JP3761651B2 - ドーム状建物の建物内付属構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バンガロー,コテージ等のレジャー用建物や、店舗、イベント会場用建物、あるいはフラワードーム等に応用されるドーム状建物の建物内付属構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コテージ、店舗、イベント会場、フラワードーム等の建物として、三角形状の面材部材を半球状に組み立てた殻構造のドーム状建物が構築されている。この種のドーム状建物は、その幾何学的外観が美麗なことから好まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のこの種ドーム状建物において、建物内に設置する2階床,階段,パーティションなどの付属物は一般的な建物の場合と同様の構造であり、組立や撤去が容易でなかった。
【0004】
この発明は、このような課題を解消するものであり、三角形状の外殻パネルで構成される簡素な構成のドーム状建物に調和した簡単な構成であって、組立や撤去も簡単に行えるドーム状建物の建物内付属構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のドーム状建物の建物内付属構造は、三角形状の多数の外殻パネルを並べてこれら外殻パネルの隣合う各辺を相互に接合した外殻を設け、かつ多数の床パネルを並設した1階床を設けたドーム状建物において、複数本の柱で支えられる2階床を建物内に設け、前記各柱は、床パネルの角部間に突出するソケット部および床パネルの下面に配置される座板部を有する柱支持台に下端を設置したものである。
この構成によると、1階床の床パネル間から突出する柱支持台のソケット部に柱の下端を差し込むことで、2階床を簡単に設置でき、その撤去も容易に行うことができる。2階床は、3本以上の柱で支持するものであるため、床梁で各柱を相互に剛接合しておくことで、柱の倒れの問題がなく、柱の下端は位置ずれを防止するだけで足りる。そのため、前記構成の柱支持台で十分に支持することができる。
【0006】
前記構成において、2階床の床梁を、平面視で三角形状に枠組してもよい。この構成の場合、2階床を簡単かつ十分な強度に組立でき、撤去も容易に行うことができる。
【0007】
請求項3の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記構成において、前記2階床の床梁と1階床との間に可撓性のパーティションを設けたものである。このパーティションは、その上端に設けた梁接合片を前記2階床の床梁に面ファスナで接合し、かつ下端を1階床に面ファスナで接合する。
この構成によると、面ファスナによる接合作業で建物内を複数空間に仕切るパーティションを簡単に取付けられ、また撤去も簡単に行うことができる。
【0008】
前記構成において、前記パーティションは、空気封入された縦方向の棒状材を平行に並べて連結したものであって、側端部に割り筒状のパーティションエンド材を有し、丸パイプ状とした柱に前記パーティションエンド材で面ファスナを介して接合されるようにしたものであってもよい。この構成の場合は、パーティション側端部の固定を簡単に行えるので、その組立および撤去を一層容易に行うことができる。また、パーティションは空気封入された棒状材を平行に並べて連結したものであるため軽量であり、搬入・搬出も容易となる。
【0009】
請求項5の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記構成において、前記1階床と2階床との間に階段を設置し、その階段は各段毎に設けられる複数の階段コンポーネントからなるものとする。各階段コンポーネントは、下方に嵌合軸が突出して上下の階段コンポーネントと印籠結合されるパイプ状の単位階段柱と、この単位階段柱に一端が接合された蹴込み板と、この蹴込板の下縁に後縁が回動自在に連結された扇形の踏み板とを有するものとする。また、この踏み板の外側端前縁側には係合軸が上下方向に向けて設けてあり、前記蹴込み板の外側端には、上側の階段コンポーネントの踏み板の前記係合軸を嵌め込むパイプ状のソケットを上下に向けて設ける。
この構成によると、1階床と2階床との間で、複数の階段コンポーネントを、それらの単位階段柱の相互を印籠結合して連結することにより、ドーム状建物内に階段を簡単に組立でき、撤去も容易に行うことができる。また、階段コンポーネントに分解して運搬および保管できるので、運搬性および保管性が良い。
【0010】
請求項6の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記構成において、キャスタを有するクロゼットを1階床上に配置し、このクロゼットに前記柱と面ファスナで接合する柱接合部を設けたものである。
この構成によると、クロゼットを1階床上の所望の位置に簡単に設置でき、撤去も容易に行うことができる。
【0011】
クロゼットを設けた前記構成において、前記クロゼットは内部に水回り設備を有するものとしてもよい。この構成の場合、浴室,トイレット,キッチン等もクロゼットとして簡単に設置でき、撤去も簡単に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1ないし図20と共に説明する。
図1(A)〜(C)はこの実施形態に係る建物内付属構造を有するドーム状建物の水平断面図、縦断面図および上半部外観図である。このドーム状建物1は、三角形状の多数の外殻パネル2を半球状に並べて隣合う各辺を外殻パネル間継手3で相互に接合した殻構造のものである。各外殻パネル2は、内部に空気を封入することで所定厚さに膨らむ袋体としてある。また、隣合う外殻パネル2,2間は、図2(B)に示すように連通チューブ4で相互に連通させてある。連通チューブ4は外殻パネル2に着脱自在としてもよい。地面に近く配置される一つまたは複数の外殻パネル2には、給気チューブ5を介して給気ポンプ6を接続する。給気チューブ5も外殻パネル2に着脱可能とする。
【0013】
前記外殻パネル2は、図2(B)のように袋体を構成する二重の膜部2a,2aの間に、これら膜部2a,2aの最大間隔を規制する引張糸7を密生状態に設けたものとする。また、袋体の片面または両面には、断熱材8を重ねて設ける。断熱材8としては、グラスウール,ポリエチレン樹脂,または発泡ポリスチレンや発泡ポリウレタン等の発泡樹脂等を使用する。外殻パネル間継手3は、外殻パネル2の外周の端面に設けた面ファスナ9で、隣合う外殻パネル2,2の相互を接合するようにしたものである。面ファスナ9,9の外殻パネル表面から突出する部分は、継手部キャップ10で挟み込み状態に覆う。
【0014】
図1(C)におけるS部を図2(A)に拡大して示すように、5枚の外殻パネル2の隣合う各辺の接合は、これらの辺に設けた前記外殻パネル間継手3で行う。各外殻パネル2の角部が集まる箇所は、図2および図3に示すように外殻パネル角部間継手11で相互に接合する。この外殻パネル角部間継手11は、外殻パネル2に重なるキャップ本体12と、このキャップ本体12の中心に突設されて各外殻パネル2の角部先端間に嵌まり込む先端密封用ピン13とからなる。キャップ本体12の外殻パネル2が重なる面には、外殻パネル2を接合する面ファスナ9を設ける。また、この外殻パネル重なり面には、外殻パネル間継手3の面ファスナ突出部分を逃がす逃がし溝14が放射状に形成してある。図1(C)におけるS1部のように6枚の外殻パネル1の角部が集まる箇所では、図4に示すように、キャップ本体12の外殻パネル重なり面に6本の逃がし溝14を放射状に形成したものを使用する。
【0015】
また、連通チューブ4は、図5(C)に示すように外径面の両端の先細りのテーパ部4aと、両端のテーパ部4a,4a間に形成した嵌合用円周溝4bとを有する。この連通チューブ4の取付けは、図5(A),(B)に示すように、互いに接する両外殻パネル2,2の端面に弾性材料からなる接続口部材15を設け、連通チューブ4の両端のテーパ部4aを接続口部材15の接続口15aから外殻パネル2内部に挿入し、連通チューブ4の嵌合用円周溝4b内に両接続口部材15,15を重なり状態でかつ圧縮状態に挟み込むことにより行う。
【0016】
図9は上述した外殻パネル間継手3に使用する面ファスナ9の各例を示したものである。図9(A)の面ファスナ9は、ファスナ基材9cに半球形の頭部を有する無数の係合体9aを設けたファスナ9Aと、ファスナ基材9cにループ状の無数の係合体9bを植毛したファスナ9Bとの組み合わせからなる。図9(B)の面ファスナ9は、ファスナ基材9cにフック状の無数の係合体9aを設けたファスナ9Aと、ファスナ基材9cにループ状の無数の係合体9bを設けたファスナ9Bとの組み合わせからなる。図9(C)の面ファスナ9は、球形の頭部を有する無数の係合体9aをファスナ基材9cに植毛した一組みのファスナ9A,9Bからなる。面ファスナ9は、このように互いに係合する無数の係合体を有するものであれば良く、図9(A),(B)の例のように2種類のものを組み合わせるものであっても、また図9(C)の例のように同じ種類のものを相互に接合するものであっても良い。
【0017】
図1のように、このドーム状建物の床面には、内部に空気を封入することで膨らむ三角形状の多数のエアマット状床パネル16を並設した1階床17を設ける。これら各床パネル16は、内部を空気を封入することで所定厚さに膨らむ袋体としてあり、外殻パネル2と同様に引張糸7が設けてある。各床パネル16の各辺にも、図8に示すように床パネル16を相互に接合する床パネル間継手3Aの継手構成材である面ファスナ9が設けてあり、これにより図1(A)に示すように前記外殻パネル2で囲まれた底部円内に納まる連続した一枚の床面材として相互に接合する。各床パネル16は、図8に示すように連通チューブ4で相互に連通させてあり、また、外殻パネル2と最外周に位置する床パネル16との間も連通チューブ4Aで相互に連通させてある。この場合の連通チューブ4Aは、先の連通チューブ4を嵌合用円周溝4bの部分で二分割したものであり、これらを可撓性チューブ50で相互に連結する。これにより、図1のように給気ポンプ6から外殻パネル2に給気を行うときに、各床パネル16への給気も同時に行える。なお、最下段の外殻パネル2は、図8のように地面に打ち込んだアンカーボルト22に接続することにより、地面に固定する。
【0018】
また、床パネル16の上面には、面ファスナ9によって床仕上げ面材18を接合する。この仕上げ面材18は、例えば図6のように正六角形または正六角形を二分割した台形のタイルからなり、これらの組み合わせによって、モザイク状の模様を有する床仕上げ面を構成する。さらに、1階床17の一箇所または複数箇所、例えば図6のように複数の床パネル16の角部が集中して接合される箇所や、床パネル16が隣接する箇所には柱支持台19を設置する。この柱支持台19は、図7に示すように床パネル16の下面に配置される円板状の座板部20と、この座板部20の中央に突設されて床パネル16の角部間に突出する丸パイプ状のソケット部21とからなり、そのソケット部21の外周面には面ファスナ9が設けてある。ソケット部21は床パネル16の上面と同一平面となるようにしてもよい。この実施形態では、図7のように丸パイプ状とした支柱23を前記柱支持台19のソケット部21に差し込んで設置し、このようにして設置した複数本の柱23によりドーム状建物内の一部領域に2階床24を支持して設置する。これにより、2階床24を建物内に容易に設置でき、撤去も簡単に行うことができる。また、螺旋階段25も、その単位階段柱30を前記柱支持台19のソケット部21に差し込んで立設することにより、1階床17と2階床24との間に設置する。
【0019】
2階床24の骨組みは、図10(D)に平面構造を示すように、床大梁28および床小梁29を三角形状に枠組して構成する。これにより、2階床24を簡単な構成で十分な強度に組立てられ、撤去も一層容易に行うことができる。なお請求項2で言う「床梁」は、この実施形態では床大梁28のことである。床大梁28は、丸パイプを枠組してなる枠部28aの内側にウェブとなる板部28bを有する横長のものである。図10(A),(B)および図11に平面図,正面図および斜視図で示すように、床大梁28の端部に突設した上下に延びる係合突条28cを、支柱23の上端部に形成した軸方向に延びる係合スリット23aに係合させることにより、一対の支柱23,23間に床大梁28を架け渡す。床小梁29も、図10(C)に縦断面図で示すように、丸パイプを組み合わせてなる枠部29aの内側にウェブとなる板部29bを有する横長のものであり、その端部を床大梁28の下部に接合する。床大梁28で囲まれる三角形の空間には、図10(C)のように1階床17と同様の床パネル16を配置して床小梁29で支持する。床パネル16と床大梁28とは面ファスナ9により接合する。床パネル16の上面も、1階床17の場合と同様に床仕上げ面材18を配置し、この床仕上げ面材18と床パネル16とを面ファスナ9を介して接合する。
【0020】
螺旋階段25は、図17に示すように各段を構成する複数の階段コンポーネント26からなる。各階段コンポーネント26は、下方に嵌合軸30bが突出して上下の階段コンポーネント26と印籠結合される丸パイプ状の単位階段柱30と、この単位階段柱30に一端が接合された蹴込み板31と、この蹴込み板31の下縁にヒンジ33を介して後縁を連結することにより、蹴込み板31の下端を中心にして回動自在とした扇形の踏み板32とを有する。単位階段柱30のパイプ部30aは、先述した柱支持台19のソケット部21と同径のパイプからなり、下方の嵌合軸30bは、他の単位階段柱30のパイプ部30aおよび前記ソケット部21に嵌合可能な外径を有する。また、踏み板32の外側端前縁側には、丸パイプからなる係合軸34が上下方向に向けて設けてあり、蹴込み板31の外側端には、上側の階段コンポーネント26の踏み板32の係合軸34を嵌め込むパイプ状のソケット35が上下に向けて設けてある。
【0021】
螺旋階段25の組立は次の手順で行う。先ず最下段の階段コンポーネント26の単位階段柱30の嵌合軸30aを1階床17の柱支持台19のソケット部21に差し込む。踏み板32は、昇降時の旋回方向によって、図17(A)のように右回りに回動させて水平姿勢にするか、鎖線で示すように左回りに回動させて水平姿勢にするかを選択する。次に、その単位階段柱30のパイプ部30aに、上段の階段コンポーネント26の単位階段柱30の嵌合軸30bを差し込んで印籠結合する。上端の階段コンポーネント26の踏み板32の係合軸34は、下段の階段コンポーネント26の蹴込み板31のソケット35に差し込む。これにより、上段の踏み板32が下段の踏み板32の同じ向きの水平姿勢となって固定される。このような組立を2階床24まで行うことにより、螺旋階段25を構築できる。各踏み板32の係合軸34には、手摺支柱36の下部の嵌合軸36aを差し込んで手摺支柱36を立設し、各手摺支柱36の上端間に手摺ロープ37を張り渡す。このような手順によるので、螺旋階段25をドーム状建物1内に簡単に組立でき、撤去も容易に行うことができる。
【0022】
1階床17と2階床24との間には、図1(A),(B)に示すように建物内空間を仕切るパーティション38を設ける。このパーティション38は、図12に示すように空気封入された縦方向の棒状材39を複数本、平行に並べて連結した可撓性を有するものである。このため、軽量であり、搬入・搬出が容易となる。棒状材39の相互の連結は、図15(B)に示すように各棒状材39の外周面に突設した縦方向に延びる面ファスナ9を相互に接合して行う。また、各棒状材39の下端も面ファスナ9を介して1階床17に接合する。すなわち、図15(A)に示すように、各棒状材39の下端に面ファスナ9を設けると共に、これに対応する1階床17の床仕上げ面材18上には、接着剤40により面ファスナ9を貼付け、これら面ファスナ9,9を相互に接合させることにより、棒状材39を1階床17に接合する。
【0023】
棒状材39の幾つかには、その上端に面ファスナ9を有する梁接合片51が設けてあり、この梁接合片51の面ファスナ9で図13(A),(B)のように2階床24の床大梁28や床小梁29の枠部28a,29aの下側パイプに接合させることにより、パーティション38の上端を2階床24に接合する。すなわち、床大梁28や床小梁29の枠部28a,29aの下側パイプには、梁接合片51を有する棒状材39の上端に対応する位置に図14(A)のように接着剤40で別の面ファスナ9を接着し、これらの面ファスナ9を図14(B)のように相互に接合させることでパーティション38の上端を2階床24に接合する。
【0024】
パーティション38を構成する棒状材39のうち、側端に位置する棒状材39には、面ファスナ9を有し上下方向に延びる割り筒状のパーティションエンド材41を面ファスナ9を介して設け、このパーティションエンド材41を図13(A)および図15(C)のように面ファスナ9を介して支柱23に接合させることにより、パーティション38の両側端部を柱23に接合する。これにより、パーティション38側端部の固定を簡単に行えるので、その組立および撤去を一層容易に行うことができる。
【0025】
このように構成したパーティション38は可撓性を有するので一対の柱23,23間に渡って、例えば図16(A)に平面視で示すような任意の曲線となるように簡単に構成できる。この場合、そのパーティション38の曲線が交差する2階床24の床大梁28や床小梁29に棒状材39の上端を接合する。なお、1本の支柱23に対して1つのパーティション38を接合する場合に限らず、図16(B)のように1本の柱23に4つのパーティション38を接合して、その支柱23を中心とした建物内空間を4つに区分したり、図16(C)のように支柱23に3つのパーティション38を接合して建物内空間を3区分してもよい。
【0026】
また、1階床17上には、各種用途のクロゼット42A〜42Cを設置する。クロゼット42Aは衣服収納用であり、その各角部には図18に示すように支柱23と面ファスナ9で接合する柱接合部42aを有する。この柱接合部42aは、柱23の外径に倣う凹面に面ファスナ9を設けたものであり、この面ファスナ9を支柱23に設けた面ファスナ9と相互に接合させることにより、クロゼット42Aを柱23に固定する。クロゼット42Aの底部にはキャスタ43が取付けてあり、これにより1階床17上での移動を円滑に行うことができる。クロゼット42A〜42Cをこのように構成することにより、1階床17上の所望の位置に簡単に設置でき、撤去も容易に行うことができる。図1(A)では鎖線によりクロゼット42Aの配置を変更した例を示している。この場合、同じ支柱23に対して別の柱接合部42aを接合することにより、配置を容易に変更できる。
クロゼット42Bは浴室用であり、内部に水回り設備を有する。クロゼット42Cは書棚用である。これらのクロゼット42B,42Cの場合も、角部に柱接合部42aを有し、底部にキャスタ43を有する。
【0027】
図19は、図1のドーム状建物の組立方法およびその後の増築例を示す。まず、床パネル16の接合された床17を地盤上の構築位置に広げ(同図(A))、これに柱支持用の柱支持台19を必要箇所に設置する。ついで、外壁および天井となる外殻パネル2を順次接合する(同図(B))。この接合が終わると、給気ポンプ6で外殻パネル2および床パネル16への空気封入を行い(同図(C),(D))、これによりドーム状建物の外殻および床が完成する(同図(E))。この後、建物内に2階の床24を設置し(同図(F),(G))、パーティション38やクローゼット42A〜42C等の建具を組付け(同図(H),(I))、建物全体が完成する(同図(J))。このように建物が完成した後、増築する場合は、建物の一部の外殻パネル2を取り外し、外殻パネル2の追加および組み替えや、床パネル16の追加を行う(同図(K))。図20は、その増築後の状態を示す。
【0028】
【発明の効果】
この発明のドーム状建物の建物内付属構造は、三角形状の多数の外殻パネルを並べてこれら外殻パネルの隣合う各辺を相互に接合した外殻を設け、かつ多数の床パネルを並設した1階床を設けたドーム状建物において、3本以上の柱で支えられる2階床を建物内に設け、前記各柱は、床パネルの角部間に突出するソケット部および床パネルの下面に配置される座板部を有する柱支持台に下端を設置したため、ドーム状建物内に2階床を簡単に設置でき、撤去も容易に行うことができる。
請求項2の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記2階床の床梁を、平面視で三角形状に枠組したため、2階床を簡単かつ十分な強度に組立でき、撤去も容易に行うことができる。
請求項3の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記2階床の床梁と1階床との間に可撓性のパーティションを設け、このパーティションは、上端に設けた梁接合片を前記2階床の床梁に面ファスナで接合し、かつ下端を1階床に面ファスナで接合したため、面ファスナによる接合作業でパーティションを簡単に設置でき、また撤去も簡単に行うことができる。
請求項4の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記パーティションを、空気封入された縦方向の棒状材を平行に並べて連結したものとし、側端部に割り筒状のパーティションエンド材を設け、丸パイプ状とした柱に前記パーティションエンド材で面ファスナを介して接合するようにしたため、パーティション側端部の固定を簡単に行え、その組立および撤去を一層容易に行うことができる。また、パーティションは空気封入された棒状材を平行に並べて連結したものであるため軽量であり、搬入・搬出も容易となる。
【0029】
請求項5の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記1階床と2階床との間に階段を設置し、その階段を各段毎に設けられる複数の階段コンポーネントで構成し、各階段コンポーネントを、下方に嵌合軸が突出して上下の階段コンポーネントと印籠結合されるパイプ状の単位階段柱と、この単位階段柱に内側端が接合された蹴込み板と、この蹴込板の下端に後縁が回動自在に連結された扇形の踏み板とで構成し、この踏み板の外側端前縁側には係合軸が上下方向に向けて設けてあり、前記蹴込み板の外側端には、上側の階段コンポーネントの踏み板の前記係合軸を嵌め込むパイプ状のソケットを上下に向けて設けたため、ドーム状建物内に階段を簡単に組立でき、撤去も容易に行うことができる。
請求項6の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記ドーム状建物において、キャスタを有するクロゼットを1階床上に配置し、このクロゼットに前記柱と面ファスナで接合する柱接合部を設けたため、クロゼットを1階床上の所望の位置に簡単に設置でき、撤去も容易に行うことができる。
請求項7の発明のドーム状建物の建物内付属構造は、前記クロゼットの内部に水回り設備を設けたため、風呂場,トイレット,キッチン等もクロゼットとして簡単に設置でき、撤去も簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態に係る建物内付属構造を有するドーム状建物の水平断面図、(B)は同建物の縦断面図、(C)は同建物の上半部外観斜視図である。
【図2】(A)は図1(C)のS部の拡大図、(B)は図2(A)のII−II矢視断面図である。
【図3】(A)は同S部における外殻パネル角部間継手の分解斜視図、(B)は同継手を構成する角部キャップの裏面図、(C)は同角部キャップの斜視図である。
【図4】図1(C)のS1部に使用する同外殻パネル角部間継手の裏面図である。
【図5】(A)は挿通チューブの取付け前の状態を示す分解断面図、(B)は同挿通チューブの取付け状態を示す断面図、(C)は同挿通チューブの斜視図である。
【図6】前記ドーム状建物における床の部分拡大図である。
【図7】(A)は同床における床パネルの角部集中箇所を示す斜視図、(B)は同縦断面図である。
【図8】同床構造を示す縦断面図である。
【図9】前記ドーム状建物に使用する面ファスナの各例を示す側面図である。
【図10】(A)は2階床における柱接合部の水平断面図、(B)は同正面図、(C)は同2階床における床大梁と床小梁との接合構造を示す縦断面図、(D)は同2階床の梁構造を示す平面図である。
【図11】2階床における柱接合部の斜視図である。
【図12】パーティションの概略構造を示す斜視図である。
【図13】(A)は同パーティションの2階床への接合構造を示す正面図、(B)は同縦断面図、(C)は同水平断面図である。
【図14】(A)は棒状材の床梁への接合構造を示す分解図、(B)は同接合構造の分解斜視図である。
【図15】(A)は同棒状材の1階床への接合構造を示す分解図、(B)は同棒状材相互の接合構造を示す水平断面図、(C)はパーティションと柱との接合構造を示す水平断面図である。
【図16】(A)は前記パーティションと2階床の床梁との関係を示す平面図、(B)は柱へ4つパーティションを接合した例を示す平面図、(C)は柱へ3つのパーティションを接合した例を示す平面図である。
【図17】(A)は螺旋階段の組立状態を示す部分斜視図、(B)は同螺旋階段を構成する階段コンポーネントの斜視図、(C)は(A)のD部を拡大して示す縦断面図である。
【図18】(A)は衣服収納用クロゼットの斜視図、(B)は同クロゼットの柱への接合構造を示す分解斜視図である。
【図19】ドーム状建物の組立および増築過程の説明図である。
【図20】(A)はドーム状建物の増築例を示す外観斜視図、(B)はその断面図、(C)はその1階部分および2階部分の平面図である。
【符号の説明】
1…ドーム状建物、2…外殻パネル、16…床パネル、17…1階床、19…柱支持台、20…座板部、21…ソケット部、23…柱、24…2階床、25…螺旋階段、26…階段コンポーネント、28…床大梁、29…床小梁、30…単位階段柱、30b…嵌合軸、31…蹴込み板、32…踏み板、33…ヒンジ、38…パーティション、39…棒状材、41…パーティションエンド材、42A〜42C…クロゼット、42a…柱接合部、43…キャスタ、51…梁接合片
Claims (7)
- 三角形状の多数の外殻パネルを並べてこれら外殻パネルの隣合う各辺を相互に接合した外殻を設け、かつ多数の床パネルを並設した1階床を設けたドーム状建物において、3本以上の柱で支えられる2階床を建物内に設け、前記各柱は、床パネルの角部間に突出するソケット部および床パネルの下面に配置される座板部を有する柱支持台に下端を設置したドーム状建物の建物内付属構造。
- 前記2階床の床梁を、平面視で三角形状に枠組した請求項1記載のドーム状建物の建物内付属構造。
- 前記2階床の床梁と1階床との間に可撓性のパーティションを設け、このパーティションは、上端に設けた梁接合片を前記2階床の床梁に面ファスナで接合し、かつ下端を1階床に面ファスナで接合した請求項2記載のドーム状建物の建物内付属構造。
- 前記パーティションは、空気封入された縦方向の棒状材を平行に並べて連結したものであって、側端部に割り筒状のパーティションエンド材を有し、丸パイプ状とした柱に前記パーティションエンド材で面ファスナを介して接合される請求項3記載のドーム状建物の建物内付属構造。
- 前記1階床と2階床との間に階段を設置し、その階段は各段毎に設けられる複数の階段コンポーネントからなるものとし、各階段コンポーネントは、下方に嵌合軸が突出して上下の階段コンポーネントと印籠結合されるパイプ状の単位階段柱と、この単位階段柱に一端が接合された蹴込み板と、この蹴込板の下縁に後縁が回動自在に連結された扇形の踏み板とを有するものとし、この踏み板の外側端前縁側には係合軸が上下方向に向けて設けてあり、前記蹴込み板の外側端には、上側の階段コンポーネントの踏み板の前記係合軸を嵌め込むパイプ状のソケットを上下に向けて設けた請求項1または請求項2記載のドーム状建物の建物内付属構造。
- キャスタを有するクロゼットを1階床上に配置し、このクロゼットに、前記柱と面ファスナで接合する柱接合部を設けた請求項1または請求項2記載のドーム状建物の建物内付属構造。
- 前記クロゼットは内部に水回り設備を有するものである請求項6記載のドーム状建物の建物内付属構造。
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