JP3759537B2 - 画像信号伝送装置及び画像信号伝送方法 - Google Patents
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Description
【目次】
以下の順序で本発明を説明する。
産業上の利用分野
従来の技術(図12及び図13)
発明が解決しようとする課題(図12及び図13)
課題を解決するための手段(図1〜図3及び図6)
作用(図1〜図3及び図6)
実施例
(1)全体構成(図1及び図2)
(2)詳細構成(図3〜図11)
(3)実施例の動作
(4)実施例の効果
(5)他の実施例
発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は画像信号伝送装置及び画像信号伝送方法に関し、特に原画像データの情報量を間引き処理によつて削減して伝送する画像信号伝送装置及び画像信号伝送方法に適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、例えばテレビ会議システムなどのように画像信号を遠隔地に伝送するいわゆる画像信号伝送システムや、画像信号をデイジタル化してビデオテープレコーダやビデオデイスクレコーダに記録し再生する装置においては、伝送路や記録媒体を効率良く利用するため、デイジタル化した画像信号の相関を利用して有意情報を効率的に符号化することにより伝送情報量や記録情報量を削減し、伝送効率や記録効率を高めるようになされている。
【0004】
具体的には、画像データを高能率圧縮符号化することにより、伝送するデータ量を削減する手法が広く用いられている。この高能率符号化では、一般に、予め原画像データに対して空間内あるいは時空間でのサブサンプリング(間引き)を行うことにより画素数を減らした後、圧縮符号化処理を施すことにより、伝送する情報量を一段と削減している。時空間サブサンプリングの例としては、MUSE(Multiple Sampling Encode)方式がある。
【0005】
一方、受信側では、伝送されてこない画素すなわち間引かれた画素を補間によつて求めることにより解像度を上げる。一般には、固定タツプ、固定係数のフイルタによつて補間を行う。
ところが、このような補間方法では、補間画素値を当該補間画素周辺の複数の周辺画素の画素値の平均により求めるため、画像の種類によつては、画質ぼけ、時空間での変動(すなわちジヤーキネス、エツジビジネス等)が発生し、この結果復元画像に画質劣化が生じる問題がある。
【0006】
かかる課題を解決する一つの方法として、特願平5-201913号に記載されているようなデイジタルデータ変換装置が提案されている。図12(A)に示すように、このデイジタルデータ変換装置における送信器1は入力画像データD1をサブサンプリング回路2及びエンコーダ3を通すことにより圧縮符号化データD2を生成し、これを出力端子4に与える。
【0007】
また送信器1は、圧縮符号化データD2をローカルデコーダ5により復号した後、最小二乗法演算回路6に供給する。最小二乗法演算回路6は、復号データD3及び入力画像データD1を入力し、サブサンプリングにより間引かれた画素(取り除かれた画素)を注目画素とし、入力画像データD1に含まれる当該注目画素の画素値と復号データD3に含まれるその周辺の画素の画素値とで線形一次結合モデルを立て、この線形一次結合モデルの係数を最小二乗法の演算を行うことにより求める。この結果最小二乗法演算回路6からは、サブサンプリング回路2によつて間引かれた画素に対応した係数データD4が出力され、当該係数データD4が出力端子7に与えられる。
【0008】
このように送信器1においては、サブサンプリング後の画像データを圧縮符号化して得た圧縮符号化データD2と共に、間引かれた画素とその周辺の伝送画素との相関関係を表わす係数データD4を伝送するようになされている。
【0009】
デイジタルデータ変換装置の受信器10は、図12(B)に示すように構成されており、圧縮符号化データD2を入力端子11を介してデコーダ12に入力する。デコーダ12によつて復号された復号データD5は時系列変換回路13及び補間演算回路14に供給される。また受信器10は係数データD4を入力端子15を介して補間演算回路14に入力する。
【0010】
補間演算回路14は復号データD5及び係数データD4を用いて、線形一次結合式から補間データD6を求め、これを時系列変換回路13に送出する。時系列変換回路13は、復号データD5と補間データD6を原画像(すなわち入力画像データD1)と同一に配列し、復元画像データD7を得る。
【0011】
かくして、送信器1及び受信器10で構成されたデイジタルデータ変換装置においては、送信器1側において、高能率符号化して得た圧縮符号化データD2のみを伝送するのではなく、間引かれた画素とその周辺の伝送画素との相関関係を表わす係数データD4を共に伝送し、受信器10側において、その係数データD4を用いて実際には伝送されない間引かれた画素を生成するようにしたことにより、間引きにより伝送情報量を削減した場合でも、受信器10側での画質劣化を低減し得るようになされている。
【0012】
また別の方法として、特開平5-328185号公報に開示されているように、受信側に予め学習によつて求めた予測係数又は予測値を格納するメモリを設け、間引き処理が施された伝送画像データに応じて当該メモリから読み出される予測係数に基づき補間画素値を生成し、又は伝送画像データに応じて当該メモリから読み出される予測値を補間画素値とすることにより、間引きに基づく画質劣化を低減するデイジタルデータ変換装置が提案されている。
【0013】
このデイジタルデータ変換装置は、図13に示すように、送信器20において、サブサンプリング回路21、エンコーダ22及び送信処理回路23を通して得た圧縮符号化データD10を出力端子24を介して伝送路25に送出する。
受信器30は入力端子31を介して入力した圧縮符号化データD10を受信処理回路32及びデコーダ33を通すことにより復号データD11を得、これを同時化回路34に送出する。同時化回路34は間引かれた画素を注目画素とし、各注目画素毎に周辺の複数の伝送画素を同時化してクラスタリング回路35に送出する。
【0014】
クラスタリング回路35は入力した伝送画素データを階調やパターンに応じてクラス分類し、このクラス分類結果を各注目画素のクラスを表わすクラス情報D12としてメモリ36に送出する。
メモリ36はクラス情報D12をアドレスとして、予め学習により各クラス毎に求められて格納されている予測係数のうち、入力したクラス情報D12に対応した予測係数D13を出力する。
【0015】
補間データ作成回路37は予測係数D13と同時化された周辺画素値とを使つて線形一次結合による演算を施すことにより、補間画素データD14を作成する。この補間画素データD14と復号データD11が続く合成回路38によつて合成されることにより、復元画像データD15が生成される。
【0016】
かくして、受信器30によれば、伝送画素データに存在しないような高周波成分をも復元することができ、この結果間引き処理に基づく画質劣化を抑制し得、高解像度の復元画像を得ることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特願平5-201913号で提案されている方法では、最小二乗法演算回路6において、補間対象画素(注目画素)と、当該補間対象画素に対して空間的及び時間的に周辺の伝送画素との線形一次結合モデルを立て、当該線形一次結合モデルから最小二乗法により係数データD4を算出している。
【0018】
ところが、これは一種の統計的処理であるため、入力画像データD1に含まれる実際の画素値に対して必然的にある程度の誤差のある係数データD4が算出されてしまう。このため受信器10側では、この係数の誤差分だけ実際の画素値に対して誤差のある補間画素値が作成され、画質が劣化する問題がある。
ここで線形一次結合モデルに用いる周辺画素数を多くする程、係数データD4の誤差は小さくなると考えられるが、このようにすると係数データD4を算出する際の演算量が増大することにより、実際上実現が困難になる問題がある。
【0019】
また特開平5-328185号公報で開示されているように、予め学習により求めた補間画素の予測係数又は予測値をクラス毎にメモリ36に格納する方法では、クラス数を多くすればする程、また学習に用いる周辺画素数を多くする程より真値に近い補間画素値を生成し得ると考えられるが、このようにすると予測係数又は予測値を求める際の演算量が増大すると共に、メモリ36に格納しなければならないデータ量が増大し、この結果構成が大型化する問題がある。またクラス数や学習に用いる画素数を増やしたとしても、補間画素値の真値に対する誤差を完全に除くことはできなかつた。
【0020】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、入力画像データに間引き処理を施して伝送データ量を削減する場合に、送信側で間引かれた画素を受信側で正確に補間することにより復元画像の解像度を向上し得る画像信号伝送装置及び画像信号伝送方法を提案しようとするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データを生成するサンプリング手段と、サンプリング手段により間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第1のクラス分類手段と、第1のクラス分類手段により分類されたクラスごとに、注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数をパラメータとして、メモリ手段に一時記憶させるパラメータ算出手段と、クラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより注目画素の第1の推定画素値を算出する第1の推定画素値算出手段と、第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出する差分値算出手段とを設け、差分値を伝送画素データ及びパラメータと共に伝送するようにした。
【0022】
また本発明においては、入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データと、伝送画素データにおける間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素がクラス分類され、分類されたクラスごとに注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数であるパラメータと、クラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより算出された注目画素の第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値とを受信する画像信号伝送装置であつて、注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第2のクラス分類手段と、第2のクラス分類手段により分類されたクラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより注目画素の第2の推定画素値を算出する第2の推定画素値算出手段と、差分値を当該第2の推定画素値に加算する加算手段とを設けるようにした。
【0023】
さらに本発明においては、入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データを生成する第1のステツプと、第1のステツプにおいて間引いた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第2のステツプと、第2のステツプにおいて分類したクラスごとに、注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数をパラメータとして、メモリ手段に一時記憶させる第3のステツプと、クラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより注目画素の第1の推定画素値を算出する第4のステツプと、第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出する第5のステツプと、差分値を伝送画素データ及びパラメータと共に伝送する第6のステツプとを設けるようにした。
さらに本発明においては、入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データと、伝送画素データにおける間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素がクラス分類され、分類されたクラスごとに注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数であるパラメータと、クラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより算出された注目画素の第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値とを受信する画像信号伝送方法であつて、注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第1のステツプと、第1のステツプにおいて分類したクラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより注目画素の第2の推定画素値を算出する第2のステツプと、差分値を当該第2の推定画素値に加算する第3のステツプとを設けるようにした。
【0024】
【作用】
受信側において伝送画素データとパラメータとにより求められるであろう第1の推定画素値を予め算出する。次に第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出し、この差分値を、伝送画素データ及びパラメータと共に伝送するようにする。この結果、受信側では、差分値によつて誤差分をキヤンセルすることでほぼ真値に等しい補間画素値を得ることができ、復元画像の解像度を向上させることができる。
【0025】
【実施例】
以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0026】
(1)全体構成
図1において、40は全体として本発明を適用した画像符号化装置を示し、符号化データ形成部41と誤差データ形成部42により構成されている。符号化データ形成部41は入力画像データD1から圧縮符号化データD2、及び伝送画素と間引かれた画素との相関関係を表わす係数データD4を生成する。
誤差データ形成部42は、符号化データ形成部41から出力される圧縮符号化データD2及び係数データD4に基づき受信側で生成されるであろう補間画素値の、真値からの誤差を表わす誤差データD20を生成する。
【0027】
実際上、画像符号化装置40は入力画像データD1を符号化データ形成部41のサブサンプリング回路43に入力し、ここで入力画像データD1の所定画素を間引くことにより情報量を削減した後、圧縮エンコーダ44に送出する。圧縮エンコーダ44は間引き後に残つた画素を圧縮符号化することにより圧縮符号化データD2を生成し、これを遅延回路45を介して伝送する。
【0028】
また圧縮エンコーダ44の出力はローカルデコーダ46を介して圧縮符号化前のデータに復号され、当該復号データD21がクラス分類回路47に与えられる。クラス分類回路47は補間対象画素(すなわち間引かれた画素)を注目画素とし、当該注目画素の空間的及び又は時間的に周囲の画素の状態に応じて各注目画素をクラス分類し、当該分類結果をその注目画素のクラス情報(以下これをインデツクスデータと呼ぶ)D22として係数選定回路48に送出する。例えばクラス分類回路47は注目画素の周辺の伝送画素の階調やパターンに応じて各注目画素をクラス分類する。
【0029】
係数選定回路48は遅延回路49を介して入力した入力画像データD1及び復号データD21に基づき、各クラス毎に、入力画像データD1に含まれる注目画素の画素値とその周辺の復号データD2の画素値との相関関係を学習により求め、この学習結果を係数データD4として出力する。
因に遅延回路49はサブサンプリング回路43、圧縮エンコーダ44及びローカルデコーダ46で要する処理時間分だけ入力画像データD1を遅延させるものである。
【0030】
誤差データ形成部42は補間データ推定回路50を有し、当該補間データ推定回路50にローカルデコーダ46から出力される復号データD21を遅延回路51を介して受けると共に、係数選定回路48から出力される係数データD4を受ける。また補間データ推定回路50はクラス分類回路47から出力されるインデツクスデータD22を遅延回路52を介して受ける。因に遅延回路51は復号データD21をクラス分類回路47の処理分遅延させるものであり、遅延回路52はインデツクスデータD22を係数選定回路48の処理分遅延させるものである。
【0031】
補間データ推定回路50は、受信側において圧縮符号化データD2、係数データD4及びインデツクスデータD22を用いて生成されるであろう補間画素値を前もつて生成し、これにより得た推定補間データD23を差分回路53に送出する。
差分回路53は推定補間データD23を入力すると共に、入力画像データD1を遅延回路49及び54を介して入力することにより、推定補間画素値とこれに対応する真の補間画素値との差分演算を行う。この結果差分回路53では、推定補間画素値の真の補間画素値からの誤差を表わす誤差値D24が算出される。この誤差値D24は続く量子化回路55によつて量子化及び符号化されて誤差データD20として伝送される。
【0032】
因に遅延回路54の遅延時間は、遅延回路49の遅延時間との合計遅延時間が推定補間画素値が生成されるまでに要する時間と等しくなるように選定されている。また量子化回路55は例えばADRC(Adaptive Dynamic Range Coding )回路により構成されており、誤差値D24を適応量子化することにより誤差データD20を生成する。
このように画像符号化装置40は、符号化データ形成回路41からの圧縮符号化データD2及び係数データD4と共に、誤差データ形成回路42からの誤差データD20を伝送するようになされている。
【0033】
画像符号化装置40から送出された伝送データは、図2に示すような構成でなる画像復号化装置60により受信されて復号される。画像復号化装置60は、圧縮符号化データD2を圧縮デコーダ61により復号し、これにより得た復号データD30をクラス分類回路62に送出する。
クラス分類回路62は図1について上述したクラス分類回路47と同様の構成でなり、実際には伝送されてこない補間対象画素を注目画素とし、当該注目画素の空間的及び又は時間的に周辺の画素の状態に応じて当該補間対象画素をクラス分類する。これによりクラス分類回路62は各注目画素毎にインデツクスデータD31を発生し、これを補間データ推定回路63に送出する。
【0034】
補間データ推定回路63も上述した補間データ推定回路50と同様の構成でなり、各補間対象画素(注目画素)のインデツクスデータD31、復号データD30及び係数データD4に基づいて推定補間データD32を求める。実際上、補間データ推定回路63はインデツクスデータD31に対応した係数データD4を選択し、選択した係数データD4と補間対象画素の周辺の復号データD30とを用いて線形一次結合式を立てることにより推定補間データD32を求める。
【0035】
このようにして求められた推定補間データD32は加算回路64に送出される。加算回路64にはまた誤差データD20が遅延回路65及び逆量子化回路66を介して入力される。この結果加算回路64では、推定補間データD32に含まれる誤差分がキヤンセルされ、入力画像データD1(図1)含まれていた真の画素値と等しい補間データD33が生成される。
時系列変換回路67では、復号データD30と補間データD33を原画像(すなわち入力画像データD1)と同一に配列することにより、復元画像データD34を生成する。
かくして画像復号化装置60では、真値にほぼ等しい補間画素を得ることができることにより画質劣化の無い復元画像を得ることができる。
【0036】
(2)詳細構成
次に実施例におけるサブサンプリング回路43、圧縮エンコーダ44、圧縮デコーダ61、クラス分類回路47、62、係数選定回路48及び補間データ推定回路50、63の詳細構成を説明する。
【0037】
この実施例の場合、サブサンプリング回路43は、図3に示すように、各時点T0、T1、T2、……でのフレーム画像に対して伝送画素数が1/2 になるような間引き処理を施す。このときサブサンプリング回路43は、連続する時点間で、前の時点でサンプリングした位置と同様の位置の画素を次の時点ではサンプリングしないというように交互に間引く画素位置を選択する所謂1/2 時空間オフセツトサブサンプリングを行うことにより、画像の特徴量をできるだけ残しながら伝送情報量を1/2 に削減する。
因に、図3における○印は間引き後に残つた画素(すなわち伝送画素)を表し、+印は補間対象画素(注目画素)を表わす。また下段のw1 〜w38は、後述する係数選定回路48によつて求められる線形一次結合モデルの係数を表わす。
【0038】
圧縮エンコーダ44は、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding )回路により構成されており、例えば1画素当り8ビツトの情報量でなる画素データを、所定ブロツク内での最大画素値と最小画素値との差分を表わすダイナミツクレンジ情報と、最小画素情報と、各画素値と最小画素値との差分を例えば1ビツト量子化した際の量子化情報とで表わすことにより、伝送情報量を有効に削減する。
【0039】
すなわち図4(A)に示すように、ADRC回路(圧縮エンコーダ44)は入力データをブロツク化回路70によつて微小ブロツクに分割し、当該微小ブロツク毎にブロツク内の画素データを最大値・最小値算出回路71に送出する。最大値・最小値算出回路71は微小ブロツクに含まれる画素値の最大値及び最小値を算出し、これにより得た最小画素値MINを伝送データとして出力する。また最大値及び最小値は減算回路72により減算され、これにより得られたダイナミツクレンジ情報DRが伝送データとして出力される。
【0040】
また各画素値と当該画素値が含まれる微小ブロツクでの最小画素値との差分値が減算回路73によつて算出され、当該減算結果が適応量子化回路74に送出される。適応量子化回路74は、量子化ビツト数がnビツトである場合には、ダイナミツクレンジDRを2nで割り算することにより量子化ステツプ幅を計算し、減算回路73からの減算結果を当該量子化ステツプ幅で割り算し、この結果得た除算結果を整数に丸めることで量子化コードQを発生する。このようにしてADRC回路(圧縮エンコーダ44)からは、微小ブロツク毎のダイナミツクレンジ情報DR、最小値情報MIN及び量子化コードQが圧縮符号化データD2として出力される。
【0041】
この圧縮エンコーダ44に対応する圧縮デコーダ61(図2)は、図4(B)に示すように構成されており、ダイナミツクレンジ情報DR及び量子化コードQを適応逆量子化回路75に入力し、ここで各ブロツク毎にダイナミツクレンジDRを2n で割り算することにより量子化ステツプ幅を計算し、この量子化ステツプ幅に量子化コードQを掛け合わせる。圧縮デコーダ61は、加算回路76によつてこの乗算結果に最小値情報MINを加算し、続くブロツク分解回路77によつてブロツク分解することにより復号データD30を得る。
因に、画像符号化装置40に設けられているローカルデコーダ46(図1)も、圧縮デコーダ61と同様に構成されている。
【0042】
クラス分類回路47及び62は図5に示すように構成されており、復号データD21(又はD30)を時系列変換回路80に入力する。時系列変換回路80は例えば3フレームメモリ構成でなり、時間的に連続する3フレーム分の復号データD21(又はD30)を格納し、各注目画素(すなわち補間対象画素)毎にその周辺の画素値X1〜X14を続く減算回路81A〜81Fに送出する。
【0043】
このとき各減算回路81A〜81Fには、注目画素を中心として、上下方向、左右方向及び斜め方向、さらには時間方向に配列した画素同士で差分が取られるように周辺画素値X1〜X14が入力される。具体的には、図6に示すように、上下方向に配列した画素X1、X2間の差分値が減算回路81Aにより、左右方向の画素X3、X4間の差分値が減算回路81Bにより、斜め方向の画素X5、X6間の差分値が減算回路81Cにより、同じく斜め方向の画素X11、X12間の差分値が減算回路81Eにより、さらには時間方向の画素X13、X14間の差分値が減算回路81Fにより算出される。
因に、図6における○印及び◎印は間引き後に残つた画素(伝送画素)を表し、このうち◎印はクラス分類に用いる画素を表し、×印は間引かれた画素(非伝送画素)を表わす。
【0044】
この結果得られた各方向の差分値はコード化回路82に与えられ、当該コード化回路82によつて差分値に応じてコード化されてインデツクスデータD22(又はD31)として出力される。
実際上コード化回路82は図7に示すように構成されており、絶対値算出回路83により各差分値の絶対値を算出し、これを閾値判定回路84に送出する。閾値判定回路84では、各差分絶対値を所定の閾値と比較し、全ての差分絶対値が閾値未満の場合にはコード割当回路86にこのことを示す指令信号S1を送出する。これに対して閾値判定回路84は、1つ以上閾値以上の差分絶対値があつた場合、全ての差分絶対値を最小値検出回路85に送出する。
【0045】
最小値検出回路85は差分絶対値のうちの最小値を検出し、当該検出結果をコード割当回路86に送出する。コード割当回路86は最小値の検出された方向に応じたコードを出力する。例えば図6の下段に示すように、上下方向の画素間の差分絶対値が最小であつた場合にはコード0を割り当て、左右方向の画素間の差分絶対値が最小であつた場合にはコード1を割り当て、時間方向の画素間の差分絶対値が最小であつた場合にはコード6を割り当てるというように、空間方向及び時間方向での差分絶対値に応じて7種類のコードを出力する。
【0046】
またコード割当回路86は閾値判定回路84から指令信号S1が与えられた場合には、コード7を出力する。ここでコード割当回路86がコード7を出力するということは、補間対象画素(注目画素)の周辺は静止平坦部であることを意味する。
このように実施例のクラス分類回路47及び62では、注目画素の周辺画素の平坦度を検出し、平坦度の最も大きい方向をインデツクスデータD22(又はD31)として出力することにより、注目画素をクラス分類するようになされている。
【0047】
係数選定回路48は、補間対象画素を、当該補間対象画素と当該補間対象画素の周辺の伝送画素との線形一次結合モデルによつて表し、このとき用いた係数を各クラス毎に最小二乗法の演算によつて求める。
この係数選定の原理について説明する。図3に示すように、補間対象画素ym の存在するフレームをT1とすると、このフレームT1から補間対象画素ym を中心としてその周囲の領域を切り出すと共に、一つ前の時点のフレームT0及び一つ後の時点のフレームT2からフレームT1で切り出した領域と空間的に同じ位置の領域を切り出す。また補間対象画素ym の画素値は入力画像データD1から抽出する。
【0048】
ここで先ずフレームT0〜T2から切り出した領域内の伝送画素それぞれに係数wi を掛けることにより、補間対象画素ym を空間的及び時間的に周辺の伝送画素による線形一次結合によつて表わす。この結果補間対象画素ym の行列式Yと周辺の伝送画素xmiの行列式Xは、係数wi の行列式Wを用いて、次式、
【数1】
でなる観測方程式の形で表わすことができる。但し、(1)式における、nは1つの補間対象画素ym を線形一次結合式によつて表わす際の空間的及び時間的に周辺の伝送画素数を表し(実施例の場合、1つの補間対象画素ym を38タツプの線形一次結合モデルによつて表わすため、n=38である)、mは1フレーム内に存在する補間対象画素数を表わす。
【0049】
ここで(1)式に基づき、1フレームに対して1個の係数組を求めようとすると、(1)式から1フレームの補間対象画素数分の連立方程式を作ることになる。基本的には、この連立方程式を解いて係数を求めればよい。実施例では、最小二乗法を用いてこの連立方程式を解く。
すなわち先ず、(1)式を残差行列Eを用いて次式、
【数2】
のように残差方程式の形に表現し直す。
【0050】
ここで(2)式から各係数値wi の最確値を求めるためには、e1 2+e2 2+……+em-1 2+em 2 を最小にする条件、すなわち次式、
【数3】
となるn個の条件を入れてこれを満足するw1 、w2 、……、wn を見つければよい。
ここで(2)式より、次式、
【数4】
を得、(3)式の条件をi=1、2、……、nについて立てればそれぞれ、次式
【数5】
が得られる。ここで(2)式及び(5)式から次式の正規方程式が得られる。
【数6】
【0051】
ここで(6)式で表わされる正規方程式は未知数の数がn個の連立方程式であるから、これにより最確値である各係数wi を求めることができる。正確には(6)式でwi に掛かる(Σxjnxjn)(但し、j=1……m)のマトリクスが正則であれば解くことができる。実際には、Gauss-Jordanの消去法(掃き出し法)を用いて連立方程式を解く。
【0052】
実施例の場合には、クラス分類回路47によつて求めた各クラス毎に上述した最小二乗法を用いて係数値wi を求める。この結果各クラス毎に1フレームにつき1組の係数を伝送すればよいことになり、全ての補間対象画素についての係数値wi を求めて伝送する場合に比して、格段に伝送情報量及び演算量を低減し得る。実際に、係数の情報量はフレーム当りの画素情報量に比べて無視できるくらいのオーダーである。
【0053】
具体的には、係数選定回路48は、図8に示すように構成されている。すなわち係数選定回路48はローカルデコードされた復号データD21(xi )及び入力画像データD1に含まれる補間対象画素データym を時系列変換メモリ90に入力する。時系列変換メモリ90は、図3について上述したように線形一次結合モデルを形成するための画素(x1 〜xn 、ym )を同時化して出力する。
時系列変換メモリ90から出力されたデータは、正規化方程式生成回路91に与えられ、当該正規化方程式生成回路91によつて各クラス毎に(6)式で表わされるような正規化方程式が生成され、続くCPU演算回路92によつて掃き出し法によつて各クラス毎の係数組が求められる。
【0054】
正規化方程式生成回路91は、先ず乗算器アレイ93によつて各画素同士の乗算を行う。乗算器アレイ93は、図9に示すように構成されており、四角で表わす各セル毎に画素同士の乗算を行い、これにより得た各乗算結果を続く加算器メモリ94に与える。
【0055】
加算器メモリ94は、図10に示すように、乗算器アレイ93と同様に配列されたセルでなる加算器アレイ95とメモリ(またはレジスタ)アレイ96A〜96Gとにより構成されている。メモリアレイ96A〜96Gはクラス数分(実施例の場合、静止平坦部を表わすクラス7を除く7個のクラス分)だけ設けられており、インデツクスデータD22をデコードするインデツクスデコーダ97の出力(クラス)に応答して一つのメモリアレイ96A〜96F又は96Gが選択され、選択されたメモリアレイ96A〜96F又は96Gの格納値が加算器アレイ95に帰還される。このとき加算器アレイ95によつて得られる加算結果が、再び対応するメモリアレイ96A〜96F又は96Gに格納される。
【0056】
このようにして乗算器アレイ93、加算器アレイ95及びメモリアレイ96A〜96Gによつて積和演算が行われ、インデツクスによつて決定されるクラス毎にメモリアレイ96A〜96F又は96Gが選択されて、積和演算の結果によつてメモリアレイ96A〜96Gの内容が更新される。
【0057】
なお、各々のアレイの位置は、(6)式で表わされる正規化方程式のwi にかかる(Σxjnxjn)(但し、j=1……m)の位置に対応する。(6)式の正規化方程式を見れば明らかなように右上の項を反転すれば左下と同じものになるため、各アレイは三角形の形状をしている。
【0058】
このようにして、1フレームの間にクラス毎に積和演算が行われて各クラス毎の正規化方程式が生成される。クラス毎の正規化方程式の各項の結果は、それぞれのクラスに対応するメモリアレイ96A〜96Gに記憶されており、次にそれらのクラス毎の正規化方程式の各項が掃き出し法演算を実現するCPU演算回路92によつて計算される。この結果各クラス毎の係数wi の組が求められ、これが係数データD4として送出される。
【0059】
補間データ推定回路50及び63は、図11に示すように、1フレーム毎に各クラスの係数組を記憶する係数メモリ100を有し、この係数メモリ100は各クラス毎の係数組w1 〜wn を格納すると共に、インデツクスデコーダ101の出力(クラス)に応答してクラスに応じた係数組w1 〜wn を出力する。この係数組w1 〜wn がそれぞれレジスタ102A1 、102A2 、……、102An を介して乗算器103A1 、103A2 、……、103An に与えられる。また乗算器103A1 〜103An には、時系列変換回路104により選択された復号データx1 〜xn が与えられる。従つて乗算器103A1 〜103An の出力が加算回路105により加算されることにより、補間対象画素の推定値y(=x1 w1 +x2 w2 +……+xn wn )が得られる。
【0060】
(3)実施例の動作
以上の構成において、画像符号化装置40は入力画像データD1に対して間引き処理を施すことによりデータ量を削減した後、圧縮符号化データD2を生成する。また画像符号化装置40は、間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素の周辺の伝送画素の状態に応じて各注目画素をクラス分類し、次にこのクラス毎の係数組を求め、これを係数データD4として出力する。
【0061】
さらに画像符号化装置40は、誤差データ形成部42において、画像復号化装置60側で圧縮符号化データD2、係数データD4に基づいて得られるであろう推定補間データD23を予め算出すると共に、この推定補間データD23の真値からの誤差値D24を算出し、当該誤差値D24に基づく誤差データD20を出力する。
【0062】
ここで画像符号化装置40の係数選定回路48では、一種の統計的処理により係数データD4を生成するため、この係数データD4に基づいて補間値を生成すると必然的に補間値と真の画素値との間にはある程度の誤差が生じることになる。このためこの誤差のある補間値を用いて復元画像を生成すると、この誤差分だけ画質が劣化することになる。
これを回避するため、画像符号化装置40では、圧縮符号化データD2及び係数データD4に加えて、誤差データD20を伝送する。
【0063】
画像復号化装置60では、圧縮符号化データD2を復号した復号データD30に基づき、画像符号化装置40でしたのと同様のクラス分類処理を施し、これにより得たインデツクスデータD31に応じて選択した係数データD4と復号化データD30とを線形一次結合させることにより、推定補間データD32を求める。
【0064】
次に、画像復号化装置60は、推定補間データD32に、伝送された誤差コードD20を逆量子化したものを加算することにより、推定補間データD32に含まれる誤差分をキヤンセルする。
かくして入力画像データD1に含まれる実際の値にほぼ等しい値の補間データD33を得ることができることにより画質の向上した復元画像を得ることができる。
【0065】
(4)実施例の効果
以上の構成によれば、画像符号化装置40において、クラス分類処理を行い、画像データ(圧縮符号化データD2)と共に各クラス毎の係数データD4を伝送し、画像復号化装置60において伝送された画像データ(圧縮符号化データD2)と係数データD4に基づき補間画素を生成する場合に、画像符号化装置40において予め推定補間画素値(推定補間データD23)と真値(入力画像データD1)との差分値(誤差データD20)を求め、当該差分値(誤差データD20)を、画像データ(圧縮符号化データD2)及び係数データD4と共に伝送するようにしたことにより、画像復号化装置60において画質劣化の少ない復元画像(復元画像データD34)を得ることができる。
またこれによりクラス数を増やしたり、係数選定の際の演算量を増加させることなく復元画像(復元画像データD34)の画質を向上させることができる。
【0066】
(5)他の実施例
なお上述の実施例においては、圧縮エンコーダ44としてADRC回路を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、圧縮エンコーダ44として例えばDCT(Discrete Cosine Transform )変換符号化、DPCM、ベクトル量子化、サブバンド符号化、ウエーブレツト変換等圧縮手法を用いた場合にも、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0067】
また上述の実施例においては、間引き後に残つた伝送画素を圧縮エンコーダ44により圧縮符号化して伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、圧縮符号化せずに間引き後に残つた間引きデータをそのまま伝送する場合にも適用することができる。この場合には、画像符号化装置40側で圧縮エンコーダ44及びローカルデコーダ46を省略すると共に、画像復号化装置60側で圧縮デコーダ61を省略するようにすればよい。
【0068】
また上述の実施例においては、補間対象画素(注目画素)ym の周辺の伝送画素X1〜X14間で差分絶対値を求め、当該差分絶対値が最も小さい方向をその補間対象画素のクラスとするようなクラス分類を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は補間対象画素の周辺の伝送画素の状態に応じて各補間対象画素をクラス分類するようにすればよく、種々のクラス分類処理を適用することができ、またクラス数も種々の個数を用いることができる。
【0069】
さらにクラス分類に用いる伝送画素を一旦ADRC符号化した後、クラス分類処理を行うようにすれば、クラス情報数を削減することができる。またこのようにADRC回路の出力に基づいてクラス分類を行うようにすれば、画面全体の画素レベルが変動したような場合にも、画像の特徴のみに基づいた正確なクラス分類を行うことができる。
【0070】
また上述の実施例においては、クラス分類回路47を設け、補間対象画素をその周辺の伝送画素の状態に応じてクラス分類し、係数選定回路48において各クラス毎の係数組を求めるようにした場合について述べたが、本発明はクラス毎の係数組を求める場合に限らず、例えば画像の局所的な特徴に応じて画像を空間内で細分化し、細分化した領域毎に係数組を求めるようにした場合にも適用でき、この場合クラス分類回路47及び62を省略するようにすれば良い。これにより例えば図12に示すような構成の画像符号化装置1及び画像復号化装置10にも本発明を適用することができる。
【0071】
また上述の実施例においては、注目画素とこの注目画素の空間的及び又は時間的に周辺の伝送画素との相関関係を表すパラメータとして、線形一次結合モデルを最小二乗法により解いて得た係数データD4を伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、パラメータとしては例えば各クラス毎に求めた注目画素の周辺の伝送画素値の平均値を代表値として伝送するようにしても良い。この場合平均演算に重心法を用いるようにすれば、クラス毎に誤差の少ない代表値を容易に求めることができる。またこれに限らず、要は伝送されない注目画素と伝送画素との相関関係を表すような種々のパラメータを用いることができる。
【0072】
さらに上述の実施例においては、サブサンプリング回路43によつて入力画像データD1に対して1/2の間引き処理を行う場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば1/4の間引き処理等他の間引き処理を行つた場合でも上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0073】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データを生成するサンプリング手段と、サンプリング手段により間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第1のクラス分類手段と、第1のクラス分類手段により分類されたクラスごとに、注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数をパラメータとして、メモリ手段に一時記憶させるパラメータ算出手段と、クラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより注目画素の第1の推定画素値を算出する第1の推定画素値算出手段と、第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出する差分値算出手段とを設け、差分値を伝送画素データ及びパラメータと共に伝送するようにしたことにより、送信側で間引かれた画素を受信側で正確に補間でき、この結果復元画像の解像度を一段と向上し得る。
また上述のように本発明によれば、入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データを生成する第1のステツプと、第1のステツプにおいて間引いた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第2のステツプと、第2のステツプにおいて分類したクラスごとに、注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数をパラメータとして、メモリ手段に一時記憶させる第3のステツプと、クラスに応じたパラメータと注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより注目画素の第1の推定画素値を算出する第4のステツプと、第1の推定画素値と入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出する第5のステツプと、差分値を伝送画素データ及びパラメータと共に伝送する第6のステツプとを設けるようにしたことにより、送信側で間引かれた画素を受信側で正確に補間でき、この結果復元画像の解像度を一段と向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像符号化装置の全体構成を示すブロツク図である。
【図2】本発明を適用した画像復号化装置の全体構成を示すブロツク図である。
【図3】サブサンプリング回路による間引き処理の説明、並びに線形一次係合モデルに用いる画素及び係数の説明に供する略線図である。
【図4】圧縮エンコーダに用いたADRC回路、並びに圧縮デコーダ及びローカルデコーダに用いたADRC復号化回路の説明に供するブロツク図である。
【図5】クラス分類回路の構成を示すブロツク図である。
【図6】クラス分類の説明に供する略線図である。
【図7】コード化回路の構成を示すブロツク図である。
【図8】係数選定回路の構成を示すブロツク図である。
【図9】乗算器アレイの構成を示す略線図である。
【図10】加算器メモリの構成を示す略線図である。
【図11】補間データ推定回路の構成を示すブロツク図である。
【図12】従来のデイジタルデータ変換装置の構成を示すブロツク図である。
【図13】従来のデイジタルデータ変換装置の構成を示すブロツク図である。
【符号の説明】
40……画像符号化装置、41……符号化データ形成部、42……誤差データ形成部、43……サブサンプリング回路、44……圧縮エンコーダ、46……ローカルデコーダ、47、62……クラス分類回路、48……係数選定回路、50、63……補間データ推定回路、53……差分回路、60……画像復号化装置、64……加算回路、D1……入力画像データ、D2……圧縮符号化データ、D4……係数データ、D20……誤差データ、D22、D31……インデツクスデータ、D23、D32……推定補間データ、D24……誤差値、D33……補間データ、D34……復元画像データ、W1 〜W38……係数。
Claims (10)
- 入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データを生成するサンプリング手段と、
上記サンプリング手段により間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第1のクラス分類手段と、
上記第1のクラス分類手段により分類されたクラスごとに、上記注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数をパラメータとして、メモリ手段に一時記憶させるパラメータ算出手段と、
上記クラスに応じた上記パラメータと上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより上記注目画素の第1の推定画素値を算出する第1の推定画素値算出手段と、
上記第1の推定画素値と上記入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出する差分値算出手段と
を具え、
上記差分値を上記伝送画素データ及び上記パラメータと共に伝送する
ことを特徴とする画像信号伝送装置。 - 上記第1のクラス分類手段は、
上記注目画素を中心としてそれぞれ配列された上下方向の上記伝送画素、左右方向の上記伝送画素及び斜め方向の上記伝送画素並びに同一の画素位置における時間方向の上記伝送画素の差分を算出することによつて、当該上下方向、左右方向及び斜め方向並びに同一の画素位置における時間方向の上記伝送画素の平坦度を検出し、当該平坦度に基づいて上記注目画素をクラス分類する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号伝送装置。 - 上記差分値算出手段により得た上記差分値を符号化する符号化手段を具え、上記差分値を符号化して伝送する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号伝送装置。 - 入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データと、
上記伝送画素データにおける間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素がクラス分類され、分類されたクラスごとに上記注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数であるパラメータと、
上記クラスに応じた上記パラメータと上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより算出された上記注目画素の第1の推定画素値と上記入力画像データに含まれる真の画素値との差分値と
を受信する画像信号伝送装置であつて、
上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第2のクラス分類手段と、
上記第2のクラス分類手段により分類されたクラスに応じた上記パラメータと上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより上記注目画素の第2の推定画素値を算出する第2の推定画素値算出手段と、
上記差分値を当該第2の推定画素値に加算する加算手段と
を具えることを特徴とする画像信号伝送装置。 - 上記差分値は、圧縮符号化データでなり、
圧縮符号化された差分値を復号する復号手段を具える
ことを特徴とする請求項4に記載の画像信号伝送装置。 - 入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データを生成する第1のステツプと、
上記第1のステツプにおいて間引いた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第2のステツプと、
上記第2のステツプにおいて分類したクラスごとに、上記注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数をパラメータとして、メモリ手段に一時記憶させる第3のステツプと、
上記クラスに応じた上記パラメータと当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより上記注目画素の第1の推定画素値を算出する第4のステツプと、
上記第1の推定画素値と上記入力画像データに含まれる真の画素値との差分値を算出する第5のステツプと、
上記差分値を上記伝送画素データ及び上記パラメータと共に伝送する第6のステツプと
を具えることを特徴とする画像信号伝送方法。 - 上記第2のステツプでは、
上記注目画素を中心としてそれぞれ配列された上下方向の上記伝送画素、左右方向の上記伝送画素及び斜め方向の上記伝送画素並びに同一の画素位置における時間方向の上記伝送画素データの差分を算出することによつて、当該上下方向、左右方向及び斜め方向並びに同一の画素位置における時間方向の上記伝送画素の平坦度を検出し、当該平坦度に基づいて上記注目画素をクラス分類する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像信号伝送方法。 - 上記第6のステツプでは、
上記第5のステツプにより得た上記差分値を符号化して伝送する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像信号伝送方法。 - 入力画像データの所定画素をオフセツトサンプリングによつて間引くことにより画素数の低減した伝送画素データと、
上記伝送画素データにおける間引かれた画素を注目画素とし、当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素がクラス分類され、分類されたクラスごとに上記注目画素と当該注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とから線形一次結合モデルを立て、最小二乗法の演算により当該線形一次結合モデルを解いて得られる係数であるパラメータと、
上記クラスに応じた上記パラメータと上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより算出された上記注目画素の第1の推定画素値と上記入力画像データに含まれる真の画素値との差分値と
を受信する画像信号伝送方法であつて、
上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素の階調又はパターンに基づいて各注目画素をクラス分類する第1のステツプと、
上記第1のステツプにおいて分類したクラスに応じた上記パラメータと上記注目画素を中心として空間的及び又は時間的に配列された複数の上記伝送画素とに基づく線形一次結合式を用いることにより上記注目画素の第2の推定画素値を算出する第2のステツプと、
上記差分値を当該第2の推定画素値に加算する第3のステツプと
を具えることを特徴とする画像信号伝送方法。 - 上記差分値は、圧縮符号化データでなり、
上記第3のステツプでは、圧縮符号化された差分値を復号する
ことを特徴とする請求項13に記載の画像信号伝送方法。
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