JP3754630B2 - 像担持体及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関し、詳しくは、電子写真プロセスによる画像形成において、優れた耐久性を有する像担持体と、これを備え、安定した画像を得ることのできる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等に広く使用されている電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体としては、安価、大量生産性、無公害性等の利点から、有機系材料からなる有機系感光体が汎用されてきている。しかしながら、有機系感光体は、アモルファスシリコン、セレン−テルル等の無機系感光体と比較して耐摩耗性が低く、耐久性の点で劣るという欠点があった。
また、近年では、電子写真プロセスを用いた画像形成装置の小型化が望まれるようになり、感光体は小径化を余儀なくされ、耐摩耗性を主とする機械的耐久性が強く要望されるようになってきている。
【0003】
このため、有機系感光体(以下、「感光体」と称す。)の耐摩耗性を向上させる方法が検討されてきている。特開昭57−30846号公報に開示されている方法は、感光体表面に金属あるいは金属酸化物等からなる粒子(以下、「フィラー」と称す。)を含有する保護層を設け、感光体の耐摩耗性を向上させている。この方法では、フィラーの平均粒径を0.3μm以下として保護層の透明性を高め、残留電位の上昇を抑制している。
また、特開平4−281461号公報に開示されている方法は、感光体表面に設けた保護層にフィラーとともに電荷輸送物質を含有させる方法であり、耐摩耗性を向上させると共に、残留電位の上昇を抑制可能であるとしている。
さらに、残留電位の上昇を抑制させるものとして、保護層中にフィラーとともに有機酸を含有させるもの(特開昭53−133444号公報、特開昭55−157748号公報)、電子受容性物質を含有させるもの(特開平2−4275号公報)等が開示されている。
【0004】
また、特開平8−234455号公報に開示されている画像形成装置は、感光体の電荷輸送層にフィラーを含有するものであり、フィラーと電荷輸送層との屈折率差が0.1以上であり、粒径1〜3μmのフィラーを1mm2あたり1×104〜2×105個含有するものである。感光体の耐摩耗性を向上すると共に、干渉縞を発生しにくい画像形成装置としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、感光体表面にフィラーを含んだ保護層を形成することで、機械的耐久性に優れた感光体を得ることができるが、一方で耐摩耗性が高すぎると、経時で感光体表面が光あるいはオゾンにより化学反応的に汚染される部分を、クリーニング手段で除去することができず、高温高湿環境下で画像流れ等の異常画像が発生してしまう場合がある。
【0006】
また、現像剤担持体と平行に近接して配置され現像剤担持体の長手方向に現像剤を搬送する第一の現像剤搬送部材と、第一の現像剤搬送部材と反対方向に現像剤を搬送する第二の現像剤搬送部材とを備えた2軸攪拌タイプの現像装置の特性として、トナー補給口より供給されたトナーが2つの現像剤搬送部材により搬送されながら、現像剤と混合され、キャリアとの摩擦帯電により帯電し現像剤担持体に供給されるとき、第一の現像剤搬送部材における現像剤搬送方向上流側でトナーの帯電が弱くなる傾向にあり、転写材上の地肌汚れは問題がないレベルであっても、現像剤搬送方向上流側の対面する感光体上の地肌汚れが悪い傾向がある。このため、クリーニング手段へのトナー入力量に感光体長手方向で偏差が生じ、これが影響して感光体の摩耗量にも偏差が生じてしまい、部分的に摩耗が進行する領域ができて感光体寿命が短くなってしまったり、部分的に摩耗の進行しない領域ができて経時で異常画像が発生することがある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、像担持体の耐摩耗性を向上すると共に、像担持体表面の摩耗量に偏差が生じにくく、長期にわたって耐久性を維持し、安定した良好な画像を得ることができる画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、前記像坦持体は、表面に粒子を含有した保護層を備え、前記保護層の膜厚が像坦持体長手方向に単調に変化するように作製されており、前記現像手段は、少なくとも像担持体に対向して配置される現像剤担持体と、現像剤担持体と平行に近接して配置され現像剤担持体の長手方向に現像剤を搬送する第一の現像剤搬送部材と、第一の現像剤搬送部材と反対方向に現像剤を搬送する第二の現像剤搬送部材とを備え、第一の現像剤搬送部材の現像剤搬送方向上流側における前記像担持体の保護層の膜厚が、下流側よりも小さくなるように配置した画像形成装置とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記現像手段で使用されるトナーが、定着補助剤及び、又は潤滑剤を含む画像形成装置とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記像坦持体は、前記保護層の前記像担持体長手方向における膜厚の差が、1μm以上5μm以下である画像形成装置とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の概略図である。像担持体である感光体101は、導電性支持体上に感光層を形成してなっている。図1においてはドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。また、感光層は、単層型のものであっても、電荷発生層と電荷輸送層とを分離して積層した積層型のものであってもよい。
感光体101は、帯電手段である帯電ローラ102により均一に帯電される。帯電ローラ102には直流成分のみ、あるいは直流成分に交流成分を重畳した帯電バイアスが印加される。帯電手段はローラに限らず、ブラシ等の接触帯電手段やチャージャであってもよい。
均一帯電された感光体101は、不図示の露光手段から発せられた画像情報に応じた露光103により静電潜像が形成される。露光手段としては、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。
感光体101上に形成された静電潜像は、現像装置104により現像され、トナー像が形成される。このトナー像は、転写手段である転写ローラ106により、転写材105に転写される。転写手段はローラに限らず、ブラシ、ベルト等の接触転写手段やチャージャであってもよい。転写材105上に転写されたトナー像は定着装置109により定着される。
トナー像を転写材105に転写後、感光体101上に残存するトナーは、クリーニング手段であるクリーニングブレード107により感光体101上から除去される。クリーニング装置は、ファーブラシ、マグブラシ等のクリーニングブラシで行なわれることもあり、ブレードとブラシが併用される場合もある。クリーニングブレード107を通過した感光体101は、除電ランプ108により光除電され、次の画像形成に備える。
【0012】
次に、現像装置104における現像動作について説明する。
現像装置104は、感光体101に対向している現像ローラ110、現像ローラ110に近接し、紙面の表面から裏面方向に現像剤を搬送する第一の搬送スクリュウ111、紙面の裏面から表面方向に現像剤を搬送する第二の搬送スクリュウ112から構成される。現像ローラ110は、外側の回転自在のスリーブと内側に固定された磁石から構成されている。第二の搬送スクリュウ112の搬送方向上流側には図示しないトナー補給口が設けられ、第二の搬送スクリュウ112の搬送方向下流側に設けられたトナー濃度センサ113の出力に応じて、図示しないトナー補給装置よりトナーが補給される。
現像剤は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤であり、キャリアは、粒径50μm程度のフェライト、マグネタイト、鉄等の磁性体表面にシリコーン樹脂等の樹脂をスプレー等の方法で表面処理されたものが使用される。
トナーは、エステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の結着樹脂と顔料および帯電制御剤を混練粉砕し、分級したものにシリカ、チタニア等の外添剤が加えられたものであり、粒径は7μm程度である。
トナーには、必要に応じて、ワックスやオイル等の定着助剤の内添、及び、又は、ステアリン酸亜鉛やフッ素樹脂等の潤滑剤の外添がなされる。定着助剤は、定着オフセットを防止するために添加されるものであり、定着ローラにシリコーンオイル等の定着オイルを塗布しなくても良いため、コストダウンがはかれる。また、潤滑剤は、感光体の表面エネルギーを低減し、紙粉やトナーによる感光体フィルミングを防止したり、転写中抜け等の異常画像の発生を防止する作用がある。
【0013】
トナー補給口より供給されたトナーは、搬送スクリュウにより搬送されながら、現像剤と混合され、キャリアとの摩擦帯電により帯電し、現像ローラ110に供給される。図1に示すような2軸撹拌タイプの現像装置104では、その構成上、第一の搬送スクリュウ111の現像剤搬送方向の上流側でトナーの帯電が弱くなる傾向があり、転写材105上の地肌汚れは問題がないレベルであっても、この位置に対向する感光体101上の地肌汚れが悪い傾向がある。
加えて、上述のようにトナーに潤滑剤や定着助剤が添加されている場合には、感光体101上に残存したトナーをクリーニングブレード107で掻き取る際、これらの添加剤がクリーニングブレード107での摩擦を低減するため、感光体101上の地肌汚れの多い、現像剤搬送方向上流側の摩耗量が下流側に比べ少なくなり、感光体101の摩耗に偏差が生じてしまう。
【0014】
上記のような問題点を解決すべく、感光体の耐摩耗性を向上すると共に、感光体表面の摩耗量に偏差が生じにくく、長期にわたって耐久性を維持し、安定した良好な画像を得るために、本発明の像担持体としての感光体は、以下のような構成とする。
図2は、本発明に係る感光体の概略構成を示す断面図であり、一実施の形態として積層型電子写真感光体を例に挙げて説明するものである。
導電性支持体1上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層3と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層4とが積層形成されている。また、感光体の表層として保護層5が形成されている。
【0015】
導電性支持体1は、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属を管状に加工したもの、あるいはニッケル等の金属をエンドレスベルト状に加工したもの、またはフィルム状又は円筒状のプラスチックにニッケル等の金属、酸化スズ等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより被覆したもの等が用いられる。
【0016】
電荷発生層3の主成分となる電荷発生材料には、無機又は有機材料が用いられ、代表的なものとしては、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、トリスアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、アモルファスシリコン等が挙げられる。これらの電荷発生材料をポリカーボネート等のバインダー樹脂とともに、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等の溶媒を用いて、ボールミル等により分散し、分散液を塗布することにより形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート等により行う。電荷発生層3の膜厚は、通常は0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0017】
電荷輸送層4は、電荷輸送材料及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロルエタン等の適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。
電荷輸送材料のうち、低分子電荷輸送材料には、電子輸送材料と正孔輸送材料とがある。電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、チオフェン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材料を用いる場合、適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥して電荷輸送層を形成してもよい。高分子電荷輸送材料は、上記低分子電荷輸送材料に挙げたような電荷輸送性置換基を主鎖又は側鎖に有した高分子材料であればよい。
電荷輸送材料と共に電荷輸送層4に使用されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。電荷輸送層4の膜厚は、5〜30μmの範囲で所望の感光体特性に応じて適宜選択すればよい。
【0018】
上記積層型電子写真感光体には、導電性支持体1と感光層2との間に下引き層を形成してもよい。下引き層は、一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層2を溶剤を用いて塗布することを考慮すると、一般の有機溶剤に不溶である耐溶剤性の樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂等の水溶性樹脂、共重合ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
上記下引き層は、感光層2と同様、適当な溶媒を用いて、塗工法により形成することができる。下引き層の膜厚は、5μm以下が適当である。
【0019】
本発明の積層型電子写真感光体は、表層として、感光層2の保護及び耐久性の向上を目的にフィラーを含有する保護層5を感光層2の上に形成するものである。
バインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂が好ましく、これにフィラーを分散させて、保護層5を形成する。
フィラーとしては、均一な粒子径を形成することが可能で、透明で均質なものが好ましく、特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン等の金属酸化物が好ましい。また、その平均粒径は、0.3μm程度の透明性を維持できるものが好ましい。
【0020】
保護層5に添加されるフィラーの量は、重量基準で、10〜40%、好ましくは、20〜30%である。フィラーの量が、10%未満では感光体101の摩耗が大きく耐久性に劣り、また、40%を越えると感光体101の感度低下や残留電位上昇が無視できなくなるので望ましくない。
以上の要求を満足するために、フィラー含有量は、上記の重量基準の値を換算して、保護層5の任意断面における面積占有率が2%以上6%以下であることが必要となる。
【0021】
更に、保護層5の膜厚は、感光体101の摩耗量に偏差を生じにくくするため、感光体101長手方向で単調に変化させるものとする。具体的には、現像装置104における現像剤搬送方向上流側に対向する感光体101の地肌汚れの多い個所で保護層5の膜厚が小さくなるように、保護層5の膜厚を感光体101長手方向で単調に変化させる。このような保護層5を形成した感光体101と現像装置104とを配置することで、感光体101長手方向で摩耗量に偏差が生じても、保護層5の感光体101長手方向での膜厚差でそれを補償するものとする。このような構成により、長期にわたって感光体101の耐久性を維持し、安定した画像を得ることが可能となる。
しかしながら、保護層5の膜厚差をあまり大きくしすぎると、感光体101長手方向での感度差が大きくなってしまい、トナーの濃度ムラが発生してしまう。したがって、感光体101長手方向での保護層5の膜厚差としては、1μm以上5μm以下とするのが好ましい。
【0022】
上記に示す感光体101の保護層5の形成には、スプレー塗工を使用することができる。
従来の感光体における均一な膜厚の保護層の形成は、一般に、感光体を周方向に回転させながら、スプレーガンを感光体長手方向に移動させ、塗工液を吹き付けて行われる。このスプレー塗工を繰り返し行い、加熱乾燥させて溶媒を除去することで、任意の膜厚の保護層を形成することができる。
本発明のように感光体101長手方向で保護層5の膜厚を変化させるには、スプレーガンを複数使用すればよい。それぞれの吐出量が異なる複数のスプレーガンを使用し、塗工液の一部がオーバーラップするように噴射して塗工することで、感光体101長手方向で膜厚が変化する保護層5を形成することができる。また、複数のスプレーガンの間隔や吐出量等を調整することで、保護層5の膜厚の変化量を調整することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明は限定されるものではない。
(実施例1)
直径30mmのアルミニウム基体上に、下引き層、電荷発生層、及び電荷輸送層を、浸漬塗工法によりその順にそれぞれ塗布し、乾燥した後、3.5μmの下引き層、0.15μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。
その後、ポリカーボネート樹脂にフィラーとしてアルミナを含有させた保護層を、スプレー塗工法により形成した。アルミナの含有量は、保護層の任意断面における面積占有率で4.2%とした。また、このとき、保護層は現像装置における現像剤搬送方向の上流側で膜厚が小さくなるように、感光体長手方向で単調に膜厚を変化させて塗工した。感光体の保護層断面をSEMにより観察し、保護層の膜厚を調べたところ、現像剤搬送方向上流側の保護層膜厚は3μm、下流側の保護層膜厚は7μmであった。
上記のようにして作製した感光体を図1に示した画像形成装置に搭載し、耐久性の評価を実施した。
画像露光は655nmのレーザ露光とし、帯電は帯電ローラにDC(−750V)にAC(2kHz,1.8kVpp)を重畳させて印加した。
現像剤は平均粒径50μmのキャリアと平均粒径6.8μmのトナーからなる二成分現像剤を用いた。トナーには流動性向上と転写中抜けの防止のため、1.2重量部のシリカと0.15重量部のステアリン酸亜鉛を外添した。
本プロセスのプロセス速度は125mm/sとした。
その結果、出力画像は、初期及び連続通紙10万枚後においてもほぼ良好であり、10万枚後においてわずかな中間調のムラが認められた。また、連続通紙10万枚後の感光体の摩耗量は、現像剤搬送方向上流側は約1.5μm、下流側は約6μmであった。
【0024】
(比較例1)
実施例1において、保護層の膜厚を感光体長手方向全幅にわたって4μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、図1に示す画像形成装置での耐久性の評価を実施した。
その結果、出力画像は、現像剤搬送方向上流側では連続通紙10万枚後においても画像は概ね良好で、中間調でわずかなムラが発生した。また、感光体の摩耗量は1.8μmであった。
しかしながら、現像剤搬送方向下流側ではクリーニング不良による黒スジが発生した。また、感光体の摩耗量は8.3μmであり、摩耗により保護層が消失していた。
【0025】
(比較例2)
実施例1において保護層の膜厚を、現像剤搬送方向上流側は2μm、現像剤搬送方向下流側は10μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、図1に示す画像形成装置での耐久性の評価を実施した。
その結果、出力画像は、初期は感光体の感度差により、中間調では感光体長手方向で濃度ムラが発生した。通紙を行うに従い、感光体長手方向の濃度ムラは目立たなくなっていった。感光体の摩耗量は、現像剤搬送方向上流側で1.3μm、下流側は6.2μmであった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、金属酸化物等からなる粒子を含有した保護層を、その膜厚が、現像剤搬送方向上流側に対向する感光体の位置で小さくなるように、感光体長手方向に単調に変化させ、感光体表層に形成することで、感光体の耐摩耗性を向上すると共に、感光体表面の摩耗量に偏差が生じても、感光体長手方向における保護層の膜厚差でそれを補償することができ、長期にわたって耐久性を維持し、安定した良好な画像を得ることができる感光体を提供することが可能となる。
また、保護層に含有される前記粒子の含有量を、保護層の任意断面における面積占有率で2%以上6%以下とすることで、感光体の感度低下や残留電位上昇等を招かず、良好な画像を与えると共に、長期にわたる耐久性を得られる感光体を提供することができる。
更に、感光体長手方向での保護層の膜厚差を、1μm以上5μm以下とすることで、保護層の膜厚差によるトナー濃度ムラを生じることがなく、常に安定した良好な画像を与え、長期に渡って耐久性を維持した感光体を提供することができる。
また、上記の構成の感光体を像担持体として画像形成装置に搭載することにより、長期にわたって耐久性を維持し、安定した良好な画像を得ることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明に係る感光体の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 保護層
101 感光体
102 帯電ローラ
103 露光
104 現像装置
105 転写材
106 転写ローラ
107 クリーニングブレード
108 除電ランプ
109 定着装置
110 現像ローラ
111 第一の搬送スクリュウ
112 第二の搬送スクリュウ
113 トナー濃度センサ
Claims (3)
- 像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、
前記像坦持体は、表面に粒子を含有した保護層を備え、前記保護層の膜厚が像坦持体長手方向に単調に変化するように作製されており、
前記現像手段は、少なくとも像担持体に対向して配置される現像剤担持体と、
現像剤担持体と平行に近接して配置され現像剤担持体の長手方向に現像剤を搬送する第一の現像剤搬送部材と、
第一の現像剤搬送部材と反対方向に現像剤を搬送する第二の現像剤搬送部材とを備え、
第一の現像剤搬送部材の現像剤搬送方向上流側における前記像担持体の保護層の膜厚が、下流側よりも小さくなるように配置した
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置において、
前記現像手段で使用されるトナーが、定着補助剤及び、又は潤滑剤を含む
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記像坦持体は、前記保護層の前記像担持体長手方向における膜厚の差が、1μm以上5μm以下である
ことを特徴とする画像形成装置。
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