JP3756842B2 - 反響抑圧方法、反響抑圧装置、反響抑圧プログラム - Google Patents

反響抑圧方法、反響抑圧装置、反響抑圧プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は例えば拡声通話装置等に用いることができる反響抑圧方法、装置、プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
音声会議の普及に伴い、同時通話性能に優れ、反響感の少ない拡声通話装置の供給が望まれている。この要求を満たすものとして、反響抑圧装置がある。図4は、従来の反響抑圧装置の一部を示すブロック図で、受話信号x(k)を受ける受話端からスピーカ2に至る受話系と、マイクロホン3から送話端4に至る送話系とからなる拡声通話系において、受話信号x(k)が擬似反響路6へ供給され、擬似反響路6からの擬似反響信号y^(k) を、反響信号y(k) から減算手段7で差し引くことにより反響信号y(k) は消去される。ここで、擬似反響路6のインパルス応答h^(k) が、真の反響路のインパルス応答h(k) に近づくまでは、音響エコーが相手側に返ってしまうことになる。反響抑圧装置では、擬似反響路の推定精度が十分でない場合は、相手からの受話信号か、近端からの送話信号のどちらか、もしくは両方の信号に対して、損失を挿入して抑圧することで受話信号、送話信号のどちらか、もしくは両方の信号を減衰させることにより、エコーや、それに伴い発生するハウリングを抑圧する、音声スイッチという方法が広く用いられている。
【0003】
図5に損失を挿入し、信号を減衰させるための抑圧手段を用いた場合の構成図を示す。図4と共通する部分には、同じ番号を付してある。抑圧手段8及び9は、それぞれ受話信号と送話信号を減衰させるために、損失の挿入を行う。
このときに用いられる挿入損失の量は、スピーカ2から発せられマイクロホン3で収音されるまでの伝達系路のエネルギーと、適応フィルタでのエコー低減量によって決定される。一般的にスピーカ2からマイクロホン3までの伝達エネルギーは、その伝達経路がある程度高い精度で推定されないと正しく求められないため、エコーを低減するために十分であると考えられる損失量が初期に設定される。例えば、信号のエネルギーを千分の一にする程度である。
【0004】
通信相手からの受話信号だけが存在し、送話者の送話信号が一切ない場合は、送話信号側に損失を挿入し、送話信号を減衰させ、相手へ返るエコーを低減することができる。また、相手からの受話信号が存在せず、送話者の送話信号だけが存在する場合は、受話信号側に損失を挿入する。片側だけの拡声通話系だけを観測した場合、この受話信号側への挿入損失は不要に見えるが、相手側も同様に拡声通話系を形成していると仮定した場合、二地点の拡声通話系で音響信号のループをなしているため、ループ利得を低減させるために、受話信号側へ損失を挿入することが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
擬似反響路の推定精度が十分でなく、挿入すべき損失が大きい場合に、双方向同時通話(相手側と近端側両方の拡声通話系から、同時に話すこと)が生じたときには、どちらかの声を優先的に通す(なるべく信号を減衰しない)ように制御を行う必要がある。どちらかの声を優先的に通すためには、そのためにそれと相対する信号に対して損失を挿入し、減衰を行う必要がある。すなわち、送話信号を優先的に通す(送話信号を減衰しない)ためには、受話信号を減衰させる必要があり、受話信号を優先的に通す(受話信号を減衰しない)ためには、送話信号を減衰させる必要がある。
【0006】
一般的には、音響エコーキャンセラの仕様として、送話を優先的に通すか、受話を優先的に通すかが、あらかじめ決められている。例えば、送話優先であるときには、受話信号の有無に関わらず、送話信号が有音であると判定された場合には、受話信号側に損失を挿入し、受話信号が減衰される。また、受話優先であるときには、送話信号の有無に関わらず、受話信号が減衰される。また、受話優先であるときには、送話信号の有無に関わらず、受話信号が有音であると判断された場合には、送話信号側に損失を挿入し、送話信号が減衰される。
受話信号有無の判断は、例えば、ある一定の時間幅で計算した受話信号のパワーが所定の値を超えた場合に、受話信号有音と判断され、超えない場合には受話信号無音と判断される。ここで時刻k において、一定の時間幅で計算した受話信号パワーをPx(k)、時刻k の受話信号を x(k) とした場合、パワーの計算と受話信号有無の判断は、例えば以下のように与えられる。
【0007】
Px(k) = ptx*Px(k−1) + (1−ptx)*x(k)*x(k) (1)
Px(k) > Thr : 受話有音 (2)
Px(k) <=Thr : 受話無音 (3)
ここでptx は、時間幅を決定する時定数を表わし、例えばptx = 0.98 などが用いられ、Thr は受話信号の有無を判断するための閾値である。一定の時間幅でのパワーが所定の閾値を超えたときに、受話信号を有音と判断する。
また、送話信号有無の判断は、例えば、マイクロホンに収音された信号と音響エコーキャンセラの適応フィルタによってエコーが消去された後の信号の、それぞれ一定の時間幅で計算したパワーの差が、所定の値以下である場合に、送話無音と判断され、パワーの差が所定の値を超える場合に、送話有音と判断される。
【0008】
ここで、時刻k において一定の時間幅で計算したマイクロホン収音信号パワーをPy(k)、適応フィルタによるエコー消去後の一定の時間幅で計算した誤差信号パワーをPe(k)、時刻k のマイクロホン収音信号と誤差信号をそれぞれy(k)、e(k) とした場合、パワーの計算と送話信号有無の判断は、例えば以下のように与えられる。
Py(k) = pty*Py(k−1) + (1−pty)*y(k)*y(k) (4)
Pe(k) = pte*Pe(k−1) + (1−pte)*e(k)*e(k) (5)
Py(k)−Pe(k) > Ths : 送話有音 (6)
Py(k)−Pe(k) <= Ths : 送話無音 (7)
ここで、pty、pte はそれぞれ時間幅を決定する時定数を表わし、例えばpty =pte = 0.98 などが用いられ、Ths は送話信号の有無を判断するための閾値である。一定の時間幅でのマイクロホンで収音されたパワーと、一定の時間幅での適応フィルタで低減されたエコーのパワーの差が、所定の閾値を超えたときに、送話信号を有音と判断する。
【0009】
実際には、双方向から同時に長い間話し続けることは少ない。つまり送話有音、受話有音が同時に続くことは稀である。どちらかが話し始めると、片側の会議参加者は受聴する、という形態が多い。
このとき問題となるのは、例えば、音響エコーキャンセラの仕様が送話優先である場合に、受聴している側で発生する音である。その音が、受聴者が意図しない音や、ごく短時間に発され送話者が無意識である音、例えば、ペンで机をたたくなどといった、いわゆる異常音がマイクロホンに収音された場合に、送話音声有音と誤判断されて、受話信号に対して損失を挿入し、受話信号が減衰される。
【0010】
これにより、受聴者側では、自分が相手へ伝えようと意図しない音がマイクロホンに収音されることにより、相手からの受話信号が減衰され、スピーカから再生される受話信号に損失がその都度挿入され、スピーカから出力される受話信号の音質が劣化する、という問題が生じる。この問題に対しては、送話信号が一切差し挟めなくなるが、受話優先に設定することにより、受話音声が途切れることはなくなる。
しかしながら、単純に受話優先に設定しても、受話音声が途切れているように聞こえる場合がある。今、A地点とB地点間で通信会議をしていて、両地点がハンズフリーで拡声通話系であると仮定する。また、音声スイッチは、受話信号用の減衰量と送話信号用の減衰量とで同じ値を用いるとすると、A地点での音声スイッチによる減衰量はLa、B地点での音声スイッチによる減衰量はLb と定義することができる。音声スイッチの減衰量は、エコー伝達系路のエネルギーの推定や、適応フィルタによるエコー低減量によりその都度異なる。減衰量LaおよびLbが所定の閾値ThL(例えば0.25)より大きいか小さいかで減衰量が大きいか小さいかの判断を行うとすると、両地点の音声スイッチ減衰量の大きさの組み合わせは、次の4通りである。
【0011】
1. A:大、B:大
2. A:大、B:小
3. A:小、B:大
4. A:小、B:小
今、音声スイッチがA地点とB地点でそれぞれ受話優先の設定になっており、上の組合せの2の状態であったとする。すなわちA地点での減衰量が大きく、B地点での減衰量が小さい場合を考える。A地点から発話された音声は、B地点のスピーカから発せられ、B地点でのマイクロホンでエコーが収音されるが、B地点での適応フィルタで十分エコーが低減できている状態である。B地点での音声スイッチによる減衰量が少ないため、B地点で生じた異常音は、音声スイッチでは十分に抑圧されずにA地点に送られる。このとき、A地点での音声スイッチが受話優先であるため、それまで受話信号を減衰させていたのと同じ量の減衰が送話信号に対して作用することとなる。A地点で、送話信号が途切れると、B地点では受話信号が途切れたのと同じように聞こえる。
【0012】
A地点での減衰量とB地点での減衰量は、適応フィルタによるエコー低減量や、エコー伝達系路の推定精度により、適応的に変化するためあらゆる組合せが起こる。あらかじめそのパターンを予想して、受話優先か送話優先を定めるだけでは問題が解決できない。例えば、上であげた例では、A地点を送話優先、B地点を受話優先に設定しておけば、B地点での受話音声の途切れは生じないが、音声スイッチが3の組み合わせのときに、Bから発話したときは、A地点での受話音声が途切れることとなる。
従来の技術が持つ欠点を明らかにするために計算器を用いてシミュレーションを行った。シミュレーションの条件として、相手からの受話信号が、10秒間存在し、近端受聴者による送話信号はシミュレーション開始後5秒の地点から始まり、以降5秒間存在する。シミュレーション開始5秒までの間に3回の異常音が近端受聴者により発せられ、マイクロホン3に収音される。また、音響エコーキャンセラの仕様として、送話信号を優先的に通す「送話優先」仕様とした。
【0013】
シミュレーション結果を図6と図7に示す。受話信号強度Pr(k) および送話信号強度Ps(k) は、式(1)(4)(5)を用いて算出した。
図6では式(1)(4)(5)に用いたptx、pty、pte をptx = pty = pte = 0とした場合を示す。また、図7ではptx = pty = pte = 0.999とした場合を示す。つまり、図6では、信号強度をその信号の瞬時値の自乗で求めており、図7では、信号強度を 999ms の時間幅で算出していることに相当する。
図6Aに示す実線は相手からの受話信号のパワー、破線は受話信号用抑圧手段8により減衰された後の受話信号のパワーであり、実際にスピーカ2から再生する音である。
【0014】
図6Bは、マイクロホン3に収音された音であり、5秒後から、近端受聴者が話し始めている。その前0.63秒、1.5秒、3.1秒の地点で、近端受聴者が意図していないが、マイクロホン3に収音された異常音がある。図6Bの後半5秒のうち、実線はマイクロホン3に収音された信号のパワー、破線は送話信号用抑圧手段9により減衰された後の送話信号のパワーである。図7の実線と破線が意味するものは図6と同じである。
図6及び図7から分かる通り、従来の技術によれば信号強度を算出する時間幅を短くした場合でも、長くした場合でも、異常音の発生により、受話信号が減衰し、音が途切れることが分かる。
【0015】
この発明の目的は異常音が発生しても音が途切れることがない反響抑圧方法及び装置、プログラムを提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明では、N個(Nは2以上の整数)のチャネルの受話信号をそれぞれN個の擬似反響路に通してN個の擬似反響信号を求め、N個の擬似反響信号の和を総合擬似反響信号とし、N個の受話信号を同時に再生して収音された反響信号から総合擬似反響信号を差し引くことにより送話信号を求め、N個の受話信号と送話信号とを用いてN個の擬似反響路を逐次推定する反響抑圧方法において、
反響信号の強度を反響信号用強度測定手段により求め、送話信号の強度を送話信号用強度測定手段により求め、N個のチャネルの受話信号を受話信号用抑圧手段により抑圧し、その抑圧出力を擬似反響路及び反響路への送出信号とし、前記送話信号を送話信号用抑圧手段により抑圧し、測定された反響信号強度と測定された送話信号強度を入力として送話中であるか否かを送話判定手段により判定し、送話判定手段によって送話中と判定された回数を送話状態計数手段で計数し、測定された受話信号強度を用いて受話中であるか否かを受話判定手段により判定し、受話中と判定された回数を受話状態計数手段により計数し、計数された送話状態数と、受話状態数を入力として受話信号用抑圧手段と送話信号用抑圧手段で用いる抑圧量を決定する反響抑圧方法を提案する。
【0017】
この発明では更に、反響信号の強度を測定する反響信号用強度測定手段と、送話信号の強度を測定する送話信号用強度測定手段と、N個のチャネル受話信号を抑圧しその出力を擬似反響路及び反響路への送出信号とするための受話信号用抑圧手段と、前記送話信号を抑圧するための送話信号用抑圧手段と、反響信号用強度測定手段によって測定された反響信号強度と前記送話信号用強度測定手段によって測定された送話信号強度を入力として送話中であるか否かを判断するための送話判定手段と、送話判定手段によって送話中と判断された回数を数える送話状態計数手段と、受話信号の強度を測定する受話信号用強度測定手段と、受話信号用強度測定手段によって測定された受話信号強度を用いて受話中であるか否かを判定するための受話判定手段と、受話判定手段によって受話中と判定された回数を数える受話状態計数手段と、送話状態計数手段によって数えられた送話状態数と受話状態計数手段によって数えられた受話状態数を入力として受話信号用抑圧手段と送話信号用抑圧手段で用いられる抑圧量を決定するための抑圧制御手段と、を具備する反響抑圧装置を提案する。
【0018】
この発明では更に、コンピュータが読み取り可能な符号によって記述され、コンピュータに前記反響抑圧方法を実行させる反響抑圧プログラムを提案する。
作用
一般に異常音は通例、長くても数百msまでであり、相手へ伝えたい音声は1秒以上継続する。従って、この発明ではそれらの性質を利用することにより、受聴者側の異常音による受話音声信号の音質劣化を防ぐ。受話有音判定と送話有音判定との判断結果から、一定時間幅での受話有音と送話有音の頻度を算出することにより、一定の時間幅で観測したときに、同程度のパワーが観測されても、継続している音なのか、単発の音なのかを判定することで、異常音と音声の区別が行え、異常音の場合には有音と判断せず、音声の場合には有音と判定し、それぞれ挿入する損失の制御を行う。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施例を示したものであり、図5と対応する部分には同一符号を付して示す。本発明によれば、受話信号用強度測定手段10により、受話信号の強度を測定し、その強度を入力として受話判定手段13により受話の有無を1サンプルごとに判断する。受話の有無の判定は、例えば、受話信号の強度が所定の値以下であれば受話無音、受話信号の強度が所定の値を超えていれば受話有音と判断する。また、反響信号用強度測定手段12及び、送話信号用強度測定手段11により、反響信号と送話信号の強度をそれぞれ測定する。反響信号強度及び送話信号強度を用いて、送話判定手段14は送話の有無を1サンプルごとに判断する。送話の有無の判断は、例えば、反響信号強度と送話信号強度の差が所定の値以下であれば送話無音、反響信号強度と送話信号強度の差が所定の値を超えていれば送話有音と判断する。受話状態計数手段15及び、送話状態計数手段16では、それぞれ受話状態、送話状態と判定された数をカウントする。
【0020】
受話状態計数手段15及び、送話状態計数手段16は、過去T秒から現在までの、それぞれの状態を計数する。現在の時間をkとし、受話状態の計数結果をCr(k)、送話状態の計数結果をCs(k)とし、T秒間(音声信号識別時間)中の受話状態数の割合(受話状態頻度)をRr(k)、同様に送話状態の割合(送話状態頻度)をRs(k)とすると、それぞれの頻度は、
Rr(k) = Cr(k) / (T * fs) (8)
Rs(k) = Cs(k) / (T * fs) (9)
で与えられる。ただし、fsはサンプリング周波数(単位はHz)である。受話状態頻度Rrと送話状態頻度Rs(k)が、所定の値ThrとThsをそれぞれ超えている場合、すなわち、
Rr(k) > Thr & Rs(k) > Ths (10)
が満たされている場合、双方向同時通話とみなし、あらかじめ設定されている音響エコーキャンセラの仕様に従い、送話優先であれば、受話信号用抑圧手段8により受話信号側へ損失を挿入し、受話信号を減衰させる。また、受話優先であれば、送話信号用抑圧手段9により送話信号側へ損失を挿入し、送話信号を減衰させる。次に、受話状態頻度Rr(k) が所定の値Thr を超え、かつ、送話状態頻度Rs(k) が所定の値Ths 以下の場合、すなわち、
Rr(k) > Thr & Rs(k) <= Ths (11)
が満たされている場合、受話有音、送話無音であるとみなし、送話信号用抑圧手段9により送話信号側へ損失を挿入し、送話信号を減衰される。また、受話状態頻度Rr(k) が所定の値Thr 以下で、かつ、送話状態頻度Rs(k) が所定の値Ths を超えている場合、すなわち、
Rr(k) <= Thr & Rs(k) > Ths (12)
が満たされている場合、受話無音、送話有音であるとみなし、受話信号用抑圧手段8により受話信号側へ損失を挿入し、受話信号が減衰される。
【0021】
最後に、受話状態頻度Rr(k) と送話状態頻度Rs(k) が所定の値Thr とThs をそれぞれ超えていない場合、すなわち、
Rr(k) <= Thr & Rs(k) <= Ths (13)
が満たされている場合、受話、送話ともに無音であるとみなし、あらかじめ定められた音響エコーキャンセラの仕様に従い、受話側もしくは、送話側へ損失を挿入する。頻度を算出する区間Tは、例えば1秒とし、頻度の閾値ThrとThsを例えば0.25とする。また、送話判断、受話判断には瞬時値の自乗を用いる。すなわち、式(1)(4)(5)において、それぞれ、ptx = pty = pte = 0.0 とする。
【0022】
この発明の有効性を示すために、計算機シミュレーションを行った。シミュレーションの条件としては図6及び図7の場合と同様に相手からの受話信号が、10秒間存在し、近端受聴者による送話信号はシミュレーション開始後5秒の地点から始まり、以降5秒間存在する。シミュレーション開始5秒までの間に、3回の異常音が近端受聴者により発せられ、マイクロホン3に収音される。また、音響エコーキャンセラの仕様として、送話信号を優先的に通す「送話優先」仕様とした。
図2にこの発明による反響抑圧方法をシミュレーションした結果を示す。受話信号強度Pr(k) および送話信号強度Ps(k) の算出方法は、図6及び図7の場合と同じである。ここで、ptx = pty =pte = 0 とした。図2では、異常音により、受話信号が減衰しておらず、また5秒後に発話した受聴者側の音声も約1秒後に減衰されなくなり、以降減衰されていないことが分かる。
【0023】
図3に再生信号がNチャネル(Nは2以上の整数)の場合の本発明の実施例を示す。図1と共通する部分には同じ番号を付してある。再生信号が1チャネルの場合との相違を以下に示す。
1チャネルの受話信号の場合は、受話信号用強度測定器10に入力される信号が唯一であったのに対し、Nチャネル受話信号の場合は、受話信号用強度測定器10に入力される信号がN個となる。受話判定には、式(1)の代わりに以下の式(1)′を用いる。
Px(k) = ptx * Px(k−1) +(1−ptx) * (x1(k) * x1(k) + x2(k) * x2(k) + … + xN(k) * xN(k)) (1)′
式(1)′で計算されたPx(k)を用いて式(2)(3)によって受話有音/無音の判定を行う。続く手順は再生信号が1チャネルの場合と同等であり、最終的に抑圧制御手段17で「受話信号側へ損失を挿入する」と判定されたときには、Nチャネルの受話信号用抑圧手段81〜8Nに対して同じ損失量を与え、Nチャネル受話信号を減衰させる。
【0024】
図3に示したNチャネルの場合も、図1に示した実施例と同様の作用効果が得られる。
上述した本発明による反響抑圧方法はコンピュータが読み取り可能な符号によって記述された反響抑圧プログラムをコンピュータに実行させることにより実現される。プログラムは例えばCD−ROM或は磁気ディスクのような記録媒体からコンピュータにインストールするか、或は通信回線を通じてコンピュータに取り込まれてインストールされ、CPUのような演算手段により実行される。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による反響抑圧方法によれば、通話相手側から報告されているときに、ペンで机をたたくといった瞬間的に大きい音がマイクロホンに収音された場合でも、相手側からの受話信号が減衰されず、受話信号の音質劣化を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を説明するためのブロック図。
【図2】図1に示した実施例の作用効果を説明するためのグラフ。
【図3】この発明の反響抑圧方法をNチャネルの通話網に適用した実施例を示すブロック図。
【図4】従来の技術を説明するためのブロック図。
【図5】従来の技術の変形例を説明するためのブロック図。
【図6】図5に示した従来の技術の欠点を説明するためのグラフ。
【図7】図6と同様のグラフ。
【符号の説明】
1 受話端 10 受話信号用強度測定手段
2 スピーカ 11 送話信号用強度測定手段
3 マイクロホン 12 反響信号用強度測定手段
4 送話端 13 受話判定手段
5 推定回路 14 送話判定手段
6 擬似反響路 15 受話状態計数手段
7 減算手段 16 送話状態計数手段
8 受話信号用抑圧手段 17 抑圧制御手段
9 送話信号用抑圧手段

Claims (3)

  1. N個(Nは以上の整数)のチャネルの受話信号をそれぞれN個の擬似反響路に通してN個の擬似反響信号を求め、N個の擬似反響信号の和を総合擬似反響信号とし、前記N個の受話信号を同時に再生して収音された反響信号から前記総合擬似反響信号を差し引くことにより送話信号を求め、前記N個の受話信号と前記送話信号とを用いてN個の擬似反響路を逐次推定する反響抑圧方法において、
    前記反響信号の強度を反響信号用強度測定手段により求め、
    前記送話信号の強度を送話信号用強度測定手段により求め、
    前記N個のチャネルの受話信号を受話信号用抑圧手段により抑圧制御手段が決定した抑圧量で抑圧し、
    その抑圧出力を前記擬似反響路及び反響路への送出信号とし、
    前記送話信号を送話信号用抑圧手段により前記抑圧制御手段が決定した抑圧量で抑圧し、
    前記測定された反響信号強度と前記測定された送話信号強度を入力として送話中であるか否かを送話判定手段により判定し、
    前記送話判定手段によって送話中と判定された回数を送話状態計数手段で計数し、
    前記測定された受話信号強度を用いて受話中であるか否かを受話判定手段により判定し、
    受話中と判定された回数を受話状態計数手段により計数し、
    前記計数された送話状態数があらかじめ設定された第1の閾値を超えていて、且つ、前記計数された受話状態数があらかじめ設定された第2の閾値を超えていない場合は、前記受話信号用抑圧手段において受話信号を減衰し、
    前記計数された送話状態数があらかじめ設定された前記第1の閾値を超えていなくて、且つ、前記計数された受話状態数があらかじめ設定された前記第2の閾値を超えている場合は、前記送話信号用抑圧手段において送話信号を減衰し、
    前記2つの場合以外の場合は、あらかじめ設定された通りに、前記送話信号用抑圧手段において送話信号を減衰するか、または、前記受話信号用抑圧手段において受話信号を減衰する、
    よう前記抑圧制御手段が前記受話信号用抑圧手段と送話信号用抑圧手段で用いる抑圧量を決定する
    ことを特徴とする反響抑圧方法。
  2. N個(Nは以上の整数)のチャネルの受話信号をそれぞれN個の擬似反響路に通してN個の擬似反響信号を求め、N個の擬似反響信号の和を総合擬似反響信号とし、前記N個の受話信号を同時に再生して収音された反響信号から前記総合擬似反響信号を差し引くことにより送話信号を求め、前記N個の受話信号と前記送話信号とを用いてN個の擬似反響路を逐次推定する反響抑圧装置において、
    前記反響信号の強度を測定する反響信号用強度測定手段と、
    前記送話信号の強度を測定する送話信号用強度測定手段と、
    前記N個のチャネル受話信号を抑圧制御手段が決定した抑圧量で抑圧しその出力を前記擬似反響路及び反響路への送出信号とするための受話信号用抑圧手段と、
    前記送話信号を前記抑圧制御手段が決定した抑圧量で抑圧するための送話信号用抑圧手段と、
    前記反響信号用強度測定手段によって測定された反響信号強度と前記送話信号用強度測定手段によって測定された送話信号強度を入力として送話中であるか否かを判断するための送話判定手段と、
    前記送話判定手段によって送話中と判断された回数を数える送話状態計数手段と、
    前記受話信号の強度を測定する受話信号用強度測定手段と、
    前記受話信号用強度測定手段によって測定された受話信号強度を用いて受話中であるか否かを判定するための受話判定手段と、
    前記受話判定手段によって受話中と判定された回数を数える受話状態計数手段と、
    前記送話状態計数手段によって数えられた送話状態数があらかじめ設定された第1の閾値を超えていて、且つ、前記計数された受話状態数があらかじめ設定された第2の閾値を超えていない場合は、前記受話信号用抑圧手段において受話信号を減衰させ、
    前記計数された送話状態数があらかじめ設定された第1の閾値を超えていなくて、且つ、前記計数された受話状態数があらかじめ設定された第2の閾値を超えている場合は、前記送話信号用抑圧手段において送話信号を減衰させ、
    前記2つの場合以外の場合は、あらかじめ設定された通りに、前記送話信号用抑圧手段において送話信号を減衰させるか、または、前記受話信号用抑圧手段において受話信号を減衰させるよう、前記受話信号用抑圧手段と送話信号用抑圧手段で用いる抑圧量を決定するための前記抑圧制御手段と、
    を具備することを特徴とする反響抑圧装置。
  3. 記請求項1記載の反響抑圧方法の各過程をコンピュータに実行させる反響抑圧プログラム。
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