JP3755364B2 - 粘着シートまたは粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着シートまたは粘着テープに関するものである。更に詳しくは、その粘着シートおよび粘着テープが水に対して再離解性に優れ、パルプを再生する際に粘着剤および基材が悪影響を及ぼすことなく容易に再離解することのできる、リサイクル工程に混入可能な粘着シートおよび粘着テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粘着シートまたは粘着テープは商業用、事務用、切手等の印紙用、配送伝票用、工程管理用、家庭用等非常に広範囲にわたって使用されている。粘着シートの一般的な構成は、表面基材と剥離シートとの間に粘着剤を挟み込んだ状態にしたものである。一方、粘着テープの一般的な構成は、剥離剤層、基材、粘着剤層の順に積層してなるものであり、基材表面に剥離剤層、反対面に粘着剤層を有するものである。
【0003】
基材には紙、フィルム、あるいは金属フォイル等が用いられる。粘着シートの剥離シートや粘着テープ基材には、一般的にシリコーン化合物やフッ素化合物の如き剥離剤が塗布される。なお、剥離シート用基材には、グラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などにポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネート加工したラミネート紙、あるいはクラフト紙や上質紙等にポリビニルアルコール、澱粉などの水溶性高分子等と顔料とを主成分とする塗被層を設けた樹脂コーティング紙等が上げられる。中でも、ポリエチレンをラミネート加工したラミネート紙が一般的に広く使用されている。
【0004】
また、粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン、溶剤又は無溶剤型の各種粘着剤が使用される。かかる粘着シートまたは粘着テープは、商品等に貼付けられたり、商品の包装や段ボールの梱包に使用され、貼付けされた後は被着体に貼りついたまま永続的に利用される永久接着タイプである。なお、粘着シートの場合は、商品等の関係から表示の目的を達成した後は剥離され破棄される再剥離タイプのものもある。
【0005】
一方、古紙のリサイクルに関しては、現在わが国では古紙パルプ製造のための原料として、再生用損紙を含む古紙の使用量は、紙、板紙生産原料の50%を超えており、既に主原料の位置を占めるまでになっている。再生パルプ化可能な古紙は、新聞、ダンボール、雑誌、模造、色上(アートを含む)、上白、カード、特白、中白、白マニラ、切符、中更反古、茶模造紙(洋段を含む)、台紙、ボール、OCR用紙などである。一般には、古紙は離解してパルプ懸濁液を得る離解工程、パルプ懸濁液中の異物を分離する粗選、精選工程、印刷インクを分離する脱墨工程、色を白くする漂白工程を経て再生パルプ化がおこなわれる。
【0006】
粘着シートや粘着テープの使用方法としては、例えば粘着シートでは、雑誌等に付録として綴じ込まれたり、宛先表示票、預かり票、控え票等のフォームを印刷した各伝票から構成される宅配用の配送伝票としてダンボールに貼り付けられたり、物流管理用ラベルとしてプラスチック製コンテナ等の通い箱に貼付されたりする。最近では、切手等の印紙用にも使用されている。また、粘着テープは、主としてダンボール等の梱包用に使用されているが、製紙業界においては、抄紙後の巻き取りの仮止めや出荷時の包装に使用されている。
【0007】
しかし、ワックス加工した紙や粘着シートや粘着ラベル、粘着テープなどは、パルプ繊維から水に不溶なワックス、粘着剤などを分離することができず再生パルプ化が困難な古紙とされている。特に粘着シートや粘着ラベル、粘着テープの場合は、水に不溶な粘着剤が5〜50%も含まれており、更にこの粘着剤は粘着力が強いために、パルプ繊維からの分離が不可能とされている。また、切手用粘着シートとして使用された場合、切手収集家等が封筒などの基材から切手を剥がし易いように、印紙裏面に水離型層を設けて水中で剥がせるようになったものもあるが、基材に粘着剤が残ってしまうので、これら基材の再生パルプ化は困難である。
【0008】
粘着剤成分を含んでいる再生パルプを使用して抄紙すると、抄紙工程で粘着剤がワイヤーの目を塞いだり、プレスロールや毛布を汚したりして、紙切れを起こして抄紙効率を著しく低下させるという問題が生じたり、紙面上に斑点を形成してしまうなど、紙層形成または品質面で悪影響を及ぼすという問題が生じる。
【0009】
更に、粘着シートに使用される剥離シートや粘着テープ用基材は、ポリエチレンをラミネート加工したラミネート紙を用いたような離解性の悪い基材であるために、再生パルプ化は一層困難である。このような問題を抱えているために、現状では粘着シート古紙や粘着ラベル、粘着テープを貼り付けた包装基材や段ボールの再生パルプ化は敬遠され、産業廃棄物となっているのが実状である。
【0010】
最近では、森林資源、環境保護等の問題から、上記の如くリサイクルに不可能な粘着製品を、物理的または装置的に工夫することでリサイクル化に成功した例も数件報告されているが、一般の古紙処理方法からすれば、いずれも粘着異物を取り除くための特別な方法である。
【0011】
また、水またはアルカリ水に溶解する粘着剤を使用したタイプのものも提案されているが、この場合は粘着剤が溶解するために、離解し抄紙する系の中で白水の中から完全に粘着剤成分を除去することは困難であった。更に、これらの粘着剤は分子量が低く設計されているため高温・高湿の環境下では品質が著しく劣化する欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粘着シート古紙や粘着ラベル、粘着テープを貼り付けた包装基材や段ボールの古紙より、粘着ラベル、粘着テープをあらかじめ剥がさず再生パルプを得る上で、粘着剤が悪影響をおよぼすことなく容易に再離解でき、離解時の調整水を汚染することなく、通常の再生パルプ化工程でパルプを再生することができ、また、品質的にも安定したリサイクル可能な粘着シートまたは粘着テープを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)表面基材、粘着剤層および剥離シートを積層してなる粘着シートにおいて、表面基材が水またはアルカリ水溶液で離解可能な基材であり、粘着剤層が水に対して再離解性を有する粘着剤であって、該粘着剤が、
(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー・・・45〜80質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー・・・5〜15質量%、(c)メタクリル酸メチル・・・1〜10質量%、(d)上記a、b、cと共重合可能なモノマー・・・1〜30質量%とを、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールの少なくともいずれか1種の存在下で共重合してなる共重合体に対し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカノールアミンを添加してなる粘着剤であり、使用する剥離シートの基材がダイレクトタイプであることを特徴とする粘着シートである。
また本発明は、(2)剥離剤層/基材/粘着剤層を積層してなる粘着テープにおいて、粘着剤層が水に対して再離解性を有する粘着剤であって、該粘着剤が、
(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー・・・45〜80質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー・・・5〜15質量%、(c)メタクリル酸メチル・・・1〜10質量%、(d)上記a、b、cと共重合可能なモノマー・・・1〜30質量%とを、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールの少なくともいずれか1種の存在下で共重合してなる共重合体に対し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカノールアミンを添加してなる粘着剤であり、使用する基材がダイレクトタイプであることを特徴とする粘着テープである。
【0014】
さらに本発明は、(3)該粘着剤の共重合時に使用する(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたは(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのアルキレングリコールの付加モル数が1〜23であることを特徴とする(1)または(2)記載の粘着シートまたは粘着テープである。
(4)(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリまたは(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの添加量が、全モノマー混合物に対して0.1〜5質量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の粘着シートまたは粘着テープである。
(5)(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがポリエチレングリコールジメタクリレートであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の粘着シートまたは粘着テープである。
(6)該粘着剤の共重合時に使用する(ポリ)エチレングリコールおよび/または(ポリ)プロピレングリコールの添加量が、全モノマー混合物に対して0.1〜15質量%であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の粘着シートまたは粘着テープである。
(7)該共重合体中のカルボキシル基を中和するアルカノールアミンが、沸点100℃以上のものであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の粘着シートまたは粘着テープである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、粘着剤層の水に対する再分散性が特に優れた粘着剤からなることで、再生パルプ化する際に極めて優れた粘着シートまたは粘着テープを提供するものである。そして、このようなリサイクル可能な粘着シートまたは粘着テープを得るために、特定のモノマーを有する組成物を(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの少なくとものいずれか1種の存在下で共重合し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカノールアミンを添加してなる粘着剤を使用するところに特徴がある。
【0016】
本発明の粘着シートおよび粘着テープにおいて使用される粘着剤は、
(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー・・・45〜80質量%、
(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー・・・5〜15質量%、
(c)メタクリル酸メチル・・・1〜10質量%、
(d)上記a、b、cと共重合可能なモノマー・・・1〜30質量%、
とを、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールの少なくともいずれか1種の存在下で共重合してなる共重合体に対し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカノールアミンを添加してなる粘着剤である。
【0017】
(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。このモノマーは、共重合体の45〜80質量%を占めるように共重合させる必要がある。因みに、45質量%未満では、粘着剤の粘着力が乏しくなり、80質量%を越えると、水再分散性が不十分となる。
【0018】
(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキルイタコン酸、モノアルキルフマル酸等が挙げられる。このモノマーは、供重合体の5〜15質量%を占めるように供重合させる必要がある。因みに、5質量%未満では、粘着剤の水再分散性が不十分となり、15質量%を超えると、粘着力が不十分となり、また経時的に粘着剤の劣化が生じ易くなる。
【0019】
(c)メタクリル酸メチルは、共重合体の1〜10質量%を占めるように共重合させる必要がある。1質量%未満では、粘着剤の水再分散性が不十分となり、10質量%を越えると、粘着力が不十分となる。
【0020】
(d)上記(a)、(b)、(c)と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、エチレン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。このモノマーは、共重合体の1〜30質量%を占めるように共重合させる必要がある。因みに、1質量%未満では、粘着剤の親水性が乏しくなり、30質量%を越えると、粘着力が不十分となる。
【0021】
なお、これらの共重合可能な他のモノマー(d)の中でも特に、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類等を配合すると、親水性、水再分散性、接着性能等が適した共重合体が得られるので好ましい。
【0022】
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(1)に表される化合物で、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
【化1】
〔式中、Rはメチル基または水素原子、nは1〜23の整数を表す。〕
【0024】
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの存在下で上記共重合体を製造すると、粘着剤に親水性を付与できると同時に分子量を上げることができるので、再分散後の粒子が硬くなり、リサイクル工程で残存した粒子が水中で粘着性を発現しないため、リサイクルに適した粘着剤を作ることができる。そして、これらの化合物は、粘着剤の親水性、水再分散性、粘着性能のバランスを考慮して適宣使用できるが、中でも特にポリエチレングリコールジメタクリレートは、親水性、水再分散性に優れた共重合体が得られるのでより好ましい。
【0025】
なお、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、全モノマー混合物に対して0.1〜5質量%の範囲で添加させる必要がある。因みに、0.1質量%未満では、粘着剤の水再分散性が不十分となる。一方、5質量%を越えると、重合時に粘着剤が凝集し易くなる。
【0026】
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(2)に表される化合物で、例えばエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
【化2】
〔式中、Rはメチル基または水素原子、nは1〜23の整数を表す。〕
【0028】
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの存在下で上記共重合体を製造すると、粘着剤に親水性を付与できると同時に、粘着剤を可塑化させることができるので、水再分散性と粘着性能のバランスのとれたリサイクルに適した粘着剤を作ることができる。
【0029】
なお、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、全モノマー混合物に対して0.1〜5質量%の範囲で添加させる必要がある。因みに、0.1質量%未満では、粘着剤の水再分散性が不十分となる。一方、5質量%を越えると、粘着剤の凝集力が低下する様になる。また、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたは(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのアルキレングリコールの付加モル数が23を越えると、再分散後の粒子があまり硬くならず、リサイクル工程で残存した粒子が水中で粘着性を発現してしまうので、紙の再生時の紙層形成または品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0030】
(ポリ)エチレングリコールおよび/または(ポリ)プロピレングリコールとしては、下記一般式(3)に表される化合物である。
【0031】
【化3】
〔式中、Rはメチル基または水素原子、nは1〜500の整数を表す。〕
【0032】
(ポリ)エチレングリコールおよび/または(ポリ)プロピレングリコールの存在下で上記共重合体を製造すると、粘着剤に親水性を付与できるので、親水性、皮膜膨潤性に優れた共重合体が得られ、水再分散性のよいリサイクルに適した粘着剤を作ることができる。
【0033】
なお、(ポリ)エチレングリコールおよび/または(ポリ)プロピレングリコールは、全モノマー混合物に対して0.1〜15質量%の範囲、より好ましくは0.3〜10質量%で添加させる必要がある。因みに、0.1質量%未満では、粘着剤の水再分散性が不十分となる。一方、15質量%を越えると、粘度が高くなりやすく、粘着剤の取り扱い性が低下する。
【0034】
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、β−プロパノールアミン、トリプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノイソヘキシルアルコール、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等が挙げられる。これらのアルカノールアミンは、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するよう添加する必要がある。因みに、50モル%未満では、粘着剤皮膜の粘着性および水再分散性が不足し、120モル%を越えるとでは、保持力が不十分となり、また経時的に粘着剤の劣化や変色が生じやすくなる。
【0035】
なお、これらのアルカノールアミンの中でも、粘着シートあるいは粘着テープ製造時の乾燥工程での揮散や経時後の品質変化などを防止するためには、沸点が100℃以上、より好ましくは170℃以上のアルカノールアミンを使用することが望ましい。
【0036】
ここで本発明の粘着剤に対する上記各モノマー、共重合時に添加する(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの少なくとも1種および粘着剤共重合体に対して添加するアルカノールアミンの役割について簡単に説明すると、粘着剤の水再分散性を付与する成分としては、(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーと(c)メタクリル酸メチルが重要であり、粘着剤の粘着性を付与する成分としては、(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーと、(c)メタクリル酸メチルが重要である。また粘着剤の親水性と付与しさらに粘着性を整える成分として、(d)上記(a)、(b)、(c)と共重合可能な他のモノマーが重要である。さらに、これら粘着剤組成混合物を(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの少なくともいずれか1種の存在下で共重合すると、粘着剤に親水性を付与できると同時に分子量を上げることができるので、再分散後の粒子が硬くなり、リサイクル工程で残存した粒子が水中で粘着性を発現しない。また、これら共重合体の粘着性および水再分散性発現のために行う中和反応において、アルカノールアミンを使用すると該共重合体の可塑化と水再分散性の経時劣化を防止することができる。これら(a)、(b)、(c)、(d)および(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの少なくともいずれか1種とアルカノールアミンを必須成分としてバランス良く配合することにより、共重合体は接着力を損なうことなく、水に対して再分散性を有し、再分散後の粒子が水中で粘着性を有しない粘着剤となるものである。
【0037】
さらに、上記粘着剤に対し、粘着剤の物性を整え、粘着剤の経時による変色および劣化を防止するために、親水性の可塑化物質を添加することもできる。親水性の可塑化物質としては、例えば、グリセリン、ソルビット、マンニット、ズルシット、イジット、エリトリット、アラビット、アドニット等の糖アルコール類、ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシドとグリセリン、キシリットトリオキシイソブタン、ソルビットなどの多価アルコールとの共重合体やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のノニオン性の界面活性剤等が挙げられる。この物質は粘着性と、水再分散性を考慮して、添加量は、共重合体100質量%に対して10質量%以下、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲で使用することが望ましい。
【0038】
なお、これら親水性の可塑化物質の中でも、特に、ノニオン系の界面活性剤が、接着性や保存性の良好な粘着剤を仕上げることができるので好ましい。
【0039】
従って、本発明で使用する、水に対して再分散性が優れ、且つ良好な接着性能を有する粘着剤を得るためには、上記の(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー、(c)メタクリル酸メチル、(d)それらと共重合可能な他のモノマーの配合バランスとそれらを(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート存在下で共重合し、アルカノールアミンで中和することが極めて重要である。
【0040】
なお、上記の共重合体の製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば、水、溶剤、連鎖移動剤、重合開始剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、分散剤等の存在下の水系でエマルジョン重合する方法などの公知の方法で製造される。
【0041】
重合の際に使用される重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ソーダ、酸性亜硫酸ソーダ等との組合せからなる、いわゆるレドックス系の重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、通常重合に共するモノマー全量に対して、0.2〜2質量%、より好ましくは、0.3〜1質量%程度である。
【0042】
共重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、N−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることが出来る。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全モノマーの0〜3質量%程度に調節される。また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶剤も使用することができる。
【0043】
重合時のモノマー濃度は、通常30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%程度が適当である。また、重合反応は、通常60〜100℃の温度条件下で、2〜8時間かけて行われる。さらに、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宣添加することができる。また、特に望むならば、粘着剤の性能、特にポリオレフィン系被着体に対する接着力、凝集力等の物性を向上させる目的で、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル系共重合体を添加することもできる。
【0044】
上記の方法で得られた共重合体は、その共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカノールアミンで中和する必要がある。中和処理を施すことにより、機械安定性を改良でき、また粘度調整を行うことができる。
【0045】
また、共重合体中のカルボキシル基の中和には、アルカノールアミンのほかに、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア等を併用することができるが、粘着シートおよび粘着テープに加工された後の経時での揮散による粘着性能の変化と水再分散性の劣化防止の点から、より好ましくは水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が用いられる。
【0046】
上記の共重合体のガラス転移温度は、−70〜−10℃の範囲のものであり、目的に応じて適宣選択される。因みに、共重合体のガラス転移温度が−70℃未満になると、得られる皮膜の凝集力が不十分となり、逆に−10℃を越えると、得られる共重合体の皮膜が硬くなりすぎて、実用性に乏しくなる傾向がある。
【0047】
本発明は、この様な共重合体を粘着剤として用いることにより、古紙のリサイクル工程に混入可能な粘着シートまたは粘着テープが得られるものである。
【0048】
次に粘着シートに使用する水またはアルカリ水溶液で離解可能な表面基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト紙、クラフト紙、含浸紙、低サイズ紙、水溶紙、クラフト紙または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然または合成樹脂および/または顔料とを主成分とした目止め層を設けた基材等の紙類や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性高分子より成形した水溶性フィルム、或いは、乳酸またはラクチドとグリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等のヒドロキシカルボン酸との共重合やポリ乳酸等の乳酸系ポリマーより成形したアルカリ水溶液で容易に加水分解するフィルム等を使用することができる。
【0049】
次に粘着シートの剥離シートまたは粘着テープの基材に使用するダイレクトタイプ基材とは、ポリエチレン等をラミネートしていない剥離紙基材のことであって、クレーコート紙、グラシン紙やクラフト紙または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然または合成樹脂および/または顔料とを主成分とした目止め層を設けた基材などを挙げることができる。
【0050】
なお、粘着シートの表面基材や剥離シート、粘着テープの基材に使用する紙類は、その紙層pHが6以下の紙を使用することが望ましい。これは、紙層pHが6より高い領域では、粘着剤組成中の親水性成分、特にカルボキシル基を有する化合物が、紙中またはコート紙などの塗被層に含まれる炭酸カルシウム等の影響を受けやすく、粘着剤が劣化するためである。また、ここで言う紙層pHとは、粘着シートの表面基材や剥離シートの場合は粘着剤や剥離剤を塗布した面の反対面を、粘着テープ基材の場合は粘着剤を有機溶剤で膨潤させて掻き取った面を、セロハンテープ等を使用して表層を剥がして原紙層を露にし、市販のpHによって変色する試験液(例えば、紙面測定用pH計、共立理化学研究所社製)を紙面に塗り、標準色と比色して求められるものである。
【0051】
また、粘着シートの剥離シートまたは粘着テープの基材に使用するダイレクトタイプ基材において使用する樹脂および/または顔料を主成分とする目止め層としては特に限定するものではないが、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然または合成樹脂および/またはカオリン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、ホワイトカーボン等の無機顔料、或いはポリスチレン樹脂微粒子、尿素−ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機合成顔料等を用いることができる。
【0052】
上記目止め層を設けた基材の他に、例えばアート紙、コート紙、キャスト塗被紙等のように紙の表面に顔料を主成分とした印刷用塗被層を設けた基材を用いても良い。もちろん必要であれば予め印刷を施した基材が適用できる。
【0053】
なお、上記顔料塗被層を設ける場合には、顔料塗被液に、顔料以外に顔料同士および顔料と基材の表面とを固着させるために接着剤を使用する。かかる接着剤としては、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の、天然または合成の接着剤が、水溶液または水分散液(エマルジョン)の形で使用される。なお、顔料塗被液にはこれら顔料や接着剤の他に、その性質を阻害しない範囲で、消泡剤、分散剤、防腐剤、染料等の種々の助剤を必要に応じて、添加することもできる。
【0054】
そして、かかる樹脂および/または顔料を主成分とする目止め層塗被液は、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、リップコーター等の通常の塗被装置で塗被される。この場合の塗被量は、固形分質量で2g/m2以上、好ましくは4〜30g/m2の範囲で調節される。
【0055】
次に本発明の粘着シート用剥離シートおよび粘着テープ用基材の一面に形成する剥離剤層に用いる剥離剤としては、特に限定はなく、一般に使用される水分散型、溶剤型あるいは無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥質量で0.05〜3g/m2程度塗被後、熱硬化、電離放射線硬化等によって剥離層を形成したものが使用される。中でも無溶剤型シリコーンは、剥離層形成時に有害な溶剤を使用することもなく、また水分散型に比べ、乾燥効率に優れるため、より好ましく使用される。
【0056】
また、最近では、粘着ラベルの一形態として、省資源の観点から、剥離紙のないテープ状のものも開発されているが、この場合はアート紙やコート紙の如き印刷紙の印刷面に離型性被印刷層を設けてなる物で、この様な層を剥離剤層の代わりに使用しても構わない。
【0057】
粘着シートの形成方法は、通常、剥離シートの剥離剤表面上に粘着剤を塗被、乾燥して粘着剤層を設け、次いで表面基材と貼り合わせて仕上げられるが、直接表面基材に粘着剤を塗被して粘着剤層を設けてもかまわない。
【0058】
粘着テープの形成方法は、通常、剥離剤層や離型性被印刷層を設けた基材の裏面に直接粘着剤を塗被、乾燥して粘着剤層を設けて仕上げられるが、一旦工程用剥離紙の剥離剤層側に粘着剤を塗被、乾燥させ、表面に剥離剤層や離型性被印刷層を設けたテープ用基材の裏面を貼り合わせて粘着シートに仕上げた後に剥離シートを除きながら粘着テープに仕上げても良い。
【0059】
粘着シートまたは粘着テープを形成する場合、粘着剤は分子量の調節、水による希釈、或いは増粘等の手段によって、通常0.01〜9パスカル秒程度の粘度に調節して剥離シートに塗被される。この場合の塗被装置としては、例えばリバースロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーまたはロッドコーター、スロットダイコーター、リップコーター、リバースグラビアコーター等が使用される。本発明の粘着シートおよび粘着テープにおいて、塗被装置として特に限定はなく、これらの一般の方法で製造される。粘着剤の塗被量は、その目的により様々であるが、3g/m2以上、より好ましくは5〜50g/m2程度の範囲で調節される。因みに、3g/m2未満では、得られる粘着シートまたは粘着テープの接着性能が不十分となり、一方50g/m2を越えると粘着シートまたは粘着テープの製造時に粘着剤がはみ出したり、剥離の際に凝集破壊の原因となる恐れがある。
【0060】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。また例中の部、割合、塗被量等は特に断わらないかぎり、全て固形分または有効成分質量で示すものである。
【0061】
実施例1
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:250部
アクリル酸:35部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アクリル酸メトキシエチル:75部
酢酸ビニル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、乳化剤とイオン交換水を除く(以下同じ)全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステルA−4G/新中村化学社製)を0.9質量%添加して、調製した。
【0062】
次ぎに撹拌機、クーラー、滴下ロート、窒素吸入管、温度計を付帯したフラスコに、イオン交換水150部、過硫酸カリウム3部、オクチルメルカプタン3部を仕込み、窒素置換しながら80℃に昇温した後、上記乳化モノマー混合液を1/6滴下した。反応率が90%に達した時点で残りのモノマー混合液を3時間かけて滴下し重合を行った。滴下終了後、80℃で3時間熟成して反応を完結させた。次にフラスコ内容物を40℃に冷却し、トリエタノールアミンを共重合体中のカルボキシル基の50モル%添加して中和反応を行い、反応終了後に強撹拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0063】
(目止め層を設けた剥離紙基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:HTクレー/エンゲルハード社製):50部、アクリル酸エステル共重合体(商品名:リカボンドET−84/中央理化社製):50部、潤滑剤(商品名:ノプコC−104/サンノプコ社製):0.5部、消泡剤(商品名:ノプコ1407K/サンノプコ社製):0.3部からなる組成物を、固形分濃度が50%になるように混合調製して、市販の米坪64g/m2の上質紙上に乾燥質量が5g/m2となるように塗被、乾燥して目止め層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて平滑仕上げを行い、剥離紙用の基材を得た。
【0064】
次に、かくして得られた剥離紙基材の目止め層上に溶剤型のシリコーン剥離剤(商品名:LTC−300B/東レ・ダウコーニング社製):100部、触媒(商品名SRX−212/東レ・ダウコーニング社製):0.8部を乾燥質量が1.0g/m2となるように塗被、熱硬化した。
【0065】
(粘着シートの作製)
上記、剥離紙に、得られた粘着剤を乾燥質量で25g/m2となるように塗被、乾燥させた後、市販の米坪64g/m2の上質紙と貼り合わせて粘着シートを得た。
【0066】
(目止め層を設けたテープ用基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:KCSクレー/ECC社製):70部、リン酸エステル化澱粉(商品名:ニールガムA−85/松谷化学社製):5部、SBRラテックス(商品名:L−1795/旭化成社製):25部、分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成化学工業社製):0.2部から成る組成物を、固形分濃度が40%となるように混合調製して市販の米坪73g/m2のクラフト紙上に乾燥質量が10g/m2となるように塗被、乾燥して目止め層を設けた。
【0067】
次に、かくして得られたテープ用基材の目止め層上に溶剤型のシリコーン剥離剤(商品名:SD−7220/東レ・ダウコーニング社製):100部、触媒(商品名SRX−212/東レ・ダウコーニング社製):0.6部を乾燥質量が1.0g/m2となるように塗被、熱硬化した。
【0068】
(粘着テープの作成)
上記剥離剤層を設けたテープ用基材の裏面に上記粘着剤を乾燥質量で40g/m2となるように塗被、乾燥させた後、この粘着剤層と上記テープ用基材の剥離剤層面とを貼り合わせて本発明の粘着テープを作成した。
【0069】
実施例2
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:330部
アクリル酸:60部
(メタ)アクリル酸メチル:5部
酢酸ビニル:5
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を1.8質量%、ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を2.7質量%添加して、調製した。
次いで、実施例1と同様にして共重合体を製造し、トリエタノールアミンと10%水酸化カリウム水溶液をそれぞれ共重合体中のカルボキシル基の50モル%添加して中和反応を行った。
さらに、この粘着剤100部に対し、ノニオン系の界面活性剤(商品名:エマルゲン810/花王社製):4部を添加し、強撹拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0070】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0071】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0072】
実施例3
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:250部
アクリル酸:25部
(メタ)アクリル酸メチル:40部
アクリル酸メトキシエチル:75部
酢酸ビニル:10部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を2.7質量%、ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を4.0質量%添加して、調製した。
次いで、実施例2と同様にして粘着剤を製造した。
【0073】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0074】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0075】
実施例4
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:190部
アクリル酸:35部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アクリル酸メトキシエチル:90部
酢酸ビニル:25部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−200/日本油脂社製)を2.7質量%添加して、調製した。
次いで、実施例1と同様にして共重合体を製造し、トリエタノールアミンを共重合体中のカルボキシル基の100モル%添加して中和反応を行った。
さらに、この粘着剤100部に対し、ノニオン系の界面活性剤(商品名:エマルゲン810/花王社製):4部を添加し、強撹拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0076】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0077】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0078】
実施例5
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、実施例1と同じモノマー組成の混合液に対して、ポリエチレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を0.9質量%添加して、調製した以外は、実施例1と同様にして粘着剤を製造した。
【0079】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0080】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0081】
実施例6
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:290部
アクリル酸:35部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アクリル酸メトキシエチル:35部
酢酸ビニル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を1.8質量%、ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を4.0質量%添加して、調製した。
次いで、実施例2と同様にして粘着剤を製造した。
【0082】
(表面基材および粘着テープ用基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製):70部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6/備北粉化社製):30部、リン酸化エステル化澱粉(商品名:ニールガムA−55C/アベベ社製):1部、酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社製):8部、SBRラテックス(商品名:T−2257/日本合成ゴム社製):8部、分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成化学工業社製):0.1部からなる組成物を、固形分濃度60%となるように混合調製して塗被組成物を得た。
かくして得た塗被組成物を市販の米坪64g/m2の上質紙上に乾燥質量が20g/m2となるように塗被、乾燥して顔料塗被層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて光沢仕上げを行い、表面基材を仕上げた。
【0083】
次に、かくして得られた基材の顔料塗被層上に無溶剤型のシリコーン剥離剤(商品名:LTC−1073L/東レ・ダウコーニング社製):100部、触媒(商品名LTC−1100M/東レ・ダウコーニング社製):10部を乾燥質量が1.0g/m2となるように塗被、熱硬化し、粘着テープ用基材とした。
【0084】
上記粘着剤と表面基材を使用し、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0085】
上記粘着剤とテープ用基材を使用し、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0086】
実施例7
表面基材および粘着テープ用基材として、下記に示す基材を用いた以外は実施例6と同様にして粘着シートおよび粘着テープを作成した。
【0087】
(表面基材および粘着テープ用基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製):45部、炭酸カルシウム(商品名:ブリリアントS−15/白石工業社製):55部、ラテックス(商品名:L−1392/旭化成社製):21部、カゼイン(商品名:アラシッド/ニュージーランドカゼイン社製):5.43部、分散剤(商品名:ナンカリンS−1/燐化学社製):0.0675部、消泡剤(商品名:ビスマーFX−10/日新化学社製):0.3部、離型剤(商品名:ハイドリンZ−8/中京油脂社製)0.8部、硫酸亜鉛:3部から成る組成物を、固形分濃度47%となるように混合調製して、市販の米坪64g/m2の上質紙上に乾燥質量が25g/m2となるよう塗被、乾燥し、スーパーキャレンダーにて平滑仕上げを行い、リウェット法により、前記塗被層が湿潤状態にある間、この塗被層面を加熱金属ドラムに圧接し、キャスト仕上げを行い、基材を得た。
【0088】
次に、かくして得られた基材の顔料塗被層上に無溶剤型のシリコーン剥離剤(商品名:LTC−1073L/東レ・ダウコーニング社製):100部、触媒(商品名LTC−1100M/東レ・ダウコーニング社製):10部を乾燥質量が1.0g/m2となるように塗被、熱硬化し、粘着テープ用基材とした。
【0089】
比較例1
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:250部
アクリル酸:35部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アクリル酸メトキシエチル:75部
酢酸ビニル:20
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、調製した。
【0090】
次いで、実施例1と同様に共重合体を製造し、トリエタノールアミンを共重合体中のカルボキシル基の50モル%添加して中和反応を行い粘着剤を得た。
【0091】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0092】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0093】
比較例2
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:260部
アクリル酸:15部
(メタ)アクリル酸メチル:30部
アクリル酸メトキシエチル:75部
酢酸ビニル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を1.8質量%、ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を2.7質量%添加して、調製した。
次いで、実施例2と同様にして粘着剤を製造した。
【0094】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0095】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0096】
比較例3
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:345部
アクリル酸:50部
(メタ)アクリル酸メチル:5部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を2.7質量%、ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を4.0質量%添加して、調製した。
次いで、実施例4と同様にして粘着剤を製造した。
【0097】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0098】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0099】
比較例4
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:195部
アクリル酸:25部
(メタ)アクリル酸メチル:45部
アクリル酸メトキシエチル:115部
酢酸ビニル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−200/日本油脂社製)を2.7質量%添加して、調製した。
次いで、実施例4と同様にして粘着剤を製造した。
【0100】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0101】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0102】
比較例5
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、実施例1と同じモノマー組成の混合液に対して、ポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を0.9質量%添加して、調製した。
次いで、実施例1と同様に共重合体を製造し、アンモニア水で中和反応を行い、反応終了後に強撹拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0103】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0104】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0105】
比較例6
(粘着剤の製造)
比較例5と同様に乳化モノマー混合液を調製し、次いで実施例1と同様にして共重合体を製造、次いで、トリエタノールアミンを共重合体中のカルボキシル基の150モル%添加して中和反応を行い、反応終了後に強撹拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0106】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0107】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0108】
比較例7
粘着剤として、水およびアルカリ水溶液に不溶なアクリル系粘着剤(商品名:ニカゾールL−145/日本カーバイド工業社製)を乾燥質量で22g/m2となるように塗被、乾燥した以外は、実施例7と同様にして粘着シートを作成した。
【0109】
比較例8
粘着テープとして市販のポリエチレンラミネートクラフト紙粘着テープ(商品名:OJIクラフトテープ/王子化工社製)を用い、評価用試料とした。
【0110】
比較例9
剥離紙基材および粘着テープ用基材として、市販のポリエチレンラミネート紙を用いた以外は、実施例6と同様に粘着シートおよび粘着テープを作成した。
【0111】
比較例10
表面基材として、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作成した。
【0112】
比較例11
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
アクリル酸−2−エチルヘキシル:310部
アクリル酸:65部
(メタ)アクリル酸メチル:5部
酢酸ビニル20
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合し、全モノマー混合物に対してポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル9G/新中村化学社製)を1.8質量%、ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製/平均分子量1000)を2.7質量%添加して、調製した。
次いで、実施例2と同様にして共重合体を製造し、トリエタノールアミンと10%水酸化カリウム水溶液で共重合体中のカルボキシル基をそれぞれ50モル%添加して中和反応を行い、反応終了後に強撹拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0113】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0114】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0115】
このようにして得られた粘着シートおよび粘着テープについて、下記の評価を行い、得られた結果を表1および表2に示した。
【0116】
(評価試験項目)
〔接着力〕JIS−Z−0237の常態粘着力の測定方法に準拠し、下記の二つの条件で保存した後の接着力をそれぞれ測定した。(単位:N/m)
条件A:粘着シートおよび粘着テープの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に7日間保存した後、その接着力を測定した。
条件B:粘着シートおよび粘着テープの製造後、温度40±2℃、関係湿度90±5%の雰囲気下に7日間保存した後、その接着力を測定した。
【0117】
〔凝集力〕JIS−Z−0237の常態保持力の測定方法に準拠した方法で測定し、下記の評価基準で評価した。
粘着シートおよび粘着テープの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に7日間保存した後、その接着力を測定した。
○:荷重重りが5分以降に落下した。
×:荷重重りが5分未満の間に落下した。
【0118】
〔粘着テープのボックスループ〕JIS−P−3902に規定するA級280g/m2のライナーと、JIS−P−3904に規定するA級125g/m2のセミ中芯を持つ厚さ5mmのA級段ボールを、直角方向に幅50mm、長さ200mmに切断し、両端から50mmを裏面より圧縮して、折り込み試験片とする。
テープは、2枚重ねてサンプリングし、縦方向に幅25mm、長さ150mmに切断する。折り込んだ段ボール試験片に、上記のテープを貼り付け、500gの圧着ロール1往復で圧着する。圧着後、直ちに両側段ボール端部より25mmの部分に切り込みをいれ、段ボールに接する面積が25mm×50mmになるようにする。このまま、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に放置し、1日後のテープの剥がれを下記の評価基準で評価した。
◎:剥がれない。
○:剥がれないがズレがある。
×:剥がれる。
【0119】
〔粘着剤水再分散性〕粘着シートの粘着剤層面を、20℃の水に浸しながら指で10回擦った時の粘着剤の挙動を下記の評価基準にて評価した。
○:粘着剤層が粘着性のない細かい微粒子状に再分散した。
△:粘着剤層の粘着性は低下するが、細かく分散しないか凝集する。
×:粘着剤層の粘着性に変化はなく、粘着剤層皮膜が凝集した。
【0120】
〔リサイクル適性〕下記の二つの条件で保存した後のリサイクル適性をそれぞれ評価した。
条件A:粘着シートおよび粘着テープの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に7日間保存した後、そのリサイクル適性を評価した。
条件B:粘着シートおよび粘着テープの製造後、温度40±2℃、関係湿度90±5%の雰囲気下に7日間保存した後、そのリサイクル適性を評価した。
(評価試料の作成)▲1▼実施例1〜実施例7と比較例1〜比較例8と比較例10、比較例11の粘着シート:
封筒に貼付して使用される宛名用ラベルを想定して、粘着シートから剥離シートを剥がし粘着ラベルとし、市販の米坪64g/m2の上質紙に貼付して評価用紙料とした。
▲2▼同じく粘着テープ:
古紙リサイクルが可能な包装材に貼付して使用される場合を想定して、粘着テープを市販の米坪64g/m2の上質紙に貼り付けて評価用試料とした。
▲3▼実施例1〜実施例7と比較例1〜比較例11の粘着シート:
剥離シートも含んだ粘着シートの形態での古紙リサイクルを想定して、粘着シートそのものを評価用試料とした。
【0121】
(評価)
約20mm角の大きさにカットした試料45gに対して、水1500mlを加え、さらにNaOH1gを加えてTAPPI標準離解機(JIS−P−8220の付属書Aに記載される装置)(3000rpm)にて30分間処理した後、パルプ濃度が15%になるまで60メッシュのナイロンスクリーンで脱水し、18%濃度のNaOH水溶液を1.5g、脱墨剤(商品名:DI−600/花王社製)10%濃度溶液を1.8gそれぞれ添加し、40℃で20分間放置し、次にパルプ濃度が25%になるまで60メッシュのナイロンスクリーンで脱水し、30%濃度のNaSiO3水溶液を3.85g、6%濃度のH2O2水を5gそれぞれ添加、次いで双腕式ニ−ダ−で5分間ニーディング処理を行った。
次に55℃に保ちながら120分撹拌した後、パルプ濃度が17.5%になるまで水で希釈し、次いで2回目のニーディング処理を同様に行った。その後更にパルプ濃度が1%になるまで水で希釈した。次に、この1%濃度のパルプ分散液をフローテーターにて10分間浮上分離処理を行い、その際発生する泡をスクレーパーにて取り除き、もう一度60メッシュのナイロンスクリーンで脱水後、水1000mlで洗浄し13%濃度になるまで脱水した。この様にして得られたパルプ分散液を0.3%濃度になるまで水を加えて手抄きシートを作成し、未離解物の残存状態を目視し下記評価基準にて判定した。
【0122】
(リサイクル適性評価基準)
◎:未離解物がほとんどない。
○:未離解物が僅かにあるが、実用上問題ないレベル。
△:未離解物がかなり目立つ
×:未離解物あり、その未離解物に粘着性がある。
【0123】
〔総合評価〕
上記の各評価を総合して本発明のリサイクル可能な粘着シートおよび粘着テープとしての性能を評価した。
◎:基材の一面に粘着剤層を形成してなる粘着シートおよび粘着テープにおいて、粘着シートのままで、もしくは包装材に貼りつけたまま古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において、接着力の熱湿劣化が少なく、凝集力も優れている。
○:基材の一面に粘着剤層を形成してなる粘着シートおよび粘着テープにおいて、粘着シートのままで、もしくは包装材に貼りつけたまま古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において、凝集力が優れているが、接着力の熱湿劣化が若干あるものの問題はないレベルである。
△:粘着シートのままで、もしくは包装材に貼りつけたまま古紙リサイクルは可能であるが、粘着剤の凝集力が不十分であるか、接着力の熱湿劣化が著しいなど、接着性能の面で問題がある。
×:接着性能の優劣に関係なく、粘着シートのままで、もしくは包装材に貼りつけたまま古紙リサイクルは不可能である。
【0124】
【表1】
*表中、リサイクル適性は、粘着ラベル/粘着シートのそれぞれの場合で評価した結果である。
【0125】
【表2】
【0126】
【発明の効果】
表1、2の如く、本発明の粘着シートおよび粘着テープは、粘着剤が水に容易に再分散することで古紙パルプとしてのリサイクル適性が優れており、且つ貼り付け時には必要な接着力を示し、包装材等に貼りつけたまま、或いは粘着シートのままでもリサイクル工程に混入しても容易に工程外へ除去される粘着シートおよび粘着テープであった。
Claims (6)
- 表面基材に粘着剤層を設け、粘着剤層と剥離シートを剥離可能に積層してなる粘着シートまたは剥離剤層/基材/粘着剤層を積層してなる粘着テープにおいて、表面基材が水またはアルカリ水溶液で離解可能な基材であり、使用する剥離シートの基材または粘着テープの基材がダイレクトタイプであり、粘着剤層が水に対して再離解性を有する粘着剤であって、該粘着剤が、
(a)炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー・・・45〜80質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー・・・5〜15質量%、(c)メタクリル酸メチル・・・1〜10質量%、(d)上記a、b、cと共重合可能なモノマー・・・1〜30質量%とを、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールの少なくともいずれか1種の存在下で共重合してなる共重合体に対し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカノールアミンを添加してなる粘着剤であることを特徴とする粘着シートまたは粘着テープ。 - 該粘着剤の共重合時に使用する(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたは(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのアルキレングリコールの付加モル数が1〜23であることを特徴とする請求項1記載の粘着シートまたは粘着テープ。
- (ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたは(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの添加量が、全モノマー混合物に対して0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の粘着シートまたは粘着テープ。
- (ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがポリエチレングリコールジメタクリレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シートまたは粘着テープ。
- 該粘着剤の共重合時に使用する(ポリ)エチレングリコールおよび/または(ポリ)プロピレングリコールの添加量が、全モノマー混合物に対して0.1〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シートまたは粘着テープ。
- 該共重合体中のカルボキシル基を中和するアルカノールアミンが、沸点100℃以上のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シートまたは粘着テープ。
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