JP3759037B2 - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、複数種類の情報記録媒体に対して、記録面に光を照射し、その記録面からの反射光を受光して情報の再生等を行なうのに好適な光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置では、光ディスクなどの情報記録媒体に対して、そのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光の微小スポットを照射することにより情報の記録を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置には、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するために、光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
光ピックアップ装置は、光源と、対物レンズを含み、光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系及び、受光位置に配置された受光素子などを備えている。この受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御などに必要な情報を含む信号が出力される。例えば、微小スポットを記録面の所定位置に正確に照射するために対物レンズをトラックの接線方向に直交する方向(トラッキング方向)に駆動する、いわゆるトラッキング制御では、受光素子の出力信号からトラックの溝に起因して発生する2つの回折パターン(以下「トラックパターン」という)の強度差をトラックエラー信号(トラックサーボ信号)として検出し、対物レンズの位置制御にフィードバックさせている。
【0004】
近年、情報記録媒体として、記録容量がCD(Compact Disc)に比べて飛躍的に大きなDVD(Digital Versatile Disc)が一般化されてきた。CDに対して記録及び再生を行なうには、波長が780nmのレーザ光が用いられ、DVDに対して記録及び再生を行なうには、波長が650nmのレーザ光が用いられるため、従来は、CD用の光ディスク装置とDVD用の光ディスク装置とがそれぞれ独立して、パーソナルコンピュータなどの情報機器の周辺機器として用いられていた。
【0005】
その後、情報機器の小型化、軽量化に伴い、CDとDVDの両方をアクセスできる光ディスク装置の必要性が高まってきた。この場合、光ピックアップ装置には、DVDとCDの両方に対応するために、光源として波長が650nmのレーザ光を出射する半導体レーザ(以下「650nm光源」という)と波長が780nmのレーザ光を出射する半導体レーザ(以下「780nm光源」という)とが必要であり、さらにそれぞれのレーザ光を検出するための光学系が必要である。しかしながら、650nm用の光学系と780nm用の光学系とをそれぞれ個別に配置すると、光ピックアップ装置が大型化し、光ディスク装置の小型化を阻害する要因の1つとなっていた。なお、以下では、複数の異なる波長の光源を備えた光ピックアップ装置を「多波長光ピックアップ装置」ともいう。
【0006】
そこで、多波長光ピックアップ装置の小型化を図るための開発が活発に行われ、その1つとして、記録面で反射された戻り光束を前述した受光素子に導くための光学系を構成するホログラム素子を各波長の光束に対して共通化し、部品点数の削減、コスト低下を図る技術が、特開2000−76688号公報などに開示されている。
【0007】
特開2000−76688号公報では、波長毎に最適化された複数のホログラムがそれぞれ組み合わされた1つのホログラム素子を用いることにより、波長の異なる光束に対しても、戻り光束を受光素子に導くことができる多波長光ピックアップ装置が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開2000−76688号公報に開示されている多波長光ピックアップ装置では、その図1(C)に示される如く、波長毎に最適化された複数のホログラムが互いにトラックの接線方向に直交する方向に対応する方向、いわゆるラジアル方向に隣接するように配列されたホログラム素子が用いられているが、ホログラム素子の受光面における光スポットの大きさ(スポット径)が一定であっても、ホログラムの幅Dが変化すると、光スポット内のその波長に対応するホログラムの面積が変化するため、受光素子の受光量が大きく変化し、場合によっては、受光量が極めて少なくなる。従って、例えば図14に示されるように、受光素子の出力信号に基づいて検出されるトラックエラー信号TEは、ホログラムの幅Dによって大きく変化することとなる。このことは、逆にホログラムの幅Dが一定であっても、ホログラム素子の受光面におけるスポット径が変化すると、同様に受光素子の受光量が変化し、検出されるトラックエラー信号TEが大きく変化することを意味している。一般にスポット径は、トラックの溝の間隔及び深さなどに依存し、常時変化しているため、トラックエラー信号の検出精度が低下し、トラッキング制御が不安定になる場合があるという不具合があった。
【0009】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、複数種類の情報記録媒体に対応可能で、トラックエラーに関する情報を正確に安定して得ることができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、複数種類の情報記録媒体に対応可能で、正確なアクセスを安定して行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、スパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面を有する複数種類の情報記録媒体に対する情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なうために用いられる光ピックアップ装置であって、前記複数の情報記録媒体に個別に対応して設けられ、波長の異なる光束をそれぞれ択一的に出射する複数の光源と;前記各光束を対応する情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズと、前記記録面で反射され前記対物レンズを介した各戻り光束の光路上に配置され、その受光面が前記トラックの接線方向に対応する第1の方向に沿って前記波長毎に対応する複数の回折領域が所定の順序で配置されたホログラム素子とを含む光学系と;前記ホログラム素子からの回折光を所定の受光位置で受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0012】
これによれば、情報記録媒体の種類に対応して択一的に選択された光源から出射された光束は、対物レンズなどを介して情報記録媒体の記録面に集光される。そして、その記録面で反射された戻り光束はホログラム素子に入射される。この戻り光束はホログラム素子を構成する複数の回折領域のうちで、戻り光束の波長に対応する少なくとも1つの回折領域(以下、適宜「対応回折領域」ともいう)で、所定の方向に回折される。ここでは、ホログラム素子では第1の方向に沿って回折領域が配置されているために、トラックの溝の間隔及び深さなどの変化によって戻り光束のビーム径が変化しても、光スポット内の対応回折領域の面積変化は少なく、その結果、光検出器での受光量の変化は極めて少なくなる。すなわち、光検出器の出力信号に含まれるトラックエラーに関する情報は安定することとなる。また、1つのホログラム素子で異なる波長を有する複数の戻り光束に対応することが可能なため、部品コストを低下することができる。さらに、組み付け及び調整などの作業を簡素化することが可能なため、作業コストを低減することができる。従って、大型化及び高コスト化を招くことなく、複数種類の情報記録媒体に対応可能で、トラックエラーに関する情報を精度良く安定して得ることができる。
【0013】
この場合において、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記各回折領域における前記第1の方向の長さは、前記第1の方向に直交する第2の方向の長さ以下であることとすることができる。かかる場合には、ホログラム素子の大きさを光スポットの形状に合わせてギリギリまで小さくすることができる。
【0014】
上記請求項1及び2に記載の光ピックアップ装置において、請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子の受光面の中央部には、その受光面でのビーム径が最小となる戻り光束の波長に対応する回折領域が配置されていることとすることができる。かかる場合には、スポット径が小さい戻り光束が入射されても、光検出器ではトラックエラーに関する情報を求めるのに必要な光量の回折光を得ることができる。すなわち、戻り光束のビーム径の大きさに関係なく、安定した光量の回折光を得ることができる。
【0015】
上記請求項1〜3に記載の各光ピックアップ装置において、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器の前記第1の方向に対応する第3の方向に関する長さは、回折光の次数m(≧1)、前記戻り光束の波長λ、前記ホログラム素子と前記光検出器の受光面との距離L、前記ホログラム素子の屈折率n、前記第3の方向に関する回折領域の長さdを用いて、mλL/(2nd)で示される値の2倍以上であることとすることができる。かかる場合には、0次回折光だけでなく高次の回折光をも含む回折光を受光することができ、その結果受光量が増加するため、信号のS/N比が向上する。すなわち、トラックエラーに関する情報を含む信号を精度良く求めることが可能となる。また、光検出器の形状を、その受光面で受光する回折光の次数に応じて最適な形状に設計することが可能なため、光ピックアップ装置の小型化を促進することができる。
【0016】
この場合において、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器の前記第3の方向に関する長さは、前記第3の方向に直交する第4の方向に関する長さよりも長いこととすることができる。
【0017】
上記請求項1〜5に記載の各光ピックアップ装置において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子は、前記光源から前記情報記録媒体に向かう光の光路と、前記情報記録媒体で反射された戻り光の光路の、共通光路上に配置されていることとすることができる。かかる場合には、光学系を構成する部品点数を削減することが可能となり、光ピックアップ装置の小型化及び低コスト化を促進することができる。
【0018】
この場合において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光源から前記情報記録媒体に向かう光の偏光方向と、前記情報記録媒体で反射された戻り光の偏光方向とがそれぞれ異なり、前記ホログラム素子は、入射される光の偏光方向によって回折効率が異なるホログラム素子であることとすることができる。かかる場合には、例えばホログラム素子の回折効率が、光源から出射される光束の偏光方向に対して低く、戻り光束の偏光方向に対して高くなるように設定されている場合には、光源から出射された光束はホログラム素子を高効率で透過するため、情報記録媒体の記録面に照射される光の光量低下が極めて少なくなる。従って、記録速度の高速化に対応することが容易となる。また戻り光束は、ホログラム素子にて効率良く回折されるため、ホログラム素子での光量のロスが減少し、その結果光検出器での受光量が増加し、光検出器からの出力信号におけるS/N比を向上させることができる。従って、トラックエラーに関する情報を含む信号を精度良く求めることが可能となる。
【0019】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子は、前記各戻り光束を前記光検出器の検出面上のほぼ同一の位置に向けて回折することとすることができる。かかる場合には、光検出器を小さくすることができるため、光ピックアップ装置の小型化及び低コスト化を促進することができる。
【0020】
この場合において、請求項9に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、少なくとも前記第1の方向に対応する方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含むこととすることができる。
【0021】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項10に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子は、前記各戻り光束をその波長に応じて少なくとも2つの異なる方向に回折することとすることができる。かかる場合には、光検出器の位置精度を厳密にする必要がなく、組み付け及び調整などの作業を簡略化することができ、作業コストを低減することが可能となる。
【0022】
この場合において、請求項11に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、前記異なる方向に回折された各回折光をそれぞれ受光する複数の受光素子を備えるとともに、前記受光素子はそれぞれ少なくとも前記第1の方向に対応する方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含むこととすることができる。
【0023】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項12に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子は、前記回折領域それぞれが前記第1の方向の分割線によって2つの受光領域に分割され、前記受光領域毎に前記戻り光束の回折方向がそれぞれ異なることとすることができる。かかる場合には、光検出器の位置精度を厳密にする必要がなく、組み付け及び調整などの作業を簡略化することができ、作業コストを低減することが可能となる。
【0024】
この場合において、請求項13に記載の光ピックアップ装置の如く、前記各回折領域は、対応する波長の戻り光束の光軸位置に対応して分割されることとすることができる。かかる場合には、例えばいわゆる1Can2LD方式の半導体レーザユニットを用いる場合のように、複数の光源を備え、各光源での発光点が異なる場合であっても、光検出器からの出力信号にオフセットが生じるのを防止することができる。従って、複数種類の情報記録媒体に対して、トラックエラーに関する情報を含む信号を精度良く求めることが可能である。
【0025】
上記請求項12及び13に記載の各光ピックアップ装置において、請求項14に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、前記異なる方向に回折された各回折光をそれぞれ受光する複数の受光素子を備えることとすることができる。
【0026】
上記請求項1〜14に記載の各光ピックアップ装置において、請求項15に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、前記複数の光源と同一筐体内に収納され、パッケージ化されていることとすることができる。かかる場合には、光源、ホログラム素子及び光検出器それぞれの間隔を狭くすることができ、光ピックアップ装置の小型化を促進することが可能となる。また、組み付け及び調整作業などを簡略化することができるため、作業コストが低減され、低コスト化を促進することが可能となる。
【0027】
上記請求項1〜14に記載の各光ピックアップ装置において、請求項16に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子と前記光検出器は、一体化されていることとすることができる。かかる場合には、ホログラム素子と光検出器それぞれの間隔を狭くすることができ、光ピックアップ装置の小型化を促進することが可能となる。また、組み付け及び調整作業などを簡略化することができるため、作業コストが低減され、低コスト化を促進することが可能となる。
【0028】
上記請求項1〜14に記載の各光ピックアップ装置において、請求項17に記載の光ピックアップ装置の如く、前記ホログラム素子及び光検出器は、前記複数の光源と同一筐体内に収納され、パッケージ化されていることとすることができる。かかる場合には、光源、ホログラム素子及び光検出器それぞれの間隔を狭くすることができ、光ピックアップ装置の小型化を促進することが可能となる。また、組み付け及び調整作業などを簡略化することができるため、作業コストが低減され、低コスト化を促進することが可能となる。
【0029】
請求項18に記載の発明は、複数種類の光ディスクに対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、請求項1〜17に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置を構成する前記光検出器の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0030】
これによれば、請求項1〜17に記載の光ピックアップ装置によって、複数種類の光記録媒体に対して正確なトラックエラーに関する情報を安定して求めることができるため、処理装置では光ピックアップ装置のトラッキング制御を高精度に行うことが可能となる。従って、結果的に、複数種類の光記録媒体に対応可能で、正確な情報の再生を安定して行うことが可能となる。また、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば、携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、さらに長時間の使用が可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
【0032】
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0033】
図1には、本発明に係る光ピックアップ装置を備える第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0034】
この図1に示される光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、ROM39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0035】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、その記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0036】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号である電流信号を電圧信号に変換し、該電圧信号に基づいてウォブル信号、再生情報を含むRF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28では、ウォブル信号からアドレス情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28では、RF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。
【0037】
前記サーボコントローラ33では、サーボ信号に基づいて光ピックアップ装置23を制御する制御信号を生成する。制御信号はサーボコントローラ33からモータドライバ27に出力される。
【0038】
前記バッファマネージャ37では、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になるとCPU40に通知する。
【0039】
前記モータドライバ27では、CPU40の指示及びサーボコントローラ33からの制御信号に基づいて、光ピックアップ装置23を制御する。またモータドライバ27では、CPU40の指示に基づいて光ディスク15の線速度が一定となるようにスピンドルモータ22を制御する。
【0040】
前記エンコーダ25では、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込みデータを作成する。そしてエンコーダ25では、CPU40からの指示に基づいて再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路24に出力する。
【0041】
前記レーザコントロール回路24では、エンコーダ25からの書き込みデータに基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光の出力を制御する。なお、レーザコントロール回路24では、CPU40の指示に基づいて後述する光ピックアップ装置23の2つの光源の一方を制御対象とする。
【0042】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
【0043】
前記ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。
【0044】
前記CPU40は、ROM39に格納されている上記プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保存する。
【0045】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2〜図4に基づいて説明する。
【0046】
光ピックアップ装置23は、図2に示されるように、第1の半導体レーザユニット51及び第2の半導体レーザユニット61、第1のカップリングレンズ52、第2のカップリングレンズ62、第1のビームスプリッタ54、第2のビームスプリッタ64、対物レンズ60、集光レンズ58、第1のホログラム素子57、光検出器としての第1の受光器59及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ)(いずれも図示省略)などを備えている。
【0047】
前記第1の半導体レーザユニット51は、一例として図3に示されるように、光源としての波長が650nmのレーザ光を出射する半導体レーザチップ(以下、「650nm半導体レーザ」という)51a、650nm半導体レーザ51aを保持するステム51b、650nm半導体レーザ51aからのレーザ光を外部に出射するための開口部(以下、「出射窓」という)を有し650nm半導体レーザ51aを保護するカバー51cなどを含んで構成されている。
【0048】
前記第2の半導体レーザユニット61は、光源としての波長が780nmのレーザ光を出射する半導体レーザチップ(以下、「780nm半導体レーザ」という)、780nm半導体レーザを保持するステム、780nm半導体レーザからのレーザ光を外部に出射するための開口部を有し、780nm半導体レーザを保護するカバーなど(いずれも図示省略)を含んで構成されている。
【0049】
なお、図2では、便宜上、第1の半導体レーザユニット51からのレーザ光の出射方向をX軸方向、第2の半導体レーザユニット61からのレーザ光の出射方向をZ軸方向とする。また、第1の半導体レーザユニット51から出射される光束を「第1の出射光束」、第2の半導体レーザユニット61から出射される光束を「第2の出射光束」ともいう。
【0050】
なお、図4(A)に示されるように、光ディスク15の記録面で反射された光束(反射光束)RBにおいて、トラックTRの接線方向に対応する方向を反射光束のタンジェンシャル方向(第1の方向、第3の方向)、該タンジェンシャル方向に直交する方向をラジアル方向(第2の方向、第4の方向)という。なお、以下では、反射光束のラジアル方向を「R方向」、反射光束のタンジェンシャル方向を「T方向」という。また、第1の出射光束が記録面で反射された反射光束を「第1の反射光束」、第2の出射光束が記録面で反射された反射光束を「第2の反射光束」ともいう。
【0051】
第1のホログラム素子57は、一例として図4(B)に示されるように、波長が650nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する複数の第1回折領域57aと、波長が780nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する複数の第2回折領域57bとが、R方向を境界線として配置されている。また、第1回折領域57aにて回折された第1の反射光束の回折光(以下、適宜「第1回折光」という)及び第2回折領域57bにて回折された第2の反射光束の回折光(以下、適宜「第2回折光」という)は、それぞれ受光器59の受光面の同一位置で受光されるように、回折領域57a、57bそれぞれのホログラムパターンが形成されている。
【0052】
さらに、本実施形態では、一例として図4(B)及び図4(C)に示されるように、第1回折光による光スポットDS1は、第2回折光による光スポットDS2に比べてスポット径が小さいため、第1のホログラム素子57の中央部分には、第1回折領域57aが配置されている。
【0053】
第1の受光器59は、図4(D)に示されるように、T方向の分割線によって2分割されたトラックエラー検出用の2分割受光素子(第1部分受光素子59a、第2部分受光素子59b)を含んで構成されている。
【0054】
次に、前述のようにして構成された光ディスク装置20を用いて光ディスク15をアクセスする際のトラッキング制御について説明する。
【0055】
先ず、光ディスク15がDVDの場合について説明する。
【0056】
光ディスク15が光ディスク装置本体の所定位置に挿入されると、CPU40は、光ディスク15の記録面の反射率に基づいて光ディスク15の種類を判別し、DVDであることを確認すると、レーザコントロール回路24に制御対象の光源として650nm半導体レーザ51aの選択を指示する。
【0057】
650nm半導体レーザ51aから出射された光束は、第1のカップリングレンズ52で略平行光となり、第1のビームスプリッタ54及び第2のビームスプリッタ64を透過し、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0058】
光ディスク15の記録面からの反射光束は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、第2のビームスプリッタ64でその光軸を−Z方向に折り曲げられた後、集光レンズ58を介して第1のホログラム素子57に入射される。そして、この反射光束は第1のホログラム57の第1回折領域57aにて選択的に回折され、その回折光は第1の受光器59にて受光される。第1の受光器59の第1部分受光素子59aと第2部分受光素子59bからは、それぞれの受光量に応じた電流(電流信号)が再生信号処理回路28に出力される。
【0059】
再生信号処理回路28では、第1部分受光素子59a及び第2部分受光素子59bからの電流信号を電圧信号に変換し、次の(1)式に基づいてトラックエラー信号TEを検出する。
【0060】
TE=(Sa-Sb)/(Sa+Sb) ……(1)
【0061】
上記(1)式におけるSaは第1部分受光素子59aの出力信号であり、Sbは第2部分受光素子59bの出力信号である。
【0062】
そして、再生信号処理回路28では、そのトラックエラー信号TEをサーボコントローラ33に出力する。サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのトラックエラー信号TEに基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータを駆動し、トラックずれを補正する。
【0063】
次に、光ディスク15がCDの場合について説明する。
【0064】
光ディスク15が光ディスク装置本体の所定位置に挿入されると、CPU40は、光ディスク15の記録面の反射率に基づいて光ディスク15の種類を判別し、CDであることを確認すると、レーザコントロール回路24に制御対象の光源として780nm半導体レーザ61aの選択を指示する。
【0065】
780nm半導体レーザ61aから出射された光束は、第2のカップリングレンズ62で略平行光となり、第1のビームスプリッタ54でその光軸を+X方向に折り曲げられた後、第2のビームスプリッタ64を透過し、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0066】
光ディスク15の記録面からの反射光束は、上述したDVDの場合と同様にして、第1のホログラム素子57に入射される。そして、この反射光束は第1のホログラム57の第2回折領域57bにて回折され、その回折光は第1の受光器59で受光される。第1の受光器59の第1部分受光素子59aと第2部分受光素子59bからは、それぞれの受光量に応じた電流信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0067】
再生信号処理回路28では、上述したDVDの場合と同様にして、上記(1)式に基づいてトラックエラー信号TEを検出する。そして、そのトラックエラー信号TEに基づいてサーボコントローラ33及びモータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータが駆動され、トラックずれが補正される。
【0068】
次に、前述の光ディスク装置20を用いて、光ディスク15にデータを記録する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0069】
CPU40では、ホストから記録要求を受信すると、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求を受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、光ピックアップ装置23からの出力信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0070】
再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてアドレス情報を取得し、CPU40に通知する。さらに、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいて前述の如くしてトラックエラー信号TEを検出する。そして、そのトラックエラー信号TEに基づいて、前述の如くしてトラッキング制御が行われる。また、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のフォーカシングアクチュエータを駆動し、フォーカスずれを補正する。すなわち、いわゆるフォーカス制御が行われる。
【0071】
CPU40は、ホストからデータを受信すると、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に蓄積する。バッファRAM34に蓄積されたデータ量が所定の値を超えると、バッファマネージャ37はCPU40に通知する。
【0072】
CPU40は、バッファマネージャ37からの通知を受け取ると、エンコーダ25に書き込みデータの作成を指示する。そしてCPU40は、再生信号処理回路28からのアドレス情報に基づいて、所定の書き込み開始地点に光ピックアップ23が位置するように光ピックアップ23のシーク動作を指示する信号をモータドライバ27に出力する。
【0073】
CPU40は、再生信号処理回路28からのアドレス情報に基づいて、光ピックアップ装置23の位置が書き込み開始地点であると判断すると、エンコーダ25に通知する。そして、エンコーダ25では、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して、書き込みデータを光ディスク15に記録する。なお、記録処理が終了するまで、再生信号処理回路28では、上述した如く、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラックエラー信号TEを検出し、サーボコントローラ33及びモータドライバ27を介してフォーカスずれ及びトラックずれを随時補正する。
【0074】
次に、前述した光ディスク装置20を用いて、光ディスク15に記録されているデータを再生する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0075】
CPU40は、ホストから再生要求を受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求を受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、光ピックアップ装置23からの出力信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0076】
再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてアドレス情報を取得し、CPU40に通知する。さらに、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいて、前述の如くしてトラックエラー信号TEを検出する。そして、そのトラックエラー信号TEに基づいて、前述の如くしてトラッキング制御が行われる。また、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいて、フォーカスエラー信号を検出する。そして、そのフォーカスエラー信号に基づいて、前述の如くしてフォーカス制御が行われる。
【0077】
CPU40は、再生信号処理回路28からのアドレス情報に基づいて、所定の読み込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシーク動作を指示する信号をモータドライバ27に出力する。
【0078】
CPU40は、再生信号処理回路28からのアドレス情報に基づいて、読み込み開始地点であるか否かをチェックし、光ピックアップ装置23の位置が読み込み開始地点であると判断すると、再生信号処理回路28に通知する。そして、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23の出力信号からRF信号を検出し、誤り訂正処理等を行った後、バッファRAM34に蓄積する。
【0079】
バッファマネージャ37は、バッファRAM34に蓄積されたデータがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。
【0080】
なお、再生処理が終了するまで、再生信号処理回路28では、上述した如く、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラックエラー信号TEを検出し、サーボコントローラ33及びモータドライバ27を介してフォーカスずれ及びトラックずれを随時補正する。
【0081】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置では、再生信号処理回路28とCPU40とから処理装置が構成されている。
【0082】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、第1のホログラム素子57は、波長が650nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する複数の第1回折領域57aと、波長が780nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する複数の第2回折領域57bとから構成されるとともに、各回折領域は境界線がR方向と平行になるように配置されている。それにより、一例として図5に示されるように、回折領域の幅(T方向の長さ)Dが変化しても、光スポット内における戻り光束の波長に対応する回折領域の面積変化は少なく、その結果、第1の受光器59での受光量の変化は極めて少なくなり、再生信号処理回路28にて検出されるトラックエラー信号TEはほぼ一定となる。すなわち、トラックの溝の間隔及び深さなどの変化によって戻り光束のビーム径が変化しても、第1の受光器59からはトラックエラーに関する情報を含む信号が安定して出力される。
【0083】
また、本第1の実施形態では、第1のホログラム素子57で、波長が650nmの光束及び波長が780nmの光束の両方に対応することができるため、光学部品の点数を削減することができ、光ピックアップ装置の小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0084】
さらに、本第1の実施形態では、第1のホログラム素子57の中央部分は、ビーム径が小さい波長の光束に対応する回折領域が配置されているために、第1のホログラム素子57にビーム径が小さい戻り光束が入射されても、第1の受光器59ではトラックエラーに関する情報を含む信号を求めるのに必要な光量の回折光を得ることができる。すなわち、戻り光束のビーム径の大きさに関係なく、第1のホログラム素子57からは安定した光量の回折光を得ることが可能となる。
【0085】
また、本第1の実施形態では、第1回折光及び第2回折光がそれぞれ第1の受光器59の受光面のほぼ同一位置で受光されるように、回折領域のホログラムパターンが形成されているために、波長の異なる光源に対しても1つの受光素子でトラックエラーに関する情報を含む信号を得ることが可能となる。従って、光学部品の点数を削減することができ、光ピックアップ装置の小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0086】
さらに、本第1の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からの出力信号に基づいて、複数種類の光ディスクに対してトラックエラー信号を精度良く検出することができるので、結果として複数種類の情報記録媒体に対して正確なアクセスを安定して行うことが可能となる。
【0087】
なお、上記実施形態では、上記(1)式の演算処理が再生信号処理回路28にて行われる場合について説明しているが、これに限らず、光ピックアップ装置23に、上記(1)式の演算処理を行なう演算回路などを付加しても良い。これにより、再生信号処理回路28を簡略化することができるとともに、組み付け時の配線作業などが容易となり、作業性の向上及び作業コストの低減を図ることができる。
【0088】
また、上記第1の実施形態では、第1のホログラム素子57によって、第1回折光と第2回折光とが、それぞれ受光器59の受光面のほぼ同一位置で受光される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば図6(A)に示されるように、第1のホログラム素子57の代わりに、第1回折光と第2回折光の回折方向がそれぞれ異なる第2のホログラム素子57‘を用いても良い。この場合には、第1の受光器59の代わりに、第1回折光を受光するための第2の受光器69aと第2回折光を受光するための第3の受光器69bとが配置されることとなる。なお、第2の受光器69a及び第3の受光器69bは、第1の受光器59と同様に、それぞれT方向の分割線によって2分割されたトラックエラー検出用の2分割受光素子を含んで構成されている。この場合には、再生信号処理回路28では、光ディスク15がDVDのときは第2の受光器69aを構成する上記2分割受光素子からの出力信号(S1a、S2aとする)に基づいて、次の(2)式からトラックエラー信号TEaを検出する。
【0089】
TEa=(S1a-S2a)/(S1a+S2a) ……(2)
【0090】
また、再生信号処理回路28では、光ディスク15がCDのときは第3の受光器69bを構成する上記2分割受光素子からの出力信号(S1b、S2bとする)に基づいて、次の(3)式からトラックエラー信号TEbを検出する。
【0091】
TEb=(S1b-S2b)/(S1b+S2b) ……(3)
【0092】
これによって、第2のホログラム素子57‘を構成する回折領域のホログラムパターンなどの設計が容易となる。
【0093】
また、上記第1の実施形態では、第1のホログラム素子57からの0次回折光のみを第1の受光器59で受光しているが、本発明がこれに限定されるものではなく、更に±m(m≧1)次回折光を含む回折光を受光しても良い。
【0094】
第1のホログラム素子57では、複数の回折領域がR方向を境界線として配置されているために、0次回折光のT方向に±m次回折光が生じる。この場合、第1の受光器59の受光面における0次回折光による光スポットと±m次回折光による光スポットとの距離Pmは、次の(4)式で示される。
【0095】
【数1】
【0096】
上記(4)式におけるλは光の波長、Lは第1のホログラム素子57と第1の受光器59の受光面との距離、nは第1のホログラム素子57の屈折率、dは回折領域の幅(T方向の長さ)である。
【0097】
そこで、例えば図6(B)に示されるように、±1次回折光を含む回折光を受光する場合には、第1の受光器59の受光面のT方向の長さを2P1よりも若干長くすることにより、±1次回折光による光スポットも受光でき、その結果受光量が増加するため、第1の受光器59からの出力信号におけるS/N比が向上する。すなわち、トラックエラーに関する情報を含む信号を精度良く求めることが可能となる。また、第1の受光器59の形状を、例えばR方向の長さをT方向の長さよりも小さくすることにより、その受光面で受光する回折光の次数に応じて最適な形状に設計することが可能なため、光ピックアップ装置の小型化を促進することができる。
【0098】
なお、上記第1の実施形態では、第2のビームスプリッタ64で偏向した反射光束を第1のホログラム素子57に入射しているが、一例として図7に示されるように、第1のビームスプリッタ54と対物レンズ60との間に第1のホログラム素子57を配置し、対物レンズ60からの反射光束を直接、第1のホログラム素子57に入射しても良い。これにより、第2のビームスプリッタ64及び集光レンズ58が不要となり、光ピックアップ装置の小型化及び低コスト化を促進することができる。
【0099】
また、上記第1の実施形態では、第1のホログラム素子57と第1の受光器59とが個別に配置されている場合について説明したが、これに限らず、第1のホログラム素子57と第1の受光器59とを一体化しても良い。これにより、第1のホログラム素子57と第1の受光器59との間隔が狭くなり、光ピックアップ装置23の小型化を促進することが可能となる。また、予め第1のホログラム素子57と第1の受光器59との位置関係が最適化されているために、組み付け及び調整作業を簡略化することができる。従って、作業コストが低下し、低コスト化を促進することができる。
【0100】
また、上記第1の実施形態では、第1のホログラム素子57が複数の第1回折領域57a及び第2回折領域57bとから構成されている場合について説明したが、これに限らず、一例として図8(A)〜図8(C)に示されるように、1つの第1回折領域57aと1つの第2回折領域57bとから構成されるホログラム素子57’でも良い。
【0101】
この場合に、例えば、ホログラム素子57’の受光面における反射光束の光スポットのアスペクト比(R方向のスポット径/T方向のスポット径)が0.5以上、すなわち、(2×R方向のスポット径)≧(T方向のスポット径)であれば、各回折領域のアスペクト比(R方向の長さLr/T方向の長さLt)が1以上、すなわち、(R方向の長さLr)≧(T方向の長さLt)とすることにより、ホログラム素子57’の大きさをビーム形状ギリギリまで小さくすることが可能となる。なお、(R方向の長さLr)=(T方向の長さLt)の場合が図8(C)に示されている。
【0102】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図9及び図10に基づいて説明する。
【0103】
この第2の実施形態は、前述した第1のホログラム素子57の代わりに、図9(A)に示されるように、その受光面をT方向の分割線(トラック分割線)TDによって分割し、分割線TDの+R側の領域と−R側の領域とで回折方向が異なるように設計された第3のホログラム素子67を用いる点に特徴を有する。その他、光ピックアップ装置、光ディスク装置の構成などは、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0104】
第3のホログラム素子67は、図9(A)に示されるように、波長が650nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する第3回折領域67a及び第4回折領域67bと、波長が780nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する第5回折領域67c及び第6回折領域67dとから構成されている。ここでは、トラック分割線TDの+R側に複数個の第3回折領域67a及び第5回折領域67cがR方向を境界線として配置されている。そして、トラック分割線TDの−R側に複数個の第4回折領域67b及び第6回折領域67dがR方向を境界線として配置されている。また、第3回折領域67aと第4回折領域67bとはトラック分割線TDを介して隣接し、第5回折領域67cと第6回折領域67dとはトラック分割線TDを介して隣接している。なお、以下では、第3回折領域67aと第5回折領域67cとを合わせて第1領域HA、第4回折領域67bと第6回折領域7dとを合わせて第2領域HBという。
【0105】
第3回折領域67aと第4回折領域67bは、波長が650nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する点では共通しているが、回折方向がそれぞれ異なるように設定されている。同様に、第5回折領域67cと第6回折領域67dは、波長が780nmの光束に対して選択的に高い回折効率を有する点では共通しているが、回折方向がそれぞれ異なるように設定されている。従って、本第2の実施形態では、前述した第1の実施形態における第1の受光器59の代わりに、図9(B)に示されるように、第1領域HAからの回折光を受光する第4の受光器70aと第2領域HBからの回折光を受光する第5の受光器70bとが用いられる。この場合には、第4の受光器70a及び第5の受光器70bを構成する各受光素子は、2分割受光素子でなくとも良い。
【0106】
次に、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23を備えた光ディスク装置20を用いて光ディスク15をアクセスする際のトラッキング制御について簡単に説明する。
【0107】
先ず、光ディスク15がDVDの場合について説明する。
【0108】
光ディスク15が光ディスク装置本体の所定位置に挿入されると、CPU40は、光ディスク15の記録面の反射率に基づいて光ディスク15の種類を判別し、DVDであることを確認すると、レーザコントロール回路24に制御対象の光源として650nm半導体レーザ51aの選択を指示する。
【0109】
650nm半導体レーザ51aから出射された光束は、第1のカップリングレンズ52で略平行光となり、第1のビームスプリッタ54及び第2のビームスプリッタ64を透過し、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0110】
光ディスク15の記録面からの反射光束は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、第2のビームスプリッタ64で偏向され、集光レンズ58を介して第3のホログラム素子67に入射される。そして、この反射光束のうち第3のホログラム素子67の第1領域HAに入射された部分は、第3回折領域67aにて回折され、その回折光は第4の受光器70aにて受光される。また、反射光束のうち第3のホログラム素子67の第2領域HBに入射された部分は、第4回折領域67bにて回折され、その回折光は第5の受光器70bにて受光される。第4の受光器70a及び第5の受光器70bからは、それぞれの受光量に応じた電流信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0111】
再生信号処理回路28では、第4の受光器70a及び第5の受光器70bからの電流信号を電圧信号に変換し、次の(5)式に基づいてトラックエラー信号TEを検出する。
【0112】
TE=(S70a-S70b)/(S70a+S70b) ……(5)
【0113】
上記(5)式におけるS70aは第4の受光器70aの出力信号であり、S70bは第5の受光器70bの出力信号である。
【0114】
そして、再生信号処理回路28では、そのトラックエラー信号TEをサーボコントローラ33に出力する。サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのトラックエラー信号TEに基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータを駆動し、トラックずれを補正する。
【0115】
次に、光ディスク15がCDの場合について説明する。
【0116】
光ディスク15が光ディスク装置本体の所定位置に挿入されると、CPU40は、光ディスク15の記録面の反射率に基づいて光ディスク15の種類を判別し、CDであることを確認すると、レーザコントロール回路24に制御対象の光源として780nm半導体レーザ61aの選択を指示する。
【0117】
780nm半導体レーザ61aから出射された光束は、第2のカップリングレンズ62で略平行光となり、第1のビームスプリッタ54でその光軸を+X方向に折り曲げられた後、第2のビームスプリッタ64を透過し、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0118】
光ディスク15からの反射光束は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、第2のビームスプリッタ64で偏向され、集光レンズ58を介して第3のホログラム素子67に入射される。そして、この反射光束のうち第3のホログラム素子67の第1領域HAに入射された部分は、第5回折領域67cにて回折され、その回折光は第4の受光器70aにて受光される。また、反射光束のうち第3のホログラム素子67の第2領域HBに入射された部分は、第6回折領域67dにて回折され、その回折光は第5の受光器70bにて受光される。第4の受光器70a及び第5の受光器70bからは、それぞれの受光量に応じた電流信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0119】
再生信号処理回路28では、上述したDVDの場合と同様にして、上記(5)式に基づいて、トラックエラー信号TEを検出する。そして、そのトラックエラー信号TEに基づいて、サーボコントローラ33及びモータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータが駆動され、トラックずれが補正される。
【0120】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20を用いて、前述した第1の実施形態と同様にして、光ディスク15に対する記録処理及び再生処理を行うことができる。
【0121】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、第3のホログラム素子67では、その受光面をT方向のトラック分割線TDによって分割され、トラック分割線TDの+R側と−R側とで回折方向が異なるように設定されているため、第4の受光器70a及び第5の受光器70bの位置精度はそれほど厳密なものである必要はなく、組み付け及び調整作業を簡略化することができ、作業コストを低減することが可能となる。
【0122】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からの出力信号に基づいて、複数種類の情報記録媒体に対してトラックエラー信号を精度良く検出することができるので、前述した第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0123】
なお、上記第2の実施形態では、第1の反射光束に対するトラック分割線と第2の反射光束に対するトラック分割線とが等しい場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、第1の反射光束の光軸と第2の反射光束の光軸とが一致していない場合には、一例として図10(A)に示されるように、第1の反射光束に対するトラック分割線(TD1とする)と第2の反射光束に対するトラック分割線(TD2とする)とが異なっている第4のホログラム素子67‘を用いても良い。この場合には、第1の反射光束に対しては、第4のホログラム素子67‘における、トラック分割線TD1の+R側の領域が第1領域(HA1とする)、−R側の領域が第2領域(HB1とする)となる。第2の反射光束に対しては、第4のホログラム素子67‘における、トラック分割線TD2の+R側の領域が第1領域(HA2とする)、−R側の領域が第2領域(HB2とする)となる。
【0124】
すなわち、光ディスク15がDVDの場合は、一例として図10(B)に示されるように、TD1がトラック分割線となり、第1領域HA1からの回折光は第4の受光器70aで受光され、第2領域HB1からの回折光は第5の受光器70bで受光される。
【0125】
一方、光ディスク15がCDの場合は、一例として図10(C)に示されるように、TD2がトラック分割線となり、第1領域HA2からの回折光は第4の受光器70aで受光され、第2領域HB2からの回折光は第5の受光器70bで受光される。
【0126】
すなわち、例えばいわゆる1Can2LD方式の半導体レーザユニットを用いる場合のように、複数の光源を備え、各光源での発光点が異なる場合であっても、受光器からの出力信号にオフセットが生じるのを防止することができる。従って、複数種類の情報記録媒体に対して、トラックエラーに関する情報を含む信号を精度良く求めることが可能である。
【0127】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を図11に基づいて説明する。
【0128】
この第3の実施形態は、一例として図11(A)に示されるように、650nm半導体レーザ51aと780nm半導体レーザ61aとを、1つの半導体レーザユニット65内に配置している点に特徴を有する。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0129】
半導体レーザユニット65は、図11(A)に示されるように、光源としての650nm半導体レーザ51aと780nm半導体レーザ61a、それら光源を保持するステム65b、光源からのレーザ光を外部に出射するための出射窓を有し、光源を保護するカバー65cなどを含んで構成されている。
【0130】
それに伴い、第1のカップリングレンズ52の代わりに、650nm及び780nmの2波長に対して色消しされた第3のカップリングレンズ52’が用いられる。
【0131】
また、図11(B)に示されるように、第1のホログラム素子57は、半導体レーザユニット65と第3のカップリングレンズ52’との間に配置され、第1の受光器59は、第1のホログラム素子57からの回折光の受光位置に配置されている。
【0132】
次に、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23を備えた光ディスク装置20を用いて光ディスク15をアクセスする際のトラッキング制御について簡単に説明する。ここでは、光ディスク15がDVDの場合についてのみ説明する。
【0133】
光ディスク15が光ディスク装置本体の所定位置に挿入されると、CPU40は、光ディスク15の記録面の反射率に基づいて光ディスク15の種類を判別し、DVDであることを確認すると、レーザコントロール回路24に制御対象の光源として650nm半導体レーザ51aの選択を指示する。
【0134】
650nm半導体レーザ51aから出射された光束は、第1のホログラム57を透過し、第1のカップリングレンズ52で略平行光となり、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0135】
光ディスク15の記録面からの反射光束は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、第3のカップリングレンズ52’を介して第1のホログラム素子57に入射される。そして、この反射光束は第1のホログラム素子57の第1回折領域57aにて回折され、その回折光は第1の受光器59で受光される。第1の受光器59の第1部分受光素子59aと第2部分受光素子59bからは、それぞれの受光量に応じた電流信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0136】
再生信号処理回路28では、前述した第1の実施形態と同様にして、トラックエラー信号TEを検出する。そして、そのトラックエラー信号TEに基づいてサーボコントローラ33及びモータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータが駆動され、トラックずれが補正される。
【0137】
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置20を用いて、前述した第1の実施形態と同様にして、光ディスク15に対する記録処理及び再生処理を行うことができる。
【0138】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、前述した第1の実施形態と比べて、半導体レーザユニットが2個から1個に削減されるとともに、第1のビームスプリッタ54、第2のカップリングレンズ62、第2のビームスプリッタ64及び集光レンズ58が不要となる。従って、光ピックアップ装置の小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。さらに、組み付け及び調整作業などが簡略化できるため、作業コストを低減させることが可能となる。
【0139】
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からの出力信号に基づいて、複数種類の情報記録媒体に対してトラックエラー信号を精度良く検出することができるので、前述した第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0140】
なお、上記第3の実施形態では、第1のホログラム素子57は、半導体レーザユニット65と第3のカップリングレンズ52’との間に配置されているが、これに限らず、例えば、第3のカップリングレンズ52’と対物レンズ60との間に配置されても良い。
【0141】
また、上記第3の実施形態では、光源と第1のホログラム素子57と第1の受光器59とは、それぞれ個別に配置されているが、一例として図12(A)に示されるように、光源と第1のホログラム素子57と第1の受光器59とを一体化した、半導体レーザユニット66を用いても良い。この半導体レーザユニット66では、ステム66bを介して650nm半導体レーザ51a、780nm半導体レーザ61a及び第1の受光器59が所定の位置関係で配置され、カバー66cの開口部に接して第1のホログラム素子57が配置されている。
【0142】
この場合に、650nm半導体レーザ51a及び780nm半導体レーザ61aから出射された光束は、一例として図12(B)に示されるように、第1のホログラム素子57、第3のカップリングレンズ52’及び対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に集光され、光ディスク15の記録面からの反射光束は往路と同一の光路を通って第1のホログラム素子57に入射される。そして、その反射光束は前述した第1の実施形態と同様にして第1のホログラム素子57で回折され、第1の受光器59で受光される。第1の受光器59からは、その受光量に応じた電流信号が再生信号処理回路28に出力される。
【0143】
これによって、光源、第1のホログラム57及び第1の受光器59それぞれの間隔を狭くすることができ、光ピックアップ装置の小型化を促進することが可能となる。また、組み付け及び調整作業などを簡略化することができるため、作業コストが低減され、低コスト化を促進することが可能となる。
【0144】
なお、上記各実施形態では、光源が2波長の場合について説明しているが、本発明がこれに限定されるものではなく、3波長以上の光源を備える場合であっても良い。その場合には、勿論、波長毎に対応する回折領域が配置されたホログラム素子が用いられることとなる。
【0145】
また、上記各実施形態では、ホログラム素子として、例えば有機系の延伸膜からなる薄い位相差膜にエッチング等で格子が形成され、偏光方向によって回折効率が異なるように設定された偏光ホログラムを用いても良い。例えば図13に示されるように、上述した第3の実施形態において、ホログラム素子57の代わりに偏光ホログラム素子71を用い、そして、第3のカップリングレンズ52’と対物レンズ60との間の光路上に、光束の偏光方向を変換するためのλ/4板55を配置しても良い。ここで、一例として、偏光ホログラム素子71はS偏光の光束に対しては低い回折効率を有し、P偏光の光束に対しては高い回折効率を有し、光源からS偏光の光束が出射される場合について簡単に説明する。
【0146】
半導体レーザユニット65から出射されたS偏光の光束は、偏光ホログラム素子71がS偏光の光束に対して低い回折効率を有するため、その殆どは偏光ホログラム素子71を透過し、第3のカップリングレンズ52’にて略平行光とされ、さらにλ/4板55にて円偏光とされた後、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0147】
光ディスク15の記録面にて反射した反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ60で再び略平行光とされ、λ/4板55にて円偏光からP偏光に変換された後、第3のカップリングレンズ52’を介して偏光ホログラム素子71に照射される。偏光ホログラム素子71はP偏光の光束に対しては高い回折効率を有するため、反射光は偏光ホログラム素子71にて選択的に回折される。そして、その回折光は第1の受光器59で受光される。
【0148】
このように、光源から出射される光束の偏光方向に対して低い回折効率を有する偏光ホログラム素子を用いることにより、光源から出射された光束は偏光ホログラム素子を高効率で透過するため、光ディスク15の記録面に照射される光の光量低下が極めて少なくなる。従って、記録速度の高速化に対応することが容易となる。
【0149】
また、戻り光束の偏光方向に対して高い回折効率を有する偏光ホログラム素子を用いることにより、戻り光束の回折時における光量のロスが減少するため、第1の受光器59での受光量が増加し、結果として信号のS/N比を向上させることができる。従って、トラックエラーに関する情報を含む信号を精度良く求めることが可能となる。
【0150】
一般に偏光ホログラム素子は複屈折性を有する材料を格子形状に加工することにより、あるいは波長よりピッチの小さい格子を加工することにより製造することができる。複屈折性を有する材料としてはLiNbO3結晶や液晶があるが、薄い膜で複屈折性を有する透明な有機材料の延伸膜、例えばポリイミドやPETは、Δn=0.06〜0.1程度の複屈折性を有し、屈折率が1.6程度であるため、格子加工後のオーバーコート材料も安価なものを用いることができ、低コスト化が容易である。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、複数種類の情報記録媒体に対応可能で、トラックエラーに関する情報を精度良く安定して求めることができるという効果がある。
【0152】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、複数種類の情報記録媒体に対応可能で、正確なアクセスを安定して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の光ピックアップ装置における光学系の概略構成を示す図である。
【図3】図2における半導体レーザユニットを説明するための図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、それぞれ第1のホログラム素子の構成を説明するための図であり、図4(D)は第1の受光器の構成を説明するための図である。
【図5】第1の受光器からの出力信号に基づいて検出されるトラックエラー信号TEと回折領域の幅Dとの関係を説明するための図である。
【図6】図6(A)は第1のホログラム素子での回折方向が波長によって異なる場合を説明するための図であり、図6(B)は±1次光を含む回折光を受光する場合の受光器の大きさを説明するための図である。
【図7】第1のホログラム素子をビームスプリッタと対物レンズとの間に配置した場合の一例を説明するための図である。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、それぞれ回折領域の形状と光スポットの形状との関係を説明するための図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、それぞれ第2の実施形態におけるホログラム素子を説明するための図である。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、それぞれホログラム素子が2つのトラック分割線を有する場合の一例を説明するための図である。
【図11】図11(A)及び図11(B)は、それぞれ650nm半導体レーザと780nm半導体レーザとが1つの半導体レーザユニットに一体化されている一例を説明するための図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、それぞれ2つの半導体レーザと受光器とホログラム素子とが一体化されている一例を説明するための図である。
【図13】ホログラム素子として偏光ホログラムを用いた一例を説明するための図である。
【図14】従来例におけるトラックエラー信号TEとホログラムの幅Dとの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、40…CPU(処理装置)、57…第1のホログラム素子(ホログラム素子)、59…第1の受光素子(光検出器)、60…対物レンズ。
Claims (18)
- スパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面を有する複数種類の情報記録媒体に対する情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なうために用いられる光ピックアップ装置であって、
前記複数の情報記録媒体に個別に対応して設けられ、波長の異なる光束をそれぞれ択一的に出射する複数の光源と;
前記各光束を対応する情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズと、前記記録面で反射され前記対物レンズを介した各戻り光束の光路上に配置され、その受光面が前記トラックの接線方向に対応する第1の方向に沿って前記波長毎に対応する複数の回折領域が所定の順序で配置されたホログラム素子とを含む光学系と;
前記ホログラム素子からの回折光を所定の受光位置で受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置。 - 前記各回折領域における前記第1の方向の長さは、前記第1の方向に直交する第2の方向の長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子の受光面の中央部には、その受光面でのビーム径が最小となる戻り光束の波長に対応する回折領域が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器の前記第1の方向に対応する第3の方向に関する長さは、回折光の次数m(≧1)、前記戻り光束の波長λ、前記ホログラム素子と前記光検出器の受光面との距離L、前記ホログラム素子の屈折率n、前記第3の方向に関する回折領域の長さdを用いて、mλL/(2nd)で示される値の2倍以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器の前記第3の方向に関する長さは、前記第3の方向に直交する第4の方向に関する長さよりも長いことを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子は、前記光源から前記情報記録媒体に向かう光の光路と、前記情報記録媒体で反射された戻り光の光路の、共通光路上に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光源から前記情報記録媒体に向かう光の偏光方向と、前記情報記録媒体で反射された戻り光の偏光方向とがそれぞれ異なり、前記ホログラム素子は、入射される光の偏光方向によって回折効率が異なるホログラム素子であることを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子は、前記各戻り光束を前記光検出器の検出面上のほぼ同一の位置に向けて回折することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器は、少なくとも前記第1の方向に対応する方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含むことを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子は、前記各戻り光束をその波長に応じて少なくとも2つの異なる方向に回折することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器は、前記異なる方向に回折された各回折光をそれぞれ受光する複数の受光素子を備えるとともに、前記受光素子はそれぞれ少なくとも前記第1の方向に対応する方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含むことを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子は、前記回折領域それぞれが前記第1の方向の分割線によって2つの受光領域に分割され、前記受光領域毎に前記戻り光束の回折方向がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記各回折領域は、対応する波長の戻り光束の光軸位置に対応して分割されることを特徴とする請求項12に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器は、前記異なる方向に回折された各回折光をそれぞれ受光する複数の受光素子を備えることを特徴とする請求項12又は13に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器は、前記複数の光源と同一筐体内に収納され、パッケージ化されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子と前記光検出器は、一体化されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記ホログラム素子及び光検出器は、前記複数の光源と同一筐体内に収納され、パッケージ化されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 複数種類の光ディスクに対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、
請求項1〜17に記載の光ピックアップ装置と;
前記光ピックアップ装置を構成する前記光検出器の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置。
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