JP3745469B2 - 皮膚抵抗の計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体皮膚の生理活性度に対応した皮膚抵抗値を局所的に測定できる計測器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より皮膚抵抗を計測する手段の一つとして、皮膚上に一定間隔をあけて載置した一対の電極間に直流又は交流電圧を外部から印加した時流れる電流値を求める方法がある。また、皮電計と称して、不関電極把持し、関電極を皮膚に摺接しつつ交流を通電し、周囲の部位より低抵抗、高容量の点(いわゆるツボ)を検索する方法が開示されている(特願昭37−20831号)。これらは、いずれも外部電源を用いて生体通電する方法であって、この時皮膚は電源回路の外部インピーダンスを構成する。
【0003】
一方、本発明者らは、異種の導電性鉱物を皮接し、両者間をその非皮接部において、電気的に接合した時、皮膚が電解質作用を呈して化学電池が構成される原理利用し、前記異種導電性鉱物間を一定間隔に保持して直流電位差計に接続した構造の皮膚抵抗計測用センサを開示した(特願昭62−71334号)。このセンサは、異種導電性鉱物間に発生する理論起電力値が、その組合せを決めれば一定であることを利用しており、正負極を皮接した時当該部位の皮膚の生理活性度によって電池の内部損失(抵抗損)に大小が出るため、電池外部で測定した電池電圧が生理活性度を反映したものになる現象を捉えるのである。この場合、皮膚は電源回路の内部インピーダンスを構成する。
【0004】
前記した外部電源方式では、皮接する両電極間隔が狭いと、発汗などで極間短絡した場合大電流が流れて危険であり、逆に皮接電極間距離が長いと、信号が弱くなり雑音の影響を受け易いだけでなく皮内通電径路の予期せざる変動に起因する内部電位降下変動によって誤差が大きくなるという欠点がある。これに対して生体電極を用いる内部インピーダンス方式では、電極間隔を狭くしても極間短絡時には通電が自動停止するため安全である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の電極皮接型通電方式の皮膚の抵抗計測器においては、皮膚通電路が、真正な皮膚領域や皮下組織だけでなく接触抵抗をも含んで形成されている。接触抵抗の影響を抑制するには、電極を皮内に穿刺するとか電極と皮膚間に高導電率の液状物質を塗布して測定を行うなどの工夫を要した。しかし、このような方法は、皮膚各部位の抵抗測定を簡便に行う上で大きな障害となる。
【0006】
皮接時の接触抵抗値は、生体皮膚の状態や生理活性度によって、大きく変化するが一般に非常に大きな値(数〜数10MΩ)をとる。皮膚抵抗値そのものも、表皮領域の脂肪層や角質層で相当大きいために、角質層までを除去して顆粒層もしくは有棘層に電極を皮接すれば皮膚抵抗と共に接触も著しく低下させることができる(数10KΩの桁)。しかし、測定のために角質層まで人為的に除去すると、被験者に苦痛を与えるだけでなくウイルス感染などの危険も生ずるため、特別な場合を除いてこの方法も用いることができない。
【0007】
本発明者らは前記した生体電池利用の皮膚抵抗計測センサを用いた計測実験に際して、若年層被験者の柔らかな皮膚部位においては、比較的再現性のよいデータを得たが、角質化した部位や高齢者の計測においては一般に再現性が低かったことを経験している。
【0008】
近年、女性や高齢者の社会的進出や外出機会の増加にあわせて、肌の美容に対する関心が著しく向上している。肌の「みずみずしさ」を保持する、或いは改善するには保湿に対する日常的なケアや表皮組織の含水率を向上させる浸透性薬剤の使用が重要である。一般に皮膚の老化や疾患は肉眼で識別できる程度のシワ、シミやひび割れ、或いは疼痛の発生によって始めて認識される。しかし美容的観点に立てば、その前の段階で進行する老化現象にケアを行わなければ改善は困難になる。この場合、老化度や改善度を知る目安として肌の生理活性度を識別する事が有力な武器となる。日常生活の中で手軽にその識別を行うには、生理活性度を反映した皮膚の抵抗値を知ることができれば好都合である。
【0009】
本発明の目的は、前記した従来の電気式皮膚抵抗計測器の持つ欠点を解消し、接触抵抗の影響を排除して手軽で再現性のよい皮膚抵抗の測定装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、皮接面が標準単極電位をそれぞれ異にする鉱物から成り、一定の皮接面間距離に配置され、同時皮接時における発生起電力がEである一対の皮接電極と、
互いに異なる抵抗値R1、R2、R3を有し、各抵抗が順次交互に切り替えられて上記一対の皮接電極間に投入される3個の計測用抵抗と、
この各投入計測用抵抗の両端で測定される電位降下V1、V2、V3から、皮接時の接触抵抗値Rc、上記一対の電極間の皮膚内部抵抗値Rd、上記一対の電極間の皮膚表面漏洩抵抗値Rsを算出する計測処理手段と、より成り、
この計測処理手段はE、R1、R2、R3、V1、V2、V3、を入力し、i=1、2、3とする下記の連立方程式
Vi={Ri・(Rs+Rc)・E}/{(Rs+Rc)・
(Rd+Rc+Ri)+(Rc+Rd)・Ri}
を解いて、接触抵抗値Rc、皮膚内部抵抗値Rd、皮膚表面漏洩抵抗値Rsを算出するものとした皮接抵抗の計測装置を開示する。
【0011】
更に本発明は、更に皮内電流Iを、
I=(E−V1)/(Rd+Rc)
又はI={V1V2(E−V1)(R1−R2)}/{ER1R2(V1−V2)}
により算出し、内部損失電圧をRd・Iiにより求めるものとした皮膚抵抗の計測装置を開示する。
【0012】
更に本発明は、一対の皮接電極の少なくとも皮接面を構成する導電性鉱物が、n型半導体とこれより標準単極電位の高い金属との組合わせである皮膚抵抗の計測装置を開示する。
【0013】
更に本発明は、標準単極電位を異にする導電性鉱物の各々によって皮接面を形成した一対の皮接電極を一定の間隔に固定して同時に皮接し導線によって前記一対の皮接電極間にオーム性接合した電位差計測用抵抗RをR1、R2、R3、…と順次切り替えて1ヶずつ投入した時計測される電圧値V1、V2、V3、…を記憶する第1の過程と、
前記した一対の皮接電極(正負極)が生体皮膚上で構成する化学電池の発生起電圧をE、当該化学電池の内部損失を与える皮内抵抗をRd、前記した一対の皮接電極間の表皮漏洩抵抗をRs、前記した一対の皮接電極の皮膚接触抵抗和をRcとする時
Vi=Ri(Rs+Rc)E/(Rs+Rc)(Rd+Rc+Ri)+(Rd+Rc)Ri ,ここにi=1,2,3…
なる多元連立方程式を解いてRs、Rdなどの諸元を計算する第2の過程と、
Rs、Rdなどの諸元を選択的に表示する第3の過程と、より成る皮膚抵抗の計測方法を開示する。
【0014】
標準単極電位を異にする一対の導電性鉱物間を、その非皮接部において、導電接合し一対の導電性鉱物を同時に皮接すると、化学電池が形成されて酸化還元反応が惹起する結果起電力(電圧E)が発生する。異種導電性鉱物から成る一対の皮接電極の間隔を一定とする時、酸化還元反応が生ずる皮内の抵抗Rdは、主として酸化還元によって生じたイオンの導電率や反応生起速度によって決まり、Rdは皮膚の生理活性度が高い程小さくなる(皮内イオン導電率や反応生起速度が高まる)。Rdは化学電池の内部損失を与え、電極間の通電電流値(皮内電流値)をIとすると、(E−Rd・I)なる電圧が前記一対の皮接電極間に外部電圧として出力される。Eは材料組合せで本質的に決まるので、この外部電圧は皮膚の生理活性度に対応した指標を与える。
【0015】
化学電池の負極を構成する標準単極電位のより低い導電性鉱物をn型半導体で形成すると、皮接面にできるショットキー障壁の作用で発電作用によって負極内に発生する正孔が速やかに皮接面までドリフトされ皮内に放出される。これによって負極の電気的中性が保持されると共に、ショットキー障壁によって皮膚から負極内への電子及び負イオンの浸入が阻止される。このため負極の不動態化現象、即ち負極皮接面が皮膚で発生するOH-イオンと化合して水酸化物となり、電気的に絶縁化する現象を防ぐことができる。よって長時間に亘って安定した起電力を発生することができるのである。
計測回路に内蔵された計測用抵抗値を順次切り替え使用することによって連立一次方程式からRdや表皮漏洩抵抗Rs、内部損失Rd・Iを求めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の原理と実施の形態について詳しく述べる。
本発明のハンディタイプの皮膚抵抗計測装置を皮接した状態を図2に示す。図2(A)は異種の導電性鉱物から成る一対の皮接電極(生体皮膚上で構成する化学電池としての発生起電力をEとする)を同時に皮接した時皮接面及び皮膚側に存在する抵抗を示す図であり、図2(B)は図2(A)に対する直流の等価回路図である。図2(A)で、Rc1、Rc2が皮接抵抗、Rdが皮内抵抗、Rsが皮膚表面の漏洩抵抗、100が計測回路を示す。Rc1とRc2とは直列接続成分であることからRc=Rc1+Rc2と示せる。計測回路100は、内部に複数個の並列抵抗R(R1、R2、…)と、計測・記憶・演算・表示を行う計測処理手段とを持つ。並列抵抗は、1ヶ毎に、計測時に回路上に投入可能になっている。図2(B)は計測回路に内蔵する複数の電位差計測用抵抗RのうちR1をその回路に接続すべく投入した場合を示す(計測処理手段は図示を省略)。また、簡単のために過渡現象の際作用する容量成分は除外して図示してある。図2(B)で示したように、一対の皮接電極が単に表皮上に圧接された状態では、皮接抵抗Rc(=Rc1+Rc2)が回路抵抗に加わる。さらに皮膚表面の漏洩抵抗Rsが計測用抵抗R1と並列に接続されると考えられる。計測用抵抗R2、R3でも同様である。こうして各抵抗R1〜R3を投入した時の、電圧V1、V2、V3を計測処理手段で計測し、未知数Rs、Rd、Rc、並びに皮内電流値Iを算出し、表示する。
ここでRs、Rd、Rc、Iの算出式は、以下となる。図2(B)の等価回路にキルヒホフの法則を適用すると、
【数1】
なる式が成り立つ。
計測回路100に内蔵する計測用抵抗RをR1からR2、R3と切り替えて1ヶずつ回路に投入し、その都度測定電位差V2、V3を得たとすれば、(数1)と同様に、
【数2】
【数3】
なる式が得られる。
【0017】
Eは材料組合せによって決まり一定であるから、計測処理手段では(数1)〜(数3)を連立して解くことにより、未知数Rs、Rd、RcをV1、V2、V3、E、R1、R2、R3の関数として求める。これらの未知数の他皮内電流値Iも求める。特に、皮膚の生理活性化の指標として重要なのは、前記したように化学電池構成位置における電池の内部損失電圧Rd・Iである。キルヒホフの法則を適用して求めたこの値は、
【数4】
となるので、(数1)〜(数3)から求めたRdを(数4)に代入すれば直ちに計算できる。これも計測処理手段で実行する。
【0018】
以下、実施の形態を述べる。図1(A)は、本発明の一実施の形態における皮膚抵抗の計測装置の主要構成を示す。図1(A)において、1、2はそれぞれ異なる標準単極電位を持つ導電性鉱物甲、乙によって表面が被覆された導電性円筒状ローラ(皮接電極)であり、甲乙と電位差計測用抵抗4を内蔵した計測回路100とは、ローラ回転時・静止時を問わず導線10、11及び軸機構(図示せず)によってオーム性接続している。甲乙は、例えば金とクロムのように異種金属どうしでもよいが、金と酸化亜鉛や白金とゲルマニウムのように標準単極電位のより高い金属と、これにより低い標準単極電位を有するn型半導体の組合せの方がデバイスの安定性の面からより好ましい。特にn型半導体として酸化亜鉛、酸化錫、酸化マンガン、酸化アルミニウムなどのように酸素欠損型の材料を選択すると、湿性雰囲気で繰り返し使用しても酸化膜の肥厚化が生ずるだけで、起電力は安定である場合が多い。
【0019】
図1(A)において、3は生体皮膚、4は少なくとも3ヶの異なる抵抗値R1、R2、R3、…を有するそれぞれ別の抵抗体から成る電位差計測用抵抗Rである。また、計測回路100は、4の他に、計測部6と記憶・演算部7及び表示部8と電子スイッチ12とより成る計測処理手段101を持つ。また、9は計測回路100用の電源(通常は電池)、13は筐体、14は外部スイッチである。図1(B)は4つの並列スイッチSW1〜SW4を設けた例を示すが、機能は図1(A)と同じである。
筐体13の柄部を把持しながら導電性円筒状ローラ1、2を生体皮膚3の所定部位に同時皮接し、外部スイッチ14を操作して計測回路100に電源9を投入し、導電性円筒状ローラ1、2間に現れる外部電圧の測定を行う。この時、電子スイッチ12が働いて計測回路にR1から順次電位差計測用抵抗Rが1ヶずつ切り替えて投入され、その都度計測抵抗両端の電位差Viが読み取られる。測定されたViは直ちに記憶・演算部7に送られて記憶され、(数1)〜(数3)に従って演算されて得られたRd、Rs、Rc、I、Rd・Iなどが記憶される。これらの数値は、外部スイッチ14の操作によって表示部8で選択的にディジタル表示される。図2(A)に示した各電極の皮接抵抗Rc1、Rc2は、通常皮膚の垂直方向と、水平方向でほぼ同じであるとみなし、図2(B)のような直流等価回路を考えれば十分である(Rc=Rc1+Rc2)。この場合は電位差計測用抵抗Rは3ヶ(抵抗値R1、R2、R3)となる。しかし、電極形状や皮膚状態によってはRcが皮膚の垂直方向と水平方向とでそれぞれ異なる値Rcv、RcHを有することを考慮しなければならないことがある。この場合は電位差計測用抵抗として更に1ヶ(抵抗値R4)を加えてV1〜V4に関する四元連立方程式を解かなければならない。なお、この時は図2(B)においてRdに直列接続したRcv、Rsに直列接続した皮接抵抗がRcHとなる。
必要な表示が終了した場合は、外部スイッチ14を操作して記憶した数値のリセットを行うものとする。
【0020】
健康な男女被験者を10代、40代、60代で各5人ずつ選び、各被験者の右手甲部皮膚で上記した計測を行い、各グループで平均の皮内電圧降下(即ち化学電池の内部損失、図2の表示を用いればRd・I)を調べた結果を表1に示す。本例の場合導電性円筒状ローラ1、2の皮接部位を構成する導電性鉱物甲、乙としてそれぞれ金と酸化亜鉛を選んだので化学電池の発生起電圧は、E=2.3(V)とした。また、電位差計測用抵抗Rの値は、R1=150MΩ、R2=100MΩ、R3=50MΩに選んだ。
【0021】
【表1】
表1は、明らかに高齢化に伴って皮内の電圧降下値が増大することを示している。また、同年代グループでは男性の方が女性よりも電圧降下値が大きい結果となっている。これは、皮下脂肪層の存在に関係すると思われるが作用機序は明らかでない。皮下電圧降下は、電極下皮膚内におけるイオン導電率と酸化還元反応の生起速度によって影響されるので皮膚の新陳代謝が活性である程小さくなると考えられる。
【0022】
皮膚の生理活性度は、年齢以外に個体差、季節差や時間差があると考えられる。勿論同じ固体でも皮膚部位によって大きさがあり、一般に皮の厚い部位が柔らかな部位よりも、また露出部位が衣服で被覆されている部位よりも生理活性度は低い。常時露出している顔や手などの特定部位を、本発明の装置によって計測することによりその固体の皮膚年齢を推定したり、美容剤による生理活性度の改善効果を観測したりすることが簡便にできるようになった。
【0023】
試みに、皮接抵抗が皮膚の垂直方向と水平方向で異なっている(Rcv≠RcH)と仮定し、図2(B)のRdに直列接続しているRcをRcvに、またRsに直列接続しているRcをRcHにおきかえ、電位差計測用抵抗として更に1ヶ(R4=10MΩ)を加えて、表1の被験者の同一皮膚部位でV1〜V4を求め、四元連立方程式を解いてRd・Iを計算した。得られた数値(表示せず)を表1のデータと比較すると、両者は±50%の範囲におさまっており、図1の装置を用いて比較的扁平な皮膚部位を計測する限り、実際上Rcv=RcH=Rcとしてよいことが確かめられた。一般に接触面積を小さく皮接圧力を高めるとRcv≠RcHになる傾向がみられた。
【0024】
一方、皮膚のシワや荒れは表皮の老化現象とされるが、主たる原因は皮膚の表層からの水分の散逸である。含水率が低下して「みずみずしさ」が失われると角質層が荒れひび割れる。荒れは内部へ向かって進行し、皮下組織に分布する末梢神経にその刺激が届くと大脳で感知される。しかし、皮膚の極く表面で生ずる初期の「肌荒れ」を末梢神経で感知することは困難である。気温が低く皮膚の新陳代謝が低下している冬季の乾燥した気候或いは風の強い時は、特に「肌荒れ」が顕著になる。この皮膚の表層含水率に関連する指標として表皮漏洩抵抗Rsを用いると有効である。
【0025】
図1で示した計測装置を用いて、健康な10代、40代、60代の女性5名につき右ホホの素肌の特定個所で電圧V1〜V3を測定し、記憶・演算部に送って(数1)〜(数3)の連立方程式での解からRsを求めた。冬季1月と夏季8月の某日、得られた結果を表2に示す。表中のRsは各グループ5名の平均値である。表2は、各年代において夏季は冬季に比べて著しく表皮の含水率が高いことを示している。しかし同時に、年齢層が高くなるにつれて皮膚表面の含水率が低下することも示しており「肌荒れ」の状態になることがわかる。
【表2】
【0026】
このことから、本発明の皮膚抵抗計測装置を用いて測定し、Rsを計算表示すれば自己の肌の乾燥状態を検知することが可能となり、危険な場合には直ちに保湿剤の塗布等で肌荒れを予防することができるようになると考えられる。具体的には、例えば肌の含水率が1日で最も高い入浴直後に顔面又は手の一定個所でViを測定し演算で得たRsの数値を基準値として装置に記憶させておき、日中適時同一個所でViを測定して得たRsの値と比較して、危険な水準になれば警報を発するなどの付加機能を本発明の装置に組み込んでおけばよい。本発明の装置は小型軽量で携行性に優れた形状にまとめることができるので、利便性が高いと考えられる。
【0027】
以上述べてきた実施の形態においては、化学電池の正負極を形成する異種導電性鉱物として金と酸化亜鉛を用い、これらを円筒形状のローラ表面に配置して皮接した。しかし、本発明はこれ以外の標準単極電位を異にする2種類の導電性鉱物の組合せを用いることも、また電極形状としては例えば平板状や球場にした場合にも適用できることも明らかである。
【0028】
本発明の皮膚抵抗計測装置においては、複数の計測用抵抗Rの電子スイッチによる切り替えや電位差計測及び記憶・演算は、CPUによって瞬時に行い得、所望の諸元を選択的に表示することがてきるので、測定中に皮膚の生理活性度や接触抵抗値が変化して演算値の信頼がゆらぐ心配はない。
【0029】
本発明によって、手軽且つ安全、正確に生体皮膚の生理活性度を局所的に推定することが可能になったため、「皮膚の管理」に大いに役立てることができる。本発明の装置は、皮接することによってはじめて化学電池として機能するため、市販の化学電池のように自己放電によって劣化したり内蔵電解度が浸出したりする心配がなく長期間に安定に使用することができる。また、電極間に濡水等によって短絡した場合には直ちに発電を自動停止するため、火傷等のトラプルを発生することなく、誰でも安全に使用することができる。
【0030】
本発明の装置を利用すれば、頭髪の含水率の測定や皮下脂肪の分布測定も行い得るので、美容と健康に役立てることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、皮膚の外部から手軽且つ安全に皮膚の「健康度」を物理的に検知することが可能と考えられる。化学電池の正負極を構成する異種導電性鉱物から成る皮接電極の形状を工夫すれば、微細な領域の皮膚生理活性度を識別することができるので、局所的な病変部の監視や逆に大面積部位の皮内活性度分布調査、また経時的な生理活性度変化を捉えることが可能である。さらに、単に皮膚領域だけでなく皮下浅部組織の活性度変化にも応用可能と考えられるので、広く生体病変部の検査に使用できる装置に発展する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における皮膚抵抗計測装置の主要構成部を示す図(縦断面図)である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
1、2 導電性円筒状ローラ
3 皮膚
4 電位差計測用抵抗
6 計測部
7 記憶・演算部
8 表示部
9 電源
10、11 導線
12 電子スイッチ
13 筐体
14 外部スイッチ
100 計測回路
101 計測処理手段
Claims (3)
- 皮接面が標準単極電位をそれぞれ異にする鉱物から成り、一定の皮接面間距離に配置され、同時皮接時における発生起電力がEである一対の皮接電極と、
互いに異なる抵抗値R1、R2、R3を有し、各抵抗が順次交互に切り替えられて上記一対の皮接電極間に投入される3個の計測用抵抗と、
この各投入計測用抵抗の両端で測定される電位降下V1、V2、V3から、皮接時の接触抵抗値Rc、上記一対の電極間の皮膚内部抵抗値Rd、上記一対の電極間の皮膚表面漏洩抵抗値Rsを算出する計測処理手段と、より成り、
この計測処理手段はE、R1、R2、R3、V1、V2、V3、を入力し、i=1、2、3とする下記の連立方程式
Vi={Ri・(Rs+Rc)・E}/{(Rs+Rc)・
(Rd+Rc+Ri)+(Rc+Rd)・Ri}
を解いて、接触抵抗値Rc、皮膚内部抵抗値Rd、皮膚表面漏洩抵抗値Rsを算出するものとした皮接抵抗の計測装置。 - 上記計測処理手段は、更に皮内電流Iを、
I=(E−V1)/(Rd+Rc)
又はI={V1V2(E−V1)(R1−R2)}/{ER1R2(V1−V2)}
により算出し、内部損失電圧をRd・Iiにより求めるものとした請求項1の皮膚抵抗の計測装置。 - 前記一対の皮接電極の少なくとも皮接面を構成する導電性鉱物が、n型半導体とこれより標準単極電位の高い金属との組合わせである請求項1又は2に記載の皮膚抵抗の計測装置。
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