JP3754806B2 - 太陽電池モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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    • Y02E10/548Amorphous silicon PV cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池モジュールとその製造方法に関し、より詳しくは光起電力素子を含む領域を加工した多種多様で信頼性の高い太陽電池モジュールとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギー資源の保護や環境問題に対する意識の高まりが、世界的に広がりを見せている。中でも、石油等の枯渇や、CO2排出に伴う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻である。そこで、太陽エネルギーを直接電力に変換でき、しかもクリーンなエネルギーである太陽電池エネルギーには、大きな期待が寄せられている。
【0003】
現在広く使用されている太陽電池の種類としては、結晶系シリコンを使用したもの、アモルファスシリコンを使用したものがあげられる。
【0004】
特に、導電性金属基板上にシリコンを堆積し、その上に透明導電層を形成したアモルファスシリコン太陽電池は、結晶系シリコンを使用した太陽電池よりも安価かつ軽量であり、また耐衝撃性・フレキシブル性に富んでいる事から有望視されている。最近では、アモルファスシリコン太陽電池の特徴である、軽量で耐衝撃性にも優れフレキシブルであるという点をいかして、建築物の屋根・壁などへの設置が行なわれている。この場合、太陽電池の非受光面側に接着剤を介して補強材を貼り合わせることにより建築材として使用されている。このように補強材を貼り合わせることにより、太陽電池モジュールの機械的強度が増し、温度変化による反りや歪みを防止できる。特に、太陽光をより多く取り入れることが可能なため屋根への設置が積極的に行われている。屋根として使用する場合、従来は、太陽電池にフレームを取り付け、屋根の上に架台を設置し、さらにその上に太陽電池を設置するという工程手順をとっていたのに対し、補強材を貼り合わせた太陽電池モジュールは、補強材を曲げ加工することにより、屋根材として直接設置することが可能となる。これによって、大幅な原材料コストの削減・作業工程数の削減が行なえるため安価な太陽電池モジュールを提供する事が可能となる。また、フレームや架台が必要ないため非常に軽量な太陽電池とすることができる。すなわち、施工性に優れること、軽量であり、耐震性に優れることなどから近年注目されている金属屋根として太陽電池を扱うことが可能となる。
【0005】
例えば、特開平07−302924で提案されている屋根材一体型太陽電池モジュールは、通常の屋根と同様に加工されているため施工性に富み、加工上も従来使用している成型機をそのまま使用することができ取り扱いが用意である。しかし、この太陽電池モジュールは、光起電力素子は、平板横葺き屋根材の平坦部に位置しており、光起電力素子は、全く変形させていない構造になっている。
【0006】
しかし、最近は、個々のオリジナル性を重視する傾向にあり、これは建材や太陽電池においても例外ではない。さまざまなニーズに答えた多種多様な形状をもった太陽電池あるいは建材を作成して行くためには、光起電力素子上を常に平坦に保つのではなく、光起電力素子を含むすべての領域の加工性を確保する必要がある。
【0007】
このような、多様性に対応する一つの例として、特開平8-222752、特開平8-222753、特公平6-5769では、波型形状の太陽電池モジュールが記載されている。いずれも、光利用効率をよくするために波状に光起電力素子を配置しており、その製造方法は光起電力素子を波板上に加工した鋼板等に接着剤で貼り付ける手順となっている。
【0008】
また、a-Si:H層とその歪み量との関係の研究も報告されている。
【0009】
例えば、Appl.Phys.Lett.54(17),1989,p.1678-1680,"Electrical properties of hydrogenated amorphous silicon layers on polymer film substrate under tensile stress"では、PET基板(100μm厚を)上にa-Si:H単膜(0.5μm厚、主にI-type a-Si:H)を積層したa-Si:H層を引張り、その暗状態での抵抗の変化について報告されている。この報告の詳細は以下のような内容である。
【0010】
a-Si:H層を引張ると0.7%歪みまでは、ピエゾ効果で徐々に抵抗は高くなり(可逆的)、0.7%歪みからは、弱いSi-Si結合が切断されるため、急に抵抗があがる(不可逆的)。ただし、0.7%以上歪ませたことにより抵抗があがったa-Si:H層も150℃/1時間のアニールによりもとにもどる。
【0011】
また、J.Appl.Phys.66(1),1989,p.308-311,"Effect of mechanical strain on electrical characteristics of hydrogenated amorphous silicon junctions"では、pin接合をもつa-Si:Hのピエゾ効果について報告されている。この報告の詳細は以下のような内容である。
【0012】
pin接合をもつa-Si:Hについて、pin接合と平行に歪ませたとき、7500μεの引張り応力下では、順方向および逆方向ともに電流は8%減少する(暗状態)。また7500μεの圧縮応力下で電流は8%増加する。
【0013】
一方、アモルファスシリコン太陽電池は、一般的には、そのフレキシブル性をいかし、軽量な太陽電池とするために、最表面をフッ素フィルム、その内側に充填材として様々な有機高分子樹脂を使用した被覆が行なわれてきた。しかし、表面をフィルムで被覆した場合、ガラスで被覆した場合に比べ、外部からの衝撃や傷つき(耐スクラッチ性)に弱くなる。これらの欠点を解決するため充填材の中にガラス繊維不織布などの繊維状無機化合物を含浸させ、受光面側の強度を確保する工夫がされている。
【0014】
図8は、このような太陽電池モジュールの被覆構成を示す従来例である。図8に於いて、803はフッ化物重合体薄膜層、802は透明有機高分子樹脂、801は光起電力素子、804は絶縁フィルム、805は補強板である。より具体的には、フッ化物重合体薄膜層803はETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)フィルム、PVF(ポリフッ化ビニル)フィルム等のフッ素樹脂フィルムであり、透明有機高分子樹脂802はEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、ブチラール樹脂等である。絶縁フィルム804は、ナイロンフィルム、PET(ポリエステル)フィルム、アルミラミネートテドラーフィルム等の有機樹脂フィルムである。補強板805としては、塗装亜鉛鋼板のような絶縁処理した金属、カーボンファイバー、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)等である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、平板状太陽電池モジュールである特開平07−302924は当然のことながら、特開平8-222752、特開平8-222753、特公平6-5769等の波形状太陽電池モジュールについても光起電力素子を波形状に加工する際に、光起電力素子にかかる具体的なストレスに関する記載はない。すなわち
基板の変位量、光起電力素子の変位量、太陽電池モジュールとしての変位量のいずれについても記載されていない。また、ストレスや変形させたことによる影響およびそれらの信頼性についてはまったく触れられていない。
【0016】
Appl.Phys.Lett.54(17),1989,p.1678-1680,"Electrical properties of hydrogenated amorphous silicon layers on polymer film substrate under tensile stress"、および、J.Appl.Phys.66(1),1989,p.308-311,"Effect of mechanical strain on electrical characteristics of hydrogenated amorphous silicon junctions"では、光起電力素子を歪ませて使用する、あるいは、光起電力素子を歪ませた状態でモジュール化するというような記載も示唆もない。さらに、このように光起電力素子を歪ませた太陽電池モジュールでの信頼性評価もまったく行われていない。
【0017】
これらが、明確でないため、光起電力素子にストレスをかけたり、変形させたりするような加工をした太陽電池モジュールを作成することは敬遠され、たとえ加工したとしても、その形状での信頼性を常に検討していかなければならない。通常、一つの製品(加工形状)に対して多くの信頼性試験を施さなければならないため、一つの製品を製品化するのには非常に時間がかかる。すなわち、このような方法では、多種多様な製品を求められる現在の太陽電池及び建材のニーズに対応するスピードでの製品化は望めない。
【0018】
上記したように、よりはやく信頼性の高い、多種多様な太陽電池モジュールを作成するためには、以下の点を解決する必要がある。
▲1▼光起電力素子を含む領域を加工する際の、光起電力素子の変形可能な変位領域を明確にする。
▲2▼光起電力素子を変形させた場合の長期信頼性を確保する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究開発を重ねた結果、次のような方法が最良であることを見いだした。
【0020】
可撓性基板上に半導体光活性層を少なくとも一層有する光起電力素子を有した太陽電池モジュールの製造方法において、前記可撓性基板の少なくとも一部を基板材料の水平方向に、フィルファクター(以降F.F.と略す)の低下臨界値未満の歪み量で引っ張り変形させることにより、光起電力素子を含む部分を曲げ加工したことを特徴とする太陽電池モジュールとする。
【0021】
(作用)
上述した構成を基本とする太陽電池モジュールは以下のような態様を包含し、顕著な効果を奏する。
【0022】
可撓性基板上に半導体光活性層を少なくとも一層有する光起電力素子を有した太陽電池モジュールの製造方法において、前記可撓性基板の少なくとも一部を基板材料の水平方向に、F.F.低下臨界値未満の歪み量で引っ張り変形させることにより、光起電力素子を有する部分を曲げ加工することにより、
(1)光起電力素子の変形可能領域が明確になるため、多種多様な太陽電池モジュールの製品開発スピードが大幅に向上する。
(2)太陽電池の特性を低下させることなく、光起電力素子上を自由に加工することができる。
(3)光起電力素子上も自由に加工することが可能になるため、美観性・意匠性に優れた太陽電池モジュールとすることができる。
(4)成型加工後の太陽電池モジュールも、高信頼性の太陽電池モジュールとすることができる。
【0023】
前記引張り変形が前記可撓性基板又は前記光起電力素子の非受光面側に設けられた補強材の塑性変形領域内で、且つ前記光起電力素子のF.F.低下臨界値未満の歪み量をもつことにより
(5) 可撓性基板が塑性変形しているため、加工後もその形状をたもった光起電力素子とすることができる。
【0024】
前記光起電力素子の少なくとも光受光面側が有機高分子樹脂で被覆されることにより、
(6)光起電力素子の可撓性を十分にいかした、可撓性をもった太陽電池モジュールとすることができる。
【0025】
前記太陽電池モジュールの非受光面側に補強材を設けることにより、
(7)建材一体型太陽電池モジュールとすることができ、太陽電池モジュールの施工性が向上する。
【0026】
前記太陽電池モジュールの受光面側最表面に透明樹脂フィルム層を設けることにより、
(8)軽量な太陽電池モジュールとすることができるため、耐震性に優れる。
(9) 可撓性をもった太陽電池モジュールとすることができるため、意匠性・加工性が向上する。
(10) 長期屋外暴露の際の外部からの汚れを防止し、太陽電池モジュールの変換効率の低下を少なくすることができる。
【0027】
前記補強材が、塑性変形領域の歪みをもつことにより、
(11) ほかの部材を用いることなく、太陽電池モジュールを多種の形状にすることができる。
【0028】
前記補強材の塑性変形領域が受光面側に光起電力素子を含まない部分のみであることにより、
(12) 光起電力素子への歪み量をF.F.低下臨界値以下に押さえつつ、太陽電池モジュールとしては大きく変形させ、多種多様な製品とすることが可能になる。
【0029】
前記光起電力素子が可撓性基板上にアモルファスシリコンを形成してなることにより、
(13)基板および半導体層ともに可撓性を持つため、光起電力素子の有無に 関わらず補強材を加工することができるため、多種の太陽電池モジュールの加工が可能になる。
【0030】
前記可撓性基板が導電性基板であることにより、
(14) 光起電力素子のマイナス極として扱うことができるため、電極の取り出しが容易になる。
【0031】
前記導電性基板の塑性変形領域が0.2%以上であることにより
(15) 小さな歪み量で塑性変形するため、半導体光活性層にダメージを与えることなく光起電力素子の加工が容易できる。
【0032】
前記導電性基板がステンレス鋼であることにより、
(16) 耐腐食性に富むため、基板を高分子樹脂で被覆する際にも腐食・酸化 などをすることなく信頼性の高い太陽電池モジュールとすることができる。
【0033】
前記可撓性基板が樹脂フィルムであることにより、
(17)安価な太陽電池モジュールとすることができ、加工を妨げることもないため加工性に富んだ太陽電池モジュールとなる。
【0034】
前記補強材が、金属であることにより、
(18)耐候性・耐摩耗性に優れた太陽電池モジュールとなる。また、フレキシブルな補強材であるため加工性が向上する。
【0035】
前記太陽電池モジュールが、建材一体型太陽電池モジュールであることにより、
(19) 従来の建材の上に太陽電池モジュールを設置するタイプと比べ、建材が不要となるため低コストな太陽電池モジュールとなる。
(20) さらに、建物の屋根や壁に設置することにより、設置場所を有効に使用できるため、効率よく発電することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の光起電力素子と歪み量との関係を示した実験について詳細を述べる。
【0037】
本発明に於ける代表的な光起電力素子は、基板上に裏面反射層、半導体活性層、透明導電層、集電電極が積層された構成となっている。その一例としての概略構成図を図2に示すが、この図に於いて201は導電性基板、202は裏面反射層、203は半導体光活性層、204は透明導電層、205は集電電極、206は出力端子である。
【0038】
基板としては、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルクなどが用いられる。その表面には微細な凹凸を有しても良い。透明基板を用いて基板側から光が入射する構成としてもよい。
【0039】
ただし、アモルファスシリコンの可撓性を最大限に生かすためにも基板も可撓性の物を使用することが望ましい。すなわち、金属や樹脂を使用することが望ましい。金属や樹脂等は長尺形状とすることによって、連続成膜に対応させることができる。樹脂基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリスルホン酸、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトンなどがある。また、基板を導電性基板とすることにより光起電力素子の基板になると同時に、下部電極の役割も果たすことができるためより好ましい。導電性基板の材料としては、シリコン、タンタル、モリブデン、タングステン、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン、カーボンシート、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フィルムやセラミックスなどがある。上記導電性基板201上には裏面反射層202として、金属層、あるいは金属酸化物層、あるいは金属層と金属酸化物層を形成しても良い。これらの役割は基板にまで到達した光を反射して半導体層で再利用させる反射層となる。これらの表面に凹凸を設けることにより反射光を半導体層内での光路長を延ばし、短絡電流を増大させる働きがある。金属層には、例えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Ni,Cu,Auなどが用いられ、金属酸化物層には、例えば、ZnO,TiO2,SnO2などが用いられる。上記金属層及び金属酸化物層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、めっき、印刷などがある。
【0040】
半導体光活性層203は光電変換を行う部分で、具体的な材料としては、pn接合型多結晶シリコン、pin接合型アモルファスシリコン、あるいはCuInSe2,CuInS2,GaAs,CdS/Cu2S,CdS/CdTe,CdS/InP,CdTe/Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げられる。上記半導体光活性層の形成方法としては、多結晶シリコンの場合は溶融シリコンのシート化か非晶質シリコンの熱処理、アモルファスシリコンの場合はシランガスなどを原料とするマイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズマCVD法、VHFプラズマCVD法、化合物半導体の場合はイオンプレーティング、イオンビームデポジション、真空蒸着法、スパッタ法、電析法などがある。
【0041】
透明導電層204は太陽電池の上部電極の役目を果たしている。同時に入射光および反射光の乱反射を増大し、半導体層内での光路長をのばす。また、金属層の元素が半導体層へ拡散あるいはマイグレーションをおこし、光起電力素子がシャントすることを防止する。さらに、適度な抵抗を持つことにより、半導体層のピンホール等の欠陥によるショートを防止する。比抵抗が10−8(Ωcm)以上、10−1(Ωcm)以下であることが望ましい。さらに、金属層と同様にその表面に凹凸を有していることが好ましい。用いる材料としては、例えば、In23,SnO2,In23−SnO2(ITO),ZnO,TiO2,Cd2SnO4,高濃度不純物ドープした結晶性半導体層などがある。形成方法としては抵抗加熱蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、不純物拡散法などがある。
【0042】
透明導電層の上には電流を効率よく集電するために、格子状の集電電極205(グリッド)を設けてもよい。集電電極205の具体的な材料としては、例えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Ni,Cu,Sn、あるいは銀ペーストをはじめとする導電性ペーストなどが挙げられる。集電電極205の形成方法としては、マスクパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要な部分をエッチングで取り除きパターニングする方法、光CVDにより直接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極パターンのネガパターンのマスクを形成した後にメッキする方法、導電性ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペーストで固着する方法などがある。導電性ペーストは、通常微粉末状の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダーポリマーに分散させたものが用いられる。バインダーポリマーとしては、例えば、ポリエステル、エポキシ、アクリル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウレタン、フェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0043】
最後に起電力を取り出すためにプラス側出力端子206aおよびマイナス側出力端子206bを導電性基板と集電電極に取り付ける。導電性基板へは銅タブ等の金属体をスポット溶接や半田で接合する方法が取られ、集電電極へは金属体を導電性ペースト207や半田によって電気的に接続する方法が取られる。なお集電電極205に取り付ける際、出力端子が導電性金属基板や半導体層と接触して短絡するのを防ぐ為に絶縁体208を設けることが望ましい。
【0044】
以下にpin接合型アモルファスシリコン半導体光活性層を用いた光起電力素子を用いて実験を行った結果を示す。
【0045】
始めに光起電力素子の基板の非受光面側に歪みゲージを貼り付けた。その後、初期特性を測定した。このサンプルを引張試験機により、基板の水平方向に光起電力素子を引っ張る方向(延ばす方向)のストレス(歪み)を与える。この場合、ピーク歪み量は、基板が12000με(1.2% 伸び)となるまで各々の歪み量で測定した。このようにして、歪み量を変えたサンプルの特性を再度測定し、最後にSEM(走査型電子顕微鏡)により光起電力素子表面の観察をおこなった。
【0046】
歪み量としては、引っ張り段階で発生するピーク歪み量と、引っ張りを止めた時点で残っている残留歪み量の2種類に分けられる(図9)。引張り段階のピーク歪み地点でa-Si:Hに割れなどの欠陥がおきてしまった場合、その後の残留歪みを全くなくしたとしても、その欠陥が復元されるわけではない。したがって、光起電力素子の変形可能領域と歪みの関係を述べる場合にはピーク歪みが重要になる。
【0047】
上記のような実験の結果を図10にしめす。
【0048】
始めに、図10を用いて、F.F.低下臨界値の定義を説明する。
【0049】
光起電力素子の歪み量とF.F.変化率の関係をグラフにする。その場合、図10に示したように、ある歪み量の点からF.Fの低下が起こる。このF.F.の低下はなだらかな曲線となるため、図のように接線をひき2つの接線の交点をF.F.低下臨界値とする。a−Si:Hを用いた図10の場合には、二つの接線の交点は、7000με(0.7%歪み)である。すなわち、ピーク歪み7000με以上となるとF.F.が低下する。そこで、光起電力素子上を加工し、その信頼性を確保するためには加工時に光起電力素子に対するピーク歪み量がF.F.低下臨界値(a−Si:Hの場合0.7%)未満であることが望ましい。この条件において、光起電力素子を変形加工するためには、可撓性基板として、F.F.低下臨界値(a−Si:Hの場合0.7%)未満に塑性変形領域を持つ材料を用いることにより、F.F.低下臨界値(a−Si:Hの場合0.7%)未満で基板を変形させることにより光起電力素子を変形させ、同時に基板上の半導体光活性層には性能の低下をもたらすことのない光起電力素子とすることができる。
【0050】
ここで、F.F.について説明する。
【0051】
F. F.=最大電力(Pm)/(短絡電流(Isc)×開放電圧(Voc))で現される。すなわち、物理的な意味としては、電圧だけを最大限に取り出した場合の値であるVocと電流だけ最大限に引き出した場合の値であるIscとの積に対する、実際に取り出せる電力Pmを比較した値である。実際的なF.F.の値は、pn接合の順方向特性によって決まるので、使用する半導体基板中に含まれる欠陥や、pn接合作製時あるいはその後の製造工程で発生する欠陥を通して、漏れ電流が流れるとF.F.が低くなり、本来出せるはずの出力を低下させることになる。この意味から、引っ張り試験後にF.F.が低下しているということは、すなわち引っ張り試験により半導体層に欠陥を生じているということを現している。
【0052】
上記のことからもわかるように、a-Si:Hの場合、ピーク歪みが0.7%以上である場合、すなわちF.F低下臨界値以上の歪みを光起電力素子に与えた場合、その光起電力素子には欠陥が生じていると思われる。
【0053】
実際に、光起電力素子の受光面側からSEMで観察した結果F.F低下臨界値以上の歪みを生じている部分では可撓性基板の垂直方向への割れが多数観察された。また、この時の太陽電池特性の低下から、基板/金属層/透明電極層/半導体活性層/透明電極の膜の界面剥離、あるいは半導体活性層内の界面剥離も発生していると考えられる。
【0054】
これらのことを踏まえて、実際の太陽電池モジュールを作成する方法を以下に述べる。図1に、本発明の条件をみたす太陽電池モジュールの一例の平面図・断面図をしめす。図1において、101は光起電力素子、102は繊維状無機化合物、103は透明有機高分子化合物、104は最表面に位置する透明な樹脂フィルム、105は裏面充填材、106は裏面絶縁フィルム、107は補強材、外部からの光は、最表面のフィルム103から入射し、光起電力素子101に到達し、生じた起電力は出力端子(不図示)より外部に取り出される。光起電力素子101は、上述した通りの光起電力素子を用いる。
【0055】
次に、本発明に用いられる加工について詳しく説明する。まずは、補強材を貼り付けた平板太陽電池モジュールを作成した後に、図1に示すような曲げ加工を行う。図1では、光起電力素子の真ん中で階段状に曲げ加工を行っている。この加工で歪みが生じる場所は、階段状の山部および谷部である。ただし、もっとも大きな歪みが生じるのは、階段状の山部である。谷部でも歪みは生じるがごく僅かである。
【0056】
図1には連続した階段状に加工した例を示したがこれに限定されるものではない。可撓性基板の歪み量をF.F.低下臨界値未満で塑性変形させた加工であれば、一部にのみ折り曲げ部を設けたり、多数の凹凸部をもつもの、または平板太陽電池モジュールのまま引っ張りのストレスを与えるような加工を行ってもよい。光起電力素子の有無に関わらず太陽電池モジュールを加工することができるため、例えば図1のように大型の太陽電池モジュールを働き幅の狭い階段状の屋根材として加工することにより美観性にも優れ、さらに1枚毎に接合部を設ける必要がないため接合部の少ない施工性に優れた屋根となる。また、太陽電池モジュールの形態によって光起電力素子の配列を変更する必要がなく、同一の平板太陽電池モジュールを多種の形状に加工することができるため、加工性・生産性に優れる。具体的に、補強材を設けた太陽電池モジュールの加工を考えた場合、基板よりも剛性の高い材料を補強材として用いることが多いため、可撓性基板を塑性変形させただけでは太陽電池モジュールとしての加工された形状を維持することは難しい。その場合、太陽電池モジュールの形状を加工するための一例としては、補強材上で光起電力素子のない部分のみ塑性変形させて、それにより補強材全体が形状を維持できるような加工を行う方法がある。この方法によれば、補強材を設けた太陽電池モジュールにおいても、可撓性基板の歪み量をF.F.低下臨界値未満として、太陽電池モジュールとして加工し、その形状を維持できるため、信頼性、美観性ともにすぐれた太陽電池モジュールとすることができる。
【0057】
次に本発明に用いられる被覆材材料について詳しく説明する。
【0058】
(繊維状無機化合物)
次に、表面充填材中に含浸されている繊維状無機化合物102について以下に述べる。まず、アモルファスシリコンを使用した太陽電池はその可撓性を十分にいかすためにその表面を高分子樹脂フィルムで被覆する。しかし、この場合最表面をガラスで被覆した場合に比べて外部からの傷に非常に弱くなる。
【0059】
また、太陽電池モジュール、特に住宅の屋根、壁に設置されるモジュールには難燃性が求められている。ところが、透明有機高分子樹脂の量が多いと非常に燃えやすい表面被覆材となり、またその量が少ないと外部からの衝撃から内部の光起電力素子を保護することができなくなる。そこで、少ない樹脂で光起電力素子を外部環境から十分に保護するために、表面被覆材として繊維状無機化合物を含浸した透明高分子樹脂を使用する。
【0060】
繊維状無機化合物としては、具体的にはガラス繊維不織布、ガラス繊維織布、ガラスフィラー等があげられる。特に、ガラス繊維不織布を用いることが好ましい。ガラス繊維織布は、コストが高く、含浸もされにくい。ガラスフィラーを用いることは、耐スクラッチ性があまり向上しない為、より少量の透明有機高分子樹脂で光起電力素子を被覆することが難しい。また、長期使用にかんして、十分な密着力を確保するために透明有機高分子樹脂に使用したものと同様に、シランカップリング剤や有機チタネート化合物で繊維状無機化合物を処理しておくことが望ましい。
【0061】
(充填材)
表面充填材103として用いられている透明有機高分子樹脂は、光起電力素子の凹凸を樹脂で被覆し、素子を温度変化、湿度、衝撃などの過酷な外部環境から守りかつ表面フィルムと素子との接着を確保するために必要である。したがって、耐候性、接着性、充填性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性が要求される。これらの要求を満たす樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ブチラール樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。なかでも、EVAは太陽電池用途としてバランスのとれた物性を有しており、好んで用いられる。
【0062】
また、EVAはそのままでは熱変形温度が低いために容易に高温使用下で変形やクリープを呈するので、架橋して耐熱性を高めておくことが望ましい。EVAの場合は有機過酸化物で架橋するのが一般的である。有機過酸化物による架橋は有機過酸化物から発生する遊離ラジカルが樹脂中の水素やハロゲン原子を引き抜いてC−C結合を形成することによって行われる。有機過酸化物の活性化方法には、熱分解、レドックス分解およびイオン分解が知られている。一般には熱分解法が好んで行われている。有機過酸化物の化学構造の具体例としては、ヒドロペルオキシド、ジアルキル(アリル)ペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、ペルオキシカルボネートおよびケトンペルオキシドに大別される。
【0063】
なお、有機過酸化物の添加量は充填材樹脂100重量部に対して0.5乃至5重量部である。
【0064】
上記有機過酸化物を充填材に併用し、加圧加熱しながら架橋および熱圧着を行うことが可能である。加熱温度ならびに時間は各々の有機過酸化物の熱分解温度特性で決定することができる。一般には熱分解が90%より好ましくは95%以上進行する温度と時間をもって加熱加圧を終了する。これによる充填材のゲル分率が80%以上が好ましい。ここで、ゲル分率とは以下の式で求められる。
【0065】
ゲル分率=(未溶解分の重量/試料の元の重量)×100(%)
すなわち、透明有機高分子樹脂をキシレン等の溶媒で抽出した場合、架橋してゲル化した部分は溶出せず架橋していないゾル部分のみ溶出する。ゲル分率100%とは、完全に架橋が完了したことを示す。抽出後残った試料を取り出したキシレンを蒸発させることにより未溶解のゲル分のみを得ることができる。
【0066】
ゲル分率が80%未満である場合、耐熱性や耐クリープ性に劣るため、夏などの高温下での使用の際に問題が生じる。
【0067】
上記架橋反応を効率良く行うためには、架橋助剤と呼ばれるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用いることが望ましい。一般には充填材樹脂100重量部に対して1乃至5重量部の添加量である。
【0068】
本発明に用いられる充填材の材料は耐候性において優れたものであるが、更なる耐候性の改良、あるいは、充填材下層の保護のために、紫外線吸収剤を併用することもできる。紫外線吸収剤としては、公知の化合物が用いられるが、太陽電池モジュールの使用環境を考慮して低揮発性の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。紫外線吸収剤の他に光安定化剤も同時に添加すれば、光に対してより安定な充填材となる。具体的な化学構造としてはサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系に大別される。これらの紫外線吸収剤を少なくとも1種以上添加することが好ましい。
【0069】
上記紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する方法としてはヒンダードアミン系光安定化剤を使用できることが知られている。ヒンダードアミン系光安定化剤は紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤を併用することによって著しい相乗効果を示す。添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜0.3重量部程度が一般的である。もちろんヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明の充填材には望ましくない。
【0070】
さらに、耐熱性・熱加工性改善のために酸化防止剤を添加することも可能である。添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部が適正である。酸化防止剤の化学構造としてはモノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系に大別される。
【0071】
さらに、より厳しい環境下で太陽電池モジュールの使用が想定される場合には充填材と光起電力素子あるいは表面フィルムとの密着力を向上することが好ましい。シランカップリング剤や有機チタネート化合物を充填材に添加することで前記密着力を改善することが可能である。添加量は、充填材樹脂100重量部に対して0.1乃至3重量部が好ましく、0.25乃至1重量部がより好ましい。さらに、含浸している繊維状無機化合物と透明有機高分子化合物の密着力を向上させるためにもシランカップリング剤や有機チタネート化合物を透明有機高分子中に添加することは効果がある。
【0072】
一方、光起電力素子に到達する光量の減少をなるべく抑えるために、表面充填材は透明でなくてはならず、具体的には光透過率が400nm以上800nm以下の可視光波長領域において80%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。また、大気からの光の入射を容易にするために、摂氏25度における屈折率が1.1から2.0であることが好ましく、1.1から1.6であることがより好ましい。
【0073】
(表面樹脂フィルム)
本発明で用いられる表面樹脂フィルム104は太陽電池モジュールの最表層に位置するため耐候性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能が必要である。本発明に用いられる樹脂フィルムとしてはフッ素樹脂、アクリル樹脂などがある。なかでもフッ素樹脂は耐候性、耐汚染性に優れているため好んで用いられる。具体的にはポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂あるは四フッ化エチレン−エチレン共重合体などがある。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性および機械的強度の両立と透明性では四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れている。
【0074】
前記充填材との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、UV照射、電子線照射、火炎処理等の表面処理を表面フィルムに行うことが望ましい。具体的には、光起電力素子側の、ぬれ指数が34dyne乃至45dyneであることが好ましい。ぬれ指数が34dyne以下であると、樹脂フィルムと充填材との接着力が十分ではないため、充填剤と樹脂フィルムの剥離がおこる。また、樹脂フィルムとして、四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂フィルムを用いる場合、ぬれ指数45dyne以上にすることは難しい。
【0075】
さらに、樹脂フィルムは、延伸処理されたフィルムはクラックを生じる。すなわち、本発明のように太陽電池モジュールの端部を折り曲げ加工する際には、折り曲げ部分でフィルムが切れるため、その部分での被覆材の剥離および水分の侵入を促し信頼性の低下をきたす。このことより、延伸処理されていないフィルムのほうが望ましい。具体的には、 ASTM D-882試験法における、引っ張り破断伸びが縦方向、横方向ともに200%乃至800%であることが好ましい。
【0076】
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム106は、光起電力素子101の導電性金属基板と外部との電気的絶縁を保つために必要である。材料としては、導電性金属基板と充分な電気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適に用いられるフィルムとしては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、、ポリカーボネートが挙げられる。
【0077】
(裏面充填材)
裏面の充填材105は光起電力素子101と裏面の絶縁フィルム106との接着を図るためのものである。材料としては、導電性基板と充分な接着性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適に用いられる材料としては、EVA、エチレン−アクリル酸メチル共重合(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリエチレン、ポリビニルブチラール等のホットメルト材、両面テープ、柔軟性を有するエポキシ接着剤が挙げられる。また、補強板および絶縁フィルムとの接着力を向上するためにこれらの接着剤表面に粘着付与樹脂を塗布してもよい。これら充填材が、表面の充填材103として使用されている透明高分子樹脂と同じ材料であることも多い。さらには、工程の簡略化の為、絶縁フィルムの両側に、上記の接着剤層をあらかじめ一体積層した材料を用いてもよい。
【0078】
(補強板)
裏面の被覆フィルムの外側には、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、あるいは、温度変化による歪、ソリを防止するために、また、屋根材一体型太陽電池モジュールとするために補強板107を張り付ける。例えば、耐候性、耐錆性にすぐれた有機高分子樹脂で被覆された塗装亜鉛鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板などが好ましい。
【0079】
以上述べた光起電力素子、充填材、表面樹脂フィルム、裏面被覆材、補強板を用いて平板太陽電池付き屋根とし、端部を折り曲げ加工し、光起電力素子を含む部分を曲げ加工する方法を次に説明する。
【0080】
光起電力素子受光面を被覆するには、シート状に成型した透明高分子樹脂303を作製しこれを素子の表裏に加熱圧着する方法が一般的である。太陽電池モジュールの作成時の積層構成は、図3に示されるような構成である。すなわち、光起電力素子301、繊維状無機化合物302、透明有機高分子樹脂303、表面樹脂フィルム304、裏面充填材305、絶縁フィルム306、補強板307が図の順、あるいは逆の順で積層し、加熱圧着して太陽電池モジュール308を得る。
【0081】
なお、圧着時の加熱温度及び加熱時間は架橋反応が十分に進行する温度・時間をもって決定する。
【0082】
このようにして、作成した太陽電池モジュール308を、プレス成型機・ローラーフォーマー成型機・ベンダー曲げ成型機により補強材を塑性変形領域まで加工し、太陽電池モジュールを得る。
【0083】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0084】
(実施例1)
〔光起電力素子〕
まず、アモルファスシリコン(a−Si)太陽電池(光起電力素子)を製作する。作製手順を図2を用いて説明する。
【0085】
洗浄したステンレス基板201上に、スパッタ法で裏面反射層202としてAl層(膜厚5000Å)とZnO層(膜厚5000Å)を順次形成する。ついで、プラズマCVD法により、SiH4とPH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を、SiH4とH2の混合ガスからi型a−Si層を、SiH4とBF3とH2の混合ガスからp型微結晶μc−Si層を形成し、n層膜厚150Å/i層膜厚4000Å/p層膜厚100Å/n層膜厚100Å/i層膜厚800Å/p層膜厚100Åの層構成のタンデム型a−Si光電変換半導体層203を形成した。次に、透明導電層204として、In23薄膜(膜厚700Å)を、O2雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着する事によって形成した。さらに、集電用のグリッド電極205を銀ペーストのスクリーン印刷により形成し、最後にマイナス側出力端子206aとして銅タブをステンレス基板に半田207を用いて取り付け、プラス側出力端子206bとしては錫箔のテープを半田207にて集電電極205に取り付け出力端子とし、光起電力素子を得た。
【0086】
〔セルブロック〕
上記素子を5直列に接続して太陽電池セルブロックを作製する方法を図5を用いて説明する。
【0087】
5つの素子を横一列に並べた後、隣り合う素子の一方の素子のプラス側端子503aと他方の素子のマイナス側端子503bとを銅タブ504で半田505を用いて接続する。さらに、これにより5個の素子を直列化し、直列済セルブロックを作成した。一番端の素子の出力端子に接続した銅タブは裏面に回して後に述べる裏面被覆層の穴から出力を取り出せるように裏面集電電極を作成した(不図示)。
【0088】
このようにして、太陽電池セルブロックを完成した。
【0089】
〔モジュール化〕
上記素子を被覆して太陽電池モジュールを作成する方法を図6を用いて説明する。セルブロック601、繊維状無機化合物(40g/m2)602、受光面側透明有機高分子樹脂603、表面樹脂フィルム604、裏面一体積層フィルム606、補強板607を用意し、これらを図6の順序で積層することにより作成した。
【0090】
また、セルブロックのプラス側出力端子609上には化粧テープ608を積層した。
【0091】
<繊維状無機化合物>
繊維状無機化合物(40g/m2)
目付け量40g/m2、厚さ200μm、結着剤アクリル樹脂4.0%含有、線径10μm、繊維長13mmのガラス不織布を準備した。
【0092】
<受光面側透明有機高分子樹脂>
充填材としてエチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル25重量%)と、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤を混合して処方組された、460μmのEVAシートを準備した。
【0093】
<表面樹脂フィルム>
表面樹脂フィルムとして、無延伸のエチレンーテトラフルオロエチレンフィルム(ETFE)50μmを準備した。なお、充填材と接する面にはあらかじめプラズマ処理を施した。
【0094】
<裏面一体積層フィルム>
一体積層フィルムとして、接着層として、受光面側有機高分子樹脂として使用した処方ぐみされたエチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル25重量%、厚さ225μm)と絶縁フィルムとして2軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(厚さ100μm)を、EVA/PET/EVAの順で一体積層した総厚550μmとした一体積層フィルムを用意した。
【0095】
<補強板>
補強板としては、ガルバリウム鋼板(アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%が一体となったアルミ・亜鉛合金メッキ鋼板)に一方にはポリエステル系塗料をもう一方にはガラス繊維を添加したポリエステル系塗料をコートした鋼板を用意した。厚みは400μmの鋼板とした。
【0096】
<化粧テープ>
化粧テープとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm、色 黒色)のテープを準備した。
【0097】
<平板太陽電池モジュール>
この積層体を、1重真空方式のラミネート装置を用いて真空加熱し平板太陽電池モジュールを作成した。その際の真空条件は、排気速度76Torr/sec.、真空度5Torrで30分間排気。その後、160度の熱風オーブンにラミネート装置を投入し、50分間加熱した。この際のEVAは、140度以上15分間以上という環境におかれる。これにより、EVAを溶融、架橋させた。
【0098】
〔ローラーフォーマー加工〕
次に図4−1のように、ローラーフォーマー成形機でもって光起電力素子を含まない太陽電池モジュールの端部を折り曲げ加工した。この時、光起電力素子部分にはローラーがあたらないように成形する。
【0099】
〔プレス加工〕
次に図4−2に示すように、プレス成型機により、光起電力素子の有無によらず補強板を曲げ加工した。プレス加工は、凸部をもつ下型と凹部を持つ上型により太陽電池モジュールを挟み込む形でおこなった。この時、光起電力素子の可撓性基板のピーク歪み量が0.6%(残留歪み量0.4%)になるようにプレス条件を調節した。
【0100】
最後に、太陽電池モジュール裏面から電力取り出し用の電線を取り付ける。光起電力素子群の端子取りだし部に当たるところの補強材には予め穴が開けられており、そこから正極および負極の出力端子を取り出している。更に取り出し部には絶縁保護と防水のためにポリカーボネイト製の端子箱を設けている。またケーブルとしては先端にコネクターを有するケーブル線を用いている。
【0101】
(実施例2)
実施例1において、プレスの条件を光起電力素子の可撓性基板のピーク歪み量が0.3%(残留歪み量0.1%)となるようにして行った。プレス条件以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作成した。
【0102】
(実施例3)
実施例1において、光起電力素子の基板として、ポリイミドフィルムを使用したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0103】
(実施例4)
実施例4の太陽電池モジュールを図7に示した。
【0104】
実施例1と同様に、光起電力素子を作成し、その他の工程は以下に示した。
【0105】
〔セルブロック〕
上記素子を5直列に接続して太陽電池セルブロックを作成した。作成方法は実施例1と同様とする。
【0106】
〔平板太陽電池モジュール〕
上記5直列の太陽電池セルブロックを使用し、実施例1と同様に平板太陽電池モジュールを作成した。
【0107】
〔端部曲げ加工〕
平板太陽電池モジュールの4コーナーをコーナーシェアでカットした。その後、短辺側の端部を180°折り返し、されあに長辺側をベンダー加工により受光面側に90°折り曲げ加工を行った。長辺側の折り曲げ加工した部分の立ち上がり高さは25mmとした。
【0108】
〔プレス加工〕
プレス加工により曲率部を設けた。凸部を持つ下型と凹部を持つ上型により太陽電池モジュールを挟み込む形で行った。光起電力素子の基板のピーク歪み量が0.6%(残留歪み量0.4%)となるようにプレス加工をおこなった。
【0109】
(実施例5)
実施例4において、光起電力素子の基板として、ポリイミドフィルムを使用したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0110】
(比較例1)
実施例1において、光起電力素子の基板のピーク歪み量を0.9%(残留歪み量0.7%)となるようにプレス加工したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0111】
(比較例2)
実施例1において、光起電力素子の基板のピーク歪み量を1.4%(残留歪み量1.2%)となるようにプレス加工したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0112】
(比較例3)
実施例1において、光起電力素子の基板のピーク歪み量を4.8%(残留歪み量4.4%)となるようにプレス加工したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0113】
(比較例4)
実施例3において、光起電力素子の基板のピーク歪み量を1.4%(残留歪み量1.2%)となるようにプレス加工したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0114】
(比較例5)
実施例4において、光起電力素子の基板のピーク歪み量を1.4%(残留歪み量1.2%)となるようにプレス加工したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0115】
下記項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
Figure 0003754806
【0117】
●初期外観
太陽電池モジュール(最終形態)の充填不良や太陽電池表面への傷など、初期の外観を評価した。また同時に、加工後の太陽電池モジュールの建材および屋根材としての美観性の点でも評価をおこなった。評価結果は、以下の評価基準で表1に示す。
◎:外観上の欠陥が全く、建材および屋根材としての美観性にも優れている場合、○:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:充填不良、表面への傷が著しく外観上の欠陥が非常に大きいあるいは、建材および屋根材としての美観を著しく損ねている場合。
【0118】
●高温高湿度試験
太陽電池モジュールを、85度/85%(相対湿度)の環境に3000時間投入した後、太陽電池モジュールを取り出し、外観の変化を目視により観察した。また、AM1.5、100mW/cm2の光照射下での変換効率を測定し、投入前の初期値からの変化率をもとめた。評価結果は、以下の評価基準で表1に示す。
外観)◎:外観上の欠陥が全くない場合、○:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:剥離などが著しく外観上の欠陥が非常に大きい場合
変換効率)◎:変換効率の変化が1.0%未満である場合、○:変換効率の変化が1.0%以上3.0%未満である場合、△:変換効率の変化が3.0%〜5.0%である場合、×:変換効率の変化が5.0%以上である場合。
【0119】
●温湿度サイクル試験
太陽電池モジュールを、-40度/0.5時間:85度/85%(相対湿度)/20時間の温湿度サイクル試験を100回繰り返した後、太陽電池モジュールを取り出し、外観の変化を目視により観察した。また、AM1.5、100mW/cm2の光照射下での変換効率を測定し、投入前の初期値からの変化率をもとめた。評価結果は、以下の評価基準で表1に示す。
外観)◎:外観上の欠陥が全くない場合、○:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:剥離などが著しく外観上の欠陥が非常に大きい場合
変換効率)◎:変換効率の変化が1.0%未満である場合、○:変換効率の変化が1.0%以上3.0%未満である場合、△:変換効率の変化が3.0%〜5.0%である場合、×:変換効率の変化が5.0%以上である場合。
【0120】
●順バイアス高温高湿保存(HHFB試験)
太陽電池モジュールを、85度/85%(相対湿度)の環境下に投入する。この場合、試験機内を遮光環境にするか試験体の受光面側を遮光するかのいずれかにより試験体に光が入射しないようにする。この環境下において、最適動作電圧(Vmp)が太陽電池の内部PV回路(ダイオード成分)の順方向に印可できるように配線し、2000時間印可したあと、太陽電池モジュールをとりだし、光起電力素子1セルずつにつき低照度Voc(照度200Lx下での開放電圧(Voc))を測定、投入前の初期値からの変化率を求めた。低照度Vocの低下は、光起電力素子内部の接合欠陥による分路抵抗の抵抗の低下を表す。すなわち、内部欠陥の増加を表す。
評価結果は以下の評価基準で表1に示す。
◎:低照度Vocの変化が、1.0%未満である場合、○:低照度Vocの変化が、1.0%以上3.0%未満である場合、△:低照度Vocの変化が3.0%以上5.0%未満である場合、×:低照度Vocの変化が5.0%以上である場合。
【0121】
●逆バイアス高温高湿保存(HHRB試験)
太陽電池モジュールを、85度/85%(相対湿度)の環境下に投入する。この場合、試験機内を遮光環境にするか試験体の受光面側を遮光するかのいずれかにより試験体に光が入射しないようにする。この環境下において、バイパスダイオードのオペレーション電圧(Vf)が太陽電池の内部PV回路(ダイオード成分)の逆方向に印可できるように配線し、2000時間印可したあと、太陽電池モジュールをとりだし、光起電力素子1セルずつにつき低照度Voc(照度200Lx下での開放電圧(Voc))を測定、投入前の初期値からの変化率を求めた。低照度Vocの低下は、光起電力素子内部の接合欠陥による分路抵抗の抵抗の低下を表す。すなわち、内部欠陥の増加を表す。
評価結果は以下の評価基準で表1に示す。
◎:低照度Vocの変化が、1.0%未満である場合、○:低照度Vocの変化が、1.0%以上3.0%未満である場合、△:低照度Vocの変化が3.0%以上5.0%未満である場合、×:低照度Vocの変化が5.0%以上である場合。
【0122】
●屋外暴露
太陽電池モジュールを、屋外(京都府相楽郡木津町木津川台4−1−1キヤノン(株)エコロジー研究所内屋外暴露場)に設置し、3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月後の評価を行った。光起電力素子1セルずつにつき低照度Voc(照度200Lx下での開放電圧(Voc))を測定、投入前の初期値からの変化率を求めた。
評価は以下の基準で行った。
◎:低照度Vocの変化が、1.0%未満である場合、○:低照度Vocの変化が、1.0%以上3.0%未満である場合、△:低照度Vocの変化が3.0%以上5.0%未満である場合、×:低照度Vocの変化が5.0%以上である場合。
【0123】
●SEM観察
太陽電池モジュール内で、もっとも大きい歪み量を持っていると思われる場所をきりだし、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
評価は以下の基準で行った。
○:光起電力素子の表面にひび割れが確認されたなかった場合、×:光起電力素子の表面にひび割れが確認された場合。
【0124】
表1から明らかなように、実施例の太陽電池モジュールは、初期外観および高温高湿試験、温湿度サイクル試験後の外観も良好である。実施例2も太陽電池モジュールは、残留歪みが0.1%と小さな歪み量としたため若干加工が甘い印象を受けるが、問題となるレベルではない。また、電気特性の点からも、順および逆バイアス高温高湿試験(HHFBおよびHHRB)においても低照度Vocの低下はない。屋外暴露12ヶ月を行った結果も性能的な低下および欠陥は見られていない。実施例の太陽電池モジュールの光起電力素子表面をSEMで観察した結果、ひび割れは観察されず、上記の試験結果と矛盾はなく、高信頼性の太陽電池モジュールを作成することができた。
【0125】
一方、加工時のピーク歪み量0.9%、残留歪み量0.7%とした比較例1の太陽電池モジュールでは、SEMによる観察では、ひび割れが観察された。これは、加工時にいったん0.9%の歪みを光起電力素子が受けているため、この時点で素子表面にひび割れが生じたと思われる。このサンプルを順および逆バイアス試験を行った所1500時間付近で低照度Vocの低下がおこった。屋外暴露においても、暴露6ヶ月位から徐々に低照度Vocの低下がおこった。
【0126】
また、加工時のピーク歪み量1.4%、残留歪み量1.2%とした比較例2、4、5の太陽電池モジュールでは、SEM観察で多くのひび割れが観察された。HHFB、HHRB試験においても1200時間付近で低照度Vocの低下がおこった。屋外暴露試験でも暴露3ヶ月目で低照度Vocの低下が起きている。また、高温高湿試験および温湿度サイクル試験後の外観では、問題になるレベルではないが、若干の被覆材の白化なども生じている。加工時のピーク歪み量4.8%、残留歪み量4.4%とした比較例3の太陽電池モジュールでは、加工後の初期外観でも目視で光起電力素子上にへんかが生じてることがわかる(色が変わっている)。SEMでの観察でももちろん、非常に多くのひび割れが確認されている。HHFB、HHRB試験でも1000時間未満で低照度Vocが低下してきており、ひび割れの観察結果と、矛盾はない。さらに、被覆材の外観においても、初期より加工部分では白化が確認されており、これは高温高湿度試験、温湿度サイクル試験後にはさらに顕著になるため、屋根材としての美観性にも問題がある。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば光起電力素子の変形可能領域が明確になるため、多種多様な太陽電池モジュールの製品開発スピードが大幅に向上する。また、太陽電池の特性を低下させることなく、光起電力素子上を自由に加工することができるため、美観性・意匠性に優れた太陽電池モジュールとすることができる。このように成型加工した太陽電池モジュールは、長期にわたり高信頼性を確保した太陽電池モジュールとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの平面図・断面図
【図2】本発明の太陽電池モジュールで使用できる光起電力素子の一例を示す図
【図3】本発明の太陽電池モジュール生産時の積層図
【図4】図4-1は端部折り曲げ加工後の太陽電池モジュール、図4-2は最終加工後の太陽電池モジュールをそれぞれ示す図
【図5】セルブロックの平面図・断面図
【図6】実施例1の太陽電池モジュールを示す図
【図7】実施例4の太陽電池モジュールを示す図
【図8】従来の太陽電池モジュール一例を示す概略断面図
【図9】光起電力素子加工時の歪み量の一例を示すグラフを示す図
【図10】 a-Si:Hのピーク歪み量とF.F.の関係を示す図
【符号の説明】
101,301,401,501,601,701,801 光起電力素子
102,302,602 繊維状無機化合物
103,303,603,802 透明有機高分子樹脂
104,304,604,803 表面樹脂フィルム
105,305,605 裏面充填材
106,306,606,804 裏面絶縁フィルム
107,307,607,803 補強板
201 導電性基板
202 裏面反射層
203 半導体光活性層
206b,503b マイナス側出力端子
207 導電性ぺースト
208,502 絶縁フィルム
308 太陽電池モジュール
504 直列部材
505 半田
601 セルブロック
608 裏面一体積層フィルム
702 短辺側180°曲げ部分
703 長辺側90°曲げ部分

Claims (17)

  1. 可撓性基板上に半導体光活性層を少なくとも一層有する光起電力素子を有した太陽電池モジュールの製造方法において、前記可撓性基板の少なくとも一部を基板材料の水平方向に、F.F.低下臨界値未満の歪み量で引っ張り変形させることにより、光起電力素子を含む部分を曲げ加工したことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 前記引っ張り変形が前記可撓性基板又は、前記光起電力素子の非受光面側に設けられた補強材の塑性変形領域内且つ前記光起電力素子のF.F.低下臨界値未満の歪み量をもつことを特徴とする請求項記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  3. 前記曲げ加工する手段が、プレス成型によることを特徴とする請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  4. 前記曲げ加工する手段が、水平方向に引っ張ることによることを特徴とする請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  5. 前記光起電力素子の少なくとも光受光面側が有機高分子樹脂で被覆されたことを特徴とする請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  6. 前記光起電力素子の非受光面側に補強材を設けたことを特徴とする請求項乃至記載の太陽電池モジュール製造方法。
  7. 前記太陽電池モジュールの受光面側最表面に透明樹脂フィルム層を設けることを特徴とする請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  8. 前記補強材が塑性変形領域の歪みを持つことを特徴とする請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  9. 前記補強材の塑性変形領域が、受光面側に光起電力素子を含まない部分のみであり、それにより太陽電池モジュールが加工され、形状を維持するような請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  10. 前記光半導体活性層がアモルファスシリコンであることを特徴とした請求項乃至記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  11. 前記F.F.低下臨界値の歪み量が0.7%であることを特徴とする請求項10記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  12. 前記可撓性基板が導電性基板であることを特徴とする請求項乃至11記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  13. 前記導電性基板の塑性変形領域が0.2%以上であることを特徴とする請求項乃至12記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  14. 前記導電性基板がステンレス鋼であることを特徴とする請求項12乃至13記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  15. 前記可撓性基板が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項乃至13記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  16. 前記補強材が、金属であることを特徴とする請求項記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  17. 前記太陽電池モジュールが、建材一体型太陽電池モジュールであることを特徴とする請求項乃至16記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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