JP3751751B2 - イオン伝導性固体電解質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の固体電解質として利用できるイオン伝導性固体電解質、特に、リチウムイオン伝導性固体電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ金属塩などの電解質を高濃度まで溶解し、かつ固体状態で高いイオン伝導性を示す高分子材料が見いだされ、これらはイオン伝導性高分子あるいは高分子固体電解質と呼ばれている。このイオン伝導性高分子は軽量で成形性に富む固体膜として得られるため、弾性、柔軟性を有する新しい固体電解質としてエネルギー、エレクトロニックス分野への応用が期待されている。
【0003】
今までに研究されているイオン伝導性高分子の基本構造としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリスルフィド系の直線状ポリマーがある。これらの化学構造を有するイオン伝導性高分子は多相系の結晶性高分子であるため、イオン伝導性が相変化の影響を受けやすく室温でのイオン伝導率が低い。
【0004】
この不具合を解消するため、比較的高いイオン伝導性を示すエーテルセグメントを中心に▲1▼それらを含むポリマー▲2▼ポリエーテル架橋したポリマー▲3▼高分子電解質型イオン伝導体▲4▼可塑化した高分子などが種々報告されている。
しかし、上記の▲1▼のポリマーは分子量が低いと液状高分子となり、高分子量でも機械的強度が十分でないという不具合がある。▲2▼のポリマーは高い力学的強度を示すが、加工性が低く成形が困難である。▲3▼のポリマーはカチオンが強く対アニオンサイトに束縛されるため、イオン導電率が低い。▲4▼のポリマーは有機溶媒を使用しており、安全性の問題がある。
【0005】
例えば、特開昭63−193954号公報には、有機ポリマーが主鎖となるポリエチレンオキサイドにエステル結合を介して導入された側鎖としてエチレンオキサイド付加物を有する分岐ポリエチレンオキサイドからなるリチウムイオン伝導性ポリマーが開示されている。また、特開平2−207454号公報には、ポリホスファセンの主鎖にオリゴエチレンオキサイド鎖の側鎖を導入した有機ポリマーを用いた全固体リチウム二次電池が開示されている。
【0006】
これらの有機ポリマーはオリゴエチレンオキサイド鎖が側鎖となって結合している。そのため主鎖を構成する繰り返し単位が十分な機械的強度を持ったものでないと電解質を溶解したイオン伝導性固体電解質では、その機械的物性を保持することが困難である。これらの有機ポリマーは、いずれも主鎖が軟質系の重合体であり力学的強度が不足し成形性などの点で問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、オリゴエチレンオキサイド鎖を主鎖に導入することにより、従来のイオン伝導性固体電解質の成形性やイオン伝導性の不具合を解消して電池などに利用できるイオン伝導性固体電解質を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のイオン伝導性固体電解質は、有機ポリマーを含むイオン伝導性固体電解質であって、前記有機ポリマーは主鎖にエチレンオキシド低重合体からなるエチレンオキシド鎖とオキシ基を複数個有する芳香族カルボン酸及びオリゴエチレンオキシド鎖の末端の水酸基とエステル結合したジオキシベンゾエートから選択され該エチレンオキシド鎖に結合した連結分子構造とからなる繰り返し単位を有することを特徴とする。エチレンオキシド鎖は比較的鎖が短くかつその両端に連結分子構造をもつ。このためエチレンオキシド鎖が結晶化することなく安定したイオン伝導性能をもつ。
【0009】
この有機ポリマーを化1式に示す。
【0010】
【化1】
−{(OC24n−(連結分子構造)}m
式中nはエチレンオキシド鎖の重合度を示す数で2〜20であるのがこのましい。mは繰り返し単位を表す任意の整数である。
本発明にかかる有機ポリマーの繰り返し単位を構成するエチレンオキシド鎖の重合度として〜20が好ましいのは、重合度か低いとイオン伝導性能が十分でなく、逆に重合度か高くなりすぎるとエチレンオキシド鎖内で伝導性を阻害する結晶化が起こりやすくなるためである。エチレンオキシド鎖の原料としては、重合度2のジエチレングリコール、重合度3のトリエチレングリコール、オリゴポリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノクロルヒドリン(HOCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2Cl)、ジエチレングリコールモノクロルヒドリン(HOCH2CH2OCH2CH2Cl)、オルゴエチレングリコールモノクロルヒドリン(HOCH2CH2(OCH2CH2316OCH2CH2Cl)、トリエチレングリコールモノブロムヒドリン(HOCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2Br)、ジエチレングリコールモノブロムヒドリン(HOCH2CH2OCH2CH2Br)、オルゴエチレングリコールモノブロムヒドリン(HOCH2CH2(OCH2CH2316OCH2CH2Br)等を使用できる。
【0011】
前記連結分子構造は、オキシ基を複数個有する芳香族カルボン酸およびそのエステルである。例えばジオキシ芳香族カルボン酸エステルでは、ジオキシ基のそれぞれがエチレンオキシド鎖の1末端がエーテル結合し、エチレンオキシド鎖の他端がカルボキシル基とエステル結合した繰り返し単位で枝状に伸びて高分子化する。この場合ジオキシ芳香族カルボン酸のベンゼン核に結合したオキシ基の位置は、エチレンオキシド鎖と容易にエーテル結合が可能であればカルボキシル基に対してo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、例えば3,5位あるいは、3,4位のジオキシ安息香酸などが利用できる。特にオキシ基が対称位置に結合した3,5オキシ安息香酸が枝状の高分子を形成するには好ましい。
【0012】
なお、連結分子構造はジオキシベンゾエートのように3官能基をもつものよい。3官能基をもつ連結分子構造を用いることにより主鎖及び側鎖の両方にエチレンオキシド鎖を導入することが可能となる。また、エチレンオキシド鎖と3官能基をもつ連結分子構造とで高分岐高分子とすることもできる。なお、ジオキシベンゾエートはベンゼン環をもつため得られる有機高分子の機械的性質も高く、連結分子構造として好ましい特性を持つ。
【0013】
主鎖及び側鎖の両方にエチレンオキシド鎖をもつ高分子の一般式を化学式2に示す。
【0014】
【化2】
Figure 0003751751
化2式でRはH、CH3、COCH3基などの炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のアシル基を示す。また、式中nはエチレンオキシド鎖の重合度を示す数で1〜20である。mは繰り返し単位を表す任意の整数である。
【0015】
なお、末端基がOHである場合は金属イオンがOH基に捕捉され、金属イオン移動が阻害される。このため、末端基はOH基以外のものが好ましい。
前記した3官能基をもつ連結分子構造の場合には次の化3式で示す分岐部分をもつ。
【0016】
【化3】
Figure 0003751751
この化3式で示す分岐部分と化学式2で示す主鎖及び側鎖の両方にエチレンオキシド鎖をもつ高分子部分を組み合わせることにより本発明の高分岐高分子が得られる。
【0017】
なお、本発明の有機ポリマーは、分子量が少なくとも16000以上であることが好ましい。分子量が小さい場合、フイルムの成形が困難となる。また、本発明の有機ポリマーは溶媒に可溶とするため分子量が高すぎても好ましくない。また、架橋等で溶解不可のものも好ましくない。
前記した本発明の有機ポリマーは、化1式に示したように、エチレンオキシド鎖が連結分子構造と結合し、連結分子構造を介して線状に伸びる。このためこの有機ポリマーのエチレンオキシド鎖は、分子中で連結分子構造と共に主鎖を形成しており、分子中に高密度に存在するので電解質の陽イオン、例えばリチウムイオンを高密度で配位したり移動させることができ有機ポリマーのイオン伝導性を高めることができる。
【0018】
さらに、本発明の有機ポリマーは、化2式に示したように、連結分子構造に結合した第2のエチレンオキシド鎖が側鎖を形成した繰り返し単位もランダムに混在している。この第2のエチレンオキシド鎖は、側鎖を形成しているので主鎖に比べて分子内での自由度を有するので電解質イオンとの親和性とイオンの移動しやすさとが付与できイオン伝導性より高めることができる。
【0019】
さらに、本発明の有機ポリマーは、化3式に示した分岐部分をもたせることにより高分岐高分子となる。この高い分岐によりエチレンオキシド鎖の結晶化を抑制でき、高いイオン伝導性と共に高い強度をもつ分子となる。
本発明の連結分子構造は、前記エチレンオキシド鎖の末端とエーテル結合を他末端とエステル結合によりエチレンオキシド鎖の繰り返し単位を形成するものとすることができる。
前記第1及び第2のエチレンオキシド鎖の前記オキシ基に結合した末端に対して反対側の末端の少なくとも一方は、新たな連結分子構造がそのカルボキシル基にてエステル結合していることが好ましい。
そして前記新たな連結分子構造のオキシ基の少なくとも1つには新たなエチレンオキシド鎖の一方の末端が結合し、少なくとも1つの該新たなエチレンオキシド鎖の他方の末端には、カルボキシル基にてエステル結合した新たな連結分子構造と、この新たな連結分子構造の少なくとも1つのオキシ基に対して一方の末端がエステル結合した新たなエチレンオキシド鎖と、の繰り返し単位が1単位以上結合している高分岐ポリマーであることが好ましい。
【0020】
本発明の有機ポリマーは、例えば、ジオキシベンゾエートのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドの付加や、ハロゲン化オリゴエチレンオキサイド、一方の末端を保護したオリゴエチレンオキシドのハロゲン化物とフェノール性水酸基とのエーテル化反応により得られるモノマーのジオリゴエチレンオキシベンゾエートのエステルを触媒(例えば錫触媒)の存在下に加熱する縮重合反応によって合成することができる。
【0021】
この有機ポリマーは、従来のポリマー電解質に用いられている電解質と複合させてイオン伝導性固体電解質が構成できる。電解質としてはLiCF3SO3、(CF3SO22NLi、LiBr、LiSCN、LiI、LiBF4、LiA34、LiClO4、LiC613SO3、LiCF3CO2、LiHgI3などのリチウム塩、Li(CF3CF2SO22Nなどが挙げられる。
【0022】
この有機ポリマーに電解質を複合させる一般的手段としては、ポリマーと電解質をそれぞれ所定量溶解した溶媒を混合した後、溶媒を揮発除去する方法が適用できる。この方法により電解質がエチレンオキシド鎖を配位座として固定され溶媒を除去した後もその状態が保持でき、成形体は優れたイオン導電性を示す。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により具体的に説明する。
(有機ポリマーの合成例)
[1]8−(第三級ブチルジフェニルシロキシ)−1−ヒドロキシ3,6−ジオキシオクタン(1)の合成
攪拌機、還流冷却管を装備した200ml三つ口フラスコにトリエチレングリコール10.0g(66.6mmol)、第三級ブチルジフェニルシリルクロライド18.3g(66.6mmol)およびアセトニトリル100mlを秤り取り、攪拌しながらトリエチルアミン4.0g(39.5mmol)を溶解した10mlのアセトニトリルを滴下し、16時間加熱還流して反応させた。その後、エバポレータで溶媒のアセトニトリルを留去し油状物を得た。
【0024】
この油状物を塩化メチレンを溶離液としたシリカゲルカラムに通し、トリエチレングリコールを含んだ第1バンド、第2バンド、第3バンドを除き、溶離液を酢酸エチルに変えて残った第4バンドの吸着物を集め、溶媒を減圧留去した。その結果、無色の油状物(1)を12.4g得た。この油状物(1)は8−(第三級ブチルジフェニルシロキシ)−1−ヒドロキシ3,6−ジオキシオクタン(化4式に示す)であることをNMRおよび赤外スペクトルで確認した。
【0025】
【化4】
(ButPh)2SiOC24−(OC242−OH
[2]1−ブロモ−8−(第三級ブチルジフェニルシロキシ)−3,6−ジオキシオクタン(2)の合成
攪拌機を装備した200mlのナスフラスコに上記で得た油状物(1)11.5g(29.6mmol)、四臭化炭素12.8g(38.7mmol)およびテトラヒドロフラン60mlを秤り取り、窒素雰囲気下で四臭化炭素が完全に溶解するまで攪拌した。次にトリフェニルホスフィン10.2g(38.8mmol)を加え再度窒素雰囲気下で15分間室温で攪拌した。析出した白色固体を吸引濾過で取り除き、濾液をエバポレータで濃縮留去して油状物を得た。この油状物を塩化メチレンを溶離液としてシリカゲルカラムに通し、未反応物を含む第1バンドを除き、第2バンドの吸着物を溶離して集め、集めた溶媒を減圧濃縮することにより無色の油状物(2)を7.28g得た。この油状物(2)は1−ブロモ−8−(第三級ブチルジフェニルシロキシ)−3,6−ジオキシオクタン(化5式に示す)をNMRおよび赤外スペクトルで確認した。
【0026】
【化5】
(ButPh)2SiOC24−(OC242−Br
[3]メチル−3,5−ビス[{8’−(第三級−ブチルジフェニルシロキシ)−3’,6’−ジオキシオクチル}オキシ]ベンゾエート(3)の合成
攪拌機、還流冷却器を装備した300mlナスフラスコに上記で合成した油状物(2)11.9g(26.4mmol)、メチル−3,5−ジヒドロキシベンゾエート2.2g(13.2mmol)、炭酸カリウム3.7g(26.4mmol)、18Crown−6 0.1g(0.4mmol)、およびアセトニトリル110mlを秤り取り、フラスコ内を窒素雰囲気として、激しく攪拌しながら16時間加熱還流した。反応後、析出した赤褐色固体を吸引濾過で濾別し、濾液をエバポレータにより留去して油状物を得た。得られた油状物は塩化メチレンを溶離液としてシリカゲルカラムに通し、未反応物を含む第1バンドおよび第2バンドを取り除き、溶離液を酢酸エチルに変えて残った第3バンドを溶離して集め、集めた溶媒を減圧濃縮することにより濃黄色油状物(3)を得た。
【0027】
この油状物(3)は、メチル−3,5−ビス[{8’−(第三級−ブチルジフェニルシロキシ)−3’,6’−ジオキシオクチル}オキシ]ベンゾエート(化6式に示す)であることをNMRおよび赤外スペクトルで確認した。
【0028】
【化6】
Figure 0003751751
【0029】
[4]メチル−3,5−ビス[(8’−ヒドロキシ−3’,6’−ジオキシオクチル)オキシ]ベンゾエート(4)の合成
攪拌機を装備した100mlのナスフラスコに上記で合成した油状物(3)6.50g(7.14mmol)、3%の塩化水素を含むメタノール20mlを秤取り、窒素雰囲気下で3時間攪拌した後、エバポレータで溶媒を留去し油状物を得た。得られた油状物をジエチルエーテルとアセトン(1/2ml/ml)の混合溶媒を溶離液としてシリカゲルカラムを通し、第1バンド、第2バンド、第3バンドを除き、残った第4バンドを溶離して集め、溶媒を減圧除去することにより黄色の油状物(4)として得た。この油状物(4)はメチル−3,5−ビス[(8’−ヒドロキシ−3’,6’−ジオキシオクチル)オキシ]ベンゾエート(化7式に示す)であることをNMR(図11Hのチャート、図213Cのチャート)および赤外線スペクトルのチャート(図3)で確認した。
【0030】
【化7】
Figure 0003751751
【0031】
[5]上記の多段階による合成ルートに代わりトリエチレングリコールモノクロルヒドリンをオリゴエチレンオキシドとするメチル3,5ビス[(8’−ヒドロキシ−3’,6’−ジオキシペンチル)オキシ]ベンゾエート(4)の合成例
攪拌機、還流冷却を装備した300mlのナスフラスコにトリエチレングリコールモノクロルヒドリン2.0g(11.9mmol)メチル3,5−ジヒドロキシベンゾエート1.0g(6.0mmol)炭酸カリウム1.64g(11.9mmol)18−クラウン−6 10.9g(3.5mmol)、ビス[トリ−n−ブチルスズ(iv)]オキサイド1.0g(1.8mmol)アセトニトリル50mlを秤取り、フラスコ内を窒素雰囲気下にし12時間還流した。析出した白色固体を吸引濾過で除き、濾液をエバポレータで溶媒を留去して油状物を得た。得られた油状物を溶離液としてジエチルエーテルを用いたシリカゲルカラムに通し、未反応物を含む第1,2バンドを除き、溶離液をジエチルエーテルとアセトン(1/2ml/ml)の混合溶媒に変えて第3バンドを溶離した。この溶離液の溶媒を減圧除去することにより無色の油状物として得た。収量は1.4g、収率は55.6%であった。この油状物は上記の方法で得たメチル−3,5−ビス[(8’−ヒドロキシ−3’、6’−ジオキシペンチル)オキシ]ベンゾエート(4)と同じであることをNMR、赤外線スペクトルで確認した。
(重合体(5)の合成)
攪拌機を装備した10mlナスフラスコに上記で合成したモノマー(4)と錫触媒のジーnーブチルスズジアセテートを表1に示す割合で加え、窒素気流下で160〜165℃に加熱して10〜20分間重合した。得られたゴム状固体を少量のテトラヒドロフランに溶解し、ヘキサン中に投入して沈殿させることにより精製した後、減圧下で乾燥させることによりポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート](代表的なポリマーを図4に示す)をゴム状固体(5)として得た。
【0032】
表1には各重合例の触媒量、反応温度、反応時間、分子量等を示した。なお、このポリマーは、化8式及び化9式に示す分子部分が互いに結合したものである。その結合状態の例を化10式に示す。重合条件により線状ポリマーに近いものとなったり、あるいは高度に分岐したポリマーとなる。
【0033】
【化8】
Figure 0003751751
【0034】
【化9】
Figure 0003751751
【0035】
【化10】
Figure 0003751751
【0036】
このゴム状固体(5)を再度少量のテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを加えて沈殿させ、上澄み液として分子量15000以下のオリゴマーを除き、分子量16000以上のポリマーを回収し、減圧下で乾燥させゴム状固体を得た。得られた重合体はNMR(図51Hのチャート、図613Cのチャート)および赤外線スペクトルのチャート(図7)により化学式8、9に示す分子構造を有する重合体であることを確認した。
【0037】
【表1】
Figure 0003751751
(上記ポリマー(5)の側鎖末端のアセチル化(ポリマー6))
攪拌機を装備した50mlナスフラスコに上記で得た重合体(5)0.45gとアセチルクロライド0.7g(8.92mmol)を秤取り、攪拌しながらトリエチルアミン1.78g(17.6mmol)を溶解した塩化メチレン10mlを滴下し、室温で48時間加熱攪拌した。攪拌後、反応溶液を100mlの分液ロートに入れ、塩化メチレンと水を加えて分離し、塩化メチレン層を水洗し硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過により硫酸マグネシウムを除去した。エバポレータにより濾液を濃縮して、得られたゴム状固体を少量の塩化メチレンに溶解し、ジエチルエーテルに再沈殿させることにより精製し、減圧下で乾燥することによりアセチル化したポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート](6)をゴム状固体として得た。
【0038】
この重合体は水酸基が全てアセチル化されていることを赤外線スペクトルで確認した。このアセチル化された部分を化学式11に示す。又化学式10の構造で末端がアセチル化されたものを化学式12に示す。
【0039】
【化11】
Figure 0003751751
【0040】
【化12】
Figure 0003751751
【0041】
(イオン伝導性の評価)
予め重さを秤量した上記で合成したポリマー(5)をドライボックス内で少量のテトラヒドロフランに溶解し、モル比でLi塩/ポリマー繰り返し単位=0.62となるようにLiCF3SO3またはLi(CF3SO22Nを加えた。その溶液をテフロンシート上にキャステイングしドライボックス内で1時間放置した後、40℃に設定した乾燥炉で4時間減圧乾燥し、さらに60℃で20時間減圧乾燥することによりフイルムを作製した。
【0042】
作製したフィルムを、測定中一定の厚さを保つためにテフロン製リングと共にステンレス電極で挟み込み、それを複素交流インピーダンス測定装置に導線を用いて接続し、その抵抗値を測定した。測定は20℃から80℃まで10℃毎に行い、測定した抵抗値よりそれぞれのイオン伝導率を求めた。
伝導率σ(S/cm)は次のように定義される。
【0043】
σ=C/R (C=I/S)
ここでIは試料の厚さ、Sはその面積、Rは抵抗を示す。IとSの値は常にそれぞれ0.04cm、0.785cm2になるようにフィルムを作成しているの、Cの値は常に0.05096である。抵抗値Rは複素交流インビータンス測定を行い決定した。この方法を用いれば、周波数変化に対応するインビータンス変化並びに位相の変化を解析することにより、バルク、粒界あるいは電極の挙動を明らかにすることができる。上記の式で測定した抵抗値Rを代入し伝導率を計算し,X軸を温度(1000/T)Y軸を伝導率(logσ)としてプロットした結果を図8に示した。
【0044】
LiCF3SO3塩使用の場合(図8の○印)30℃での導電率は3×10-7S/cm、70℃で1×10-4S/cm、Li(CF3SO32N塩使用の場合(図8の●印)の30℃での導電率は1×10-6S/cm、70℃で2×10-4S/cmであった。リチウム塩としてLi(CF3SO32Nを使用した場合の方がLiCF3SO3を使用した場合よりも全般的に高い電導性を示した。これはLi(CF3SO32NがLiCF3SO3に比較して高いイオン解離性を有することに加えて、大きくて柔軟性のある(CF3SO32-イオンがポリマー中において可塑剤として働くことに起因する思われる。
【0045】
上記ポリマー(6)(アセチル化したポリマー)を使用して同様にイオン伝導度を測定した。リチウム塩はLiCF3SO3を用いた。図8の▲印で示す30℃でのイオン伝導率は7×10-6S/cm、70℃で2×10-5S/cmであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明のイオン伝導性固体電解質は、有機ポリマーにエチレンオキシド鎖の主鎖を有する高分岐型ポリマー構造を有するため、リチウムイオンが配位する酸素原子の密度が高く、また、キャリアとなるリチウム塩の濃度を高くしても枝分かれのために有機ポリマーの結晶化は起きにくく、かつ成形性も高い。
【0047】
また、この有機ポリマーは、第2のエチレンオキシド鎖が側鎖として存在しており、イオンの配位および移動性を高めることができる。
さらに有機ポリマーが分岐型の高分子であり結晶性が低く加工性が高まり、枝分かれした側鎖の絡み合いと主鎖中に芳香族の分岐分子を有するので有機ポリマーの機械的強度が向上し、イオンの移動が容易となり優れた固体電解質膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で合成したモノマー(4)の1HNMRスペクトルのチャートである。
【図2】実施例で合成したモノマー(4)の13CNMRスペクトルのチャートである。
【図3】実施例で合成したモノマー(4)の赤外線スペクトルのチャートである。
【図4】実施例で合成したポリマー(5)の分子構造を説明する模式図である。
【図5】実施例で合成したポリマー(5)のの1HNMRスペクトルのチャートである。
【図6】実施例で合成したポリマー(5)の13CNMRスペクトルのチャートである。
【図7】実施例で合成したポリマー(5)の赤外線スペクトルのチャートである。
【図8】本発明のイオン伝導性固体電解質のイオン伝導率の測定結果のグラフである。

Claims (12)

  1. 有機ポリマーを含むイオン伝導性固体電解質であって、
    前記有機ポリマーは主鎖にエチレンオキシド低重合体からなるエチレンオキシド鎖とオキシ基を複数個有する芳香族カルボン酸及びオリゴエチレンオキシド鎖の末端の水酸基とエステル結合したジオキシベンゾエートから選択され該エチレンオキシド鎖に結合した連結分子構造とからなる繰り返し単位を有することを特徴とするイオン伝導性固体電解質。
  2. 前記ジオキシベンゾエートのオキシ基は、エチレンオキシド鎖と結合し、前記ジオキシベンゾエートのカルボキシル基はエチレンオキシド鎖の末端の水酸基とエステル結合を形成している請求項1に記載のイオン伝導性固体電解質。
  3. 前記エチレンオキシド鎖の重合度は2〜20である請求項1に記載のイオン伝導性固体電解質。
  4. 前記有機ポリマーは、分子量が少なくとも16000以上である請求項1に記載のイオン伝導性固体電解質。
  5. 有機ポリマーを含むイオン伝導性固体電解質であって、
    前記有機ポリマーは、
    エチレンオキシド低重合体からなる第1のエチレンオキシド鎖とオキシ基を複数個有する芳香族カルボン酸及びオリゴエチレンオキシド鎖の末端の水酸基とエステル結合したジオキシベンゾエートから選択され該エチレンオキシド鎖の一方の末端のOH基に結合した連結分子構造と、からなる繰り返し単位を有する鎖状構造と、
    エチレンオキシド低重合体からなり、その一方の末端のOH基が該連結分子構造に結合した第2のエチレンオキシド鎖と、からなる鎖状構造と、
    を有することを特徴とするイオン伝導性固体電解質。
  6. 前記連結分子構造はジオキシベンゾエートであり、前記第1及び第2のエチレンオキシド鎖は前記ジオキシベンゾエートのオキシ基に結合している請求項5に記載のイオン伝導性固体電解質。
  7. 前記第1及び第2のエチレンオキシド鎖の前記オキシ基に結合した末端に対して反対側の末端の少なくとも一方は、新たな連結分子構造がそのカルボキシル基にてエステル結合している請求項6に記載のイオン伝導性固体電解質。
  8. 2のエチレンオキシド鎖の末端のOH基は、水素、炭素数3以下のアルキル基及び炭素数3以下のアシル基から選ばれる有機基が結合している請求項5に記載のイオン伝導性固体電解質。
  9. 前記第1のエチレンオキシド鎖の重合度及び前記第2のエチレンオキシド鎖の重合度はいずれも2〜20である請求項5に記載のイオン伝導性固体電解質。
  10. 前記有機ポリマーは、分子量が少なくとも16000以上である請求項5に記載のイオン伝導性固体電解質。
  11. 前記新たな連結分子構造のオキシ基の少なくとも1つにはそれぞれ新たなエチレンオキシド鎖が一方の末端のOH基で結合し、
    該新たなエチレンオキシド鎖の少なくとも1つは、該新たなエチレンオキシド鎖の他方の末端のOH基にカルボキシル基にてエステル結合した別の新たな連結分子構造と、この別の新たな連結分子構造の少なくとも1つのオキシ基に対して一方の末端のOH基で結合した別の新たなエチレンオキシド鎖と、の繰り返し単位が1単位以上結合している高分岐ポリマーである請求項7に記載のイオン伝導性固体電解質。
  12. 前記新たなエチレンオキシド鎖の重合度は2〜20である請求項11に記載のイオン伝導性固体電解質。
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