JP3743423B2 - ソリッド型ロッドインテグレータの保持機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像を投写表示するプロジェクタに関し、特に、プロジェクタの光学系で用いられるロッドインテグレータの保持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にプロジェクタでは、光源装置から射出された照明光によって、液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device米国TexaxInstruments社の商標)などの、光変調装置を照明する。光変調装置は、この照射光を、画像信号に応じて変調する。投写光学系は、光変調装置から射出された画像光をスクリーン上に投写することにより画像を表示する。
【0003】
このようなプロジェクタでは、通常、光源装置から光変調装置までの照明光学系の光路中にロッドインテグレータを配置することにより、光変調装置を照明する光の照度の均一性が高められている。ロッドインテグレータには、トンネル型と、ソリッド型の2種類が広く知られている。
【0004】
ソリッド型とは、ガラス素材で作られた柱状素材であり、反射率が高く、光の利用効果が高いという利点がある。従来ソリッド型のロッドインテグレータの保持機構としては、ロッドインテグレータを覆うカバー部材を備え、カバー部材に設けられたねじにより、点接触で、ロッドインテグレータを支持していた。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−228541号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ソリッド型のロッドインテグレータは、表面が露出しているため、油や汚れ等の付着により、全反射しなくなるという問題があった。また、ロッドインテグレータを固定する際に、固定する器具により傷や欠けがつくことがあり、散乱や全反射条件を満たさない光を発生させるという問題もあった。傷や欠けは、特に、エッジ部分で発生しやすかった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ソリッド型ロッドインテグレータの反射面(表面)を保護するとともに、安定した支持を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、本発明は、ソリッド型のロッドインテグレータの保持機構であって、
前記ロッドインテグレータを保持する保持体と、
前記保持体が前記ロッドインテグレータに押圧されるように、前記保持体を支持する支持体と、を備え、
前記保持体は、前記ロッドインテグレータの入射面および射出面を除く全側面と面接触し、かつ、該ロッドインテグレータの前記側面間のエッジ部分には非接触であることを要旨とする。
【0009】
ロッドインテグレータは光の反射により高温となるため、保持体は、耐熱性を備える金属、樹脂などとすることが好ましい。金属としては、例えば、アルミニウム、ステンレスなどとすることとができる。
【0010】
本発明の保持機構によれば、ロッドインテグレータと保持体とを面接触とすることで、ロッドインテグレータの表面を保護するとともに、安定した支持を行うことができる。このように面接触させても、微視的には、保持体とロッドインテグレータの間には空気層が存在するため、全反射条件は保たれる。また、保持体を、側面間のエッジ部分に非接触とすることにより、エッジ部分に発生しやすい傷や欠けを回避することができるため、精度よく全反射を行うことが可能となる。
【0011】
本発明の保持機構において、前記保持体は、前記ロッドインテグレータの隣接する二側面を保持する一体の保持部材を有することとしてもよい。こうすることにより、支持体は、隣接する二側面上に配置された保持材を、一方向からの押圧により支持することが可能となるため、保持機構の簡素化を図ることが可能となる。
【0012】
本発明の保持機構において、前記保持体は、前記ロッドインテグレータの少なくとも一側面において、前記エッジ部分を含む所定幅を除く略全面に接触することとすることとすれば、ロッドインテグレータの、汚れや埃の付着を防止することができ、また、安定した支持を行うことができるため、好適である。
【0013】
本発明の保持機構において、前記保持体は、前記ロッドインテグレータの入射面および射出面の少なくとも一端面から所定範囲では、いずれの側面とも接触しない形状を有することとしてもよい。
【0014】
ロッドインテグレータの傷や欠け、汚れによる全反射率の低下は、特に、入射面および射出面近傍で顕著であることが知られているため、このような構成をとることにより、乱反射を抑制し、精度良く全反射を行うことが可能となる。
【0015】
本発明の保持機構において、
前記ロッドインテグレータの形状は、四角柱であり、
前記保持体は、前記ロッドインテグレータの隣接する二側面を、保持する一体の保持部材を対で有し、
前記支持体は、前記保持体に接触し、前記ロッドインテグレータの入射面における対角線方向へ前記保持体を押圧することとしてもよい。
【0016】
本発明によれば、保持体を、入射面における対角線方向に押圧して支持することで、簡易な構成で安定した支持を行うことが可能となる。
【0017】
本発明は、また、画像を投射するプロジェクタであって、
光源と、
前記光源から射出された光が通過するロッドインテグレータと、
請求項1ないし請求項5記載のいずれかに記載のロッドインテグレータの保持機構と、
該ロッドインテグレータを通過した光を、与えられた画像信号に応じて画像を表す画像光として射出する光変調装置と、
前記光変調装置から射出される画像光を投写する投写光学系とを備えることを要旨とする。
【0018】
本発明のプロジェクタは、ロッドインテグレータの保持機構を備えているため、ロッドインテグレータの表面への汚れや埃の付着を防止するとともに、エッジ部分の傷や欠けの発生を抑制することができるため、乱反射を抑制し、精度良く全反射を行うことが可能となる。また、ロッドインテグレータの側面と面接触で保持体を設置するため、安定した支持を行うことができる。これにより、より明るく安定した投写画像を得ることができる。
【0019】
本発明は、上述したロッドインテグレータの保持機構としての構成に限らず、種々の態様で構成することができる。例えば、光源と、ロッドインテグレータと、ロッドインテグレータの保持機構とからなる光源装置として構成しても良い。また、ロッドインテグレータの保持方法として構成することもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、以下の項目に分けて説明する。
A.実施例
A1.プロジェクタおよびロッドインテグレータ概略構成:
A2.ロッドインテグレータの保持機構の構成:
B.変形例:
【0021】
A.実施例:
A1.プロジェクタの概略構成:
図1は、本発明のロッドインテグレータの保持機構が適用されるプロジェクタの概略的な構成を示す平面図である。このプロジェクタ1000は、光源装置100と、カラーホイール200と、後述する保持機構搭載されたソリッド型のロッドインテグレータ300と、リレー光学系400と、反射ミラー500と、フィールドレンズ600と、反射型光変調装置700と、投写レンズ800とを、システム光軸1000axに沿って順に配置して構成されている。以下では、光源装置100から反射ミラー500までのシステム光軸1000axに平行な方向をz方向とし、水平面内でz方向に垂直な方向をx方向とし、z方向およびz方向に垂直な方向をy方向とする。
【0022】
ロッドインテグレータ300は、ロッドインテグレータの中心軸がシステム光軸1000axに一致するよう後述する保持機構によって保持されている。光源装置100から射出された光は、ロッドインテグレータ300の光入射面に効率よく入射するように、システム光軸1000ax上の点でほぼ集束される。
【0023】
リレー光学系400は、ロッドインテグレータ300から射出された光を、反射型光変調装置700に結像させる。
【0024】
反射ミラー500は、リレー光学系400から射出された光を反射型光変調装置700の方向に反射する。
【0025】
反射型光変調装置700は、DMDであり、画像を形成するよう照明光を変調する。反射型光変調装置700で変調された画像光は、フィールドレンズ600および投写レンズ800を介して投写される。
【0026】
カラーホイール200は、回転軸210axの周りに回転可能に設けられた円盤状のカラーフィルタである。このカラーホイール200は、回転方向に沿って光の3原色(赤、青、緑)に対応する透過型の色フィルタが形成されており、ロッドインテグレータ300の射出面の近傍位置に配置される。本実施例では、SCRと呼ばれる形式を採用した。この形式では、カラーホイールの3原色が常に射出面に対応する領域内に並存する。各色の領域は、カラーホイール200の回転に応じて、時々刻々、変化する。
【0027】
A2.ソリッド型ロッドインテグレータの概略構成:
図2(a)は、ロッドインテグレータ300の斜視図である。このロッドインテグレータ300は、1つのソリッド状のガラス棒により形成される四角柱のロッドである。本実施例では、SCR方式を採用したため、ロッドインテグレータ300の光入射面301の外側面には、図にハッチングで示すように、円形状の光入射口302を除く表面に反射膜303が備えられている。反射膜303は、誘電体多層膜やアルミニウム膜、銀幕等により形成することができる。
【0028】
図2(b)は、図2(a)の矢印Aに沿って切断した断面図を示している。ロッドインテグレータ300内に示した実線は、光源装置100から射出された光の一部を表す。RGB光は、一旦、ロッドインテグレータ300反射面で反射して、カラーホイール200のBのフィルタに当たっている。ここで光のB成分のみが透過し、残りの成分はロッドインテグレータ300内に反射する。残りの成分である光(RG光)は、破線で示すように、ロッドインテグレータ300の下面、上面、更に光入射面301の反射膜301によって反射し、再び、カラーホイール200のGフィルタに当たっている。ここで、RG光のうち、G成分だけが透過する。従って、残りの成分の光は、再び、ロッドインテグレータ300内に反射される。最終的には、一点鎖線で示すように、このR光もロッドインテグレータ300内で反射を繰り返し、カラーホイール200のRのフィルタに到達し、透過されている。
【0029】
このように、SCR方式のプロジェクタ1000では、ロッドインテグレータ300内で光を反射させて再利用することにより、光源ランプ210が発する光を効率的に利用することができる。
【0030】
図3は、保持材350a、350bを備えたロッドインテグレータ300の概観を示す斜視図である。本図では、説明の便宜上、支持材を省略した。図示するように、保持材350aは、ロッドインテグレータ300の隣接する二側面に面接触し、二側面間のエッジには接触しない形状となっている。また、保持材350aは、入射面のエッジにも接触しないように、エッジから所定幅だけ奥の位置で接触するよう入射面近傍では、接触部が斜めに切断されている。射出面側も同様である。保持材350bは、保持材350aと同様な構成により、ロッドインテグレータ300に接触し保持している。以降では、矢印Bに沿って切断した断面図を図4に、矢印Cに沿って切断した断面図を図5に示し、保持材の形状および支持材による支持方法を説明する。
【0031】
図4は、図3において、矢印Bに沿って切断した断面図を示す説明図である。図にハッチングで示した部位が、保持材350aおよび350bを示している。保持材350aは、ロッドインテグレータ300の隣接する二側面370,371を一つの保持材で面接触するよう保持しており、二側面間のエッジ370aには、保持材が接触しないよう略矩形形状の空隙351aを有している。ロッドインテグレータ300と保持材350aの境界(側面370、371)は、接着されておらず空気の層が存在するため、光の全反射条件はほぼ保たれる。ロッドインテグレータ300と保持材350bに関しても同様である。
【0032】
保持材350aを支持する支持材360aおよび360bは、板状の支持具361aと、支持具361aを押圧することにより支持するねじ362aから構成される。保持材350bを支持する支持材も同様の構成をしており、支持具361bと、ねじ362bとから構成される。ねじ362aは、矢印P1に示すように、ロッドインテグレータ300の対角線L1の方向へ支持具361aを押圧することにより、保持材350aを支持している。ねじ362bは、同様に、矢印P2に示すように、対角線L1の方向へ支持具361bを押圧することにより、保持材350aを支持している。本実施例では、支持材は、保持体が保持している隣接二側面間のエッジに沿って、軸方向に複数個配置されている。
【0033】
図5は、図3において、矢印Cに沿って切断した断面図を示す説明図である。図示するように、保持材350aおよび350bは、入射面周囲のエッジ、および射出面と側面とのエッジから所定範囲Aを除き、側面の略全面に接触するよう構成されている。ロッドインテグレータ300に発生する欠け、傷は、入射面および射出面近傍に発生した場合に、反射光に特に影響を及ぼすことが知られている。また、エッジ部分には、傷、欠けが発生しやすいことも知られているため、このような構成をとることにより、傷や欠けの発生を抑制し、汚れ等を防ぎ安定した支持を行うことができる。
【0034】
以上説明した本実施例の保持機構を適用すれば、ソリッド型ロッドインテグレータ300のエッジ部分の傷や欠けの発生を抑制することができ、また、反射面と面接触することにより、汚れや油の付着を防止するとともに、安定した支持を行うことが可能となる。
【0035】
B.変形例:
本実施例では、保持材350aおよび350bは、側面の略全面に接触することとしたが、これに限られない。例えば、図5に一点鎖線で示すように領域20を除いた入射面および射出面近傍のみに、保持材を設置することとしてもよいし、領域20の幅を狭めて、数を増やし、縞状に設置しても良い。傷、欠けの発生により光の反射に特に影響を及ぼす射出面近傍のみに設置することとしてもよい。
【0036】
本実施例では、保持材が、隣接する二側面間のエッジに接触しないように、空隙を有することとし、空隙の形状を略矩形形状としたが、これに限られない。円形でもよいし、その他どのような図形でも構わない。保持材がエッジに接触しない形状であればよい。
【0037】
本実施例では、保持材を支持する支持材は、保持材を対角線方向へ押圧することにより支持することとしたが、これに限られない。各側面に、それぞれ支持材を配置し、ロッドインテグレータの中心に向けて押圧することにより支持することとしてもよい。
【0038】
本実施例では、入射面および射出面近傍の所定範囲を除いて、保持材を設置することとしたが、これに限られない。図5の破線10で示すように、入射面および射出面のエッジ上まで保持材を設置することとしてもよい。
【0039】
本実施例では、光変調装置としてDMDを用いたプロジェクタを例に説明しているが、これに限定するものではない。例えば、グレーティングライトバルブ(GLV:Grating Light Valve)、反射型液晶パネル等他の反射型光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。また、反射型光変調装置ではなく透過型光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。透過型光変調装置としては、例えば、透過型液晶パネル等が挙げられる。また、プロジェクタ以外の光学装置にも適用可能である。すなわち、ロッドインテグレータを適用する光学装置であれば、種々の装置に適用することが可能である。
【0040】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取ることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のロッドインテグレータの保持機構が適用されるプロジェクタの概略構成である。
【図2】 ソリッド型ロッドインテグレータを拡大して概略的に示す説明図である。
【図3】 ソリッド型ロッドインテグレータの保持機構の概観を示す斜視図である。
【図4】 入射面側からみた保持機構を表す説明図である。
【図5】 ロッドインテグレータの保持機構を縦に切断した断面図である。
【符号の説明】
1000…プロジェクタ
1000ax…システム光軸
10…破線
100…光源装置
110…楕円リフレクタ
120…光源ランプ
200…カラーホイール
210ax…回転軸
300…ロッドインテグレータ
300ax…中心軸
301…光入射面
302…光入射口
303…反射膜
304…光射出面
350a、350b…保持材
360a、360b…支持具
361a、361b…ねじ
370…境界
400…リレー光学系
500…反射ミラー
600…フィールドレンズ
700…反射型光変調装置
700ax…中心軸
800…投写レンズ
Claims (6)
- ソリッド型のロッドインテグレータの保持機構であって、
前記ロッドインテグレータを保持する保持体と、
前記保持体が前記ロッドインテグレータに押圧されるように、前記保持体を支持する支持体と、を備え、
前記保持体は、前記ロッドインテグレータの入射面および射出面を除く全側面と面接触し、かつ、該ロッドインテグレータの前記側面間のエッジ部分には非接触となる形状を有する保持機構。 - 前記保持体は、前記ロッドインテグレータの隣接する二側面を保持する一体の保持部材を有する請求項1記載の保持機構。
- 前記保持体は、前記ロッドインテグレータの少なくとも一側面において、前記エッジ部分を含む所定幅を除く略全面に接触する請求項1記載の保持機構。
- 前記保持体は、前記ロッドインテグレータの入射面および射出面の少なくとも一端面から所定範囲では、いずれの側面とも接触しない形状を有する請求項1記載の保持機構。
- 請求項1記載の保持機構であって、
前記ロッドインテグレータの形状は、四角柱であり、
前記保持体は、前記ロッドインテグレータの隣接する二側面を、保持する一体の保持部材を対で有し、
前記支持体は、前記保持体に接触し、前記ロッドインテグレータの入射面における対角線方向へ前記保持体を押圧する保持機構。 - 画像を投射するプロジェクタであって、
光源と、
前記光源から射出された光が通過するロッドインテグレータと、
請求項1ないし請求項5記載いずれかに記載のロッドインテグレータの保持機構と、
該ロッドインテグレータを通過した光を、与えられた画像信号に応じて画像を表す画像光として射出する光変調装置と、
前記光変調装置から射出される画像光を投写する投写光学系とを備えるプロジェクタ。
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