JP3756590B2 - 内視鏡装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者の体腔内に挿入された処置具による患部の処置状態を内視鏡によって観察しながらその処置作業を行う内視鏡下の手術で使用される内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、処置具と内視鏡とが、それぞれ別個に患者の体腔内に挿入され、体腔内に挿入された処置具の先端部分の画像を内視鏡の観察視野内に捉え、処置具による患部の処置状態を内視鏡によって観察しながらその処置作業を行う内視鏡下の手術が知られている。
【0003】
この種の内視鏡下手術に用いられる内視鏡装置として例えば特開平6−30896号公報が開示されている。これは、ロボットアームにより内視鏡を保持し、術者の指令によって内視鏡の位置を変えることができる。これにより、従来内視鏡を保持していた助手は解放され、また術者は自分の思う方向に自在に視野を変えることができる。
【0004】
また、本出願人は本願発明の出願時には公開されていない特願平7−115995号で、ロボットアームを用いずに内視鏡の視野を自在に変換する構成にした内視鏡装置を提案している。ここでは、内視鏡の撮像光学系の一部分をアクチュエータで移動することで内視鏡の画像の撮像範囲を変更する(切換える)ようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−30896号公報の装置では、内視鏡の外部に配置されているロボットアームに術者や、患者や、周辺機器等が干渉するおそれがある。さらに、ロボットアームの意図しない動作によって、内視鏡の動きが不安定になるおそれがある。また、ロボットおよびその周辺機器等の大型な装置を内視鏡の外部に設置する必要があるので、装置全体の運搬、滅菌等の作業にも不便である。
【0006】
これに対し、特願平7−115995号の装置では、アクチュエータで移動される可動部分は内視鏡の内部に配置されている。そのため、ロボットアームのように内視鏡の外部に配置されている装置が動作することにより、この内視鏡の外部の可動部分が術者等に接触するおそれが少なく、安全性が高い。さらに、装置全体が小型であり、通常の内視鏡とTVカメラと置換できるなど利点が多い。さらに、この装置は小型で、通常の内視鏡とTVカメラの組み合わせに置き換えて用いられるので、取扱が容易。また、鉗子等の処置具の先端を検出し、この処置具の先端を追尾する状態で、内視鏡の視野を変換することができ、術中に術者が内視鏡の視野を変換することが容易である。
【0007】
しかしながら、上記従来構成のものにあっては内視鏡下の手術中、内視鏡の視野変換動作によって内視鏡の視野が内視鏡の光軸からずれた場合には内視鏡像を目視しながら内視鏡を直観的に所望の方向に正確に移動させることが難しくなるので、このように内視鏡の視野が内視鏡の光軸からずれた状態のままでは体腔内に内視鏡を挿入、抜去する操作や、内視鏡の位置を変更する操作が困難になる問題がある。
【0008】
また、内視鏡の視野変換動作中に、処置具先端の検出に失敗した場合や、術者が操作スイッチの押し間違いなどの誤操作を行った場合には内視鏡の視野を失うおそれがある。
【0009】
さらに、内視鏡の視野変換機能を有効に用いるためには、内視鏡像の中に観察したい対象部分が入るようにあらかじめ内視鏡の位置をセッティングする必要がある。そのため、内視鏡像全体が観察できるような撮像範囲で観察する必要があるので、内視鏡の観察像の撮像範囲が制限されるおそれもある。
【0010】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、安全性が高く、装置全体が小型であるうえ、内視鏡の交換や、体腔内の挿入・抜去等の作業が容易で、かつ処置具の先端検出の失敗時や、観察方向が不明なときなどでも内視鏡の観察視野方向と内視鏡の光軸方向とを簡単に一致させ、内視鏡を直観的に操作することができる操作性が高い内視鏡装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、体腔内に挿入される内視鏡と、この内視鏡の観察像を撮像する撮像手段と、この撮像手段の撮像範囲を前記内視鏡の観察像よりも小さい前記内視鏡の観察像の一部の視野範囲に変更させる撮像範囲変更手段と、前記視野範囲を移動させる視野範囲移動手段と、前記視野範囲の中心位置を前記内視鏡の観察像の中心位置と一致させた基準位置に前記視野範囲を復帰させる復帰手段と、この復帰手段の動作を制御し、前記視野範囲を前記基準位置へ復帰させる指示をする復帰指示手段とを具備したことを特徴とする内視鏡装置である。
請求項2の発明は、前記視野範囲移動手段は、前記撮像手段を前記内視鏡の光軸に対して垂直な平面に沿ってX方向およびこれと直交するY方向に移動させる移動機構であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置である。
請求項3の発明は、前記撮像手段は、画素が2次元的に配列された画素集合体を有し、
前記撮像範囲変更手段は、前記画素集合体に撮像された画像全体から一部分の画像を切り出す電子切り出し動作を行う電子切り出し機能を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置である。
請求項4の発明は、前記復帰指示手段は、前記撮像手段が着脱可能に連結される保持具との連結部に設けられ、前記撮像手段と前記保持具との着脱動作に連動して前記視野範囲を前記基準位置へ復帰させる指示をする着脱連動スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置である。
請求項5の発明は、前記復帰手段は、前記撮像手段の撮像範囲を前記内視鏡の観察像のほぼ全体を表示可能な基準位置に復帰させる撮像範囲復帰手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置である。
請求項6の発明は、前記撮像範囲復帰手段は、前記復帰指示手段の操作に連動して動作することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置である。
上記構成により、内視鏡の交換、体腔内の挿入・抜去時、処置具の先端検出の失敗、観察方向が不明なときなどに術者が復帰指示手段を操作して撮像範囲の復帰を指示し、復帰手段を用いて視野範囲の中心位置を内視鏡の観察像の中心位置と一致させた基準位置(原点)に視野範囲を復帰させることにより、内視鏡の観察方向と内視鏡の光軸方向とを一致させ、内視鏡を直観的に操作できるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1(A),(B)乃至図12を参照して説明する。図1(A)は本実施の形態の内視鏡装置全体の概略構成を示すものである。図1(A)中で、1は患者の体腔内に挿入される硬性内視鏡としてのスコープ、2はこのスコープ1を移動可能に保持する関節構造のスコープ保持具2である。ここで、スコープ1には細長い挿入部1aと、この挿入部1aの基端部に連結された接眼部5とが設けられている。そして、スコープ1の挿入部1aは予め患者の体腔内に刺入されたトラカール3に挿通され、体腔内を観察するように体腔内に挿入されている。なお、スコープ1の光学系には歪み除去レンズ(図示せず)が設けられている。
【0013】
また、スコープ1の接眼部5にはTVカメラ4が取付けられている。このTVカメラ4の内部には、固体撮像素子であるCCD(撮像手段)6と、ズームレンズ7と、CCD6をズームレンズ7の光軸方向とは直交する方向に移動するCCD移動機構(撮像範囲変更手段)8とが内蔵されている。さらに、TVカメラ4のケーシング4aの外面には、原点復帰スイッチ(撮像範囲復帰指示手段)9が設けられている。
【0014】
また、TVカメラ4には、鉗子追尾装置10およびCCU(カメラコントロールユニット)11が接続されている。ここで、鉗子追尾装置10には、鉗子14の先端部15の追尾機能の有効/無効の切り換え操作を行う、例えばフットスイッチ、ハンドスイッチ等の操作スイッチ12と、拡大・縮小スイッチ88a,88bと、CCU11とがそれぞれ接続されている。なお、Tは拡大スイッチ88a、Wは縮小スイッチ88bである。さらに、CCU11には、例えばTVモニタ、HMD(HEAD MOUTED DISPLAY :頭部装着型ディスプレー)等の表示モニタ13が接続されている。
【0015】
また、患者の体腔内にはスコープ1とは別の場所から鉗子14が挿入されている。なお、鉗子14の代わりに例えば剥離鉗子、ハサミ、レーザープローブ、縫合器、電気メス、持針器、超音波吸引器等の処置具が挿入されても何等、作用は変わらない。
【0016】
また、TVカメラ4には図2および図3(A)に示すスコープ着脱部16が設けられている。このスコープ着脱部16にはスコープ1の接眼部5が嵌合される略円筒状の嵌合部17が設けられている。この嵌合部17の筒内にはスコープ1の接眼部5が嵌合され、これによってスコープ1の光軸とTVカメラ4の光軸とを正確に合わせることができるようになっている。
【0017】
また、嵌合部17の筒壁部には図2に示すように3つの押圧ピン18が周方向に均等に配設されている。さらに、嵌合部17の外周面には回転リング19が周方向に回動可能に装着されている。この回転リング19の内周面には図2に示すように内カム曲線部20が形成されている。この内カム曲線部20には内方に向けて突設された内方突設部20aと、この内方突設部20aよりも径寸法が大きい凹陥部20bとが形成されている。そして、回転リング19の回転時には内カム曲線部20の内方突設部20aによって3つの押圧ピン18が内方に向けて押し出されるようになっている。さらに、回転リング19の回転にともない内カム曲線部20の内方突設部20aが3つの押圧ピン18から外れて内カム曲線部20の凹陥部20bが3つの押圧ピン18と対向配置されている状態では3つの押圧ピン18を内方に向けて押し出す押し出し力がなくなるので、3つの押圧ピン18が回転リング19の各凹陥部20b内にそれぞれ収容された状態に戻されるようになっている。
【0018】
なお、TVカメラ4のズームレンズ7による拡大後の観察で従来同様の解像度を有するためには、高解像度化した専用のスコープ1を光軸に正確に取り付けることが望ましい。ここで、専用のスコープ1の接眼部5の外周面には3つの押圧ピン18が挿入されるリング状の凹陥部24が形成されている。そして、図3(A)に示すようにTVカメラ4の嵌合部17の筒内にスコープ1の接眼部5が嵌合されたのち、回転リング19が回転駆動された際に、内カム曲線部20の内方突設部20aによって3つの押圧ピン18が接眼部5の凹陥部24に均等に押し付けられることでスコープ1がTVカメラ4に確実に固定されるようになっている。
【0019】
また、嵌合部17の外周面には図2に示すように円弧状の圧縮ばね収容溝17aが形成されている。この圧縮ばね収容溝17a内には回転リング19の締め付け用の圧縮ばね21が配設されている。この圧縮ばね21の一端部には回転リング19の凹陥部20bの内周面に内方に向けて突設されたピン19aに取付けられている。
【0020】
さらに、回転リング19には回転リング19の締め付け解除ノブ23が取付けられている。そして、回転リング19の締め付けは円周方向に圧縮された圧縮ばね21で行い、解除ノブ23によって容易にスコープ1の着脱を行うことができるようになっている。
【0021】
なお、図3(A)に示す高解像度化した専用のスコープ1以外の図3(B)に示すような一般的なスコープ1の接眼部22には、円錐状のスロープ25が形成されているが、本実施の形態のスコープ着脱部16では、3つの押圧ピン18がスロープ25を押しつけるので一般的な接眼部22も正確に取り付けることがでるようになっている。
【0022】
また、図4はTVカメラ4の内部構成を示すものである。このTVカメラ4にはケーシング4a内にフォーカス機構41と、ズームレンズ7の駆動機構であるズーム機構42と、CCD移動機構8とが装着されている。ここで、フォーカス機構41には、フォーカスリング26と、カム溝27を有する円筒カム28と、フォーカシングレンズ29と、このフォーカシングレンズ29のレンズ枠29aに取り付けられたフォーカスピン30とが設けられている。そして、このフォーカス機構41はフォーカスリング26を回転させることにより、円筒カム28のカム溝27によってフォーカスピン30がTVカメラ4の光軸方向に沿って前後に移動され、フォーカシングレンズ29がTVカメラ4の光軸方向に沿って前後に移動するようになっている。
【0023】
また、ズーム機構42には、円筒状の外筒部材42aと、この外筒部材42aの内部に配設された内筒部材42bと、大径な第1のレンズ枠42cと、小径な第2のレンズ枠42dとが設けられている。ここで、外筒部材42aの後端部には外方向に突出されたフランジ状の屈曲部31が形成されている。この屈曲部31の外周面には歯車32が形成されている。この歯車32には図5に示すように略円弧状の切欠き部33が形成されている。
【0024】
また、内筒部材42bには2つのカム溝34a,34bが形成されている。ここで、一方のカム溝34aには第1のレンズ枠42cの外周面に突設されたカムピン36aが係合され、他方のカム溝34bには第2のレンズ枠42dの外周面に突設されたカムピン36bが係合されている。
【0025】
さらに、第1のレンズ枠42cの前端部には複数のレンズからなる前部レンズ群35aが装着されている。また、第2のレンズ枠42dには複数のレンズからなる後部レンズ群35bが装着されている。そして、TVカメラ4のズームレンズ7はこれらの前部レンズ群35aと後部レンズ群35bとによって構成されている。
【0026】
また、TVカメラ4の内部にはズーム機構42の電動回転機構42eが設けられている。この電動回転機構42eには図5に示すようにステッピングモータ38と、このモータ38のモータ軸に固定されたピニオンギア39と、減速ギア37とが設けられている。ここで、減速ギア37には同軸上に大径ギア37aと、小径ギア37bとが固定されている。そして、この減速ギア37の大径ギア37aはピニオンギア39に噛合され、小径ギア37bは外筒部材42aの歯車32に噛合されている。なお、歯車32の切欠き部33によって規制される外筒部材42aの回転範囲の略中央位置にフォトインタラプタ40が配設されている。
【0027】
そして、ズーム機構42の動作時には電動回転機構42eのステッピングモータ38の回転が減速ギア37により減速された状態で、歯車32に伝わり、外筒部材42aが回転駆動される。このときの外筒部材42aの回転により、カムピン36a,36bがカム溝34a,34bにガイドされながらそれぞれTVカメラ4の光軸方向に沿って進退動作する。これにより、第1のレンズ枠42cの前部レンズ群35aと、第2のレンズ枠42dの後部レンズ群35bとの間の相対的な位置が変化し、TVカメラ4の拡大率が可変される。
【0028】
さらに、ズーム機構42の動作時には歯車32の切欠き部33をフォトインタラプタ40で検出することで、原点位置が検出され、その後、ステッピングモータ38に送られるパルス数によってズーム機構42の外筒部材42aの回転角および対応する拡大率が設定される。
【0029】
また、図6(A),(B)および図7はTVカメラ4に設けられたCCD移動機構8を示すものである。このCCD移動機構8には略矩形枠状のベース板43が設けられている。
【0030】
このベース板43上にはTVカメラ4の光軸に対し垂直面内でX方向(図6(A)中で、左右方向)に移動可能に支持されたRLプレート46aと、このRLプレート46aの移動方向(X方向)と直交するY方向(図6(A)中で、上下方向)に移動可能に支持されたUDプレート46bと、これらのRLプレート46aおよびUDプレート46bによってX方向およびY方向にそれぞれ移動可能に支持されたCCD台座52とが設けられている。ここで、CCD台座52には図6(B)に示すようにCCD6と、赤外カットフィルタ53とが離間対向配置された状態で取付けられている。
【0031】
また、ベース板43上には図6(A)中で、上下1組の平行なガイド軸60aと、左右1組の平行なガイド軸60bとが配設されている。これらの上下1組のガイド軸60aおよび左右1組のガイド軸60bは固定ピン44とねじ45でベース板43上に固定されている。そして、RLプレート46aはガイド軸60aに沿って図6(A)中で、左右方向に移動可能に支持されている。同様に、UDプレート46bはガイド軸60bに沿って図6(A)中で、上下方向に移動可能に支持されている。
【0032】
また、RLプレート46aの中央には図7に示すようにX方向に延設された角穴47aが設けられている。さらに、UDプレート46bの中央には図7に示すようにY方向に延設された角穴47bが設けられている。
【0033】
また、CCD移動機構8のベース板43にはRLプレート46aの駆動モータであるRLステッピングモータ48aおよびUDプレート46bの駆動モータであるUDステッピングモータ48bがステッピングモータ台62a,62bを介してそれぞれ固定されている。ここで、RLステッピングモータ48aには送りねじ49aの一端部が固定されている。さらに、UDステッピングモータ48bには送りねじ49bの一端部が固定されている。
【0034】
また、RLプレート46aには一方のガイド軸60aとの係合部側にナット部材取付け溝61が形成されている。このナット部材取付け溝61にはナット部材50aがはめ込まれている。このナット部材50aには送りねじ49aが螺挿されるねじ穴と、棒状のナットガイド120aの挿入孔とがそれぞれ形成されている。ここで、ナットガイド120aは送りねじ49aよりもベース板43から離れた位置に固定されている。そして、このナットガイド120aによってナット部材50aがベース板43に対して傾くことを規制するようになっている。
【0035】
また、RLステッピングモータ48aにより送りねじ49aが回転駆動された場合にはこの送りねじ49aの回転にともない送りねじ49aとナット部材50aとの螺合部を介してRLステッピングモータ48aの回転運動が直動運動に変換され、RLプレート46aが図6(A)中で、左右方向に移動されるようになっている。
【0036】
また、UDプレート46bの一方のガイド軸60bとの係合部側にはピン51が固定されている。このピン51はナット部材50bの溝にはめ込まれている。このナット部材50bには送りねじ49bが螺挿されるねじ穴と、棒状のナットガイド120bの挿入孔とがそれぞれ形成されている。ここで、ナットガイド120bは送りねじ49bよりもベース板43から離れた位置に固定されている。そして、このナットガイド120bによってナット部材50bがベース板43に対して傾くことを規制するようになっている。
【0037】
また、UDステッピングモータ48bにより送りねじ49bが回転駆動された場合にはこの送りねじ49bの回転にともない送りねじ49bとナット部材50bとの螺合部を介してUDステッピングモータ48bの回転運動が直動運動に変換され、UDプレート46bが図6(A)中で、上下方向に移動されるようになっている。
【0038】
また、CCD台座52の下面には角状の突起部55が突設されている。この突起部55はRLプレート46aの角穴47aおよびUDプレート46bの角穴47b内に挿入され、下から台座ドメ54がねじ止め固定されている。そして、CCD台座52と台座ドメ54との間でUDプレート46bとRLプレート46aとをはさみ込むことにより、UDプレート46bおよびRLプレート46aがガイド軸60a,60bにそれぞれ摺動可能に押しつけられている。
【0039】
これにより、本実施の形態のCCD移動機構8ではUDプレート46bがY方向に移動する動作に連動してCCD台座52の突起部55はRLプレート46aの角穴47aに沿ってY方向に摺動するとともに、RLプレート46aがX方向に移動する動作に連動してCCD台座52の突起部55はUDプレート46bの角穴47bに沿ってX方向に摺動するようになっているので、RLプレート46aおよびUDプレート46bと連動してCCD台座52が上下左右に移動するようになっている。その結果、ステッピングモータ48aの動作によりCCD6はX方向に移動し、ステッピングモータ48bの動作によりCCD6はY方向に移動するようになっている。
【0040】
また、RLプレート46aのナット部材50aには遮光板56a、UDプレート46bのナット部材50bには遮光板56bがそれぞれ設けられている。さらに、ステッピングモータ台62a,62bにはフォトインタラプタ57a,57bがそれぞれ設けられている。そして、フォトインタラプタ57a,57bで遮光板56a,56bの位置を検出することで、CCD6の原点位置を検出した後、ステッピングモータ48a,48bに送られるパルス数によってCCD6の上下・左右の位置が設定されるようになっている。
【0041】
また、CCD6にはフレキシブル基板58の一端が接続されている。このフレキシブル基板58の他端はTVカメラ4内のコネクタ59に接続されている。なお、フレキシブル基板58はCCD6の移動に対応できるよう中間部が折り返されている。
【0042】
なお、ステッピングモータ48a,48bは、ベース板43に対してCCD6と反対側の面に固定されているため、同じ面に固定される場合に比べて小型に構成される。
【0043】
また、TVカメラ4には同軸ケーブル構造のカメラケーブル63の一端部が連結されている。このカメラケーブル63の中心部には図8(B)に示すように複数のCCDケーブル64が配設されている。このCCDケーブル64はCCD6からの映像信号・制御信号を送受信するケーブルである。さらに、このCCDケーブル64の周囲にはチューブ状のシールド線66aおよび樹脂の外皮チューブ67aを介して複数のモーターケーブル65が並設されている。このモーターケーブル65はモータ制御およびスイッチ操作の各制御信号を伝送するケーブルである。また、このカメラケーブル63の外周面にはチューブ状のシールド線66bおよび樹脂の外皮チューブ67bが被覆されている。
【0044】
また、カメラケーブル63の他端部には図8(A)に示すように鉗子追尾装置10に接続されるモーターケーブルコネクタ68が連結されている。このモーターケーブルコネクタ68の先端部には複数のピン69が並設されている。これらのピン69にはカメラケーブル63の外周部側に配置されているモーターケーブル65が接続されている。そして、モーターケーブル65はモーターケーブルコネクタ68を介して鉗子追尾装置10と着脱可能に接続されている。
【0045】
また、モーターケーブルコネクタ68の基端部にはカメラケーブル63の中心部側に配置されているCCDケーブル64が外皮チューブ67aごと引き出されて分岐ケーブル68aが形成されている。この分岐ケーブル68aの先端部にはCCDケーブルコネクタ70が連結されている。そして、このCCDケーブルコネクタ70はCCU11に着脱可能に接続されている。
【0046】
なお、CCDケーブル64には、微弱な高周波を伝送するため、長さやインピーダンスを整合する必要があるが、カメラケーブル63が分岐してもCCDケーブル64の電気的な接続は一本のケーブルを用いた場合と同じなので、従来のTVカメラと互換性を保つことができる。
【0047】
また、鉗子追尾装置10は、図9に示すようにA/Dコンバータ71、画像演算処置回路72、アクチュエータ制御回路(撮像範囲復帰手段)73から構成されている。ここで、A/Dコンバータ71はCCU11に接続されている。そして、TVカメラ4のCCD6の映像信号はCCU11によりNTSCや、RGB等の映像信号に変換され、このCCU11から出力される映像信号は、A/Dコンバータ71に取り込まれるようになっている。
【0048】
また、A/Dコンバータ71は画像演算処置回路72を介してアクチュエータ制御回路73に接続されている。このアクチュエータ制御回路73にはCCD移動機構8に用いられるアクチュエータ74と、原点復帰スイッチ9と、操作スイッチ12とが接続されている。ここで、アクチュエータ74には図7に示す本実施の形態のRLステッピングモータ48aおよびUDステッピングモータ48bの他、例えばDCサーボモータ、ボイスコイル、圧電振動子を使用したアクチュエータ、超音波モータ、形状記憶合金等が使用できる。
【0049】
また、A/Dコンバータ71は、画像演算処理回路72で画像演算処理を行うためアナログの映像信号をデジタル信号に変換するものである。さらに、画像演算処理回路72は、CCD6に撮像される鉗子14の先端部15の位置を求め、さらに、CCD移動機構8のCCD台座52の位置、移動量を求め、アクチュエータ74の位置、移動量に関する指令をアクチュエータ制御回路73に送るようになっている。なお、鉗子14の先端部15の位置を検出する方式は、図10に示すように鉗子14の先端部15に設けた色マーカの重心位置を検出する方式や、鉗子14の形状を抽出し、モデルマッチングにより先端位置を検出する方式がある。
【0050】
また、アクチュエータ制御回路73では、画像演算処理回路72で求められた位置、移動量に関する指令通りにアクチュエータ74が動作するように制御を行う。ここで、アクチュエータ74が本実施の形態のRLステッピングモータ48aおよびUDステッピングモータ48bの場合にはオープンループ制御を、DCモータの場合にはエンコーダからの帰還信号を使用したクローズドループ制御を行う。また、前述のように操作スイッチ12の状態により、以上の制御の有効/無効の切り換えがなされる。
【0051】
さらに、アクチュエータ制御回路73にはCCD移動機構8の駆動によって移動されCCD6の中心点Qの位置を予め設定された基準位置、例えば図11に示すように内視鏡像円75の中心位置Oである原点77に復帰させるようにCCD移動機構8を駆動する撮像範囲復帰手段が設けられている。そして、この撮像範囲復帰手段は原点復帰スイッチ9の操作により、CCD移動機構8の動作を制御してCCD6の中心点Qの位置を原点77に復帰させるようになっている。
【0052】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の内視鏡装置の使用時には図1(A)に示すようにスコープ1の挿入部1aは予め患者の体腔内に刺入されたトラカール3に挿通され、体腔内を観察するように体腔内に挿入される。さらに、患者の体腔内にはスコープ1とは別の場所から鉗子14が挿入される。このとき、鉗子14の先端部15がスコープ1の接眼部5による視野範囲R1 内に挿入される状態にセットされる。
【0053】
また、スコープ1の観察像はTVカメラ4によって撮像され、表示モニタ13に表示される。ここで、図1(B)に示すようにTVカメラ4のズームレンズ7を経てCCD6に撮像される観察像の視野範囲R2 はスコープ1の接眼部5による視野範囲R1 より小さくなっており、スコープ1の接眼部5による視野範囲R1 の一部の観察像がCCD6によって撮像される。
【0054】
また、CCD6の移動によりCCD6に投射される視野範囲R2 が移動される。ここで、CCD6を移動させるCCD移動機構8は鉗子追尾装置10により制御される。
【0055】
また、鉗子追尾装置10による制御中のCCD6の移動位置は、鉗子追尾装置10により検出された鉗子14の先端部15の位置が表示モニタ13の概ね中央に配置されるように制御される。
【0056】
さらに、CCD6の移動制御は、操作スイッチ12の状態により鉗子14の先端部15の追尾機能の有効/無効の切り換え操作が行われる。例えば、操作スイッチ12を押下時のみ、鉗子追尾装置10により検出された鉗子14の先端部15の位置が表示モニタ13の概ね中央に配置されるように、鉗子14の先端部15の位置に追従してCCD6の移動位置が制御される。
【0057】
また、TVカメラ4によるスコープ1の観察像の撮像中、操作スイッチ12の操作ボタンが押下操作された場合には鉗子追尾装置10による鉗子14の先端部15の追尾機能が作動する。この鉗子追尾機能の作動時にはCCD6の映像信号がCCU11によりNTSCや、RGB等の映像信号に変換される。さらに、このCCU11から出力される映像信号は、A/Dコンバータ71に取り込まれたのち、画像演算処理回路72に送られ、この画像演算処理回路72でA/Dコンバータ71からの出力信号にもとづいて図10のフローチャートに示す画像演算処理が行われ、鉗子14の先端部15の位置が求められる。
【0058】
また、本実施の形態では、鉗子14の先端部15の位置情報を検出する位置検出手段として鉗子14の先端部15に色マーカーを設けるとともに、画像演算処理回路72には色相関演算回路を設けている。
【0059】
そして、まずTVカメラ4で撮像された手術部位の観察画像の取り込みが行われる(ステップS1)。この画像はビデオ信号に変換された後、色相関演算回路に入力される。この色相関演算回路ではTVカメラ4で撮像された鉗子14の先端部15の色マーカーの色の抽出が行われ(ステップS2)、鉗子14の先端部15の色マーカーの3軸(x軸,y軸,z軸)の位置と、方位が検出される。この位置情報にもとづいて回転・並進の座標変換演算を行い、2値化(ステップS3)、重心演算(ステップS4)、鉗子14の先端部15の位置の推定(ステップS5)の各ステップが順次行われたのち、拡大率、座標軸の補正演算が行われ(ステップS6)、鉗子14の先端部15の位置が算出される。
【0060】
この処理により算出された鉗子14の先端部15の位置の算出データからCCD6の移動量の演算が行われる(ステップS7)。このとき、CCD移動機構8のCCD台座52の位置、移動量を求め、アクチュエータ74の位置、移動量に関する指令、すなわちCCD6の移動量のデータが出力される(ステップS8)。
【0061】
続いて、この画像演算処理回路72から出力される信号がアクチュエータ制御回路73に入力される。このアクチュエータ制御回路73では画像演算処理回路72で求められた鉗子14の先端部15の位置およびCCD6の移動量に関する指令通りにアクチュエータ74が動作するようにアクチュエータ74の制御信号が出力される。
【0062】
そして、このアクチュエータ制御回路73からの制御信号によってアクチュエータ74のRLステッピングモータ48aおよびUDステッピングモータ48bがそれぞれ駆動され、CCD移動機構8のCCD6の位置がその光軸方向と直交する方向に移動される。したがって、鉗子追尾装置10による鉗子14の先端部15の追尾機能の作動中は、TVカメラ4によって撮像される鉗子14の先端部15を追尾する状態でTVカメラ4の撮像範囲を変更する鉗子14の先端部15の追尾動作が行なわれる。
【0063】
また、表示モニタ13の概ね中央に鉗子14の先端部15が表示されていない状態で、操作スイッチ12を押した場合に、鉗子14の先端部15が予め指定された速度で表示モニタ13の中央に移動するように、CCD6の移動制御が行われる。
【0064】
また、拡大・縮小スイッチ88a,88bを操作することによって、鉗子追尾装置10によりズームレンズ7が駆動され、内視鏡像を拡大縮小することができる。
【0065】
次に、原点77から適宜の方向に移動した後のCCD6の撮像範囲を予め設定された基準位置に復帰させる撮像範囲復帰手段の動作について説明する。まず、スコープ1の接眼部5からの観察画像の全ては図11に示すように内視鏡鏡像円75に結像され、その一部がCCD6によって切り出される。
【0066】
この場合、内視鏡像円75の中心位置Oを原点77とし、CCD6の位置は原点77に対するCCD6の中心点Qのx方向およびy方向の各位置成分データ(x,y)として表される。なお、図11は、ズームレンズ7で拡大された内視鏡像円75と、CCD6の撮像範囲I0 ,I1 との位置関係を示すものである。ここで、点線の矩形枠I0 は原点77の位置でのCCD6の撮像範囲、実線の矩形枠I1 はCCD6の中心点Qが(x,y)の位置まで移動された際のCCD6の撮像範囲をそれぞれ示すものである。
【0067】
また、原点77から適宜の方向に移動した後のCCD6の中心点Qの位置は原点77に対するCCD6の中心点Qのx方向およびy方向の各位置成分データ(x,y)として表される。なお、原点77およびCCD6の中心点Qの位置成分データ(x,y)は、CCD移動機構8の遮光板56a,56bとフォトインタラプタ57a,57bで得られた位置からのステッピングモータ48a,48bの駆動パルス数より求められる。
【0068】
そして、原点復帰スイッチ9が押されると、アクチュエータ制御回路73の撮像範囲復帰手段により、CCD6の中心点Qの位置成分データ(x,y)が原点77の位置データと一致するように、ステッピングモータ48a,48bの駆動パルス数が計算され、その計算結果にもとづいてモータ48a,48bが駆動されてCCD6の中心点Qが原点77の位置と一致する位置までCCD6が移動される。
【0069】
なお、内視鏡像円75の径は、ズームレンズ7の拡大率と比例して変化する。例えば、ズームレンズ7の拡大率が小さくなれば内視鏡像円75の径は図12に示すように小さくなる。そして、図12に示すようにCCD6の撮像範囲Iの対角長79に対して内視鏡像円75の径がやや小さくなれば、内視鏡像の大部分がCCD6に結像されることになり、これがズームレンズ7の拡大率の原点となる。この場合、内視鏡像円75に撮像された内視鏡像がCCD6に切り出される画像全体となるので、この状態でスコープ1の位置を観察したい対象物が全て入るように設定することで、視野変換機能を最大に有効に生かすことができる。
【0070】
また、原点復帰スイッチ9を操作したときには、CCD6の中心点Qの位置が原点77に戻されるとともに、ズームレンズ7の拡大率が図12に示す原点に戻るようにズームレンズ7が駆動される。
【0071】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、鉗子14の先端部15を検出し、この鉗子14の先端部15を追尾する状態で、スコープ1の視野を変換することができるので、術者が観察したい方向に鉗子14の先端部15を動かすとその方向にスコープ1の視野方向が変換される。そのため、両手で鉗子14等の処置具を持ち、処置を行っている最中でも術者自身でスコープ1の視野範囲Iを変更できる。
【0072】
また、術者は、スコープ1を所望の視野方向が得られるように動かすように助手に指示する必要がなくなるとともに、また、助手もスコープ1を操作する必要がなくなるので、内視鏡下の手術の作業性を大幅に高めることができる。
【0073】
さらに、鉗子追尾装置10による視野方向変更の際にはスコープ1自体が動かないので、術者の処置作業に影響を与えたり、患者に無理は力を作用させることが無い。
【0074】
また、スコープ1の視野方向変更の際にはTVカメラ4内のCCD移動機構8を動作させれば良いので、スコープ1全体を動かす方法よりも安価に実現できる。さらに、CCD6の画素を全て使用するので、良好な画質が得られる。
【0075】
また、CCD移動機構8で、RLステッピングモータ48aおよびUDステッピングモータ48bが、ベース板43に対してCCD6と反対側の面に固定されているため、同じ面に固定される場合に対してCCD移動機構8全体が小型に構成される。
【0076】
さらに、本実施の形態ではCCD移動機構8でスライダとなるUDプレート46bおよびRLプレート46aが平行なガイド軸60a,60bによってそれぞれ摺動可能に支持されているため安価に構成できる。
【0077】
また、原点復帰スイッチ9の操作時にはCCD6の撮像範囲Iを予め設定された基準位置である原点77に復帰させるようにCCD移動機構8を駆動するようにしたので、CCD6の撮像範囲Iを簡単に原点77に復帰させることができる。そのため、スコープ1の交換、体腔内へのスコープ1の挿入・抜去時、鉗子14の先端部15の検出の失敗、観察方向が不明なときなどに原点復帰スイッチ9を操作してCCD6の撮像範囲Iを原点77に復帰させることにより、スコープ1の観察方向とスコープ1の向きとを一致させることができるので、スコープ1を直観的に操作できる。
【0078】
また、原点復帰スイッチ9を操作したときにズームレンズ7の拡大率が図12に示す原点に戻るようにズームレンズ7が駆動されるようにしたので、この状態でスコープ1の内視鏡像全体が観察できる。そのため、この後、拡大・縮小スイッチ88a,88bを操作して、鉗子追尾装置10によりズームレンズ7を駆動し、内視鏡像を縮小することにより、スコープ1の位置を視野変換動作が最も有効なようにセッティングすることができる。
【0079】
また、図13は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図12参照)の構成の内視鏡装置における鉗子14の手元側の操作部14aに手元スイッチ(コントローラ)81を着脱自在に設け、この手元スイッチ81上に、鉗子14の追尾機能を指示するスイッチ82と原点復帰スイッチ83を設けたものである。
【0080】
そこで、上記構成のものにあっては鉗子14の手元側の操作部14aに手元スイッチ81を設けたので、鉗子14の手元側の操作部14aを操作している術者が術中に容易に原点復帰スイッチ83を操作することができ、原点復帰操作を一層簡単に行うことができる効果がある。
【0081】
また、図14は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態では操作ボタンユニット(コントローラ)86を設け、この操作ボタンユニット86の操作パネル86aに第1の実施の形態(図1乃至図12参照)の原点復帰スイッチ9と、拡大・縮小スイッチ88a,88bとをそれぞれ配設するとともに、スコープ1の視野方向を上下左右の各方向に変更するための上下左右の各操作ボタン87a,87b,87c,87dをそれぞれ配設したものである。この操作ボタンユニット86は床、鉗子14の操作部14a、あるいはベットサイド等に設置して使用される。
【0082】
また、本実施の形態では第1の実施の形態の鉗子追尾装置10が視野制御装置に、また操作スイッチ12が位置指令手段である操作ボタンユニット86にそれぞれ置き換えられている。そして、操作ボタンユニット86の上下左右の各操作ボタン87a,87b,87c,87dの操作によって位置の制御信号が出力され、スコープ1の視野方向の制御が行われるとともに、拡大・縮小スイッチ88a,88bの操作によって視野の拡大、縮小が行われる構成になっている。なお、図14中の操作ボタンユニット86の符号T,Wは拡大、縮小にそれぞれ対応し、U,D,R,Lは上下左右にそれぞれ対応している。
【0083】
そして、本実施の形態の内視鏡装置の使用時には術者による操作ボタンユニット86の各操作ボタンによる指示に従って、術者の処置作業を妨げることなく、スコープ1の視野範囲を制御することができるとともに、原点復帰スイッチ9を操作することにより、CCD6の撮像範囲Iを原点77に復帰させることができる。
【0084】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では術者の近傍に操作ボタンユニット86を設けることができるため、操作性が向上する。
【0085】
また、図15(A),(B)は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第1の実施の形態(図1乃至図12参照)のTVカメラ4に操作パネル(コントローラ)91を設け、この操作パネル91にスコープ1の視野範囲の拡大を制御する視野拡大ボタン92、視野範囲の縮小を制御する視野縮小ボタン93および原点復帰スイッチ94を設けたものである。
【0086】
そして、本実施の形態ではTVカメラ4の操作パネル91に配設される操作ボタンの数を、カメラ4の位置設定や、スコープ1との着脱時に必要な視野拡大ボタン92、視野縮小ボタン93および原点復帰スイッチ94の3個のみ等に制限して設けることができる。さらに、TVカメラ4に操作パネル91を設けることで、手術台付近の配線を減らすことができる。
【0087】
また、図16は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第3の実施の形態(図14参照)の操作ボタンユニット86に接続ケーブル101の一端部を連結するとともに、この接続ケーブル101の他端部に防水コネクタ102を連結し、この防水コネクタ102を第1の実施の形態(図1乃至図12参照)のTVカメラ4に着脱可能に取付ける構成にしたものである。この場合も、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0088】
また、図17は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図12参照)のスコープ保持具2によってTVカメラ4を直接支持させる構成にしたものである。この場合、スコープ保持具2とTVカメラ4との間はカプラ111で着脱可能に連結されている。
【0089】
さらに、TVカメラ4のカプラ111には原点復帰スイッチ112が設けられている。この原点復帰スイッチ112はカプラ111が切り離されるとONになる着脱連動スイッチによって構成されている。そして、スコープ1を体腔外に取り出すときにはスコープ保持具2とTVカメラ4との間を着脱する際に、CCD6の撮像範囲Iが自動的に原点77に復帰されるようになっている。
【0090】
そこで、上記構成のものにあってはスコープ1を体腔外に取り出すときにはスコープ保持具2とTVカメラ4との間を着脱する際に、CCD6の撮像範囲Iが自動的に原点77に復帰されるようにしたので、スコープ1の観察方向とスコープ1の光軸方向とを一致させ、スコープ1を直観的に操作でき、スコープ1の操作性を高めることができる効果がある。
【0091】
また、図18〜図20は本発明の第7の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態のTVカメラ4の内部にスコープ1の脱着動作に連動して機械的にCCD6の撮像範囲Iを自動的に原点77に復帰させる機械的原点復帰機構121を設けたものである。
【0092】
ここで、TVカメラ4の内部には図18に示すようにズームレンズ7と、CCD6との間の光路を曲げる2つの回動ミラー122a,122bが配設されている。一方の回動ミラー122aはステッピングモータ123aの回動軸に固定されている。また、他方の回動ミラー122bはステッピングモータ123bの回動軸に固定されている。
【0093】
そして、スコープ1の接眼部5からTVカメラ4に送られる入射光(内視鏡像)の光路はズームレンズ7を通った後、一方の回動ミラー122aによって下向きに略90°に曲げられるとともに、この回動ミラー122aからの反射光は他方の回動ミラー122bによって横向きに略90°に曲げられてCCD6に結像されるようになっている。ここで、回動ミラー122aが回転するとCCD6に入射される内視鏡像は左右に移動し、回動ミラー122bが回転すると入射される内視鏡像は上下に移動するようになっている。
【0094】
また、ズームレンズ7のアクチュエータとしてステッピングモータ124が設けられている。このステッピングモータ124の回転軸にはボールねじ125の基端部が連結されている。
【0095】
また、ズームレンズ7のレンズ枠126には突設部127が横向きに突設されている。この突設部127にはボールねじ125と螺合するボールねじ機構のねじ穴が形成されている。そして、ステッピングモータ124の駆動時にはボールねじ125の回転にともない突設部127とともにレンズ枠126が光軸方向に移動され、このレンズ枠126の移動によりズームレンズ7が光軸方向に移動し、内視鏡像が拡大または縮小されるようになっている。
【0096】
また、TVカメラ4のスコープ着脱部16には図19に示すように回転リンク128が支持ピン129を中心に回動可能に連結されている。この回転リンク128の基端部(支持ピン129よりも後方)側には略L字状に屈曲されたL字状屈曲部130が形成され、このL字状屈曲部130の先端部には略山形の凹陥部130aが形成されている。
【0097】
さらに、回転リンク128の先端部(支持ピン129よりも前方)側には略L字状に屈曲された突当て部131が形成されている。また、回転リンク128の基端部側には突当て部131を図19に示すように嵌合部17の外側に突出させた状態で保持するリターンスプリング132が配設されている。
【0098】
また、回動ミラー122aの回転軸の軸端部には回転リンク128の凹陥部130aと係脱可能に係合する略山形の係合部133が形成されている。そして、この係合部133に回転リンク128の凹陥部130aが係合された場合には図19に示すように回動ミラー122aはCCD6の中央に光軸が配置される位置で固定されるようになっている。
【0099】
また、TVカメラ4のスコープ着脱部16の嵌合部17にスコープ1の接眼部5が嵌合された場合には図20に示すようにスコープ1の接眼部5が回転リンク128の突当て部131に突当てられ、回転リンク128が跳ね上がるようになっている。このとき、回動ミラー122aの係合部133と回転リンク128の凹陥部130aとの間の係合が解除され、回動ミラー122aはステッピングモータ123aにより回転駆動されるようになっている。
【0100】
そして、図19に示すようにスコープ1の接眼部5がTVカメラ4のスコープ着脱部16から外された場合には、回転リンク128はリターンスプリング132のばね力で押し下げられ、回転リンク128の凹陥部130aが回動ミラー122aの係合部133に係合され、回動ミラー122aは光軸がCCD6の中央になる位置に固定される。
【0101】
なお、図19,20では、一方のミラー122aのチルト機構について示したが、他方のミラー122bも同様の構成のチルト機構が設けられている。この結果、スコープ1の接眼部5がTVカメラ4のスコープ着脱部16から外されるとCCD6の撮像範囲Iを自動的に原点77に復帰させる機械的原点復帰機構121が構成される。
【0102】
そこで、上記構成のものにあってはTVカメラ4の内部にスコープ1の脱着動作に連動して機械的にCCD6の撮像範囲Iを自動的に原点77に復帰させる機械的原点復帰機構121を設けたので、スコープ1の接眼部5がTVカメラ4のスコープ着脱部16から外される動作と連動して自動的に原点復帰させることができる。そのため、制御装置(鉗子追尾装置10)の故障や、制御装置が切り離された場合でもTVカメラ4の内部のCCD6の撮像範囲Iを強制的に原点77に復帰させることができる。
【0103】
また、図21は本発明の第8の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第7の実施の形態(図18〜図20参照)の機械的原点復帰機構121のステッピングモータ122a,122bに代えてガルバノメータモータ141を使用して電流を切るだけで自動的に原点復帰される原点復帰機構142を設けたものである。
【0104】
ガルバノメータモータ141には、永久磁石143と、コイル144と、ねじりばね145とが設けられている。そして、コイル144に通電した電流に比例した回転角に2つの回動ミラー122a,122bが駆動されるようになっている。ここで、コイル144への通電をやめれば、ねじりばね145の復元力により2つの回動ミラー122a,122bが原点位置に復帰する。
【0105】
そこで、上記構成のものにあってはガルバノメータモータ141への通電電流を切るだけで自動的に原点復帰されるので、原点復帰のための特別の機構が不要となる。さらに、制御装置(鉗子追尾装置10)が故障した場合でも、電源を切れば自動的に原点復帰が行える効果がある。
【0106】
また、図22(A)〜(C)および図23は本発明の第9の実施の形態を示すものである。本実施の形態はCMD(Charge Modulation Device)を使用して視野変換動作が可能なCMDカメラ151を組み込んだ内視鏡装置を設けたものである。
【0107】
本実施の形態の内視鏡装置には図22(A)に示すように第1の実施の形態(図1乃至図12参照)のスコープ1の接眼部5にCMDカメラ151が連結されている。このCMDカメラ151にはケーシング151a内に固定倍率の撮像レンズ152およびCMD153が配設されている。さらに、CMDカメラ151のケーシング151aには、第1の実施の形態と同様の原点復帰スイッチ9が設けられている。
【0108】
また、CMD153にはCMD制御装置154が接続されている。さらに、このCMD制御装置154には第1の実施の形態と同様の表示モニタ13および操作スイッチ12、拡大・縮小スイッチ88a、88bがそれぞれ接続されている。
【0109】
また、CMD153は、フォトトランジスタである画素155が2次元的に配列された構造になっており、それぞれの画素155を独立に読み出せるという特徴がある。そして、このCMD153としては現在のテレビ信号に要求されるよりも数倍多い画素155を有する素子が実用化されている。
【0110】
さらに、CMDカメラ151には電子ズーム機能および電子切り出し機能が設けられている。ここで、電子ズーム機能は図22(B)に示すようにCMD153の画素155の集合体全体から、隣接する画素155を1つ置きに間引いて読み出し、表示モニタ13に表示する。なお、図22(B)中で、155aは電子ズーム機能で読み出された画素、155bは読み出されていない画素をそれぞれ示す。このとき、画素155の集合体全体からの間引き率を変えることにより画像をズーム動作(拡大・縮小)した場合と同じ効果、すなわち電子ズーム動作を行うことができる。
【0111】
また、電子切り出し機能は図22(C)に示すようにCMD153の画素155の集合体全体から一部の領域156を読みだし、表示モニタ13に表示することで、CMD153の画素155の集合体全体に撮像された画像全体から一部分の画像を切り出す、即ち電子切り出し動作を行うことができる。
【0112】
そして、電子ズーム機能および電子切り出し機能を組み合わせることで、第1の実施の形態のCCD移動機構8と、ズーム機構42と同様の作用が得られる。ここで、CMD153に100万画素以上の高密度のものを用いることで、電子ズーム動作および電子切り出し動作を行っても、現在のNTSCテレビ信号と同等の画質の画像を得ることができる。
【0113】
また、図23はCMD制御装置154全体の概略構成を示すものである。このCMD制御装置154は、CMD映像信号回路157、A/Dコンバータ158、画像演算処理回路159、CMD駆動回路160から構成される。ここで、CMD映像信号回路113には表示モニタ13が接続されているとともに、CMD153およびA/Dコンバータ158がそれぞれ接続されている。
【0114】
さらに、CMD制御装置154のCMD駆動回路160には操作スイッチ12、原点復帰スイッチ9、拡大・縮小スイッチ88a、88bがそれぞれ接続されているとともに、CMD153および画像演算処理回路159がそれぞれ接続されている。
【0115】
そして、CMD153の映像信号はCMD映像信号回路157によりNTSCや、RGB等の映像信号に変換される。さらに、この映像信号は、A/Dコンバータ158に取り込まれる。このA/Dコンバータ158では、アナログの映像信号をデジタル信号に変換する。そして、このA/Dコンバータ158から出力されるデジタル信号が画像演算処理回路159に入力され、この画像演算処理回路159で画像演算処理が行われる。
【0116】
また、画像演算処理回路159は、鉗子14の先端部15の位置を求め、CMD153の切り出し位置の指令をCMD駆動回路160に送る。ここで、鉗子14の先端部15の位置を検出する方式は、第1の実施の形態の鉗子14の先端部15に設けた色マーカの重心位置を検出する方式(図10参照)や、鉗子14の形状を抽出し、モデルマッチングにより先端部15の位置を検出する方式などがある。
【0117】
また、CMD駆動回路160では、画像演算処理回路159で求められた位置、画像の切り出し位置に関する指令通りにCMD153の画素155を読み出すように制御を行う。
【0118】
そして、操作スイッチ12の操作により、以上の制御の有効/無効の切り換えが行われる。さらに、拡大・縮小スイッチ88a,88bの操作指令通りに、画像の拡大率が変化するようにCMD153の読みだしの間引き率が制御される。また、原点復帰スイッチ9を操作することにより、図22(B)に示すように画面全体から間引いて表示させている状態に戻される。
【0119】
そこで、上記構成のものにあってはCMDカメラ151を組み込んだ内視鏡装置を設けたので、第1の実施の形態のCCD移動機構8や、ズーム機構42のような光学素子の駆動機構のない視野変換カメラを提供することができる。そのため、機械的な駆動がなく、耐久性が高いうえ、機械的な駆動機構がないため、安価となり、さらに画質の劣化が無いなどの効果がある。
【0120】
また、図24および図25は本発明の第10の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態と同じ構成の内視鏡装置に自動光軸合わせ機能を設けたものである。
【0121】
図24に示すようにCCD6上に内視鏡像円75が映っている場合は、内視鏡像円75の周囲は暗黒なので、画像を2値化したのちエッジ抽出などの画像処理で内視鏡像円75の輪郭を抽出する。抽出された輪郭から最小2乗法などの方法で円の方程式を求め、円の中心点171を求める。さらに、円の中心点171を原点77として設定する。
【0122】
また、内視鏡像円75がCCD6に映ってない場合には、図25に示すように内視鏡像円75が映る位置172までCCD6を移動させ、同様の方法で円の中心点171を検出する。このとき、CCD6を内視鏡像円75の反対側の位置173まで移動し、その画像と移動ベクトル174を用いて円の中心点171を計算すると原点検出の精度が向上する。
【0123】
そこで、上記方法の自動光軸合わせ機能を設けた内視鏡装置ではCCD6の光軸を自動的に合わせ、原点復帰時に画像の中央に正確に戻るようにすることができる効果がある。
【0124】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 体腔内に挿入する内視鏡と、この内視鏡の観察像の一部または全部を撮像する撮像手段を備えた内視鏡装置において、前記撮像手段の撮像光学系の光学素子の少なくとも一部を移動させて撮像範囲を変更させるアクチュエータと、前記撮像範囲を所定位置に復帰させる撮像範囲復帰手段と、前記撮像範囲を所定位置への復帰を指示する撮像範囲復帰指示手段とを具備したことを特徴とする内視鏡装置。
【0125】
(付記項2) 体腔内に挿入された内視鏡と、内視鏡の観察像の一部または全部を撮像する撮像手段を備えた内視鏡装置において、前記撮像手段の撮像光学系の光学素子の一部または全部を移動させ、前記撮像範囲を変更させるアクチュエータと、撮像範囲を定められた位置に復帰させる復帰手段と、復帰を指示するスイッチ手段を有することを特徴とする内視鏡装置。
【0126】
(付記項1、2の目的) 内視鏡の交換、体腔内の挿入・抜去時、処置具の先端検出の失敗、観察方向が不明なときなどに原点復帰させ、観察方向と内視鏡の方向が一致し、内視鏡を直観的に操作可能にする。
【0127】
(付記項1、2の作用) 術者が復帰スイッチで指示し、復帰手段を用いて撮像範囲を定められた位置(原点)に復帰させる。
(付記項1、2の効果) 視野変換内視鏡カメラにおいて、内視鏡の交換、体腔内の挿入・抜去時、処置具の先端検出の失敗、観察方向が不明なときなどに内視鏡像の中心が画面の中心となるように原点復帰させ、観察方向と内視鏡の方向が一致し、内視鏡を直感的に操作できる。また、内視鏡の像全体が観察できるため、内視鏡の位置を視野変換が最も有効なようにセッティングできる。原点復帰させることで通常の内視鏡+カメラと同じ様に操作できる。
【0128】
(付記項3) 前記光学素子が固体撮像素子である付記項2の内視鏡装置。
(付記項4) 前記光学素子が光軸に垂直に移動可能な固体撮像素子である付記項2の内視鏡装置。
【0129】
(付記項5) 前記光学素子がミラーである付記項2の内視鏡装置。
(付記項6) 前記撮像範囲の定められた位置が、内視鏡の光軸を略中心とする範囲であることを特徴とする付記項2の内視鏡装置。
【0130】
(付記項7) 前記撮像範囲の定められた位置が、基準点設定手段からのアクチュエータの移動量で定められている付記項2の内視鏡装置。
(付記項4〜7の効果) 視野変換内視鏡カメラにおいて、内視鏡の交換、体腔内の挿入・抜去時、処置具の先端検出の失敗、観察方向が不明なときなどに内視鏡像の中心が画面の中心となるように確実に原点復帰させ、観察方向と内視鏡の方向が一致し、内視鏡を直感的に操作できる。また、内視鏡の像全体が観察できるため、内視鏡の位置を視野変換が最も有効なようにセッティングできる。原点復帰させることで通常の内視鏡+カメラと同じ様に操作できる。
【0131】
(付記項8) 前記スイッチ手段が、内視鏡装置本体に設けられていることを特徴とする付記項2の内視鏡装置。
(付記項8の効果) 術者によるスイッチ手段の操作が容易になる。
【0132】
(付記項9) 前記スイッチ手段が、体腔内に挿入される処置具に設けられている付記項2の内視鏡装置。
(付記項9の従来技術) 視野変換によって視野が内視鏡の光軸からずれた場合に内視鏡の視野を原点復帰させるためのスイッチ手段は格別に設けられていなかった。
(付記項9の解決しようとする課題) 視野変換によって視野が内視鏡の光軸からずれた場合にはそのままの状態で保持されてしまうので、内視鏡の交換、体腔内の挿入・抜去、観察方向の確認が困難になり、操作性が悪い問題がある。
(付記項9の目的) 術者によるスイッチ手段の操作を容易にすることを目的とする。
(付記項10) 前記スイッチ手段が、撮像範囲を指示する操作手段(リモコン)に設けられている付記項2の内視鏡装置。
【0133】
(付記項11) 前記撮像手段内に画像の拡大率可変手段と、前記スイッチ手段に連動して定められた拡大率に復帰させる拡大率復帰手段を有することを特徴とする付記項2、6の内視鏡装置。
(付記項11の目的) 内視鏡の位置を視野変換が最も有効にセッティングするため、内視鏡の像全体が観察できるようにする。通常の内視鏡+カメラと同じように操作できる。
(付記項11の作用) 原点復帰と同時に、拡大率が定められた倍率まで下がり、内視鏡の像全体が観察できる。
【0134】
(付記項12) 前記拡大率可変手段がアクチュエータにより駆動されるズームレンズである付記項11の内視鏡装置。
(付記項13) 前記拡大率が、基準点設定手段からのアクチュエータの移動量で定められている付記項11の内視鏡装置。
【0135】
(付記項14) 前記定められた拡大率が、内視鏡像の最大径に対し、観察画面の対角が略同一か大きいことで規定されることを特徴とする付記項11の内視鏡装置。
(付記項15) 前記定められた拡大率が、前記拡大率可変手段の最小拡大率であることを特徴とする付記項11の内視鏡装置。
【0136】
(付記項16) 前記スイッチ手段が、内視鏡装置および内視鏡装置と接続して用いる機器の着脱に連動して動作することを特徴とする付記項2、11の内視鏡装置。
(付記項16の目的) 原点復帰操作が必要な、内視鏡の着脱や支持装置との着脱等のときに自動的に原点復帰する。
(付記項16の作用) 着脱に連動して原点復帰操作が行われる。
【0137】
(付記項17) 前記復帰手段とスイッチ手段が機械的に結合されていることを特徴とする付記項2〜16の内視鏡装置。
(付記項17の目的) 制御装置が故障しても、機械的に原点復帰をして通常の内視鏡+カメラと同じように操作できる制御装置を簡単に構成できる。
(付記項17の作用) 機械的に原点復帰操作が行われる。
【0138】
(付記項18) 体腔内に挿入された内視鏡と、内視鏡の観察像の一部または全部を撮像する撮像手段を備えた内視鏡装置において、前記撮像手段の撮像光学系の一部または全部を移動させ、前記撮像手段の撮像範囲を変更させるアクチュエータを有し、該アクチュエータが付勢力によって非駆動時には定められた位置に復帰し撮像範囲を定められた位置にすることを特徴とする内視鏡装置。
【0139】
(付記項2〜18の従来技術) 一般に処置具と内視鏡とが、それぞれ別個に患者の体腔内に挿入され、体腔内に挿入された処置具の先端部分の画像を内視鏡の観察視野内に捉え、処置具による患部の処置状態を内視鏡によって観察しながらその処置作業を行う内視鏡下の手術が知られている。
【0140】
この種の内視鏡下手術に用いられる内視鏡装置として特開平6−30896が開示されている。これはロボットアームにより内視鏡を保持し、術者の指令によって内視鏡の位置を変えることができる。これにより従来内視鏡を保持していた助手は解放され、また術者は自分の思う方向に自在に視野を変えることができる。
【0141】
これに対し、特願7−115995では、ロボットアームを用いずに内視鏡の視野を自在に変換する方法が開示されている。この方法では、内視鏡の画像の撮像範囲を撮像光学系の一部分をアクチュエータで移動することで変更する。可動部分は装置内部なので、装置が動作することによる危険性が少なく、安全性が高い。小型で、通常の内視鏡とTVカメラの組み合わせに置き換えて用いられるので取扱が容易。また、鉗子の先端を検出して視野を変換することができ、術中に術者が視野を変換することが容易である。
【0142】
(付記項2〜18が解決しようとする課題) 特開平6−30896では、ロボットアームに術者、患者周辺機器が干渉することがある。ロボットの意図しない動作によって、患者を傷つける可能性がある。大型で運搬・設置・滅菌にも不便である。
【0143】
特願7−115995では、安全性が高く、小型であり、通常の内視鏡とTVカメラと置換できるなど利点が多い。しかし、体腔に内視鏡を挿入、抜去する場合、内視鏡の位置を変更したい場合などでは、視野が視野変換によって内視鏡の光軸からずれた状態のままでは操作が困難になる。また、処置具先端の検出に失敗した場合や、術者が操作スイッチの押し間違いなどで視野を失う可能性もある。また、視野変換機能を有効に用いるためには、内視鏡像の中に観察したい対象が入るようにあらかじめ内視鏡の位置をセッティングする必要がある。そのためには、内視鏡像全体が観察できるような撮像範囲で観察する必要がある。
【0144】
(付記項18の目的) 制御装置の故障の場合でも電源を切るだけで原点復帰をして通常の内視鏡+カメラと同じように操作できる。原点復帰機構、スイッチ手段や原点復帰の制御なしで簡易に原点復帰可能。
(付記項18の作用) アクチュエータへの電源を止めることで、付勢力によって原点復帰動作が行われる。
【0145】
(付記項19) 内視鏡像の辺縁を検出する画像処理手段と、辺縁から内視鏡像の中心を求める計算手段と、求められた内視鏡像の中心を定められた撮像範囲として設定する設定手段を有することを特徴とする付記項2、11の内視鏡装置。
【0146】
(付記項19の従来技術) 特願7−312930に、撮像素子を移動させて視野変換を行うTVカメラで、撮像素子の移動範囲を内視鏡像の範囲を規定する基準円に基づいて制限する方法が開示されている。
【0147】
(付記項19が解決しようとする課題) 特願7−312930は、内視鏡像の中心とTVカメラの光学系の中心が正確に合致していることを前提としているが、内視鏡とTVカメラの光学系の製作精度、および取付時の光軸のずれや傾きによって内視鏡像の中心とTVカメラの光学系の中心は正確に合わないため、期待した動作をしないことがある。
【0148】
(付記項19の目的) 内視鏡の光軸と内視鏡装置(TVカメラ)の撮像手段の光軸がずれていても、自動的に内視鏡像の中心が原点になるように設定される。
(付記項19の作用) 内視鏡像の辺縁の円周を画像処理で検出し、内視鏡像の中心を原点に設定し、内視鏡像の中心と原点を自動的に一致させる。
【0149】
(付記項20) 体腔内を観察可能な内視鏡と、内視鏡像を結像する結像レンズと、画素単位で読み出し可能な固体撮像素子と、位置指示手段と、位置指示手段の出力に基づいて固体撮像素子の読み出しを制御する制御手段を有することを特徴とする内視鏡装置。
【0150】
(付記項20の従来技術) 特願6−308740に、内視鏡画像を画像メモリに取り込み、処置具で示された位置に基づいて、画像の一部分を切り出し、拡大して表示する方法が開示されている。この方法は、機械的に動作する部分を含まないで、特開平6−30896や特願7−115995の方法を実現するので、小型で簡易に構成できる。
【0151】
文献「高精細ランダムアクセスカメラHRC」(寺田、映像情報インダストリアル96年6月p35−38)に、400万画素の高画素で、更に画素の読み出し方法を変えることで画像の一部分の切り出しおよび拡大が可能なCMD(Charge Modulation Device)素子および制御装置が開示されている。
【0152】
(付記項20が解決しようとする課題) 特願6−308740では、高価な画像メモリを用いる必要がある。また、通常のTV信号を入力して画像の一部分を切り出し、拡大して表示すると、画質が劣化するという問題点がある。高画素のCCDを用いれば画質の劣化は防止できるが、更に数倍の容量のメモリと高速のデータ処理を行う素子が必要なため、装置が高価になる。
【0153】
(付記項20の目的) 光学素子(CCDおよびズーム)の移動機構が不要になるので、耐久性が高く、安価に製作できる。画像メモリを用いる場合に対して、メモリが不要である。高画素の素子を用いることで画質劣化がない。高速なデータ処理が不要なため安価な素子が使用可能。
【0154】
(付記項20の作用) CMD素子を用いて、画素の読み出し方法を位置指示手段に基づいて変化させ、撮像範囲を変換し、内視鏡の視野変換を行う。
(付記項21) 前記読み出しにより、画像の切り出し範囲を変化させるものである付記項20の内視鏡装置。
【0155】
(付記項22) 固体撮像素子が、CMD(Charge Modulation Device)素子で構成されたものである付記項20の内視鏡装置。 (付記項23) 体腔内に挿入された処置具と、処置具の位置情報を検出する検出手段と、この検出手段により検出された位置情報に基づいて読み出しを制御することを特徴とする付記項19〜22の内視鏡装置。
【0156】
(付記項24) 前記位置情報の検出手段が、スコープの映像情報における処置具の特徴量を抽出し、抽出された特徴量の位置を検出するアルゴリズムを有するスコープの映像情報処理回路である付記項23の内視鏡装置。
【0157】
(付記項25) 前記処理具の特徴量が色である付記項24の内視鏡装置。
(付記項26) 前記処置具の特徴量が形状である付記項24の内視鏡装置。
(付記項27) 体腔内に挿入された内視鏡と、内視鏡の観察像の一部または全部を撮像する撮像手段を備えた内視鏡装置において、撮像素子を光軸方向に垂直に移動させ、前記撮像範囲を変更させるアクチュエータを有し、前記アクチュエータと、撮像素子を移動可能に支持する撮像素子ガイド部と両者を固定するベース版によって構成され、前記アクチュエータと撮像素子ガイド部は、それぞれベース板の反対側の面に固定されることを特徴とする内視鏡装置。
【0158】
(付記項27の従来技術) 特願7−312930に、撮像素子をステッピングモータと送りネジを用いて平行に移動する撮像素子移動機構が開示されている。
【0159】
(付記項27が解決しようとする課題) 特願7−312930では、ステッピングモータと送りネジの機構がCCDと同じ平面上にあるため小型に製作するのが困難である。また、撮像素子を移動させるスライダ及び支持台の形状が複雑なため高価である。
【0160】
(付記項27の目的) 撮像素子の移動機構をコンパクトに製作する。スライダ支持機構の形状を単純化し安価に製作する。
(付記項27の作用) 撮像素子と駆動手段をベース板に対して反対側に配置することで移動機構をコンパクトに構成する。スライダ機構を平行なガイド軸を用いて安価に構成する。
【0161】
(付記項28) 前記撮像素子ガイド部は、1組以上の平行なガイド軸とこれに嵌合して摺動するスライダを有することを特徴とする付記項27の内視鏡装置。
【0162】
(付記項29) 前記アクチュエータは、モータ、モータの軸に固定される送りねじ、送りねじと噛み合うナット、前記ナットをガイドするナットガイド軸によって構成され、前記ナットガイドは、送りネジよりもベース板から離れた位置に固定されることを特徴とする付記項27の内視鏡装置。
【0163】
【発明の効果】
本発明によれば、安全性が高く、装置全体が小型であるうえ、内視鏡の交換や、体腔内の挿入・抜去等の作業が容易で、かつ処置具の先端検出の失敗時や、観察方向が不明なときなどでも内視鏡の観察視野方向と内視鏡の光軸方向とを簡単に一致させ、内視鏡を直観的に操作することができ、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明の第1の実施の形態の内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの表示画面を示す平面図。
【図2】 第1の実施の形態のTVカメラのスコープ着脱部を示す横断面図。
【図3】 (A)は第1の実施の形態のTVカメラのスコープ着脱部に本実施の形態のスコープが連結された状態を示す縦断面図、(B)は第1の実施の形態のTVカメラのスコープ着脱部に本実施の形態とは異なる一般的な円錘状のスロープを持つ構成のスコープが連結された状態を示す縦断面図。
【図4】 第1の実施の形態のTVカメラの内部構成を示す縦断面図。
【図5】 第1の実施の形態のTVカメラにおけるズーム機構のズームリングの取付け状態を示す横断面図。
【図6】 (A)は第1の実施の形態のCCDの移動機構のベース板の上面側を示す平面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【図7】 第1の実施の形態のCCDの移動機構のベース板の下面側を示す平面図。
【図8】 (A)は第1の実施の形態のTVカメラのカメラケーブルと鉗子追尾装置およびCCUとの接続部を示す概略構成図、(B)はTVカメラのカメラケーブルの縦断面図。
【図9】 第1の実施の形態の鉗子追尾装置のブロック図。
【図10】 第1の実施の形態の鉗子追尾装置による鉗子位置の色による検出動作を説明するためのフローチャート。
【図11】 第1の実施の形態の鉗子追尾装置の原点復帰動作を説明するための概略構成図。
【図12】 第1の実施の形態のCCDに撮像された内視鏡像の切り出し状態を説明するための説明図。
【図13】 本発明の第2の実施の形態を示す鉗子の側面図。
【図14】 本発明の第3の実施の形態の内視鏡装置のコントローラを示す平面図。
【図15】 (A)は本発明の第4の実施の形態の内視鏡装置のコントローラを示す平面図、(B)は第4の実施の形態のコントローラの操作パネルを示す平面図。
【図16】 本発明の第5の実施の形態の内視鏡装置のコントローラを示す平面図。
【図17】 本発明の第6の実施の形態の内視鏡装置のスコープ保持具とTVカメラとの連結状態を示す側面図。
【図18】 本発明の第7の実施の形態の内視鏡装置のスコープとTVカメラとの連結状態を示す斜視図。
【図19】 第7の実施の形態のスコープとTVカメラとの分離状態を示す概略構成図。
【図20】 第7の実施の形態のスコープとTVカメラとの連結状態を示す概略構成図。
【図21】 本発明の第8の実施の形態の内視鏡装置の要部構成を示す斜視図。
【図22】 本発明の第9の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は第9の実施の形態のCMDによる電子ズーム動作を説明するための説明図、(C)は第9の実施の形態のCMDによる電子切り出し動作を説明するための説明図。
【図23】 第9の実施の形態のCMD制御装置の概略構成図。
【図24】 本発明の第10の実施の形態の内視鏡装置のCCDに撮像された内視鏡像の切り出し状態を説明するための説明図。
【図25】 第10の実施の形態の鉗子追尾装置の原点復帰動作を説明するための概略構成図。
【符号の説明】
1 スコープ
6 撮像手段(CCD)
8 CCD移動機構(撮像範囲変更手段)
9 原点復帰スイッチ(撮像範囲復帰指示手段)
10 鉗子追尾装置
73 アクチュエータ制御回路(撮像範囲復帰手段)
Claims (6)
- 体腔内に挿入される内視鏡と、
この内視鏡の観察像を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像範囲を前記内視鏡の観察像よりも小さい前記内視鏡の観察像の一部の視野範囲に変更させる撮像範囲変更手段と、
前記視野範囲を移動させる視野範囲移動手段と、
前記視野範囲の中心位置を前記内視鏡の観察像の中心位置と一致させた基準位置に前記視野範囲を復帰させる復帰手段と、
この復帰手段の動作を制御し、前記視野範囲を前記基準位置へ復帰させる指示をする復帰指示手段と
を具備したことを特徴とする内視鏡装置。 - 前記視野範囲移動手段は、前記撮像手段を前記内視鏡の光軸に対して垂直な平面に沿ってX方向およびこれと直交するY方向に移動させる移動機構であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
- 前記撮像手段は、画素が2次元的に配列された画素集合体を有し、
前記撮像範囲変更手段は、前記画素集合体に撮像された画像全体から一部分の画像を切り出す電子切り出し動作を行う電子切り出し機能を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。 - 前記復帰指示手段は、前記撮像手段が着脱可能に連結される保持具との連結部に設けられ、前記撮像手段と前記保持具との着脱動作に連動して前記視野範囲を前記基準位置へ復帰させる指示をする着脱連動スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
- 前記復帰手段は、前記撮像手段の撮像範囲を前記内視鏡の観察像のほぼ全体を表示可能な基準位置に復帰させる撮像範囲復帰手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
- 前記撮像範囲復帰手段は、前記復帰指示手段の操作に連動して動作することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
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