JP3743696B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペレットの色ムラがなく、色相に優れ、該ペレットをフィルムにすると、フィルムの色相に優れ、フィルムのフィッシュアイも少ないエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物はガスバリアー性、機械的強度等の諸性質に優れていることから、フィルム、シート、容器、繊維等の各種用途に多用されている。
該ケン化物はエチレンと酢酸ビニルを共重合し、未反応の酢酸ビニルを除去した後、得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することによって製造される。
即ち、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合は、通常ジャケット及び還流コンデンサーのついた高圧の重合缶が用いられ、アルコール溶媒中に原料であるエチレン及び酢酸ビニルを導入して行われる。重合終了後、未反応の酢酸ビニルを除去してエチレン−酢酸ビニル共重合体が得られ、通常未反応の酢酸ビニルの除去は100ppm以下になるように行われる。その後、該共重合体は、更にアルカリ触媒でケン化されてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物となり、通常凝固浴中にストランド状に押し出され、切断されてペレットにされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如く未反応の酢酸ビニルを100ppm以下になるように除去しただけでは、得られたケン化物をペレットにした時、色ムラが観察され、黄色に着色し、又、該ペレットをフィルムにしても黄色に着色し、フィッシュアイが多発するという品質低下の問題が発生する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の問題を解決するために重合終了後の未反応の酢酸ビニルの除去工程について鋭意研究を重ねた結果、エチレンと酢酸ビニルを溶媒中で共重合させ、未反応の酢酸ビニルを除去してエチレン−酢酸ビニル共重合体を得、該共重合体を更にケン化してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を製造するに当たり、未反応の酢酸ビニルの除去を10〜1000ppmのポリ酢酸ビニルの共存下で行う場合、得られるケン化物ペレットは着色が少なく、色ムラがなく、該ペレットをフィルムにしても色相が良好で、フィッシュアイが少ないことを見出し本発明を完成するに到った。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
エチレンと酢酸ビニルの共重合は、溶媒中での重合、すなわち溶液重合法が実施される。
エチレンと酢酸ビニルとの溶液重合法は、連続式、回分式のいずれであっても良く、重合方式に応じて適宜条件が設定される。
【0006】
溶媒としては炭素数4以下のアルコール又は炭素数4以下のアルコールを主とする混合溶媒が用いられ、該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられるが、好ましくはメタノールが用いられ、溶媒量としては酢酸ビニル100重量部に対して、1〜60重量部が好ましい。
【0007】
また、上記の溶液重合法においては、通常触媒が用いられ、かかる触媒としては、ラジカル開始剤であれば特に制限なく用いられるが、好ましくは2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4,4−トリメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーピバレートなどのアルキルパーエステル類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−シクロヘキシルパーオキシ−ジ−カーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)ジ−sec−ブチルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシ−ジ−カーボネートなどのパーオキシ−ジ−カーボネート類、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−ラウロイルパーオキシド、ジ−デカノイルパ−オキシド、ジ−オクタノイルパーオキシド、ジ−プロピルパーオキシドなどのパーオキシド類などが用いられる。
【0008】
触媒の使用量は、回分式の場合、酢酸ビニル100重量部に対して、0.002〜0.1重量部が好ましく、0.002重量部未満では、触媒効率が悪く重合時間が長くなったり、重合が進まない場合があり、0.1重量部を越えると、重合の制御が困難となったり、重合終了後も触媒が残存して後重合を起こすことがあり好ましくない。連続式の場合、酢酸ビニル100重量部に対して、0.002〜0.06重量部が好ましく、0.002重量部未満では、触媒効率が悪く重合時間が長くなったり、重合が進まない場合があり、0.06重量部を越えると、重合の制御が困難となったり、重合終了後も触媒が残存して後重合を起こすことがあり好ましくない。
【0009】
上記の酢酸ビニル及び触媒の仕込み方法としては任意の手段が採用され、代表的には、▲1▼酢酸ビニル、溶媒、触媒全てを事前に混合した後、一括して仕込む方法、▲2▼溶媒に溶解した触媒、酢酸ビニル、溶媒を別々に仕込む方法、▲3▼酢酸ビニル、触媒と溶媒の混合液を別々に仕込む方法、▲4▼酢酸ビニルと溶媒の混合液、触媒と溶媒の混合液を別々に仕込む方法等が挙げられる。
【0010】
重合温度として好ましくは40〜80℃、更に好ましくは55〜80℃である。該重合温度が40℃未満では重合に長時間を要し、重合時間を短縮しようとすると触媒量が多量に必要となり、80℃を越えると重合制御が困難となり好ましくない。
【0011】
重合時間は、回分式の場合、好ましくは4〜10時間、更に好ましくは6〜9時間である。該重合時間が4時間未満では重合温度を高くしたり、触媒量を多く設定しなければならず、重合制御が困難となり、10時間を越えると生産性の面で問題があり好ましくない。連続式の場合、重合缶内での平均滞留時間は2〜8時間が好ましく、更に好ましくは2〜6時間である。該滞留時間が2時間未満では重合温度を高くしたり、触媒量を多く設定しなければならず、重合制御が困難となり、8時間を越えると生産性の面で問題があり好ましくない。
【0012】
重合率(酢酸ビニル)は生産性の面から重合制御が可能な範囲で出来るだけ高く設定され、好ましくは20〜90%に設定される。該重合率が20%未満では工業的に生産性が悪く、未重合の酢酸ビニルが多量に残存するという問題があり、90%を越えると重合制御が困難となり好ましくない。
【0013】
また、得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体中のエチレン含有量は、重合缶内のエチレン圧等によりコントロールすることができ、かかる含有量としては15〜60モル%が好ましく、更に好ましくは25〜55モル%である。該エチレン含有量が15モル%未満では、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られた、ケン化物を溶融成形する場合、溶融成形性が低下すると共に、溶融成形物の高湿時のガスバリアー性が大きく低下し、60モル%を越えると、該ケン化物を溶融成形した場合、得られる成形物の機械的強度及びガスバリアー性が充分でなく好ましくない。
この時のエチレン圧としては、1.47〜7.35MPaに設定される。
【0014】
又本発明においてエチレン−酢酸ビニル共重合体はエチレン、酢酸ビニル以外に、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合成分として含有しても差し支えない。該単量体としては、例えばプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0015】
かくして、エチレンと酢酸ビニルの共重合反応が終了し、次いで未反応の酢酸ビニルが除去されて、ケン化工程へと進むのであるが、本発明においては、かかる未反応の酢酸ビニルを除去するにあたり、10〜1000ppmのポリ酢酸ビニルを共存させることを最大の特徴とするもので、好ましくは50〜300ppm、更に好ましくは50〜200ppm、特に好ましくは80〜200ppmである。かかるポリ酢酸ビニルの量が10ppm未満では、得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に色ムラが起こり、着色が著しくなる場合があり、1000ppmを越えると該ケン化物を溶融成形した場合、フィッシュアイが発生する場合があり不適である。
【0016】
10〜1000ppmのポリ酢酸ビニルを共存させる方法としては特に限定されないが、▲1▼エチレンと酢酸ビニルの共重合反応の条件をコントロールして、目的範囲内のポリ酢酸ビニルが生成する様にする方法、▲2▼エチレンと酢酸ビニルの重合時あるいは重合後にポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を添加する方法等が挙げられるが、▲1▼の方法が好ましく用いられ、具体的にはまず所定の重合反応終了後、エチレン圧を下げて常圧として、20〜70℃、好ましくは40〜60℃で、5分〜3時間、好ましくは15〜60分間撹拌下で放置することにより、系中に目的量のポリ酢酸ビニルを生成させることができる。
【0017】
上記の如きポリ酢酸ビニルの共存下に未反応の酢酸ビニルを除去するにあたっては、慣用手段でよく、例えば、▲1▼減圧下で、酢酸ビニルを留去する方法、▲2▼アルコール(メタノ−ル)を仕込み、アルコール/酢酸ビニル共沸液として酢酸ビニルを除去する方法等が挙げられる。
【0018】
次いで上記で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体はケン化される。ケン化に当たっては、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルコール(通常メタノールが用いられる)又はアルコール含有媒体中に通常20〜60重量%程度の濃度になる如く溶解し、アルカリ触媒(通常水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が用いられる)を添加して40〜140℃の温度で反応せしめる。
【0019】
かかるケン化によりエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の酢酸ビニル成分のケン化度は80〜100モル%とすることが好ましく、更に好ましくはケン化度90〜100モル%、特に好ましくは95〜100モル%とするのが有利である。ケン化度が80モル%未満の場合、該エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いて溶融成形する場合の熱安定性が悪くなると共に、得られた成形物も機械的強度やガスバリアー性が大きく低下して好ましくない。
【0020】
次に上記で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物アルコール溶液はそのままでもよいが、好ましくは直接水を加えるか、水を加えて該ケン化物溶液を適宜濃度調整して、アルコール/水溶液としてストランド製造用の溶液とする。
【0021】
次いで、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物アルコール/水溶液は、水又は水/アルコール(混合)溶液等の凝固液中にストランド状に押し出して析出させるのである
【0022】
析出させたストランドは次に切断されてペレット状となり、次いで水洗される。
水洗したペレットは酸及び/又はそれらの塩類等の薬剤の水溶液中に浸漬させる等の方法で化学処理されることが好ましく、かかる薬剤としては、ギ酸、酢酸、アジピン酸、リン酸、ホウ酸あるいはそれらの塩類等が挙げられ、より好ましくは酢酸、リン酸、ホウ酸あるいはそれらの塩類が用いられる。
【0023】
上記の製造法で得られたペレットは溶融成形されて所望する成形物に成形されるのであるが、溶融成形に際しての温度条件としては160〜260℃程度とするのが望ましい。成形に際しては必要に応じガラス繊維、炭素繊維などの補強材、フィラー、着色剤、ハイドロタルサイトなどの安定剤、発泡剤、乾燥剤などの公知の添加剤を適当配合することもある。又、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物には改質用の熱可塑性樹脂を適当量配合することもできる。
【0024】
溶融成形法としては射出成形法、圧縮成形法、押出成形法など任意の成形法が採用できる。このうち押出成形法としてはT−ダイ法、中空成形法、パイプ押出法、線条押出法、異形ダイ押出法、インフレーション法などが挙げられるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物単独の成形物(フィルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物など)のみならず、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層と他の熱可塑性樹脂層との共押出成形も可能である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
【0026】
実施例1
内容量10l容の重合缶を用いて以下の条件でエチレン−酢酸ビニル共重合体を連続重合した。
酢酸ビニル供給量 1290 g/hr
メタノール供給量 200 g/hr
ベンゾイルパーオキサイド供給量 250 mg/hr
重合温度 67 ℃
エチレン圧 3.92 MPa
平均滞留時間 4 hr
反応終了後、別の撹拌機付き10l容の反応缶に反応液を移し、脱エチレンして、反応圧を常圧にして45℃で20分間、撹拌しながら放置して共重合体溶液を得た。該共重合体溶液には90ppmのポリ酢酸ビニルが含有していた。
次いで蒸留塔に該共重合体溶液を導入するとともにメタノールを供給し、未反応の酢酸ビニルをメタノール/酢酸ビニル共沸液として留出させ、未反応の酢酸ビニルを100ppm以下になるまで留去した。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のエチレン含有量は32モル%であった。
【0027】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を50%含むメタノール溶液100部に、該共重合体中の酢酸ビニル基に対して0.017当量の水酸化ナトリウムを含有するメタノール溶液150部を供給し、120〜130℃、圧力0.39MPaで、30分間ケン化反応を行った。得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(ケン化度99.8モル%)メタノール溶液の樹脂分濃度は30%であった。
次に含水率62.5%のメタノール水溶液60部を、該エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物メタノール溶液に共沸下で供給し、100〜110℃、圧力0.29MPaで、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物メタノール/水溶液中の樹脂分濃度が40%になるまでメタノールを留出させ、完全透明なメタノール/水均一溶液を得た。
続いて得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のメタノール/水溶液を、水/メタノール溶液(重量比95/5)よりなる凝固液槽にストランド状に押し出してカッターで切断し、ペレットを得、該ペレットを30℃の水で洗浄後、30℃の酢酸水溶液中で5時間撹拌した後、110℃で9時間乾燥して製品ペレットを得た。
【0028】
得られた製品ペレットを以下の様に評価した。
(1)ペレットの色ムラ
○・・・目視でなし
×・・・目視であり
(2)ペレットの色相
○・・・目視で着色なし
△・・・目視でやや黄色に着色
×・・・目視で黄色に着色
次に上記で得られた製品ペレットを以下の条件で製膜し、得られたフィルムの色相とフィッシュアイを以下の様に評価した。
【0029】
(3)フィルムの色相
上記で得られた製膜フィルムを60枚重ね合わせて、以下の様に評価した。
○・・・目視で着色なし
△・・・目視でやや黄色に着色
×・・・目視で黄色に着色
(4)フィルムのフィッシュアイ
上記で得られた製膜フィルム(10cm×10cm)中のフィッシュアイを測定し、以下のように評価した。
○・・・0〜10個
△・・・11〜50個
×・・・51個以上
上記(1)〜(4)の結果を表1に示した。
【0030】
実施例2
実施例1において、反応終了後、脱エチレンし、常圧にしてからの放置時間を45分間としてポリ酢酸ビニルの共存量を300ppmに変更した以外は同様に行って、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.8モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を得、実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
【0031】
実施例3
実施例1において、反応終了後、脱エチレンし、常圧にしてからの放置時間を90分間としてポリ酢酸ビニル共存量を600ppmに変更した以外は同様に行って、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.8モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を得、実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
【0032】
比較例1
実施例1において、共重合の終了時に重合停止剤としてベンゾキノンを反応液中に5ppm入れてから、脱エチレンし、常圧にして、共重合体溶液中のポリ酢酸ビニル共存量を5ppmとした後、直ちに蒸溜塔に導入し、実施例1と同様に酢酸ビニルを留去し、以下実施例1と同様にケン化してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を調製し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
【0033】
比較例2
実施例1において、共重合の終了時に脱エチレンし、常圧にしてからの放置を60℃で60分間として、共重合体溶液中のポリ酢酸ビニルの共存量を1100ppmとした後、直ちに蒸溜塔に導入し、実施例1と同様に酢酸ビニルを留去し、以下実施例1と同様にケン化してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を調製し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明では、エチレンと酢酸ビニルを溶媒中で共重合させ、未反応の酢酸ビニルを除去してエチレン−酢酸ビニル共重合体を得、更に該共重合体をケン化してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を製造するに当たり、未反応の酢酸ビニルの除去を特定量のポリ酢酸ビニルの共存下で行うので、得られたケン化物は色ムラがなく、着色が少なく、更には該ケン化物を成形物にした時の着色も少なく、成形性も良好である。
Claims (3)
- エチレンと酢酸ビニルを溶媒中で共重合させ、未反応の酢酸ビニルを除去してエチレン−酢酸ビニル共重合体を得、更に該共重合体をケン化してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を製造するに当たり、未反応の酢酸ビニルの除去を10〜1000ppmのポリ酢酸ビニルの共存下で行うことを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造法。
- 未反応の酢酸ビニルの除去を50〜300ppmのポリ酢酸ビニルの共存下で行うことを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造法。
- 溶媒が炭素数4以下のアルコールであることを特徴とする請求項1あるいは2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造法。
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