JP3739960B2 - 孵化槽及び水生動物飼育槽 - Google Patents

孵化槽及び水生動物飼育槽 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は孵化槽及び水生動物飼育槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
観賞用の水生動物(各種観賞魚など)のための生き餌として、栄養価が高いことからブラインシュリンプという小形水生動物が用いられることがある。ブラインシュリンプは多くの場合乾燥卵の状態で販売されている。この卵を海水若しくは海水とほぼ同様の塩水を入れた孵化槽中に投入し、水中の卵を攪拌を続けると孵化するので、これをすくって水生動物を飼育している水槽中に入れ、水生動物に生き餌として与える。卵の攪拌方法としては、孵化槽の底部からエアを供給し、このエア供給によって発生する気泡が孵化槽中を上昇するときに発生する上昇流によって生ずる循環水流或いは乱流により攪拌作用を得る方法が知られている。また、給餌作業を容易に行うために、孵化槽を水槽内部の隅部分に取り付け、孵化槽内にて孵化したブラインシュリンプを網などによってすくい、そのまま飼育水槽中に投入する方法が知られている。
【0003】
ところが、ブラインシュリンプを孵化槽中で孵化させ続けると、卵中に含まれていたタンパク質や未孵化卵が腐敗するなどの理由により二三日経過すると塩水が汚れ、腐敗してくるとともに、孵化後に残される卵殻が増えてくる。このため、定期的に孵化槽中の塩水を交換するとともに孵化槽を清掃する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、孵化槽に飼育水槽内に開口する開口部を設け、孵化したブラインシュリンプが自ら孵化槽から出て水槽内に出てくるようにすることにより、給餌作業を不要にすることが考えられる。しかし、孵化槽には海水若しくは塩水が入っている一方、水槽内において淡水魚を飼育している場合には水槽中には淡水が入っているため、時間が経過すると孵化槽内の塩水と水槽内の淡水とが入り交じり、孵化槽の塩水濃度が低下してしまう。
【0005】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、海水若しくは塩水と淡水とが混じらないようにしつつ、しかも、海水若しくは塩水の収容域と淡水収容域との間を連通させ、孵化した水生動物が通過することのできる孵化槽や水生動物飼育槽を提供し、さらに、このような孵化槽や水生動物飼育槽その他の各種用途に好適に用いることのできる流体境界域の連通部構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の基本的発明概念を示す流体境界域の連通部構造は、第1流体を収容した第1収容域と、該第1流体よりも比重の大きい第2流体を収容した第2収容域とを設け、前記第1収容域と前記第2収容域との間に、前記第1収容域に対して開口した第1開口部と、前記第2収容域に対して開口した第2開口部とを備えた境界室を設け、該境界室を介して前記第1収容域と前記第2収容域とが連通した構造とし、前記第1開口部を前記第2開口部よりも上方に形成したことを特徴とする。
【0007】
この基本的発明概念によれば、第1流体よりも第2流体の方が比重が大きいため、第1主要域と第2収容域との間に設けられた境界室には、上方に形成された第1開口部から流入する第1流体が上方に集まり、下方に形成された第2開口部から流入する第2流体が下方に集まることにより境界面の上下にそれぞれ層状に配置されるので、第1流体と第2流体の接触面は境界室内に形成された境界面のみとなる。したがって、第1収容域及び第2収容域とは別に構成された境界室内において第1流体と第2流体の境界面が限定されることから、第1流体と第2流体の混合が抑制される。したがって、第1収容域と第2収容域とを連通させつつ、第1流体と第2流体が入り交じることを制限することができる。
【0008】
上記基本的発明概念において、前記境界室における前記第1開口部又は前記第2開口部の少なくともいずれか一方の近傍を流通断面を絞った管状に形成することが好ましい。この発明によれば、第1開口部又は第2開口部の近傍を流通断面を絞った管状に形成することにより、第1収容域内の第1流体又は第2収容域内の第2流体に対流、乱流その他の流れが生じても、流通断面を絞った管状に形成された部分によって当該流れの影響を境界室内に及ぼしにくくすることができるので、境界室内の境界面が動揺しにくくなり、第1流体と第2流体の混合作用を低減することができる。
【0009】
また、上記基本的発明概念において、前記境界室を全体として管状に形成することが好ましい。この発明によれば、境界室を全体として管状に形成することによって境界室を容易に構成できるとともに、コンパクトに構成できるため、所要スペースを削減できる。
【0010】
なお、上記の基本的発明概念において管状とは、内部流路よりも流路長が長い形状のことを言い、その流通断面形状は円形に限定されず任意である。また、この場合、管状部分を屈曲(屈折)させることによって上記効果をさらに高めることができる。また、本願の全ての発明においては境界室事態を屈曲(屈折)させることによっても効果を向上させることができる。
【0011】
上記各基本的発明概念において、前記第1流体は淡水であり、前記第2流体は塩水であることが好ましい。上記各発明において淡水と塩水(或いは海水)との境界域の連通部構造として構成することが特に有効である。この連通部構造としては、後述する孵化槽や水生動物飼育槽に限らず、河口域の魚道や水位調整構造部などにも用いることができる。さらに、上記拡大断面部の近傍には下開口部から境界室内を上昇する水流を遮る抑止板を設けることが好ましい。
【0012】
次に、本発明の孵化槽は、水生動物の卵を塩水中で孵化させるための孵化室と、該孵化室に対して下開口部を介して連通した境界室とを備え、該境界室には、前記下開口部よりも上方であって前記孵化室の上端部よりも下方において外部に開口する上開口部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、塩水を入れた孵化槽を水槽内などの淡水中に配置することにより、境界室内に塩水と淡水の境界面を形成して塩水と淡水とが混じり合わないようにすることができる。このようにした場合、塩水の入った孵化室内にて水生動物を孵化させることができ、孵化した水生動物が下開口部を通過して境界室内に入り、さらに上開口部を通過して淡水中に出ることができるように構成できる。
【0014】
この発明において、前記境界室は前記下開口部から前記孵化室の外面に沿って上方に延長形成されていることが好ましい。この発明によれば、境界室が下開口部から孵化室の外面に沿って上方に延長形成されていることにより、孵化槽をコンパクトに構成することができる。
【0015】
上記各発明において、前記孵化室の下部には気体供給口が設けられていることが好ましい。孵化室の下部に気体供給口を設け、気体供給口から気体を供給することにより、孵化室内に水流を発生させることができ、卵に新鮮な塩水を常時接触させ続けることができるので、孵化率を高めることができる。
【0016】
また、本発明においては、前記境界室は前記下開口部と前記上開口部との間に、水平断面積の増大した拡大断面部を備えている。これによれば、気体供給により発生した水流によって下開口部を通って境界室内に紛れ込んだ卵の流れを拡大断面部において緩和させることができるので、境界室内に入り込んだ卵を再び孵化室内に戻すことが可能になる。ここで、前記拡大断面部は前記下開口部と前記上開口部との間の中間高さよりも下方に形成されていることが、境界室内に形成される塩水と淡水の境界面に動揺を与えにくい点で好ましい。また、前記境界室は、前記下開口部の近傍において前記下開口部に向けて下方に傾斜した内
面形状を備えていることが、一旦、境界室内に入り込んだ卵を孵化室に戻しやすくなる点で好ましい。さらに、前記気体供給口は前記下開口部よりも下方に形成されていることが下開口部近傍にある卵を再び気体供給によって生じた水流に乗って孵化室の上部に戻すことができる点で好ましい。なお、上記の各孵化槽としては、生き餌用の水生動物を孵化させて水槽に放ち、他の水生動物に与える目的で使用してもよく、或いは、観賞用などの各種の水生動物を孵化させて水槽内に放つ目的で使用しても構わない。
【0017】
次に、本発明の水生動物飼育槽の基本的発明概念は、水若しくは水溶液を収容可能な第1収容室及び第2収容室を設け、前記第1収容室と前記第2収容室との間に、前記第1収容室に対して開口した第1開口部と、前記第2収容室に対して開口した第2開口部とを備えた境界室を設け、該境界室を介して前記第1収容室と前記第2収容室とが連通した構造とし、前記第1開口部を前記第2開口部よりも上方に形成したことを特徴とする。
【0018】
この基本的発明概念によれば、上述の作用効果によって2種類の水若しくは水溶液を第1収容室と第2収容室において相互に保ちながら、水生動物が境界室を通って第1収容室と第2収容室との間を行き来することができるように構成できるため、水生動物に適した環境に合わせて飼育することができる。
【0019】
この基本的発明概念において、前記境界室における前記第1開口部又は前記第2開口部の少なくともいずれか一方の近傍を管状に形成することが好ましい。
【0020】
また、前記境界室を全体として管状に形成することが好ましい。
【0021】
さらに上記各基本的発明概念においては、前記境界室は前記第2開口部から前記第2収容室の外面に沿って上方に延長形成されていることが好ましい。また、前記孵化室の下部には気体供給口が設けられていることが好ましい。この場合には、前記境界室は前記第2開口部と前記第1開口部との間に、水平断面積の増大した拡大断面部を備えていることが望ましい。また、前記拡大断面部は前記第2開口部と前記第1開口部との間の中間高さよりも下方に形成されていることが望ましい。さらに、前記境界室は、前記第2開口部の近傍において前記第2開口部に向けて下方に傾斜した内面形状を備えていることが望ましい。また、前記気体供給口は前記第2開口部よりも下方に形成されていることが望ましい。さらに、上記拡大断面部の近傍には第2開口部から境界室内を上昇する水流を遮る抑止板を設けることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る基本的発明概念である流体境界域の連通部構造、並びに、本発明の孵化槽及び水生動物飼育槽の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する各基本構成及び実施形態は、いずれも単なる流体境界域の連通部構造として把握することができるものであるが、同時に、孵化槽、或いは、水生動物飼育槽として用いることも可能なものである。
【0023】
[第1基本構成]
図1には本発明に係る第1基本構成の構造を示す。容器10の内部は仕切壁11によって第1収容室12と第2収容室13とに仕切られている。第1収容室12及び第2収容室13にはいずれも水などの液体を収容することができるように構成されている。仕切壁11の内部には連通部として境界室14が形成され、この境界室14には、第1収容室12に開口する第1開口部14aと、第2収容室13に開口する第2開口部14bとが形成されている。ここで、第1開口部14aは境界室14の上部に形成され、第2開口部14bは境界室14の下部に形成されている。
【0024】
この基本構成では、第1収容室12と第2収容室13にそれぞれ比重の異なる2種類の液体A,Bを収容すると、境界室14内において2種類の液体A,Bの境界面Cが略水平に形成される。例えば液体Aを淡水、液体Bを塩水とした場合のように液体Aが液体Bよりも比重が小さいものとすると、第1収容室12から第1開口部14aを経て境界室14に流れ込む液体Aと、第2収容室13から第2開口部14bを経て境界室14に流れ込む液体Bとは境界室14内にて遭遇することとなるが、液体Aは液体Bよりも比重が小さいため、境界室14内において液体Aは上部に留まり、液体Bは下部に留まろうとする。したがって、図示のように両液体A,Bは水平な境界面Cを隔てて上下に分離する。
【0025】
ここで、両液体A,Bが相互に溶解不能である場合には境界面Cは維持されるが、上記の淡水と塩水のように相互に溶解可能である場合には境界面Cにおいて両液体A,Bが接触しているため、徐々に両液体A,Bが混じり合い、時間の経過とともに混合されていく。しかし、分離室14の形状寸法によって境界面Cの面積は限定されているので、その混合速度はきわめて遅い。
【0026】
また、第1収容室12内の液体Aと第2収容室13内の液体Bのいずれかに流れ(対流)が発生したり動揺が発生したりすると、その影響により境界室14内の境界面Cもまた動揺し、液体Aと液体Bが混合される。しかし、境界室14は第1開口部14a及び第2開口部14bにより第1収容室12及び第2収容室13に開口しているため、第1開口部14a及び第2開口部14bの開口面積を境界室14内の境界面Cの面積よりも小さく形成することによって、第1収容室12及び第2収容室13内の液体の動揺の影響を小さくすることができる。なお、水槽として用いる場合、液体A,Bの流れや動揺は、ろ過装置へ水を通過させるために行うポンピングやエアレーション(水槽内において空気を吹き出させることによって空気の水中への溶解を促進するとともに水流を発生させる。)などによって引き起こされる。
【0027】
上記のように構成するための本質的な要件は、分離室14の第1開口部14aが第2開口部14bよりも上方に位置しているという点だけである。ただし、第1収容室12内の液体Aと、第2収容室13内の液体Bの量(液位)によっては境界線Cが分離室14内に形成されないという事態が発生するので、両液体A,Bの液位を調整するか、或いは、液位の変化にも対応できるように分離室14の第1開口部14aと第2開口部14bの形成位置を上下方向に或る程度離して形成し、液位の多少の変動があっても境界線Cが境界室14の内部に留まるようにする必要がある。
【0028】
この基本構成によれば、比重の異なる2種類の液体A,Bを、境界室14という連通部を介して連通させることができるとともに、2つの液体A,Bが互いに混じり合わないように保持することができる。このような流体境界域の連通部構造は、後述するような海水中で孵化する水生動物を生き餌として淡水魚に与える場合などにおける孵化槽の構造、或いは、孵化槽と水槽とが一体化された水生動物飼育槽の構造として用いることができる。また、海水と淡水の双方において生存可能な水生動物の飼育槽としても利用可能である。さらに、本基本構成の境界室の構造は、海水域と淡水域とを連通させながら、しかも海水と淡水との混合を抑制するための連通部構造などとして用いることができる。この場合、海水域と淡水域のそれぞれの水位が或る程度上下する場合には、境界室の上下方向の長さ(第1開口部と第2開口部の上下間隔)を長くとればよい。
【0029】
なお、本基本構成は単に海水と淡水の境界域の連通部構造それ自体としても産業上利用可能なものであるが、海水と淡水以外の各種液体、或いは、各種気体に対しても適用することができる。気体の場合には混合抑制効果を長時間維持することは困難であるが、例えば温度の異なる室間の連通部の構造として、或いは、空気域と不活性ガス域との連通部の構造などとして充分に利用可能である。
【0030】
[第2基本構成]
次に、図2を参照して本発明に係る第2基本構成について説明する。この基本構成では、第1基本構成と同様に容器20内に仕切壁21を設け、この仕切壁21の両側に第1収容室22と第2収容室23とを形成している。仕切壁21には境界室24が形成され、この境界室24の上部には第1収容室22に開口する第1開口部24aが形成され、境界室24の下部には第2収容室23に開口する第2開口部24bが形成されている。また、第1収容室22には第1基本構成と同様の液体Aが、第2収容室23には液体Bがそれぞれ収容されている。
【0031】
本基本構成では、境界室24における第1開口部24aの近傍に管状に形成された第1管状部24cが形成され、また、境界室24における第2開口部24bの近傍に管状に形成された第2管状部24dが形成されている。これらの第1管状部24c及び第2管状部24dは、第1収容室22及び第2収容室23と、境界室24との間の液体の動揺の伝播を抑制するために設けられたものである。第1管状部24c及び第2管状部24dは、境界室24内の境界面Cの境界断面積よりも充分に小さい流通断面積を備えている。
【0032】
この基本構成によれば、流通断面積が絞られた第1管状部24c及び第2管状部24dを設けることによって、第1収容室22内の液体Aに対流や動揺が発生しても、第1管状部24cによって境界室24の内部には対流や動揺の影響が伝わりにくくなっている。同様に、第2収容室23内の液体Bに対流や動揺が発生しても、第2管状部24dによって境界室24の内部には対流や動揺の影響が伝わりにくくなっている。したがって、境界室24内に形成された液体Aと液体Bの境界面Cの動揺も少なくなり、液体Aと液体Bの混合も抑制される。
【0033】
特に、この基本構成では、第1開口部24a及び第2開口部24bが第1収容室22及び第2収容室23の内部に対してそれぞれ上方及び下方に向いた状態で開口している一方、第1管状部24c及び第2管状部24dは境界室24内の境界面Cに至るまでの間においてほぼ直角に屈折しているため、境界室24内の境界面Cが第1収容室22及び第2収容室23内の動揺に対してさらに影響されにくくなっている。
【0034】
本基本構成の上記効果は、液体A,Bの液位が上下に変化した場合についても同様に得られる。例えば、液体Aの液位が上昇した場合(液体Bの液位が下降した場合)には、第1収容室22から境界室24内に液体Aが入り込み、境界面Cを押し下げ、逆に、液体Bの液位が上昇した場合(液体Aの液位が下降した場合)には、第2収容室23から境界室24内に液体Bが入り込み、境界面Cを押し上げる。このとき、第1管状部24c及び第2管状部24dを設けていることによって、小径の第1管状部24c及び第2管状部24d内では乱流が発生しにくいため、境界室24内の境界面Cは乱れ少なく上下に移動する。したがって、境界面Cの動揺は低減されるため、液体Aと液体Bとが混合されにくくなる。
【0035】
[第3基本構成]
次に、図3を参照して本発明に係る第3基本構成について説明する。この基本構成では、第2基本構成と動揺に容器30の内部に仕切壁31、第1収容室32、第2収容室33、境界室34を設けている。この基本構成では、境界室34の全体を仕切壁31に固着された管状体によって構成している。境界室34は仕切壁31による仕切面に沿って上下方向に伸び、その上端部に第1開口部34aを備え、その下端部に第2開口部34bを備えている。第1開口部34aは上述と同様に第1収容室32に開口し、第2開口部34bは第2収容室33に開口している。
【0036】
この基本構成では、境界室34を管状体によって構成しているため、境界室24における第1開口部34aと第2開口部34bとを上下方向に離して形成することが容易にでき、液体の動揺や液位変化に耐えうる構造となっている。また、境界室34の境界面Cの境界断面積を容易に小さく形成できるので液体Aと液体Bとの混合度合も抑制でき、境界室34の流通断面積を全体的に小さくすることができるので、境界室34内に乱流が発生しにくいことからも、液体の動揺が境界室34内に伝わりにくい構造となっている。
【0037】
第4基本構成
次に、図4を参照して本発明に係る第4基本構成について説明する。この第4基本構成は、水槽中に配置される孵化槽として好適なものである。この孵化槽40は全体が黒色若しくは茶色などに着色された合成樹脂などにより形成されており、内部に外光が届きにくい状態になっている。孵化槽40には略円筒状の本体部41が設けられ、この本体部41の内部には、上部の壁面から円錐状に斜め内側に伸びて徐々に縮径し、やがて等しい径で円筒状に下方に伸びる分離壁42が形成されている。この分離壁42によって、本体部41の内部には、分離壁42の突出部より上方に形成される上部室43と、分離壁42の内側の連通路44と、分離壁42の外側に形成される周囲室45とが画成される。
【0038】
本体部41の下端部にはエア供給口41aが形成され、このエア供給口41aから図示しないエアチューブなどを介してエアが供給される。また、本体部41の上部開口41bは、本体部41と同様に着色された上蓋47によって閉鎖されるようになっている。
【0039】
周囲室45は本体部41の外壁から突出する境界管46に連通し、境界管46の先端は開口している。この境界管46はその内部が上記の境界室として機能するものであり、先端の開口は上記各基本構成の第1開口部に相当する上開口部46aとして、また、境界管46の基部と本体部41との間の連通部は上記各基本構成の第2開口部に相当する下開口部46bとして機能する。
【0040】
この第4基本構成においては、容器40内に海水若しくは塩水(以下、単に「塩水」という。)Dを入れ、図示のように淡水Eの中に導入する。淡水Eは例えば水槽に入れられている。すると、容器40内の塩水Dの量や淡水Eの水位に応じて、境界室を構成する境界管46の内部に塩水Dと淡水Eの境界面Fが形成される。
【0041】
次に、上蓋47を外して上部開口41bからブラインシュリンプの乾燥卵を投入し、エア供給口41aからエアを供給する。エア供給を開始するとエア供給口41aから気泡が本体部41内に導入され、上昇して上部開口41b内の水面にて大気中に放出される。気泡の上昇に伴って、本体部41の内部には連通路44内を上昇し、上部室43に到達し、再び上部室43から連通路44内を下降する循環水流が発生する。この循環水流によって投入された乾燥卵は攪拌される。この状態においては、卵は上記の循環水流に沿って上下に移動し、その一部は連通路44から周囲室45の下部に入り込む。周囲室45の壁面はエア供給口41aに向かって単調に下方に向かって傾斜しているため、周囲室45の下部に入り込んだ卵は再び自重によってエア供給口41aの近傍に戻り、導入エアに従って連通路44内を上昇する。
【0042】
上記の攪拌を継続していくと、卵投入から12時間程度経過すると孵化が始まり、ブラインシュリンプの幼生が本体部41内を泳ぎ出す。ブラインシュリンプは明るい場所に集まる習性を備えている。一方、本体部41の上部開口41bを上蓋47によって閉鎖すると本体部41内は暗くなるが、境界管46の先端の上開口部46aは外部に開口しているため、この上開口部46aを介して周囲室45内に光が入射する。このため、孵化したブラインシュリンプの幼生は上部室43及び連通路44から周囲室45へと進み、やがて境界管46を経て上開口部46aから容器外部へと泳ぎ出る。
【0043】
上記の孵化槽40において、エア供給口41aからエアを導入すると、気泡の導入によって発生する循環水流の影響で本体部41内の塩水Dの水位が若干上昇するとともに上下に変動し、その影響で上記の境界面Fもまた上下に移動する。したがって、境界管46は境界面Fの上下変動によって支障が生じないように、当該上下変動よりも境界管46の上下方向の高さを充分に確保しておくことが好ましい。また、本基本構成では境界管46を上記各基本構成の境界室に相当するものとして説明したが、境界管46と周囲室45の双方を境界室として機能させることも可能である。例えば、境界面Fが周囲室45の内部に形成される場合である。このとき、境界面Fが周囲室45の下部に接近するとエア供給によって大きく影響を受けることとなるため、境界面Fはなるべく上方に位置するように構成することが好ましい。
【0044】
図4の右下部分には、上記第4基本構成の変形例の一部構造を示す。この変形例においては、本体部41'に一部のみを示す分離壁42'が上記第4基本構成と同様に形成され、分離壁42'の外側に周囲室45'が画成されている。この周囲壁45'には、本体部41'の外側に構成された境界室46'が下開口部46'bにより連通している。境界室46'は外側の先端部に上開口部46'aを備えている。この変形例において、境界室46'は本体部41'の外壁に沿って密着した形で上方に伸びているため、孵化槽をよりコンパクトに構成できるという利点がある。
【0045】
本発明の実施形態]
次に、図5及び図6を参照して本発明に係る実施形態について説明する。図5は本実施形態の縦断面図であり、図6は本実施形態の外観図である。この実施形態は、上記の基本構成をさらに最適化してなる孵化槽50である。この孵化槽50は全体をブロー成形によって一体的に成形してなる。孵化槽50には、仕切壁51によって仕切られた孵化室52及び境界室53が設けられている。孵化室52の底部にはエア供給口52aが形成され、上部には上部開口52bが形成されている。上部開口52bは上蓋54によって閉鎖されている。境界室53には、側方に開口した上開口部53aと、孵化室52に連通する下開口部53bと、境界室53の上端部に開口した上部開口53cとが設けられている。上開口部53aには網目55aを備えた網目キャップ55が取り付けられ、上開口部53aを網目55aが覆うように構成されている。上部開口53cは、上蓋56によって閉鎖されている。
【0046】
孵化槽50の外壁は、第4基本構成と同様に全体が黒色又は茶色に着色された合成樹脂によって形成されている。そして、図示しない水槽などに入れられた淡水Eの中に孵化槽50が導入される。その後、孵化室52の内部に塩を入れ、塩水Dとする。もちろん、上開口部53aを閉鎖しておき、予め孵化槽50の内部に塩水Dを入れておいてから、淡水E中に装置を入れてもよい。この場合、孵化槽50の中の塩水Dの量や、孵化槽50を淡水Eの水位に対してどの程度(深さ)まで入れるかは境界室53に形成される境界面Fとの兼ね合いで適宜に決定される。
【0047】
この実施形態では、境界室53が孵化室52の下部に開口する下開口部53bにて連通し、この下開口部53bからそのまま孵化室52の外壁に沿って上方に伸びるように形成されているため、境界室53の上下高さを大きくとることができるから境界面Fの位置範囲を広げることができるとともに、孵化槽50を全体的にコンパクトに構成することができる。また、境界室53の上端部に上部開口53cが形成されているため、ブラインシュリンプが孵化した後に残る卵殻を上部開口53c内の水面上に浮かせることができ、適宜に卵殻を除去することができる。この卵殻の除去作業は孵化槽50を淡水E中から引き上げることなく行うことができる。したがって、孵化槽50の清掃間隔を低減することができる。
【0048】
なお、孵化槽50としては、境界室53の下部に大きく水平断面の拡大した拡径部53dが形成されているため、エア供給口52aからのエア供給によって生じた循環水流に乗って境界室53内に入り込んだ未孵化卵の侵入速度を緩和させることができ、エア供給口52aに向かって下方へ傾斜した内壁面に沿って未孵化卵を再び孵化室52内にスムーズに戻すことができる。この場合、図示点線で示すように、拡径部53dの近傍に未孵化卵の上昇を抑制するための抑止板53eを設けてもよい。
【0049】
なお、上記第4基本構成及び実施形態の孵化槽40,50は、いずれも生き餌として用いるブラインシュリンプを孵化させるとともに外部(水槽内)に導き出すものとして構成しているが、本発明の孵化槽としては、ブラインシュリンプの孵化に限定されることはなく、また、単に孵化槽内において外部と異なる水質の元で孵化させ、孵化した幼生を孵化槽から外部へ脱出させて外部にて生育させるための孵化槽として用いることもできるものである。
【0050】
尚、本発明の孵化槽及び水生動物飼育槽は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る流体境界域の連通部構造及び水生動物飼育槽の第1基本構成の構造を模式的に示す概略縦断面図である。
【図2】 本発明に係る流体境界域の連通部構造及び水生動物飼育槽の第2基本構成の構造を模式的に示す概略縦断面図である。
【図3】 本発明に係る流体境界域の連通部構造及び水生動物飼育槽の第3基本構成の構造を模式的に示す概略縦断面図である。
【図4】 本発明に係る流体境界域の連通部構造及び孵化槽の第4基本構成の構造を模式的に示す概略縦断面図である。
【図5】 本発明に係る流体境界域の連通部構造及び孵化槽の実施形態の構造を模式的に示す概略縦断面図である。
【図6】 施形態の外観の概略を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
10,20,30 容器
11,21,31,51 仕切壁
12,22,32 第1収容室
13,23,33 第2収容室
14,24,34,53 境界室
14a,24a,34a,46a,53a 第1開口部
14b,24b,34b,46b,53b 第2開口部
40,50 孵化槽
41 本体部
41a,52a エア供給口
41b,52b,53c 上部開口
42 分離壁
43 上部室
44 連通路
45 周囲室
46 境界管
47,54,56 上蓋
52 孵化室
55 網目キャップ

Claims (3)

  1. 水生動物の卵を塩水中で孵化させるための孵化室と、該孵化室に対して下開口部を介して連通した境界室とを備え、該境界室には、前記下開口部よりも上方であって前記孵化室の上端部よりも下方において外部に開口する上開口部が設けられ、前記孵化室の下部には気体供給口が設けられ、前記境界室は前記下開口部と前記上開口部との間に、水平断面積の増大した拡大断面部を備えていることを特徴とする孵化槽。
  2. 前記境界室は前記下開口部から前記孵化室の外面に沿って上方に延長形成されていることを特徴とする請求項1に記載の孵化槽。
  3. 請求項1又は2に記載の孵化槽を内部に配置したことを特徴とする水生動物飼育槽。
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