空気調和装置の室内機には、室外機につながり断熱材で覆われた液化冷媒用配管及び気化冷媒用配管や除湿水排出用配管等が接続される。室内機から出るこれらの配管群は、建物の天井面や壁面のような構造物表面に沿って配置される。
構造物表面に直接固定したケース状の配管化粧カバー内にこれらの配管群を収納して該化粧カバーにより該配管群を支持することは知られている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3等)。
しかしながら、この種の構造物表面に直接固定されるケース状配管化粧カバーを用いる場合、壁面や天井面の塗装等を含む化粧仕上げが全て完了した後で、該ケース状配管化粧カバーを壁面や天井面に取付け、その後で、配管群を敷設・収納する必要があり、各種の工事の手順が限定されてしまう。また、ケース状配管化粧カバーを配設した後で構造物表面の再塗装などを行う場合、当該カバーの背後の構造物表面部分の塗装を行えないことから、10数年程度で空調機器を取替える際に配管群と共にケース状配管化粧カバーを取替えようとすると、塗装状態の異なる領域が露出してしまうので、美観を考慮すれば、構造物の表面全体の再塗装を行う必要が生じてしまう。
一方、弾力性のある断熱材で覆われた配管を含む配管群がバンド式取付金具により結束され構造物の表面から間隔をおいた状態で該構造物に取付けられてなる結束配管群を蔽うために、板金加工により形成した配管化粧カバーを、板金加工を行いつつ取付けることは、知られている。
この種の従来の配管化粧カバー150が適用される配管群は図12及び図13に示すようなものである。図12において、構造物101の壁102の内面には、空気調和装置の室内機103が設けられ、室内機103につながった配管群115が壁102の孔104から室外に導出されている。配管群115は、例えば、図13に示したように、銅製の液化冷媒用配管111,銅製の気化冷媒用配管112,除湿水排出用配管113及び電源コード114からなる。液化冷媒用配管111及び気化冷媒用配管112は、夫々、発泡樹脂材等の弾力性のある断熱材116及び117によって、被覆されている。
配管群115は、バンド式取付金具130によって結束された結束配管群110になっている。このバンド式取付金具130は、蝶番式でバンド式の取付金具本体131と取付足部132とからなる。バンド式取付金具本体部131は、冷媒用配管111,112の被覆断熱材116,117を図13の(b)に示したように弾性変形させた状態で配管群115を結束して結束配管群110を形成する。
従って、結束配管群110は、金具本体131で結束された結束部分の近傍部分すなわち結束領域118では全体として小径になり、他の部分すなわち結束領域118から離れた非結束領域119では全体としてより大径になる。また、結束配管群110を構成する各配管等111,112,113,114には曲がりクセ等が残っていることも多く、各配管等が真直ぐ直線状には延びていないことから、結束配管群110の非結束領域119自体も、厳密には、その長手方向の部位により太さが異なる。
一方、取付足部132は、取付金具本体部131を、壁102の外面105から例えば10cm程度離した状態で、壁102に固定・保持する。従って、配管群115は、壁102の外面105から間隔をおいた状態で該外面105に沿って壁102に装着される。
その結果、結束配管群110は、壁102の孔104から壁面105に実際上垂直に突出する水平方向延在部121と該水平延在部121からコーナー部ないし曲折部120で実際上直角に湾曲して典型的には上下方向に延びる鉛直方向延在部122とを備える。なお、図12では上下方向延在部122が下向きに延びている例を示したけれども、ビル等では通常は屋上に室外機が配置されるので、上下方向延在部122は上向きに延びる。
従来の配管化粧カバー150は、図12に想像線で示したように、薄いステンレス鋼板や防食メッキされた薄い鋼板からなる円筒状カバー部150とコーナーカバー部170とを含む。
円筒状カバー部150は、図14の(a)〜(d)に示したように、ハゼ折加工されて、薄鋼板151の一方の側縁152に板金の折曲加工による係止端部153を備えた係止用凹部154を有し、他方の側縁155に該凹部154に嵌込まれて係止端部153に係止される係止突起156を備えた係止用凸部157を有する。
円筒状カバー部150は、結束配管群110のうち鉛直方向延在部122や水平方向延在部121の周りに被せられる。但し、円筒状カバー部150を構成する薄鋼板151は重量を抑える必要があるので比較的薄いことから、結束配管群110の非結束領域119の最大径部よりも径が小さい場合には、薄鋼板151の円筒に不均一に働く弾性力により筒が不均一に歪むのを避け難いので、円筒状カバー部150としては、結束配管群110のうち非結束領域119の最大径部以上の内径を与えるもの、実際上は、該径よりも多少大きいものが用いられる。
一方、円筒状カバー部150と結束配管群110との間には隙間が生じることから、特に、径の小さい領域等には詰め物が詰められる。しかしながら、円筒状カバー部150は、結束配管群110に対して遊嵌されるに等しい状態であることから、円筒状カバー部150の支持は、安定なものにはなり難い。従って、円筒状カバー部150を確実に安定に支えようとすると、該カバー部150自体を取付具130と同様な取付具で壁102に固定することが必要になってしまう。
なお、円筒状カバー部150を装着するに際して、係止用突部157を係止用凹部154に嵌込んで係止突起156を係止用凹部154の係止端部153に一旦係止させると、係止用凹部154や係止用凸部157を実際上壊さない限り係止は解除されず、円筒状カバー部150は取外せない。
また、円筒状カバー部150が取付金具130を蔽う部分では、取付足部132が通るように、カバー150の側縁部155,152が切欠かれる。
一方、コーナーカバー部170は、図14の(e)に示したように、コーナーカバー本体部173と該本体部173をコーナーの内縁部ないし内側部に取付けるための一対の足部174,174とを備える。コーナーカバー本体部173は、多数の板金片171を側縁大径化部172で相互に接合してなる。コーナーカバー部170の装着ないし取付に際しては、本体部173の両端大径部175,175を円筒状カバー部150,150(図12参照)の端部に被せると共に足部174,174を折曲加工しながら円筒状カバー150の端部上においてコーナーの内縁部ないし内側部に取付ける。このコーナーカバー部170の装着には、板金の加工技能を要することから、コーナーカバー部170は、専門の板金工でなければ実際上取付けできない。一方、コーナーカバー部170なしで配管化粧カバー150だけが用いられることはほとんどないことから、実際には、専門の板金工抜きでは、板金を用いた配管化粧カバー150すら敷設できない。また、この場合、直線状配管化粧カバー150の装着後にコーナーカバー部170をその上に取付けるので、配管化粧カバー150が有すべき長さの事前測定が正確でなくてコーナーカバー部170において許容される誤差の範囲を越える長さの誤差があると、コーナー化粧カバー部170の取付の際に、既に筒状に装着済みの配管化粧カバー150の円形端部を切断し直したり継ぎ足す必要が出る虞れもある。
なお、以上においては、結束配管群110が外壁102に沿って延びる例について説明したけれども、室内機が天井に取付けられ、配管群115が天井面等に沿って水平に延びたり水平に延びた後上下方向に延びるような場合においても、同様な問題が生じ得る。
登録実用新案第3068311号公報
特開平9−280476号公報
特開平2−236095号公報
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、構造物表面の塗装等の処理を妨げることがないだけでなく、特殊技能なくして容易に装着可能で且つ安定に取付けられ得る配管化粧カバーを提供することにある。
本発明の配管化粧カバーは、前記目的を達成すべく、弾力性のある断熱材で覆われた配管を含む配管群がバンド式取付金具により結束され構造物の表面から間隔をおいた状態で該構造物に取付けられてなる結束配管群を蔽う配管化粧カバーであって、弾力性断熱材を圧縮変形させるに十分剛性の高いプラスチック構造体からなる少なくとも二つの部分円筒状本体部と、該少なくとも二つの部分円筒状本体部が全体として円筒状形状をなすように該少なくとも二つの部分円筒状本体部の周方向両端に位置する自由側縁部がつながる円筒形成位置と該両端の自由側縁部が開いた開位置との間で開閉され得るように周方向に隣接する部分円筒状本体部の隣接側縁部を繋ぐ幅の狭い可撓性プラスチック構造体からなる枢支折曲部とを有し、前記少なくとも二つの部分円筒状本体部が前記結束配管群のまわりで前記円筒形成位置を採る際、前記配管群を構成する弾力性のある前記断熱材を圧縮変形させるような径を有し、前記二つの自由側縁部のうちの一方の自由側縁部が周方向に並んだ複数の係合部又は被係合部を備え、他方の自由側縁部が該複数の係合部又は被係合部のうちの任意の一つの係合部又は被係合部に係合可能で該係合部又は被係合部に係合された際前記少なくとも二つの部分円筒状本体部を前記円筒形成位置に保つ被係合部又は係合部を備える。
本発明の配管化粧カバーでは、「弾力性断熱材を圧縮変形させるに十分剛性の高いプラスチック構造体からなる少なくとも二つの部分円筒状本体部と、該少なくとも二つの部分円筒状本体部が全体として円筒状形状をなすように該少なくとも二つの部分円筒状本体部の周方向両端に位置する自由側縁部がつながる円筒形成位置と該両端の自由側縁部が開いた開位置との間で開閉され得るように周方向に隣接する部分円筒状本体部の隣接側縁部を繋ぐ幅の狭い可撓性プラスチック構造体からなる枢支折曲部とを有し、前記少なくとも二つの部分円筒状本体部が前記結束配管群のまわりで前記円筒形成位置を採る際、前記配管群を構成する弾力性のある前記断熱材を圧縮変形させるような径を有する」ので、前記少なくとも二つの部分円筒状本体部を円筒形成位置に設定すると、各部分円筒状本体部がその形状を維持したまま弾力性断熱材を圧縮変形して全体として円筒状体が形成され得る。この円筒状体の形成に際して、弾力性断熱材が弾性変形に抗する弾性力を円筒状体に及ぼすので、円筒状体は、結束配管群に対して実際上心合せされ得る。また、「前記二つの自由側縁部のうちの一方の自由側縁部が周方向に並んだ複数の係合部又は被係合部を備え、他方の自由側縁部が該複数の係合部又は被係合部のうちの任意の一つの係合部又は被係合部に係合可能で該係合部又は被係合部に係合された際前記少なくとも二つの部分円筒状本体部を前記円筒形成位置に保つ被係合部又は係合部を備える」ので、自由側縁部の被係合部又は係合部をもう一方の自由側縁部の任意の一つの係合部又は被係合部に係合させることにより、形成された円筒状体が維持され得る。従って、円筒状体が結束配管群に対して実際上心合せされた状態において、結束配管群自体によって保持され得る。その結果、円筒状体を形成すると、長手方向についても、円筒状体が安定に保たれ得る。従って、円筒状態を安定に支持するために別の取付金具などを用いる必要がない。しかも、自由側縁部の被係合部又は係合部がもう一方の自由側縁部において周方向に並んだ複数の係合部又は被係合部のうちの任意の一つの係合部又は被係合部に係合され得るので、被係合部又は係合部に係合されるべき係合部又は被係合部を選ぶことにより、円筒状体が結束配管群の太さに応じた適切な締付強度で適切な径を採り得る。
また、本発明の配管化粧カバーは、断熱材を圧縮変形させた状態で結束配管群に直接取付けられるので、該配管化粧カバーと構造物表面との間には、バンド式取付金具の足部の長さ分だけの間隙が残るから、該構造物表面の塗装の如き表面仕上げが、配管群や配管化粧カバーの取付後でも容易に且つ一様に行われ得るので、作業工程の柔軟性が確保され得、構造物表面に対する再塗装等も、配管化粧カバーの存在によって妨げられることなく、該表面の実際上全体に対して容易に行われ得、構造物表面の美観を適切に保ち易い。
バンド式取付金具は、典型的には、蝶番式のバンドからなる取付金具本体部と、該本体部を建物の外壁や天井の如き構造物の表面に取付ける足部とを備え、取付金具本体部が、断熱被覆層を比較的強く圧縮変形させた状態で、配管群を結束する。
この明細書において、部分円筒状本体部のプラスチック構造体について、「弾力性断熱材を圧縮変形させるに十分剛性が高い」とは、該プラスチック構造体が圧縮変形された断熱材による反作用力によっては実際上変形されない程度の構造的な剛性(例えば、厚さ)を備えると共に、該プラスチック構造体を構成するプラスチック材料が、圧縮変形された断熱材による反作用力によっては実際上変形されない程度の硬さを備えることをいい、典型的には、刃物や切断工具などによる切断に際しては、該切断が容易に行われ得る程度に実際上比較的軟らかいプラスチック材料からなる。
可撓性プラスチック構造体は、単に厚さが異なるのみで剛性の高いプラスチック構造体と同一材料からなり曲げやすい形状を備えていても、部分円筒状本体部を構成するプラスチック構造体のプラスチック材料よりは軟質のプラスチック材料で形成されていてもよい。後者の場合、二種類のプラスチック材料を用いるためには、二色成形による押出し加工などを行えばよい。
剛性の高いプラスチック構造体からなる部分円筒状本体部のプラスチック材料としては、耐候性や耐色性等の観点からは、例えば、塩化ビニール樹脂が用いられる。その場合、ヒンジ部を形成する可撓性プラスチック構造体を構成する軟質のプラスチック材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂や、ABS樹脂や、PET樹脂が用いられる。但し、所望ならば、両方を、ポリプロピレン樹脂で形成し、厚さ及び形状によってヒンジ部となる可撓性プラスチック構造体を形成してもよい。その場合、ポリプロピレン樹脂には、紫外線吸収材を混入した着色材を添加して、所望の色にするようにしてもよい。
配管群は、典型的には、空気調和装置に用いられる断熱被覆付の冷媒配管等からなるけれども、弾力性のある断熱材で被覆された配管を含む複数の配管からなる限り、他の用途に用いられる配管群であってもよい。
以上において、係合部は、被係合部に対して取外し可能に係合されても、実際上取外し不能に係合されてもよい。前者の場合、係合部と被係合部との係合を解除するだけで配管化粧カバーの取外しを行い得るようにし得るので、例えば、配管から冷媒等の漏れが生じた場合には、単に係合を解除するだけで、断熱材で被覆された配管等を露出することが可能になり、メンテナンスも容易になる。
前者の場合、典型的には、被係合部が、一方の自由側縁部の外周面又は内周面に周方向に間隔をおいて並び被係止面を備えた凹部又は凸部(爪部)からなり、係合部が他方の自由側縁部の内周面又は外周面に形成され被係止面の凹部又は凸部(爪部)と相補的形状の係止面を備えた凸部(爪部)又は凹部からなる。これらの場合、好ましくは、係合状態において、円筒の外周面及び内周面が実際上滑らかな円を形成し得るように、自由側縁部の厚みは他の部分よりも薄く形成される。ここで、係合部及び被係合部は両方が一組になって係合部分を構成するものである限り、一方の自由側縁部にあるものを被係合部の代わりに係合部とみなし、他方の自由側縁部にあるものを係合部の代わりに被係合部とみなしてもよい。
後者の場合、典型的には、一方の自由側縁部が周方向に延びた厚さの薄い突出部で側面に被係合部としての被係合爪部を備えたものからなり、他方の自由側縁部がその端縁から周方向の深さを有する溝部を備え該溝部の一方の側壁の内面に係合部が形成されたものからなり、被係合部を備えた突出部が係合部の溝部に嵌合されて突出部の被係合爪部が溝部の側壁の内面の係合爪部に係合される。
いずれの場合においても、典型的には、被係合部及び係合部は、円筒の母線の延在方向に連続的に延びる。その場合、配管化粧カバーは、押出し成形によって形成され得る。但し、所望ならば、被係合部及び係合部のうちの少なくとも一方が、長手方向に間隔をおいて形成されていてもよい。その場合、押出し成形の後、凹凸などの分離処理が施されてもよい。なお、係合部が被係合部に対して取外し可能に係合されるように構成される場合、配管保護カバーが押出し成形の代わりに射出成形等で形成されてもよい。
また、係合部を構成する係合爪部や被係合部を構成する被係合爪部の係合ないし噛み合い深さないし高さを確保するために、所望ならば、部分円筒状部の本体部の厚さでは不足する場合には、係合部及び被係合部のうちの一方又は両方の部分を厚くしておいてもよい。その場合、典型的には、係合部分を内周側に突出させることによって、厚みを確保する。
本発明の配管保護カバーでは、典型的には、前記少なくとも二つの部分円筒状本体部が、二つの実質的に半円筒状本体部からなり、該半円筒状本体部が夫々の一方の隣接側縁部において枢支折曲部で連結されている。
この場合、枢支折曲部がバンド式取付金具の蝶番部の径方向突出部に当接し該部位で位置決めされて該取付金具を含む部位に被せられ得るから、中心合せが容易に行われ得る。但し、所望ならば、二つの部分円筒状本体部のうちの一方が半円よりも大きい周方向範囲にわたって拡がった部分円筒状本体部からなり他方が半円よりも小さい周方向範囲にわたって拡がった部分円筒状本体部からなっていてもよい。また、所望ならば、部分円筒状部分が三つ以上の部分からなり、周方向に隣接する部分円筒状部分が枢支折曲部で連結されていてもよい。いずれの場合でも、部分円筒状本体部自体が十分な剛性を有することから、係合部と被係合部との係合の際に、結束配管群の断熱材に対する圧縮変形が進行するに伴って、部分円筒状本体部が断熱材から受ける反作用により複数の部分円筒状本体部からなる円筒体の大まかな中心合せが自動的に行われ得、該圧縮変形された弾性材によって、配管化粧カバーが安定に支持され得る。
本発明の配管化粧カバーでは、典型的には、係合部及び被係合部の両方が周方向に並んだ複数の係合部分を有する。
その場合、弾性材を強く圧縮変形させる小径化が行われるときには、係合が複数箇所で行われることから、支持がより強固に行われ易い。但し、所望ならば、係合部及び被係合部のうちの一方は、一つだけでもよい。
本発明の配管化粧カバーは、バンド式取付金具の結束部のうち半径方向外向きに突出した蝶番部に係合されて位置決めされる被係合位置決め部を内周面に備えていてもよい。
その場合、前述のように、被係合位置決め部が蝶番部に係合されることにより、心合せが行われ易い。なお、被係合位置決め部は、典型的には、枢支折曲部からなるけれども、所望ならば、枢支折曲部とは別個に被係合位置決め部が内周面において母線の延在方向に形成されていてもよい。また、取付足部を受容する切欠を自由側縁部の両方に同程度に形成するか、異なる深さに形成するか、いずれか一方のみに形成するかに応じて、被係合位置決め部の両側の部分円筒状部分の周方向長さが適宜選択されればよい。
本発明の配管化粧カバー構造体は、典型的には、上述のような配管化粧カバーを少なくとも二つ備えると共に、該配管化粧カバーを長手方向に接続する短い配管化粧カバーコネクタを備えた配管化粧カバー構造体であって、配管化粧カバーコネクタが、全体として、配管化粧カバーの端部開口の内径よりも小さい外径の被嵌合円筒部を両端部に形成する二つの部分円筒状体からなり、該部分円筒状体は、被嵌合円筒部が配管化粧カバーの隣接開口端部内に嵌合されるように構成される。
その場合、配管化粧カバーの接続が容易に行われ得る。ここで、本発明の配管化粧カバーでは、部分円筒状体が十分な剛性を備えることから、複数の部分円筒状態によって形成される円筒状体が確実にほぼ円形の横断面を有し得るので、コネクタは円筒状体に確実に嵌合され得る。なお、構造体の全体の長さの調整は、該構造体を形成する少なくとも一つの配管化粧カバーの長さを調整する(配管化粧カバーを適切な長さに切断する)ことにより、行われ得る。
特に、配管化粧カバーコネクタが、全体として、配管化粧カバーの端部開口の内径よりも小さい外径の被嵌合円筒部を両端部に形成する二つの部分円筒状体からなり、該部分円筒状体は、被嵌合円筒部が配管化粧カバーの隣接開口端部内に嵌合されるように構成されているので、配管カバーコネクタの端部の被嵌合円筒部のまわりに配管化粧カバーが被せられて円筒状配管化粧カバーが形成される際に圧縮変形させる断熱材の弾性復元力により、配管化粧カバーコネクタの被嵌合円筒部を構成する部分円筒状体が半径方向外向きに配管化粧カバーの端部開口の内周面に押付けられるから、配管化粧カバーとカバーコネクタとが強固に嵌合され得る。部分円筒状体の対向端面には、例えば、シール材や防水用の接着材等が介在されてもよい。前者の場合には、配管化粧カバーを取外し可能に保つことも可能になる。なお、対向端面の形状を選択することによりシールし易くしてもよい。
円筒状配管化粧カバーの係合部分の厚みが厚くて半径方向内向きに突出している場合には、当該突出部分を受容する凹部を、配管化粧カバーコネクタの端部の被嵌合円筒部に形成しておいてもよい。
以上において、配管化粧カバーコネクタを構成する二つの部分円筒状体は、典型的には、その接合面に、小さな凹部や凸部を有し、一方の部分円筒状体の接合面の該凹部や凸部が他方の部分円筒状体の接合面の相補的形状の凸部や凹部に丁度嵌り込む。その場合、一方の部分円筒状体の接合面には、凹部のみを形成し、他方の部分円筒状体には、相補的形状の凸部のみを形成してもよい。但し、所望ならば、一方の部分円筒状体の接合面に凹部と凸部とを交互に形成して、他方の部分円筒状体の接合面には、相補的形状の凸部と凹部とを交互に形成してもよい。その場合、二つの部分円筒状体を半円筒状体で形成すると共に、一方の半円筒状体と他方の半円筒状体とは、同一(一種類)の半円筒状体からなり得る。
更に、本発明の配管化粧カバー構造体は、典型的には、上述のような記載の配管化粧カバーを少なくとも二つ備えると共に、配管群のコーナー部において該配管化粧カバーを接続する短いコーナー配管化粧カバーを備えた配管化粧カバー構造体であって、コーナー配管化粧カバーが、全体として、配管化粧カバーの端部開口の内径よりも小さい外径の被嵌合円筒部を両端部に形成しL字状に折曲ったL型円筒を形成する二つのL字状の部分円筒状体からなり、該L字状部分円筒状体は、被嵌合円筒部が配管化粧カバーの隣接開口端部内に嵌合されるように構成される。
その場合、コーナー部ないし折曲部のカバーが特殊技能なくして容易に配設され得る。このようなコーナー配管化粧カバーの採用は、実際上、上述の配管化粧カバーを用いることにより、可能になるものである。すなわち、上述のように、本発明の配管化粧カバーでは、部分円筒状体が十分な剛性を備えることから、複数の部分円筒状体によって形成される円筒状体が確実にほぼ円形の横断面を有し得るので、コーナー配管化粧カバーはその両端部で円筒状体の開口端部内に確実に嵌合されて保持され、該嵌合のみによって、コーナー部のカバーとして働き得る。
なお、このコーナー配管化粧カバーの場合にも、配管化粧カバーコネクタの場合と同様に、特に、「コーナー配管化粧カバーが、全体として、配管化粧カバーの端部開口の内径よりも小さい外径の被嵌合円筒部を両端部に形成しL字状に折曲ったL型円筒を形成する二つのL字状の部分円筒状体からなり、該L字状部分円筒状体は、被嵌合円筒部が配管化粧カバーの隣接開口端部内に嵌合されるように構成されている」ので、コーナー配管化粧カバーの端部の被嵌合円筒部のまわりに配管化粧カバーが被せられて円筒状配管化粧カバーが形成される際に圧縮変形させる断熱材の弾性復元力により、コーナー配管化粧カバーの被嵌合円筒部を構成する部分円筒状体が半径方向外向きに配管化粧カバーの端部開口の内周面に押付けられるから、配管化粧カバーとコーナー配管化粧カバーとが強固に嵌合され得る。勿論、配管化粧カバーとコーナー配管化粧カバーとの嵌合部には、所望に応じて、弾力性のある嵌合補助層やシール材等が介在されてもよい。この場合、配管化粧カバーを取外し可能に保ち得る。但し、所望ならば、防水用の接着材層を嵌合部分に介在させてもよい。
円筒状配管化粧カバーの係合部分の厚みが厚くて半径方向内向きに突出している場合には、当該突出部分を受容する凹部を、コーナー配管化粧カバーの端部の被嵌合円筒部に形成しておいてもよい。このような凹部は、コーナー部の曲がり方向を考慮して、例えば、周方向に90度間隔で、四箇所設けられる。但し、その箇所は、一箇所だけのようにより少なくても、五箇所以上でもよい。
この場合にも、コーナー配管化粧カバーを構成する二つの部分円筒状折曲体ないし部分円筒状コーナー体は、典型的には、その接合面に、小さな凹部や凸部を有し、一方の部分円筒状折曲体の接合面の該凹部や凸部が他方の部分円筒状折曲体の接合面の相補的形状の凸部や凹部に丁度嵌り込む。その場合、一方の部分円筒状折曲体の接合面には、凹部のみを形成し、他方の部分円筒状折曲体には、相補的形状の凸部のみを形成してもよい。但し、所望ならば、一方の部分円筒状折曲体の接合面に凹部と凸部とを交互に形成して、他方の部分円筒状折曲体の接合面には、相補的形状の凸部と凹部とを交互に形成してもよい。その場合、二つの部分円筒状折曲体を同一(一種類)の半円筒状折曲体で形成し得る。
また、本発明の配管化粧カバー構造体では、例えば二つ割のコーナー配管化粧カバーをコーナー部に仮止めしておいて、該コーナー配管化粧カバーの位置に応じて、現場で、直線状配管化粧カバーの端部位置に印をつけて、該印に基づいて直線状配管化粧カバーを切断してその長さを確定し得るので、配管のコーナー部までの長さや直線状配管化粧カバーの長さ等を正確に測定することなくしても、適切な長さで取付が行なわれ得る。ここで、コーナー配管化粧カバーの半割体などの仮止めのためには、テープなどを用いてもよいけれども、所望ならば、接合面の凸部と凹部とが軽く係止されるようになっていてもよい。後者の場合、直線状配管化粧カバーをコーナー配管化粧カバーのまわりに装着した後、接合部分に沿って薄い板金などを挿入して係止を解除するようにしてもよい。
本発明の好ましい第一実施例の配管化粧カバーの説明をする前に、該カバーが適用されるべき結束配管群の一例の形態の天井配管について、図4に基づいて説明する。
図4において、建築物10の天井11には、蝶番式でバンド式の天井取付金具20により、配管群30が取付けられている。天井取付金具20は、蝶番式の金具本体21と、該金具本体21を天井11の下面12から離れた位置に取付ける足部22とを有する。蝶番式金具本体21は、図4の(b)からわかるように、夫々の一端において蝶番部23で相互に枢支された二つのほぼ半円状で剛性の高い本体半体部24,25と、該本体半体部24,25の他端において半径方向外向きに延びた取付部分26,27とを有する。天井取付金具20の足部22は、一端において金具本体21の取付部分26,27に接続され、他端が天井11に取付けられており、この足部22の長さ分だけ、配管群30が天井面12から離れて位置決めされる。
なお、天井取付金具20は、配管群30の長手方向に間隔をおいて設けられており、その間隔は、典型的には、1m〜3m程度であるけれども、場合によって、それよりも短くても長くてもよい。
配管群30は、銅等の伝熱性の高い金属製の液化冷媒用配管31及び気化冷媒用配管32と、樹脂製の除湿水排出用配管33と、絶縁被覆を備えた電源等のケーブル34とを含み、更に、液化冷媒用配管31及び気化冷媒用配管32の夫々を被覆する発泡樹脂材等の弾力性のある断熱材被覆層35,36を含む。但し、所望ならば、更に他の配管やケーブルなどを含んでいても、一部の配管やケーブルを欠いていてもよい。各配管31,32,33及びケーブル34は、大まかには、平行に延びているけれども、通常はむしろ、多少なりとも不規則な曲がりクセが残っていて、複雑に絡み合いながら延びている。
天井取付金具20の金具本体21は、図4の(a)及び(b)からわかるように、液化冷媒用配管31や気化冷媒用配管32の弾力性断熱材被覆層35,36を比較的強く圧縮変形させた状態で配管群30を一体に結束して結束配管群37を形成し、全体を固定している。従って、天井取付金具20によって取付けられた状態では、結束配管群37を構成する配管群30の配管31,32,33等は、金具20による結束部分38では細くなってその相対位置が固定され、長手方向に隣接する金具20,20(図4では一つの金具20のみ図示)の間の部分39では太いままでその位置に多少の自由度が残っている。
図1及び図2には、本発明の好ましい第一実施例の配管化粧カバーとしての天井配管化粧カバー40を、図4の天井吊下結束配管群37に適用した例が示されている。
配管化粧カバー40は、弾力性断熱材35,36を圧縮変形させるに十分剛性の高いプラスチック構造体(例えば、塩化ビニール樹脂製の数mm程度の厚さのもの)からなる二つの半円筒状本体部41,42と、該半円筒状本体部41,42の周方向に隣接する隣接側縁部47,48を繋ぐ幅の狭い可撓性プラスチック構造体としての軟質プラスチック構造体部分からなる枢支折曲部49とを有する。配管化粧カバー40では、二つの半円筒状本体部41,42が全体として円筒状形状をなすように該二つの半円筒状本体部41,42の周方向両端43,44に位置する自由側縁部45,46がつながる円筒形成位置P1(図2の(b)や図1)と該両端の自由側縁部が開いた開位置P2(図1の(b)の下方部分や図2の(a))との間で、半円筒状本体部41,42が枢支折曲部49のまわりで回動可能で、A1,B1方向に閉じられたりA2,B2方向に開かれ得る。配管化粧カバー40は、典型的には、2m程度の長さを有する。但し、より短くても(例えば数10cm程度)、より長くても(例えば数m以上)よい。枢支折曲部49は、数回程度の開閉(回動)を許容するような構造及び材料でも、それ以上、例えば、10回程度又はそれ以上の開閉(回動)を許容する構造及び材料でもよい。
枢支折曲部49は、図示の例では、外周面側に形成された薄肉部50からなる。この薄肉部50及び本体部41,42の端部47,48のうち薄肉部50につながる領域(薄肉部50の近傍領域)51,52は、半円筒状本体部41,42を構成するプラスチック材料よりも軟らかい軟質プラスチック材料(例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂又はPET樹脂等)からなる。なお、枢支折曲部49は、本体部41,42よりも軟らかい材料で形成される代わりに、本体部41,42と同一材料(例えば、ポリプロピレン樹脂)を薄くて折曲を容易にする波形等の形状にすることにより形成されてもよい。
図示の例では、半円筒状本体部41,42が閉位置P1を採るとき、半円筒状本体部41,42の側縁部47,48の端面47a,48aの間にV字状の間隙53が残っている。
但し、所望ならば、図3に示したように、半円筒状本体部41,42が閉位置P1を採るとき、半円筒状本体部41,42の側縁部47,48の端面47a,48aが相互に実質的に当接するようになっていてもよい。更に、枢支折曲部49の支持強度が確保される限り、所望ならば、半円筒状本体部41,42の自由側縁部45,46が周方向に少し離れた状態にあるときに、端面47a,48aが当接し、半円筒状本体部41,42が閉位置P1を採るためには、半円筒状本体部41,42自体がA1,B1方向に撓む必要があるようになっていてもよい。
二つの自由側縁部45,46のうちの一方の自由側縁部45が周方向に並んだ複数の被係合部54a,54b,・・(総称するとき又は相互に区別しないときは符号54で表す)を全体として鋸歯状に備え、他方の自由側縁部46が該複数の被係合部54のうちの任意の一つの被係合部54に係合可能な係合部55を備える。この例では、係合部55も周方向に並んだ全体として鋸歯状の複数の係合部55a,55b,・・(総称するとき又は相互に区別しないときは符号55で表す)からなる。
より詳しくは、この例では、被係合部54が自由側縁部45の内周面側の薄い円弧状基部56から半径方向外向きに突出した突起ないし被係合爪部(換言すれば、内周面側の円弧状基部56において半径方向内向きに凹んだ凹部)からなり、係合部55が自由側縁部46の外周面側の薄い円弧状基部57から半径方向内向きに突出した突起ないし係合爪部(換言すれば、外周面側の円弧状基部57において半径方向外向きに凹んだ凹部)からなる。従って、係合部55と被係合部54とが係合した状態において、当該係合部分58の半径方向の厚さは、半円筒状本体部41,42の中央部の厚さと実質的に同程度である。なお、係合部分58にはA2,B2方向に開く力だけでなく半径方向外向きの力がかかるので、これらの力によっては、係合部55と被係合部54との間の係合が外れないように、係合部55及び被係合部54の係合面の傾斜角度や係合深さは予め適切に設定される。
なお、ここで、被係合部54と係合部55とは、相互に係合すればよいので、部位54を被係合部の代わりに係合部とみなし、部位55を係合部の代わりに被係合部とみなしてもよい。
配管化粧カバー40は、図1の(b)の下部において、符号P2で示した開位置に設定された状態で、配管群30(より詳しくは、結束配管群37)に被せられる。このとき、図1の(c)に示したように、取付金具20の天井面側の足部22及び本体21のうち足部22につながる部分27,26を避けるように、自由側縁部45,46の一部を、所望の工具で切欠いて切欠部59a,59b(区別しないとき又は総称するときは符号59で表す)を形成する。切欠部59は、典型的には、両方の自由側縁部45,46に形成されるけれども、所望ならば、一方の自由側縁部45又は46のみに、切欠部59を形成してもよい。その場合、切欠部59の周方向深さは深くなる。配管化粧カバー40の半円筒状本体部41,42は、弾力性断熱材35,36に対しては十分な剛性を有するけれども、例えば塩化ビニール程度の硬さのプラスチック材料で形成され得るので、工具による切欠部59a,59bの形成は、配管化粧カバー40の取付現場で、作業者によって容易に行われ得る。
配管化粧カバー40を結束配管群37に被せるに際しては、例えば、図2の(a)に示したように、半円筒状本体部41,42が開位置P2にある配管化粧カバー40を、枢支折曲部49の内面47a,48a(すなわち端部47,48の端面47a,48a)が取付金具20の蝶番部23に当接するように位置決めしておき、次に、配管化粧カバー40の半円筒状本体部41,42をA1,B1方向に回動させて閉位置P1に向かって移動させる。このような本体部41,42のA1,B1方向の回動の最終段階では、本体部41,42は、その内面で結束配管群37の弾力性断熱被覆層35,36に当接し該断熱被覆層35,36をD1,E1方向(図2の(b))に圧縮変形させる。この圧縮変形は、一方では、結束配管群37の配管群30のうち金具20から離れた領域において曲がった配管部分や曲がったケーブル部分を多少なりとも直線的に整列させ、他方では、圧縮変形された断熱材35,36の反作用によりカバー40自体を該配管群37に対して心合せさせるべく働く(ここで、心合せとは、中心が一致することまでを要求するものではなく、円筒状カバー40の半径方向に働く力がバランスするような位置をカバー40が結束配管群37に対して採ることを指し、このとき、結束配管群37の弾性断熱材35,36も変形されて円筒状カバー40から受ける力がバランスするような位置を採ることにより、両者が安定位置を採ることになる)。化粧カバー40の半円筒状本体部41,42は、蝶番部23を含む金具20の本体部21の外径及び金具20から離れた長手方向部位における配管群37の太さ(配管群30の太さ)とに応じた適切な径になるところまで径小されて、係合部55が被係合部54に係合される。
この係合を確実に且つ強固に行わせるために、典型的には、例えば、図2の(b)において想像線41aで示したように、内周側に位置すべき被係合部54を備えた本体部41の自由側縁部45が、外力がかからない状態では、外周側に位置すべき係合部55を備えた自由側縁部46よりも半径方向外側に位置するように、半円筒状本体部41の曲率を本体部42の曲率よりも少し小さくしておき、係合に際しては、被係合部54を備えた自由側縁部45を半径方向内向きに押込み、半円筒状本体部41に、例えば、図2の(b)の破線で示した位置41bを採らせた後、係合させる。なお、この場合、半径方向外側に位置する係合部55を備えた半円筒状本体部42が半円筒状本体部41を所定の位置で位置決めし得るように、半円筒状本体部42の剛性を半円筒状本体部41の剛性よりも高くしておいてもよい。そのためには、半円筒状本体部42を、半円筒状本体部41よりも少し厚くしておいても、半円筒状本体部42よりも少し剛性の高い材料で形成しておいてもよい。
係合部55と被係合部54とを係合させるに際しては、配管化粧カバー40が、被覆断熱材層35,36において圧縮変形された結束配管群37により十分安定に支持され得るようになるまで、半円筒状本体部41,42をA1,B1方向に回動させて、適切な周方向係合深さのところで係合部55と被係合部54とを係合させる。図では、係合部55や被係合部54が三箇所しかないけれども、所望ならば、より長い周方向範囲にわたって、係合部55や被係合部54が形成されていてもよい。
なお、配管化粧カバー40は、典型的には、2m程度の長さを有し、且つ被係合部54及び係合部55の凹凸ないし爪部は、典型的には、配管化粧カバー40の長さ方向の全体にわたって一様に延びるので、この配管化粧カバー40の本体部41,42のA1,B1方向の回動位置調整は、長さ方向の全体が適切な締付けを弾性被覆材35,36に与えるところまで行われる。その結果、配管化粧カバー40自体を別の取付金具などで壁や天井等に別途固定したり支持することなくして、配管化粧カバー40が結束配管群37に対して所定位置に安定に位置決めされ得る。
配管化粧カバー40の長さは、典型的には、取付金具20の取付間隔と同程度であるので、配管化粧カバー40は、典型的には、少なくとも一つの取付金具20の本体部21を包む形で取付けられるけれども、場合によっては、取付金具20のない箇所において、結束配管群37のうち比較的肥大化したままの配管群部分39に直接配管化粧カバー40を被せることもありうる。その場合にも、配管化粧カバー40が配管群30の弾性材35,36を圧縮変形させつつ配管群30に取付けられて、配管群30に対して心合せされつつ該配管群30に安定に固定され得ることは、同様である。但し、配管化粧カバー40の締付けの程度を結束配管群37の全体にわたってほぼ一様にするためには、典型的には、配管化粧カバー40の少なくとも一部が金具20に係合することが好ましい。
配管化粧カバー40は、図5に示した配管化粧カバーコネクタないし配管カバーコネクタ60によって接続される。配管カバーコネクタ60は、一対の半円筒状体61a,61b(総称するとき又は両者を区別しないときには符号61で表す)からなる。半円筒状体61a,61bは、典型的には、同一の構造及び形状を有する。但し、所望ならば、二つ一組の鏡映対称な半円筒状体で構成してもよい。
半円筒状体61は、中央の大径半円筒状部62と、該大径半円筒状部62の両端に段差部63c,63d(総称するとき又は両者を区別しないときには符号63で表す)を介して連続的につながった小径半円筒状部64c,64d(総称するとき又は両者を区別しないときには符号64で表す)とを有する。大径半円筒状部62と小径半円筒状部64c,64dとは、直径方向の反対側に位置する面一の半径方向延在面65c,65d(総称するとき又は両者を区別しないときには符号65で表す)を備える。一方の面65cには、突起66cと凹部67cとが形成され、他方の面65dには、突起66dと凹部67dとが形成されている。突起66c,66dは同一形状で凹部67c,67dは突起66c,66dと相補的形状であり、突起66c,66d及び凹部67c,67dは大径部62の隣接段差部63から等距離にある。従って、突起66と対向する凹部67とを嵌め合わせるように二つの半円筒状体61を組合わせれば、円筒状体69の形態の配管カバーコネクタ60が形成される。なお、突起66が凹部67に仮固定(軽く係止)されるように相互の形状が構成されていてもよい。
なお、より厳密には、半円筒状体61,61は、その面65c,65dと対向面65d,65cとが当接された際に小径半円筒状部64,64により形成される被嵌合円筒状部としての小径円筒状部64Aの外径が配管化粧カバー40の最小内径(係合部55が被係合部54に対して周方向に最も深く係合された状態を採るとき(図示の例では、係合部55aが被係合部54cに係合される位置を採るとき)の内径)よりも少し小さいようにしておく。
従って、配管化粧カバー40,40を繋ぐときには、例えば、配管カバーコネクタ60を構成する半円筒状体61,61を結束配管群37のまわりの所望部位に対向させて配置しておき、円筒状配管化粧カバー40の部分円筒状本体部41,42をA1,B1方向に回動させて係合部55を被係合部54に係合させることにより円筒状配管化粧カバー40を形成する際、結束配管群37のうち肥大化した配管群部分39の断熱材35,36の弾性力に抗して断熱材35,36を圧縮変形させつつ、カバーコネクタ60の半円筒状体61,61をその対向面65c,65d及び65d,65cが実際上当接するところまで小径化する。配管化粧カバー40の係合部55と被係合部54とを所望位置で係合させて、配管化粧カバー40に加えた外力を解除する(突起66が凹部67に仮固定されているときには該仮固定も解除する)と、配管カバーコネクタ60を構成する半円筒状体61,61が結束配管群37の肥大化配管群部分39の圧縮変形された弾力性断熱材35,36の弾性復元力によってF1,F2方向(図5の(a))の分離力を受けるので、半円筒状体61,61の小径円筒状部64,64が円筒状配管化粧カバー40の端部開口部40aの内面に押付けられて、嵌合が完了する。従って、配管化粧カバー40の端部開口部40aとこれに隣接するカバーコネクタ60の被嵌合円筒状部としての端部小径部64Aとが断熱材35,36の弾性力によって強固に結合され得る。この場合、配管化粧カバー40の外径とカバーコネクタ60の大径部分62Aの外径とが実質的に同じであるから、外見上は全体が一つの配管によって形成されているように見える。
なお、カバーコネクタ60の他端の小径円筒状部64Aのまわりに、もう一つの配管化粧カバー40を被せる場合にも、同様にして、該小径円筒状部64Aと配管化粧カバー40の隣接端部開口部40aとの強固な嵌合が達成され得ることは明らかであろう。
ここで、配管カバーコネクタ60は、配管化粧カバー40の端部開口部40a内に両端が嵌合されて配管化粧カバー40によって支持され保持されるから、半割体の形態で構成され得、結束配管群37に対して容易に適用されて、配管化粧カバー40の外径とほぼ同一の外径を備えた大径円筒状部62A(二つの大径半円筒状部62,62からなる)により配管化粧カバー40を実質的に長く繋ぐことを可能にする。
以上において、半円筒状体61,61の直径方向延在面65,65間には、僅かな隙間が形成されることになる。従って、所望ならば、該面65,65のうち突起66や凹部67以外の部分に厚さ方向に弾性を有するパッキンやシール材を介在させてシールするようにしてもよい。また、面65c、65dを半径方向に延在させる代わりに、半径方向に対して所望の同一角度だけ傾斜させておいてもよい。更に、所望ならば、例えば、面65を単なる半径方向延在面にする代わりに、図5の(b)において想像線で示したように、半円筒状体61のうち中央の大径半円筒状部62の一側の外周側部分に面65に直角にほぼ周方向に延在する壁部68aを形成すると共に他側の外周部分に面65に直角に延在する切欠68bを形成しておいて、周方向延在壁部68aが切欠き68bに嵌り込む深さの変動で径の変化を吸収しつつ実質上の簡易シールをするようにしておいてもよい。
なお、配管化粧カバー40の係合部55と被係合部54との係合箇所の差異に伴う配管化粧カバー40の径の変動が大きい場合には、所望ならば、小径半円筒状部64,64として、配管化粧カバー40の係合部分58の係合状態の差に伴うカバー40の開口部40aの内径の差異に応じた径のものを準備しておいてもよい。
一方、結束配管群37の延在方向が変わるコーナー部では、図6及び図7に示したようなコーナー配管化粧カバー70が用いられる。コーナー配管化粧カバー70は、直線状に延びる代わりにL字状に曲がっている点を除いて、配管カバーコネクタ60と実質的に同様に形成され得る。転向角度は、典型的には90度であるけれども、より大きくてもより小さくてもよい。
より詳しくは、コーナー配管化粧カバー70は、L字状に曲がった一対の半円筒状体71a,71b(総称するとき又は両者を区別しないときには符号71で表す)からなる。L字状半円筒状体71a,71bは、典型的には、同一の構造及び形状を有する。但し、所望ならば、二つ一組の鏡映対称な半円筒状体で構成してもよい。
L字状半円筒状体71は、中央のL字状大径半円筒状部72と、該大径半円筒状部72の両端に段差部73c,73d(総称するとき又は両者を区別しないときには符号73で表す)を介して連続的につながった小径半円筒状部74c,74d(総称するとき又は両者を区別しないときには符号74で表す)とを有する。大径半円筒状部72と小径半円筒状部74c,74dとは、面一の半径方向延在面75c,75d(総称するとき又は両者を区別しないときには符号75で表す)を備える。コーナー部の外側に位置する面75cには、突起76cと凹部77cとが交互に形成され、コーナー部の内側に位置する面75dには、突起76dと凹部77dとが形成されている。突起76c,76dは同一形状で凹部77c,77dは突起76c,76dと相補的形状であり、突起76c,76d及び凹部77c,77dは大径半円筒状部72の隣接段差部73から等距離にある。従って、突起76と対向する凹部77とを嵌め合わせるように二つの半円筒状体71,71を組合わせれば、L字状大径円筒状部72A及びその両端の小径円筒状部74A,74AからなるL字状コーナー形成用円筒状体79の形態の配管カバーコネクタすなわちコーナー配管化粧カバー70が形成される。ここで、大径円筒状部72Aは、一対の大径半円筒状部72,72からなり、各小径円筒状部74Aも、一対の小径半円筒状部74,74からなる。この場合にも、突起76と凹部77とが仮固定(軽く係止)されるような相対形状ないし構造になっていてもよい。
なお、より厳密には、L字状半円筒状体71,71は、その面75c,75dと対向面75c,75dとが当接された際に小径半円筒状部74,74により形成される小径円筒状部74Aの外径が配管化粧カバー40の端部開口部40aの最小内径(係合部55が被係合部54に対して周方向に最も深く係合された状態を採るときの内径)よりも少し小さいようにしておく。
従って、配管群30のコーナー部にコーナー配管化粧カバー70を被せて配管化粧カバー40,40をコーナー配管化粧カバー70により繋ぐときには、例えば、コーナー配管化粧カバー70を構成する半円筒状体71,71を結束配管群37のコーナー部に対向させて配置しておき(所望ならば、テープなどで仮固定するか、突起76と凹部77とが相互に仮固定可能な場合は相互に嵌合・仮固定しておき)、コーナー配管化粧カバー70の長さに応じた適正長さの円筒状配管化粧カバー40の部分円筒状本体部41,42をA1,B1方向に回動させて係合部55を被係合部54に係合させることにより円筒状配管化粧カバー40を形成する際、結束配管群37のうち肥大化した配管群部分39の断熱材35,36の弾性力に抗して断熱材35,36を圧縮変形させつつ、コーナー配管化粧カバー70の半円筒状体71,71をその対向面75c,75d及び75c,75dが相互に実際上当接するところまで小径化する。配管化粧カバー40の係合部55と被係合部54との間の所望位置における係合が完了して、配管化粧カバー40に加えた外力を解除する(なお、コーナー配管化粧カバー70の半円筒状体71,71を相互に仮固定してある場合には、更に、該仮固定を解除する)と、コーナー配管化粧カバー70を構成する半円筒状体71,71が結束配管群37の肥大化配管群部分39の圧縮変形された弾力性断熱材35,36の弾性復元力によってF3,F4方向(図6の(a))の分離力を受けるので、半円筒状体71,71の被嵌合円筒状部としての小径円筒状部74Aを構成する小径円筒状部74,74が円筒状配管化粧カバー40の端部開口部40aの内面に押付けられて、嵌合が完了する。従って、配管化粧カバー40の端部開口部40aとこれに隣接するコーナー配管化粧カバー70の端部小径部74Aとが断熱材35,36の弾性力によって強固に結合され得る。この場合、配管化粧カバー40の外径とコーナー配管化粧カバー70の大径部分72Aの外径とが実質的に同じであるから、コーナー部分においても、外見上は全体が一つの配管によって形成されているように見える。
なお、コーナー配管化粧カバー70の他端の被嵌合円筒状部としての小径円筒状部74Aのまわりに、もう一つの配管化粧カバー40を被せる場合にも、同様にして、該小径円筒状部74Aと配管化粧カバー40の隣接端部との強固な嵌合が達成され得ることは明らかであろう。
ここで、コーナー配管化粧カバー70は、配管化粧カバー40の端部開口部40a内に両端が嵌合されて配管化粧カバー40によって支持され保持されるから、半割体の形態で構成され得、配管群37に対して容易に適用されて、配管化粧カバー40の外径とほぼ同一の外径を備えた大径円筒状部72Aにより配管化粧カバー40をコーナー部で繋ぐことになる。
以上において、半円筒状体71,71の直径方向延在面75,75間には、僅かな隙間が形成されることになる。従って、所望ならば、該面75,75のうち突起76や凹部77以外の部分に厚さ方向に弾性を有するパッキンやシール材を介在させてシールするようにしてもよい。また、所望ならば、例えば、面75を単なる半径方向延在面にする代わりに、図6の(b)において想像線で示したように、半円筒状体71のうち中央の大径半円筒状部72の外側面75cの外周側部分のうち半分の部分に面75cに直角にほぼ周方向に延在する壁部78aを形成すると共に残りの半分の部分に面75cに直角に延在する切欠78bを形成しておき、内側面75dの内周側部分のうち半分の部分に面75dに直角にほぼ周方向に延在する壁部78cを形成すると共に残りの半分の部分に面75dに直角に延在する切欠78dを形成しておいて、周方向延在壁部78a,78cが切欠き78b,78dに嵌り込む深さの変動で径の変化を吸収しつつ実質上のシールを簡便に形成するようにしておいてもよい。
なお、配管化粧カバー40の係合部55と被係合部54との係合箇所の差異に伴う配管化粧カバー40の径の変動が大きい場合には、所望ならば、小径半円筒状部74,74として、配管化粧カバー40の係合部分58の係合状態の差に伴うカバー40の内径の差異に応じた径のものを準備しておいてもよい。
このコーナー配管化粧カバー70の取付には、従来のような板金加工技術は要しない。従って、配管化粧カバー40,60,70からなる配管化粧カバー構造体80を実際上誰でも容易に敷設し得ることになり、空調設備や配管等の敷設やメンテナンスが容易に行われ得ることになる。
なお、建物の如き構造物10の上下方向に延びる壁部13に該壁部13の表面すなわち壁面14から間隔をおいて配管群30を配設する場合、図8の(a)及び(b)に示したような壁取付金具20Aが用いられる。この壁取付金具20Aは蝶番式の金具本体21Aと取付足部22Aとからなり、金具本体21Aは、図8の(a)からわかるように、夫々の一端において蝶番部23Aで相互に枢支された二つのほぼ半円状の本体半体部24A,25Aと、本体半体部24A,25Aの他端において半径方向外向きに延びた取付部分26A,27Aとを有する。壁取付金具20の足部22Aは、一端において金具本体21Aの取付部分26A,27Aに接続され、他端が壁部13に取付けられており、この足部22Aの長さ分だけ、配管群30の結束配管群37が壁面14から離れて位置決めされる。なお、壁取付金具20Aは、配管群30ないし結束配管群37の長手方向に間隔をおいて設けられており、その間隔は、典型的には、1m〜3m程度であるけれども、場合によって、それよりも小さくても大きくてもよい。
このような上下方向に延びた結束配管群37に対する配管取付カバー40の取付け方は、図1及び図2に示したように水平方向に延びた結束配管群37に対する取付けと実質的に同様である。
従って、例えば、図7に示したコーナー配管化粧カバー70の上下方向に延びた端部小径部74Aのまわりに上下方向に延びる配管化粧カバー40の端部を、図6に関して説明したように被せて配管化粧カバー40を組付けることにより、コーナー配管化粧カバー70と上下方向配管化粧カバー40とを結合し得る。
なお、配管化粧カバー40の係合部分としては、以上に説明したような取外し可能な係合部分58にする代わりに、一旦係合させた後は実際上取外しできない係合部分80を備える配管化粧カバーであってもよく、そのような一例の配管化粧カバー40Bを、図9に示す。
図9の配管化粧カバー40Bは、係合部分58の代わりに係合部分80を備える点を除いて、図1及び図2などに示した配管化粧カバー40と実質的に同一の構造を備える。従って、配管化粧カバー40Bにおいて、配管化粧カバー40と実質的に同一又は同様な要素ないし部分又は部位については、同一の符号が付されている。また、部分的に異なる要素ないし部分又は部位については、同一の符号の後に符号Bが付されている。
配管化粧カバー40Bの係合部分80は、図9の(b)からわかるように、被係合部81と係合部82とからなる。被係合部81は、係合部分58の被係合部54と同様な複数の被係合爪部81a,81b,・・を外周側に備える。但し、被係合部81の基部83は、被係合部54の基部56とは異なり、本体部41Bの内周面84よりも径方向外側において周方向に延び、内周面84との間に段差部85が形成されている。一方、係合部分80の係合部82は、端縁86で開口した周方向溝部ないし凹部87を備えると共に、該溝部87の外側周壁88の内面に係合部55と同様な複数の係合爪部82a,82b,・・を有する。係合部82の溝部87の内側周壁90は、薄い円弧状部91からなり、溝部87に被係合部81が挿入される際に、被係合部81の基部83の内周面92を案内し、該内周面92に溝側面93で接する。
この係合部分80は、本体部41B,42BのA1,B1方向変位により被係合部81が係合部82の周方向溝87に挿入される周方向深さに応じて異なる半径状態で係止が行われる点では、係合部分58と同様であるけれども、被係合部81が係合部82に周方向溝部87に一旦挿入されて被係合爪部81が係合爪部82に係合されると、円弧状部91が被係合部81の半径方向内向きの相対変位を禁止するので、本体部41B,42BのA2,B2方向変位は実際上禁止され、許容されるのは、更なるA1,B1方向変位に限られる点で、係合部分58とは異なる。
このような係合部分80を備えた配管化粧カバー40Bが、配管化粧カバー40の代わりに用いられて、配管化粧カバー40と同様な役割を果たし得ることは明らかであろう。
また、図3において想像線95a,95bで示したように、部分円筒状部分を三つの部分円筒状部分96a,96b,96cで構成し、周方向に隣接する部分円筒状部分96a,96b間を枢支折曲部97aでつなぐと共に、周方向に隣接する部分円筒状部分96b,96c間を枢支折曲部97bでつないで、配管化粧カバー40Cを構成してもよい。その場合、部分円筒状部分96bはその滑らかな円筒状内面で取付金具20の蝶番部23に当接する。この場合でも、部分円筒状部分96a,96cを枢支折曲部97a,97bのまわりでA3,B3方向に閉じてその被係合部54を係合部55に係合させる際に、配管化粧カバー40Cが結束配管群30の断熱材35,36を圧縮変形させ、該圧縮変形に伴って配管化粧カバー40Cが弾性材35,36等から受ける反作用に応じて、配管化粧カバー40Cが結束配管群30に対して心合せされて、結束配管群30に対して固定され得る。なお、所望ならば、部分円筒状部分96bの内周面のうち図3において符号47aで示した内周側切欠の位置する部分(但し、部分円筒状部分96bではこの切欠はない)に、蝶番部23の両側に対して係合される位置決め用係合凹凸部を形成しておいてもよい。
以上においては、直線状配管化粧カバー40の係合部55と被係合部54とが全体として本体部41,42や41B,42B等と実質的に同一の厚さになる例に付いて説明したけれども、配管化粧カバー40の厚さを最低限に抑えつつ係合部55の係合爪部55a,55b,55c等及び被係合部54の被係合爪部54a,54b,54c等として十分な係合高さないし係合深さを確保するためには、例えば図10に示したように、係合部55Aと被係合部54Aとからなる肉厚の係合部分58Aを有するようにしてもよい。この例では、係合部55Aの厚さを厚くすると共に、被係合部54Aの厚さを厚くし、係合部分58Aの厚さの増加する分だけ被係合部54Aの内周部を半径方向内向きに突出部98として突出させている。係合部55Aは、係合高さのより大きい係合爪部55Aa,55Ab,55Acを備え、被係合部54Aは、係合高さないし深さのより大きい被係合爪部54Aa,54Ab,54Acを有する。
また、係合部分58Aの内周部に突出部98ができることから、例えば、該突出部98が係合するコーナー配管化粧カバーも、図11において符号70Aで示したように、小径の被嵌合円筒状部74AAに、突出部98が嵌り込み得る溝部99を有する。なお、コーナー配管化粧カバー70Aの向きのバリエーションを考慮して、溝部99は、周方向に90度間隔で、四つある。従って、配管化粧カバー40Aをコーナー配管化粧カバー70Aの小径の被嵌合円筒状部74AAに被せる場合、四種類の相対回転位置のうちの所望の相対回転位置をとることになる。
図10及び図11に示した変形例において、他の部分の形状や機能等は、同様であるので、その説明は省いた。
なお、直線状の配管化粧カバーコネクタ60についても、その小径の被嵌合円筒状部64Aに、同様な溝を形成しておく。但し、このカバーコネクタ60では、溝は一つだけでもよい。