JP3758063B2 - メルトブロー用紡糸口金及び不織布の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメルトブロー用紡糸口金及びメルトブロー不織布の製造方法に関し、特にショットの存在がない、均一性に優れた高品位な極細繊維不織布を安定して製造するための紡糸口金及びそれを用いた不織布の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂を溶融して吐出し、高温高速の流体によって牽引細化しシート化するメルトブロー法による極細繊維不織布を製造する方法としては特開昭49−10258公報、特開昭50−121570公報等が知られている。また、ショツトの発生を抑制したメルトブロー不織布の製造方法としては、特開昭48−48921号公報、特開平2−289162号公報等が知られている。
しかしながら、特開昭48−48921号公報においては、ショットの発生を抑制できるものの十分ではなく、フィルター用途等では濾過性能が不十分であり、また品位にも問題があった。
また、特開平2−289162号公報ではオリフィスの左右で非対称の状態を作り、ショットの発生を抑える方法が示されているが、非対称状態の制御が限定された範囲内でしかその効果は発揮されず、従って、異なる品質の製品を多種にわたって製造する場合、切替え毎に非対称状態を極度に精密に設定する必要があり、実用的でないという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の方法では解決不十分であった、ショットの存在がない、均一性に優れた高品位のメルトブロー不織布を安定して製造しうる紡糸口金及びそれを用いた不織布の製造方法を提出するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明はダイノーズ(1)と一対のリップ(2)からなるノズル(3)が一列に複数個配置された紡糸口金において、前記ダイノーズ(1)の断面形状がオリフィス(6)を介して二等辺三角形であり、牽引流体流路となるダイノーズ(1)の長辺とリップ(2)との間隔であるスリット幅(L)が0.3〜2.0mmであり、ダイノーズ(1)のオリフィス開口部先端(4)からリップ先端面(5)までの距離であるセットバック(S)が0〜2.0mmであり、且つ前記スリット幅(L)とセットバック(S)の比(S/L)が0.7〜1.3であることを特徴とするメルトブロー用紡糸口金及び上記記載の紡糸口金を用いて、オリフィスから熱可塑性樹脂を溶融吐出し、牽引流体流路から高温高速の流体を噴出することにより、前記熱可塑性樹脂を牽引細化し、次いでシート化することを特徴とするメルトブロー不織布の製造方法である。
【0005】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるダイノーズ(3)は断面が中心を通過するオリフィス(6)を介して二等辺三角形であることが肝要である。左右の辺が異なる不等辺三角形であると、左右の牽引流体の噴出角度が異なり、その結果、オリフィスから吐出された熱可塑性樹脂が牽引細化される際に、リップ先端部に衝突し、その結果ショットとなってシート中に混入し、シート品位を著しく低下させるという問題点が発生する。しかもリップ先端に付着した溶融樹脂が長期間滞留することにより熱劣化し、ノズル孔を閉塞する原因となり、生産性が低下する。
【0006】
ダイノーズ(1)のオリフィス径は0.1〜1.0mmであることが好ましい。
またオリフィスのピッチ間隔は0.5〜2.0mmが好ましく、紡糸口金はその間隔でノズル(S)が一列に複数個配置された構造になっている。さらに、ダイノーズ(1)の頂角は45°〜100°であることが好ましい。また、本発明で使用される高温高速の流体とは、空気、蒸気、不活性ガス等の気体が主に使用され、特に加熱空気を用いるのが一般的である。
【0007】
ノズル(3)の牽引流体流路スリット幅(L)とは、図1に示したように、上述の、断面が二等辺三角形のダイノーズ(1)の長辺と、左右の一対のリップ(2)とからなるスリット状流路の横断面方向の距離を指すものである。またセットバック(S)とは、図1で示す、ダイノーズ(1)のオリフィス開口部先端(4)からリップ先端面(5)までの垂直方向の距離を指すものである。
【0008】
本発明において、上述のスリット幅(L)とセットバック(S)の比(S/L)が0.7以上、1.3以下であることが重要で、好ましくは0.8以上、1.2以下である。該比(S/L)の値が0.7未満であるとスリット幅(L)に対してセットバック(S)が小さくなり過ぎるために、牽引細化される熱可塑性樹脂の変形がリップ外部で急激におこり、そのため外部の気流の乱れにより細化が不安定なりショットが発生したり、また、細化が不十分で繊維径を細くすることが困難になる。一方、該比(S/L)の値が1.3を超えると、ノズル内部で細化繊維の破断がおこり、ショットの発生及び細化中の溶融熱可塑性樹脂がリップ先端部に付着してドリップ状になりシート品位を著しく損なうため好ましくない。
【0009】
また、スリット幅(L)は0.3mm以上、2.0mm以下であることが重要であり、好ましくは0.4mm以上、1.6mm以下である。スリット幅(L)が、0.3mm未満であると、紡糸口金の製作及び組立を非常に精密にする必要があり実用的ではない。一方、2.0mmを超えると、牽引細化するために多量の牽引流体を必要とするため、コスト的に実用的でなくなる。
【0010】
更にセットバック(S)は0mm以上、2.0mm以下であることが重要で、好ましくは0.3mm以上、1.6mm以下である。セットバック(S)が0mm未満、即ちリップ先端面(5)より、オリフィス開口部先端部が外部に突出している場合、噴出される牽引流体に伴う同伴流の乱れにより、細化が不安定になり、ショットが発生する。また、オリフィス開口部先端部が外部に突出しているため、取り扱い中に先端部を損傷する等の保守の面で問題が生じるおそれがある。一方、2.0mmを超えると、ノズル内部で細化繊維の破断が生じ、ショット及びフライ状物の発生を伴うため好ましくない。
【0011】
また、本発明において、スリット幅(L)とセットバック(S)の値は、熱可塑性樹脂の単孔吐出量が多くなるに従って、また熱可塑性樹脂の溶融粘度が高くなるに従って、大きな値に設定することが好ましい。
本発明では、上述の要件を満たす、即ち牽引流体流路のスリット幅(L)とセットバック(S)とがほぼ等しい範囲にあることにより、溶融吐出された熱可塑性樹脂の牽引細化を十分にかつ安定して、進行することができるものである。
【0012】
本発明で使用される熱可塑性樹脂とは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート等、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂であれば適用することができる。
【0013】
本発明の方法で製造されるメルトブロー不織布は、ショットの発生がなく均一性に優れ、非常に高品位であるため、エアーフィルター、液体フィルター等のフィルター用途、電池セパレーター、マスク、医療・衛生材料、保温材、農業用資材などの各種用途に適用することができるものである。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。実施例に記載した特性値は以下の測定法により決定した。
a.平均繊維径
メルトブロー不織布の走査型電子顕微鏡写真を倍率1000〜2000倍で撮影し、その写真より任意に抽出した200本の繊維側面の幅を測定し、算術平均により決定した。
b.ショット
メルトブロー不織布を可視光源により透過させ、表面を目視検査により観察することによりショットの発生状況を調査した。
【0015】
(実施例1〜5、比較例1〜5)
図1に概略を示した構造のメルトブローノズルにおいて、孔径0.3mm、孔ピッチ1.0mm、ダイノーズの頂角60°のノズルを使用し、スリット幅(L)とセットバック(S)とを変化させ、各種熱可塑性樹脂を単孔吐出量を変更して、平均繊維径2〜3μmになるように牽引流体条件を調整し、メルトブロー不織布を製造した。
【0016】
【表1】
【0017】
実施例1〜5は平均繊維径2〜3μmでショットの存在しないメルトブロー不織布をフライ状物の発生なしに製造できた。
一方、比較例1〜4は、ショットあるいはフライ状物が発生し、シート品位が著しく劣るものであった。また、比較例5は平均繊維径を細くすることができずフィルター用途等に不適であった。
【0018】
【発明の効果】
本発明によると、ショットが存在せず均一性に優れた高品位な極細繊維不織布を安定的に製造することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における紡糸口金の断面を示す概略図。
【符号の説明】
1:ダイノーズ、2:リップ、3:ノズル、4:オリフィス開口部先端、5:リップ先端面、6:オリフィス、L:ストット幅、S:セットバック、θ:頂角
Claims (2)
- ダイノーズ(1)と一対のリップ(2)からなるノズル(3)が一列に複数個配置された紡糸口金において、前記ダイノーズ(1)の断面形状がオリフィス(6)を介して二等辺三角形であり、牽引流体流路となるダイノーズ(1)の長辺とリップ(2)との間隔であるスリット幅(L)が0.4〜2.0mmであり、ダイノーズ(1)のオリフィス開口部先端(4)からリップ先端面(5)までの距離であるセットバック(S)が0.3〜2.0mmであり、且つ前記スリット幅(L)とセットバック(S)の比(S/L)が0.7〜1.2であることを特徴とするメルトブロー用紡糸口金。
- 請求項1記載の紡糸口金を用いて、オリフィスから熱可塑性樹脂を溶融吐出し、牽引流体流路から高温高速の流体を噴出することにより、前記熱可塑性樹脂を牽引細化し、次いでシート化することを特徴とするメルトブロー不織布の製造方法。
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JP87898A JP3758063B2 (ja) | 1998-01-06 | 1998-01-06 | メルトブロー用紡糸口金及び不織布の製造方法 |
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Publications (2)
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JPH11200135A JPH11200135A (ja) | 1999-07-27 |
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JP87898A Expired - Lifetime JP3758063B2 (ja) | 1998-01-06 | 1998-01-06 | メルトブロー用紡糸口金及び不織布の製造方法 |
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1998
- 1998-01-06 JP JP87898A patent/JP3758063B2/ja not_active Expired - Lifetime
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