JP3761954B2 - 難燃剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙などのセルロース系材料用の難燃剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セルロース材料用の難燃剤としては、例えばスルファミン酸マグネシウム、スルファミン酸カルシウムまたはスルファミン酸グアニジンを必須成分とするものが知られている(例えば特開昭62−129382号公報)。また、スルファミン酸グアニジン、メチロール化スルファミン酸グアニジンおよびスルファミン酸アンモニウムからなる組成物も知られている(例えば特開昭60−199094号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼スルファミン酸マグネシウム、スルファミン酸カルシウムなどのスルファミン酸アルカリ土類金属塩を、含浸処理した紙を加熱した場合、引裂強度の低下が大きい;▲2▼スルファミン酸グアニジンを含浸処理した紙を加熱した場合は、紙の着色が大きい;▲3▼メチロール化スルファミン酸グアニジンを含有したものは、紙の着色は少なくなるが、含浸処理した紙からもホルマリンが遊離し、環境衛生上好ましくない;などの欠点をそれぞれ有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点を解決する難燃剤について鋭意検討した結果、特定の化合物を特定量比で配合することによって、個々のものでは発揮できない優れた効果が得られることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、スルファミン酸アルカリ土類金属塩(A)10〜60重量%と、スルファミン酸グアニジン(B)40〜90重量%との混合物を必須成分として含有することを特徴とする難燃剤組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明におけるスルファミン酸アルカリ土類金属塩(A)としては、スルファミン酸カルシウム、スルファミン酸マグネシウム、スルファミン酸ストロンチウム、スルファミン酸バリウムおよびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものはスルファミン酸カルシウムおよびスルファミン酸マグネシウムであり、特に好ましいものはスルファミン酸カルシウムである。
【0006】
上記スルファミン酸アルカリ土類金属塩(A)は、例えば当モルのスルファミン酸と、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または酸化物とを公知の方法で反応させることにより製造できる。該(A)は、通常pH4〜9、好ましくはpH5〜8の水溶液として、後述のスルファミン酸グアニジン(B)と混合される。
【0007】
本発明におけるスルファミン酸グアニジン(B)は、ジシアンジアミドとスルファミン酸アンモニウムとを、通常1:(1〜2.0)、好ましくは1:(1.4〜1.8)のモル比で、加熱溶融反応することによって製造できる。スルファミン酸アンモニウムのモル比が1未満ではメラミン、アンメリンなどの水不溶物の含有量が増大し、2.0を越えると未反応スルファミン酸アンモニウムおよび副生アンモニウム化合物(イミドジスルホン酸グアニジンアンモニウムなど)の量が増大し、耐着色性が低下する。
【0008】
溶融反応温度は通常120〜190℃、好ましくは140〜170℃である。反応時間は、通常2〜10時間、好ましくは3〜5時間である。反応物はそのまままたは水で希釈されて上記(A)と混合される。この反応物には主生成物であるスルファミン酸グアニジン(B)の他に未反応のスルファミン酸アンモニウム、ジシアンジアミド、さらに副反応生成物(イミドジスルホン酸、グアニジンアンモニウム、イミドジスルホン酸ジグアニジン、メラミン、アンメリンなど)が少量含まれていてもよい。これらの含有量は、通常10%以下、好ましくは5%以下である。
【0009】
本発明の難燃剤組成物における上記(A)と(B)の重量比は、通常(10〜60):(40〜90)、好ましくは(20〜50):(50〜80)、特に好ましくは(30〜45:55〜70)である。(A)の比率が10未満では、加熱による着色が大きくなり、60を超えると燃焼時の残じん時間が長くなり、また加熱による引裂強度の低下も大きくなる。
【0010】
本発明の難燃剤組成物は、例えば、所定量の(A)の水溶液に、(B)または(B)の水溶液を混合して均一溶解し、必要によりろ過精製することにより得られる。
【0011】
本発明の組成物には、必要に応じて他の公知の難燃剤成分を含有させることもできる。他の公知の難燃剤成分の具体例としては、(B)以外のグアニジン塩系化合物[グアニジン塩(メチロール化スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、次亜リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、ホウ酸グアニジンなど)、シアノ置換グアニジン(リン酸グアニル尿素、ポリリン酸グアニル尿素など)、アミノ置換もしくはアミノ基含有置換グアニジン塩(リン酸アミノグアニジンなど)など]、無機酸のアンモニウム塩(硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなど)、ジシアンジアミド類(ジシアンジアミド、メチロール化ジシアンジアミド、ヘキサメチレンテトラミンなど)などが挙げられる。
【0012】
本発明の組成物は、通常水溶液の形で用いられる。使用濃度は、使用目的、保存条件、含浸方法、対象の基材の性質などによって異なるが、組成物の固形分重量で通常1〜60%、好ましくは10〜30%である。
【0013】
本発明の組成物の使用対象セルロース系材料としては、たとえば紙製品(障子紙、ふすま紙、壁紙、板紙など)、布等の繊維(木綿など)製品、および合板等の木質材料が挙げられる。
【0014】
本発明の組成物の基材(セルロース系材料)に対する含浸量は、固形分換算で通常2〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0015】
基材に含浸する方法は、従来行なわれている方法でよく、組成物の水溶液に基材を直接浸漬する方法、サイズプレス法、スプレー法、ハケ塗りなどで塗布する方法などが挙げられる。含浸処理された基材は、通常、温度60〜150℃で乾燥される。
【0016】
また、本発明の組成物は、合成サイズ剤、デンプン等の表面処理剤、塩化ビニルなどの合成フイルムとの接着付与剤、ワックスエマルションなどの撥水剤などと併用することも可能である。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部は重量部、%は重量%である。
【0018】
製造例1
水酸化カルシウム74部(1モル)の水分散物に、スルファミン酸194部(2モル)を、徐々に加えた。20〜40℃で2時間攪拌した後ろ過して、pH6.2、固形分35%の透明なスルファミン酸カルシウム水溶液を得た。
【0019】
製造例2
スルファミン酸194部(2モル)を水に加え、予め溶解した。これに炭酸マグネシウム88部(1モル)を徐々に加えた。20〜40℃で2時間攪拌した後ろ過して、pH5.7、固形分35%の透明なスルファミン酸マグネシウム水溶液を得た。
【0020】
製造例3
ジシアンジアミド84部(1モル)とスルファミン酸アンモニウム194部(1.7モル)を混合し、溶融後150〜170℃で3時間反応させ、未反応ジシアンジアミドを3.5%含むスルファミン酸グアニジンを得た。これに水を加え、固形分35%の水溶液を得た。
【0021】
実施例1〜6、比較例1〜3
製造例1のスルファミン酸カルシウム、製造例2のスルファミン酸マグネシウムおよび製造例3のスルファミン酸グアニジンを用いて、表1に示す配合比により本発明の難燃剤組成物を調製した。なお、比較例1〜3は、それぞれ製造例1〜3の製造物をそのまま用いた。
【0022】
試験例1
実施例1〜6および比較例1〜3の難燃剤組成物水溶液を固形分20%になるよう希釈した。その希釈液に紙を浸漬し、難燃剤組成物量が紙に対し固形分で20%になるようにゴムロールで絞り、100〜105℃に温度調整したドラムドライヤーで乾燥した。その紙を下記の方法で評価した。その結果を表2に示す。
難燃性 :JIS Z−2150「薄い材料の防炎性試験」(45°メッケルバーナー法)に準じ、炭化長(cm)、残じん(秒)を測定した。小さい数値程優れる。
引裂強度 :200℃×5分間オーブン中で加熱処理後、JIS P−8116「紙の引裂強さ試験方法」に準じ測定した。大きい数値程優れる。
着色防止性:含浸処理した紙を200℃×5分間オーブン中で加熱し、ハンター白色度を測定した。大きい数値程優れる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明の難燃剤組成物を含浸して得た紙は、難燃性、引裂強度および着色防止性がいずれも良好であり、従来のスルファミン酸グアニジン、スルファミン酸カルシウムまたはスルファミン酸マグネシウム単独使用に比べ、バランスよい品質を有する優れた難燃紙を製造することができる。特に残じんに優れ、スルファミン酸アルカリ土類金属塩単独では製造できなかったJIS規定防炎2級合格の難燃材料を得ることができる。
上記効果を奏することから本発明の組成物は、各種セルロース系材料(紙類、布類、木質材料など)の難燃剤として極めて有用である。また、合成繊維、樹脂フィルム等の防燃加工にも用いることができる。
Claims (5)
- スルファミン酸アルカリ土類金属塩(A)10〜60重量%と、スルファミン酸グアニジン(B)40〜90重量%との混合物を必須成分として含有することを特徴とするセルロース材料用難燃剤組成物。
- (B)が、ジシアンジアミドとスルファミン酸アンモニウムとを、1:(1〜2.0)のモル比で加熱溶融反応させてなる請求項1記載の組成物。
- (A)をpH4〜9の水溶液として、(B)または(B)の水溶液と混合してなる請求項1または2記載の組成物。
- 請求項1〜3のいずれか記載の組成物の水溶液にセルロース系材料基材を浸漬するか、または該水溶液をセルロース系材料基材に塗布することを特徴とするセルロース系材料の難燃化方法。
- 紙製品、繊維製品および木質材料からなる群から選ばれるセルロース系材料が、請求項1〜3のいずれか記載の組成物で難燃処理されてなることを特徴とするセルロース系材料。
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- 1996-01-26 JP JP03276696A patent/JP3761954B2/ja not_active Expired - Fee Related
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