JP3753989B2 - 銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法 - Google Patents

銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法に係り、詳しくは焼成した銅膜の膨れがなく、基板と銅膜との密着力を高めた膜厚50μm以上の回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、セラミックス基板上に回路を印刷するために、銅系ペーストが用いられている。この銅系ペーストを基板へ接着する場合には、例えば特開平8−298359号公報にも記載されているように、本来ミクロンサイズの銅粉がセラミックス基板と反応接着することができないために、ペースト内に所定量のガラスフリットを配合し、印刷後基板にあるガラスフリットが焼成後に基板と銅膜とを接着する役割を与えていた。しかし、その反面ガラスフリットが焼成後の銅膜内にも多量に残存するため、銅膜の電気抵抗値が高くなり、またガラス層で銅膜と基板とを接着しているため、熱膨張差による歪みが出やすくなって、熱衝撃性が弱くなると言った問題が発生した。
【0003】
このような不具合点を一部解消したペーストとして、例えば特開昭60−70746号公報に記載されているように、銅、ガラスフリット、そしてタングステン、モリブデン、レニウム等の非銅系物質を有機溶媒中に分散させた組成からなっており、また特公平3−50365号公報に記載されているように、銅酸化物を被覆した金属銅粒子、銅酸化物粒子、ガラス等のガラスフリットを有機溶媒中に分散させた組成からなっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記銅系ペーストもガラスフリットとして好ましくは4〜10重量%の多くの量を添加して基板と銅膜との接着の役割を果している。しかし、既存の銅系ペーストは600°C以上の焼成時におけるガラスの軟化を利用し、基板と銅膜の間にガラス層を形成し、接着させている。
【0005】
しかも、ガラスフリットを含む銅系ペーストを使用して厚さ50μm以上の厚膜の回路基板を作製する場合には、スクリーン印刷によって銅系ペーストを印刷、乾燥、焼成を繰り返して所定の厚膜を形成し、そして焼成して回路基板を作製していたが、ガラスフリットが耐薬品性に劣る鉛入りであるために、銅膜の表面にめっき層を設けることが不可能であり、しかも焼成時にガラスフリットや有機成分などが熱分解し、これによって発生するガスが銅膜を膨張させていた。
【0006】
本発明は、このような問題点を改善するものであり、銅膜の膨れがなく、基板と銅膜との密着力を高めた膜厚50μm以上の回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明では、銅導体ペーストを基板上に印刷し、焼成することにより銅膜を形成する厚膜回路基板の製造方法において、セラミックス基板上にガラスフリットを含有する銅導体ペーストを印刷、乾燥した1層目の層を形成し、続いてその上にガラスフリットを含有しない銅導体ペーストを印刷、乾燥した層を少なくとも1層形成した後、焼成して厚膜の銅膜を形成する厚膜回路基板の製造方法において、セラミックス基板上に特定量のガラスフリットを含有する銅導体ペーストを印刷、乾燥した1層目の層を形成し、続いてその上にガラスフリットを含有しない銅導体ペーストを印刷、乾燥した層を少なくとも1層形成した後、焼成して厚膜の銅膜を形成する銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にあり、銅導体ペーストを印刷するごとに充分乾燥した後、焼成するために、セラミックス基板と銅膜との界面ではガラスフリットが存在して充分密着するとともに表層はガラスフリットを含まないために、膨れのない厚膜の銅膜が得られる。
【0008】
本願請求項2記載の発明では、ガラスフリットを銅微粉と銅粉との総量に対して2〜4質量%含有する銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にあり、セラミックス基板と銅膜との界面では適量のガラスフリットが存在して充分密着するとともに表層はガラスフリットを含まないために、膨れのない厚膜の銅膜が得られる。
【0009】
本願請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載で作製した銅膜を形成したセラミックス基板を無電解めっき処理し、該銅膜の上にめっき層を付着した銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にあり、表層はガラスフリットを含まないために、めっき層の密着力も維持できる。
【0010】
本願の請求項4記載の発明では、無電解めっき層がニッケルめっき層である銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法である。
【0011】
本願の請求項5記載の発明では、ガラスフリットを含有する銅導体ペーストが、一次平均粒子径0.01〜0.3μmの銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉、一次平均粒子径0.5〜5μmの銅粉、バインダー樹脂、軟化点500〜600℃をもつ少なくともSiO2−B23 −ZnO系とSiO2−B23 −Bi23系の2種以上のガラス成分を含むガラスフリット、そして有機溶剤を配合したものである銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にある。
【0012】
本願の請求項6記載の発明では、ガラスフリットを含有しない銅導体ペーストが、一次平均粒子径0.01〜0.3μmの銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉、一次平均粒子径0.5〜5μmの銅粉、バインダー樹脂、そして有機溶剤を配合したものである銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にある。
【0013】
本願の請求項7記載の発明では、ガラスフリットを含有しない銅導体ペーストの層が2〜4層である銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において1層目の銅導体ペーストは、ガラスフリットを含有する銅導体ペーストであり、具体的には一次平均粒子径0.01〜0.3μmの銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉、一次平均粒子径0.5〜5μmの銅粉、バインダー樹脂、軟化点500〜600℃をもつ少なくともSiO2−B23 −ZnO系とSiO2−B23 −Bi23系の2種以上のガラス成分を含むガラスフリット、そして有機溶剤を配合したものである。
【0015】
また、2層目以降の銅導体ペーストは、ガラスフリットを含有しない銅導体ペーストであり、一次平均粒子径0.01〜0.3μmの銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉、一次平均粒子径0.5〜5μmの銅粉、バインダー樹脂、そして有機溶剤を配合したものである。
【0016】
銅導体ペーストを構成する銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉は、例えば沈殿法と呼ばれる方法、即ち金属塩溶液から還元剤を用いて直接金属微粒子を沈殿析出させる方法によって得られるものであり、ホルマリン、ヒドラジン、次亜リン酸ソーダ、水素化ホウ素塩などの還元剤を、銅イオンを含む水溶液に適当な条件のもとで添加することにより、銅微粉を得ることができる。上記銅微粉は耐酸化性、分散性等の改善のため、有機脂肪酸やカップリング剤により表面処理が行われる。
【0017】
上記銅微粉の一次平均粒子径は0.01〜0.3μmの範囲である。好ましくは、0.01〜0.2μmの範囲にあり、この範囲であれば銅微粉の凝集がなくなって緻密な銅膜が形成され、その電気抵抗値も小さくなる。
【0018】
また、銅導体ペーストを構成する銅粉は、一次平均粒子径0.5〜5μmの範囲にある銅粉をベースにしたもので、この範囲内にある粉径の異なる銅粉を1〜3種類以上添加したものである。具体的な銅粉は、一次平均粒子径2〜5μmの範囲にある最も粒子径が大きいベース銅粉と、一次平均粒子径1〜2μmの範囲で次に粒子径が大きい第1補助銅粉と、そして一次平均粒子径0.5〜1μmの範囲で最も粒子径が小さい第2補助銅粉の三段階の粒子径範囲から構成されている場合や、一次平均粒子径0.5〜1μmの範囲にあるベース銅粉と、一次平均粒子径0.1〜0.5μmの範囲にある補助銅粉の二段階の粒子径範囲から構成されている。
【0019】
上記銅粉を三段階の粒子径範囲から構成した場合では、銅粉中、ベース銅粉が80〜98重量%に対して第1補助銅粉が1〜19重量%、第2補助銅粉が1〜19重量%になっている。特に、補助銅粉については、これに限定されることなく、これらの一次平均粒子径範囲以下の第3補助銅粉を使用してもよい。
【0020】
上記補助銅粉の各銅粉は、比較的球形に近いものが望ましい。これは各銅粉が空隙を少なくして配列するためである。一次平均粒子径の異った銅粉を使用すると、一次平均粒子径の小さな補助銅粉が一次平均粒子径の最も大きなベース銅粉が配列したときに生じる隙間や空隙を充填するため、焼成後の膜は内部欠陥が少なく、焼き締まりも良好になる効果がある。
【0021】
ベース銅粉の一次平均粒子径が5μmを超えると、酸化の影響を受けにくく焼成条件設定が広くなるが、低い温度では充分に焼結せず焼き締まり不足が生じて銅膜と基板との密着力が低下する。また、インクロール工程で銅粉がつぶれてしまって銅箔状となり、スクリーン印刷時にメッシュずまりが発生することがある。一方、ベース銅粉の一次平均粒子径が0.5μm未満では、銅粉の総粒子面積が大きくなり過ぎて、酸化の影響が大きくなり、電気抵抗値が高くなる。また、カサ密度が大きいため焼き締まり性が悪くなる。
【0022】
ベース銅粉の添加量が98重量%を超えると、低い温度では充分に焼結せずに焼き締まり不足が生じて銅膜と基板との接着力が低下し、一方80重量%未満では混合銅粉の総粒子面積が大きくなり過ぎることになり、前述と同様の不具合が起こる。
尚、補助銅粉はベース銅粉が配列したときに生じる間隙や空隙を充填するために添加するものであり、その一次平均粒子径と添加量はベース銅粉のそれらに大きく影響を受ける。
【0023】
銅導体ペーストを構成するバインダー樹脂は、例えばポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル類、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ブチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリビニル類、ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン11等のポリアミドであり、特に制限されないが、焼成中で分解する必要がある。
【0024】
このバインダー樹脂としては、熱分解温度の相違する樹脂を少なくとも2種類以上含めることが好ましい。これは焼成した場合でもバインダー樹脂が一度に熱分解せず環境温度に応じて分解するため、銅膜中に残存することがない。
【0025】
上記バインダー樹脂を溶かす有機溶剤としては、カルビトール、カルビトールアセテート、テレピネオール(ターピノール)、メタクレゾール、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ターピノール、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、パラキシレン、乳酸エチル、イソホロン等の高沸点の有機溶剤であり、2種類以上混合してもよい。
【0026】
本発明で使用するガラスフリットは、銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉や銅粉の焼結温度より低く、かつバインダー樹脂の熱分解温度より高い軟化点を有するものが使用される。とりわけ、銅導体ペーストの焼成過程において軟化したガラスフリットを基板方向へ流動させるのと同時に銅微粉や銅粉も基板方向へ移動させ、焼成後の膜の平滑化を図り、銅膜への半田付け性を改良して基板と銅膜間の密着力を向上させ、しかもその電気抵抗値の上昇を抑えるうえで重要になる。
【0027】
このガラスフリットは、少なくともSiO2−B23 −ZnO系とSiO2−B23 −Bi23系を含むもので、一次平均粒子径1〜10μmの範囲で500〜600℃の低軟化点を有している。具体的には、SiO2−B23 −ZnO系とSiO2−B23 −Bi23 系にSiO2−B23 −TiO2系やSiO2−B23 −ZrO系等が添加される。
【0028】
ガラスフリットの軟化点はバインダー樹脂のポリマー分が分解する温度以上で、かつ銅微粉の焼結する温度以下が必要で、この温度差間で2種類以上添加すると効果がある。これはポリマー分の分解が起こって、軟化点の小さいSiO2−B23 −Bi23系のガラス粉末が軟化し、続いて軟化点の大きいSiO2−B23 −ZnO系が軟化して銅微粉の粒径を小さく保つことができる。
【0029】
その添加量は銅微粉と銅粉との総量に対して0.5〜4質量%である。4質量%を超えると、ガラスフリットが焼成後の銅膜内に残存するため、銅膜の電気抵抗値が上昇する傾向があり、また銅膜と基板との界面にガラス層を形成し、熱膨張による歪みをおこしやすく、熱衝撃性が弱くなる。一方、0.5質量%未満では、銅膜のひび割れや焼き締めの改善が期待できない。
【0030】
そして、上記銅導体ペーストは、バインダー樹脂と有機溶剤からなる有機分が2〜16質量%の範囲にして粘度調節されている。有機分が2質量%未満の場合には、銅導体ペーストの粘度が高くなり、また有機分が14質量%を超えると、粘度が低くなり印刷性に劣る。
【0031】
また、含有している全ての銅微粉と銅粉が84〜98質量%の範囲にある。98質量%を超えると、ペーストが高粘度となり焼き締まり不足が生じて銅膜と基板との接着力が低下し、一方84質量%未満ではペーストが焼成により収縮するために、前述と同様の不具合が起こる。
【0032】
本発明で使用するセラミックス基板は、アルミナ、窒化アルミ、炭化珪素、窒化珪素、サイアロン、チタン酸バリウム、PBZT等である。
【0033】
しかして、本発明に係る厚膜回路基板の製造方法を、図1を参照しながら以下に示す。
(1)ガラスフリットを含有する銅導体ペーストをスクリーン印刷等によってセラミックス基板1上に塗布する。スクリーン印刷の手順は水平に置かれたスクリーン(例えば、ステンレス平織物、300メッシュ)の下に、0.1〜2ミリメートルの間隔をもたせて基板を設置する。このスクリーンの上に銅導体ペーストをのせた後、スキージーを用いてスクリーン全面に広げる。この時には、スクリーンとセラミックス基板とは間隔を有している。続いて、スクリーンがセラミックス基板に接触する程度にスキージーでスクリーンを押さえ付けて移動させ、印刷をする。以後これを繰り返す。
【0034】
(2)上記基板1をオーブンにて150〜220℃で15〜30分間十分に乾燥して1層目の膜2を形成する。
【0035】
(3)続いて1層目の膜2の上にガラスフリットを含有しない銅導体ペーストを上記と同様にスクリーン印刷によって塗付する。
【0036】
(4)同様に上記基板1をオーブンにて150〜220℃で15〜30分間十分に乾燥して2層目の膜3を形成する。
(5)上記(3)、(4)を繰り返して、3層目の膜3a、4層目の膜3bを形成して所定の厚みに仕上げる。
(6)続いて、上記基板1をベルト炉に入れ、窒素中、600〜1000℃の温度下で焼成時間20〜60分、ピーク保持時間4〜12分間で焼成し、そして冷却時間9〜27分で焼成工程を終え、銅粉を焼結させるとともに基板と反応接着させ所定厚みの銅膜4を作製する。この焼成工程時には、所定量の酸素がこの炉に送り込まれ、銅膜と基板との密着力を高めて銅膜の電気抵抗値を減少させる。
(7)そして、このセラミックス基板1を無電解金属めっき液に浸漬すると、セラミックス基板1の表面の銅が分散・結合されている領域においてめっき層5が形成される。このとき、銅はほぼ均一に分散していることから、めっき層5の析出にばらつきが生じにくくなり、膜厚の均一なめっき層5を形成することができる。しかも上記のように銅はセラミックス基板1上に接合されているため、セラミックス基板1に粗化処理が施されていなくても銅による反応接着によって、めっき層5とセラミックス基板1との間に高い密着性が付与される。
【0037】
上記無電解めっき処理として無電解銅めっき処理や無電解ニッケルめっき処理等を施すことができる。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を具体的な実施例により更に詳細に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜8
(銅導体ペーストの作製)
所定粒径をもった銅微粉、銅粉、そして所定量のガラスフリット、バインダー樹脂、そして有機溶剤を表1に示すように混合した。銅粉としてベース銅粉と2種類の補助銅粉からなる3種を使用した。また、アクリル樹脂をカルビトールとテレピネオールとで溶かしたものを用意した。上記これらを混合し、更にインクロールにて均一に混合することによって茶色の銅導体ペーストを作製した。
【0039】
【表1】
Figure 0003753989
【0040】
(銅膜の作製)
ガラスフリット入り銅導体ペーストをアルミナ基板の上にステンレススクリーン#250を用いて2×2mmの範囲で印刷した。このアルミナ基板をベルト炉に入れ、180℃で30分間乾燥して1層目の膜を形成した。
【0041】
続いて、1層目の膜の上にガラスフリットを含まない銅導体ペーストを同様の方法、条件でスクリーン印刷した後、乾燥して2層目の膜を作製し、同様にしてその上に3層目の膜そして4層目の膜を積層した。
【0042】
上記アルミナ基板を直接ベルト炉に入れ、窒素中で酸素濃度50ppm以下、900℃の焼成温度、ベルト速度40mm/分下での所定の焼成時間、900℃での所定のピーク保持時間、そして所定の冷却時間で焼成工程を終えて厚膜回路基板を作製した。
【0043】
続いて、上記基板を温度40℃の酸性洗浄剤(ACL−007、上村工業社製)に180秒間浸漬後、100g/lの硫酸に60秒間浸漬して表面処理、酸化物を除去した後、無電解ニッケルめっき析出の触媒としてパラジウムを銅膜に付着させるため、パラジウム活性化剤(MSR−28、上村工業社製)に浸漬し、これを80℃の無電解ニッケルめっき液(NPR−4、上村工業社製)に7分間浸漬した後、150℃で20秒間乾燥してめっき層を付着した厚膜回路基板を作製した。
【0044】
作製した厚膜回路基板の焼成後の表面外観(膨れの有無)、膜厚、初期密着力、ニッケルめっき後の密着力をそれぞれ下記の方法で測定した。その結果を表2(実施例)と表3(比較例)に示す。
【0045】
1.焼成後の表面外観
ニッケルめっきした前の厚膜回路基板の膨れの有無を肉眼で観察した。
【0046】
2.膜厚
ニッケルめっきする前の厚膜回路基板の銅膜の膜厚を触針式膜厚計(テンコールAS500、テンコー社製)で測定した。
【0047】
3.初期密着力(L型ピール強度)
ニッケルめっきする前の厚膜回路基板における基板と銅膜間の接着力を測定したものである。L型に曲げた直径0.8mmのスズめっき銅線を2mm×2mmの大きさに焼成した銅膜の表面に半田付して固定し、垂直に折り曲げた銅線の付着力をバネ計りで計測し基板と銅膜間の接着力を求めた。
【0048】
4.ニッケルめっき後の密着力
ニッケルめっきした後の厚膜回路基板における基板と銅膜間の接着力を上記3の方法で測定した。
【0049】
【表2】
Figure 0003753989
【0050】
【表3】
Figure 0003753989
【0051】
この結果、実施例では、基板と銅膜の接着面となる層に所定量のガラスフリットを含有した銅導体ペーストを印刷し、2層目以降にガラスフリットを含まない銅導体ペーストを印刷、乾燥を繰り返すもので、印刷するごとに十分乾燥を行うためバインダー樹脂の分解が促進されたことにより、これを焼成すると基板と銅膜の界面ではガラスフリットが存在して十分密着するとともに表層部分はガラスフリットを含まないため、ニッケルめっきした前の厚膜回路基板では膨れの無い銅厚膜が得られた。
【0052】
しかし、比較例1と比較例2では、ガラスフリットを含有した銅導体ペーストのみを印刷、乾燥を繰り返し、これを焼成して厚膜銅導体回路を形成した場合、ガラスフリットやバインダー樹脂の分解により発生するガスによって銅膜に膨れが発生し導体特性が低下した。比較例3では、ガラスフリットを含まない銅導体ペーストのみを印刷、乾燥を繰り返し、これを焼成して厚膜銅導体回路を形成した場合、膨れは発生してないが、銅と基板が反応せず十分な密着力が得られなかった。
【0053】
比較例4では、ガラスフリットの添加量の少ない銅導体ペーストのみを印刷、乾燥を繰り返し、これを焼成して厚膜銅導体回路を形成した場合も、比較例1と同様に膨れが発生していた。比較例5では、ガラスフリットの添加量の多い銅導体ペーストのみを印刷、乾燥を繰り返し、これを焼成して厚膜銅導体回路を形成した場合も、比較例1と同様に膨れが発生していた。
【0054】
比較例6では、1層目にガラスフリットを含まない銅導体ペーストCと、2層目以降にガラスフリットを含む銅導体ペーストAを用いた場合も焼成膜が基板と密着しない結果になった。比較例7では、1層目にガラスフリットが0.5質量%を含む銅導体ペースEを使用しても、焼成膜に脹れが発生した。また、比較例8では、1層目にガラスフリットが10質量%を含む銅導体ペースEを使用しても、焼成膜に脹れが発生した。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本願の請求項記載の発明では、セラミックス基板上に所定量のガラスフリットを含有する銅導体ペーストを印刷、乾燥した1層目の層を形成し、続いてその上にガラスフリットを含有しない銅導体ペーストを印刷、乾燥した層を少なくとも1層形成した後、焼成して厚膜の銅膜を形成する銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法にあり、銅導体ペーストを印刷するごとに充分乾燥した後、焼成するために、セラミックス基板と銅膜との界面ではガラスフリットが存在して充分密着するとともに表層はガラスフリットを含まないために、膨れのない厚膜の銅膜が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法によって得られた厚膜回路基板の断面図である。
【符号の説明】
1 セラミックス基板
2 1層目の膜
3 2層目の膜
3a 3層目の膜
3b 4層目の膜
4 銅膜
5 めっき層

Claims (7)

  1. 銅導体ペーストを基板上に印刷し、焼成することにより銅膜を形成する厚膜回路基板の製造方法において、セラミックス基板上にガラスフリットを含有する銅導体ペーストを印刷、乾燥した1層目の層を形成し、続いてその上にガラスフリットを含有しない銅導体ペーストを印刷、乾燥した層を少なくとも1層形成した後、焼成して厚膜の銅膜を形成することを特徴とする銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
  2. ガラスフリットを銅微粉と銅粉との総量に対して2〜4質量%含有する請求項1記載の銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載で作製した銅膜を形成したセラミックス基板を無電解めっき処理し、該銅膜の上にめっき層を付着した銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
  4. 無電解めっき層がニッケルめっき層である請求項3記載の銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
  5. ガラスフリットを含有する銅導体ペーストが、一次平均粒子径0.01〜0.3μmの銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉、一次平均粒子径0.5〜5μmの銅粉、バインダー樹脂、軟化点500〜600°Cをもつ少なくともSiO2−B23 −ZnO系とSiO2−B23 −Bi23系の2種以上のガラス成分を含むガラスフリット、そして有機溶剤を配合したものである請求項1〜3の何れかに記載の銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
  6. ガラスフリットを含有しない銅導体ペーストが、一次平均粒子径0.01〜0.3μmの銅、銅酸化物、もしくはこれらの混合物からなる銅微粉、一次平均粒子径0.5〜5μmの銅粉、バインダー樹脂、そして有機溶剤を配合したものである請求項1〜3の何れかに記載の銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
  7. ガラスフリットを含有しない銅導体ペーストの層が2〜4層である請求項1〜3の何れかに記載の銅導体ペーストを用いた厚膜回路基板の製造方法。
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