JP3749307B2 - 複写装置及び複写制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複写装置及び複写制御方法に係り、特に、原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正する複写制御方法、及び該複写制御方法を適用可能な複写装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、写真処理では画像が撮影されたネガフィルムをフィルム現像機によって各種の処理液に浸漬して処理した後に、写真焼付装置において、予め定められた基準露光量を前記ネガフィルム上に顕像化された画像の濃度等に応じて修正することにより前記画像の露光量を決定し、決定した露光量で前記画像を印画紙に露光し、画像を露光した印画紙をペーパ現像機によって各種処理液に浸漬して処理することにより、撮影画像に対応するプリント画像を得ている。
【0003】
しかし、このプリント画像の画質は、例えば現像機の処理液の酸化度合い、処理液からの水分の蒸発量、前工程の処理液の混入量、或いは写真焼付装置の光源の光量、調光フィルタの褪色度合い等の各種処理条件の変動により大幅に変化する。
【0004】
このため従来より、フィルムや印画紙に予め所定の画像を露光することによって作成されたコントロールストリプスを各現像機によって定期的に処理させ、コントロールストリプス上に顕像化された画像の濃度を基準濃度と比較することにより各現像機の処理液の状態を管理すると共に、予め基準画像を露光し現像等の処理を行って作成された基準フィルム(所謂目玉ネガ)を定期的に写真焼付装置にセットして印画紙への基準画像の露光を行わせ、基準画像が露光された印画紙をペーパ現像機によって処理させ、該印画紙上に顕像化された基準画像(プリント画像)の濃度を基準濃度と比較し、比較結果に基づいて前記各種処理条件の変動によるプリント画像の画質への影響が解消されるように基準露光量を修正・管理することが行われている。
【0005】
しかし、上述のコントロールストリプスを用いた処理液の状態の管理や、基準フィルムを用いた基準露光量の修正・管理等の処理条件管理作業は、煩雑かつ時間のかかる作業であると共に、処理条件管理作業を行っている間は各現像機による現像や写真焼付装置における露光等の通常の処理を行うことができない。このため、処理条件管理作業は、例えば1日の処理を開始する前等のように限られた時間帯でしか実施できないのが現状であり、各種処理条件のうちの一部の処理条件は、処理条件管理作業が実施される周期に比して短時間で変動するので、プリント画像の画質を常に一定に保つことは困難であった。
【0006】
上記に関連し、特公平 7-23952号公報には、ペーパ現像処理部で処理された印画紙(の画像)の濃度を3原色毎に測定して積算することを多数画像に亘って行い、濃度値の積算値から3原色毎に平均濃度値を演算し、平均濃度値が予め定めた値の範囲内に収まっているか否かを判定し、前記範囲から外れていた場合には各色毎の露光量とプリント濃度との関係から補正露光量を求め、焼付条件(露光量)を補正するようにした焼付条件管理方法が開示されている。
【0007】
上記公報に記載の技術では、各種処理条件の変動に応じた基準露光量の修正を通常の処理と並行して行うことができるので、コントロールストリプスや基準フィルムを用いた処理条件管理作業と比較して、各種処理条件の変動に応じた露光量の修正を、より短い周期で行うことが可能となる。
【0008】
しかし上記では、多数の画像に亘って積算透過濃度の平均(上述した3原色毎の平均濃度値)をとったとすると、該平均濃度値が表す色相は、灰色又は灰色に近い一定の色相になるとの経験則(所謂エバンスの理論)に基づき、前記平均濃度値より各種処理条件の変動を判定し露光量を補正しているため、個々の画像における積算透過濃度のばらつきを考慮すると、各種処理条件の変動を精度良く判定するためには非常に多数の画像のデータを蓄積する必要があり、処理条件の変動の判定に時間がかかるという問題がある。
【0009】
上述した問題は、特に単位時間当りの平均処理本数が少ないプリンタで影響が大きく、一定数のデータが蓄積される迄に非常に長い時間がかかることにより、各種処理条件の変動の判定周期が非常に長くなるので、処理条件の変動に起因するプリント画像の画質の変動を抑制することは困難であった。
【0010】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質を高精度で一定とすることができる複写装置及び複写制御方法を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
一般に、原画像の濃度が一定であるとすると、原画像を複写材料に複写する際の露光量と、複写画像の濃度と、には一定の関係が成り立つ。本願発明者は、この事実に基づき、原画像の濃度及び原画像を複写材料に複写する際の露光量が既知であれば、各種処理条件が変動しておらず標準状態に維持されているときの複写画像(標準複写画像)の濃度を推定することができ、推定した標準複写画像と実際の複写画像とに何らかの差異があったとすると、この差異の原因は各種処理条件の何れかが標準状態における条件から偏倚したためであると判断できることに想到し、本発明を成すに至った。
【0012】
このため、請求項1記載の発明に係る複写装置は、原画像を読み取る第1の読取手段と、前記第1の読取手段による読み取りによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算する露光量演算手段と、前記露光量演算手段によって演算された露光量で前記原画像を複写材料に複写し、該複写材料に複写画像を形成させる複写手段と、前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取る第2の読取手段と、前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像の画像特徴量又は前記標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定し、前記第2の読取手段による読み取りによって得られた前記複写画像を表す第2の画像データから求まる前記複写画像の画像特徴量と、前記導出した前記標準複写画像の画像特徴量、又は前記導出した標準複写画像データから求まる前記標準複写画像の画像特徴量と、を比較することにより、前記複写画像と前記推定した標準複写画像との相違度を演算する演算手段と、前記演算手段によって演算された相違度に基づいて、前記露光量演算手段によって演算される露光量を補正する補正手段と、を含んで構成している。
【0013】
請求項1記載の発明では、演算手段が、第1の読取手段による読み取りによって得られた原画像を表す第1の画像データ及び複写手段が原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像の画像特徴量又は前記標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで標準複写画像を推定している。この標準複写画像は、複写手段が標準状態であり各種処理条件が標準状態での処理条件から偏倚していない場合の複写画像であるので、実際の複写画像が前記標準複写画像に対して相違していた場合、複写手段が複写材料に原画像を複写して複写材料に複写画像を形成させた際の各種処理条件の少なくとも何れかが、標準状態での処理条件から偏倚していると判断できる。
【0014】
このため、演算手段では第2の読取手段による読み取りによって得られた複写画像を表す第2の画像データから求まる複写画像の画像特徴量と、前記導出した標準複写画像の画像特徴量、又は前記導出した標準複写画像データから求まる標準複写画像の画像特徴量と、を比較することにより、複写画像と標準複写画像との相違度を演算しており、補正手段では、演算された相違度に基づいて露光量を補正している。従って、各種処理条件の少なくとも何れかが標準状態での処理条件から偏倚したことに起因する複写画像と標準複写画像との相違度に基づいて露光量が補正されるので、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質が一定となるように露光量が補正されることになる。
【0015】
また請求項1の発明は、特公平 7-23952号公報のように、多数の画像に亘る積算透過濃度の平均値が表す色相は灰色又は灰色に近い一定の色相になるとの経験則を利用したものではなく、複写画像と推定した標準複写画像との相違度に基づいて各種処理条件の変動に応じた露光量の補正を行うものであり、また標準複写画像の推定は画像単位で行うことができる。従って、各種処理条件の変動に応じて露光量を補正するために、必ずしも多数の画像に亘ってデータを蓄積する必要はなく、従来よりも短い周期で前記相違度(各種処理条件の変動)に基づく露光量の補正を行うことができるので、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質を高い精度で一定とすることができる。
【0016】
なお標準複写画像の推定は、具体的には以下のようにして行うことができる。すなわち請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、予め求められた、標準状態とされた複写手段により原画像を複写材料に露光させ該複写材料に標準複写画像を形成させた場合の、原画像の画像特徴量と露光量と標準複写画像の画像特徴量との関係を記憶した記憶手段を更に備え、前記演算手段は、前記第1の画像データ、前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量、及び前記記憶手段に記憶されている前記関係に基づいて標準複写画像を推定することを特徴としている。
【0017】
標準複写画像の推定は、例えば上記の関係を用いずに、印画紙等の複写材料において予め仕様等として公表されている標準処理条件で処理したときの特性を用いて行うことも可能ではあるが、前記標準処理条件と標準状態とされた複写手段による処理条件とが必ずしも一致しているとは限らないので、標準複写画像の推定精度が充分でない場合も生じ得る。これに対し請求項2の発明では、標準状態とされた複写手段により原画像を複写材料に露光させ該複写材料に標準複写画像を形成させた場合の、原画像の画像特徴量と露光量と標準複写画像の画像特徴量との関係が予め実験的に求められて記憶手段に記憶されており、記憶手段に記憶されている前記関係を用いて標準複写画像が推定されるので、標準状態とされた複写手段により形成される標準複写画像を精度良く推定することができる。
【0020】
なお、本発明では標準複写画像を推定によって求めているので、相違度の演算に用いる標準複写画像の画像特徴量には誤差が含まれている可能性がある。上記を考慮し、請求項3記載の発明は、請求項1の発明において、前記演算手段は、複写画像の画像特徴量及び標準複写画像の画像特徴量を各々複数用い、複写画像及び標準複写画像の各画像特徴量を対応する特徴量毎に比較することにより相違度を演算することを特徴としている。
【0021】
請求項3の発明では、複写画像の画像特徴量及び標準複写画像の画像特徴量を各々複数用いて相違度を演算するので、標準複写画像の複数の画像特徴量のうちの何れかの画像特徴量に誤差等が加わっていたとしても、この誤差による影響を小さくすることができ、相違度の値の信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、標準複写画像の画像特徴量に誤差が加わっている可能性(複写画像の画像特徴量についても誤差が加わっている可能性はある)を考慮すると、本発明においてもなるべく多数のデータを用いて相違度を演算することが好ましいが、上記によれば、相違度を演算するために、単一の画像から複数のデータ(画像特徴量)を取得するので、単一の画像から単一のデータ(画像特徴量)を取得する場合と比較して、所定数のデータが蓄積されるまでの期間が短くなり、処理条件の変動に対する露光量補正の応答速度を向上させることができる。
【0023】
ところで、画像に対する画質の評価は、一般に画像中の特定の部分(主要部)が重点的に注目されて評価されることが殆どである。上記に基づき請求項4記載の発明は、請求項3の発明において、前記演算手段は、画像中の主要部に関連すると推定される画像特徴量の比較結果の重みが大きくなり、画像中の主要部に関連しないと推定される画像特徴量の比較結果の重みが小さくなるように、複写画像及び標準複写画像の各画像特徴量の比較結果に対して重み付けを行い、重み付けを行った結果に基づいて相違度を演算することを特徴としている。
【0024】
請求項4の発明では、画像中の主要部に関連すると推定される画像特徴量の比較結果の重みが大きくなり、画像中の主要部に関連しないと推定される画像特徴量の比較結果の重みが小さくなるように重み付けを行っているので、画像の主要部に相当する領域の画質に対しての影響の度合いが高い処理条件が変動したとすると、この変動が微小であっても相違度が大きくなり、画像中の主要部に相当する領域の画質が向上するように露光量が補正されることになるので、複写画像のうち特に画質の評価で注目される主要部領域の画質を高い精度で一定とすることができる。
【0025】
なお、複写画像の画像特徴量と標準複写画像データから求まる標準複写画像の画像特徴量との比較による相違度の演算は、請求項5に記載したように、第2の画像データが表す複写画像の各画素毎の画像特徴量(例えば各画素毎の濃度値、輝度値、階調値等)と、標準複写画像データが表す標準複写画像の各画素毎の画像特徴量とを、画像を構成する全画素又は所定の基準に従って選択した複数画素の各々について比較した結果に基づいて行うことができる。
【0026】
上記の画素毎の画像特徴量の比較は、画像を構成する全画素について行ってもよいが、標準複写画像の推定において誤差が加わっている可能性の高い画素(例えば濃度値が極端に高い又は極端に低い画素)が相違度の演算から除外されるように、所定の基準に従って選択した複数の画素の画像特徴量を用いて相違度を演算するようにすれば、相違度として各種処理条件の変動をより正確に反映した値が得られるので好ましい。
【0027】
また、複写画像の画像特徴量と標準複写画像データから求まる標準複写画像の画像特徴量との比較による相違度の演算は、請求項6に記載したように、第2の画像データから複写画像のヒストグラムを求めると共に、標準複写画像データから標準複写画像のヒストグラムを求め、複写画像及び標準複写画像の画像特徴量として双方のヒストグラムを比較した結果に基づいて行うか、又は複写画像及び標準複写画像の画像特徴量として第2の画像データ及び標準複写画像データのうち、双方のヒストグラム上で対応している画素の画像特徴量を比較した結果に基づいて行うこともできる。
【0028】
上記のヒストグラムの比較による相違度の演算(この場合の画像特徴量は双方のヒストグラム)は、ヒストグラム全体、或いは所定の基準に従って一部(例えばヒストグラムの高濃度側及び低濃度側からの累積度数が総度数のn%に達する迄の部分等)を除外したヒストグラムを比較することにより行うことができる。また、双方のヒストグラム上で対応している画素としては、ヒストグラムにおける平均値、最大値、最小値に相当する画素、或いはヒストグラムにおいて極大、極小となっている部分に対応する画素等を適用することができ、例えば対応する画素の画像特徴量の差分等に基づいて相違度を演算することができる。
【0029】
更に、複写画像の画像特徴量と標準複写画像データから求まる標準複写画像の画像特徴量との比較による相違度の演算は、請求項7に記載したように、所定の基準に従って複写画像及び標準複写画像を複数の領域に各々分割し、各領域毎に画像特徴量を演算し、複写画像及び標準複写画像の各領域の画像特徴量を対応する領域毎に比較した結果に基づいて行うこともできる。
【0030】
複数の領域への画像の分割は、例えば、予め固定的に定めた分割パターンに従って分割するようにしてもよいし、画像中に存在する人物に相当すると推定される領域(人物領域)を抽出し、画像を人物領域と非人物領域に分割するようにしてもよいし、画像中に存在する背景に相当すると推定される領域(背景領域)を抽出し、画像を背景領域と非背景領域に分割するようにしてもよい。また、上記のように画像を人物領域と非人物領域に分割すると共に、各領域の画像特徴量の比較結果を、人物領域の画像特徴量の比較結果の重みが大きくなり、非人物領域の画像特徴量の比較結果の重みが小さくなるように重み付けして相違度を演算するようにすれば、複写画像のうち特に画質の評価で注目される人物領域の画質を高い精度で一定とすることができるので好ましい。
【0031】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れかの発明において、前記第1の読取手段及び第2の読取手段は、画像を読み取る単一の画像読取素子を共有しており、該画像読取素子によって原画像及び複写画像を各々読み取ることを特徴としている。
【0032】
なお、単一の画像読取センサによる原画像及び複写画像の読み取りは、例えば画像読取センサを、原画像及び複写画像の一方を透過又は反射した光を受光可能な位置に配設すると共に、他方の画像を透過又は反射した光を光ファイバ等の案内手段により案内するよう構成することによって実現できる。請求項8の発明によれば、単一の画像読取センサによって原画像及び複写画像の読み取りを行うことができるので、装置のコストを低減することができる。
【0033】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかの発明において、前記第2の読取手段は、複写画像を複数の成分色に分解して読み取り、前記補正手段は、前記第2の読取手段による読み取りによって得られた第2の画像データに基づいて、複写画像上で輝度が最大の画素を判断し、該画素の色相が白となるように露光量を各成分色毎に補正することを特徴としている。
【0034】
複写画像のうち輝度が最大の部分の色相は、白又は白に非常に近い色相であることが一般的である。請求項9の発明では、第2の画像データに基づいて、複写画像上で輝度が最大の画素を判断し、該画素の色相が白となるように露光量を補正するので、複写画像が適正な色バランスとなるように露光量を補正することができる。
【0035】
請求項10記載の発明に係る複写装置は、原画像を読み取る第1の読取手段と、前記第1の読取手段による読み取りによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算する露光量演算手段と、前記露光量演算手段によって演算された露光量で前記原画像を複写材料に複写し、該複写材料に複写画像を形成させる複写手段と、前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取る第2の読取手段と、前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定する推定手段と、前記第2の読取手段によって読み取られた複写画像及び前記推定手段によって推定された標準複写画像を表示する表示手段と、露光量の補正値を入力するための入力手段と、前記入力手段を介して入力された露光量の補正値により、前記露光量演算手段によって演算される露光量を補正する補正手段と、を含んで構成している。
【0036】
請求項10の発明では、推定手段によって標準複写画像を表す標準複写画像データが導出されることで標準複写画像が推定され、表示手段では、第2の読取手段によって読み取られた複写画像及び推定手段によって推定された標準複写画像を表示するので、表示された複写画像及び標準複写画像を比較・参照することにより、オペレータ等が複写手段の処理条件の変動の有無を視覚的に容易に認識することができる。そして、オペレータが複写手段の処理条件が変動していると判断して、入力手段を介し露光量の補正値を入力すると、入力された補正値により、補正手段が露光量を補正するので、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質を高精度で一定とすることができる。
【0037】
請求項11記載の発明に係る複写制御方法は、原画像を読み取り、前記原画像を読み取ることによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算し、複写手段により前記原画像を前記演算した露光量で複写材料に露光させ、該複写材料に複写画像を形成させ、前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取ると共に、前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像の画像特徴量又は標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定し、前記複写画像を読み取ることによって得られた前記複写画像を表す第2の画像データから求まる前記複写画像の画像特徴量と、前記導出した標準複写画像の画像特徴量、又は前記導出した標準複写画像データから求まる標準複写画像の画像特徴量と、を比較することにより、前記複写画像と前記推定した標準複写画像との相違度を演算し、演算した相違度に基づいて、原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正する。
【0038】
請求項11の発明では、原画像を表す第1の画像データ及び複写手段が原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像の画像特徴量又は標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで標準複写画像を推定し、前記読み取った複写画像と推定した標準複写画像との相違度を演算し、演算した相違度に基づいて、原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正するので、請求項1の発明と同様に、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質を高精度で一定とすることができる。
【0039】
請求項12記載の発明に係る複写制御方法は、原画像を読み取り、前記原画像を読み取ることによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算し、複写手段により前記原画像を前記演算した露光量で複写材料に露光させ、該複写材料に複写画像を形成させ、前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取ると共に、前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定し、前記読み取った複写画像及び前記推定した標準複写画像を表示し、入力された露光量の補正値により、原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正する。
【0040】
請求項12の発明では、原画像を表す第1の画像データ及び複写手段が原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで標準複写画像を推定し、読み取った複写画像及び推定した標準複写画像を表示し、入力された露光量の補正値により原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正するので、請求項10の発明と同様に、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質を高精度で一定とすることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0042】
〔第1実施形態〕
図1には本発明に係る複写装置としてのプリンタプロセッサ10の全体構成が示されている。プリンタプロセッサ10は、外部がケーシング12によって覆われており、ネガフィルム14に記録された画像を印画紙16に露光するプリンタ部18と、画像が露光された印画紙16に対し発色現像・漂白定着・水洗・乾燥等の処理を行うプロセッサ部64と、を備えている。
【0043】
まず、プリンタ部18の構成を説明する。プリンタプロセッサ10には、図1における左側に、ケーシング12から突出するように作業テーブル20が取付けられており、作業テーブル20の上面には、ネガフィルム14がセットされるネガキャリア22、及びオペレータが各種のコマンドやデータ等を入力するためのキーボード24(請求項10の入力手段に対応)が配設されている。ネガキャリア22は搬送ローラ対80A、80B(図2参照)を備えている。搬送ローラ対80A、80Bは各々モータ82A、82Bの駆動軸に連結されており、モータ82A、82Bの駆動力が伝達されることにより回転し、ネガフィルム14を搬送する。
【0044】
ネガキャリア22によるネガフィルム14の搬送路の下方側には、ネガフィルム14に記録された画像を焼付けるための露光光を射出する光源26が配置されている。光源26の光射出側には、図2にも示すように、色補正フィルタ28、拡散ボックス30及び分配用プリズム32が順に配列されている。色補正フィルタ28は、露光光路に対し互いに独立して進退移動可能とされたC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の3組のフィルタから構成されている。ネガフィルム14の搬送路は拡散ボックス30と分配用プリズム32との間に形成されており、分配用プリズム32はネガフィルム14を透過した光を2方向に分配する。
【0045】
分配用プリズム32によって2方向に分配された光のうちの一方の光(鉛直方向に沿って上方へ向かう光)の光路上には、露光する画像の倍率を変更可能な露光レンズ34、ブラックシャッタ36、露光光を略直角方向に反射するミラー38(図1参照)が順に配置されている。分配用プリズム32、露光レンズ34、ブラックシャッタ36及びミラー38は、ネガキャリア22の上方側に形成されたカバー40内に収容されている。ミラー38によって反射された露光光は、露光室42内の露光位置に位置している印画紙16に照射され、ネガフィルム14の画像が印画紙16に露光される。
【0046】
図2に示すように、分配用プリズム32によって分配された光の他方の光路上には、投影光学系84、第1の読取手段としてのCCDイメージセンサ86が順に配置されている。CCDイメージセンサ86はネガフィルム14に記録された画像(1コマ)全体を多数の画素(例えば256×256画素)に分割し、各画素をR(赤)、G(緑)、B(青)の3色に分解して測光する。
【0047】
CCDイメージセンサ86の信号出力端には、CCDイメージセンサ86から出力された信号を増幅する増幅器88、アナログ−デジタル(A/D)変換器90、CCDイメージセンサ86の感度補正用の3×3マトリクス回路92が順に接続されている。3×3マトリクス回路92は、マイクロコンピュータ及びその周辺機器で構成された制御部94の入出力ポート94Dに接続されている。制御部94は、CPU94A、ROM94B、RAM94C及び入出力ポート94Dを備えており、これらがバスを介して互いに接続されている。
【0048】
また制御部94は、EEPROMやバックアップ電源に接続されたRAM等のように記憶内容を書換え可能な不揮発性の記憶手段94Eを備えており、この記憶手段94Eは入出力ポート94Dに接続されている。なお、記憶手段94Eの具体構成は上記に限定されるものではなく、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、メモリカード等のように記憶内容を書換え可能な不揮発性の記憶媒体と、該記憶媒体に対し情報の書込み及び読出しを行うドライバと、で構成することも可能である。
【0049】
制御部94の入出力ポート94Dには、色補正フィルタ28の各フィルタを駆動するドライバ96を介して色補正フィルタ28が接続されており、ドライバ98A、98Bを介してモータ82A、82Bが各々接続されている。また入出力ポート94Dには、LCD又はCRTから成るディスプレイ100と、キーボード24と、光源26の光軸を挟んで両側に配置されネガフィルム14の透過光量を検出する画面検出センサ102が接続されている。上述した制御部94及びその周辺回路は、露光室42の下方のスペース44(図1参照)内に収容されている。
【0050】
一方、図1におけるケーシング12の上方右側角部には装着部46が設けられている。この装着部46は、複写材料としての長尺状の印画紙16をリール48に層状に巻き取って収容するペーパマガジン50が着脱自在とされている。装着部46の近傍にはローラ対52が配置されており、ペーパマガジン50から引き出されてケーシング12の内部(露光室42内)へ送り込まれた印画紙16は、ローラ対52に挟持され水平方向に沿って露光室42内を搬送される。
【0051】
図1における露光室42内の左上方側角部近傍には巻掛ローラ54が配設されている。水平方向に沿って搬送された印画紙16は、巻掛ローラ54に巻掛られることにより搬送方向が略90°変更されて鉛直方向下方側へ搬送され、露光位置に到達する。なお、ローラ対52と巻掛ローラ54との間には、印画紙16を略U字状に案内してストックする第1のストック部56が形成されている。
【0052】
露光室42内の露光位置の下方にはローラ58A、58B、58Cが配置されている。露光位置でネガフィルム14の画像が露光された印画紙16は、ローラ58A、58B、58Cにより搬送方向が各々略90°変更され、後述するプロセッサ部64へ搬送される。ローラ58Aの下流側にはカッタ60が配置されている。カッタ60は、画像が露光された印画紙16の後端を切断する。カッタ60で切断され露光室42内に残った未露光の印画紙16は再度ペーパマガジン50へ巻き戻すことも可能とされている。
【0053】
また、ローラ58Aとローラ58Bとの間には、画像が露光された印画紙16を略U字状に案内してストックする第2のストック部62が形成されている。この第2のストック部62により、プリンタ部18とプロセッサ部64との処理時間の差が吸収される。また図示は省略するが、露光室42内の露光位置の近傍には、印画紙16を画像コマ毎に切断するためのカットマークを印画紙に付与するカットマーク付与器も設けられている。
【0054】
次に、プロセッサ部64の構成を説明する。プロセッサ部64には、発色現像液が貯留された発色現像槽66、漂白定着液が貯留された漂白定着槽68、及び水洗水が貯留された複数のリンス槽70が設けられており、印画紙16が発色現像槽66、漂白定着槽68及び複数のリンス槽70を順に搬送されることにより、発色現像・漂白定着・水洗の各処理が順に行われる。これにより、印画紙16に露光された画像が顕像化される。水洗処理された印画紙16はリンス槽70に隣接する乾燥部72へ搬送される。乾燥部72では、印画紙16をローラに巻付け、高温の空気にさらして乾燥させる。
【0055】
印画紙16は、図示しない一対のローラに挟持され、乾燥処理終了後に乾燥部72から一定速度で排出される。なお、プロセッサ部64の発色現像槽66から乾燥部72に至る部分は、プリンタ部18と共に本発明の複写手段に対応している。乾燥部72の下流側には、印画紙16に付与されたカットマークを検知するカットマークセンサ74、本発明の第2の読取手段としてのCCDイメージスキャナ76、印画紙16を切断するカッタ78が順に設置されている。
【0056】
図2に示すように、CCDイメージスキャナ76は光源76A及びCCDイメージセンサ76Bを備えている。CCDイメージセンサ76Bには光源76Aから射出され印画紙16で反射された光が入射され、印画紙16に記録されているプリント画像(1コマ)を、ネガ画像を測光するCCDイメージセンサ86と同数の多数の画素(例えば256×256画素)に分割し、各画素をR、G、Bの3色に分解して測光する。CCDイメージセンサ76Bの信号出力端は、増幅器104、A/D変換器106、CCDイメージセンサ76Bの感度補正用の3×3マトリクス回路108を介して制御部94の入出力ポート94Dに接続されている。
【0057】
また、図示は省略するが、カットマークセンサ74及びカッタ78も制御部94に接続されている。制御部94は、カットマークセンサ74によるカットマークの検出結果に基づいて、印画紙16が画像コマ毎に切断されるようにカッタ78の作動を制御する。カッタ78で画像コマ毎に切断された印画紙16は、プリンタプロセッサ10の機体外に排出される。
【0058】
次に本第1実施形態の作用として、最初に、制御部94によりプリンタ部18で実行される露光処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、この図3のフローチャートは、画像が撮影記録され図示しないフィルムプロセッサで現像等の処理が行われたネガフィルム14がネガキャリア22にセットされ、更にオペレータにより露光処理の開始が指示されると、制御部94のCPU94Aで実行される。
【0059】
ステップ150ではネガキャリア22によりネガフィルム14を搬送する。ステップ152では、画面検出センサ102から出力される信号を監視することによりネガフィルム14に記録された画像(ネガ画像)の位置を判断し、ネガ画像が露光位置に到達したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ150に戻り、ネガフィルム14の搬送を継続する。
【0060】
ステップ152の判定が肯定されると、ステップ154でネガキャリア22によるネガフィルム14の搬送を停止させ、露光位置に到達したネガ画像を露光位置に位置決めする。ステップ156では露光位置に位置決めしたネガ画像をCCDイメージセンサ86によって測光し、CCDイメージセンサ86から増幅器88、A/D変換器90、3×3マトリクス回路92を介して出力されるR、G、B毎のネガ画像データ(本発明の第1の画像データに相当)を取込み、更に取込んだネガ画像データを記憶手段94Eに記憶する。
【0061】
次のステップ158では、ステップ156で取込んだネガ画像データに基づいて画面平均濃度di (i=R、G、Bの何れか)を演算し、予め定められた露光量演算式に従って露光量E0iを演算する。なお、露光量演算式としては、一例として次の(1)式を用いることができる。
【0062】
但し、各記号の意味は次の通りである。
【0063】
LM:倍率スロープ係数。ネガフィルムの種類とプリントサイズとで定まる引き伸ばし倍率に応じて予め設定されている。
【0064】
CS:カラースロープ係数。ネガフィルムの種類毎に用意されており、アンダ露光用とオーバ露光用とがある。プリントすべき画像コマの平均濃度が標準ネガ濃度値に対してアンダかオーバかを判定してアンダ露光用とオーバ露光用の何れかを選択する。
【0065】
dN:標準ネガ濃度値。
d :プリントすべき画像コマの画面平均濃度値
PB:標準カラーペーパに対する補正バランス値。カラーペーパの種類に応じて決定される。
【0066】
LB:標準焼付レンズに対する補正バランス値。焼付けに用いるレンズの種類に応じて決定される。
【0067】
MB:光源光量の変動やペーパ現像性能の変化に対する補正値(マスタバランス値)。
【0068】
NB:ネガフィルムの特性によって定まるネガバランス(カラーバランス)値。
【0069】
K2 :カラー補正量。
K1 :濃度補正量。
【0070】
またステップ158では、上記により演算した露光量E0 に基づいて、色補正フィルタ28を構成するC、M、Yの各フィルタの位置、及び露光時間t0 (ブラックシャッタ36の開放時間)を決定する。このステップ158は本発明の露光量演算手段に対応している。
【0071】
次のステップ160では露光量補正値ΔEを取込み、ステップ158で演算した露光量E0 を取込んだ露光量補正値ΔEによって補正する。なお、露光量補正値ΔEは初期値が0(=補正無し)とされており、後述する露光量補正処理によって値が設定される。本第1実施形態では、露光量補正値ΔEとして、露光時間t0 を補正するための露光時間補正値Δtを用いており、例として次の(2)式に従って、補正済露光時間tを求める。
【0072】
t=t0 +Δt …(2)
ステップ162では、ステップ160で補正した露光量(露光時間t0 が補正された後の露光量E)を、ステップ156で記憶したネガ画像データと対応させて記憶手段94Eに記憶する。ステップ164では、補正後の露光量Eに基づいて色補正フィルタ28及びブラックシャッタ36を作動させる。具体的には、色補正フィルタ28の各フィルタがステップ158で決定した位置へ移動するようにドライバ96に指示し、更にブラックシャッタ36を補正済露光時間tに相当する時間だけ開放させる。これにより、露光位置に位置決めされているネガフィルム14の画像が、補正後の露光量Eで印画紙16に露光される。
【0073】
次のステップ166では、ネガフィルム14に記録されている全ての画像の露光を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ150へ戻り、上記処理を繰り返す。そして、上記判定が肯定されると処理を終了する。
【0074】
次に図4のフローチャートを参照し、本第1実施形態に係る露光量補正処理について説明する。なお、この図4のフローチャートは、上述した露光処理によって画像が露光された印画紙16が、プロセッサ部64の各処理槽内に貯留されている処理液に浸漬されて処理され(これにより、先の露光処理で露光された画像が現像される)、印画紙16の先端部が乾燥部72から排出されると、割込みがかかって制御部94のCPU94Aで実行される。
【0075】
ステップ170では印画紙16を搬送する。ステップ172では、CCDイメージスキャナ76から出力される信号を監視することにより、印画紙16上に形成された画像(プリント画像)の位置を判断し、CCDイメージスキャナ76による印画紙16の測光位置にプリント画像が到達したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ170に戻り、印画紙16の搬送を継続する。
【0076】
ステップ172の判定が肯定されると、ステップ174で印画紙16の搬送を停止させ、測光位置に到達したプリント画像を測光位置に位置決めする。ステップ176では測光位置に位置決めした画像をCCDイメージスキャナ76によって測光し、CCDイメージスキャナ76から増幅器104、A/D変換器106、3×3マトリクス回路108を介して出力されるR、G、B毎のプリント画像データ(本発明の第2の画像データに相当)を取込む。
【0077】
また、ステップ178では、記憶手段94Eに記憶されているネガ画像データ及び露光量データのうち、ステップ176でプリント画像データを取込んだプリント画像に対応するネガ画像データ及び露光量データを検索し、取込む。このステップ178から、後で説明するステップ192迄の処理は本発明の演算手段に対応している。
【0078】
なお、先に説明した露光処理のステップ156、162において、各ネガ画像に対応するネガ画像データ及び露光量データを識別するための識別情報と対応させてネガ画像データ及び露光量データを記憶するようにすれば、プリント画像に対応するデータの検索が容易になるので好ましい。この識別情報の設定及びデータの検索は、例として以下のようにして行うことができる。すなわち、第1のカウンタ及び第2のカウンタを設け、ネガ画像を1コマ読み取る毎に第1のカウンタをカウントアップすると共に、ネガ画像データ及び露光量データを記憶する際には、識別情報として第1のカウンタのカウント値を対応させて記憶する。また、第2のカウンタはプリント画像を1コマ読み取る毎にカウントアップする。
【0079】
これにより、プリント画像に対応するデータの検索は、第2のカウンタの現在のカウント値に一致する識別情報と対応されて記憶されているネガ画像データ及び露光量データを検索することで実現できる。なお、第1のカウンタ及び第2のカウンタは、処理の切れ目を判定するための所定の条件(例えば1本のネガフィルム14に記録された全ての画像の露光が終了した、或いは露光済み印画紙16が露光室42から全て排出された等)を満足したときに、カウント値を0にクリアすればよい。
【0080】
ところで、本実施形態では制御部94のROM94Bに、図5(B)に実線で示すように、所定露光量eT で露光したときのネガ濃度dとプリント濃度Dとの関係が予め記憶されている。このネガ濃度dとプリント濃度Dとの関係は、プリンタプロセッサ10が標準状態となるように(処理液の状態、光源26の光量等の各種処理条件が標準状態での処理条件となるように)調整した後に、CCDイメージセンサ86によって予め画素毎に濃度を測定した所定のネガ画像を所定露光量eT で印画紙16に露光し、プロセッサ部64で現像等の処理が行われた印画紙16のプリント画像の濃度を画素毎に測定する実験を行うことによって求められたものである。
【0081】
この関係はプリンタプロセッサ10が標準状態のときのネガ濃度dとプリント濃度Dとの関係を表しており、以下ではこの関係をプリント理想特性と称する。次のステップ180ではこのプリント理想特性を取込む。
【0082】
なおROM94Bには、図5(A)に示すように露光量Eとプリント濃度Dとの関係も記憶されている。この露光量Eとプリント濃度Dとの関係についても、上述のようにプリンタプロセッサ10が標準状態となるように調整した後に、所定濃度d0 のネガ画像に対し、露光量Eを様々に変化させて印画紙16への焼付露光を繰り返し、プロセッサ部64で現像等の処理が行われた印画紙16の各プリント画像の濃度を測定する実験を行うことによって求められたものである。
【0083】
この露光量Eとプリント濃度Dとの関係は、前述のプリント理想特性と共に、請求項2に記載の「標準状態とされた複写手段により原画像を複写材料に露光させ該複写材料に標準複写画像を形成させた場合の、原画像の画像特徴量と露光量と標準複写画像の画像特徴量との関係」に対応している。
【0084】
ステップ182では、先のステップ178で取込んだ露光量データが表す露光量eが、前記プリント理想特性を求めたときの所定露光量eT に一致しているか否か判定する。判定が肯定された場合にはステップ186へ移行し、ステップ186以降では、先に取込んだプリント理想特性をそのまま用いて処理を行う。
【0085】
一方、ステップ182の判定が否定された場合にはステップ184へ移行し、先に取込んだプリント理想特性を、ステップ178で取込んだ露光量データが表す露光量eに応じて修正する。
【0086】
具体的には、ROM94Bに記憶されている露光量Eとプリント濃度Dとの関係(図5(A)参照)に基づき、露光量eで前記所定濃度d0 のネガ画像の露光を行ったときのプリント濃度Dx を求める。例として図5(A)に示すように、露光量データが表す露光量がe1 であった場合にはプリント濃度Dx として濃度D1 が求まり、露光量データが表す露光量がe2 であった場合にはプリント濃度Dx として濃度D2 が求まる。
【0087】
次に、理想プリント特性を表す図表上でネガ濃度がd0 、プリント濃度がDx の点を通るようにプリント理想特性を平行移動させる。例えばプリント濃度Dx の値が濃度D1 であった場合には、ネガ濃度がd0 、プリント濃度がD1 の点P1 を通るようにプリント理想特性が平行移動される(図5(B)の一点鎖線)。また、プリント濃度Dx の値が濃度D2 であった場合には、ネガ濃度がd0 、プリント濃度がD2 の点P2 を通るようにプリント理想特性が平行移動される(図5(B)の二点鎖線)。これにより、露光量データが表す露光量eで露光を行ったときのプリント理想特性が得られる。
【0088】
ステップ184の処理を行うとステップ186に移行するが、この場合には、ステップ184の処理によって得られたプリント理想特性を用いてステップ186以降の処理が行われる。
【0089】
なお、上述したように所定露光量eT で露光を行ったときのプリント理想特性のみを記憶しておき、このプリント理想特性を平行移動して用いることに代えて、図5(C)に各々実線で示すように、互いに異なる複数の露光量(例えばea 、eb 、ec )で露光を行ったときのプリント理想特性を各々求めて記憶しておくようにしてもよい。この場合、プリント理想特性を記憶するために必要な記憶容量が大きくなる欠点はあるものの、露光量データが表す露光量eでのプリント理想特性を得るためのプリント理想特性の平行移動量が小さくなる確率が高いので、より精度の高いプリント理想特性が得られる確率が高くなる。
【0090】
一方、ステップ186では、ステップ178で取込んだネガ画像データに基づいて、ネガ画像の画面平均濃度dAVを演算する。次のステップ188では、ネガ画像の画面平均濃度dAV及び前述したプリント理想特性に基づいて、プリント画像の画面平均濃度DXAVを求める。このプリント画像の画面平均濃度DXAVはプリント理想特性を用いて求めているので、プリンタプロセッサ10が標準状態のときに、画面平均濃度dAVのネガ画像を、露光量データが表す露光量eで印画紙16に露光し、プロセッサ部64で現像等の処理を行ったときに印画紙16に形成されると推定される理想プリント画像(本発明の標準複写画像に相当)の画面平均濃度(標準複写画像の画像特徴量)に相当しており、このステップ188の処理は、標準複写画像の推定、より詳しくは標準複写画像の画像特徴量の導出に対応している。
【0091】
ステップ190では、ステップ176で取込んだプリント画像データに基づいて、プリント画像の画面平均濃度DAV(複写画像の画像特徴量に相当)を演算し、ステップ192ではプリント画像の画面平均濃度DAVと理想プリント画像の画面平均濃度DXAVとの相違度zを、一例として次の(3)式に従って演算する。
【0092】
z=DXAV−DAV …(3)
(3)式により求まる相違度zは、理想プリント画像の画面平均濃度DXAVと実際のプリント画像の画面平均濃度DAVとの差であり、理想プリント画像の画面平均濃度DXAVはプリンタプロセッサ10が標準状態のときのプリント画像の画面平均濃度の推定値であるので、相違度zの値が0以外であった場合には、プリンタプロセッサ10の各種処理条件の何れかが標準状態での処理条件から偏倚していると判断できる。
【0093】
このため、次のステップ194では、ステップ192で演算した相違度zの値に基づいて、露光量補正値ΔEを演算する。本第1実施形態では、露光量補正値ΔEとして露光時間補正値Δtを用いており、一例として次の(4)式により露光時間補正値Δtを求め、演算結果をRAM94C等に記憶する。このステップ194は、露光処理のステップ160(図3参照)と共に本発明の補正手段に対応している。
【0094】
Δt=(a×z)+Δt0 …(4)
但し、 a :係数(a>0)
Δt0 :現在設定されている露光時間補正値
上記により、実際のプリント画像の画面平均濃度DAVが理想プリント画像の画面平均濃度DXAVよりも高い場合には(a×z)の項の符号が負となり、(2)式からも明らかなように、露光時間tが短くなりプリント濃度Dが低くなるように露光時間補正値Δtが変更設定される。また、実際のプリント画像の画面平均濃度DAVが理想プリント画像の画面平均濃度DXAVよりも低い場合には(a×z)の項の符号が正となり、露光時間tが長くなりプリント濃度Dが高くなるように露光時間補正値Δtが変更設定される。
【0095】
なお、係数aの値は図5(A)に示した露光量Eとプリント濃度Dとの関係の傾きを基準にして定めることができる。但し、露光量補正処理は繰り返し実行されるので、露光時間補正値Δtも閉ループ制御により繰り返し更新される。従って、係数aの値を比較的小さくした場合には露光時間補正値Δtの変更量(a×z)が小さくなるので、制御系としての安定度は高いが応答は遅くなり、係数aの値を比較的大きくした場合には露光時間補正値Δtの変更量(a×z)が大きくなるので、応答は速くなるものの制御系としての安定度が低くなるという性質がある。このため、係数aの最適値は実験的に求めることが好ましい。
【0096】
次のステップ300では、上述した処理を印画紙16に形成されている全ての画像に対して行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ170に戻り、ステップ170〜300を繰り返す。これにより、印画紙16に記録されている各プリント画像に対し、各々露光量補正値ΔE(より詳しくは露光時間補正値Δt)が演算されてRAM94C等に記憶されることになる。
【0097】
ステップ300の判定が肯定された場合にはステップ302へ移行し、各プリント画像に対して各々演算した露光量補正値ΔE(より詳しくは露光時間補正値Δt)の平均値を演算し、演算した平均値を実際の露光量補正値ΔE(より詳しくは露光時間補正値Δt)として設定し、処理を終了する。
【0098】
これにより、次に露光処理が行われるときには、新たに設定した露光量補正値ΔEによりステップ160(図3参照)で補正した露光量Eを用いて印画紙16へのネガ画像の焼付露光が行われるので、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らずプリント画像の濃度が理想プリント画像の濃度に一致するように、ネガ画像の焼付露光が行われることになる。
【0099】
なお、上記では露光処理においてネガ画像データを記憶手段94Eに一旦記憶し、露光量補正処理においてネガ画像の画面平均濃度を演算するようにしていたが、これに限定されるものではなく、露光処理においてネガ画像の画面平均濃度を演算し、演算結果を記憶手段94Eに記憶するようにしてもよい。
【0100】
また、上記では画像特徴量として画面平均濃度を用いていたが、これに限定されるものではなく、濃度の最大値、最小値、中間値等の画像特徴量を用いて相違度zを演算するようにしてもよい。
【0101】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第2実施形態の作用を説明する。
【0102】
本第2実施形態では、相違度zを演算するための濃度値の測定ポイントとして、互いに異なる複数のネガ濃度値がネガ濃度軸上で予め定められている(図7では例として4個の測定ポイントp1〜p4を示す)。なお、測定ポイントは濃度が極端に高い又は極端に低い範囲を除外して定めることが好ましい。
【0103】
後述するように、本第2実施形態では前記各測定ポイントに対応する画素のプリント画像上における濃度値D及び理想プリント画像上における濃度値DXを用いて相違度zを演算するが、濃度が極端に高い又は極端に低い範囲ではプリント理想特性の直線性が低下するので、この範囲では理想プリント画像の濃度値DXの精度も低くなる。上記のように、濃度が極端に高い又は極端に低い範囲を除外して測定ポイントを定めれば、理想プリント画像の濃度値DXとして精度の低いデータを用いずに相違度zを演算することになるので、相違度zとしてプリンタプロセッサ10の各種処理条件の変動を正確に反映した値が得られる。
【0104】
次に本第2実施形態に係る露光量補正処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。本第2実施形態に係る露光量補正処理では、第1実施形態で説明した露光量補正処理のステップ186〜194(図4参照)に代えて、ステップ200〜208及びステップ220、222の処理を行う。なお、本第2実施形態では、第1実施形態で説明したステップ178〜184、及びステップ200〜208が本発明の演算手段に対応している。
【0105】
ステップ200では、ステップ178で取込んだネガ画像データに基づき、前記複数の測定ポイントに対応する濃度値の画素をネガ画像から選択する。次のステップ202ではプリント理想特性(図7に実線で示す)に基づいて、ネガ画像上における前記複数の測定ポイントの何れかに対応する濃度値の複数の画素の、理想プリント画像上における濃度値DX(標準複写画像の画像特徴量)を求める。これは、各測定ポイントに対応する複数のネガ濃度値を、プリント理想特定を用いてプリント濃度値に各々変換することにより実現できる。このステップ202の処理は標準複写画像の推定、より詳しくは標準複写画像の画像特徴量の導出に対応している。
【0106】
またステップ204では、ステップ200で選択した画素に対応する画素のデータを、ステップ178で取り込んだプリント画像データから選択する。図7には、ステップ204でプリント画像データから選択した画素のデータが表す濃度値Dを、プリント理想特性を示す図表上にプロットした結果の一例を示す。このプロットした結果に基づき、実際のプリント画像におけるネガ濃度dとプリント濃度Dとの関係(現在のプリント特性)を直線で近似したとすると、プリンタプロセッサ10の各種処理条件の少なくとも何れかが標準状態での処理条件から偏倚している場合には、図7に破線で示すように、理想プリント特性に対し現在のプリント特性が偏倚することになる。
【0107】
このためステップ206では、プリント理想特性に対する現在のプリント特性の偏差を相違度zとして演算する。具体的には次の(5)式に示すように((5)式では測定ポイントの数をmとする)、ステップ202、204で導出又は選択したプリント画像における複数の濃度値Dj ((5)式におけるjは測定ポイント毎に付した符号)及び理想プリント画像における複数の濃度値DXj の差分を各測定ポイント毎に各々演算し、各測定ポイント毎の差分を各測定ポイント毎に定めた重み係数wj により重み付けして累積することにより相違度zを求める。
【0108】
【数1】
【0109】
なお、(5)式における重み係数wj は、例えば各測定ポイントに対応するネガ濃度dがネガ画像における主要部(例えば画像中の人物に相当する領域)の濃度である確率の高い値であるか否かに基づき、ネガ濃度dが主要部濃度である確率の高い測定ポイントの重みが大きくなるように定めることができる。この重み係数の設定は、より詳しくは請求項4に記載の演算手段に対応している。これにより、画像の主要部領域の画質に対しての影響の度合いが高い処理条件が変動した場合には、この変動が微小であっても相違度zの絶対値が大きくなり、主要部領域の画質が高い精度で一定となるように露光量が補正されることになる。
【0110】
次のステップ208では、上記で演算された相違度zの値に基づいて、第1実施形態で説明した露光量補正処理のステップ194と同様にして、露光量補正値ΔE(より詳しくは露光時間補正値Δt)を演算する。ステップ220では、ステップ178で取り込んだプリント画像データに基づいて、実際のプリント画像上で輝度値が最大の画素(R、G、Bの平均濃度が最小の画素)を判断し、該画素のデータをプリント画像データから取り込む。
【0111】
本第2実施形態では、露光量補正値ΔEが、露光時間補正値Δtと色バランス補正値ΔCとから構成されている。次のステップ222では、ステップ220で取り込んだ画素の色相が白(R、G、Bの各濃度が一定)となるように、露光量補正値ΔEの色バランス補正値ΔCを設定する。このステップ220、222は、露光処理のステップ160(図3参照)と共に、請求項9に記載の補正手段に対応している。
【0112】
これにより、次に露光処理が行われるときには、ステップ160(図3参照)において、露光時間補正値Δt及び色バランス補正値ΔCから成る新たに設定した露光量補正値ΔEに基づいて、露光処理の露光時間補正値Δtに基づく露光時間の補正に加え、色バランス補正値ΔCに基づく色補正フィルタ28の各フィルタの位置の補正も行われ、補正した露光量Eを用いて印画紙16へのネガ画像の露光が行われるので、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らずプリント画像の濃度が理想プリント画像の濃度に一致し、かつプリント画像の輝度が最大の部分の色相が白となるようにネガ画像が印画紙16に露光されることになる。
【0113】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第3実施形態に係る露光量補正処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0114】
本第3実施形態に係る露光量補正処理では、第2実施形態で説明した露光量補正処理のステップ200〜208(図6参照)に代えて、ステップ210〜216の処理を行う。本第3実施形態では、第1実施形態で説明したステップ178〜184及びステップ210〜216が本発明の演算手段に対応している。
【0115】
ステップ210では、ステップ178で取込んだネガ画像データが表すネガ画像の各画素毎の濃度及びプリント理想特性に基づいて、理想プリント画像の各画素毎の濃度を導出する。この理想プリント画像の各画素毎の濃度は、ネガ画像の各画素毎の濃度値を、プリント理想特性を用いてプリント濃度値に各々変換することにより得られる。以下では、上記処理によって得られた理想プリント画像の各画素毎の濃度(画素毎の画像特徴量)を表すデータ(本発明の標準複写画像データ)を理想プリント画像データと称する。
【0116】
次のステップ212では、ネガ画像上で濃度値が所定範囲内に収まっている画素のデータを、理想プリント画像データ及びステップ176で取込んだプリント画像データから各々取り出す。なお、上記に代えて、プリント画像データ及び理想プリント画像データの何れか一方から濃度値が所定範囲内に収まっている画素のデータを取り出すと共に、前記データを取り出した画素に対応する画素のデータを他方の画像データから取り出すようにしてもよいし、プリント画像上での濃度値及び理想プリント画像上での濃度値が各々所定範囲内に収まっている画素のデータをプリント画像データ及び理想プリント画像データから各々取り出すようにしてもよい。
【0117】
上述した画素のデータの取り出しは、請求項5に記載の「所定の基準に従って複数画素を選択」することに対応している。例えばプリンタプロセッサ10の各種処理条件の少なくとも何れかが標準状態での処理条件から偏倚している場合には、上記のようにしてプリント画像データ及び理想プリント画像データから取り出したデータが表す濃度値は、理想プリント画像と実際のプリント画像とで異なることになり、プリント画像データ及び理想プリント画像データから取り出したデータを各々プリント理想特性を示す図表上にプロットしたとすると、理想プリント画像データから取り出したデータは、図7に実線で示す理想プリント特性を表す直線上にプロットされるのに対し、プリント画像データから取り出したデータは、例えば図7に破線で示す現在のプリント特性を表す直線上又はその付近にプロットされる。
【0118】
ステップ214では次の(6)式に従い、相違度zとして、プリント画像データから取り出したデータが表す濃度値Dj ((6)式におけるjは取り出した画素のデータに各々付した符号)と、理想プリント画像データから取り出したデータが表す濃度値DXj と、の各画素毎の差分の平均値を演算する。
【0119】
【数2】
【0120】
但し、n:取り出した画素のデータの総数
なお、濃度値の差分の平均値に代えて、相違度zとして濃度値の差分の累積値を演算するようにしてもよい。この(6)式による相違度zの演算は、請求項5に記載の演算手段に対応している。そして、次のステップ216では、上記で演算した相違度zの値に基づいて、露光量補正値ΔE(露光時間補正値Δt)を演算する。なお、次のステップ220以降の処理は第2実施形態と同じである。
【0121】
これにより、次に露光処理が行われるときには、新たに設定した露光量補正値ΔEに基づいて露光時間及び色補正フィルタ28の各フィルタの位置の補正も行われ、補正した露光量Eを用いて印画紙16へのネガ画像の露光が行われるので、第2実施形態と同様に、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らずプリント画像の濃度が理想プリント画像の濃度に一致し、かつプリント画像の輝度が最大の部分の色相が白となるように、ネガ画像が印画紙16に露光される。
【0122】
なお、上記では相違度zとして、プリント画像データ及び理想プリント画像データから取り出した画素の濃度値の差分の平均値(又は累積値)を演算する例を説明したが、これに限定されるものではなく、相違度zとして、濃度値の差分を画素毎に重み付けした結果の平均値又は累積値を演算するようにしてもよい。画素毎の重み係数の設定は例えば以下のようにして行うことができる。
【0123】
(1)各画素の濃度値に基づく重み係数の設定
プリント画像データ及び理想プリント画像データにおいて画素がとりうる濃度値の全範囲(例えば画素の濃度を8ビットのデータで表すとすると、濃度値=0〜255の範囲)を、図9に示すように、所定の濃度差の範囲毎に複数の濃度範囲(図9では一例として濃度範囲1〜濃度範囲rのr個の濃度範囲)に分割し、各濃度範囲毎に重み係数wを予め定めておく。この重み係数は、例えば画像中の人物に相当する領域の平均的な濃度値に対応する濃度範囲の重みが大きくなり、濃度が極端に高い又は極端に低い濃度範囲の重みが小さくなるように定めることができる。そして、プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)の各画素の濃度が何れの濃度範囲に属するかを各々判断し、各画素が属している濃度範囲に対して定めた重み係数wを各画素の重み係数として設定する。
【0124】
(2)各画素の色相に基づく重み係数の設定
所定の色座標によって定義される色空間を複数の色領域に分割し(一例として図10には、R−Gを横軸に、G−Bを縦軸にとった色座標によって定義される色空間を、縦軸又は横軸に平行な線分によって色領域a〜pの16個の色領域に分割した例を示す)、各色領域毎に重み係数を予め定めておく。この重み係数は、例えば画像中の人物に相当する領域の平均的な色相に対応する色領域の重みが大きくなり、画像中の背景部に相当する領域に多く存在する色相(例えば海や空の青、芝生の緑等)に対応する色領域の重みが小さくなるように定めることができる。そして、プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)の各画素の色相が何れの色領域に属するかを各々判断し、各画素が属している色領域に対して定めた重み係数wを各画素の重み係数として設定する。
【0125】
(3)クラスタ分析による重み係数の設定
プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づき、濃度ヒストグラム、或いは色相値(及び彩度値)についてのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを山毎に各々分割し、各画素が分割した山の何れに属するかを判断して各画素を分割した山に対応する群に分ける(クラスタ分析)。次に、各群の特性(例えば各群に属する画素数、各群に対応する山のピークにおける度数、所定の色空間(例えば色相値及び彩度値を縦軸及び横軸にとった色座標によって定義される色空間)上での所定の基準値からの各群の距離等)に応じて、画像中の主要部に相当すると推定される群の重みが大きくなるように各群毎に重み係数を定める。そして、プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)の各画素が何れの群に属するかに基づいて、各画素に重み係数を設定する。
【0126】
上述した重み係数の設定は、画像中の主要部に関連すると推定される画素の重みが大きくなるように行っており、より詳しくは請求項4に記載の演算手段に対応している。上記のようにして各画素に対して重み係数を設定した場合には、前述の(5)式又は次の(7)式(但し、この場合のjは相違度zの演算対象の画素のデータに各々付した符号)により相違度zを演算することができる。
【0127】
【数3】
【0128】
但し、nは相違度z演算対象の画素の総数
なお、上記の(1)〜(3)において、濃度が極端に高い、又は極端に低い画素や、彩度が高い画素のデータについては相違度zの演算に用いないようにしてもよいことは言うまでもない。
【0129】
上記のように、画像中の主要部に関連すると推定される画素の濃度の比較結果(DXj −Dj )の重みが大きくなるように重み付けを行っているので、画像の主要部に相当する領域の画質に対しての影響の度合いが高い処理条件が変動したとすると、この変動が微小であっても相違度zが大きくなり、画像中の主要部に相当する領域の画質が向上するように露光量Eが補正されることになるので、プリント画像のうち特に画質の評価で注目される主要部領域の画質を高い精度で一定とすることができる。
【0130】
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。なお、本第4実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第4実施形態に係る露光量補正処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0131】
本第4実施形態に係る露光量補正処理では、第1実施形態で説明した露光量補正処理のステップ186〜194(図4参照)に代えて、ステップ230〜236の処理を行う。本第4実施形態では、第1実施形態で説明したステップ178〜184及びステップ230〜234が本発明の演算手段に対応している。ステップ230では、ステップ178で取込んだネガ画像データが表すネガ画像の各画素毎の濃度及びプリント理想特性に基づいて、第3実施形態で説明した露光量補正処理のステップ210(図8参照)と同様にして、理想プリント画像の各画素毎の濃度を導出することにより、理想プリント画像データを生成する。
【0132】
ステップ232では、上記で生成した理想プリント画像データ及びステップ176で取り込んだプリント画像データに基づいて、理想プリント画像及び実際のプリント画像の濃度ヒストグラムを各々作成し、次のステップ234では、理想プリント画像の濃度ヒストグラム及び実際のプリント画像の濃度ヒストグラムに基づいて、理想プリント画像と実際のプリント画像との相違度zを演算する。
【0133】
この相違度zの演算は、例えば理想プリント画像の濃度ヒストグラムの形状と実際のプリント画像の濃度ヒストグラムの形状とを比較し、形状の相違度を相違度zとして設定することができる。
【0134】
具体的には、双方のヒストグラムにおける各濃度階級毎の度数の差分の絶対値をヒストグラム全体又は所定の濃度範囲内に亘って累積した値(以下、ヒストグラム相違度と称する)を基準とし、一方のヒストグラムを度数軸に平行に全体的に移動させたときに、平行移動させたヒストグラムと他方のヒストグラムとのヒストグラム相違度が最小となるヒストグラムの平行移動量を求め、このヒストグラム相違度が最小のときのヒストグラムの平行移動量を相違度zとして設定すればよい。また、所定の条件に従って一部をヒストグラムから除外して(例えば濃度の最大値又は最小値からの累積度数が所定値に達するまでの濃度範囲を除外する等)、上述したヒストグラムの形状の比較を行うようにしてもよい。
【0135】
また、双方のヒストグラムにおいて対応している箇所の画素データが表す画像特徴量(例えば濃度値)を比較して、濃度値の相違度を相違度zとして設定するようにしてもよい。具体的には、双方のヒストグラムにおいて、度数が最大又は最小となっている箇所、度数のピーク(極大又は極小)が生じている箇所、濃度の最大値又は最小値からの累積度数が所定値に達する箇所に相当する画素データが表す画像特徴量(例えば濃度値)の差分の累積値又は平均値を求め、これを相違度zとして設定することにより実現できる。上述したヒストグラムによる相違度zの演算は、より詳しくは請求項6に記載の演算手段に対応している。
【0136】
上記のように、ヒストグラムを用いて相違度zを演算する場合にも、相違度zの値に悪影響を及ぼすデータ(例えば濃度が極端に高い又は極端に低い画素のデータ等)を除去して相違度zを演算することができるので、相違度zとして、プリンタプロセッサ10の各種処理条件の変動を正確に反映した値が得られる。なお相違度zは、例えば相違度zの演算に用いる画素のR、G、Bの各成分色毎の画像特徴量等に基づいて、各成分色毎に演算するようにしてもよい。
【0137】
そして、次のステップ236では、ステップ234で演算した相違度zの値に基づいて露光量補正値ΔEを演算する。これにより、次に露光処理が行われるときには、新たに設定した露光量補正値ΔEによりステップ160(図3参照)で補正した露光量Eを用いて印画紙16へのネガ画像の焼付露光が行われるので、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らずプリント画像の濃度が理想プリント画像の濃度に一致するように、ネガ画像の焼付露光が行われることになる。
【0138】
なお、ステップ234で相違度zを各成分色毎に演算した場合には、ステップ236で露光量補正値ΔEとして、各成分色毎の相違度zを用いて色バランス補正値ΔCを設定することができる。この場合、色バランス補正値ΔCに基づく色補正フィルタ28の各フィルタの位置の補正も行われて印画紙16へのネガ画像の露光が行われるので、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らず、プリント画像の濃度及び色バランスが理想プリント画像の濃度及び色バランスに一致するように、ネガ画像の焼付露光が行われることになる。
【0139】
〔第5実施形態〕
次に本発明の第5実施形態について説明する。なお、本第5実施形態についても第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第5実施形態に係る露光量補正処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0140】
本第5実施形態に係る露光量補正処理では、第1実施形態で説明した露光量補正処理のステップ186〜194(図4参照)に代えて、ステップ240〜246の処理を行う。本第5実施形態では、第1実施形態で説明したステップ178〜184及びステップ240〜246が本発明の演算手段に対応している。
【0141】
ステップ240では、ステップ178で取込んだネガ画像データが表すネガ画像の各画素毎の濃度及びプリント理想特性に基づいて、第3実施形態で説明した露光量補正処理のステップ210(図8参照)、第4実施形態で説明した露光量補正処理のステップ230(図11参照)と同様にして、理想プリント画像の各画素毎の濃度を導出することにより、理想プリント画像データを生成する。
【0142】
ステップ242では理想プリント画像及び実際のプリント画像を所定の基準により複数領域に各々分割し、各領域に対して各々重み係数を設定する。この画像の分割は、例えば以下に列挙する方法の何れかを適用して行うことができる。
【0143】
(1)人物領域抽出による画像分割・重み係数の設定
人物写真において鑑賞時に最も注目される部位は人物(特に人物の顔)に相当する部分であるので、画像中の主要部として人物に相当する領域を抽出し、抽出した人物に相当する領域の重みが、それ以外の領域の重みよりも大きくなるように、各領域に重み係数を設定する。画像からの人物に相当する領域の抽出は、プリント画像及び理想プリント画像に対して各々行ってもよいが、プリント画像及び理想プリント画像の一方に対してのみ人物に相当する領域の抽出・画像分割を行い、前記一方の画像を複数領域に分割した結果に基づいて他方の画像を複数領域に分割するようにした方が、人物に相当する領域を抽出する処理を実行する回数が少なくて済むので好ましい。プリント画像又は理想プリント画像からの人物に相当する領域の抽出は、例えば以下のようにして行うことができる。
【0144】
〔人物領域抽出方式の例1〕
プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づいて、プリント画像(又は理想プリント画像)を構成する各画素のデータが色座標上で肌色の範囲内に含まれているか否かを各々判定し、肌色の範囲内と判断した画素のクラスタ(群)が存在している領域を、人物に相当する領域としてプリント画像(又は理想プリント画像)から抽出する(特開昭 52-156624号公報、特開昭 52-156625号公報、特開昭53-12330号公報、特開昭 53-145620号公報、特開昭 53-145621号公報、特開昭 53-145622号公報等参照)。
【0145】
〔人物領域抽出方式の例2〕
プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づき、濃度ヒストグラム、或いは色相値(及び彩度値)についてのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを山毎に各々分割し、各画素が分割した山の何れに属するかを判断して各画素を分割した山に対応する群に分け(クラスタ分析)、プリント画像(又は理想プリント画像)を各群毎に複数の領域に分割し、該複数の領域のうち人物の顔に相当する領域を推定し、推定した領域をプリント画像(又は理想プリント画像)から抽出する(特開平4-346332号公報参照)。
【0146】
〔人物領域抽出方式の例3〕
プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づき、プリント画像中(又は理想プリント画像中)に存在する人物の各部に特有の形状パターン(例えば頭部の輪郭、顔の輪郭、顔の内部構造、胴体の輪郭等を表す形状パターン)の何れか1つを各々探索し、検出した形状パターンの大きさ、向き、検出した形状パターンが表す人物の所定部分と人物の顔との位置関係に応じて、人物の顔に相当すると推定される領域を設定する。また、検出した形状パターンと異なる他の形状パターンを探索し、先に設定した領域の、人物の顔としての整合性を求め、人物の顔に相当する領域として抽出する(特願平6-265850号、特願平6-266598号)。
【0147】
(2)背景領域抽出による画像分割・重み係数の設定
画像中の非主要部として背景に相当する領域を抽出し、抽出した背景に相当する領域の重みが、それ以外の領域の重みよりも小さくなるように(背景に相当する領域以外の領域に画像の主要部に相当する領域が存在していると判断する)、各領域に重み係数を設定する。画像からの背景に相当する領域の抽出についても、プリント画像及び理想プリント画像に対して各々行ってもよいが、プリント画像及び理想プリント画像の一方に対してのみ背景に相当する領域の抽出・画像分割を行い、前記一方の画像を複数領域に分割した結果に基づいて他方の画像を複数領域に分割するようにした方が、背景に相当する領域を抽出する処理を実行する回数が少なくて済むので好ましい。プリント画像又は理想プリント画像からの背景に相当する領域の抽出は、例えば以下のようにして行うことができる。
【0148】
〔背景領域抽出方式の例1〕
プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づいて、各画素が、色座標上で明らかに背景に属する特定の色(例えば空や海の青、芝生の緑等)の範囲内に含まれているか否か判定し、前記特定の色範囲内と判断した画素のクラスタ(群)が存在している領域を背景に相当する領域と判断して抽出する。
【0149】
〔背景領域抽出方式の例2〕
プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づいて、先の人物領域抽出方式の例2と同様にしてプリント画像(又は理想プリント画像)を複数の領域に分割した後に、各領域毎に背景に相当する領域としての特徴量(輪郭に含まれる直線部分の比率、線対称度、凹凸数、画像外縁との接触率、領域内の濃度コントラスト、領域内の濃度の変化パターンの有無等)を求め、求めた特徴量に基づいて各領域が背景に相当する領域か否か判定し背景に相当する領域を抽出する(特願平6-265850号、特願平6-266598号)。
【0150】
(3)クラスタ分析による画像分割・重み係数の設定
このクラスタ分析による画像分割についても、プリント画像及び理想プリント画像に対して各々行ってもよいが、プリント画像及び理想プリント画像の一方に対してのみクラスタ分析による画像分割を行い、前記一方の画像を複数領域に分割した結果に基づいて他方の画像を複数領域に分割するようにした方が、クラスタ分析処理を実行する回数が少なくて済むので好ましい。クラスタ分析による画像分割は、プリント画像データ(又は理想プリント画像データ)に基づいて、先の人物領域抽出方式の例2と同様にして画像を複数の領域に分割した後に、人物の顔に相当する領域を推定することなく、各領域の特性(例えば各領域の面積、各領域内のコントラスト、画面上の所定の基準位置(例えば画面中央等)からの各領域の距離等)に応じて各領域毎に重み係数を設定する。
【0151】
(4)固定パターンによる画像分割・重み係数の設定
例として図13に示すように、画像を固定的に分割する分割パターン(図13では画像を領域a〜領域eの5個の領域に分割する分割パターンを示す)を予め定めておくと共に、該分割パターンによって分割される各領域毎に予め重み係数を定めておく。なお重み係数は、例えば画像の主要部は画面中央付近に位置している確率が高いとの経験則に基づいて、画面中央付近に位置している領域(図13では領域a)の重み係数が高くなるように定めることができる。そして、該分割パターンに従ってプリント画像及び理想プリント画像を各々分割する。
【0152】
なお、画像を複数領域に分割する方法は、上記に限定されるものではなく、例えば濃度値の微分等により画像中のエッジ(輪郭線)を検出し、検出した輪郭線に基づいて画像を複数の領域に分割するようにしてもよい。上述した各方式による重み係数の設定は、画像中の主要部に関連すると推定される領域の重みが大きくなるように行っており、より詳しくは請求項4に記載の演算手段に対応している。
【0153】
上記のようにして画像分割及び重み係数の設定を行うと、次のステップ244ではプリント画像及び理想プリント画像の各領域について、画像特徴量を各々演算する。この画像特徴量としては、例えば各領域毎の平均濃度、濃度の最大値や最小値、濃度の中間値、各領域毎の濃度ヒストグラムのピークにおける濃度値、各領域毎の濃度ヒストグラムにおける濃度の最大値又は最小値からの累積度数が所定値のときの濃度値等を適用することができる。
【0154】
次のステップ246では、上記でプリント画像及び理想プリント画像の各領域について求めた画像特徴量を、ステップ242で各領域に対して設定した重み係数により重み付けし、該重み付けした値を用いて相違度zを演算する。この場合の相違度zは、例えば以下の(8)式又は(9)式に従って演算することができる。
【0155】
【数4】
【0156】
但し、sは領域数、TXj は理想プリント画像の領域jの画像特徴量、Tj はプリント画像の領域jの画像特徴量、wj は領域jの重み係数である。上述した画像の分割、相違度の演算は請求項7に記載の演算手段に対応している。なお相違度zは、各領域のR、G、Bの各成分色毎の画像特徴量を用いて各成分色毎に演算するようにしてもよい。
【0157】
そして、次のステップ248では、ステップ246で演算した相違度zの値に基づいて露光量補正値ΔEを演算する。これにより、次に露光処理が行われるときには、新たに設定した露光量補正値ΔEに基づいて露光量Eが補正され、補正した露光量Eを用いて印画紙16へのネガ画像の露光が行われるので、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らずプリント画像の濃度が理想プリント画像の濃度に一致するように、ネガ画像が印画紙16に露光される。
【0158】
また上記では、画像中の主要部に関連すると推定される領域の画像特徴量の比較結果(TXj −Tj )の重みが大きくなるように重み付けを行っているので、画像の主要部に相当する領域の画質に対しての影響の度合いが高い処理条件の変動すると、この変動が微小であっても相違度zが大きくなり、画像中の主要部に相当する領域の画質が向上するように露光量Eが補正されることになるので、プリント画像のうち特に画質の評価で注目される主要部領域の画質を高い精度で一定とすることができる。
【0159】
なお、ステップ246で相違度zを各成分色毎に演算した場合には、ステップ248で露光量補正値ΔEとして、各成分色毎の相違度zを用いて色バランス補正値ΔCを設定することができる。この場合、色バランス補正値ΔCに基づく色補正フィルタ28の各フィルタの位置の補正も行われて印画紙16へのネガ画像の露光が行われるので、プリンタプロセッサ10の状態の変動に拘らず、プリント画像の濃度及び色バランスが理想プリント画像の濃度及び色バランスに一致するように、ネガ画像の焼付露光が行われることになる。
【0160】
〔第6実施形態〕
次に本発明の第6実施形態について説明する。なお、本第6実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第6実施形態に係る理想プリント画像推定処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0161】
この理想プリント画像推定処理は、上述した各実施形態における露光量補正処理と同様に、露光処理によって画像が露光記録された印画紙16の先端部が乾燥部72から排出されると実行される。この理想プリント画像推定処理では、図14からも明らかなように、本第3実施形態で説明した露光量補正処理(図8参照)のステップ170〜210を行った後に、ステップ300の判定を行い、ステップ300の判定が肯定される迄ステップ170〜210を繰り返す。
【0162】
但し理想プリント画像推定処理では、ステップ176において、取り込んだプリント画像データを記憶手段94E等に記憶すると共に、ステップ210において、理想プリント画像データを求めた後に該理想プリント画像データを記憶手段94E等に記憶する。これにより、印画紙16への露光が行われた全画像について、プリント画像データ及び理想プリント画像データが各々記憶されることになる。この理想プリント画像推定処理のステップ178〜210は、請求項10に記載の推定手段に対応している。
【0163】
次に図15のフローチャートを参照し、本第6実施形態に係る画像表示・露光量補正処理について説明する。本第6実施形態では、オペレータがプリント画像の仕上りの検定や、プリンタプロセッサ10の状態のチェック等を行いたい場合、オペレータによりディスプレイ100への画像の表示がキーボード24等を介して指示される。画像表示・露光量補正処理は、オペレータによりディスプレイ100への画像の表示が指示されると、割込みがかかって制御部94のCPU94Aで実行される。
【0164】
ステップ400では、オペレータに対しディスプレイ100に表示すべき画像を指定する情報の入力を要請するメッセージをディスプレイに表示した後に、オペレータにより表示すべきプリント画像を指定する情報が入力されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。オペレータが、表示すべきプリント画像を特定するための情報(例えばコマ番号等)を入力したり、或いは印画紙に露光された全てのプリント画像を表示させるために全画像表示を意味する情報を入力することにより表示すべき画像が指定されるとステップ400の判定が肯定され、ステップ402へ移行する。
【0165】
ステップ402では、オペレータによって指定された画像のプリント画像データ、理想プリント画像データ及び露光量データを記憶手段94E等から取込み、ステップ404では取り込んだデータに基づいて、指定された画像のプリント画像及び理想プリント画像をディスプレイ100に同時に表示する。このステップ402は請求項10の表示手段に対応している。次のステップ406では、オペレータに対しディスプレイ100に表示している画像についての検定結果の入力を要請するメッセージをディスプレイ100に表示した後に、オペレータにより検定結果が入力されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0166】
一方、指定した画像のプリント画像及び理想プリント画像がディスプレイ100に同時に表示されると、オペレータは、表示されたプリント画像及び理想プリント画像を参照・比較(複数の画像コマのプリント画像及び理想プリント画像が表示されている場合には、各画像コマのプリント画像及び理想プリント画像を各々参照・比較)することにより、プリンタプロセッサ10が標準状態から偏倚していないか否か検定する。そして、プリンタプロセッサ10の各種処理条件の何れかが標準状態での処理条件から偏倚していると判断した場合には、検定結果として、露光量の補正を行うことを表す情報を入力すると共に、露光量に対する補正値を入力する。
【0167】
またオペレータは、ディスプレイ100に表示されているプリント画像を参照(複数の画像コマのプリント画像及び理想プリント画像が表示されている場合には、各画像コマのプリント画像を1コマずつ参照)することにより、指定した画像のプリント結果が適正か否かの検定(例えばプリント画像の各部分の濃度、色等が適正か否かの判定等)を行う。そして、プリント結果も適正であると判断した場合には、検定結果が「全てOK」であることを表す情報を入力するが、プリント結果が適正でない画像が有った場合には、検定結果として再プリントを行うことを表す情報を入力すると共に、再プリントを行う画像の露光量に対する補正値を入力する。
【0168】
上記のようにしてオペレータから何らかの情報が入力されると、ステップ406の判定が肯定されてステップ408へ移行する。ステップ408では、オペレータによる検定結果を判定しており、検定結果が「全てOK」であった場合には処理を終了するが、検定結果が「露光量の補正」であった場合にはステップ410へ移行する。
【0169】
ステップ410では、現在ディスプレイ100に表示している全ての画像について、ステップ402で取り込んだプリント画像データと検定結果と共に入力された露光量に対する補正値とに基づいて、入力された補正値により露光量を補正したときのプリント画像を表すシミュレーション画像を生成し、次のステップ412では生成したシミュレーション画像及び理想プリント画像をディスプレイ100に同時に表示する。ステップ414では検定結果の入力を要請するメッセージを表示した後に、オペレータから検定結果が入力されたか否か判定する。
【0170】
一方、オペレータは、表示されたシミュレーション画像と理想プリント画像とを比較・参照し、双方の画像の各部分の濃度、色等が一致又は略一致したか否かに基づいて、先に入力した露光量の補正値が適正か否か判定する。そして、適正でなければ露光量の補正値を再度入力し、適正であれば検定結果が「OK」であることを表す情報を入力する。
【0171】
次のステップ416ではオペレータによる検定結果を判定しており、露光量の補正値が再度入力された場合にはステップ410へ戻り、ステップ410〜416を繰り返す。また、検定結果が「OK」であることを表す情報が入力された場合にはステップ418へ移行し、最終的に入力された露光量の補正値を、実際に露光量演算にフィードバックする露光量補正値ΔEとして設定する。
【0172】
上記により、プリントプロセッサ10の各種処理条件の何れかが標準状態での処理条件から偏倚しているとオペレータが判断した場合には、この処理条件の偏倚に伴うプリント画像の画質の変化が補正されるように露光量補正値ΔEが設定されることになる。このステップ418及び露光時に露光量補正値ΔEに基づいて露光量Eを補正する処理(図3のステップ160)は請求項10に記載の補正手段に対応している。
【0173】
次のステップ430では、上記の露光量の補正により検定結果は「全てOK」となったかをオペレータに確認するメッセージをディスプレイ100に表示し、オペレータが「全てOK」と判断しているか否か判定する。判定が肯定された場合には処理を終了するが、判定が否定された場合(例えば再プリントすべき画像コマが有るとオペレータが判断している場合)にはステップ406へ戻り、検定結果の入力を再度要請する。
【0174】
またステップ408において、検定結果が「再プリント」であった場合にはステップ420へ移行する。ステップ420では、再プリントを行う画像として指定された画像について、ステップ402で取り込んだプリント画像データと検定結果と共に入力された露光量に対する補正値とに基づいて(先のステップ418で露光量補正値ΔEが設定された場合には、この補正値も加味して)、入力された補正値により露光量を補正したときのプリント画像を表すシミュレーション画像を生成し、次のステップ422では生成したシミュレーション画像(及び理想プリント画像)をディスプレイ100に同時に表示する。
【0175】
ステップ424では検定結果の入力を要請するメッセージを表示した後に、オペレータから検定結果が入力されたか否か判定する。一方、オペレータは、表示されたシミュレーション画像を参照し、表示されたシミュレーション画像の各部分の濃度、色等が適正か否か基づいて、先に入力した露光量の補正値が適正か否か判定する。そして、適正でなければ露光量の補正値を再度入力し、適正であれば検定結果が「OK」であることを表す情報を入力する。
【0176】
次のステップ426ではオペレータによる検定結果を判定しており、露光量の補正値が再度入力された場合にはステップ410へ戻り、ステップ420〜426を繰り返す。また、検定結果が「OK」であることを表す情報が入力された場合にはステップ428へ移行し、最終的に入力された露光量の補正値を、再プリントを行う際に実際に露光量演算にフィードバックする露光量補正値として設定・記憶すると共に、再プリントを行う画像を識別するための情報(例えばコマ番号等)を記憶し、ステップ430へ移行する。
【0177】
このように、本第6実施形態ではオペレータより指定された画像のプリント画像及び理想プリント画像をディスプレイ100に同時に表示するので、オペレータは、例えば実際のプリントを手に取って検定する等の煩雑な作業を行うことなく、ディスプレイ100に表示されたプリント画像を参照することにより、指定した画像のプリント結果が適正か否かの検定を行うことができると共に、表示されたプリント画像及び理想プリント画像を参照・比較することにより、プリンタプロセッサ10が標準状態か否かの検定を容易に行うことができる。
【0178】
また、ディスプレイ100に表示された画像を参照することで検定を行うことができるので、例えばプリンタプロセッサ10等の写真処理装置が複数台設置された現像所等において、各写真処理装置のプリント結果等を表示するディスプレイ(1台でも複数台でも良い)を所定箇所(例えば写真処理装置が設置されている箇所から離れている箇所等)に配設し、各写真処理装置の処理条件の管理、プリント結果の検定を前記所定箇所で集中的に行うことも可能である。
【0179】
なお、上記実施形態では、ネガ画像を読み取る第1の読取手段としてCCDイメージセンサ86を、プリント画像を読み取る第2の読取手段としてCCDイメージスキャナ76を各々設けた例を説明したが、単一の画像読取センサによってネガ画像及びプリント画像を各々読み取る構成としてもよい。例として、図16にはCCDイメージセンサ86(請求項8に記載の画像読取素子に相当)によってネガ画像及びプリント画像を読み取るようにした構成が示されている。
【0180】
図16の構成では、光源114から射出され印画紙16で反射された光が一端側に入射されるように配置された、多数本の光ファイバから成る光ファイバアレイ116(案内手段)が設けられており、CCDイメージセンサ86の光入射側には、図16に実線で示す位置又は破線で示す位置に移動されるミラー118が設けられている。光ファイバアレイ116の他端側はミラー118の配設位置付近まで延設されている。
【0181】
ミラー118が実線で示す位置に位置している状態では、分配用プリズム32で分配された光(ネガ画像を透過した光)がCCDイメージセンサ86に入射され、CCDイメージセンサ86によってネガ画像が読み取られる。また、ミラー118が破線で示す位置に位置している状態では、光源114から射出され印画紙16のプリント画像で反射された光が光ファイバアレイ116によってミラー118の配設位置に案内され、ミラー118で反射されてCCDイメージセンサ86に入射されることにより、CCDイメージセンサ86によってプリント画像が読み取られる。
【0182】
上記のように、単一の画像読取センサ(上記ではCCDイメージセンサ86)を第1の読取手段及び第2の読取手段が共有する構成とすれば、読取手段に要するコストを低減することができる。なお、光ファイバアレイ116に代えて、ミラー等により光を案内するようにしてもよい。
【0183】
また、上記では印画紙16がCCDイメージスキャナ76の配設位置に到達すると実行される露光量補正処理において、理想プリント画像の画像特徴量の演算を行っていたが、これに限定されるものではなく、露光処理(図3)において、又は印画紙16がプロセッサ部64で処理されている間に、理想プリント画像の画像特徴量の演算を行って演算結果を記憶しておくようにしてもよい。
【0184】
更に、ネガ画像を測光するCCDイメージセンサ86(第1の読取手段)と、プリント画像を測光するCCDイメージスキャナ76(第2の読取手段)とが各々測光対象画像を各々同数の画素に分割して測光する(すなわち解像度が同一)構成を説明したが、第1の読取手段と第2の読取手段の解像度は異なっていてもよい。この場合、画像特徴量として画面平均濃度を用いるのであれば、第1の読取手段からのネガ画像データ及び第2の読取手段からのプリント画像データを、画面平均濃度の演算にそのまま用いることができるが、画像特徴量として第2実施形態以降で説明した各種の画像特徴量の何れかを用いる場合には、ネガ画像データ及びプリント画像データの何れかに対して解像度変換等の処理を行うことにより、ネガ画像データを構成する画素数とプリント画像データを構成する画素数とを一致させた後に前記画像特徴量の演算を行うようにすればよい。
【0185】
また、第1の読取手段及び第2の読取手段として、CCDラインセンサ、MOS型センサ等の他の画像読取センサを適用することも可能である。また画像読取素子は、画像を各成分色毎に分解して読み取るものに限定されるものではなく、画像の各部のグレーレベルを読み取る構成の素子を適用することも可能である。この場合、相違度z及び露光量補正値ΔEは各色の平均的な値を演算し、演算した露光量補正値ΔEに基づいて各色毎の露光量を一様に補正すればよい。本発明はこのような実施形態も含むものである。
【0186】
また、上記では標準状態となるように調整されたプリンタプロセッサ10により所定露光量eT でネガ画像を露光したときのネガ濃度dとプリント濃度Dとの関係(プリント理想特性)を記憶しておき、このプリント理想特性を、実際にネガ画像の露光を行った際の露光量Eに応じて平行移動させることにより、露光量eで露光を行ったときのプリント理想特性を得るようにしていたが、ネガ画像の画像特徴量(例えば濃度)と露光量とプリント画像の画像特徴量(例えば濃度)との関係を3次元のマップとして記憶しておき、このマップより実際のネガ画像の濃度及び該ネガ画像を露光した際の露光量に対応する理想プリント画像の画像特徴量を求めるようにしてもよい。また、上記関係をネガフィルム14のフィルム種毎に求めて記憶しておき、プリンタプロセッサ10にセットされたネガフィルム14のフィルム種を判断し、判断したフィルム種に対応する前記関係を用いて理想プリント画像の画像特徴量を求めるようにしてもよい。
【0187】
更に、上記では1本のネガフィルム14に対する処理を行う毎に、該ネガフィルム14から印画紙16に焼付露光を行った全ての画像(ネガ画像及びプリント画像)を用いて露光量補正値ΔEを演算していたが、露光量補正値ΔEを演算する周期、及び露光量補正値ΔEの演算に用いる画像は上記に限定されるものではなく、例えば一定期間が経過する毎、又は一定本数のネガフィルムを処理する毎、又は一定数の画像の焼付露光を行う毎に、前回露光量補正値ΔEを演算してから焼付露光を行った全ての画像、又は一定数の画像、又は所定の画像特徴量(例えば画面平均濃度)が所定範囲内に収まっている画像を用いて、露光量補正値ΔEを演算するようにしてもよい。
【0188】
また、上記では(1)式によって露光量Eを求めた後に、該露光量Eを露光量補正値ΔEによって補正していたが、露光量補正値ΔEを露光量演算式に組み込むことにより、露光量の演算及び相違度zの値に基づく露光量の補正を同時に行うようにしてもよい。
【0189】
また、上記では相違度zより露光量補正値ΔEを演算する方法の一例として、相違度zに係数aを乗じた値を現在設定されている露光量補正値ΔE0 に加算することにより新たな露光量補正値ΔEを演算するようにした例(第1実施形態の(4)式参照)を説明したが、これに限定されるものではなく、過去に演算した相違度z(例えば1本のネガフィルム14に記録された各ネガ画像からプリントした各プリント画像について各々演算した相違度zの平均値等)を記憶しておき、例えばN−1回前から現在に至るN回の相違度zの演算で各々演算された相違度zの値の時系列的な変化に基づいて露光量補正値ΔEを演算するようにしてもよい。N=2とした場合の露光量補正値ΔEの演算式の一例を次の(10)式に示す。
【0190】
ΔE=a×z(T)+b×(z(T)−z(Tー1))+ΔE0 …(10)
但し、 z(T) :今回演算した相違度
z(Tー1):前回演算した相違度
ΔE0 :現在設定されている露光量補正値
a,b :係数(a>0,b>0)
(10)式では、相違度zの時系列的な変化傾向に応じて露光量補正値ΔEの値が調整される。すなわち、今回演算した相違度z(T)が前回演算した相違度z(Tー1)より大きい場合には、相違度zの値は時系列的に増加傾向にあると判断できるが、この場合、露光量補正値ΔEは、(4)式に従って演算した場合と比較してb×(z(T)−z(Tー1))だけ値が増加されるので、次回に演算される相違度zの値が小さくなるように、すなわちプリンタプロセッサ10の状態の変動に対する露光量補正の追従性が向上するように、露光量補正値ΔEを設定できる。また、今回演算した相違度z(T)が前回演算した相違度z(Tー1)より小さい場合には、相違度zの値は時系列的に減少傾向にあると判断できるが、この場合、露光量補正値ΔEは、(4)式に従って演算した場合と比較してb×(z(T)−z(Tー1))だけ値が減少されるので、露光量を過剰に補正することを抑制できる。
【0191】
(10)式はN回の演算で各々得られた相違度zに基づいて相違度zの時系列的変化を推定し、次回に演算される相違度zが0に収束するように露光量補正値ΔEを求めており、所謂予測関数である。予測関数としては従来より種々の関数が知られており、露光量補正値ΔEの演算に際しては周知の種々の関数の何れを用いてもよく、最適な関数、アルゴリズムを実験的に求めて適用すればよい。
【0192】
更に、上記ではプリンタプロセッサ10でネガ画像を印画紙16に複写して通常サイズのプリントを作成する場合に本発明を適用した例を説明したが、この通常プリントの作成と別に行われる、縮小された複数の画像がマトリクス状に配列されたインデックスプリント画像を印画紙16に複写してインデックスプリントを作成する場合に本発明を適用することも可能である。このインデックスプリントの作成は、プリンタプロセッサ10に組み込まれた副露光部、或いはプリンタプロセッサ10と別に設けられたインデックスプリンタによって行われるが、通常プリント画像が理想プリント画像に一致するように通常プリント画像を露光する際の露光を制御すると共に、インデックスプリント画像が理想プリント画像に一致するように、前記副露光部又はインデックスプリンタによりインデックスプリント画像を露光する際の露光を制御すれば、同一のネガ画像から得られる通常プリントとインデックスプリントとの仕上り(画像の各部分の濃度や色バランス等)を略一致させることができる。
【0193】
更に、上記では原画像の複写方式として、ネガフィルム14に記録されたネガ画像の全面を透過した光を印画紙16に照射することにより画像を露光(所謂面露光)する方式を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば原画像に応じて変調したレーザ光によって画像を走査露光する方式や、液晶パネルやCRT等の表示手段に原画像を表示し、表示手段を透過した光又は表示手段から射出される光によって画像を露光する方式(所謂デジタルプリント方式)を適用することができる。また本発明を、原画像を感光体ドラムに露光し、感光体ドラム上に形成された画像を普通紙やOHPシート等の複写材料に転写することにより原画像を複写材料に複写する、所謂電子写真式の複写機等に適用することも可能である。
【0194】
また、上記では原画像としてネガフィルム14に記録された画像を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば普通紙やその他の材料に記録された画像や、コンピュータ等の情報処理装置から出力される画像データ等を原画像とすることも可能である。また複写材料としても、印画紙等の感光材料以外に、普通紙やOHPシート等を適用することも可能である。
【0195】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は特許請求の範囲に記載した技術的事項の実施態様以外に、以下に記載した技術的事項の実施態様を含んでいる。
【0196】
(1)前記記憶手段は、前記原画像の画像特徴量と露光量と標準複写画像の画像特徴量との関係として、標準状態とされた複写手段により原画像を複写材料に所定露光量で露光させ該複写材料に標準複写画像を形成させた場合の、原画像の濃度と複写画像の濃度との関係を記憶しており、前記演算手段は、標準複写画像の推定に際し、複写手段が原画像を複写した際の露光量が前記所定露光量に一致していた場合には、前記記憶手段に記憶されている関係を用いて標準複写画像の推定を行い、複写手段が原画像を複写した際の露光量が前記所定露光量と異なっている場合には、記憶手段に記憶されている前記関係に基づいて、前記複写手段が原画像を前記露光量で複写材料に露光し該複写材料に標準複写画像を形成した場合の原画像の濃度と複写画像の濃度との関係を推定し、推定した関係を用いて標準複写画像の推定を行うことを特徴とする請求項2記載の複写装置。
【0197】
上記によれば、原画像の濃度と複写画像の濃度との関係を、所定露光量についてのみ記憶すれば良いので、前記関係を記憶するために必要な記憶容量を小さくすることができ、装置のコストを低減することができる。
【0198】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1、請求項5乃至請求項7、請求項10、請求項11及び請求項12の各発明は、各種処理条件の変動に拘らず複写画像の画質を高精度で一定とすることができる、という優れた効果を有する。
【0199】
請求項2の発明は、上記効果に加え、標準状態とされた複写手段により形成される標準複写画像を精度良く推定することができる、という効果を有する。
【0200】
請求項3の発明は、上記効果に加え、相違度の値の信頼性を向上させることができる、という効果を有する。
【0201】
請求項4の発明は、上記効果に加え、複写画像のうち特に画質の評価で注目される主要部領域の画質を高い精度で一定とすることができる、という効果を有する。
【0202】
請求項8の発明は、上記効果に加え、装置のコストを低減することができる、という効果を有する。
【0203】
請求項9の発明は、上記効果に加え、複写画像が適正な色バランスとなるように露光量を補正することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るプリンタプロセッサの概略構成図である。
【図2】プリンタ部の光学系、ネガ画像及びプリント画像の測光を行う測光系、制御部及びその周辺の構成を示す概略図である。
【図3】露光処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の露光量補正処理を示すフローチャートである。
【図5】プリンタプロセッサが標準状態のときの、(A)は所定濃度のネガ画像を用いた場合の露光量−プリント濃度特性、(B)は理想プリント特性の一例、(C)は理想プリント特性の他の例を各々示す線図である。
【図6】第2実施形態の露光量補正処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態における相違度の演算を説明するための線図である。
【図8】第3実施形態の露光量補正処理を示すフローチャートである。
【図9】各画素に重み係数を設定するために用いる複数の濃度範囲の一例を示す概念図である。
【図10】各画素に重み係数を設定するために用いる複数の色領域の一例を示す概念図である。
【図11】第4実施形態の露光量補正処理を示すフローチャートである。
【図12】第5実施形態の露光量補正処理を示すフローチャートである。
【図13】画像を複数領域に分割するために用いる分割パターンの一例を示す概念図である。
【図14】第6実施形態の理想プリント画像推定処理を示すフローチャートである。
【図15】第6実施形態の画像表示・露光量補正処理を示すフローチャートである。
【図16】単一のセンサによりネガ画像及びプリント画像の測光を行うための測光系の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
10 プリンタプロセッサ
14 ネガフィルム
16 印画紙
24 キーボード
28 色補正フィルタ
36 ブラックシャッタ
76 CCDイメージスキャナ
86 CCDイメージセンサ
94 制御部
100 ディスプレイ
Claims (12)
- 原画像を読み取る第1の読取手段と、
前記第1の読取手段による読み取りによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算する露光量演算手段と、
前記露光量演算手段によって演算された露光量で前記原画像を複写材料に複写し、該複写材料に複写画像を形成させる複写手段と、
前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取る第2の読取手段と、
前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像の画像特徴量又は前記標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定し、前記第2の読取手段による読み取りによって得られた前記複写画像を表す第2の画像データから求まる前記複写画像の画像特徴量と、前記導出した前記標準複写画像の画像特徴量、又は前記導出した標準複写画像データから求まる前記標準複写画像の画像特徴量と、を比較することにより、前記複写画像と前記推定した標準複写画像との相違度を演算する演算手段と、
前記演算手段によって演算された相違度に基づいて、前記露光量演算手段によって演算される露光量を補正する補正手段と、
を含む複写装置。 - 予め求められた、標準状態とされた複写手段により原画像を複写材料に露光させ該複写材料に標準複写画像を形成させた場合の、原画像の画像特徴量と露光量と標準複写画像の画像特徴量との関係を記憶した記憶手段を更に備え、
前記演算手段は、前記第1の画像データ、前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量、及び前記記憶手段に記憶されている前記関係に基づいて標準複写画像を推定する
ことを特徴とする請求項1記載の複写装置。 - 前記演算手段は、複写画像の画像特徴量及び標準複写画像の画像特徴量を各々複数用い、複写画像及び標準複写画像の各画像特徴量を対応する特徴量毎に比較することにより相違度を演算する
ことを特徴とする請求項1記載の複写装置。 - 前記演算手段は、画像中の主要部に関連すると推定される画像特徴量の比較結果の重みが大きくなり、画像中の主要部に関連しないと推定される画像特徴量の比較結果の重みが小さくなるように、複写画像及び標準複写画像の各画像特徴量の比較結果に対して重み付けを行い、重み付けを行った結果に基づいて相違度を演算する
ことを特徴とする請求項3記載の複写装置。 - 前記演算手段は、前記第2の画像データが表す複写画像の各画素毎の画像特徴量と、前記標準複写画像データが表す標準複写画像の各画素毎の画像特徴量とを、画像を構成する全画素又は所定の基準に従って選択した複数画素の各々について比較した結果に基づいて相違度を演算する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の複写装置。 - 前記演算手段は、前記第2の画像データから複写画像のヒストグラムを求めると共に、標準複写画像データから標準複写画像のヒストグラムを求め、双方のヒストグラムを比較した結果に基づいて相違度を演算するか、又は第2の画像データ及び標準複写画像データのうち、双方のヒストグラム上で対応している画素の画像特徴量を比較した結果に基づいて相違度を演算する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の複写装置。 - 前記演算手段は、所定の基準に従って複写画像及び標準複写画像を複数の領域に各々分割し、各領域毎に画像特徴量を演算し、複写画像及び標準複写画像の各領域の画像特徴量を対応する領域毎に比較した結果に基づいて相違度を演算する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の複写装置。 - 前記第1の読取手段及び第2の読取手段は、画像を読み取る単一の画像読取素子を共有しており、該画像読取素子によって原画像及び複写画像を各々読み取ることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の複写装置。
- 前記第2の読取手段は、複写画像を複数の成分色に分解して読み取り、
前記補正手段は、前記第2の読取手段による読み取りによって得られた第2の画像データに基づいて、複写画像上で輝度が最大の画素を判断し、該画素の色相が白となるように露光量を各成分色毎に補正する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の複写装置。 - 原画像を読み取る第1の読取手段と、
前記第1の読取手段による読み取りによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算する露光量演算手段と、
前記露光量演算手段によって演算された露光量で前記原画像を複写材料に複写し、該複写材料に複写画像を形成させる複写手段と、
前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取る第2の読取手段と、
前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定する推定手段と、
前記第2の読取手段によって読み取られた複写画像及び前記推定手段によって推定された標準複写画像を表示する表示手段と、
露光量の補正値を入力するための入力手段と、
前記入力手段を介して入力された露光量の補正値により、前記露光量演算手段によって演算される露光量を補正する補正手段と、
を含む複写装置。 - 原画像を読み取り、
前記原画像を読み取ることによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算し、
複写手段により前記原画像を前記演算した露光量で複写材料に露光させ、該複写材料に複写画像を形成させ、
前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取ると共に、
前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像の画像特徴量又は標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定し、前記複写画像を読み取ることによって得られた前記複写画像を表す第2の画像データから求まる前記複写画像の画像特徴量と、前記導出した標準複写画像の画像特徴量、又は前記導出した標準複写画像データから求まる標準複写画像の画像特徴量と、を比較することにより、前記複写画像と前記推定した標準複写画像との相違度を演算し、
演算した相違度に基づいて、原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正する
複写制御方法。 - 原画像を読み取り、
前記原画像を読み取ることによって得られた前記原画像を表す第1の画像データに基づいて、前記原画像を複写材料に複写する際の露光量を演算し、
複写手段により前記原画像を前記演算した露光量で複写材料に露光させ、該複写材料に複写画像を形成させ、
前記複写手段によって複写材料に形成された複写画像を読み取ると共に、
前記第1の画像データ及び前記複写手段が前記原画像を複写材料に複写した際の露光量に基づいて、前記複写手段が標準状態であった場合に複写材料に形成される標準複写画像を表す標準複写画像データを導出することで前記標準複写画像を推定し、
前記読み取った複写画像及び前記推定した標準複写画像を表示し、
入力された露光量の補正値により、原画像を複写材料に複写する際の露光量を補正する
複写制御方法。
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