JP3752085B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、および特定のポリエステル系共重合体から主としてなる熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性(流動性)、塗装性、耐熱性等に優れ、かつ良好な耐衝撃性、引張伸びなどの力学性能を有することから、それらの特性を活かして、電気/電子部品、自動車部品、工業部品、機械部品、事務機器部品、日用品をはじめとする種々の成形品やその他の広範な用途に極めて有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート系樹脂は、耐衝撃性、透明性、耐熱性、寸法安定性などに優れており、それらの特性を活かして、電気/電子部品、自動車部品等の幅広い分野で使用されている。しかし、ポリカーボネート系樹脂は溶融粘度が高いことから成形加工性(流動性)が悪く、特に大型成形品の場合には残留歪みが目立つことがある。また、ポリカーボネート系樹脂は、塗装性やメッキ性等の表面加工性に劣るという問題点も有している。
【0003】
一方、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)などに代表されるゴム強化スチレン系樹脂は、耐衝撃性、塗装性やメッキ性等の表面加工性、成形加工性に優れ、成形収縮率が小さくて、寸法安定性に優れ、反りが少ないことから種々の分野で使用されているが、耐熱性が十分ではなく、用途によっては使用が制限されるという問題点がある。
【0004】
ポリカーボネート系樹脂の成形加工性(流動性)と表面加工性を改良し、さらにゴム強化スチレン系樹脂の耐熱性を改良する目的で、ポリカーボネート系樹脂とゴム強化スチレン系樹脂とを混合した樹脂組成物が知られている(特公昭38−15225)。しかしながら、ポリカーボネート系樹脂とゴム強化スチレン系樹脂とからなる上記した従来の樹脂組成物は、成形加工性(流動性)、表面加工性、および耐熱性の改良の程度においてバランスを欠いており、しかも引張破断伸びが小さく、耐衝撃性も十分ではないという欠点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ABS樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂が本来有する優れた成形加工性(流動性)および表面加工性と、ポリカーボネート系樹脂が本来有する優れた耐熱性をバランス良く兼ね備え、かつ引張破断伸びおよび耐衝撃性などの力学性能に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を達成するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリカーボネート系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、および特定のポリエステル系共重合体の3者を特定の割合で配合すると、成形加工性(流動性)、表面加工性、および耐熱性のバランスが良好で、かつ引張破断伸びおよび耐衝撃性などの力学性能に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)ポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)、ポリエステル系共重合体(III)から主としてなる熱可塑性樹脂組成物であって;
(2) ポリエステル共重合体(III)が、ポリエステル系樹脂から誘導されるポリエステルブロック(III−1)と、下記の付加重合系ブロック共重合体(IV)から誘導される付加重合体ブロック(III−2)とからなり;
付加重合系ブロック共重合体(IV)が
i) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(a−1)および水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素添加されたポリイソプレンブロック(b−1)、水素添加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック(B)とからなり、{重合体ブロック(A)の合計含有量}:{重合体ブロック(B)の合計含有量}が2:8〜7:3(重量比)であり、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(IV−1)、並びに
ii) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(C)とポリイソブチレンブロック(D)とからなり、{芳香族ビニル重合体ブロック(C)の合計含有量}:{ポリイソブチレンブロック(D)の合計含有量}が2:8〜7:3(重量比)であり、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(IV−2);
のうちの少なくとも1種から誘導される付加重合体ブロックであり;
(3) {ポリカーボネート系樹脂(I)の含有量}:{ゴム強化スチレン系樹脂(II)の含有量}の比が、80202080(重量比)であり;かつ
(4) {ポリカーボネート系樹脂(I)とゴム強化スチレン系樹脂(II)の合計含有量}:{ポリエステル系共重合体(III)の含有量}の比が、99.9:0.1〜70:30(重量比)である;
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリカーボネート系樹脂(I)としては、従来公知のポリカーボネート系樹脂のいずれもが使用でき特に制限はないが、ビスフェノールA、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどの2価のフェノール類と、ホスゲン、ハロゲンホルメート、カーボネートエステルなどのカーボネート前駆体とから製造されるポリカーボネート系樹脂が好ましく用いられ、特に2価のフェノール類としてビスフェノールAを、またカーボネート前駆体としてホスゲンを用いて製造されるポリカーボネート系樹脂が入手の容易性、耐衝撃性の改善効果などの点からより好ましい。
ポリカーボネート系樹脂としては、数平均分子量が5000〜300000のものを使用するのが熱可塑性重合体組成物の耐衝撃性の点から好ましい。
【0009】
また、本発明におけるゴム強化スチレン系樹脂(II)は、ゴム成分で強化されたスチレン系樹脂であればいずれでもよく、特にゴム質重合体の存在下にスチレンなどの芳香族ビニル化合物およびアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物を重合させて得られる樹脂が好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられるゴム強化スチレン系樹脂(II)の具体例としては、ABS樹脂(ジエン系ゴムまたは芳香族ビニル化合物とジエン系ゴムの存在下に、スチレン等の芳香族ビニル化合物とアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物を重合させて得られる樹脂);AES樹脂(エチレン/プロピレン系ゴムの存在下に、スチレン等の芳香族ビニル化合物とアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物を重合させて得られる樹脂);ACS樹脂(塩素系ポリエチレンゴムの存在下に、スチレン等の芳香族ビニル化合物とアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物を重合させて得られる樹脂);AAS樹脂(アクリル系ゴムの存在下に、スチレン等の芳香族ビニル化合物とアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物を重合させて得られる樹脂);HIポリスチレン(ジエン系ゴムまたは芳香族ビニル化合物とジエン系ゴムの存在下に、スチレン等の芳香族ビニル化合物を重合させて得られる樹脂)などを挙げることができる。
本発明では、ゴム強化スチレン系樹脂(II)として、これらのゴム強化スチレン系樹脂の1種類のみを使用しても、また2種類以上を併用してもよい。
【0010】
そして、本発明で用いるポリエステル系共重合体(III)は、ポリエステル系樹脂から誘導されるポリエステルブロック(III−1)と付加重合体ブロック(III−2)とからなっている共重合体であり、ポリエステル系共重合体(III)では、上記のポリエステルブロック(III−1)と付加重合体ブロック(III−2)とは、エステル結合、エーテル結合などの化学結合によって結合されている。
【0011】
その場合には、例えば、1個のポリエステルブロック(III−1)と1個の付加重合体ブロック(III−2)が結合しているジブロック共重合体、1個のポリエステルブロック(III−1)を挟んでその両側にそれぞれ1個の付加重合体ブロック(III−2)が結合しているトリブロック共重合体、1個の付加重合体ブロック(III−2)を挟んでその両側にそれぞれ1個のポリエステルブロック(III−1)が結合しているトリブロック共重合体、ポリエステルブロック(III−1)と付加重合体ブロック(III−2)が交互に合計で4個またはそれ以上の個数で結合しているポリブロック共重合体などを挙げることができる。
【0012】
そして上記したうちでも、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、引張破断伸び等がより良好なものとなる点から、ポリエステル系共重合体(III)が、1個のポリエステルブロック(III−1)と1個の付加重合体ブロック(III−2)がブロック状に結合しているジブロック共重合体であるのが好ましい。
【0013】
ポリエステル系共重合体(III)の一部を構成しているポリエステルブロック(III−1)は、例えばポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸系ポリエステル樹脂、ポリアリレート系樹脂などの種々のポリエステル系樹脂から形成することができるが、その中でも特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の表面加工性、耐熱性、耐衝撃性、および引張破断伸び等の特性が優れたものになるなどの点から、ポリエステル系樹脂としてポリエチレンテレフタレート系樹脂およびポリブチレンテレフタレート系樹脂のうちの少なくとも一方から誘導されるものであるのが好ましい。
【0014】
また、該ポリエステルブロック(III−1)は、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、引張破断伸び等がより良好なものとなる点から、その数平均分子量が200〜150000であるのが好ましく、200〜50000であるのがより好ましい。
【0015】
また、ポリエステル系共重合体(III)の別の一部を構成する付加重合体ブロック(III−2)は、付加重合系ブロック共重合体(IV)から誘導されるブロックであればよく、ここで言う該付加重合系ブロック共重合体(IV)とは、
i) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(a−1)[以下これを「重合体ブロック(a−1)」ということがある]および水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a−2)[以下これを「水添ポリブタジエンブロック(a−2)」ということがある]のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素添加されたポリイソプレンブロック(b−1)[以下これを「水添ポリイソプレンブロック(b−1)」ということがある]、水素添加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)[以下これを「水添ポリブタジエンブロック(b−2)」ということがある]および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)[以下これを「水添イソプレン/ブタジエンブタジエン(b−3)」ということがある]からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック(B)とからなり、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(IV−1);並びに、
ii) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(C)[以下これを「芳香族ビニル重合体ブロック(C)」ということがある]とポリイソブチレンブロック(D)とからなり、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(IV-2);
のうちの少なくとも1種から誘導される付加重合系ブロックである。
【0016】
付加重合系ブロック共重合体(IV−1)は、その一方の末端にのみ水酸基を有していても、または両末端に水酸基を有していてもよいが、本発明で好ましく用いられる付加重合系ブロック共重合体(IV−1)のブロック構造の例としては、下記の一般式(1)〜(4)で表されるものを挙げることができる。
【0017】
(A−B)e−OH (1)
(B−A)f−OH (2)
A−(B−A’)g−OH (3)
B−(A−B’)h−OH (4)
[上記式中、AおよびA'はそれぞれ重合体ブロック(A)を示し、BおよびB'はそれぞれ重合体ブロック(B)を示し、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して1以上の整数を示し、OHは水酸基を示す。]
【0018】
上記の一般式(1)〜(4)で表される付加重合体ブロック(IV−1)における反復数e、f、gおよびhはそれぞれ任意に決めることができるが、通常、1〜5の範囲内の整数であるのが好ましい。
【0019】
そして、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)は、上記した一般式(1)〜(4)で表される付加重合系ブロック共重合体のうちでも、上記の一般式(1)においてe=1である式:A−Bで表される付加重合系ジブロックまたは上記の一般式(3)においてg=1である式:A−B−A’で表される付加重合系トリブロックであるのがより好ましい。
【0020】
また、付加重合系ブロック共重合体(IV−2)は、その一方の末端にのみ水酸基を有していても、または両末端に水酸基を有していてもよいが、本発明で好ましく用いられる付加重合系ブロック共重合体(IV−2)のブロック構造の例としては、下記の一般式(5)または(6)で表されるものを挙げることができる。
【0021】
HO−C−(D−C’)j−OH (5)
HO−D−(C−D’)k−OH (6)
[上記式中、CおよびC’はそれぞれ芳香族ビニル重合体ブロック(C)を示し、DおよびD’はそれぞれポリイソブチレンブロック(D)を示し、jおよびkはそれぞれ独立して1以上の整数を示し、OHは水酸基を示す。]
【0022】
上記の一般式(5)または(6)で表される付加重合系ブロック共重合体(IV−2)におけるjおよびkはそれぞれ任意に決めることができるが、通常、1〜5の範囲内の整数であるのが好ましい。そして、上記した一般式(5)または(6)で表される付加重合系ブロック共重合体(IV−2)のうちでも、上記の一般式(5)においてj=1である式:C−D−C’で表される付加重合系トリブロックまたは上記の一般式(6)においてk=1である式:D−C−D’で表される付加重合系トリブロックであるのがより好ましい。
【0023】
付加重合系ブロック共重合体(IV−1)を構成することのある重合体ブロック(a−1)、および付加重合系ブロック共重合体(IV−2)を構成することのある芳香族ビニル重合体ブロック(C)においては、それらの重合体ブロックにおける芳香族ビニル単位を形成する芳香族ビニル化合物として、スチレンα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどを挙げることができ、そのうちでも、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、強度、弾性率等がより良好になる点からスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。重合体ブロック(a−1)および芳香族ビニル重合体ブロック(C)は、1種の芳香族ビニル化合物単位から構成されていても、または2種以上の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよい。
【0024】
また、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における重合体ブロック(A)の構成ブロックとなり得る水添ポリブタジエンブロック(a−2)は、そのポリブタジエンブロックにおける1,2−結合量が30%未満であるのが好ましく、25%以下であるのがより好ましい。それと共に、水添ポリブタジエンブロック(a−2)は不飽和結合の一部または全部、好ましくは90%以上が水素添加によって飽和結合にされているポリブタジエンブロックであるのが好ましい。また、水添ポリブタジエンブロック(a−2)を構成するポリブタジエンでは、水素添加前では、好ましくはその30モル%未満、より好ましくは25モル%以下がビニルエチレン基[−CH(CH=CH2 )−CH2 −;1,2−結合のブタジエン単位]であり、残りが2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2 −CH=CH−CH2 −;1,4−結合のブタジエン単位)である。
【0025】
そして、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添ポリイソプレンブロック(b−1)は、イソプレンに由来するモノマー単位から主としてなるポリイソプレンの不飽和結合の一部または全部が水素添加されて飽和結合になっている重合体ブロックである。水添ポリイソプレンブロック(b−1)では、その水素添加前において、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2 −C(CH3 )=CH−CH2 −;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH{−C(CH3 )=CH2 }−CH2 −;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3 )(CH=CH2 )−CH2 −;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群より選ばれる少なくとも1種からなっているのが好ましい。
【0026】
付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添ポリブタジエンブロック(b−2)は、そのポリブタジエンブロックにおける1,2−結合量が好ましくは30〜80%、より好ましくは35〜60%であり、しかも不飽和結合の一部または全部が水素添加によって飽和結合になっているポリブタジエンブロックである。水添ポリブタジエンブロック(b−2)を構成するポリブタジエンでは、水素添加前には好ましくはその30〜80モル%、より好ましくは35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH2 )−CH2 −;1,2−結合のブタジエン単位]であり、好ましくは70〜20モル%、より好ましくは65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2 −CH=CH−CH2 −;1,4−結合ブタジエン単位)である。
【0027】
また、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)は、イソプレンに由来する単位およびブタジエンに由来する単位から主としてなっているイソプレン/ブタジエン共重合体であって、且つその不飽和結合の一部または全部が水素添加によって飽和結合になっている共重合体ブロックである。水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)においては、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、またブタジエンに由来する単位はビニルエチレン基および/または2−ブテン−1,4−ジイル基であるのが好ましい。そして、水素添加前におけるイソプレン/ブタジエン共重合体ブロックにおけるそれらの基の割合は特に制限されない。また、水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)において、ブタジエンに由来する単位とイソプレンに由来する単位とは、ランダム状、ブロック状、テーパーブロック状のいずれの配置形態になっていてもよい。
【0028】
そして、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)の構成ブロックとなり得る水添ポリブタジエンブロック(a−2)、水添ポリイソプレンブロック(b−1)、水添ポリブタジエンブロック(b−2)および水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)では、上記したように、その炭素−炭素二重結合の一部が水素添加されていても、または全部が完全に水素添加されていてもよいが、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)において、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位における炭素−炭素間二重結合の50モル%以上、特に80モル%以上が水素添加されていること(すなわち不飽和度が50モル%未満、特に20モル%未満になっていること)が、ポリエステル系共重合体(III)の耐熱劣化性および耐候性が良好となり、それを用いて得られる熱可塑性樹脂組成物における粘着性の発現を防止することができる点で好ましい。
【0029】
また、付加重合系ブロック共重合体(IV−2)におけるポリイソブチレンブロック(D)は、イソブチレン単位[−C(CH32 −CH2 −]から主としてなる重合体ブロックである。
【0030】
付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における{重合体ブロック(A)の合計含有量}:{重合体ブロック(B)の合計含有量}、および付加重合系ブロック共重合体(IV−2)における{芳香族ビニル重合体ブロック(C)の合計含有量}:{ポリイソブチレンブロック(D)の合計含有量}、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性を高く保つと共に耐衝撃性、強度、弾性率等を良好なものとする点から2:8〜7:3(重量比)である。
【0031】
そして、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)では、その末端水酸基は、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)のいずれか一方の重合体ブロックの末端に存在していても、両方の末端に存在していてもよいが、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)中でハードブロックを形成している重合体ブロック(A)の末端に存在するのが好ましい。付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における末端水酸基の含有量は、1分子当たり平均0.5個以上であるのが好ましく、0.7〜2個の範囲であるのがより好ましい。また、付加重合系ブロック共重合体(IV−2)では、その末端水酸基は、芳香族ビニル重合体ブロック(C)およびポリイソブチレンブロック(D)のいずれか一方の重合体ブロックの末端に存在していても、両方の末端に存在していてもよいが、付加重合系ブロック共重合体(IV−2)中でハードブロックを形成している芳香族ビニル重合体重合体ブロック(C)の末端に存在するのが好ましい。付加重合系ブロック共重合体(IV−2)における末端水酸基の含有量は、1分子当たり平均0.5個以上であるのが好ましく、0.7〜2個の範囲であるのがより好ましい。
【0032】
また、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における重合体ブロック(A)および付加重合系ブロック共重合体(IV−2)における芳香族ビニル重合体ブロック(C)は、それぞれその数平均分子量が2500〜50000の範囲にあるのが好ましい。また、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)における重合体ブロック(B)および付加重合系ブロック共重合体(IV−2)におけるポリイソブチレンブロック(D)の数平均分子量はそれぞれ10000〜100000の範囲にあるのが好ましい。そして、付加重合系ブロック共重合体(IV−1)および付加重合系ブロック共重合体(IV−2)の数平均分子量は、それぞれ12500〜150000の範囲にあるのが好ましい。
本発明において、付加重合体ブロック(III−2)は、1種類または2種類以上の付加重合系ブロック共重合体(IV−1)および/または付加重合系ブロック共重合体(IV−2)からなることができる。
【0033】
本発明の可塑性樹脂組成物で用いられる、ポリエステルブロック(III−1)と付加重合体ブロック(III−2)とからなるポリエステル系共重合体(III)は、その数平均分子量が12700〜300000の範囲であるのが好ましく、15000〜200000の範囲であるのがより好ましい。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物で用いるポリエステル系共重合体(III)の製造法について特に制限はなく、例えば、ポリエステル系樹脂、および付加重合系ブロック共重合体(IV)とを溶融条件下で混練し、続いて固相重合し、その結果得られるポリエステル系反応生成物からポリエステル系共重合体(III)を抽出回収することによって得ることができる。
【0035】
その際に、ポリエステル系樹脂と付加重合系ブロック共重合体(IV)との溶融混練は、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができる。溶融混練の条件は、使用するポリエステル系樹脂や付加重合系ブロック共重合体(IV)の種類、装置の種類などに応じて適宜選択することができるが、通常、180〜330℃の温度で3〜15分間程度行うとよい。
また、溶融混練後の固相重合は、ポリエステル系樹脂や付加重合系ブロック共重合体(IV)との溶融混練により得られた樹脂を固化し、粒状化した後、それを適当な固相重合反応装置に移し、予備処理として120〜180℃の温度下で乾燥や結晶化などを行い、ついで固相重合させることにより行うことができる。固相重合反応は、通常、樹脂の温度をポリエステル系樹脂の融点よりも5〜60℃程度低い温度に保ちながら、不活性気流下または真空中で行うとよい。固相重合はバッチ方式または連続方式のいずれで行ってもよく、固相重合反応装置における滞留時間や処理温度などを適宜調節することによって、所望の重合度および反応率とすることができる。
【0036】
上記した固相重合により得られるポリエステル系反応生成物は、ポリエステル系共重合体(III)、ポリエステル系樹脂および付加重合系ブロック共重合体(IV)から主としてなっているので、該ポリエステル系反応生成物中に含まれるポリエステル系共重合体(III)の含有量を算出することにより、熱可塑性樹脂組成物中におけるポリエステル系共重合体(III)の含有割合が本発明の範囲内になるように調整しながら、ポリエステル系反応生成物からポリエステル系共重合体(III)を抽出・回収せずに、ポリエステル系共重合体(III)を含む該ポリエステル系反応生成物をそのまま本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製に使用してもよい。
【0037】
また、ポリエステル系共重合体(III)を含む上記したポリエステル系反応生成物[すなわち、ポリエステル系共重合体(III)、ポリエステル系樹脂および付加重合系ブロック共重合体(IV)から主としてなるポリエステル系反応生成物]は、上記した溶融混練による方法以外にも、例えば、付加重合系ブロック共重合体(IV)の存在下で、ポリエステル系樹脂の重縮合反応を行うことによっても製造することができる。そしてこの場合にも、反応により得られるポリエステル系反応生成物から上記と同様にしてポリエステル系共重合体(III)を抽出・回収してそれを熱可塑性樹脂組成物の調製に用いることができ、またはポリエステル系共重合体(III)を抽出・回収せずに、反応により得られるポリエステル系反応生成物をそのまま熱可塑性樹脂組成物の調製に用いてもよい。
【0038】
そして、本発明の熱可塑性樹脂組成物では、{ポリカーボネート系樹脂(I)の含有量}:{ゴム強化スチレン系樹脂(II)の含有量}の比が、80:20〜20:80(重量比)である。ポリカーボネート系樹脂(I)の含有量が、ポリカーボネート系樹脂(I)およびゴム強化スチレン系樹脂(II)の合計含量に基づいて、99重量%よりも多いと熱可塑性樹脂組成物の成形加工性、表面加工性が向上せず、一方1重量%よりも少ないと熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下する。
【0039】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物では、{ポリカーボネート樹脂(I)とゴム強化スチレン系樹脂(II)の合計含有量}:{ポリエステル系共重合体(III)の含有量}の比が、99.9:0.1〜70:30(重量比)であることが必要であり、99:1〜75:25(重量比)であるのがより好ましい。ポリエステル系共重合体(III)の含有量が、ポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)およびポリエステル系共重合体(III)の合計含量に基づいて、0.1重量%よりも少ないと熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および引張破断伸びが向上せず、一方30重量%よりも多いと熱可塑性樹脂組成物の強度および弾性率が低下する。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、熱分解防止剤、紫外線吸収剤、タルクなどの結晶化核剤、結晶化促進剤、着色剤、難燃剤、ガラス繊維などの補強剤およびその表面処理剤、充填剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、接着助剤、粘着剤、上記以外のポリマー(例えばポリスチレン;ポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリジメチルシロキサン等の有機ポリシロキサンなど)などの1種または2種以上を含有していてもよい。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製法は特に制限されず、ポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)およびポリエステル系共重合体(III)を均一に混合させ得る方法であればいずれでもよく、通常、前記3種類の重合体を必要に応じて他の成分と共に溶融混練することによって製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を使用して行うことができ、その際に使用する装置の種類や溶融混練条件などは特に限定されないが、概ね180〜330℃の範囲の温度で1〜30分間混練することにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を製造するに当たっては、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、熱可塑性重合体に対して一般に用いられている種々の成形方法や成形装置が使用できる。何ら限定されるものではないが、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの任意の成形法によって成形品を製造することができ、またそれらの成形技術の複合によっても成形を行うことができる。さらに、他のポリマーとの複合成形によっても成形することができる。また、それらの成形によって、自動車部品、工業部品、機械部品、電気電子部品、事務機用部品、日用品、雑貨、パイプ、シート、フイルム、繊維、その他の任意の形状および用途の各種成形品を製造することができる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施例および比較例において、熱可塑性樹脂組成物の試験片の作製、引張降伏強さ、引張破断伸び、曲げ弾性率、ノッチ付きIZOD衝撃値(耐衝撃性)、DTUL(耐熱性)、および溶融粘度(流動性)の測定、並びに塗装性の評価は次のようにして行った。
【0044】
試験片の作製:
実施例または比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレット、ポリカーボネート樹脂、またはABS樹脂のペレットを成形材料として用いて、日精樹脂工業株式会社製の80トン射出成形機を使用して、シリンダー温度275℃および金型温度80℃の条件下で、耐衝撃性試験用の試験片(寸法:長さ×厚さ×幅=64mm×12.7mm×3.2mm)、曲げ弾性率およびDTUL測定用の試験片(寸法:長さ×厚さ×幅=128mm×6.2mm×12.7mm)、引張降伏強さおよび引張破断伸びの測定用のダンベル形試験片(寸法:長さ×厚さ×幅=JIS 1号形、厚み3.2mm)、および塗装性評価用の試験片(寸法:長さ×幅×厚さ=8.8×8.8×3.2mm)をそれぞれ作製した。
【0045】
引張降伏強さおよび引張破断伸びの測定:
上記で作製した試験片を用いて、JIS K7113に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して引張降伏強さおよび引張降伏伸びを測定した。
【0046】
曲げ強さおよび曲げ弾性率の測定:
上記で作製した試験片を用いて、JIS K7203に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して曲げ弾性率を測定した。
【0047】
ノッチ付アイゾット衝撃値(耐衝撃性)の測定:
上記で作製した試験片を用いて、JIS K7110に準じて、アイゾット衝撃試験器(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、ノッチ付アイゾット衝撃値を測定した。
【0048】
DTUL(耐熱性)の測定:
上記で作製した試験片を用いて、JIS K7207に準じて、加重ひずみ温度測定機(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、18.6kgfの加重下でDTULを測定した。
【0049】
溶融粘度(流動性)の測定:
実施例または比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレット、ポリカーボネート樹脂、またはABS樹脂のペレットを用いて、キャピログラフ(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、270℃、121.6sec−1の溶融粘度を測定した。
【0050】
塗装性の評価:
上記で作製した試験片の表面にウレタン系塗料を塗り、110℃、1時間の条件で硬化させた。その後、カッターナイフを用いて硬化塗膜に1mm間隔で100個の碁盤目ができるように切れ目を入れ、その上にセロファンテープを圧着させた後、強く引き剥がした。100個の碁盤目中剥がれなかった碁盤目状の塗膜の割合により、塗装性を評価した。
【0051】
以下の実施例および/または比較例では、ポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)、ポリエステル系共重合体(III)として下記のものを使用した。
【0052】
○ポリカーボネート系樹脂(I)
ポリカーボネート樹脂:帝人化成株式会社製「パンライト L1250」
【0053】
○ゴム強化スチレン系樹脂(II)
ABS樹脂:宇部サイコン株式会社製「サイコラック T」
【0054】
○ポリエステル系共重合体(III)
PBT(株式会社クラレ製「S1000F」;極限粘度[η]=0.85)と、1分子当たり0.8個の割合で水酸基を片末端に有するポリスチレンブロック/1,3−ブタジエン・イソプレン水添共重合体ブロック/ポリスチレンブロックよりなるトリブロック共重合体(以下「水添SBIS−OH」ということがある)を、1:1のモル比で反応させて得られたジブロック共重合体
【0055】
《参考例1》[ポリエステル系共重合体(III)の製造例]
(1) 予備乾燥したPBT(株式会社クラレ製「S1000F」)50重量部および上記した水添SBIS−OHの50重量部を予備混合した後、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEX44C」)に供給して250℃で溶融混練して押し出した後、冷却、切断してペレットを製造した。このペレットをガス導入口、排気口、真空連結器などを有する固相重合装置に移して、窒素ガスの導入下に120℃で約4時間処理して乾燥および結晶化を行った。その後、固相重合装置の内圧を約0.2mmHgまで減圧すると共に200℃まで昇温して固相重合反応を開始した。約20時間の固相重合反応の後に、窒素ガスを供給して系を常圧に戻した。固相重合により得られた反応生成物を、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム(1/1容)の混合溶媒に溶解させ、その溶液をテトラヒドロフラン中に注入して沈殿を生成させ、その沈殿物を回収した。それにより得られた沈殿物を、クロロホルム中で加熱還流した後に濾別し、クロロホルム溶液を濃縮、乾固することによって、PBTから誘導されたブロックと、水添SBIS−OHから誘導されたブロックとからなるジブロック共重合体を単離した。
【0056】
<実施例1〜6>
(1) 上記したポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)およびポリエステル系共重合体(III)を下記の表1に示す割合で予備混合した後、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEX44C」)に供給してシリンダー温度275℃の条件下に溶融混練して押し出し、冷却、切断してペレットを製造した。
(2) 上記(1)で得られたペレットを用いて上記した方法で試験片を作製し、その引張降伏強さ、引張破断伸び、曲げ弾性率、ノッチ付きIZOD衝撃値、DTUL、および溶融粘度を上記した方法で測定し、塗装性を上記した方法で評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
【0057】
<比較例1>
ポリカーボネート系樹脂(I)を単独で用いて、上記した方法で試験片を作製し、その引張降伏強さ、引張破断伸び、曲げ弾性率、ノッチ付きIZOD衝撃値、DTUL、および溶融粘度を上記した方法で測定し、塗装性を上記した方法で評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
【0058】
<比較例2>
ゴム強化スチレン系樹脂(II)を単独で用いて、上記した方法で試験片を作製し、その引張降伏強さ、引張破断伸び、曲げ弾性率、ノッチ付きIZOD衝撃値、DTUL、および溶融粘度を上記した方法で測定し、塗装性を上記した方法で評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
【0059】
<比較例3>
(1) 上記したポリカーボネート系樹脂(I)およびゴム強化スチレン系樹脂(II)の2者のみを下記の表1に示す割合で予備混合した後、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEX44C」)に供給してシリンダー温度275℃の条件下に溶融混練して押し出し、冷却、切断してペレットを製造した。
(2) 上記(1)で得られたペレットを用いて上記した方法で試験片を作製し、その引張降伏強さ、引張破断伸び、曲げ弾性率、ノッチ付きIZOD衝撃値、DTUL、および溶融粘度を上記した方法で測定し、塗装性を上記した方法で評価したところ下記の表1に示すとおりであった。
【0060】
【表1】
Figure 0003752085
【0061】
上記の表1の結果から、ポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)およびポリエステル系共重合体(III)の3者を本発明で規定する割合で含有している実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂(I)単独の比較例1と比較して、塗装性が改良され、かつ流動性が向上し成形加工性に優れていることがわかる。また、実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化スチレン系樹脂(II)単独の比較例2と比較して、引張降伏強さ、引張破断伸び、耐衝撃性(ノッチ付きIZOD衝撃値)、および耐熱性(DTUL)に優れていることがわかる。
さらに、ポリカーボネート系樹脂(I)およびゴム強化スチレン系樹脂(II)の2者のみから得られる比較例3と比較して、引張降伏強さ、引張破断伸び、耐衝撃性(ノッチ付きIZOD衝撃値)、および耐熱性(DTUL)に優れていることがわかる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性(流動性)、塗装性、耐熱性等に優れ、かつ良好な耐衝撃性、引張伸びなどの力学性能を有することから、それらの特性を活かして、電気/電子部品、自動車部品、工業部品、機械部品、事務機器部品、日用品、パイプ、シート、フイルム、その他の任意の形状および用途の各種成形品の製造やその他のに有効に用いることができる。

Claims (3)

  1. (1)ポリカーボネート系樹脂(I)、ゴム強化スチレン系樹脂(II)、ポリエステル系共重合体(III)から主としてなる熱可塑性樹脂組成物であって;
    (2) ポリエステル共重合体(III)が、ポリエステル系樹脂から誘導されるポリエステルブロック(III−1)と、下記の付加重合系ブロック共重合体(IV)から誘導される付加重合体ブロック(III−2)とからなり;
    付加重合系ブロック共重合体(IV)が
    i) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(a−1)および水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素添加されたポリイソプレンブロック(b−1)、水素添加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック(B)とからなり、{重合体ブロック(A)の合計含有量}:{重合体ブロック(B)の合計含有量}が2:8〜7:3(重量比)であり、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(IV−1)、並びに
    ii) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(C)とポリイソブチレンブロック(D)とからなり、{芳香族ビニル重合体ブロック(C)の合計含有量}:{ポリイソブチレンブロック(D)の合計含有量}が2:8〜7:3(重量比)であり、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(IV−2);
    のうちの少なくとも1種から誘導される付加重合体ブロックであり;
    (3) {ポリカーボネート系樹脂(I)の含有量}:{ゴム強化スチレン系樹脂(II)の含有量}の比が、80202080(重量比)であり;かつ
    (4) {ポリカーボネート系樹脂(I)とゴム強化スチレン系樹脂(II)の合計含有量}:{ポリエステル系共重合体(III)の含有量}の比が、99.9:0.1〜70:30(重量比)である;
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート系樹脂(I)が、ビスフェノールAとホスゲンを原料とするポリカーボネート系樹脂である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ゴム強化スチレン系樹脂(II)が、ABS樹脂、AES系樹脂、ACS系樹脂またはAAS系樹脂である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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