JP3754170B2 - 平版印刷用原版 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポジ型平版印刷用原版、およびそれを用いた平版印刷方法に関するものであり、その中でもディジタル信号に基づいて可視光もしくは赤外線などの各種のレーザを操作することにより直接製版可能であり、且つ水現像可能あるいは現像することなしにそのまま印刷機に装着し、印刷することができる平版印刷用原版、およびそれを用いた平版印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PS版による印刷版の製造には、露光工程の後に、支持体表面の上に設けられた感光層を画像状に除去するための湿式による現像工程や現像処理された印刷版を水洗水で水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液、アラビアガム、澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程が含まれる。
【0003】
一方近年の製版、印刷業界では現像廃液がアルカリ性であるため環境問題が生じてきている。また製版作業の合理化が進められており、上記のような複雑な湿式現像処理を必要とせず、露光後にそのまま印刷に使用できる印刷版用原版が望まれている。
【0004】
画像露光後に現像処理を必要としない印刷版用原版については、例えば、US5,258,263号に、露光領域で硬化または不溶化が促進される感光性親水層と感光性疎水層とを支持体上に積層した平版印刷プレートが開示されている。しかし、このプレートは2層構成のため上層と下層との接着力が問題となり、多くの印刷物を刷ることができない。
【0005】
また画像形成後、湿式現像処理を必要としない平版印刷原版として、シリコーン層と、その下層にレーザ感熱層を設けた版材がUS5,353,705号、US5、379、698号に開示されている。これらは湿式現像は必要としないが、レーザアブレージョンによるシリコーン層の除去を完結させるための、こすりや特殊なローラーによる処理が必要となり、処理が煩雑になる欠点を持つ。
【0006】
ポリオレフィン類をスルホン化したフィルムを版材として用い、熱書き込みによって、表面の親水性を変化させることにより、現像処理を必要としない版材を形成することが、特開平5−77574号、特開平4−125189号、US5,187,047号および特開昭62−195646号等に開示されている。このシステムでは、熱書き込みにより、感材表面のスルホン基を脱スルホンさせ画像形成しており、現像処理は不要になるが、書き込み時に有害なガスを発生させる欠点を有する。
【0007】
US5,102,771号、US5,225,316号には酸感受性基を側鎖にもつポリマーと光酸発生剤を組み合わせた感材が提示されており、無現像システムが提案されている。この版材は発生する酸がカルボン酸であるために、親水性の程度が低くなり汚れやすく、版材の耐久性や印刷画像の鮮明さに劣る欠点を持つ。
特開平4−121748号にはスルホン酸エステル基を側鎖にもつポリマーと酸発生剤と染料とを組み合わせた感材が提示されているが、このシステムもアルカリの現像液を用いて現像しており、水現像もしくは無現像システムに関しては全く提案されてはいなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、水現像可能な、あるいは画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要としない、平版印刷用原版を提供することである。特に、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体レーザ等を用いて記録することにより、ディジタルデータから直接製版可能である平版印刷用原版、およびそれを用いた平版印刷方法を提供することである。
【0009】
上記の目的の1つは、下記一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物、および、光または熱によって酸を発生する化合物を含有し、該化合物の分解により放出された酸の存在下で親水性となる層を設け、水現像あるいは印刷機で製版可能であることを特徴とする平版印刷用原版により達成された。
−SO3−CH2−Ln−O−Z (1)
(式中、Lは非金属原子からなる連結基を表し、−O−Zは酸によって分解して−OHとなる基を表し、nは0または1を表す。)
また、上記の目的の他の1つは、下記一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物、および、光または熱によって酸を発生する化合物を含有する層を有する平版印刷版原版を、露光後、現像処理工程を経ることなく、印刷機に装着し印刷を行うことを特徴とする平版印刷方法により達成された。
−SO 3 −CH 2 −L n −O−Z (1)
(式中、Lは非金属原子からなる連結基を表し、−O−Zは酸によって分解して−OHとなる基を表し、nは0または1を表す。)
【0010】
本発明の平版印刷用原版においては、酸の存在下で親水性となる層(以下、「感光層」という場合がある)に画像様に酸を発生させることにより、含有する高分子化合物の前記一般式(1)で示される構造単位中のZで表される酸分解性基が分解および離脱し、水酸基を放出し、さらに「−CH2−Ln−」で表される連結基が、前記放出された水酸基の影響で不安定化し、分解および離脱が起こる。その結果生じた親水的な「−SO3−」が表出することにより画像記録、即ち記録材料の製版が行われるものである。このとき感光層に酸を発生させる方法としては、感光層にあらかじめ光または熱により酸を発生させる化合物を含有させておき、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体レーザ等により付与されたエネルギーによって、該化合物を分解させ酸を放出する方法が用いられる。
前記一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物によれば、熱と光に安定な「−SO3−CH2−L−」で表されるスルホニルに結合した1級アルキルエステル構造と、「−O−Z」で表される酸分解基で保護された水酸基構造を有し、スルホニルと離れた部分で「−O−Z」の分解反応を起こさせることにより、保存安定性と画像形成のディスクリミネーションとの両立を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物]
−SO3 −CH2 −Ln −O−Z (1)
(式中、Lは非金属原子からなる連結基を表し、−O−Zは酸によって分解して−OHとなる基を表し、nは0または1を表す。)
一般式(1)中のZは酸の作用により分解する基であり一般的に水酸基の保護基として用いられる原子団を有用に用いることができる。この様な原子団としてはT.W.Greene著 " Protective Groups in Organic Synthesis" John Wiley & Sons , Inc (1991)に記載のものを挙げることができる。
これらの原子団のうち、特に好ましいZの具体的な例としては下記一般式(2)〜(7)の構造のものである。
【0012】
−C(−R1 )(−R2 )(−X−R3 ) (2)
一般式(2)中、R1 は水素原子;メチル、エチルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基;テトラヒドロフラニルなどのように−X−R3 と結合し環を形成する基;1−メトキシシクロヘキシルなどのように−R2 と結合し環を形成する基を表す。R2 はR1 と同義、またはメトキシ、エトシキ、2−クロロエトキシなどのような炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルコキシ基を表す。Xは酸素原子、もしくは硫黄原子を表す。R3 はメチル、エチル、2−クロロエチル、ベンジル、4−メトキシベンジルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基;フェニル、4−メトキシフェニルなどのような炭素数6〜20までの置換もしくは非置換のアリール基;トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル基のようなシリル基を表す。
一般式(2)で表される原子団の具体的な例としては、メトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、p−メトキシベンジルオキシメチル、(4−メトキシフェノキシ)メチル、グアイアコルメチル、t−ブトキシメチル、4−ペンテノイルメチル、t−ブチル−ジメチルシリルオキシメチル、2−エトキシメトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、S,S−ジオキシド−4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イルなどの置換メチルエーテルを挙げることができる。
【0013】
−C(−R4 )(−R5 )(−R6 ) (3)
一般式(3)中、R4 、R5 およびR6 はメチル、エチル、2−クロロエチル,2−フェネチルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基を表す。
一般式(3)で表される原子団の具体的な例としては、t−ブチル、t−オクチルなどを挙げることができる。
【0014】
−C(−R7 )(−R8 )(−R9 ) (4)
一般式(4)中、R7 およびR8 は水素原子、メチル、エチルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基;フェニル、4−メトキシフェニルなどのような炭素数6〜20までの置換もしくは非置換のアリール基を表す。R9 はフェニル、4−メトキシフェニルなどのような炭素数6〜20までの置換もしくは非置換のアリール基を表す。
一般式(4)で表される原子団の具体的な例としては、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2−ピコリル、ジフェニルメチル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イルメチル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、9−アンスリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アンスリルなどを挙げることができる。
【0015】
−Si(−R10)(−R11)(−R12) (5)
一般式(5)中、R10、R11およびR12はメチル、エチルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基;フェニル、4−ブロモフェニル,4−メトキシフェニルなどのような炭素数6〜20までの置換もしくは非置換のアリール基を表す。
一般式(5)で表される原子団の具体的な例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルメトキシフェニルシリルなどを挙げることができる。
【0016】
−O−C=O(−O−R13) (6)
一般式(6)中、R13はメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、4−メトキシベンジルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基;ビニルなどの炭素数2〜20までの置換もしくは非置換のアリル基を表す。
一般式(6)で表される原子団の具体的な例としては、メチルカーボネート、エチルカーボネート、t−ブチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、ビニルカーボネート、ベンジルカーボネートなどを挙げることができる。
【0017】
−CH(−R14)(−R15) (7)
一般式(7)中、R14およびR15はメチル、エチル、ベンジル、4−メトキシベンジルなどの炭素数1〜20までの置換もしくは非置換のアルキル基;シクロヘキシルなどの環状アルキルを表す。ただしR14およびR15のアルキル基のうちひとつはカルボニル基により置換されている。
一般式(7)で表される原子団の具体的な例としては、3−オキソシクロヘキシルを挙げることができる。
【0018】
一般式(1)中のLで表される非金属原子からなる連結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。ただし一般式(1)で示される構造単位のうち−O−Z基は酸分解性基により保護された水酸基を表すため、カルボニル基もしくはスルホニル基が直接に−O−Zに連結することはない。
【0019】
【化1】
Figure 0003754170
【0020】
Lで表される非金属原子からなる連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル、エチルなどの炭素数1から20までのアルキル基、フェニル、ナフチルなどの炭素数6から16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシのような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ、エトキシのような炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニルのような炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基などを用いることができる。
【0021】
本発明における一般式(1)で表される構造単位を側鎖に有する高分子化合物をより具体的に示すと、下記に示すモノマーをラジカル重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。
【0022】
【化2】
Figure 0003754170
【0023】
【化3】
Figure 0003754170
【0024】
【化4】
Figure 0003754170
【0025】
【化5】
Figure 0003754170
【0026】
本発明では、好ましくは一般式(1)で表される構造単位を側鎖に有するモノマーを用い、ラジカル重合により得られる高分子化合物(以下「ポリマー」という場合がある)を使用するが、使用するポリマーは、一般式(1)で表される構造単位を側鎖に有するモノマーと、それ以外のモノマーとの共重合体であっても良い。
本発明において、好適に使用される高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構造単位を側鎖に有するモノマーと公知の他のモノマーを用い、ラジカル重合により得られる共重合体である。
【0027】
共重合体に用いられる他のモノマーとしては、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーが挙げられる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0028】
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0029】
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0031】
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
【0032】
これらの他のモノマーのうち特に好適に使用されるのは、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、およびアクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリルである。
またこれらのモノマーの他に、架橋反応性を有するモノマーと共重合してもよい。架橋反応性を有するモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、オメガー(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレートなどを好ましく用いることができる。
【0033】
これらを用いた共重合体中に含まれる一般式(1)で表される構成単位の割合は、5重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以上である。5重量%より少ないと現像できなくなる場合があり、また10重量%より少ないと現像残膜が発生する可能性がある。
また、本発明で使用される一般式(1)で表される構成単位の内、少なくともいずれか一つを側鎖に有するポリマーの分子量は重量平均分子量で好ましくは2000以上であり、更に好ましくは5000〜30万の範囲であり、数平均分子量で好ましくは800以上であり、更に好ましくは1000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでも良いが、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0034】
本発明で使用されるポリマーを合成する際に用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独であるいは2種以上混合して用いられる。
本発明で使用されるポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
【0035】
本発明で使用される上記高分子化合物は単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。これら高分子化合物の添加量は、平版印刷用原版の感光層の組成物全固形分に対して50〜98重量%、好ましくは60〜97重量%の割合で感光性組成物中に添加される。添加量が50重量%未満の場合は、印刷画像が不鮮明になる。また添加量が98重量%を超える場合は、画像形成が十分にできなくなる。十分に鮮明な画像を得るには60〜97重量%の割合で感光性組成物中に添加することが好ましい。
以下に本発明で使用される高分子化合物の具体例(重合単位または共重合単位)を示す。なお、共重合単位を表すカッコの後ろの数値は、共重合の重量比を示す。
【0036】
【化6】
Figure 0003754170
【0037】
【化7】
Figure 0003754170
【0038】
【化8】
Figure 0003754170
【0039】
[光または熱によって酸を発生させる化合物]
本発明の平版印刷用原版の感光層には、上記の一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物とともに、光または熱により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」という場合がある)を含有させる。この酸発生剤は感度向上の観点から有用である。
本発明に係る酸発生剤としては、光または熱の作用により酸を発生させる公知の化合物を選択して用いることができる。
【0040】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980) 等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977) 、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150,848号、特開平2−296,514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985) 、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984) 、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromolecules,14(5),1141(1981) 、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979) 、欧州特許第370,693号、米国特許3,902,114号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977) 、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(1980) 、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896) 、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、 E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、 Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、 B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、 D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、 P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、 M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、 J.W.Walker etal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、 S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、 H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、 P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、 S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、 E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、 F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、 欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、 G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、 W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、 H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特願平3−140109号等に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物、特開昭50−36209号(米国特許第3969118号)記載のo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハライド、特開昭55−62444号(英国特許第2038801号)記載あるいは特公平1−11935号記載のo−ナフトキノンジアジド化合物を挙げることができる。
【0041】
その他の酸発生剤としては、シクロヘキシルシトレート、p−アセトアミノベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル、p−ブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル等のスルホン酸アルキルエステル、本発明者らが先に出願した特願平9−26878号に記載の下記構造式で表されるアルキルスルホン酸エステル等を用いることができる。
【0042】
【化9】
Figure 0003754170
【0043】
また、本発明において、上記の一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物が熱により分解され、それ自体が酸発生剤としての機能を発揮することもあり、かかる場合には特に他の酸発生剤を併用しなくても画像を形成することができる。
【0044】
上記光、熱または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体または一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0045】
【化10】
Figure 0003754170
【0046】
式中、R1 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R2 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−CY3 を示す。Yは塩素原子または臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0047】
【化11】
Figure 0003754170
【0048】
【化12】
Figure 0003754170
【0049】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩、もしくはジアソニウム塩。
【0050】
【化13】
Figure 0003754170
【0051】
ここで式Ar1 、Ar2 は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基およびハロゲン原子が挙げられる。
【0052】
3 、R4 、R5 は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基およびそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基およびハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基である。
【0053】
- は対アニオンを示し、例えば BF4 - 、AsF6 - 、PF6 - 、SbF6 - 、SiF6 2-、ClO4 - 、CF3 SO3 - 等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の結合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0054】
またR3 、R4 、R5 のうちの2つおよびAr1 、Ar2 はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0055】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
【化14】
Figure 0003754170
【0057】
【化15】
Figure 0003754170
【0058】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、たとえばJ. W. Knapczyk etal, J. Am. Chem. Soc., 91, 145(1969) 、A. L. Maycok etal, J. Org. Chem., 35, 2532, (1970)、B. Goethas etal, Bull. Soc. Chem. Belg., 73, 546, (1964) 、H. M. Leicester, J. Ame. Chem. Soc., 51, 3587(1929) 、J. V. Crivello etal, J. Polym. Chem. Ed., 18, 2677(1980)、米国特許第2,807,648号および同4,247,473号、特開昭53−101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0059】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体または一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0060】
【化16】
Figure 0003754170
【0061】
式中Ar3 、Ar4 は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R6 は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
【化17】
Figure 0003754170
【0063】
【化18】
Figure 0003754170
【0064】
これらの酸発生剤の含有量は、平版印刷用原版の感光層の組成物全固形分に対して通常0.1〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%である。1%より少ないと感度が低くなり、15%より多いと画像強度が落ちる可能性がある。
【0065】
[赤外線吸収剤]
本発明において好ましく使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料または顔料である。より好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
好ましい染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0066】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0067】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0068】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0069】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光性組成物の塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると塗布後の画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0070】
これらの染料もしくは顔料は、感光層の組成物全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは1.0〜10重量%の割合で添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生しやすい。
【0071】
[その他の成分]
本発明では、一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物のほかに上述の2つの成分が必要に応じて用いられるが、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加しても良い。
例えば、酸発生剤が可視域にまで感度を持たない場合、可視光域の光に対して酸発生剤を活性にするために種々の酸発生剤の増感色素が用いられる。このような増感色素の例としてはUS5238782記載のピラン系色素、US4997745号記載のシアニン色素、およびスクアリュウム系色素、US5262276記載のメロシアニン系色素、特公平8−20732号記載のピリリュウム色素、その他、ミヒラーズケトン、チオキサントン、ケトクマリン色素、9−フェニルアクリジンなどを有効なものとして用いることができる。またそのほかにもUS4987230記載のビスベンジリデンケトン色素、9,10−ジフェニルアントラセンのような多環芳香族化合物などを用いることができる。
そのほかの成分としては例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)など、あるいは特開昭62−293247号公報、特願平7−335145号に記載されている染料を挙げることができる。
尚、添加量は、感光層の組成物全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0072】
また、本発明の平版印刷用原版の感光層の組成物中には、印刷条件に対する安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の感光層の組成物全固形物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0073】
更に本発明の平版印刷用原版の感光層の組成物中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が用いられる。
【0074】
本発明の平版印刷用原版の感光層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0g/m2 が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0075】
本発明の平版印刷用原版の感光層の組成物中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、感光層の全組成物固形分中0.01〜1重量%さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0076】
本発明の平版印刷用原版に使用される支持体は、寸度的に安定な板状物であり、これ迄印刷版の支持体として使用されたものが含まれ、好適に使用することができる。かかる支持体としては、紙、プラスチックス(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅などのような金属の板、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックスのフィルム、上記のような金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが含まれるが、特にアルミニウム板が好ましい。アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物は、いくらかの鉄およびチタン、あるいはその他無視し得る程度の量の不純物をも含むものである。
【0077】
支持体は、必要に応じて表面処理、例えば、支持体の表面に、親水化処理が施される。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。また、米国特許第2,714,066号明細書に記載されているように、砂目立てしたのち珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理したアルミニウム板、米国特許第3,181,461号明細書に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理を行った後にアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはこれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0078】
また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とする為以外に、その上に設けられる感光性組成物との有害な反応を防ぐ為や、感光層との密着性を向上させる為に施されるものである。
アルミニウム板を砂目立てするに先立って、必要に応じて表面の圧延油を除去すること及び清浄なアルミニウム面を表出させるためにその表面の前処理を施しても良い。前者のためには、トリクレン等の溶剤、界面活性剤等が用いられている。又後者のためには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ・エッチング剤を用いる方法が広く行われている。
【0079】
砂目立て方法としては、機械的、化学的および電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで擦りつけるブラシ研磨法などがあり、化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適しており、電気化学的方法としては塩酸、硝酸またはこれらの組合せのような酸性電解液中で交流電解する方法が好ましい。このような粗面化方法の内、特に特開昭55−137993号公報に記載されているような機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法は、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。
上記の如き方法による砂目立ては、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
このようにして砂目立てされたアルミニウム板は必要に応じて水洗および化学的にエッチングされる。
【0080】
エッチング処理液は、通常アルミニウムを溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないものでなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質としては硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等であるが、アルミニウムよりイオン化傾向の低い金属例えば亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチング表面に不必要な被膜が形成されてしまうため好ましくない。
これ等のエッチング剤は、使用濃度、温度の設定において、使用するアルミニウムあるいは合金の溶解速度が浸漬時間1分あたり0.3〜40g/m2 になる様に行われるのが最も好ましいが、これを上回るあるいは下回るものであっても差支えない。
【0081】
エッチングは上記エッチング液にアルミニウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5〜10g/m2 の範囲となるように処理されることが好ましい。
上記エッチング剤としては、そのエッチング速度が早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望ましい。この場合、スマットが生成するので、通常デスマット処理される。デスマット処理に使用される酸は、硝酸、硫酸、りん酸、クロム酸、ふっ酸、ほうフッ化水素酸等が用いられる。
エッチング処理されたアルミニウム板は、必要により水洗及び陽極酸化される。陽極酸化は、この分野で従来より行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、りん酸、クロム酸、蓚酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはそれらの二種類以上を組み合せた水溶液又は非水溶液中でアルミニウムに直流または交流の電流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化被膜を形成させることができる。
【0082】
陽極酸化の処理条件は使用される電解液によって種々変化するので一概には言えないが、一般的には電解液の濃度が1〜80重量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間30秒〜50分の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理の内でも、とくに英国特許第1,412,768号明細書に記載されている硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法および米国特許第3,511,661号明細書に記載されている燐酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
上記のように粗面化され、さらに陽極酸化されたアルミニウム板は、必要に応じて親水化処理しても良く、その好ましい例としては米国特許第2,714,066号及び同第3,181,461号に開示されているようなアルカリ金属シリケート、例えば珪酸ナトリウム水溶液または特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコニウム酸カリウムおよび米国特許第4,153,461号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法がある。
【0083】
有機下塗層;
本発明の感光性平版印刷用原版には、感光層を塗設する前に有機下塗層を設けることが非画像部の感光層残りを減らす上で好ましい。かかる有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ばれ、これらを単独で用いるほか、二種以上混合して用いてもよい。
【0084】
その他ポリ(p−ビニル安息香酸)などの構造単位を有する高分子化合物を用いることができる。
【0085】
この有機下塗層は次のような方法で設けることが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
【0086】
これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2 が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2 である。上記の被覆量が2mg/m2 より少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2 より大きくても同様である。
【0087】
バックコート;
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4 、Si(OC2 5)4 、Si(OC3 7)4 、Si(OC4 9)4 などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に好ましい。
【0088】
以上のようにして、本発明の平版印刷用原版を作製することができる。この平版印刷用原版は、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーにより画像露光される。本発明においては、レーザー照射後に水現像し、さらに必要であればガム引きを行ったのち、印刷機に版を装着し印刷を行う、あるいはレーザー照射後ただちに印刷機に版を装着し印刷を行っても良いが、ともにレーザー照射後に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理の条件は、80℃〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザー照射時、記録に必要なレーザーエネルギーを減少させることができる。
【0089】
この様な処理によって得られた平版印刷版は水現像されるかあるいはそのままオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0090】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[一般式(1) で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物の合成]
[モノマー(1)の合成]
p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアルコール90g、アセトニトリル300mlおよびピリジン130gを1000mlの三口フラスコに採り、氷零下撹拌しながらスチレンスルホニルクロライド71gを滴下した。滴下後5時間同温度で撹拌を続けた後、反応液を濃塩酸135mlと氷水1000gの中に投入した。液を酢酸エチルを用い抽出を行った。水洗後酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムにて乾燥を行い溶媒を減圧留去した。得られた残査をシリカゲルのカラムを用いて精製を行った。
得られたモノマー(1)の元素分析を行ったところ、理論値C:61.52%,H:5.68%に対し、実測値C:61.73%,H:5.51%であった。
【0091】
[ポリマー(1)の合成]
200mlの3口フラスコにモノマー(1)を20g、およびメチルエチルケトンを40g入れ、65℃で窒素気流下アゾビスジメチルバレロニトリル0.25gを加えた。5時間撹拌しながら同温度に保った後減圧下溶媒を留去し、固体を得た。GPCにより重量平均分子量1.52万のポリマーであることが分かった。
【0092】
[ポリマー(2)〜(8)の合成]
用いたモノマーをモノマー(1)から、下記表1に示すモノマーに代えたこと以外は、ポリマー(1)と同様にしてポリマー(2)〜(8)を合成した。得られたポリマーの平均分子量を下記表1に示す。
【0093】
【表1】
Figure 0003754170
【0094】
実施例1〜8
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、更に2%HNO3 に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。次にこの板を7%H2 SO4 を電解液として電流密度15A/dm2 で2. 4g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
【0095】
次に、下記溶液〔A〕において、本発明に用いる高分子化合物の種類を表1に示すように変えて、8種類の溶液〔A−1〕〜〔A−8〕を調製した。ポリマーとしてはそれぞれポリマーの具体例で挙げたポリマー(1)から(8)を用いた。つぎにこの溶液を上記の処理済みのアルミニウム板に塗布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷用原版〔A−1〕〜〔A−8〕を得た。乾燥後の塗布量は1.2g/m2 であった。
【0096】
Figure 0003754170
【0097】
得られた平版印刷用原版〔A−1〕〜〔A−8〕を、波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザで像様露光した。露光後、平版印刷用原版〔A−1〕〜〔A−8〕を4分割し、各印刷版を下記条件にて印刷した。
(A)水現像しハイデルSOR−Mで印刷
(B)100℃で3分加熱処理した後、水現像しハイデルSOR−Mで印刷
(C)そのままハイデルSOR−Mで印刷
(D)100℃で3分加熱処理した後、ハイデルSOR−Mで印刷
この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。結果を下記表2に示す。いずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0098】
【表2】
Figure 0003754170
【0099】
実施例9〜12
下記溶液〔B〕において、本発明に用いるポリマーの種類を表2に示すように変えて、4種類の溶液〔B−1〕〜〔B−4〕を調製した。この溶液をそれぞれ、実施例1〜9で用いた下塗り済みのアルミニウム板に塗布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷用原版〔B−1〕〜〔B−4〕を得た。乾燥後の塗布量は1.7g/m2 であった。
【0100】
Figure 0003754170
【0101】
得られた平版印刷用原版〔B−1〕〜〔B−4〕を、メタルハライドランプを光源とするPS版の露光機を用いて像様露光した。露光した原版を100℃で3分加熱処理した後、ハイデルSOR−Mで印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。いずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
つぎに原版の保存安定性を調べるために平版印刷用原版〔B−1〕〜〔B−4〕を、60℃の恒温室で7日間保存した後、上記と同様に、メタルハライドランプを光源とするPS版の露光機を用いて像様露光し、現像機を通すことなく100℃で3分加熱処理した後、ハイデルSOR−Mで印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。いずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
これらの結果を下記表3に示す。
【0102】
【表3】
Figure 0003754170
【0103】
実施例13、14および比較例1〜3
用いたポリマーを下記表4に示すものに代えた以外(但し、実施例13は実施例1と同じ)は、実施例1と同様にして平版印刷用原版〔C−1〕〜〔C−5〕を作製した。
得られた平版印刷用原版〔C−1〕〜〔C−5〕を経時保存せずに、830nmの半導体レーザ露光を施し、100℃で3分間加熱し、水洗した後に、画像が形成されているかを調べた。
次に、平版印刷用原版〔C−1〕〜〔C−5〕を45℃、湿度75%の環境で10日間保存した後、上記と同様の処理を行い、画像が形成されているかを調べた。
これらの結果を下記表4に示す。
【0104】
【表4】
Figure 0003754170
【0105】
なお、表中のR−1〜R−3のポリマーの構造式を以下に示す。
【0106】
【化19】
Figure 0003754170
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、可視光露光もしくは赤外線などの各種のレーザにより直接製版可能であり、また水現像可能な、あるいは画像露光後湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要としない、平版印刷用原版を提供することができ、該印刷版を用いれば、画像露光した後そのまま印刷機に装着し、印刷することができる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物、および、光または熱によって酸を発生する化合物を含有し、該化合物の分解により放出された酸の存在下で親水性となる層を設け、水現像あるいは印刷機で製版可能であることを特徴とする平版印刷用原版。
    −SO3−CH2−Ln−O−Z (1)
    (式中、Lは非金属原子からなる連結基を表し、−O−Zは酸によって分解して−OHとなる基を表し、nは0または1を表す。)
  2. 下記一般式(1)で示される構造単位を側鎖に有する高分子化合物、および、光または熱によって酸を発生する化合物を含有する層を有する平版印刷版原版を、露光後、現像処理工程を経ることなく、印刷機に装着し印刷を行うことを特徴とする平版印刷方法。
    −SO 3 −CH 2 −L n −O−Z (1)
    (式中、Lは非金属原子からなる連結基を表し、−O−Zは酸によって分解して−OHとなる基を表し、nは0または1を表す。)
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