導体1aに接続される。非励振素子A1は、可変リアクタンス素子12を介して、接地導体11に対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子12の動作を説明すると、例えば励振素子A0と非励振素子A1の長手方向の長さが実質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子12がインダクタンス性(L性)を有するときは、可変リアクタンス素子12は延長コイルとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リアクタンス素子12がキャパシタンス性(C性)を有するときは、可変リアクタンス素子12は短縮コンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して短くなり、導波器として働く。可変リアクタンス素子12として、例えば可変容量ダイオードを用いることができる。
【0018】
従って、図1のアレーアンテナ装置100において、非励振素子A1に接続された可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の平面指向特性を変化させることができる。
【0019】
図1のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100は無線信号を受信し、上記受信された無線信号は同軸ケーブル1を介して低雑音増幅器(LNA)2に入力されて増幅され、次いで、ダウンコンバータ(D/C)3は増幅された無線信号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A/D変換器4は、アナログ信号であるIF信号をディジタル信号に変換して受信信号yとして出力する。受信信号yは、アンテナコントローラ10に入力されるとともに、復調器(図示せず。)に入力されて復調された信号に変換される。アンテナコントローラ10は、アレーアンテナ装置100で受信された無線信号に基づいて、所定値以上のダイバシティ利得が得られるように詳細後述するように設定された第1と第2のリアクタンス値2xH,2xLのうち、上記第1と第2のリアクタンス値2xH,2xLをそれぞれ可変リアクタンス素子12に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して可変リアクタンス素子12に設定するように制御する。
【0020】
本実施形態のアレーアンテナの制御装置によれば、そのハードウエア構成が簡易であって、かつ、マルチパスフェージングが存在するときのアンテナ利得を単純な1ビットバイナリ制御(すなわち、第1及び第2のリアクタンス値2xH,2xLのいずれかを選択する制御)で大きく改善する効果が得られるので、ラップトップ端末装置やPCカードなどの民生コンシューマ端末装置に搭載できるダイバシティアンテナとして用いることができる。この制御方法(1ビット制御)は、可変容量ダイオードを連続的に制御する方式において必要な制御電圧発生用DAコンバータが不要となるので、アンテナ装置のさらなる小型化と低コスト化が図れる。
【0021】
図4は、本発明に係る第1の実施形態の変形例であるアレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。この変形例では、図1の励振素子A0及び非励振素子A1が、誘電体基板20の一方の面上にプリントされたストリップ導体として形成されたことを特徴とする。励振素子A0及び非励振素子A1が形成された誘電体基板20は、例えば厚さ約1mmのガラスエポキシ樹脂、テフロン(登録商標)又はアルミナセラミックなどから構成されたプリント配線基板であって、励振素子A0及び非励振素子A1は公知のプリント配線基板のプロセス技術により形成されている。また、誘電体基板20は接地導体11上に垂直に設けられる。
【0022】
ここで、励振素子A0は、所定の長さh1を有したストリップ導体のアンテナ素子として誘電体基板20上に形成され、非励振素子A1は、長さh1を有し、かつ励振素子A0に対して距離d1を有して平行なストリップ導体のアンテナ素子として誘電体基板20上に形成されている。ここで、長さh1は、送受信される無線信号の波長の約1/4の長さに設定される。
【0023】
図5は、図4の誘電体基板20の下部の詳細構成を示す斜視図である。誘電体基板20において、励振素子A0と非励振素子A1が形成された面とは反対側の面に、互いに離間して4つの電極21乃至24が形成されている。励振素子A0の下端(接地導体11に近い方の端部)は、誘電体基板20を貫通したスルーホール導体25を介して電極21と電気的に接続される。電極22は接地導体11と電気的に接続される。さらに、電極21は、LNA2に接続された同軸ケーブル1の中心導体1aに接続され、電極22は同軸ケーブル1の外部導体1bに接続される。非励振素子A1の下端は、誘電体基板20を貫通したスルーホール導体26を介して電極24に接続され、この電極24は、可変容量ダイオードD1のカソードに接続される。可変容量ダイオードD1は、可変リアクタンス素子12の一例である。可変容量ダイオードD1のアノードは電極23に接続され、電極23はまた接地導体11と電気的に接続される。さらに、電極23及び24はそれぞれ、例えば数kΩないし数十kΩの高周波電流阻止用抵抗41,42及びペアケーブル5を介して当該アレーアンテナ装置の指向特性を制御するアンテナコントローラ10の印加バイアス電圧端子(図示せず。)に接続されている。
【0024】
以上のように構成されたアレーアンテナ装置においては、アンテナコントローラ10からのリアクタンス値信号に含まれる印加バイアス電圧が、ペアケーブル5を介して可変容量ダイオードD1の両端に印加され、このとき、印加バイアス電圧を変化することにより可変容量ダイオードD1の接合容量値、すなわちリアクタンス値を変化させることができる。アンテナコントローラ10は可変電圧直流電源の機能を有し、非励振素子A1に接続された可変容量ダイオードD1に印加する逆バイアス電圧を変化させることにより、可変容量ダイオードD1の接合容量を変化させ、これにより、非励振素子A1の電気長を、励振素子A0に比較して変化させ、当該アレーアンテナ装置の平面指向特性を変化させることができる。
【0025】
以上のように構成された第1の実施形態の変形例に係るアレーアンテナ装置によれば、制御が簡単であることに加えて、励振素子A0と非励振素子A1が形成された誘電体基板20を接地導体11上に設けたので、従来のダイバシティアンテナに比較して構造が簡単であって、励振素子A0や非励振素子A1を容易にかつ高精度で形成することができるアレーアンテナ装置を提供することができる。また、誘電体基板20上にストリップ導体にてなる励振素子A0と非励振素子A1を形成しているので、プリント配線基板の形成技術で容易にアンテナ素子を形成することができ、製造工程がきわめて簡単になるという特有の利点を有する。
【0026】
<第2の実施形態>
図6は、本発明に係る第2の実施形態のアレーアンテナ装置の構成を示す図である。本実施形態は、第1の実施形態である、接地導体11上に設けられた1/4波長モノポール型のアレーアンテナ装置と等価な構成であって、接地導体を持たない1/2波長ダイポール型のアレーアンテナ装置である。
【0027】
ここで、励振素子A0は、それぞれ同一の長さh2を有しかつ互いに所定の距離だけ離間して一直線上に延在するように配置されたアンテナ素子A0a及びA0bを備えて半波長ダイポールとして構成される。ここで、長さh2は、送受信される無線信号の波長の約1/4の長さに設定される。また、非励振素子A1は、それぞれ同一の長さh2を有しかつ互いに所定の距離だけ離間して一直線上に延在するように配置されたアンテナ素子A1a及びA1bを備えて半波長ダイポールとして構成される。励振素子A0と非励振素子A1とは、互いに距離d2で離間して、平行に配置される。図6では、各アンテナ素子A0a,A0b,A1a,A1bを支持するための支持部材は省略されているが、そのような支持部材は絶縁体材料を用いて適宜に製作されて設けられる。
【0028】
アンテナ素子A0aとアンテナ素子A0bとの、それぞれ互いに対向した側の端部において、各アンテナ素子A0a及びA0bに対する給電点である2端子のポートP0が設けられる。ポートP0は、平衡型ケーブル(図示せず。)を介して図1と同様にLNA2に接続され、それによって当該アンテナ装置が受信用アンテナとして動作することが可能であるが、図6では、後の説明のために、互いに直列な給電系内部インピーダンス13及び給電系内部電圧14にてなる給電部がポートP0に接続されている。また、アンテナ素子A1aとアンテナ素子A1bとの、それぞれ互いに対向した側の端部において、可変容量ダイオード等の可変リアクタンス素子12が装荷される2端子のポートP1が設けられる。
【0029】
以上のように構成されたアレーアンテナ装置においては、第1の実施形態と同様に動作するアンテナコントローラ10からのリアクタンス値信号が、ペアケーブル5を介して可変リアクタンス素子12に設定される。上記アンテナコントローラ10は可変電圧直流電源の機能を有し、非励振素子A1に接続された可変リアクタンス素子12に設定するリアクタンス値信号を変化させることにより、可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を変化させ、これにより、非励振素子A1の電気長を、励振素子A0に比較して変化させ、当該アレーアンテナ装置の平面指向特性を変化させることができる。この構成では、図1のような接地導体11を必要としないので、アレーアンテナ装置の全体をより軽量化することができる。
【0030】
図7は、本発明に係る第2の実施形態の変形例であるアレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。この変形例は、第1の実施形態の変形例と同様に、励振素子A0と非励振素子A1が誘電体基板30の一方の面上にストリップ導体として形成されたことを特徴とするアレーアンテナ装置である。なお、上記誘電体基板30は、例えば厚さ約1mmのガラスエポキシ樹脂、テフロン(登録商標)、又はアルミナセラミックなどから構成される。励振素子A0及び非励振素子A1は公知のプリント配線基板のプロセス技術により形成される。
【0031】
ここで、励振素子A0は、それぞれ同一の長さh3を有しかつ互いに所定の距離だけ離間して一直線上に延在するように形成されたストリップ形状のプリントアンテナ素子A0−1及びA0−2を備えて誘電体基板30上に形成される。また、非励振素子A1は、それぞれ同一の長さh3を有しかつ互いに所定の距離だけ離間して一直線上に延在するように形成されたストリップ形状のプリントアンテナ素子A1−1及びA1−2を備えて誘電体基板30上に形成される。ここで、長さh3は、送受信される無線信号の波長の約1/4の長さに設定される。さらに、励振素子A0と非励振素子A1とは、互いに距離d3を有して、平行に配置される。
【0032】
誘電体基板30において、励振素子A0と非励振素子A1が形成された面とは反対側の面に、互いに離間して4つの電極31乃至34が形成されている。プリントアンテナ素子A0−1の、プリントアンテナ素子A0−2と対向した側の一端は、誘電体基板30に形成されたスルーホール導体35を介して電極31に接続され、また、プリントアンテナ素子A0−2の、プリントアンテナ素子A0−1と対向した側の一端も、スルーホール導体36を介して電極32に接続される。さらに、電極31及び32は、図1の同軸ケーブル1に代わって、平衡型ケーブル1Aを介してLNA2に接続される。プリントアンテナ素子A1−1の、プリントアンテナ素子A1−2と対向した側の一端は、誘電体基板30に形成されたスルーホール導体37を介して電極33に接続され、この電極33は可変容量ダイオードD2のカソードに接続される。可変容量ダイオードD2は、可変リアクタンス素子12の一例である。また、プリントアンテナ素子A1−2の、プリントアンテナ素子A1−1と対向した側の一端も、スルーホール導体38を介して電極34に接続され、この電極34は可変容量ダイオードD2のアノードに接続される。さらに、電極33及び34はそれぞれ、例えば数kΩないし数十kΩの高周波電流阻止用抵抗41,42及びペアケーブル5を介して当該アレーアンテナ装置の指向特性を制御するアンテナコントローラ10の印加バイアス電圧端子(図示せず。)に接続されている。
【0033】
以上のように構成された第2の実施形態の変形例に係るアレーアンテナ装置によれば、制御が簡単であることに加えて、励振素子A0と非励振素子A1を誘電体基板30上に形成したことにより、従来のダイバシティアンテナに比較して構造が簡単であって、励振素子や非励振素子を容易にかつ高精度で形成することができるアレーアンテナ装置を提供することができる。また、誘電体基板30上にストリップ導体にてなる励振素子A0と非励振素子A1を形成しているので、プリント配線基板の形成技術で容易にアンテナ素子を形成することができ、製造工程がきわめて簡単になるという特有の利点を有する。
【0034】
<第1の実装例>
図8は、本発明に係る第1の実装例である、携帯型パーソナルコンピュータ200に搭載されたアレーアンテナ装置を示す図である。この実装例では、携帯型パーソナルコンピュータ200は、上部筐体201と下部筐体202とからなる折りたたみ型の筐体を有し、実施形態のアレーアンテナ装置210は、上部筐体201上に固定されるか、又は上部筐体201上に向きが可動であるように装着されることが可能である。アレーアンテナ装置210は、図4と同様に、誘電体基板上にプリントされて形成された1/4波長モノポール型のアレーアンテナ装置として図示されている。アレーアンテナ装置210において接地導体は図示されていないが、接地導体は上部筐体201に装着されていてもよく、又は上部筐体201が金属製の場合は上部筐体201が接地導体として利用されてもよい。なお、図8に示された実装例の制御装置として、上述のアンテナコントローラ10を用いることができる。
【0035】
<第2の実装例>
図9は、本発明に係る第2の実装例である、PCカード211に搭載されたアレーアンテナ装置を示す図である。この実装例では、接地導体として動作するPCカード211の本体上に設けられた、図1と同様の、1/4波長モノポール型のアレーアンテナ装置を図示している。PCカード211は、図8と同様の携帯型パーソナルコンピュータ200の下部筐体202に設けられたPCカードスロット203に挿入されて、PC200のアンテナとして動作することが可能である。なお、図9に示された実装例の制御装置として、上述のアンテナコントローラ10を用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下の説明では最も基本的な2素子エスパアンテナの動作原理を定式化する。まず、解析を簡単化するため、アレーアンテナ装置をアンテナ素子部分と可変リアクタンス素子部分に分解したモデルを考える。アンテナ素子部分を2端子対ネットワークとしてとらえることにより、アンテナ装置の動作を回路論的に扱う。エスパアンテナはアンテナ素子間結合を本質的に利用するアンテナ装置であることから、自由空間波長で規格化したアンテナ素子間隔が重要な設計パラメータとなる。これを回路論的に定式化するため、アンテナ素子間の電磁相互結合を特徴付けるアドミタンス行列を導入する。モーメント法による電磁界解析によりアドミタンス行列の各要素を求め、これらをアンテナ素子間隔の簡単な陽関数として表現することができるフィッティング式(近似式)を提案する。次に、入出力インピーダンス、等価重み係数ベクトル、放射指向性などのアンテナ特性を上記のアドミタンス行列と可変リアクタンスの関数として解析的に導出する。これらは、アドミタンスによる表現式を用いれば容易に計算できる。リアクタンスが可変であることにより、振幅指向性ならびに位相指向性が大きく制御できることを示す。さらに、2素子エスパアンテナを用いた最も簡単なダイバシティ方式として、可変容量ダイオードの容量を2値制御する「バイナリ・リアクタンス・ダイバシティ」を提案する。
【0037】
アレーアンテナを図8及び図9に示すようにラップトップ端末装置やPCカードに搭載するには、物理形状的制約からアンテナ素子間隔をできるだけ狭くすることが望ましい。この場合、アンテナ素子間に電磁的な相互結合が生じる。エスパアンテナはこの相互結合を積極的に利用した可変アンテナ装置である。以下の説明では、アンテナ素子間隔と相互結合の関係を定式化する。一方、アンテナ素子長についても実装の観点からは短いほうが望ましい。すなわち、図1に示す1/4波長モノポール型が実装上の有力候補である。解析のためには、これと等価なモデルとして、図6に示す接地導体11を持たない1/2波長ダイポール型のアレーアンテナ装置を用いる。
【0038】
以下の説明では、最初に当該アレーアンテナ装置を送信用アンテナとみなし、その特性を定式化する。図6の構成において、励振素子A0のポートP0を励振素子A0の給電点とし、また、非励振素子A1のポートP1から可変リアクタンス素子12を切り離す。ポートP0に接続された送信給電系において、給電系内部インピーダンス13の値を2zsで表し、給電系内部電圧14の値を2vsで表す。また、ポートP0におけるアレーアンテナ装置の入力インピーダンスを2zinとする。当該アレーアンテナ装置を受信用アンテナとして用いるときは、入力インピーダンス2zinは出力インピーダンスになる。さらに、可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を2xで表す。なお、送信給電系の内部インピーダンス及び内部電圧、アレーアンテナ装置のインピーダンス、ならびに可変リアクタンス素子12のリアクタンス値は、図1に示した接地導体を有する1/4波長モノポール型のアレーアンテナ装置で定義しているので、図6に示す1/2波長ダイポール型のモデルを用いた定式化では値がすべて2倍となる。
【0039】
給電系と可変リアクタンス素子12を除く励振素子部分を2ポート回路ネットワークとみなし、次式の2×2アドミタンス行列Yを定義する。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、y00は励振素子A0の自己アドミタンスであり、y11は非励振素子A1の自己アドミタンスであり、y01とy10はそれぞれ、励振素子A0と非励振素子A1の結合アドミタンスと、非励振素子A1と励振素子A0の結合アドミタンスを示す。アンテナ素子間の相互結合は、このアドミタンス行列Yにより完全に特徴付けられ記述できる。アドミタンス行列Yの4つの要素はすべて複素数である。アドミタンス行列Yの非対角要素(すなわち、結合アドミタンス)はアンテナ素子間の相互結合の強度を表しており、相互結合が存在しない場合には零となる。アドミタンス行列Yは可変リアクタンス素子12のリアクタンス値2x[Ω]とは独立であり、アンテナ素子長h2やアンテナ素子間隔d2などの物理形状パラメータが決まればモーメント法などの電磁界解析で求めることができる。すなわちこのモデルを用いると、リアクタンス値が変わる毎に電磁界解析を行う必要がない。
【0042】
相反定理及びアレーアンテナ構造の対称性により、自己アドミタンスy00,y11と結合アドミタンスy10,y01とにおいて次式関係が成り立つ。
【0043】
【数2】
y00=y11
【数3】
y10=y01
【0044】
励振素子A0、非励振素子A1が同じ高さで平行に配列されており、その半径aがλ/100であり、長さ2×h2がλ/2である完全導体円柱である場合の自己アドミタンス及び結合アドミタンスをモーメント法により求め、これを、波長で規格化されたアンテナ素子間隔d2/λの関数としてプロットすると図10乃至図13に示す曲線となる。ここで、λは無線信号の自由空間波長である。図10と図11はそれぞれ、アンテナ素子間隔d2/λに対する自己アドミタンスの実数部Re{y00}と虚数部Im{y00}を示すグラフであり、図12と図13はそれぞれ、アンテナ素子間隔d2/λに対する結合アドミタンスの実数部Re{y10}と虚数部Re{y10}を示すグラフである。これらの曲線を多項式及び累乗関数でフィッティング(曲線近似)することにより、次のような簡便な表現式を得る。
【0045】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0046】
実数部及び虚数部ともに単位は[Ω−1]であり、これらの表現式の有効範囲は0.05λ≦d2≦0.35λである。
【0047】
自己アドミンタンス及び結合アドミタンスを用いると、アレーアンテナ装置への入力インピーダンス2zin(ただし、受信時は出力インピーダンスになる。)は、次式で与えられる。
【0048】
【数8】
【数9】
【数10】
【0049】
アンテナ素子間隔d2/λをパラメータとし、リアクタンス値の関数として求めたアレーアンテナ装置の入力インピーダンスを図14及び図15に示す。図14と図15はそれぞれ、異なるアンテナ素子間隔d2/λ=0.1,0.2,0.3のもとで、可変リアクタンス素子12に設定されるリアクタンス値2xに対するアレーアンテナ装置の入力インピーダンスの実数部Re{2zin}と虚数部Im{2zin}を示すグラフである。
【0050】
次いで、実施形態のアレーアンテナ装置における等価重み係数ベクトルについて説明する。一般に、アレーアンテナの指向性はアンテナ素子単体の指向性とアレーファクタの積で表される。2素子エスパアンテナのアレーファクタを求めるために、ここでは等価重み係数(ウエイト)ベクトル法を用いる(非特許文献2参照)。これは、アレーファクタをステアリングベクトルと重み係数ベクトルの内積で表し、その重み係数ベクトルはこのアンテナを送信モードで励振した際の電流ベクトルと等価であるとする方法である。
【0051】
アレーファクタをD(φ)とし、方位角をφとすると、アレーファクタD(φ)は次式のように表すことができる。
【0052】
【数11】
【0053】
ここで、
【数12】
det=(z00+2zs)(z00+j2x)−z10 2
であり、w0とw1は各アンテナ素子の等価重み係数である。上式で求まるアレーファクタD(φ)には給電系とアレーアンテナ装置とのインピーダンス不整合による損失も考慮されている。
【0054】
等価重み係数w0とw1は、以下に述べるようなリアクタンス値を変化させてダイバシティ制御する動作において重要な役割をはたす。いずれもリアクタンス値2xに対して、次の1次分数式で表される。
【0055】
【数13】
【数14】
【0056】
すなわち、上式から明らかなように、等価重み係数の複素平面上でリアクタンス値は等角写像される。
【0057】
リアクタンス値2xをパラメータとし、アレーファクタD(φ)を方位角φの関数としてプロットすると、図16及び図17に示す振幅指向性及び位相指向性を得る。図16は、異なるリアクタンス値2x=0,−50,−100のもとで、方位角φに対するアレーファクタD(φ)の振幅を示すグラフである。縦軸の単位dBoは、無指向性アンテナ装置のアレーファクタ(すなわち、方位角φについて変化しない定数)を基準とする利得である。図17は、異なるリアクタンス値2x=0,−50,−100のもとで、方位角φに対するアレーファクタD(φ)の位相を示すグラフである。方位角φは励振素子A0から非励振素子A1をみた方位を0度とした。アンテナ素子間隔d2は1/10波長、給電系内部インピーダンス13の値2zsは100Ωとした。
【0058】
図16及び図17から明かなように、リアクタンス値2xを変えることでアンテナ指向性を制御できることがわかる。例えば、2x=0Ωのときは非励振素子A1が反射器として動作し、2x=−100Ωのときは逆に導波器として動作する。これらの中間的な状態すなわち2x=−50Ωのときは非励振素子A1が共振状態に近くなり、ブロードサイド方向(90度)にヌル(落ち込み)が発生する。
【0059】
次いで、リアクタンス値を変化させてダイバシティ制御を実行できる、実施形態のアレーアンテナの制御装置を用いた無線信号の受信について説明する。マルチパスフェージングは1つの信号源から送信された波動が複数の経路を伝搬し、受信点において信号が同振幅かつ逆位相でキャンセルされるときに激しいレベル低下が発生する現象である。屋外無線基地局で受信する場合には、マルチパスの経路による到来波の角度広がりは比較的狭い。しかし、ユーザ端末装置あるいは室内環境においては、360度全方位に広がるマルチパス波の到来が生じる。上述したように、エスパアンテナは2素子であってもリアクタンス値を制御することにより振幅及び位相の方位角依存性を変える特性があるので、これを適応的に用いればフェージングによるレベル低下が生じる条件すなわち同振幅かつ逆位相の状態を回避できる可能性がある。このことを定量的に確認するために下記の計算機シミュレーションを行う。
【0060】
マルチパスフェージングを起こしうる最小の到来波数は2つである。ここでは、図18に示すように干渉性のある2つの到来波s1とs2が同一の振幅かつランダムな位相差で到来する環境に置かれた2素子エスパアンテナで、当該到来波を受信した場合に得られる信号をyとする。すなわち、次式を仮定する。
【0061】
【数15】
【0062】
ここで、aoは各到来波の振幅を表す。φ1とφ2は2つの到来波s1とs2の各方位角を表し、ψ1とψ2は各到来波s1とs2の信号位相を表す。以下の計算機シミュレーションでは、簡単化のために、アレーアンテナ装置で受信される無線信号とA/D変換器4から出力される受信信号とを同一視し、受信信号yと表記する。シミュレーションは、360度の範囲で無相関かつランダムな方位角の対{φ1,φ2}にてなる集合を用いて実行される。
【0063】
このような無線信号の環境に1/2波長ダイポール型の2素子エスパアンテナ(図6参照。)を配置したものとし、そのリアクタンス値2xは、小さな値2xL=−50Ωと大きな値2xH=+50Ωとの2状態{2xL,2xH}で設定され、これらのリアクタンス値のうち受信信号電力yy*が高くなる方をバイナリ選択するという簡単なアルゴリズムにより、フェージングを回避することとする。ここで、上付き*は複素共役を表す。上述のアルゴリズムは、アンテナコントローラ10によって実行されるものと同様である。図19は、無線受信回路(すなわち、図1のLNA2)の内部インピーダンスの値を100Ω(1/4波長モノポール型アレーアンテナ装置の場合は50Ω)とし、円柱形状の各アンテナ素子の半径aを0.01波長とし、その長さh2を1/4波長とし、アンテナ素子間隔を0.1波長とした場合のフェージング劣化の累積確率分布(CDF曲線)を示す。この計算機シミュレーションでは、上記方位角の対{φ1,φ2}にてなる集合の各元によって定義される各無線信号環境において、それぞれ上記アルゴリズムに従って選択されたリアクタンス値を可変リアクタンス素子12に設定したものとし、次いで、そのリアクタンス値が設定されたアレーアンテナ装置で受信される各無線信号の受信信号電力yy*が計算された。図19のグラフの縦軸は、到来波1波あたりの信号電力aoao *を基準とした、ダイバシティ受信信号電力が横軸のdB表示値を超える事象の累積確率(CDF値)である。
【0064】
比較のため、等振幅の2つの到来波が存在するモデルにおける無指向性アンテナ装置(すなわち、単一アンテナ)のフェージングCDFの理論値(次式参照。)を図19に細線で示す。
【0065】
【数16】
【0066】
ここで、p(yy*≧P)は受信信号電力yy*がP以上となる確率である。特に、深いフェージングが発生している領域、すなわち
【数17】
p(yy*≧P)≪1/π
の領域では、次式が漸近線となる。
【0067】
【数18】
P=p2π2aoao *
【0068】
図19から、エスパアンテナは無指向性アンテナ装置に比べてCDF値が90%のとき約4dBのダイバシティ利得301が得られ、CDF値が99%のとき14dBのダイバシティ利得302が得られることがわかる。本実施形態のアレーアンテナの制御装置では、30dBのフェージング劣化が発生する確率も無指向性アンテナ装置の1/10以下に低減できる。
【0069】
次に、CDFの90%点及びCDFの99%点での、ダイバシティ利得のリアクタンス設定値依存性を図20及び図21に示す。ダイバシティ利得は、無指向性アンテナ装置で受信された信号電力を基準とする、実施形態のアレーアンテナ装置で受信される信号電力の利得である。これらのシミュレーション結果に基づいて、アンテナコントローラ10に予め設定するべきリアクタンス値の対を決定することができる。
【0070】
図20は、可変リアクタンス素子12に設定される2つのリアクタンス値の平均値(すなわち、2xLと2xHの中心値)を0Ωに固定したときの、設定される2つのリアクタンス値の差(すなわち、切り替え幅2xH−2xL)の半幅に対するダイバシティ利得を示すグラフである。図20から分かるように、リアクタンス値の切り替え幅2xH−2xLが狭いと、切り替え前後で等価重み係数ベクトルがあまり変化しないのでダイバシティ効果も小さい。逆に、リアクタンス値の切り替え幅2xH−2xLが広すぎると、非励振素子A1の等価重み係数ベクトルの絶対値が小さくなるのでこれもダイバシティ効果が小さくなる。最適点がxH−xL=80Ω付近に存在する。
【0071】
図20において、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が例えば90%又は99%などの所定値であるときに、ダイバシティ利得が所定値以上となるように第1及び第2のリアクタンス値2xH,2xLを選択して設定することがより好ましい。さらに、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が例えば90%又は99%などの所定値であるときに、ダイバシティ利得が実質的に最大となるように第1及び第2のリアクタンス値2xH,2xLを選択して設定することが最も好ましい。
【0072】
図21は、可変リアクタンス素子12に設定される2つのリアクタンス値の差(すなわち、切り替え幅2xH−2xL)の半幅を50Ωに固定したときの、設定される2つのリアクタンス値の平均値(すなわち、2xLと2xHの中心値)に対するダイバシティ利得を示すグラフである。設定されるリアクタンスの中心値xL+xHが低くても高くても、非励振素子A1の等価重み係数ベクトルの絶対値が小さくなるので、やはりダイバシティ効果が小さくなる。最適点がxL+xH=−30乃至−90Ω付近に存在する。
【0073】
図21において、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が例えば90%又は99%などの所定値であるときに、ダイバシティ利得が所定値以上となるように第1及び第2のリアクタンス値2xH,2xLを選択して設定することがより好ましい。さらに、受信される無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値が例えば90%又は99%などの所定値であるときに、ダイバシティ利得が実質的に最大となるように第1及び第2のリアクタンス値2xH,2xLを選択して設定することが最も好ましい。
【0074】
以上説明したように、図20及び図21の結果を参照して、最高の利得をもたらすリアクタンス値の対2xH及び2xLを選択することができ、これらをそれぞれ第1及び第2のリアクタンス値としてアンテナコントローラ10に予め設定しておく。以上の計算機シミュレーションでは、図6の1/2波長ダイポール型のアレーアンテナ装置を用いたので、図1のような1/4波長モノポール型のアレーアンテナ装置100では、最適なリアクタンス値として、2つのリアクタンス値の平均値が40Ωとなり、2つのリアクタンス値の差の半幅が−15乃至−45Ωとなるように設定される。
【0075】
また、リアクタンスは負値、すなわち容量性であるので、可変容量ダイオード等の可変リアクタンス素子12を非励振素子A1に直接装荷するように構成できる。
【0076】
図22は、波長で規格化されたアンテナ素子間隔d2/λに対するダイバシティ利得を示すグラフである。このグラフは、ダイバシティ利得のアンテナ素子間隔依存性を示す。CDFの90%点及びCDFの99%点いずれにおいても、アンテナ素子間隔が0.1から0.35波長までである範囲においては大きな依存性は無い。アンテナ素子間隔が広いと、アンテナのステアリングベクトルが方位角φに対して鋭敏になる。一方、非励振素子A1の等価重み係数はアンテナ素子間隔が狭い方が大きくなる。これら双方の傾向が相殺されていると考えられる。利得特性がアンテナ素子間隔に対して急峻ではないということは、アンテナ装置を実装するときに機械的公差を厳密に正確にする必要がないという利点を意味する。ゆえに、本実施形態のアレーアンテナ装置は、折りたたみ展開式構造や柔軟弾性素材によるアンテナ装置の実装にも有効である。
【0077】
以上説明したように、本発明に係る実施形態によれば、2つの到来波が存在する環境モデルにおいて、無指向性アンテナ装置に比べて累積確率分布(CDF)の値が90%のとき約4dBで、99%のとき約14dBのダイバシティ利得が得られる。30dBのフェージング劣化が発生する確率を1/10以下に低減できる。ダイバシティ利得はリアクタンス設定値に依存し、例えば、1/2波長モノポール型アレーアンテナ装置のとき、−30乃至−90Ω付近で最大となる。さらに、アンテナ素子間隔には強く依存しないので、アンテナ装置を実装するときに機械的公差を厳密に正確にする必要がなく、折りたたみ展開式構造や柔軟弾性素材によるアンテナ装置の実装にも有効である。このアレーアンテナの制御装置はハードウエア構成が簡易で、かつ、単純な1ビットバイナリ制御で大きなフェージング改善効果が得られるので、ラップトップ端末装置やPCカードなどの民生コンシューマ端末装置に搭載できるダイバシティアンテナとして用いることができる。
【0078】
さらに、エスパアンテナの可変リアクタンス素子は、例えば、安価な可変容量ダイオードで構成されるので、1つの励振素子と1つの非励振素子とを備えたエスパアンテナは、単極双投RFスイッチによる従来の2素子選択式ダイバシティアンテナに比べて低コストとなる。また、可変容量ダイオードは常に逆バイアスで動作するので、PINダイオードスイッチのようなオン時の直流電流消費が無い。FETスイッチに比べても、可変容量ダイオードは低コストかつ低損失である。さらに、エスパアンテナはアンテナ素子間隔を比較的狭くしても動作することからアンテナ装置全体を小型化できる。
【0079】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るアレーアンテナの制御装置又は方法によれば、送信された無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた非励振素子と、上記非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子を導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御装置において、上記アレーアンテナによって受信される無線信号に基づいて、所定値以上のダイバシティ利得が得られるように設定された第1と第2のリアクタンス値のうち、上記第1と第2のリアクタンス値をそれぞれ上記可変リアクタンス素子に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して上記可変リアクタンス素子に設定する。従って、従来技術に比較して、ハードウエア構成がきわめて簡単であるとともに、きわめて簡単な制御でより大きなダイバシティ利得を得ることができる。特に、マルチパスフェージングが存在するときのアンテナ利得を単純な1ビット制御で大きく改善する効果が得られるので、ラップトップ端末装置やPCカードなどの民生コンシューマ端末装置に搭載可能なダイバシティアンテナを実現できる。また、本発明に係る1ビット制御では、可変リアクタンス素子を連続的に制御する従来技術において必要な制御電圧発生用DAコンバータが不要となるので、アンテナ装置のさらなる小型化と低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のアレーアンテナ装置100の詳細構成を示す斜視図である。
【図3】 図2のA−A’線における縦断面図である。
【図4】 本発明に係る第1の実施形態の変形例であるアレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図5】 図4の誘電体基板20の下部の詳細構成を示す斜視図である。
【図6】 本発明に係る第2の実施形態のアレーアンテナ装置の構成を示す図である。
【図7】 本発明に係る第2の実施形態の変形例であるアレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図8】 本発明に係る第1の実装例である、携帯型パーソナルコンピュータ200に搭載された図4のアレーアンテナ装置を示す図である。
【図9】 本発明に係る第2の実装例である、PCカード211に搭載された図1のアレーアンテナ装置を示す図である。
【図10】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、アンテナ素子間隔に対する自己アドミタンスの実数部Re{y00}を示すグラフである。
【図11】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、アンテナ素子間隔に対する自己アドミタンスの虚数部Im{y00}を示すグラフである。
【図12】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、アンテナ素子間隔に対する結合アドミタンスの実数部Re{y10}を示すグラフである。
【図13】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、アンテナ素子間隔に対する結合アドミタンスの虚数部Re{y10}を示すグラフである。
【図14】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、可変リアクタンス素子12に設定されるリアクタンス値2xに対するアレーアンテナ装置の入力インピーダンスの実数部Re{2zin}を示すグラフである。
【図15】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、可変リアクタンス素子12に設定されるリアクタンス値2xに対するアレーアンテナ装置の入力インピーダンスの虚数部Im{2zin}を示すグラフである。
【図16】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、方位角φに対するアレーファクタD(φ)の振幅を示すグラフである。
【図17】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、方位角φに対するアレーファクタD(φ)の位相を示すグラフである。
【図18】 図6のアレーアンテナ装置への2つの到来波が存在する環境を示す図である。
【図19】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、受信信号電力が横軸の表示値を超える事象の累積確率(CDF値)を示すグラフである。
【図20】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、可変リアクタンス素子12に設定される2つのリアクタンス値の和を固定したときのダイバシティ利得を示すグラフである。
【図21】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、可変リアクタンス素子12に設定される2つのリアクタンス値の差を固定したときのダイバシティ利得を示すグラフである。
【図22】 図6のアレーアンテナ装置に係るシミュレーション結果であって、アンテナ素子間隔に対するダイバシティ利得を示すグラフである。
【符号の説明】
A0…励振素子、
A1…非励振素子、
A0a,A0b,A1a,A1b…アンテナ素子、
A0−1,A0−2,A1−1,A1−2…プリントアンテナ素子、
D1,D2…可変容量ダイオード、
P0,P1…ポート、
1…同軸ケーブル、
1a…中心導体、
1b…外部導体、
1A…平衡型ケーブル、
2…低雑音増幅器(LNA)、
3…ダウンコンバータ(D/C)、
4…A/D変換器、
5…ペアケーブル、
10…アンテナコントローラ、
11…接地導体、
12…可変リアクタンス素子、
13…給電系内部インピーダンス、
14…給電系内部電圧、
20,30…誘電体基板、
21,22,23,24,31,32,33,34…電極、
25,26,35,36,37,38…スルーホール導体、
100,210…アレーアンテナ装置、
200…携帯型パーソナルコンピュータ、
201…上部筐体、
202…下部筐体、
203…PCカードスロット、
211…PCカード型アレーアンテナ装置、
301,302…ダイバシティ利得。
Claims (4)
- 送信された無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた非励振素子と、上記非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子を導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御装置において、
上記アレーアンテナによって受信される無線信号及び無指向性アンテナによって受信される無線信号に基づいて、上記各無線信号の信号電力を変化したときに、上記各無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値の特性を測定し、上記測定されたCDF値の特性に基づいて、上記CDF値が所定値であるときに、上記無指向性アンテナで受信された無線信号の信号電力を基準とする、当該アレーアンテナで受信された無線信号の信号電力の利得であるダイバシティ利得が所定値以上となるように上記第1及び第2のリアクタンス値を設定し、上記設定された上記第1と第2のリアクタンス値をそれぞれ上記可変リアクタンス素子に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して上記可変リアクタンス素子に設定する制御手段を備えたことを特徴とするアレーアンテナの制御装置。 - 上記制御手段は、上記ダイバシティ利得が実質的に最大となるように上記第1及び第2のリアクタンス値を設定したことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナの制御装置。
- 送信された無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた非励振素子と、上記非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値を変化させることにより、上記非励振素子を導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法において、
上記アレーアンテナによって受信される無線信号及び無指向性アンテナによって受信される無線信号に基づいて、上記各無線信号の信号電力を変化したときに、上記各無線信号の信号電力が所定の信号電力を超える事象の累積確率であるCDF値の特性を測定し、上記測定されたCDF値の特性に基づいて、上記CDF値が所定値であるときに、上記無指向性アンテナで受信された無線信号の信号電力を基準とする、当該アレーアンテナで受信された無線信号の信号電力の利得であるダイバシティ利得が所定値以上となるように上記第1及び第2のリアクタンス値を設定する第1のステップと、
上記設定された第1と第2のリアクタンス値をそれぞれ上記可変リアクタンス素子に設定したときに受信される2つの無線信号の信号電力の、より大きい値となるときのリアクタンス値を選択して上記可変リアクタンス素子に設定する第2のステップとを含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。 - 上記第1のステップは、上記ダイバシティ利得が実質的に最大となるように上記第1及び第2のリアクタンス値を設定することを特徴とする請求項3記載のアレーアンテナの制御方法。
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