JP3756437B2 - 風力発電用風車のブレード及びそれを用いたユニット並びに装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、風力発電用風車のブレード及びそれを用いたユニット並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリーンエネルギーを利用した発電方法として風力発電が実施されている。風力発電は、通常、海岸あるいは丘陵地帯などの比較的強い風が安定して吹く場所にブレード(風車)と発電機からなる発電素子を設置し、ブレードの回転を入力軸に伝えて発電機を回す。
風力発電に使用されるブレードには、プロペラ形、多翼形、セイルウィング形等の風車の回転軸が風の吹く方向に対して並行に配置される水平軸風車と、パドル形、サボニウス形、ダリウス形等の風車の回転軸が風の吹く方向に対して垂直に配置される垂直軸風車とに分類される。また、周速比(ブレードの周速度/風速)の高いプロペラ形、ダリウス形等の風車と、周速比の低いサボニウス形、多翼形等の風車とに分類することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
水平軸風車、特にプロペラ形風車では、高い回転数が得られるという利点を有する反面、風車の回転面を風向きに合わせる手段(例えば、尾翼を取り付ける等)が必要になる。さらに、起動性が低い(低い風速では回転しない)という欠点を有する。
また、周速比の高いプロペラ形、ダリウス形等の風車は、変換効率が比較的高い反面、風切り音が高く、ブレードの捩じり等において高い工作精度が要求される。一方、周速比の低いサボニウス形、多翼形等の風車は、風切り音が比較的低いが、周速比が低いため、利用可能な高い変換効率(風速を回転トルクに変換する効率)を得ることが難しい。
【0004】
上記した風車の欠点等のために、風力発電を実施するにあたって様々な制約があった。例えば、必要な平均風速が得られる場所であっても、ブレードの風切り音が問題になったり風車の設置あるいはメンテナンスに困難を伴なったりする。風力発電は、クリーンエネルギーの利用の点から注目されているが、その普及は未だ目ざましいものではない。
【0005】
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、静音性および微風下での変換効率および起動性に優れた風力発電用風車のブレードを提供するとともに、設置する際の自由度の高い風力発電ユニット並びに風力発電装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、中空円筒体をその軸線に沿って所定の中心角で縦割りにしてなる2つの円弧状湾曲板と、各湾曲板の円弧状両端を閉じかつ2つの湾曲板を軸を対称に結合してなる一対の支持板とからなる風力発電用風車のブレードであって、支持板は、両湾曲板の円弧の弦が互いに平行で、かつ弦の幅の一部だけ両円弧の内側が互いに対向するよう両湾曲板を支持するとともに前記軸を通る回転軸を支持し、前記所定の中心角が140°〜155°である風力発電用風車のブレードと、前記支持板の少なくとも一方に接続された発電機とからなる発電素子と、
少なくとも1つの前記発電素子を一平面内に縦および/または横方向に配列固定するフレームと
からなり、前記発電機の入力軸が、ブレードの回転軸と同軸に設置され、前記支持板またはフレームに固定され、かつ入力軸の先端に発電機側から見てブレードの回転方向と逆方向にねじきりされたねじ部を有し、ねじ締結部材を介して前記一方の支持板に固定されたことを特徴とする風力発電ユニットを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明のブレードは、基本となる単位発電量を出力可能な小型のブレードと発電機の結合からなる発電素子を構成し、この発電素子を任意の数量だけ集合させてなる集合型の風力発電装置を構成することを意図して設計されている。このような集合型の風力発電装置は、以下のような利点を有する。
【0008】
(1)発電量は単位発電量×発電素子の数で求められるので、所望する発電量を得るためには、発電素子の数と設置場所に適した集合形態を決定するだけでよい。したがって、大型のブレードと発電機を所望する発電量に応じて一から設計する労力および時間が節約される。また、発電が各発電素子に分担されるので、一部の発電素子が損傷してもただちに発電不能になることがなく、発電量のわずかな低下で済む。
(2)小型のブレードと発電機を用いることにより、発電素子の製造および加工が容易になり大量生産に適する。また、風車を設置する際の現場への搬入や現場での組み立てが容易になる。
(3)発電素子の集合形態を風車を設置する現場の状況(設置可能面積、周囲の構造物の存在等)に合わせて自在に変えられるので、風車を設置する際の従来の様々な制約が緩和され、風車の普及が促進される。
【0009】
この発明のブレードは、以下のような利点を有する。
(1)微風下での起動性に優れる。つまり、微風、例えば、0.3〜1m/s程度の風速で起動することである。
(2)風車を設置する際の現場への搬入や現場での組み立てが容易になる。つまり、小型のブレードと、それによってブレードの厚みを薄くして製造、取扱あるいは車両等への積載を考慮した搬送が容易になる。
【0010】
この発明のブレードは、さらに、以下のような条件で構成されている。
すなわち、対向する弦の幅の一部が、弦の長さの18〜25%であり、両弦の距離が、弦の長さの5〜8%である。これは、実験的に見出されたものである。ブレードの大きさは、回転直径100〜400mm、高さ150〜2500mm程度のものが好ましい。これは、3m/s前後の風速を設定条件とした場合である。ブレードの回転直径と回転数は反比例の関係にあり、ブレードの軸方向の長さはトルクに比例する。したがって、平均風速や発電機の仕様などに応じて、これらのサイズを調整すればよい。
【0011】
この発明のブレードは、起動性を高めるため、軽量な材料で構成されることが好ましい。
したがって、樹脂あるいは軽金属を材料とする成形品が好ましい。樹脂材料としては、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、FRPあるいはポリ塩化ビニルが挙げられ、特に、耐候性に優れたポリカーボネイトが好ましい。軽金属材料としては、厚さ0.2〜1.2mm程度のアルミニウム板が好ましい。
【0012】
この発明の風力発電装置は、複数の発電素子を一平面内に縦および/または横方向に配列固定するフレームを備え、各発電素子が、前記したブレードと、前記ブレードの一方の支持板に接続された発電機とからなる風力発電ユニットを単位とし、複数単位を集合させてなる風力発電装置を構成する。
複数の風力発電ユニットは、少なくとも1つの大フレームを備え、大フレームが前記風力発電ユニットを支持するのが好ましい。
【0013】
前記フレームに対するブレードおよび発電機の取り付けの具体的な形態について例示する。
この発明において、ブレードは他方の支持板から突出する支持軸を備え、フレームが支持軸を軸支する軸受けを具備してなるのが好ましい。このような軸受けは、フレームに穿設された孔部と、孔部に嵌入された樹脂製ブッシングとからなるものが例示される。
支持軸は、その先端に発電機側から見てブレードの回転方向と同方向にねじきりされたねじ部を有し、ねじ締結部材によって前記他方の支持板に固定されてなるのが好ましい。
【0014】
発電機の入力軸は、ブレードと同軸に設置され、ブレードの支持板またはフレームに固定することができる。
発電機の入力軸をブレードの支持板に固定する場合は、発電機の入力軸が、その先端に発電機側から見てブレードの回転方向と逆方向にねじきりされたねじ部を有し、ねじ締結部材によって前記一方の支持板に固定されてなる。
このような取り付け構造は、少ない部品数および簡単な構造を有して、ブレードの芯振れがないように、発電機の入力軸にブレードを回転可能に接続することができる。
発電機の入力軸にブレードを回転可能に吊り下げるため、発電機は入力軸を支持するスラスト軸受けを有することが好ましい。
【0015】
発電機の入力軸をフレームに固定する場合、発電機の入力軸は、一端がフレームに固定され、他端がコイルを有し、前記コイルは、発電機ケース内に固定された磁石によって発生する磁束を横切るように前記発電機ケース内に収容され、発電機ケースが前記ブレードの少なくとも一方の支持板に固定されてなる構成が挙げられる。
このような取り付け構造では、ブレードの支持板が発電機ケースに固定されるので、発電機の入力軸の芯出しが容易になる。したがって、ブレードの芯振れがないように、発電素子をフレームに接続することができる。さらに、発電機の入力軸が重力方向を向くように発電素子をフレームに支持すれば、入力軸が固定され発電機のケースがブレードとともに回転することになるので、磁石を回転させコイルに発生する電流を入力軸から取り出すアウターローター型の発電機を構成することができる。したがって、回転子のトルクロスを抑えることができ、またフレームに対する発電素子の支持構造が簡略化される。
【0016】
フレームは、ブレードの回転方向が互いに異なる発電素子を支持することができる。これにより隣接する周囲のブレードに対する風の影響を様々に制御することができる。
複数の発電素子は、それぞれのブレードの回転軸が平行になるように横方向にフレームに配列固定され、前記フレーム内で互いに隣接するブレードどうしは、それぞれの回転方向が互いに逆になるように配列固定されるので、各ブレードに衝突した風がさらに気流となって後方に抜ける際に、隣接する各ブレードによって生じる気流どうしの干渉を防止することができる。したがって、各ブレードの回転が妨げられないので、発電効率がさらに高まる。
【0017】
この発明では、前記した風力発電装置を建築物の最上部または車道の近傍に配置することが好ましい。この発明の風力発電装置は、風が吹き抜ける場所に設置されることが好ましく、壁面等の風を遮る構造物に隣接して配置すると発電量は低下する。また、ビルの谷間を吹き抜けるビル風を利用することができる。
【0018】
この発明によれば、前記した発電素子の少なくとも1つと、前記発電素子を受風可能に支持する支柱と、前記発電素子によって得られた電力を蓄電する蓄電部と、蓄電部に蓄電された電力によって点灯される電灯とからなる照明装置が提供される。
このような照明装置は、支持部に取り付けられた光センサと、光センサによって検知される光量に応じて蓄電部に蓄電された電力を電灯に供給する点灯制御回路とをさらに備えることにより、照明装置の周囲の明るさ(暗さ)に応じて自動的に点灯や消灯が制御される街灯、室内灯などの各種の照明手段に用いることができる。
さらに太陽電池モジュールを具備すれば、太陽電池モジュールによって得られた電力を、風力発電素子によって得られた電力とともに蓄電部に蓄電することができる。また、太陽電池モジュールの出力電圧に基づいて電灯の点灯を制御する光センサとして用いることもできる。
【0019】
この発明に用いられる発電機について説明する。
風車用の発電機の特性として特に次の点が求められる。
(1)低い回転数で高い出力電圧が得られること。
(2)起動トルクが小さいこと。
低回転数で高出力電圧が得られるということは、弱い風でも発電が可能になるということである。これは、発電機を構成する磁石や鉄芯の性能、巻線仕様により決定される。
起動トルクが小さいということは、弱い風でも発電機が起動できるということである。この点から、直流発電機は整流子の摩擦による起動トルクが比較的大きいため、交流発電機を用いることが好ましい。また、交流発電機は整流子を持たないためメンテナンスもほとんど必要としない点からも有利である。
【0020】
しかし、交流発電機においても、電機子鉄心と回転子の界磁とが回転位置によっては引き合って、いわゆる磁気トルクが生じるため、これを小さくする必要がある。
この磁気トルクの最も小さい発電機はタコメータ用のコアレスジェネレータであるが、これは電機子コイルが鉄心に巻かれていないため、出力電流をほとんど得ることができない。
【0021】
従って、この発明に用いる交流発電機は電機子コイルを巻回する鉄心量や電機子鉄心と回転子とのギャップなどを調整し、磁気トルクを最小限に抑制しながら、効率よく電流出力を得ることができるように構成される。つまり、交流発電機は、出力電流が大きくなると出力電圧がある程度低下する、いわゆる垂下特性を有するものとなる。この特性は、複数の交流発電機の出力を整流して並列接続する場合に、電圧を平衡させるのに有効である。
また、磁気トルクを回転角に対して分散させるために、電機子および回転子の極数は多い方が好ましい。
また、発電機の相数は直流に整流した場合の波形率の点から多い方が好ましく、単相よりも3相のものが選択される。
【0022】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明するが、これらによってこの発明は限定されるものではない。
〔実施例1〕
この発明の風力発電用風車のブレード及びそれを用いた風力発電装置並びに風力発電ユニットの具体的な構成例を、図面を参照して説明する。
図1において、風力発電ユニット100は、ブレード10と発電機20の結合からなる発電素子50(図5)と、発電素子50を所定数取り付ける小フレーム30とからなる。この例では、発電ユニット100が、5つの発電素子50を横1列に配列してなる。このような発電ユニット100は、さらに、後記のように、小フレーム30を複数取り付け可能な大フレームに固定されて風力発電装置を形成する。
【0023】
ブレード10の詳細を、図2および図3を用いて説明する。図2はブレード10の正面図、図3は図2のIII −III 断面図である。
ブレード10は、円筒体をその軸線に沿って所定の中心角で縦割りにしてなる2つの湾曲板1と、各湾曲板の円弧状両端を閉じかつ2つの湾曲板を結合してなる一対の支持板2とからなる。
湾曲板1は、0.4mmの板厚を有する矩形のアルミニウム板を長辺と平行な軸で円弧状にロール成形してなり、それぞれが略同形同寸の円弧を有する。
【0024】
支持板2は、1.0mmの板厚を有するアルミニウム板を、対向する二辺の一方が平行な直線、他方が円弧状曲線となるようそれぞれが成形されてなり、両湾曲板1の各円弧状端部11に互いに平行に配設される。支持板2は、両湾曲板1の円弧の弦が互いに平行で、かつ弦の幅の一部だけ両円弧の内側が互いに対向するよう両湾曲板1を軸対称位置に支持する。各支持板2には、軸心が通る軸孔12が形成される。なお、この例では、ブレード10の回転直径(図2における幅)は200mm、ブレード10の高さは300mmである。
【0025】
湾曲板1の形状および支持板2上における両湾曲板1の位置関係を図4を用いて説明する。
図4に示すように、軸対称位置に配置された湾曲板1の中心角θはそれぞれ148°であり、両湾曲板1の円弧の端点を結んでなる弦Cは互いに平行となる。弦Cの長さの19%の幅wを有して両湾曲板1が各弦Cの一部で互いに向き合い、かつ互いに向き合う弦Cがその長さの7.5%の距離dで隔てられた位置に配置される。
【0026】
次に、小フレーム30および小フレーム30に対するブレード10、発電機20の取り付けについて図1および図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、小フレーム30は等辺L型鋼を溶接して一平面上に展開した取り付けフレームからなる。
図5に示すように、発電機20は、入力軸21の先端21aが重力方向に突出して小フレーム30の横材30aに穿設された孔部31を貫通するよう、ブラケット32を介して前記横材30aにビス止めされる。入力軸21の先端21aには、図3に矢印で示した、発電機20側から見てブレード10の回転方向と逆方向にねじきりされたねじ部22が形成される。支持板2の軸孔12aを貫通したビス23(ねじ締結部材)がねじ部22に螺合されて発電機20とブレード10はビス23の締結方向に接続される。
【0027】
ブレード10の下部には、図3に矢印で示した、発電機20側から見てブレード10の回転方向と同方向にねじきりされたねじ部24を基端に有する支持軸25が取り付けられる。支持板2の軸孔12bを貫通したビス26(ねじ締結部材)がねじ部24に螺合することによって支持軸25とブレード10はビス26の締結方向に接続される。支持軸25は、先端25aが重力方向に突出して横材30bに穿設された孔部33を貫通する。孔部33にはナイロン製ブッシング35が嵌入される。ブッシング35は、ブッシング35を貫通して下方に突出した支持軸25のラジアル軸受け部を形成する。
【0028】
次に、発電機20について図6を参照しながら説明する。
この例では、発電機20に、低い回転数で高い出力電圧が得られ、起動トルクが小さい3相交流発電機が用いられる。
図6は、この実施例の電気的な出力回路を示す。
【0029】
図6において、5台の3相交流発電機20の交流出力電圧は、それぞれ3相全波整流ブリッジRにより整流される。各整流ブリッジRの直流出力電圧は結合コンデンサCを介して直列接続され、加算された直流電圧Voとして出力される。なお、ブリッジRはダイオードによって構成されるが、整流損失を少なくするためダイオードには順電圧降下の小さいものを用いる。
【0030】
この実施例では、1つの発電機20は、風速3m/sec のとき300rpmで回転し、直流出力電流0.33Aに対して6Vの直流電圧、つまり2Wの電力が得られるようになっている。また、整流後の出力電流/電圧特性は、18.2V/Aの垂下特性を有している。従って、図6に示す5台の発電機20からは、風速3m/sec に対して30V、10Wの出力が得られることになる。
【0031】
さらに、図6のように5台の発電機20の出力を整流して得られる直流出力回路は、例えば10個が並列接続されると、風速3m/sec のときに合計100 W(発電機約50台分)の出力が得られる。
【0032】
ここで、風速の違いや出力特性のバラツキなどにより、各発電機20の出力電圧に多少の差が生じても、前記のように発電機20の出力は、電流―電圧特性が適度な垂下特性を有するので、並列接続された各直流出力回路は各出力電流を調整して互いの出力電圧を同じ電圧に平衡させることができる。
【0033】
このようにして得られる直流電力を、例えばバッテリーに一旦蓄え、必要に応じて負荷に供給するようにしてもよいし、インバータによって100/200 V、50/60Hz の交流電力に変換し、電力会社へ販売するようにしてもよい。
なお、図6に示す発電機20の台数、および並列接続される直流出力回路の個数は任意であり、電力を供給する対象の仕様に応じて決定すればよい。
【0034】
図7は、小フレーム30に対するブレード10、発電機20の取り付けの他の実施の形態を例示する。
図5を参照して説明した取り付け方法では、ブラケット32を介して発電機20を小フレーム30に取り付けたが、この例では、取り付けねじ部20aが形成された発電機20が、小フレーム30の横材30aを貫通してねじ部20aに螺合するビス28によって小フレーム30に取り付けられる。発電機20と横材30aの間には、クッション材38を配設するのが好ましい。
【0035】
発電ユニット100は、図8に示すように、小フレーム30を複数取り付け可能な大フレーム40に固定されて風力発電装置200を形成する。大フレーム40は、小フレーム30と同様に等辺L型鋼を溶接して一平面上に展開した取り付けフレームからなり、発電ユニット100を縦横に配列することができる。
大フレーム40の縦材40aには、各段の発電ユニット100の下部両端を支持するブラケット41が配設される(各片側のみを図示する)。さらに大フレーム40は図示しない脚材と大フレーム40の上部から設置面に張り渡されるワイヤーで支持固定される。
【0036】
なお、前記の例では、発電素子50を横一列に配列した発電ユニット100を示したが、1つの発電ユニットを構成する発電素子50の縦横の配列数および配列方向に限定はなく自由に設定できる。
例えば、図9に示すように、発電素子50を縦一列に配列した発電ユニット150が構成できる。
これらの発電ユニット100,150は、さらに設置現場の状況に応じて縦横に組むことができる。例えば、図10および図11に示すように、複数の発電ユニットを1つまたは複数の大フレーム40に取り付けて固定することができる。図10では、発電ユニット150を横一列に10こ配列した風力発電装置210が形成され、図11では、発電ユニット100を縦一列に10こ配列した風力発電装置220が形成される。
【0037】
〔実施例2〕
図12は前記の発電素子70の正面図であり、図13はその底面図である。
前記の実施例1では、発電機20の入力軸21とブレード10の上部支持板2を接続する構成であったが、実施例2は、発電機60のケースとブレード10の下部支持板2を接続する構成とした点で実施例1と異なる。
図12および図13に示すように、発電素子70は、ブレード10と、上部支持板2に固定された支持軸25と、下部支持板2に取り付けられた発電機60とから主に構成される。
発電機60の入力軸61には、ボス5と、ボス孔に挿入された入力軸61を、ボス孔と直交する方向に形成されたねじ孔に挿入される締結部材6とが接続されている。ボス5は、例えば、図5に示した小フレーム30の横材30aに固定されて、発電素子70の下部を支持する。
発電機60は、円筒状のカバー67を介して下部支持板2に固定されている。
【0038】
図14は図12の要部縦断面図であり、図15は図14のIV−IV断面図である。
図14および図15に示すように、発電機60は、入力軸61と、入力軸61に対して直角に、かつ回転不能に取り付けられたディスク62と、ディスク62の外周部分に同心に捲回されたコイル63と、磁石64が内部に配列固定された円筒状の発電機ケース65とからなる三相交流発電機として構成される。
磁石64は、複数の偏平な円柱状のネオジウム磁石からなり、発電機ケース65の上下のケース板65a、65bの各内側にそれぞれが環状に配列固定される。上下のケース板65a、65bに取り付けられた上下の磁石64は、コイル63が横切るギャップを介して共軸で対向配置されている。
【0039】
入力軸61は、発電機ケース65の上下のケース板65a、65bの各外側にそれぞれ配設された、ラジアルボールベアリングからなる軸受け66によって発電機ケース65に対して回転可能に支持されている。
コイル63は、各磁石64対の間に発生する磁束を横切るようにディスク62に取り付けられ、入力軸61が発電機ケース65に対して相対回転するとき、コイル63に発生した電流が、コイル63から延出したリード線(図示しない)で外部に取り出される。このリード線は、入力軸61の軸線に沿って穿設された孔部61aを通って外部の回路部に接続される。
【0040】
カバー67は上部ケース板65aより大径の底板67aを有し、底板67aの中心部には軸受け66の貫通孔67bを有する。底板67aと下部支持板2がリベット68によって接合されることにより、カバー67はブレード10に固定される。さらに、底板67aに上部ケース板65aが接着される。
カバー67は、発電機ケース65との接着面積を確保し、発電機60の防水性を高める。
【0041】
図16は、複数の発電素子70を前記の小フレーム30(図1および図5)に取り付けてなる発電ユニット75の正面図である。
図中のA部では、図12に示したように、小フレーム30の下側の横材30aに取り付けられた前記のボス5に発電機60の入力軸61が挿入されることにより、発電素子70の下部が小フレーム30に回転可能に支持される。
図中のB部では、図5に示したように、小フレーム30の上側の横材30bに取り付けられたブッシング33に、ブレード10の支持軸25が挿入されることにより、発電素子70の上部が小フレーム30に回転可能に支持される。
【0042】
図17は、図16の平面図である。
図17に示すように、複数の発電素子70は、それぞれのブレード10の回転軸が互いに平行になるように小フレーム30に横方向に配列固定され、小フレーム30内で互いに隣接するブレード10どうしは、図中上側の矢印で示すように、それぞれの回転方向が互いに逆になるように配列固定されている。このような発電素子70の配列により、図中下側の矢印で示す方向から吹く風が各ブレード10に衝突し、さらに気流となって後方に抜ける際に、隣接する各ブレード10によって生じる気流どうしの干渉を防止することができる。
【0043】
上記したように、発電機ケース65をブレード10に固定して一体とし、入力軸61を固定して磁石64を回転させるアウターローターとすることにより、構造を簡略化し、回転体のトルクロスを抑えることができる。
【0044】
なお、実施例2における他の実施の形態として、図16中のB部を、A部と同様に、小フレーム30の上側の横材30bに取り付けられたボス5に発電機60の入力軸61が挿入して発電素子を小フレーム30に支持する構成とすることができる。このような構成では、ブレード10の上下両端の支持板2に発電機60がそれぞれ取り付けられることになるが、ブレード10が受ける風速が高い場合には、1つのブレード10の回転により2倍の出力を得ることができる。また、ブレード10が受ける風速が低い場合には、1つの発電機60だけでは不足する出力を補うことができる。
【0045】
〔実施例3〕
図18は前記の発電素子70を用いて構成された照明装置としての街灯の正面図であり、図19は図18のV−V断面図である。
図18および図19に示すように、街灯8は、複数の発電素子70と、これらの発電素子70を覆う籠体81と、各発電素子70の各ブレード10が受風できるように各発電素子70を支持する支柱82と、支柱82に吊るされた電灯83と、支柱82の内部に配設された回路部9とから主に構成される。
【0046】
図19に示すように、籠体81の内側には、回転方向が同一になるように構成された4つの発電素子70が、十字状のブラケット85を介して略同一高さで環状に支持されている。各発電素子70の上部は、図5に示したように、ブレード10の上部支持板2に取り付けられた支持軸25が、ブラケット85に取り付けられたブッシング35に支持される。各発電素子70の下部は、図16に示したように、ブレード10の下部支持板2に発電機60が取り付けられ、重力方向を向いた入力軸61が、ブラケット85に取り付けられたボス5に支持される。
【0047】
この例では、各発電素子70の各ブレード10の回転直径(図2における幅)が350mm、ブレード10の高さが700mmである。また、電灯83は、15Wの丸型蛍光ランプで構成され、後記する回路部9の蓄電池から供給される電力によって点灯される。
【0048】
なお、ブラケット85の上部には、図中の破線で示したように、パネル状の太陽電池モジュール86を取り付けることができる。
太陽電池モジュール86を付加することにより、太陽電池モジュール86によって得られた電力を、発電素子70によって得られた電力とともに後記の蓄電部に蓄電することができるし、太陽電池モジュール86の出力電圧に基づいて電灯83の点灯を制御する光センサとして用いることもできる。また、発電素子70の上方を覆って発電素子70の防水性を高める被覆部材となる。
【0049】
図20は、街灯8の回路部9の構成を示すブロック図である。なお、この回路部84は、街灯8に上記の太陽電池モジュール86が付加された場合を示す。
図20において、回路部9には、発電素子70によって得られた電力を蓄電する蓄電池(蓄電部)93が接続されている。また、太陽電池モジュール86は、太陽光等の受光により、約6〜9Vの直流電圧を発生し、1.2〜1.8W程度の電力が得られるようになっている。
4つの発電素子70の交流出力電圧は、三相交流整流回路90において、しきい電圧0.38Vのショットキーバリアダイオードで全波整流される。
明暗信号発生回路91は、太陽電池モジュール86の出力電圧の変化によって日没を検出し、この結果を明暗信号としてワンチップマイコン92に送る。
なお、太陽電池モジュール86の代わりに、Cds等の光電変換素子を日没を検出する光センサとして用いることもできる。
【0050】
ワンチップマイコン92は、予め設定されたプログラムに基づいて蓄電池93の常時監視および電灯83の点灯制御を行う。
ADコンバータ94は、定電圧電源95の出力電圧および蓄電池93の端子電圧をそれぞれデジタル化してワンチップマイコン92に常時入力している。
FET第1スイッチ96は、蓄電池93の充電電圧の定電圧化およびワンチップマイコン92からの制御信号で蓄電池93の過充電を監視し、充電電流のPWM制御を行う。
FET第2スイッチ97は、電灯83の点灯制御と、蓄電池93の過放電を防止するために出力の制限を行う。
【0051】
ワンチップマイコン92が明暗信号発生回路91から明暗信号を受信すると、ワンチップマイコン92が有する点灯タイマーが計時を開始する。点灯タイマーによる計時時間が予め設定された点灯時間を超えると、FET第2スイッチ97を介して蓄電池93からの電力供給を停止させる。
同時に、リセット信号発生回路98がワンチップマイコン92における明暗信号および点灯タイマーのリセットを行う。
なお、ワンチップマイコン92による制御動作は、回路部9に接続されたLEDモニタ99によって確認できる。
【0052】
上記の回路部9を有する街灯8では、発電素子70のブレード10が風速4〜5m/秒の風を受けて180 rpmで回転するとき、直流出力電流0.2Aに対して24.1Vの直流電圧、つまり約5Wの電力が得られるようになっている。
なお、上記の実施例では、点灯タイマーによって電灯83の消灯を決定したが、太陽電池モジュール86の出力電圧の変化によって日の出を検出し、この結果を明暗信号としてワンチップマイコン92に送ることによって消灯を行う構成とすることができる。
【0053】
実施例3の街灯8は、街中における3m/秒程度の比較的低い風速で発電可能な発電素子70を用いて十分な光量を提供することができる。
また、街灯8に対する送電が不要であるため、街灯の設置に要するコストを大幅に下げることができる。
【0054】
【発明の効果】
この発明によれば、静音性および微風下での変換効率および起動性に優れた風力発電用風車のブレードが提供される。また、設置する際の自由度の高い風力発電ユニット並びに風力発電装置が提供される。
この発明のブレードを用いたユニット並びに装置は、発電素子の数と設置場所に適した集合形態を決定するだけで所望する発電量を得る設計ができる。したがって、大型のブレードと発電機を所望する発電量に応じて一から設計する労力および時間が節約される。また、発電が各発電素子に分担されるので、一部の発電素子が損傷してもただちに発電不能になることがない。
【0055】
また、小型のブレードと発電機を用いることにより、部材の製造および加工が容易になり大量生産に適する。また、風車を設置する際の現場への搬入や現場での組み立てが容易になる。
さらに、発電素子の集合形態を風車を設置する現場の状況(設置可能面積、周囲の構造物の存在等)に合わせて自在に変えられるので、風車を設置する際の従来の様々な制約が緩和され、風車の普及が促進される。
【0056】
発電素子を照明装置に用いることにより、街中における3m/秒程度の比較的低い風速で発電し、必要に応じて十分な光量を提供することができる。このような照明装置では、照明装置に対する送電が不要であるため、設置に要するコストを大幅に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の風力発電ユニットの正面図である。
【図2】図1のユニットを構成するブレードの正面図である。
【図3】図2のブレードのIII −III 線断面図である。
【図4】ブレードの配置位置の関係を説明する図である。
【図5】フレームに対するブレードおよび発電機の取り付けを説明する正面図である。
【図6】図1のユニットにおける電気的な出力回路を示す。
【図7】この発明のさらに他の実施形態によるフレームに対するブレードおよび発電機の取り付け方法を説明する正面図である。
【図8】図1のユニットを集合してなる風力発電装置の正面図である。
【図9】この発明の他の実施形態による風力発電ユニットの正面図である。
【図10】この発明の風力発電ユニットを集合してなる他の実施形態による風力発電装置の正面図である。
【図11】この発明の風力発電ユニットを集合してなる他の実施形態による風力発電装置の正面図である。
【図12】他の実施の形態による発電素子の正面図である。
【図13】図13の発電素子の底面図である。
【図14】図12の発電機60の正面断面図である。
【図15】図14の発電機60のIV−IV線断面図である。
【図16】他の実施の形態による発電ユニットの正面図である。
【図17】図16の発電ユニットの平面図である。
【図18】図12の発電素子70を用いて構成された照明装置としての街灯の正面図である。
【図19】図18の街灯のV−V線断面図である。
【図20】図18の街灯の回路部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 湾曲板
2 支持板
8 街灯
10 ブレード
11 円弧状端部
20 発電機
30 小フレーム
40 大フレーム
50 発電素子
60 発電機
61 入力軸
63 コイル
64 磁石
65 発電機ケース
70 発電素子
100 発電ユニット
Claims (19)
- 中空円筒体をその軸線に沿って所定の中心角で縦割りにしてなる2つの円弧状湾曲板と、各湾曲板の円弧状両端を閉じかつ2つの湾曲板を軸を対称に結合してなる一対の支持板とからなる風力発電用風車のブレードであって、支持板は、両湾曲板の円弧の弦が互いに平行で、かつ弦の幅の一部だけ両円弧の内側が互いに対向するよう両湾曲板を支持するとともに前記軸を通る回転軸を支持し、前記所定の中心角が140°〜155°である風力発電用風車のブレードと、前記支持板の少なくとも一方に接続された発電機とからなる発電素子と、
少なくとも1つの前記発電素子を一平面内に縦および/または横方向に配列固定するフレームと
からなり、前記発電機の入力軸が、ブレードの回転軸と同軸に設置され、前記支持板またはフレームに固定され、かつ入力軸の先端に発電機側から見てブレードの回転方向と逆方向にねじきりされたねじ部を有し、ねじ締結部材を介して前記一方の支持板に固定されたことを特徴とする風力発電ユニット。 - ブレードの対向する弦の幅の一部が、弦の長さの18〜25%である請求項1に記載の風力発電ユニット。
- ブレードの両弦の距離が、弦の長さの5〜8%である請求項1または2に記載の風力発電ユニット。
- 回転直径が100〜400mm、高さが150〜2500mmである請求項1から3のいずれか1つに記載の風力発電ユニット。
- 複数の発電素子は、それぞれのブレードの回転軸が平行になるように横方向にフレームに配列固定され、前記フレーム内で互いに隣接するブレードどうしは、それぞれの回転方向が互いに逆になるように配列固定されてなる請求項1に記載の風力発電ユニット。
- 各ブレードは一方の支持板から突出する支持軸をそれぞれ備え、フレームが各支持軸を軸支するそれぞれの軸受けを具備してなる請求項1に記載の風力発電ユニット。
- 発電機の入力軸は、一端がフレームに固定され、他端がコイルを有し、前記コイルは、発電機ケース内に固定された磁石によって発生する磁束を横切るように前記発電機ケース内に収容され、発電機ケースが前記ブレードの少なくとも一方の支持板に固定されてなる請求項1に記載の風力発電ユニット。
- 発電素子は、発電機の入力軸が重力方向を向くようにフレームに支持されてなる請求項1に記載の風力発電ユニット。
- 軸受けが、フレームに穿設された孔部と、孔部に嵌入されたブッシングとからなる請求項6に記載の風力発電ユニット。
- 支持軸は、その先端に発電機側から見てブレードの回転方向と同方向にねじきりされたねじ部を有し、ねじ締結部材を介して前記支持板に固定されてなる請求項6に記載の風力発電ユニット。
- 各発電機が、三相交流発電機である請求項1から10のいずれか1つに記載の風力発電ユニット。
- 各発電機の出力を整流する整流器をさらに備えてなる請求項11に記載の風力発電ユニット。
- 複数の交流発電機の出力を整流して直列接続してなる請求項11または12に記載の風力発電ユニット。
- 複数の風力発電ユニットを少なくとも1つの平面内に縦および/または横方向に配列し、その各風力発電ユニットが請求項1から13のいずれか1つに記載された風力発電ユニットからなる風力発電装置。
- 複数の風力発電ユニットが少なくとも1つの大フレームを備え、大フレームが請求項1から13のいずれか1つに記載された風力発電ユニットを支持してなる風力発電装置。
- 建築物の最上部または車道の近傍に配置された請求項14または15に記載の風力発電装置。
- 中空円筒体をその軸線に沿って所定の中心角で縦割りにしてなる2つの円弧状湾曲板と、各湾曲板の円弧状両端を閉じかつ2つの湾曲板を軸を対称に結合してなる一対の支持板とからなる風力発電用風車のブレードであって、支持板は、両湾曲板の円弧の弦が互いに平行で、かつ弦の幅の一部だけ両円弧の内側が互いに対向するよう両湾曲板を支持するとともに前記軸を通る回転軸を支持し、前記所定の中心角が140°〜155°である風力発電用風車のブレードと、前記支持板の少なくとも一方に接続された発電機とからなり、前記発電機の入力軸が、ブレードの回転軸と同軸に設置され、前記支持板に固定され、かつ入力軸の先端に発電機側から見てブレードの回転方向と逆方向にねじきりされたねじ部を有し、ねじ締結部材を介して前記一方の支持板に固定された少なくとも1つの発電素子と、
前記発電素子を受風可能に支持する支柱と、
前記発電素子によって得られた電力を蓄電する蓄電部と、
蓄電部に蓄電された電力によって点灯される電灯と
からなる照明装置。 - 支柱に取り付けられた光センサと、光センサによって検知される光量に応じて蓄電部に蓄電された電力を電灯に供給する点灯制御回路とをさらに備えた請求項17に記載の照明装置。
- さらに太陽電池モジュールを具備してなる請求項17に記載の照明装置。
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