JP3750848B2 - ゴルフクラブヘッドとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空な金属製のゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ウッドと称されるゴルフクラブヘッドは、品質の安定性,材料供給の容易性等の観点から、柿や桜等の天然木材に代え、ヘッド本体をチタンやチタン合金等の金属材料で中空に形成したゴルフクラブヘッド(以下、「ヘッド」という)が知られている。そして、昨今、ヘッド本体のフェース側に開口部を設けて、打球に適した材料や構造のフェース部材を当該開口部に溶接したヘッドが広く用いられている。
【0003】
而して、ヘッド本体に対するフェース部材の取付構造として、特開平8−280853号公報または図37に示すようにヘッド本体1のフェース側開口部3にフェース部材5を填め込んで、フェース部材5の周縁部をヘッド本体1に溶接したもの(所謂、「填め込みタイプ」)、或いは特開平9−28842号公報または図38に示すようにヘッド本体7のフェース側開口部9にフェース部材11を被せて、言い換えればフェース部材11の裏面側にフェース側開口部9周縁のヘッド本体7を突き合わせて、フェース部材11の周縁部をヘッド本体7に溶接したもの(所謂、「突き合わせタイプ」)が知られている。
【0004】
そして、図37に示す填め込みタイプは、フェース部材11の裏面側にヘッド本体7を突き合わせた図38の突き合わせタイプに比し、打球時の剪断力に対する取付強度が低いことが知られている。
ところで、昨今、打球の飛距離と方向性の向上を図るため、ヘッド容積を大型化して打球時の慣性モーメントを大きくしたヘッドが主流となっており、これに伴いヘッド全体が薄肉化する傾向にある。
【0005】
しかし、斯様にヘッド全体の薄肉化を図っても、強度上、フェース部材の薄肉化には限界があり、ヘッド本体と同様にフェース部材を薄肉にすることはできない。
【0006】
このため、ヘッド全体の重量増を抑えるためにヘッドの大型化に合わせてフェース部材を大型化することはできず、この結果、主としてヘッド本体のサイド部を外方へ大きく膨出させて、ヘッド容積の大型化を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、斯様にサイド部を外方へ膨出させてヘッド容積の大型化を図った結果、図39に示すようにヘッド本体13のサイド部15が、従来に比しフェース部材17に対して緩やかな角度で接することとなる。
【0008】
このため、図40に示すようにヘッド本体13とフェース部材17の取付けに当たり、図38の取付構造と同様、フェース部材17の裏面にヘッド本体13のサイド部15を突き合わせてこれを溶接した場合、破線で示すように仕上げの工程でフェース部材17の周縁部を削ってエッジ(稜線)19を作ると、溶接部位でのフェース部材17の肉厚が薄くなって、その分をフェース部材17より強度が劣る溶接材で補うため強度低下を来たし、また、エッジ19の位置が製品毎に微妙にずれてフェース形状がばらつき、品質の均一化が図れないといった不具合が指摘されている。
【0009】
また、溶接部位の薄肉化を防止するために溶接ビード21を多めに盛ることも行われているが、斯様に溶接ビード21を大きくしてしまうと、ヘッド本体13のトゥ,ヒール方向が重くなってヘッドの重量バランスに支障を来たし、更にまた、大きな溶接ビード21がフェース部材17の撓りを規制してソフトな打球感が得られなくなる虞があった。
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、サイド部を外方へ膨出させてヘッド容積の大型化を図ったヘッド本体にフェース部材を溶接するに当たり、上述の如き不具合を解消して、フェース部材が良好に取り付くヘッドとその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ヘッド本体に設けたフェース側開口部にフェース部材を溶接した中空な金属製のヘッドに於て、フェース幅に対し1.15 倍以上のヘッド幅を有するようにヘッド本体のサイド部を外方へ大きく膨出させてヘッド容積の大型化を図り、少なくともヘッド本体のトゥ側に位置するサイド部をフェース部材より薄肉に形成すると共に、フェース部材のトゥ,ヒール側の少なくともトゥ側をヘッド本体のフェース側開口部に填め込んで、そのトゥ側周縁部をヘッド本体に溶接し、フェース部材のトップ側とソール側をフェース側開口部周縁のヘッド本体に突き合わせて、そのトップ,ソール側周縁部をヘッド本体に溶接してなることを特徴とする。
【0012】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のヘッドに於て、フェース部材のトップ側とソール側の少なくとも何れか一方に、ヘッド本体のバック側に突出する鍔部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、フェース幅に対し1.15倍以上のヘッド幅を有するようにサイド部を外方へ大きく膨出させてヘッド容積の大型化を図ったヘッド本体のフェース側開口部にフェース部材を溶接して、中空な金属製のヘッドを製造するヘッドの製造方法であって、少なくともヘッド本体のトゥ側に位置するサイド部のトゥ側をフェース部材より薄肉に形成すると共に、ヘッド本体のフェース側開口部のトップ側とソール側の外周縁部に、ヘッド本体の前方へ突出する複数の爪片を一体に形成し、当該各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、フェース部材の周縁部をヘッド本体に溶接して爪片を除去することを特徴とする。
【0014】
そして、請求項4に係る発明は、請求項3に記載のヘッドの製造方法に於て、フェース部材のトップ側とソール側の少なくとも何れか一方に、ヘッド本体のバック側に突出する鍔部を形成し、各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、鍔部の先端をヘッド本体に溶接することを特徴とし、請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4に記載のヘッドの製造方法に於て、各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、各爪片にフェース部材を溶接してフェース部材を仮止めすることを特徴とする。
【0015】
(作用)
請求項1及び請求項2に係るヘッドを用いたゴルフクラブでボールを打球すると、ヘッドは容積が大型化されて大きな慣性モーメントを有し、この結果、フェース部材の撓りを利用してボールは十分な飛距離を以って方向性よく飛んでいく。
【0016】
そして、この打球時に、フェース部材の周縁部、即ち、ヘッド本体のフェース側開口部との取付部位に衝撃がかかるが、外方へ大きく膨出したヘッド本体の薄肉なサイド部が変形し乍ら、フェース部材のトゥ,ヒール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を吸収し、また、フェース部材のトップ,ソール側周縁部をヘッド本体が強固に支持する。
【0017】
また、請求項2に係るヘッドによれば、フェース部材のトップ,ソール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を、鍔部が突き当たるヘッド本体がフェース部材を強固に支持し、そして、鍔部を設けて溶接部をヘッドのエッジより後方へ距離を置いて設けているため、溶接部に打球時の曲げ応力がかからず強度が向上すると共に、鍔部を介してフェース部材がヘッド本体に溶接されるため、溶接ビードによる肉厚部によってフェース部材の撓りが規制されず、よりソフトな打球感が得られる。
【0018】
そして、請求項3乃至請求項5に係る製造方法によれば、各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、フェース部材の周縁部をヘッド本体に溶接して爪片を除去することで、フェース部材の上下方向のズレが防止でき、フェース部材とヘッド本体との段差の発生を防止することができる。
【0019】
また、請求項4に係る製造方法にあっては、フェース部材の取付けに当たり、各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて爪片でフェース部材を挟持した後、各爪片にフェース部材を溶接することでフェース部材をヘッド本体に仮止めすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1乃至図4は請求項1の第一実施形態に係るヘッドを示し、図中、21はフェース側開口部23を除きトップ部25やサイド部27,ソール部29,ホーゼル部31がチタン合金やステンレス等の金属材料で一体に精密鋳造された中空な外殻体からなるヘッド本体で、ヘッド容積の大型化を図るため、サイド部27は外方へ大きく膨出し、フェース幅に対し、1.15倍以上のヘッド幅を有するように形成されており、フェース幅に対し1.2倍以上のヘッド幅を有すると、打球時に大きな慣性モーメントが得られる。そして、ホーゼル部31を除くヘッド本体21は、そのトゥ側に位置するサイド部27をはじめとしてヘッド本体21全体が、後述するフェースプレート(フェース部材)33に比し薄肉に形成されている。
【0022】
そして、上記フェース側開口部23に、当該フェース側開口部23よりやや幅が短く、チタン合金等の金属材料からなる鍛造またはプレス成形等の塑性加工されたフェースプレート33が溶接されて図2に示すヘッド35が形成されている。
【0023】
フェースプレート33は、そのトゥ側とヒール側をヘッド本体21のフェース側開口部23に填め込んで、そのトゥ,ヒール側周縁部をヘッド本体21の正面側、即ち、ヘッド本体21のフェース側で溶接すると共に、そのトップ側とソール側をフェース側開口部23周縁のヘッド本体21に突き合わせて、そのトップ,ソール側周縁部をヘッド本体21の上下側、即ち、ヘッド本体21のトップ部25とソール部29で溶接してフェース側開口部23に取り付けられている。
【0024】
即ち、図1及び図3に示すようにフェース側開口部23に沿ってヘッド本体21のトップ部25とソール部29には、フェースプレート33のトップ,ソール側周縁部の肉厚よりやや大きな深さをもった切欠き36,37が設けられており、図2乃至図4に示すようにフェースプレート33のトゥ側とヒール側をフェース側開口部23に填め込むと、フェースプレート33のトップ,ソール側周縁部の裏面側に、夫々、ヘッド本体21のトップ部25とソール部29が突き合わされるようになっている。
【0025】
そして、図37に示す「填め込みタイプ」と同様、本実施形態は、図4の如くフェースプレート33のトゥ側とヒール側周縁部をヘッド本体21の正面側、即ち、既述したようにヘッド本体21のフェース側でフェースプレート33のトゥ側とヒール側周縁部を、夫々、サイド部27とフェース部に溶接すると共に、図38に示す「突き合わせタイプ」と同様、図3の如くフェースプレート33のトップ側とソール側周縁部をヘッド本体21に突き合わせてその上下側、即ち、トップ部25とソール部29で溶接したもので、フェースプレート33のトップ側とソール側周縁部の裏面側が、夫々、ヘッド本体21のトップ部25とソール部29に突き当てられて止着され、また、図4に示すようにヘッド本体21のトゥ側に位置するサイド部27が外方へ大きく膨出しているため、当該サイド部27はフェースプレート33に対して緩やかな角度で連設した構造となる。
【0026】
その他、図3及び図4に於て、39,41は溶接ビードである。
本実施形態はこのように構成されているから、上記ヘッド35を用いたゴルフクラブでボールを打球すると、ヘッド35はヘッド容積が大型化されて大きな慣性モーメントを有し、この結果、フェースプレート33は微視的に撓りを生じ、この撓りを利用してボールは十分な飛距離で方向性よく飛んでいく。
【0027】
而して、この打球時に、フェースプレート33の周縁部、即ち、ヘッド本体21のフェース側開口部23との取付部位に衝撃がかかるが、外方へ大きく膨出したヘッド本体21の薄肉なトゥ,ヒール側のサイド部27が変形し乍ら、フェースプレート33のトゥ,ヒール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を吸収して剪断力を弱め、また、フェースプレート33のトップ,ソール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を、当該各周縁部の裏面側に突き当たるヘッド本体21のトップ部25とソール部29がフェースプレート33を強固に支持する。
【0028】
そして、図37及び図38で既述したように、所謂「填め込みタイプ」は「突き合わせタイプ」に比し打球時の剪断力に対する取付強度が低いが、上述したように本実施形態でのフェースプレート33のトゥ側(ヒール側)の溶接部位は、従来の「填め込みタイプ」に比しヘッド本体21のフェース側開口部23のトゥ側(ヒール側)と面の方向が近くなるため、打球時の衝撃がヘッド本体21に伝わり易くなる。そして、外方へ大きく膨出したヘッド本体21の薄肉なサイド部27が変形し乍ら、フェースプレート33のトゥ,ヒール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を吸収して剪断力を弱め、而も、図5及び図6の如く打球時にフェースプレート33が深さMで撓んだ場合、図5に示すようにトゥ,ヒール方向のフェースプレート33の変形は、図6に示すトップ,ソール方向の変形に比しなだらかであることもあって、図4の如くフェースプレート33のトゥ側とヒール側周縁部をヘッド本体21の正面側(ヘッド本体21のフェース側)でサイド部27に溶接した「填め込みタイプ」の取付構造であっても、強度的に何等支障を来すことがない。
【0029】
そして、トップ部25とソール部29は、サイド部27に比し外方へ大きく膨出した構造でないため、本実施形態は、フェースプレート33のトップ側とソール側周縁部をヘッド本体21の上下側で溶接した「突き合わせタイプ」の取付構造を採用して、当該部位に於ける取付強度を確保したものである。
従って、本実施形態に係るヘッド35によれば、ヘッド容積の大型化により大きな慣性モーメントが得られると共に、既述したようにフェースプレート33のトゥ側とヒール側周縁部をヘッド本体21の正面側でサイド部27に溶接した「填め込みタイプ」の取付構造であっても強度的に支障を来すことがなく、また、従来の「突き合わせタイプ」の如く仕上げの工程でフェースプレート33のトゥ,ヒール側の周縁部を削ってエッジを作る必要がないため、溶接部位の肉厚が薄くなって強度低下を来たすことがなくなると共に、エッジの位置がずれてフェース形状がばらつくことがなくなって品質の均一化が図れることとなる。
【0030】
また、本実施形態によれば、溶接部位の薄肉化を防止するために溶接ビード41を多めに盛る必要もないため、ヘッド35の重量バランスに支障を来たすことがないし、多めに盛った溶接ビード41によってフェースプレート33の撓りが規制されることがなくソフトな打球感が得られる利点を有する。
而も、フェースプレート33は中央より周辺が薄肉であるため、打球時の衝撃を吸収し、より打球感をソフトにすることができる。
【0031】
図7乃至図10は請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るヘッドを示し、図中、43はフェース部45に設けたフェース側開口部47を除き、当該フェース部45やトップ部49,サイド部51,ソール部53,ホーゼル部55等がチタン合金やステンレス等の金属材料で一体に精密鋳造された中空なヘッド本体で、本実施形態に係るヘッド57も、ヘッド容積の大型化を図るため、ヘッド本体43のサイド部51が外方へ大きく膨出し、フェース幅に対し1.15倍以上のヘッド幅を有するように形成されている。
そして、ホーゼル部55とフェース部45を除くヘッド本体43は、後述するフェースプレート59に比し全体的に薄肉に形成されている。
【0032】
図7に示すようにフェース側開口部47はフェース部45のトゥ,ヒール方向の略中央部に開口し、当該フェース側開口部47に既述したフェースプレート33と同一材料からなるフェースプレート59が溶接されている。
而して、図7及び図9に示すようにフェースプレート59は、トップ,ソール側にヘッド本体43のバック方向に突出する鍔部61,63が設けられ、一方、図10に示すようにフェース部45はトゥ,ヒール側から中央に向かって徐々に肉厚に形成されてフェースプレート59となだらかに連続すると共に、フェースプレート59は薄肉のサイド部51に対してもなだらかに連続するため、応力の集中が防止できて破損せずにフェース部45の反発が得られ、打球感もソフトとなる。
【0033】
また、図7及び図9に示すようにフェース側開口部47に沿ってヘッド本体43のトップ部49とソール部53には、上記鍔部61,63の幅よりもやや大きな深さをもった切欠き65,67が形成されており、図7及び図10に示すようにフェースプレート59のトゥ側とヒール側をフェース側開口部47に填め込むと、上記鍔部61,63が、夫々、ヘッド本体43のトップ部49とソール部53に突き当たるようになっている。
【0034】
而して、本実施形態に係るヘッド57は、図8及び図10の如くフェースプレート59のトゥ側とヒール側周縁部をフェース側開口部47に填め込んで、ヘッド本体43の正面側、即ち、フェース側でフェース部45に溶接すると共に、図9の如くフェースプレート59の鍔部61,63の先端をヘッド本体43のトップ部49とソール部53に突き当てて、ヘッド本体43の上下側、即ち、ヘッド本体43のトップ部49とソール部53で溶接して製造される。
【0035】
そして、図10に示すようにヘッド本体43のトゥ側のサイド部51は外方へ大きく膨出しているため、サイド部51はフェース部45に対し緩やかな角度で連設された構造となっている。
その他、図9及び図10に於て、69,71は溶接ビードである。
本実施形態はこのように構成されているから、上記ヘッド57を用いたゴルフクラブでボールを打球すると、ヘッド57は容積が大型化されて大きな慣性モーメントを有し、この結果、フェースプレート59の撓りを利用してボールは十分な飛距離で方向性よく飛んでいく。
【0036】
そして、この打球時に、フェースプレート59の周縁部、即ち、フェース側開口部47との取付部位に衝撃がかかるが、外方へ大きく膨出したヘッド本体43の薄肉なトゥ,ヒール側のサイド部51が変形し乍ら、フェースプレート59のトゥ,ヒール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を吸収して剪断力を弱め、而も、打球時にはフェースプレート59と共にフェース部45が一体となって撓るが、トゥ,ヒール方向の変形は、トップ,ソール方向の変形に比しなだらかであるため、図10の如くフェースプレート59のトゥ側とヒール側周縁部をヘッド本体46の正面側で溶接した「填め込みタイプ」の取付構造であっても、強度的に何等支障を来すことがない。
【0037】
また、フェースプレート59のトップ,ソール側周縁部の溶接部にかかる衝撃に対し、鍔部61,63が突き当たるヘッド本体43のトップ部49とソール部53がフェースプレート59を強固に支持するが、本実施形態は、斯様にフェースプレート59のトップ,ソール側に鍔部61,63を設けて、溶接部をヘッド57(フェースプレート59)のエッジ73より後方へ距離を置いて設けているため、上記実施形態に比し溶接部に打球時の曲げ応力がかからず強度が向上すると共に、鍔部61,63を介してフェースプレート59がヘッド本体43に溶接されるため、上記実施形態の如くフェースプレート33のトップ,ソール側に溶接ビード39による肉厚部が形成された構造に比し、フェースプレート59の撓りが規制されず、よりソフトな打球感が得られることとなる。
【0038】
従って、本実施形態によっても、図1の実施形態と同様、所期の目的を達成することができることは勿論、本実施形態によれば、更にフェースプレート59の取付強度が向上すると共に、よりソフトな打球感が得られ、また、鍔部61,63を設けたことで溶接時の位置合わせがし易くなって確実な溶接作業が行え、更に、溶接時の熱によるフェースプレート59の打球面への影響が軽減するため、フェースプレート59本来の強度と反発力が得られる利点を有する。
【0039】
図11乃至図14は請求項1に係るヘッドの第二実施形態を示し、本実施形態は、図1乃至図4のヘッド35の構成に加え、フェース側開口部23-1のトゥ側とヒール側に沿って、その中央寄りが肉厚で周辺がサイド部27と略同一の肉厚からなるフェースプレート33の受け面75をトップ,ソール方向に一定の幅を以って設けたもので、図14に示すようにフェースプレート33の撓りを当該受け面75が規制することを避けるため、フェースプレート33はヘッド本体21-1の正面側、即ち、ヘッド本体21-1のフェース側でヘッド本体21-1に溶接されて、フェースプレート33は受け面75に単に当接した構造となっている。
【0040】
尚、その他の構成は図1乃至図4の第一実施形態と同様で、本実施形態に係るヘッド35 -1 も、ヘッド容積の大型化を図るため、ヘッド本体21 -1 はサイド部27が外方へ大きく膨出し、フェース幅に対し1.15倍以上のヘッド幅を有するように形成されている。以下、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
而して、上記ヘッド35-1に於ても、そのフェースプレート33の取付けは、フェースプレート33のトゥ側とヒール側をヘッド本体21-1のフェース側開口部23-1に填め込んで、トゥ,ヒール側周縁部を、夫々、ヘッド本体21-1の正面側、即ち、既述したようにヘッド本体21-1のフェース側でサイド部27とフェース部とに溶接すると共に、そのトップ側とソール側をフェース側開口部23-1周縁のヘッド本体21-1に突き合わせて、トップ,ソール側周縁部を、夫々、ヘッド本体21-1の上下側、即ち、トップ部25とソール部29で溶接して行われる。
【0041】
本実施形態に係るヘッド35-1はこのように構成されているから、本実施形態によっても、図1乃至図4の第一実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能であることは勿論、打球時に受け面75がフェースプレート33のトゥ側とヒール側を支持するため、第一実施形態に比しフェースプレート33の取付強度がより向上し、また、受け面75を設けたことで溶接時の位置合わせがし易くなって確実な溶接作業が行える利点を有する。
【0042】
尚、上記各実施形態は、フェース側に開口部が開口するヘッド本体を精密鋳造して、これにフェースプレートを取り付けたものであるが、トップ部やサイド部,ソール部,フェースプレート等を夫々鍛造やプレスで形成してこれらを溶接したヘッドに適用できることは勿論である。
【0043】
図15乃至図17は請求項1の第三実施形態に係るヘッドを示し、本実施形態に係るヘッド77も、図2のヘッド35と同様、フェースプレート33のトゥ側とヒール側をフェース側開口部23に填め込んで、そのトゥ,ヒール側周縁部をヘッド本体21の正面側、即ち、ヘッド本体21のフェース側で溶接すると共に、フェースプレート33のトップ側とソール側をヘッド本体25の切欠き36,37に突き合わせて、そのトップ,ソール側周縁部をヘッド本体21の上下側、即ち、ヘッド本体21のトップ部25とソール部29で溶接したものであるが、後述するように本実施形態は、ヘッド77の製造に当たり、複数の爪片をヘッド本体21に設けて、フェースプレート33を各爪片で挟持したことを特徴とする。
【0044】
即ち、図1の実施形態で既述したようにフェース側開口部23に沿ってヘッド本体21のトップ部25とソール部29に設けた切欠き36,37は、フェースプレート33のトップ,ソール側周縁部の肉厚よりやや大きな深さをもって形成されている。
このため、フェースプレート33の取付時に、ヘッド本体21のトップ部25とソール部29をフェースプレート33のトップ,ソール側周縁部の裏面側に突き当てると、フェースプレート33とサイド部27間に段差が発生してしまう虞がある。また、フェースプレート33の上下方向のズレを規制する手段もないため、その取付時に位置合わせが面倒である。
【0045】
そこで、本実施形態はヘッド本体21に複数の爪片79を設け、フェースプレート33の取付時に、フェースプレート33のトップ側とソール側を各爪片79で挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、ヘッド本体21とフェースプレート33との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート33とサイド部27間の段差の発生を積極的に防止してフェースプレート33を位置決め,保持したもので、上記ヘッド77は、請求項3及び請求項5に係る製造方法の第一実施形態によって以下の如く製造される。
【0046】
尚、図1の実施形態と同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
先ず、図18に示すようにヘッド本体21の鋳造時に、切欠き36,37の外周縁部に、夫々、ヘッド本体21の前方へ突出する複数の爪片79を一体成形する。
【0047】
爪片79は外形がヘッド本体21の前後方向へ円弧状に形成され、内面側がフェース側開口部23の外周縁部と面一な平坦面に形成されており、図19及び図20に示すように各爪片79は、フェースプレート33のトゥ側とヒール側をヘッド本体21のフェース側開口部23に填め込み、そして、そのトップ側とソール側をフェース側開口部23周縁のヘッド本体21に突き合わせる際に、フェースプレート33のトップ側とソール側を挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、ヘッド本体21とフェースプレート33との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート33とサイド部27間の段差の発生を積極的に防止してフェースプレート33を位置決め,保持するようになっている。
【0048】
而して、上記各爪片79が一体成形されたヘッド本体21の鋳造後、図19に示すように各爪片79の内面側に沿ってフェースプレート33を爪片79の内側に圧入させる。
そして、ヘッド本体21とフェースプレート33との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート33とサイド部27との間に段差が生じないように当該フェースプレート33を所定の位置に爪片79で位置決め,保持した後、図20に示すように各爪片79の先端側を溶接具(ノズル)81で溶融し、この溶融金属を用いてフェースプレート33をヘッド本体21に仮溶接(仮止め)する。
【0049】
この後、図21に示すように溶接具81と溶接棒83を用いてヘッド本体21とフェースプレート33との隙間に沿って溶接材を溶融させ乍ら、フェースプレート33のトゥ,ヒール側周縁部をヘッド本体21のフェース側で溶接すると共に、フェースプレート33のトップ,ソール側周縁部をヘッド本体21のトップ部25とソール部29で溶接して、溶接材を隙間内に浸入させる。この時、爪片79は再び溶融し、また、溶接材に覆われて溶接材と一体化することがある。
【0050】
そして、本溶接の終了後、フェースプレート33の周縁に沿って研磨し、爪片79や不要な溶接ビードを取り除いて図15のヘッド77が製造される。
本実施形態に係るヘッド77はこのように構成されており、当該ヘッド77によっても、図2のヘッド35と同様、所期の目的を達成することが可能であるが、本実施形態の製造方法によれば、フェースプレート33の取付けに当たり、爪片79が当該フェースプレート33を挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、爪片79がヘッド本体21とフェースプレート33との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート33とサイド部27間の段差の発生を積極的に防止するため、上述の如き作用効果を奏するヘッド77の製造に於て、品質の安定及び生産性の向上を確実に図ることが可能である。
【0051】
而も、既述したように本実施形態に係る製造方法は、各爪片79を溶融させてフェースプレート33をヘッド本体21に仮止めさせることができるため、仮止め用の溶接材を別途用いる必要がない利点を有する。
図22乃至図24は請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るヘッドを示し、本実施形態に係るヘッド85は、図8のヘッド57と同様、フェース部45の略中央部に開口するフェース側開口部47に、フェースプレート59のトゥ側とヒール側を填め込んで、そのトゥ,ヒール側周縁部をヘッド本体43のフェース側で溶接すると共に、フェースプレート59の鍔部61,63の先端をヘッド本体43のトップ部49とソール部53に突き合わせて、その先端側を当該トップ部49とソール部53で溶接したものであるが、以下に記述するように本実施形態は、ヘッド85の製造に当たり、請求項3乃至請求項5の一実施形態により複数の爪片をヘッド本体43に設けて、フェースプレート59を各爪片で挟持したことを特徴とする。
【0052】
即ち、図7の実施形態で既述したようにフェース側開口部47に沿ってヘッド本体43のトップ部49とソール部53に設けた切欠き65,67は、鍔部61,63の幅よりもやや大きな深さをもって形成されている。
このため、フェースプレート59の取付時に鍔部61,63をヘッド本体43のトップ部49とソール部53に突き当てると、フェースプレート59とフェース部45の間に段差が発生してしまう虞があり、また、フェースプレート59の上下方向のズレを規制する手段もないため、その取付時に位置合わせが面倒である。
【0053】
そこで、本実施形態もヘッド本体43に複数の爪片79を設け、フェースプレート59の取付時に、フェースプレート59のトップ側とソール側を各爪片79で挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、ヘッド本体43とフェースプレート59との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート59とフェース部45間の段差の発生を積極的に防止するため、フェースプレート59を挟持して位置決めしたもので、上記ヘッド85は、請求項3乃至請求項5に係る発明方法の一実施形態によって以下の如く製造される。
【0054】
尚、図7の実施形態と同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
先ず、図25に示すようにヘッド本体43の鋳造時に、切欠き65,67の外周縁部に、ヘッド本体43の前方へ突出する複数の爪片79を一体成形する。
図25に示すように本実施形態に於ても、爪片79は、外形がヘッド本体43の前後方向へ円弧状に形成され、内面側がフェース側開口部47の外周縁部と面一な平坦面に形成されており、図26及び図27に示すように各爪片79は、フェースプレート59のトゥ側とヒール側をヘッド本体43のフェース側開口部47に填め込み、そして、そのトップ側とソール側に設けた鍔部61,63をフェース側開口部47周縁のヘッド本体43に突き合わせる際に、フェースプレート59のトップ側とソール側を挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、ヘッド本体43とフェースプレート59との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート59とフェース部45間の段差の発生を積極的に防止してフェースプレート59を位置決め,保持するようになっている。
【0055】
而して、上記爪片79が一体成形されたヘッド本体43の鋳造後、図26に示すようにフェースプレート59を各爪片79の内面側に沿ってその内側に圧入させる。
そして、ヘッド本体43とフェースプレート59との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート59とフェース部45間が面一となるように当該フェースプレート59を所定の位置に爪片79で位置決め,保持した後、図27に示すように各爪片79の先端側を溶接具81で溶融し、この溶融金属を用いてフェースプレート59をヘッド本体43に仮溶接する。
【0056】
尚、フェースプレート59とフェース部45間の打球面側に位置決め治具を当てがうと、打球面側を容易に面一に位置決めできる。
この後、図28に示すように溶接具81と溶接棒83を用いてヘッド本体43とフェースプレート59との隙間に沿って溶接材を溶融させ乍ら、フェースプレート59のトゥ,ヒール側周縁部をヘッド本体43のフェース側で溶接すると共に、フェースプレート59の鍔部61,63の先端をヘッド本体43のトップ部49とソール部53に溶接して、溶接材を隙間内に浸入させる。この時、爪片79は再び溶融し、また、溶接材に覆われて溶接材と一体化することがある。
【0057】
そして、本溶接の終了後、フェースプレート59の周縁に沿って研磨し、爪片79や不要な溶接ビードを取り除いて図22のヘッド85が製造される。
本実施形態に係るヘッド85はこのように構成されており、当該ヘッド85によっても、図8のヘッド57と同様、所期の目的を達成することが可能であるが、上述した本実施形態の製造方法によれば、フェースプレート59の取付けに当たり、爪片79が当該フェースプレート59を挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、爪片79がヘッド本体43とフェースプレート59との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート59とフェース部45間の段差の発生を積極的に防止するため、上述の如き作用効果を奏するヘッド85の製造に於て、品質の安定及び生産性の向上を確実に図ることが可能である。
【0058】
また、本実施形態に係る製造方法も、各爪片79を溶融させてフェースプレート59をヘッド本体43に仮止めさせることができるため、仮止め用の溶接材を別途用いる必要がない利点を有する。
図29及び図30は請求項1の第四実施形態に係るヘッドを示し、本実施形態に係るヘッド87は図12のヘッド35-1と同様、フェース側開口部23-1のトゥ側とヒール側に沿って、その中央寄りが肉厚で周辺がサイド部27と略同一の肉厚からなるフェースプレート33の受け面75をトップ,ソール方向に一定の幅を以って設け、フェースプレート33を受け面75に当接させてそのトゥ,ヒール側周縁部をサイド部27とフェース部に溶接すると共に、フェースプレート33のトップ側とソール側周縁部をヘッド本体21のトップ部25とソール部29で溶接したものであるが、本実施形態も、ヘッド87の製造に当たり、複数の爪片をヘッド本体21-1に設けてフェースプレート33を各爪片で保持したことを特徴とする。
【0059】
而して、上記ヘッド87は、請求項3及び請求項5に係る製造方法の第二実施形態によって以下の如く製造される。
尚、図11の実施形態と同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
先ず、図31に示すようにヘッド本体21-1の鋳造時に、切欠き36,37の外周縁部に、夫々、ヘッド本体21-1の前方へ突出する複数の爪片79を一体成形する。
【0060】
爪片79は外形がヘッド本体21-1の前後方向へ円弧状に形成され、内面側がフェース側開口部23-1の外周縁部と面一な平坦面に形成されており、図32に示すように各爪片79は、フェースプレート33を受け面75に当接させてそのトゥ側とヒール側をヘッド本体21-1のフェース側開口部23に填め込み、そして、そのトップ側とソール側をフェース側開口部23-1周縁のヘッド本体21-1に突き合わせる際に、フェースプレート33のトップ側とソール側を挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、ヘッド本体21-1とフェースプレート33との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート33とサイド部27間の段差の発生を積極的に防止してフェースプレート33を位置決め,保持するようになっている。
【0061】
また、受け面75と切欠き36の間には段が形成され、受け面75は切欠き36より前方に向けて高くなっており、フェースプレート33を受け面75に当接させると、フェースプレート33と切欠き36との間に間隙が形成される。
【0062】
而して、上記各爪片79が一体成形されたヘッド本体21-1の鋳造後、図32乃至図34に示すように各爪片79の内面側に沿ってフェースプレート33を爪片79の内側に圧入させる。
そして、フェースプレート33を受け面75に当接させてそのトゥ側とヒール側をヘッド本体21-1のフェース側開口部23に填め込んだ後、図35に示すように各爪片79の先端側を溶接具81で溶融し、この溶融金属を用いてフェースプレート33をヘッド本体21-1に仮溶接する。
【0063】
この後、図36に示すように溶接具81と溶接棒83を用いてヘッド本体21-1とフェースプレート33との隙間に沿って溶接材を溶融させ乍ら、フェースプレート33のトゥ,ヒール側周縁部をヘッド本体21-1のフェース側で溶接すると共に、フェースプレート33のトップ,ソール側周縁部をヘッド本体21-1のトップ部25とソール部29で溶接して、溶接材を隙間内に浸入させる。この時、爪片79は再び溶融し、また、溶接材に覆われて溶接材と一体化することがある。
【0064】
そして、本溶接の終了後、フェースプレート33の周縁に沿って研磨し、爪片79や不要な溶接ビードを取り除いて図29のヘッド87が製造される。
本実施形態に係るヘッド87はこのように構成されており、当該ヘッド87によっても、図12のヘッド35-17と同様、所期の目的を達成することが可能であるが、上述した本実施形態の製造方法によれば、フェースプレート33の取付けに当たり、爪片79が当該フェースプレート33を挟持してその上下方向のズレを防止すると共に、爪片79がヘッド本体21-1とフェースプレート33との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェースプレート33とサイド部27間の段差の発生を積極的に防止するため、上述の如き作用効果を奏するヘッド87の製造に於て、品質の安定及び生産性の向上を確実に図ることが可能である。
【0065】
また、本実施形態に係る製造方法も、各爪片79を溶融させてフェースプレート33をヘッド本体21-1に仮止めさせることができるため、仮止め用の溶接材を別途用いる必要がない利点を有する。
【0066】
尚、上述した各実施形態では、フェースプレート33,59の外周を挟持可能に爪片79を形成したが、爪片に囲まれた内側にフェースプレートが収まって、爪片でフェースプレートを位置決め,保持できるのであれば、爪片とフェースプレートとの間に多少余裕があってもよく、また、斯かる爪片を外方から押圧,変形させてフェースプレートを挟持させてもよい。
【0067】
更にまた、上述した各実施形態では、各爪片79を溶融させてフェースプレート33,59をヘッド本体21,43,21-1に仮止めしたが、各爪片79とフェースプレート33,59を溶接材を用いて仮止めしてもよく、更に爪片79に囲まれた内側にフェースプレート33,59を収めて、上記仮止めをせずに両者を溶接してもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1及び請求項2に係るヘッドによれば、フェース幅に対し1.15倍以上のヘッド幅を有するようにサイド部を外方へ大きく膨出させてヘッド容積の大型化を図った結果、打球時に大きな慣性モーメントが得られる。
また、ボールの打球時に、フェース部材の周縁部、即ち、ヘッド本体のフェース側開口部との取付部位に衝撃がかかるが、外方へ大きく膨出したヘッド本体の薄肉なサイド部が変形し乍ら、フェース部材のトゥ,ヒール側周縁部の溶接部にかかる衝撃を吸収し、また、フェース部材のトップ,ソール側周縁部をヘッド本体が強固に支持する。
このため、フェース部材のトゥ側とヒール側周縁部をヘッド本体のフェース側で溶接した「填め込みタイプ」の取付構造であっても、強度的に何等支障を来すことがなく、また、ヘッド本体のトップ部とソール部はサイド部に比し外方へ大きく膨出した構造でないため、フェース部材のトップ側周縁部とソール側周縁部をヘッド本体のトップ部とソール部で溶接した「突き合わせタイプ」の取付構造を採用することで、当該部位に於ける取付強度を維持することが可能である。
また、フェース部材のトゥ側周縁部を従来の「突き合わせタイプ」でヘッド本体に取付けた場合に比し、フェース部材のトゥ側の溶接部位が強度低下を来たすことがなく、柔軟性を有し撓りに対応する。
【0069】
更にまた、溶接ビードを多めに盛る必要もないため、打球時の衝撃がヘッド本体に伝わり易くなり、外方へ膨出させたフェース部材より薄肉のサイド部が打球時の衝撃を吸収してソフトな打球感が得られる利点を有する。
そして、請求項2に係る発明によれば、鍔部を設けたことでフェースプレートの取付強度が向上すると共に、よりソフトな打球感が得られ、また、溶接時の位置合わせがし易くなって確実な溶接作業が行え、更に溶接時の熱によるフェースプレートの打球面への影響が軽減するため、フェースプレート本来の強度と反発力が得られる利点を有する。
【0070】
一方、請求項3乃至請求項5に係るヘッドの製造方法によれば、上述の如き作用効果を奏するヘッドを容易に製造することができると共に、ヘッドの製造に当たり、フェース部材の上下方向のズレやフェース部材とヘッド本体のサイド部間の段差の発生を積極的に防止することができるため、ヘッドの品質の安定及び生産性の向上を確実に図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の第一実施形態に係るヘッドの分解斜視図である。
【図2】 請求項1の第一実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図3】 図2に示すヘッドの断面図である。
【図4】 図2に示すヘッドの断面図である。
【図5】 フェースプレートのトゥ,ヒール方向の撓りを示す概略図である。
【図6】 フェースプレートのトップ,ソール方向の撓りを示す概略図である。
【図7】 請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るヘッドの分解斜視図である。
【図8】 請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図9】 図8に示すヘッドの断面図である。
【図10】 図8に示すヘッドの断面図である。
【図11】 請求項1の第二実施形態に係るヘッドの分解斜視図である。
【図12】 請求項1の第二実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図13】 図12に示すヘッドの断面図である。
【図14】 図12に示すヘッドの断面図である。
【図15】 請求項1の第三実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図16】 図15に示すヘッドの断面図である。
【図17】 図15に示すヘッドの断面図である。
【図18】 請求項3及び請求項5の第一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図19】 請求項3及び請求項5の第一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図20】 請求項3及び請求項5の第一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図21】 請求項3及び請求項5の第一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図22】 請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図23】 図22に示すヘッドの断面図である。
【図24】 図22に示すヘッドの断面図である。
【図25】 請求項3乃至請求項5の一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図26】 請求項3乃至請求項5の一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図27】 請求項3乃至請求項5の一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図28】 請求項3乃至請求項5の一実施形態図に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図29】 請求項1の第四実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図30】 図29に示すヘッドの断面図である。
【図31】 請求項3及び請求項5の第二実施形態に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図32】 請求項3及び請求項5の第二実施形態に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図33】 請求項3及び請求項5の第二実施形態に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図34】 請求項3及び請求項5の第二実施形態に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図35】 請求項3及び請求項5の第二実施形態に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図36】 請求項3及び請求項5の第二実施形態に係るヘッドの製造方法の一工程図である。
【図37】 従来のヘッドの断面図である。
【図38】 従来の他のヘッドの断面図である。
【図39】 サイド部が外方へ膨出したヘッド本体とフェース部材の接合関係を説明する概略図である。
【図40】 サイド部が外方へ膨出したヘッド本体とフェース部材の取付構造の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
21,43,21-1 ヘッド本体
23,47,23-1 フェース側開口部
27,51 サイド部
29,53 ソール部
33,59 フェースプレート
35,57,35-1,77,85,87 ヘッド
36,37,65,67 切欠き
45 フェース部
61,63 鍔部
73 エッジ
75 受け面
79 爪片
Claims (5)
- ヘッド本体に設けたフェース側開口部にフェース部材を溶接した中空な金属製のゴルフクラブヘッドに於て、
フェース幅に対し1.15倍以上のヘッド幅を有するようにヘッド本体のサイド部を外方へ大きく膨出させてヘッド容積の大型化を図り、
少なくともヘッド本体のトゥ側に位置するサイド部をフェース部材より薄肉に形成すると共に、
フェース部材のトゥ,ヒール側の少なくともトゥ側をヘッド本体のフェース側開口部に填め込んで、そのトゥ側周縁部をヘッド本体に溶接し、
フェース部材のトップ側とソール側をフェース側開口部周縁のヘッド本体に突き合わせて、そのトップ,ソール側周縁部をヘッド本体に溶接してなることを特徴とするゴルフクラブヘッド。 - フェース部材のトップ側とソール側の少なくとも何れか一方に、ヘッド本体のバック側に突出する鍔部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
- フェース幅に対し1.15倍以上のヘッド幅を有するようにサイド部を外方へ大きく膨出させてヘッド容積の大型化を図ったヘッド本体のフェース側開口部にフェース部材を溶接して、中空な金属製のゴルフクラブヘッドを製造するゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
少なくともヘッド本体のトゥ側に位置するサイド部のトゥ側をフェース部材より薄肉に形成すると共に、
ヘッド本体のフェース側開口部のトップ側とソール側の外周縁部に、ヘッド本体の前方へ突出する複数の爪片を一体に形成し、当該各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、フェース部材の周縁部をヘッド本体に溶接して爪片を除去することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。 - フェース部材のトップ側とソール側の少なくとも何れか一方に、ヘッド本体のバック側に突出する鍔部を形成し、各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、鍔部の先端をヘッド本体に溶接することを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 各爪片の内面側に沿ってフェース部材を圧入させて、ヘッド本体とフェース部材との間に溶接に必要な適度の隙間を開け乍ら、フェース部材とサイド部との間に段差が生じないように当該フェース部材を所定の位置に爪片で位置決め,保持した後、各爪片にフェース部材を溶接してフェース部材を仮止めすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
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