JP3743213B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置内の、記録用紙などを搬送する搬送ベルト、一次転写位置で転写されたトナー像を二次転写位置に搬送する無端状ベルトである中間転写体、記録用紙を移動させながらその記録用紙上の未定着トナー像をその記録用紙上に定着させる定着ベルトを有する定着装置、および無端状ベルトを製造するベルト製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トナー像を形成する感光体と、その感光体上に形成されたトナー像を記録用紙上に転写する転写装置と、その記録用紙上に転写されたトナー像をその記録用紙上に定着させる定着装置とを内部に有する画像形成装置において、耐熱樹脂製の無端状ベルトが用いられている。例えば、この画像形成装置では、しばしば、上記感光体上に形成されたトナー像を上記感光体と接する一次転写位置から一次転写されてそのトナー像を担持しそのトナー像を上記転写装置と接する二次転写位置に搬送する無端ベルト状の中間転写体が用いられる。また、上記定着装置は、未定着トナーの載った記録用紙を搬送しつつその未定着トナーをその記録用紙に定着させて定着画像を形成する2つの回転体を有し、しばしば、その2つの回転体のうちのいずれか1つ以上に耐熱樹脂製の無端ベルト状の基材を有する定着ベルトが使用される。また、この画像形成装置では、記録用紙などを搬送するために搬送ベルトが使用される。
【0003】
まず、定着装置の従来の技術について述べる。従来、定着装置には、上記2つの回転体として、少なくとも一方の内部に加熱源を有する金属製中空パイプ上に弾性を有する弾性層やトナー像の離型性を改善する離型層を形成したロールどうしが互いに対向してなるロール対を採用したものがある。このようなロール対を有する定着装置は、そのロール対のロール間に形成されたニップ領域に、未定着のトナー像が付着した記録用紙を通してそのロール対によってその記録用紙を移動させつつトナー像を加熱および加圧する、いわゆるロール・ロール定着方式で定着を行う。
【0004】
このロール・ロール定着方式でなされる定着を高速化するためには、その高速化に伴う、上記ロール・ロール対がトナー像を加熱および加圧する時間の減少を補償するように、上記ニップ領域の、記録用紙が移動する方向の幅を広める必要がある。その幅を広めるには、上記ロール対の間の荷重を増やすこと、上記ロールに外径の大きなものを採用すること、上記ロールの弾性層の層厚を増加させることが考えられる。しかしながら、ロール対の間の荷重を増やすと、そのロール対のロールの弾性層は耐久性が悪化しさらに、そのロール対のロールのたわみや変形が大きくなってロール対のニップ幅がロール軸方向で不均一になり、そのロール対の間を通る記録用紙にしわが生じたりその記録用紙上に定着された定着画像に定着むらが起きたりする。そのロールたわみや変形を防ぐために金属パイプの厚みを増加させて対処する方法が考えられるが、その方法によると、ロール表面の温度を定着可能温度まで昇温させるいわゆるウォームアップ時間が長くなるという問題が生ずる。また、ロールに外径の大きなものを採用したり弾性体の層厚を増加させると、ウォームアップ時間の増大や、装置の大型化、部品コストが上昇するなどの問題を生ずる。
【0005】
これらの問題を解消するために、昨今、ロール・ロール方式の定着装置のロール対の少なくとも一方を耐熱樹脂製の無端状ベルトを基材とした定着ベルトに置き換えた、いわゆるロール・ベルト定着方式またはベルトベルト定着方式の定着装置が実用化されてきている。これらのロール・ベルト定着方式やベルトベルト定着方式の定着装置は、上記定着ベルトを2軸以上の回転する張架軸に所定の張力で張架させ、その定着ベルトをその定着ベルトに対向する定着ロールあるいはもう1つの定着ベルトに加圧させることにより幅広いニップ領域を有するものであり、また、小型でウォームアップ時間が短いという長所を持つ。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように張架された定着ベルトには、張架軸間のベルト面にその張架軸の軸方向に波打つ凹凸が発生する。この定着ベルトの波打ち状の凸凹の発生によって以下の、その定着ベルトとその定着ベルト上の記録用紙との間の密着力にムラが生じそのムラにともなう画像のずれが発生するという問題や、その定着ベルト上の記録用紙にばたつきが生じてその記録用紙上の未定着トナーの飛び散りが発生するという問題や、張架軸と定着ベルトとの間の密着力のムラが生じてベルトの蛇行/片寄りが起こるという問題が生ずる。
【0007】
ベルトの蛇行/片寄りという問題に対しては、ベルトの幅方向の中央部の周長と端部の周長に0.07%〜20%の割合で周長差を与え、その周長差を持ったベルトの形状に合わせた鼓形状や逆鼓形状を有する駆動ロールを用いて、ニップ幅のロール軸方向の形状を調整しながらベルトの蛇行/片寄りを防ぐ方法(特開平3−110137)などが知られている。しかしながら、このような形状のベルトと駆動ロールを用いても、依然として、ベルトの張架軸間のベルト面の波打ち状の凹凸の発生を十分には抑えることができない。
【0008】
上述した、ベルトの張架軸間のベルト面の軸方向に発生する波打ち状の凹凸の発生は、上記定着ベルトにおいてだけでなく、中間転写体や搬送ベルトなど、2軸以上の張架軸に張架された一般の樹脂製無端状ベルトにおいても起きる。そのため、このような一般の樹脂製無端状ベルトにも、上記の、記録用紙のばたつき、トナー飛び散り、ベルト蛇行/片寄り、画像のずれなどの問題が生ずる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、2軸以上の軸に張架された際に波打ちが防止されなだらかな表面が保たれるベルトからなる搬送ベルトおよび中間転写体と、2軸以上の軸に張架された際に波打ちが防止されなだらかな表面が保たれるベルトを備えた定着装置と、2軸以上の軸に張架された際に波打ちが防止されなだらかな表面が保たれるベルトを製造するベルト製造方法とを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の定着装置は、
互いに接しながら回転する2つの回転部材を有し、トナー像が付着した記録用紙を移動させながら、その2つの回転部材が接する位置でそのトナー像をその記録用紙上に定着させる定着装置であって、
上記2つの回転部材のうちの少なくとも1つの回転部材が、複数の軸に張架されて所定の搬送方向に循環移動される樹脂製無端ベルト状の基材を有する定着ベルトからなり、該定着ベルトが前記基材上に弾性層および離型層のうちの少なくともいずれか1層を有し、該基材の上記搬送方向に交わる幅方向の平均厚みのその搬送方向のばらつきが、その基材全面の平均厚みに対し±5%以下であることを特徴とする。
【0014】
上記本発明の定着装置は、上記定着ベルトが、上記複数の軸に、単位断面積1mm2あたり0.5N以上かつ50N以下の張力で張架されたものであることが好ましい。
【0015】
また、上記本発明の定着装置は、上記定着ベルトが、上記基材表面に、弾性を有する弾性層、およびトナー像の離型性を改善する離型層、のうちいずれか一層、あるいは上記弾性層とその弾性層を覆うその離型層との二層が形成されてなるものであるとともに、その基材上に形成された層の合計の厚みが5μm以上かつ500μm以下であることが好ましい。
【0016】
また、上記本発明の定着装置は、上記基材が、ポリイミド樹脂を材料として形成されてなることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の定着装置を適用する本実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【0022】
この図に示す本実施形態の画像形成装置は、中間転写体2、定着ベルト52を備えた定着装置5を有する。中間転写体2、定着装置5、および定着ベルト52の詳細については後述する。
【0023】
本実施形態の画像形成装置は、トナー像の担持体である感光体1、感光体1に、トナーを供給する現像部6、循環して感光体1上のトナーを一次転写位置から二次転写位置へ搬送する耐熱樹脂の基材のみからなる無端ベルト状の中間転写体2、感光体1上のトナーを一次転写位置で中間転写体2に転写する転写電極である導電性ロール25、二次転写位置で、中間転写体2の、トナー像が担持された表面側に設置された転写電極であるバイアスロール3、バイアスロール3を中間転写体2を挟んで対向するように配置されたバックアップロール22、バックアップロール22に圧接して回転する電極ロール26、中間転写体2を支持して中間転写体2の循環をガイドする支持ロール21、23、24、転写媒体である記録用紙41、記録用紙41を供給するトレー4、トレー4から記録用紙41をフィードするフィードロール42、転写された記録用紙41が搬送される通路である搬送路43、および耐熱樹脂製の無端状ベルトの基材を有してその基材の外周面上に弾性を有する弾性層およびその弾性層を覆い離型性を改善する離型層が形成された層構造をとる定着ベルト52を備えた定着装置5を有する。
【0024】
この画像形成装置の動作について以下に説明する。
【0025】
感光体1は、矢印A方向に回転し、図示しない帯電部によって表面が一様に帯電される。その帯電された感光体1には、図示しない画像書き込み部によってレーザが照射されて静電潜像が形成される。
【0026】
この静電潜像が現像部6によって供給されたトナーにより可視化されて、トナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体1の回転によって導電性ロール25が配置された一次転写位置に到り、導電性ロール25からトナー像Tのトナーが帯びている電荷とは逆極性の電圧を印加されて静電的に中間転写体2に吸着される。中間転写体2は、一次転写位置で感光体1の表面と接しながら矢印B方向へ移動するので、感光体1上のトナー像Tは、その移動とともに中間転写体2上に順次吸着されて一次転写される。中間転写体2上に転写されたトナー像は、中間転写体2の循環によってバイアスロール3が設置された二次転写位置に搬送される。
【0027】
記録用紙41が、記録用紙用トレー4に収容された記録用紙束から、フィードロール42によって所定のタイミングで二次転写位置の中間転写体2とバイアスロール3との間に給送される。トナー像をのせた中間転写体2が、その二次転写位置で、バイアスロール3およびバックアップロール22により記録用紙41に圧接されつつ、電極ロール26からバックアップロール22を通してそのトナー像の極性と同極性の電圧が印加されることにより、そのトナー像は記録用紙41に吸着される。中間転写体2は二次転写位置で記録用紙41とともに矢印Bの方向に循環するように移動するため、中間転写体2上のトナー像は、その移動とともに記録用紙41に順次吸着されて二次転写される。
【0028】
トナー像が転写された記録用紙41は、搬送路43を通り定着装置5に搬送される。記録用紙41上のトナー像は、以下に図2とともに詳細に示すように、定着装置5によって加圧/加熱処理されて記録用紙41上に定着される。
【0029】
図2は、本実施形態の定着装置の概略構成図である。
【0030】
定着装置5は、内部にハロゲンランプからなる加熱源を有するアルミニウム製中空ロール51a、アルミニウム製中空ロール51aの表面上に積層された液状シリコンゴム(Liquid silicone Rubber)製の弾性体層51b、および弾性体層51bの表面にフッ素ゴムを塗布した耐熱離型耐油層51cとで構成された、矢印C方向に回転するように駆動される定着ロール51、図1の説明で述べた層構造をとり定着ロール51が駆動されるとともに矢印Dの方向に循環するように従動する定着ベルト52、金属製台座上にシリコンゴムを一体成形してなり定着ベルト52を定着ロール51に圧接して広いニップ幅のニップ領域Nを形成する加圧パッド56、定着ベルト52を支える第1の支持ロール54、ニップ領域Nから定着ベルト52の循環の上流側に位置して定着ベルト52を支えるとともに加熱部を有して定着ベルト52を予備加熱する第2の支持ロール55、ニップ領域Nから定着ベルト52の循環の下流側に位置して定着ベルト52を支える圧力ロール53を備える。定着ベルト52のニップ領域Nと接する部分は、第2の支持ロール55と圧力ロール53に張架されており、圧力ロール53は図示しないコイルスプリングにより定着ロール51中心にむけて加圧されている。
【0031】
また、定着装置5は、定着ロール51に接触して定着ロール51表面の残留トナーを拭き取るクリーニング手段57、および定着ニップ上流で定着ロール51に接触して離型材を塗布する離型剤均一塗布手段58を備える。
【0032】
定着装置5の動作を以下に説明する。
【0033】
未定着トナーを表面に載せた記録用紙41は、図1の搬送路43を経由して定着ベルト52の第2の支持ロール55上の部分に搬送される。記録用紙41は記録用紙上の未定着トナーとともに第2の支持ロール55により予備加熱される。第2の支持ロール55からニップ領域Nまで定着ベルト2は水平にのびる部分を有する。その水平にのびる部分によって記録用紙41が矢印Eの方向にニップ領域Nまで搬送される。ニップ領域Nを未定着トナー像の付着した記録用紙41が通過する際、定着ロール51がその未定着トナー像を加熱および加圧することによりその未定着トナー像を記録用紙41上に定着させる。定着ロール51には離型剤均一塗布手段58によって離型剤が塗布されているため、未定着トナー像は記録用紙41に効率良く定着されるが、記録用紙41に定着されずに定着ロール51の表面に付着したトナーが存在すれば、そのトナーはクリーニング手段57によって拭き取られる。
【0034】
このように本実施形態の画像形成装置では、定着ベルト52および中間転写体2が使用されている。上述したように定着ベルト52および中間転写体2はいずれも、複数の回転軸に張架されて所定の搬送方向に循環移動される耐熱樹脂製の基材を含む無端状ベルトであって、被搬送材をその所定の搬送方向に移動させるものであり、本発明にいう搬送ベルトにも相当する。以下では、このように複数の回転軸に張架されて所定の搬送方向に循環移動される耐熱樹脂製の基材を含む無端状ベルトを張架ベルトと称する。
【0035】
本発明者らは、張架ベルトに生ずる、この張架ベルトが張架された回転軸方向の波打ち状の凹凸の量について鋭意研究した結果、その張架ベルトの波打ち状の凸凹の量は、その張架ベルトの基材の上記所定の搬送方向に交わる幅方向の平均厚みのその搬送方向のばらつきを小さく抑えることによって抑えられることを見いだした。本実施形態の張架ベルト、すなわち定着ベルト52および中間転写体2それぞれは、その張架ベルトが含む基材の上記搬送方向に交わる幅方向の平均厚みのその搬送方向のばらつきが、その基材全面の平均厚みに対し±5%以下であるというばらつき条件を満たすものである。
【0036】
後に実施例で述べるように、本実施形態の定着ベルト52は、定着ベルト52の基材がこのばらつき条件を満たすことにより、2軸以上の軸に張架された際にもベルトの波打ちの量を実用上問題無い量まで抑え込み、ベルトの蛇行/片寄のない、なだらかな表面を保って未定着トナー像を載せた記録用紙41をスムーズに搬送し、記録用紙41上の未定着トナー像のトナーを飛び散らすことなくその記録用紙41上に定着された画像にずれが発生しない良好な定着をもたらす。また、本実施形態の中間転写体2も、上記ばらつき条件を満たすことにより、2軸以上の軸に張架された際にもなだらかな表面を保ってベルトの波打ちの量を実用上問題無い量まで抑え込み、ベルトの蛇行/片寄のない、トナー像をスムーズに搬送してそのトナー像のトナーを飛び散らせることなくかつ二次転写において転写されたトナー像にずれが発生しない良好な転写をもたらす。
【0037】
本実施形態の張架ベルトの基材を構成する耐熱性樹脂材料としては、原料モノマにビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を用いた芳香族ポリイミドや、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を原料モノマに用いた芳香族ポリイミドなどのポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)などに代表されるフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが上げられ、特に強度、ベルト成形性、寸法安定性、可とう性の観点からポリイミド樹脂が好ましい。
【0038】
また、本実施形態の張架ベルトを張架する回転軸を形成する材料としては、SUS、アルミ、鉄などの金属、カーボンファイバーなどにより強化された繊維強化樹脂シャフトなど、張架力に十分耐えられる強度をもつ材料があげられる。この回転軸は、この回転軸に張架された張架ベルトとの滑りを減らすために、この回転軸の外周面にサンドブラストなどの粗面化処理やシリコンゴムやEPDMなどの弾性材料の被覆を施される場合もある。
【0039】
また、本実施形態の張架ベルトが張架軸によって張架されることにより張られる張力は、この張架ベルトの張架軸間の面のたるみをなくしこの張架ベルトの駆動を安定化するために、この張架ベルトの単位断面積1mm2あたり0.5N以上であってかつ、この張架ベルトの強度、耐久性、張架軸の耐久性、負荷トルクの限界を考慮すると単位断面積1mm2あたり最大で50Nまでの範囲が好ましく、単位断面積1mm2あたり1N以上かつ10N以下の範囲がより好ましい。
【0040】
また、本実施形態の張架ベルトの基材の厚みは、張架ベルトの強度を保つよう15μm以上であってかつ、張架ベルトが可とう性を有しさらに張架ベルトが張架軸の曲率に沿わせられるよう300μm以下であり、好ましくは30μm以上かつ100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上かつ75μm以下である。
【0041】
上述したように、定着ベルト52は、耐熱樹脂製の無端状ベルトの基材、弾性層、離型層を有する。この弾性層は、フッ素ゴムやシリコンゴム、フルオロシリコンゴムなどの耐熱弾性材料からなり、この離型層は、PFAやPTFE、FEPなどのフッ素樹脂やシリコン樹脂などの耐熱高離型性材料からなる。これらの弾性層および離型層が、記録用紙41上に定着された画像の画質を向上させ、トナーの離型性能を向上させてオフセットを防止する。特に、定着ベルト52がカラー画像を取り扱う定着装置に採用されている場合、定着ベルト52における弾性層の存在が、カラートナーの発色性を向上させ、定着ロール51からの記録用紙41の剥離性を向上させる。なお、本実施形態の定着ベルト52は、耐熱樹脂製の無端状ベルトの基材上に弾性層および離型層が順に積層されてなるものであるが、本発明にいう定着ベルトは、上記基材上に弾性層および離型層のいずれか1層が形成されてなるものである。
【0042】
これらの弾性層、離型層、およびこれら両層が積層されてなる層は、ディップコート、スプレーコート、ブレードコートなどの塗布方法によって塗布される。それらの3種類の層の層厚は、むらなくコートされるよう、上記基材上に離型層のみが形成された場合にはその離型層には5μm以上の層厚が必要であり、上記基材上に上記弾性層のみまたは上記両層が積層されてなる層が形成された場合は、それらの層には15μm以上の層厚が必要である。また、逆に層厚が厚すぎると、塗布の工程が多数回になるため製造コストが高くなったり、熱伝導性能が低下してウォームアップ時間の増大やエネルギー消費量の増大を引き起こすことになるため、上記3種類の層の層厚は最大でも500μmまでであることが好ましい。その層厚は、上記基材上に形成された層が離型層のみの場合10μm以上かつ100μm以下であることが好ましく、上記基材上に形成された層が弾性層のみまたは弾性層に離型層が積層された場合には、弾性の効果が失われないように30μm以上かつ250μm以下であることが好ましい。
【0043】
なお、張架ベルトの材料には、帯電防止などの目的でカーボンや金属フィラなどを含有させ電気抵抗値を下げたものや、強度をあげるために繊維状フィラや補強材料が添加されている場合がある。例えば、用紙搬送用のベルトは、用紙搬送時、トナー像転写時のベルトの摩擦帯電による異常を防ぐため、カーボンや金属フィラなどを含有させ、電気抵抗値を104Ω程度まで下げたものが材料としてよく用いられる。中間転写体2は、様々な条件下で感光体1上のトナー像の記録用紙41への転写がそのトナー像の画質を劣化させずに効率よく行われるよう、電気抵抗値を107Ω〜1010Ωという半導電性領域の値に制御したものが材料として用いられている。
【0044】
次に、本実施形態の張架ベルトの基材として好ましいポリイミドベルトの製造方法について図3を用いて使用する。
【0045】
図3は、ポリイミドベルトの製造行程を示す図である。
【0046】
ポリイミドベルトの製造行程は、以下に示す、原料配合行程、金型準備工程、成膜行程、二次焼成行程、アニール行程、カット検査工程の順に進む。
【0047】
原料配合行程では、ジアミンの原料モノマとビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)などの酸無水物と溶媒を混合したポリイミドワニスを重合することによりポリアミド酸が生成される。このポリアミド酸には、必要に応じてフィラ、補強剤などが添加されて、原料となる耐熱性樹脂溶液d1がつくられる。
【0048】
金型準備行程では、SUS、鉄、アルミ、フッ素樹脂などの寸法形状の安定した耐熱性のある材料によってつくられた内壁面および外壁面がいずれも円筒状に形成された金型c1が用意される。この金型c1の内壁には離型剤が塗布される処理が施される。
【0049】
成膜行程では、原料配合行程でつくられた耐熱性樹脂溶液d1を、金型準備工程で準備された金型c1の内部にそのまま注入して密封し、その金型c1をロールミル装置などに見られるような同一方向に回転した2軸c2上に載せて回転させながら、風乾するかヒータにより120℃〜130℃で加熱し無端状ベルトd2を遠心成形する。上記ポリアミド酸を含む耐熱性樹脂溶液d1は加熱することによってイミド化反応される。しかし、完全にイミド化反応させてしまうと、金型c1からの抜き取りが困難となるため、一般には、上記無端状ベルトd2は、加熱条件を調整して実質的にイミド化反応させない様に成膜され、円筒状の金型c1の内壁から抜き取られる。
【0050】
二次焼成行程では、その金型c1の内壁から抜き取られた無端状ベルトd2に所望の形状の円柱状金型c3を挿入してオーブン炉に入れ、その無端状ベルトd2を350℃で加熱焼成しイミド化反応させる。この二次焼成行程により、その無端状ベルトd2が縮んで金型c3の外壁にフィットし、無端状のポリイミドベルトd3となる。
【0051】
アニール行程で、そのポリイミドベルトd3をオーブン炉中450℃でアニールする。さらに、カット、検査行程で、その円柱状金型c3から生成されたポリイミドベルトd3を外して、所望の形状のポリイミド製無端状ベルトにカットする。
【0052】
【実施例】
以下に本発明の複数の実施例および複数の比較例を示し、さらに詳細に説明する。これらの複数の実施例および複数の比較例で使用する無端状ベルトは、いずれも、上述した本実施形態のベルト製造方法によって製造した。なお、このベルトを製造する原料の1つである酸無水物にはBPDAを用いた。
【0053】
図4は、本実施例の無端状ベルトを示す図である。
【0054】
以下に述べる各実施例で製造されたベルトそれぞれは、全て、この図に示す、内径Dmが68mmで幅Wが340mmの無端状ベルトb1であった。これらのベルトそれぞれは、全ベルト面上で均一な膜厚が得られればその膜厚が75μmとなるように調整された条件で製造された。ただし、これらのベルトそれぞれは、各実施例ごとに異なる様々な金型を用いて成膜されたものであり、この金型の外壁面の円筒の中心軸と内壁面の円筒の中心軸がずれていたため、これらのベルトのそれぞれの膜厚は、これらのベルトそれぞれの全面で必ずしも75μmの均一な値とはならなかった。後述する各比較例で製造されたベルトそれぞれも上記内径Dmと幅Wを有するベルトであり、これらのベルトそれぞれも各比較例ごとに異なる金型で成膜された。
【0055】
[実施例1]
上記中心軸のずれをあらわす、上記金型の外壁面の円筒の中心軸と内壁面の円筒の中心軸との間の距離である同軸度が70μmである金型におる成膜過程を経て実施例1のベルトを製造した。
【0056】
このベルトは、ベルト内径より若干小さめの外径を持つアルミ製パイプが挿入されて、渦電流式膜厚測定器(FISHER社製パーマスコープ)によってこのベルト上の図4に示す幅W方向に17カ所と、図4に矢印で示す周方向Fに18カ所とで指定される計306カ所の点で、膜厚が測定された。
【0057】
その結果、ベルト全面306個所の平均膜厚は76μm、最大膜厚は82μm、最小膜厚は69μmで、円周方向各位置における軸方向17個所の膜厚の平均値は、最大で78μm、最小74μmでそのばらつきは4μm(ベルト全面の平均膜厚に対し±2.6%)であった。
【0058】
図5は、張架されたベルト上の凸凹を測定する状況を示す図である。
【0059】
この図には、図4に示したような無端状のベルトb1の内部に、ベルトb1の幅より長い、2本の15mm径のステンレスシャフトs1および5kgの重さを持つシャフトs2をくぐらせて、上記2本のステンレスシャフトs1を張架軸として65mmの間隔で平行かつ水平に配置し、シャフトs2の矢印a1の方向に働く重力によってこのベルトb1をベルトの単位断面積1mm2あたり1.9Nの張力(ベルト全体で50Nの張力)で張架する3軸の張架軸装置とレーザ変位計e1が示される。
【0060】
上記2本のステンレスシャフトs1に渡って張架されたベルトb1の円周方向のある位置の、矢印a2が示す張架軸方向各位置でのベルトb1と同じ幅と内径を有する実施例1のベルトの垂直方向の変位を、レーザ変位計e1をその張架軸方向に移動させながら測定した。
【0061】
図6は、ベルト表面の変位の一例を示すグラフである。
【0062】
このグラフの横軸は、実施例1のベルトの円周方向のある位置における上記張架軸方向の各位置である張架軸方向測定位置をmm単位であらわす。この位置は、0mm〜340mmという、このベルトの幅全体に渡る。縦軸は、図5のレーザ変位計e1によって測定された、この実施例1のベルトの上記張架軸方向測定位置各位置での垂直方向の変位をmm単位であらわす。実施例1のベルトの垂直方向の変位は、このベルトの張架軸方向の端部0mmの位置では0mmであって、ベルトの上記張架軸方向の中間部分に近い位置へ移るとなだらかに増大し、170mmの張架軸方向測定位置で矢印a6で示すように最高の変位0.6mmを示した。この変位は、その最高の変位を示す位置からこのベルトのもう一方の端部340mmの位置へ移るとなだらかに減少し0mmに近づく。このベルトでは、このベルトの円周方向どの位置でも張架軸間のベルト面に大きな波打ち状の凹凸は発生しなかった。
【0063】
図7は、記録用紙搬送装置を示す図である。
【0064】
図7(A)は、図4に示すベルトb1に2本のシャフトs3をくぐらせて、それらのシャフトs3を平行かつ水平に保ってそれらのシャフトを回転する張架軸として用いてベルトb1を張架し、それらのシャフトs3の回転によってベルトb1を矢印a3の方向に駆動し、そのベルトb1上に記録用紙を載せて搬送する2軸の記録用紙搬送装置を示す。
【0065】
図7(B)は、図4に示すベルトb1に3本のシャフトs4をくぐらせて、それらのシャフトs4のうちの2本を平行かつ水平に保ち、残りの1本を上記2本の下に平行に保ってそれらのシャフトを回転する張架軸として用いてベルトb1を張架し、それらのシャフトs4の回転によってベルトb1を矢印a4の方向に駆動し、そのベルトb1上に記録用紙を載せて搬送する3軸の記録用紙搬送装置を示す。
【0066】
実施例1のベルトを、図7(A)に示す2軸の記録用紙搬送装置に、ベルトの単位断面積1mm2あたり2.7Nの張力(ベルト全体で70Nの張力)にて張架したところ、このベルトの円周方向どの位置でも張架軸間のベルト面に目立った波打ち状の凹凸は発生せず、記録用紙を通紙しても用紙のばたつきやとそのばたつきに伴う記録用紙上のトナーの飛び散りも発生しなかった。
【0067】
[実施例2]
次に、外壁面と内壁面の同軸度が88μmの円筒状金型による成膜過程を経て実施例2のベルトを製造した。このベルトの膜厚を、実施例1と同様に測定した結果、ベルト全面306個所の平均膜厚は74μm、最大膜厚は81μm、最小膜厚は68μmで、円周方向各位置における軸方向17個所の膜厚平均値は、最大で76μm、最小71.5μmでばらつきは4.5μm(ベルト全面の平均膜厚に対し+2.7%、−3.4%)であった。
【0068】
このベルトを、図5に示す3軸の張架軸装置に、実施例1と同じくベルトの単位断面積1mm2あたり1.9N/mm2の張力(ベルト全体で50Nの張力)にて張架したところ、この場合も、図6に示す変位と同様な変位を示し、このベルトの円周方向どの位置でも張架軸間のベルト面に大きな波打ち状の凹凸は発生しなかった。
【0069】
さらに、実施例2のベルト外表面に、フッ素ゴム溶液を3回塗布・風乾した後、230℃4時間加硫を行い、合計180μmのフッ素ゴム層を積層した。再度このフッ素ゴム積層無端状ベルトを前述の図7(B)に示す3軸の記録用紙搬送装置に、ベルトの単位断面積1mm2あたり1.9N/mm2の張力(ベルト全体で50Nの張力)にて張架したところ、このベルトの円周方向どの位置でも張架軸間のベルト面に大きな波打ち状の凹凸は発生しなかった。このベルトを図2に示すロール・ベルト定着方式の定着装置5の定着ベルト52として使用した。
【0070】
実施例2で用いた定着装置5のアルミニウム製中空ロール51aは、外径が62mm、内径が55mm、長さが330mmの大きさを有し、弾性体層51bは厚さ1.5mmで材料硬度33°の液状シリコンゴム製の層であり、耐熱離型耐油層51cはその弾性体層51bの表面にフッ素ゴムを厚さ30μmになるまで塗布したものであった。実施例2で用いた定着ベルト52を張架する2本の支持ロール54、55の直径は18mmであり、1本の圧力ロール53の直径23mmであった。
【0071】
ここで、実施例2で用いた定着装置5では、定着ベルト52は、ベルト全体で98Nの張力で第2の支持ロール55と圧力ロール53に張架され、圧力ロール53は図示しないコイルスプリングにより定着ロール中心にむけて350Nの力で加圧され、加圧パッド56も同様に600Nの力で定着ロールに加圧された。これにより、ニップ幅は23mmとなった。
【0072】
このように構成したロール・ベルト方式の定着装置5を使用し、定着ロール51の回転速度を200mm/sec、定着ロール51の表面温度を150℃として、未定着のトナー像が表面に付着した記録用紙(富士ゼロックス(株)製J紙)を10000枚通紙したところ、この定着装置5によって定着された定着画像にずれは発生せず、記録紙のばたつきおよびそのばたつきによるトナー飛び散りも発生せず、ベルトの蛇行/片寄も生じなかった。
【0073】
[その他の実施例]
実施例1および実施例2それぞれで用いられた円筒形金型以外の、7つの異なる円筒状金型それぞれを用いた成膜過程をそれぞれ経て7つの実施例のベルトそれぞれが製造された。
【0074】
図8は、複数の円筒状金型それぞれの外壁面と内壁面の同軸度とそれらの円筒状金型それぞれによる成膜過程を経て製造されたそれぞれのベルトの膜厚のばらつきとの関係を示すグラフである。
【0075】
このグラフの横軸は、複数の円筒状金型それぞれの外壁面と内壁面の同軸度をμm単位であらわし、縦軸は、それらの円筒状金型それぞれによる成膜過程を経て製造された無端状ベルトの円周方向各位置における上記張架軸方向の各点で測定された膜厚の平均値のばらつきを膜厚に対するパーセンテージであらわす。
【0076】
このグラフの範囲p1の7つの黒丸それぞれがここでいう7つの実施例にあたる。なお、このグラフに実施例1の上記ばらつきの測定結果を示す白丸p3_1および実施例2の上記ばらつきの測定結果を示す白丸p3_2も併せて示した。このグラフからわかるように、円筒状金型の上記同軸度が40μmの場合にベルトの膜厚の上記ばらつきは3%となり、この同軸度が120μmまで上昇すると、ベルトの膜厚の上記ばらつきもその同軸度にほぼ比例して上昇して9%に達っした。
【0077】
これらの7つの実施例のベルトそれぞれを実施例1と同様に、それぞれ図7(A)に示す2軸の記録用紙搬送装置に張架したところ、それらのどのベルトにも、それらのベルトそれぞれの円周の方向のどの位置でも張架軸間のベルト面に目立った波打ち状の凹凸は発生せず、記録用紙を通紙しても記録用紙のばたつきやそのばたつきに伴う記録用紙上のトナーの飛び散りも発生しなかった。
【0078】
また、これらの7つの実施例のベルトそれぞれに実施例2と同様に、フッ素ゴム層を積層した。これらのフッ素ゴムの積層された無端状ベルトを前述の図7(B)に示す3軸の記録用紙搬送装置に、実施例2と同様にそれぞれ張架したところ、これらの張架された7つの実施例のベルトそれぞれには、それらのベルトそれぞれの円周方向のどの位置でも張架軸間のベルト面に大きな波打ち状の凹凸は発生しなかった。
【0079】
フッ素ゴムの積層されたこれらのベルトをそれぞれ実施例2と同様に図2に示すロール・ベルト定着方式の定着装置5の定着ベルト52として使用した。これらの定着ベルト52が使用された定着装置5を使って、実施例2と同様に、未定着のトナー像が表面に付着した記録用紙(富士ゼロックス(株)製J紙)を10000枚通紙したところ、定着画像のずれは発生せず、記録用紙のばたつきおよびそのばたつきによるトナー飛び散りも発生せず、ベルトの蛇行/片寄も生じなかった。
[比較例1]
外壁面と内壁面の同軸度が190μmの円筒状金型による成膜過程を経て比較例1のベルトを製造した。この比較例1のベルトの膜厚を、実施例1と同様に測定した結果、ベルト全面306個所の平均膜厚は74μm、最大膜厚は88μm、最小膜厚は65μmで、円周方向各位置における軸方向17個所の膜厚平均値は、最大で80μm、最小69μmでばらつきは11μm(ベルト全面の平均膜厚に対し+8.1%、−6.8%)であった。
【0080】
このベルトを、図5に示す3軸の張架軸装置に、実施例1と同じく張架したところ、張架軸間のベルト面に、円周方向約2/3にわたって、図9に示すような大きな波打ち状の凹凸が発生した。このベルト面の波打ちを図5に示すレーザー変位計を用いて測定した。
【0081】
図9は、ベルト表面の変位の一例を示すグラフである。
【0082】
このグラフの横軸は、図6のグラフの横軸と同じものである。この図9のグラフの縦軸はスケールを除いて図6のグラフの縦軸と同じものである。
【0083】
比較例1のベルトの垂直方向の変位は、このベルトの図5に示す張架軸方向の両端それぞれの付近のの10mmおよび330mmの張架軸方向測定位置では0mmであって、このベルトの張架軸方向の50mmから280mmの位置の間で6つの極大点をもつ大きな値をとる。この変位は、このベルトの張架軸方向の10mmの張架軸方向測定位置で矢印a9_1によって示すように最高の変位1.35mmを示し、また、この変位の隣り合う極大値と極小値の差である波打ちの凸凹量は矢印a9_2に示すように0.75mmを示した。
【0084】
このベルトを、図7(A)に示す2軸の記録用紙搬送装置に、実施例1の場合と同様に張架したところ、張架軸間のベルト面におおきな波打ち状の凹凸が発生し、この記録用紙搬送装置に記録用紙を通紙したところ用紙のばたつきによる通紙不良や用紙上のトナーの飛び散りが発生した。
[比較例2]
外壁面と内壁面の同軸度が175μmの円筒状金型による成膜過程を経て比較例2のベルトを製造した。この比較例2のベルトの膜厚を、実施例1と同様に測定した結果、ベルト全面306個所の平均膜厚は75.5μm、最大膜厚は89μm、最小膜厚は65μmで、円周方向各位置における軸方向17個所の膜厚平均値は、最大で81μm、最小69.5μmでばらつきは11.5μm(ベルト全面の平均膜厚に対し+7.3%、、−7.9%)であった。
【0085】
このベルトを、実施例2と同様に、図5に示す3軸の張架軸装置に張架したところ、円周方向約3/5にわたって、張架軸間のベルト面に大きな波打ち状の凹凸が発生した。この波打ちを実施例1の場合と同様にレーザー変位計を用いて測定したところ、比較例1のベルトと同様なデータが得られ、波打ちの凹凸量が0.77mmあることがわかった。
【0086】
このベルトを実施例2と同様の条件で図2に示す定着装置5の定着ベルト52として使用した。その定着装置5に未定着のトナ−像が表面に付着した記録用紙(富士ゼロックス(株)製J紙)を10000枚通紙したところ、この定着ベルト52が波打って支持ロールとの接触面積が減少したため、この定着ベルト52の蛇行/片寄が発生し、この定着装置5により定着された定着画像にずれが見られ、この定着装置5に通紙した記録用紙は数枚に1枚の割合でばたつき、そのばたつきによるその記録用紙上のトナー飛び散りが生じた。
[その他の比較例]
比較例1および比較例2それぞれで用いられた円筒状金型以外の、3つの異なる円筒状金型を用いた成膜過程を経て3つの比較例のベルトを製造した。
【0087】
図9のグラフの範囲p2の3つの黒丸それぞれがここでいう3つの比較例の測定結果にあたる。なお、このグラフに比較例1の上記ばらつきの測定結果を示す白丸p4_1および比較例2の上記ばらつきの測定結果を示す白丸p4_2も併せて示した。
【0088】
このグラフからわかるように、円筒状金型の同軸度が150μmの場合にベルトの膜厚の上記ばらつきは14%となり、この同軸度が200μmまで上昇すると、ベルトの膜厚のばらつきもその同軸度にほぼ比例して上昇して17%に達する。
【0089】
これらの3つの比較例のベルトそれぞれを、図7(A)に示す2軸の記録用紙搬送装置に、実施例1の場合と同様にそれぞれ張架したところ、それらのどのベルトにも、張架軸間のベルト面におおきな波打ち状の凹凸が発生し、記録用紙を通紙したところ用紙のばたつきによる通紙不良や用紙上のトナーの飛び散りが発生した。
【0090】
また、これらの3つの比較例のベルトそれぞれを実施例2と同様に、フッ素ゴム層を積層した。これらのフッ素ゴムの積層されたベルトそれぞれを実施例2と同様の条件で図2に示す定着装置5の定着ベルト52として使用した。それらのベルトそれぞれを使用した定着装置5に未定着のトナ−像が表面に付着した記録用紙(富士ゼロックス(株)製J紙)を10000枚通紙したところ、これらの3つの比較例のベルトのうちのどのベルトを使用した定着装置5でも、比較例2と同様に、この定着ベルト52が波打って支持ロールとの接触面積が減少したため、この定着ベルト52の蛇行/片寄が発生し、この定着装置5により定着された定着画像にずれが見られ、この定着装置5に通紙した記録用紙は数枚に1枚の割合でばたつき、そのばたつきによるその記録用紙上のトナー飛び散りが生じた。
【0091】
以上の実施例および比較例から、本実施形態の張架ベルトの基材部分は、上記搬送方向に交わる幅方向の平均厚みの、その張架ベルト全面の平均膜厚に対するその搬送方向のばらつきが、その張架ベルト全面の平均厚みに対し±5%以下のものであるというばらつき条件を満たすと、この張架ベルトには目立った波打ち状の凹凸は発生しないとわかる。
【0092】
図9のグラフ中の実線q1は、上記7つの実施例をあらわす範囲p1の7つの黒丸およびこの3つの比較例をあらわす範囲p2の3つの黒丸をガイドするものである。この実線q1は、上記同軸度40μmで上記ばらつき3%、上記同軸度200μmで上記ばらつき17%を示す直線であり、上記同軸度が120μmの場合にはこの実線q1によって示される上記ばらつきは10%となる。
【0093】
このため、上述した、ベルト全面の平均膜厚に対し±5%以下のばらつきを有する本実施形態の張架ベルトは、この張架ベルトを製造する際の上記成膜過程で、外壁面と内壁面の同軸度が120μm以下である円筒形金型が用いられたものであるとわかる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、2軸以上の軸に張架された際に波打ちが防止されなだらかな表面が保たれた定着ベルトを備えることにより記録用紙上の未定着トナー像のトナーが飛び散ることなくその記録用紙上の画像にずれが生じない良好な定着を行う定着装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の搬送ベルト、中間転写体、および定着装置を適用する本実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態の定着装置の概略構成図である。
【図3】ポリイミドベルトの製造行程を示す図である。
【図4】本実施例の無端状ベルトを示す図である。
【図5】張架されたベルト上の凸凹を測定する方法を示す図である。
【図6】ベルト表面の変位の一例を示す図である。
【図7】記録用紙搬送装置を示す図である。
【図8】複数の円筒状金型それぞれの外壁面と内壁面の同軸度とそれらの円筒状金型それぞれによる成膜過程を経て製造されたそれぞれのベルトの膜厚のばらつきとの関係を示すグラフである。
【図9】ベルト表面の変位の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光体
2 中間転写体
3 バイアスロール
4 トレー
5 定着装置
6 現像部
21,23,24 支持ロール
22 バックアップロール
25 導電性ロール
26 電極ロール
41 記録用紙
42 フィードロール
43 搬送路
51 定着ロール
51a 中空ロール
51b 弾性体層
51c 耐熱離型耐油層
53 圧力ロール
54 第1の支持ロール
55 第2の支持ロール
56 加圧パッド
57 クリーニング手段
58 離型剤均一塗布手段

Claims (4)

  1. 互いに接しながら回転する2つの回転部材を有し、トナー像が付着した記録材を移動させながら、該2つの回転部材が接する位置で該トナー像を該記録材上に定着させる定着装置において、
    前記2つの回転部材のうちの少なくとも1つの回転部材が、複数の軸に張架されて所定の搬送方向に循環移動される樹脂製無端ベルト状の基材を有する定着ベルトからなり、該定着ベルトが前記基材上に弾性層および離型層のうちの少なくともいずれか1層を有し、前記基材の前記搬送方向に交わる幅方向の平均厚みの該搬送方向のばらつきが、該基材全面の平均厚みに対し±5%以下であることを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着ベルトが、前記複数の軸に、単位断面積1mm2あたり0.5N以上かつ50N以下の張力で張架されたものであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記定着ベルトが、前記基材表面に、弾性を有する弾性層、およびトナー像の離型性を改善する離型層、のうちいずれか一層、あるいは前記弾性層と該弾性層を覆う該離型層との二層が形成されてなるものであるとともに、該基材上に形成された層の合計の厚みが5μm以上かつ500μm以下であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記基材が、ポリイミド樹脂を材料として形成されてなることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
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